自社の経営をより良くするためには、今のビジネスモデルに新
しいアイデアを付加することが一つの道です。そのためには、
様々な経営の法則を一つでも多く頭に入れてください。
経営者として知っておくべき知見は星の数ほどありますが、ほ
んの一部を紹介します。

■高収益企業の法則
(三品和広氏〔神戸大学大学院・経営学研究科教授〕)

『…(高収益企業の研究を通じて)成功例に共通している点は
一目瞭然だった。「事業立地」がよいということだ。仕事の仕
方の工夫や製品開発ではなく、そもそも「何屋さんをやるか」
の選び方が優れている。事業立地の考え方では、ある市場の中
でどこにポジションするかよりもむしろ、そもそもどの市場を
選ぶかが重要になってくる。…』

優秀な経営者のもとに、優秀な人材と多額の資金を投下しても、
石炭の採掘での事業化は難しいはずです。採掘を行うなら、シ
ェールガスか、メタンハイドレートの方が良いはずです。事業
の成功の可否は、そのマネージメントや狭義のテクニカルなマ
ーケティング力が主因ではないようです。事業領域の設定、す
べてはここから始まります。
事業領域をどう設定するか、これこそが、経営の最大のテーマ
です。経営者は肝に銘じるべきです。
『高収益は事業立地で決まる』、高収益企業研究の第一人者が
おっしゃっておられる言葉です。真摯に受け止めて、自社の企
業経営に生かしましょう。自社の事業立地の検証を始めましょう。

■事業計画の法則
(ヘンリー・ミンツバーグ氏)

『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』

計画がなければ始められません。進むべき大体の方向、道しる
べが必要です。また、どれぐらいのペースで進めば、主に資金
が足りるのか、一つの基準としても計画は有効です。一方、近
未来を完全に予見できる程の知見を持ち合わせている人は稀有
です。また、日々の経験と成長は、新しい気付きをもたらしま
す。当初計画に固持し過ぎると、新しい気付きを反映できなく
なります。
計画を立案してその執行に邁進することのリスクを肝に銘じる
べきです。計画の必要性を認識しながらも、当初の計画にとら
われ過ぎない経営が必要です。ヘンリー・ミンツバーグ教授の
メッセージを、再度ご確認ください。

■脱・マーケットイン、プロダクトアウトの法則
(SP経営協会)

『「消費者がより必要とするものを、適切な価格で提供する」
マーケットインの発想が正しいとされてきました。もちろんマ
スマーケットに打って出るなら、この発想は大変重要でしょう。
一方、中小零細企業は、限られたコア技術しか有しておらず、
また、大量販売する広告力も持ち合わせないため、コア技術を
活用した、ある種の「プロダクトアウト」の発想で商品開発を
行うしかありません。さらに、低コスト生産ができるはずもな
く、価格競争の土俵にも立てません。であるならば、コア技術
を突出させて、とんでもない味や機能を、原価を無視してでも
提供できる高額商品へのチャレンジが現実的です。』

中小零細企業が必要とする売上はほんの数億円から十億円程度
です。数百億円も、数千億円もの売上をいきなり狙う必要はあ
りません。であるならば、得意な分野(コア技術)で、最高品
質のとんでもない商品を作り、ほんの一部の人に高く買っても
らう商売(=アッパーニッチ戦略)を狙ってみたらいかがでし
ょうか。
販売価格(原価)の呪縛を外した時に、とんでもない商品が出
来上がるかもしれません。

■(雨傘ではなく)日傘理論
(銀行融資プランナー協会)

『金融機関が貸し出す傘はすべて「日傘」(○)です。「雨傘」
(×)ではありません。貸し出す資金が預金者から預かった預金
だからです。損失を出すわけにはいきません。故に金融機関は、
企業に対して健全かつ前向きな資金しか貸し出せません。』
※雨傘は、一部の制度融資・制度保証のみです。

「借りられる時に借りられるだけ借りておく」ことこそ最善の
策です。健全な時に、近未来に遭遇するかもしれない「谷」や
「まさか」に備えて資金調達を継続して行い続けること、これ
以外に方法が見当たりません。これこそが、金融機関対応の大
原則と確信します。

中小零細企業経営者が忘れておられる経営原則を4つ紹介しま
した。行間の真理も含めてご理解いただければ幸いです。

…次回につづく

毎月の経営状況を正確に把握できる資料は「試算表」です。多
くの経営者様は試算表を見て経営状況を把握し、日々の経営判
断を行っています。しかし、その試算表が間違っていれば、そ
れを見て下される経営判断も間違えてしまう可能性が高くなり
ます。自社の管理状況を鑑みて、正確な試算表を作成するのが
難しいと考えるならば、思い切って、もっと簡素な管理方法に
切り替えるのもひとつの解決方法です。試算表ではなく資金繰
り表です。

財務体質の強化に取り組んでいる関与先様の事例です。オブザ
ーバーとして社内ミーティングに参加させていただきました。
ミーティングの参加者は、社長、取締役、経理担当者です。経
理担当者が作成した試算表をベースに会議を行います。

経理担当者:先月の売上高は昨対比伸びましたが利益は減少し
ています。

社長:A社さんで値引きしたからじゃないかな。
取締役:いや、工場の人件費が増えたことが要因ではないか。
全員:うーん・・・

減益となった要因について1時間程議論がなされましたが、そ
もそもこの試算表には在庫が反映されていません。仕入額がそ
のまま原価となっており、先月68%だった原価率が今月は
77%になっています。同社の平均原価率は70%ですので、
今月は単純に仕入が多かっただけで、在庫を考慮すれば実際は
増益だった可能性があります。

正確な試算表を作成するためには、会計に精通した人材を雇用
したり、毎月棚卸を行ったりする必要があります。小規模企業
にとっては負担が大きいため、同社のように不正確な試算表で
経営判断を行っている社長様も多くいらっしゃるように感じま
す。もちろん、正確な試算表づくりに取り組むことが正しい姿
ではありますが、その負担を考えると、正確な試算表づくりに
固執せず、まずは、キャッシュの動きだけをシンプルにまとめ
た「資金繰り表」を経営管理ツールとするのも良さそうです。

企業が最も気をつけねばならないのは資金を切らすことです。
この点において、資金繰り表は試算表よりも資金の動きが良く
分かります。また、在庫、売掛、買掛、減価償却など、実態を
把握しにくい項目は最初から考える必要はありませんので、作
成も簡単です。不正確な試算表を管理ツールとするより、正確
な資金繰り表を管理ツールとする方が、効率的かつ効果的かも
しれません。

■消防士は火に対する知見を有しています。

故に、大丈夫、危険だ…これらを正しく判断できます。危険な
火災現場に遭遇しても、最小限のリスクで最大限の対応ができ
るのはこのためです。仮に、無知な消防士(?)が消火活動を
行ったとすると、過度に恐れて適切な消化活動ができない、ま
たは、蛮勇で無茶なそれを行うことになるはずです。いずれも
正しい消火活動とは程遠い結果になります。消防士は、日々欠
かさず、火に対する勉強と訓練を積んでくれています。

■社長も経営を「知る」ことが重要です。

経営には不安がつきまといます。Withコロナの今は不安が極限
に達している方も多くいます。具体的な不安、漠然とした不安
…無限の不安が心に降り注いできます。ある種の必然で仕方あ
りませんが、これらの不安を軽くする方法はあります。

◎人は、わからないことに多くの不安を感じるようです。
・「知る」ことで多くの不安が解消されます。
・「知る」ためには勉強が必要です。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、程度加減がわかります。
・「知る」ことで、ここまでは大丈夫、これ以上はダメ、この
境界が見えます。
・「知る」ことで、経営判断の精度が向上します。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、「自分の知らないこと」を認識できます。
・知らないことを認識すること(=「無知の知」)は重要です。
・「知る」ことに重点的に取り組むことができます。
・「自分の知らないこと」には取り組まない、または、他人の
知恵を借りる癖が付きます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■過度の心配は払しょくしましょう。チャンスを逃してしまい
ます。逆に、蛮勇もご法度です。会社をつぶしてしまいます。

「無知」な社長は二つのパターンに分かれます。

◆1.過度に恐れて攻めることができない社長。
リスクを過大評価して、一歩も前に進めません。前に向かって
アクセルを踏めない原因の一つは「知らない・わからない」か
らではないでしょうか?

◆2.蛮勇を背景に突っ走る社長。
リスクや実力を省みることなく、とにかくアクセルを踏み続け
ます。過度に邁進できる理由の一つは「知らない・わからない」
からではないでしょうか?

いずれも正しい経営とは程遠い結果になります。

■「知る」ことは大変大きな収穫をもたらします。

社長が経営の勉強をすることには大変大きな意味を持ちます。
その経営成績、収穫に直結します。ただ、社長が勉強すべき
テーマは極めて広範囲で、何からどのようにすればよいかわか
らない、とおっしゃる方も少なくありません。まさにその通り
ですが、これにもヒントはあります。

◎不安なことから勉強してください。不安を解消しましょう。

◆「無知」は大きな損失を招きます。損をします。
◆「無知」は不安の大きな原因の一つです。病みます。
「知る」ことで多くの事を解決できます。故に、賢明な社長は
日々勉強に励みます。

経営者が借入に消極的になる理由のひとつに個人保証がありま
す。多額の借入をして事業に失敗すると、連帯保証人となって
いる経営者も多くの場合で法的整理を免れません。

金融庁は、中小企業経営者の思い切った事業展開を後押しする
ため、「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、金融機
関が個人保証に頼らずに融資を行うことを推奨しています。

金融庁が公表している当ガイドラインの活用に関する参考事例
集の中から、事例をひとつご紹介します。

■ ある地域銀行の事例
経営管理の強化に取り組んでいる取引先に対して経営者保証を
求めなかった事例

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等
・当社は、建設工事及び建材卸売業を営んでおり、建材卸売部
門では大手メーカーや商社等と代理店・特約店契約を結んで
おり、多種多様な商品(内外装タイル、ユニットバス、耐火
壁、エレベーター等)を取り扱っている。

・震災復興関連工事の受注の増加により増収基調が続いており、
内部留保も厚く堅固な財務内容を維持している。

・当行は、メイン行ではないものの、増加する震災復興関連工
事に伴う資金需要に対応してきたところ、当社から短期資金
の借入の相談があった。

・また、借入の相談の際に、当行本部から送付されたガイドラ
インのパンフレットを見た経営者から、経営者保証を求めな
い融資の相談を受けたことから、ガイドラインの内容を改め
て説明するとともに、当社から提出のあった直近の試算表や
工事概況調等を勘案しつつ、ガイドラインの適用要件等の確
認を行った上で回答することとした。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容
・当行の営業店では、案件受付票の作成に合わせ、今回新設し
た「経営者保証に関するガイドラインチェックシート」を活
用し、適用要件の確認を実施している。当該手続による確認
の結果、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで
新規融資に応じることとした。
1)決算書類について「中小企業の会計に関する基本要領」に則
った計算書類を作成し、地元の大手会計事務所が検証等を行
っているなど、法人と経営者の関係の明確な区分・分離がな
されていること
2)内部留保も厚く堅固な財務内容を維持しており、償還面に問
題がないこと
3)四半期毎に試算表等の提出を行うなど、当社の業況等が継続
的に確認可能なこと

・当社とは、長年の取引を通じてリレーションシップは十分に
構築されている。震災復興関連工事の増加による業況の拡大
が、ガイドラインで求められている返済能力の向上に寄与し
ている面は否めないが、当社が、外部専門家による検証等を
含め、経営管理の強化に従来以上に取り組むことを表明して
いることから、当行としても、業況の把握に留まらず、当社
の経営管理体制の構築について引き続き積極的にアドバイス
を行っていく方針である。

ご覧いただいた通り、個人保証を入れずに済むためには要件が
あります。当該案件の場合、下記の要件を満たしていることが、
個人保証を求めない要因となっています。

1)決算書に信憑性があること。
2)財務内容が良好であること。
3)経営状況を継続的にディスクローズする体制が整っていること。

業況や財務内容だけでは不十分で、高い経営品質を求められて
いることが分かります。毎月の試算表はもちろん、資金繰り表
等を用いて金融機関と円滑なコミュニケーションを取れる体制
の構築が必要です。

前回号では、【規模拡大を目指す計画書】ではなく、【企業価
値を向上させる計画書】の立案をお願いしました。ここでは、
企業価値の向上策について、整理いたします。

■企業価値を向上させるための4つのポイント!

◆1.脱・売上至上主義!
・売上の大きさではなく利益の大きさが重要
・同じ利益なら、売上は小さいほうが良い

売上には高品質な売上と安物の売上があります。企業価値は売
上の純度に相関します。売上の純度が高い企業ほど、その企業
価値は高くなります。売上の純度を高める経営、純度の低い売
上を取り除く経営を行ってください。企業価値が向上します。

◆2.売り切りから継続販売、継続的なサービス提供へ!
・所有から利用へ、顧客ニーズは変わってきた
・一過性の売上より、継続する売上の方が良い

顧客ニーズは、所有から利用へと変わってきました。経営的に
も、売切りの一過性の売上よりも、継続的な売上の方が安定し
ます。また、継続的に利用してもらうためには、商品やサービ
スに進化・発展が求められます。継続的な集金モデルを有する
企業には、それに相当する企業価値が与えられます。

◆3.持たざる経営への移行!
・総資産の大きさではなく純資産の大きさが重要
・同じ利益なら、従業員は少ない方が良い
・同じ費用総額なら、固定費は小さく、変動費が大きい方が良

資産には価値ある資産とそうでない資産があります。企業価値
は資産の純度に相関します。資産の純度が高い企業ほど、その
企業価値は高くなります。資産の純度を高める経営、純度の低
い資産を持たない経営を行ってください。企業価値が向上しま
す。

◆4.良い事業立地を選定する!
・どこにでもある事業ではなく、レアな事業を行う方が良い
・飽和した成熟市場を攻めるより、成長性のある市場の方が良

・相対的優位に立てる市場が面白い

事業は、いかに上手に運営するか(マネージメント)の前に、
どんな事業をするか(事業立地の選定)が重要です。取り組む
事業を間違えたら、経営の成果、企業の価値向上は限定的です。
企業価値を高くとるためには、事業立地の選定が重要です。

◎企業の規模ではなく、企業の価値に重点を置いた経営に移行
しませんか。そのためにも、事業計画書を作って、又は、作り
直してみませんか。今から作る事業計画書は、【規模拡大を目
指す計画書】ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にし
てください。

自社の資金調達余力を把握していれば様々な局面で正確な経営
判断が行えます。資金調達余力は、銀行員が融資を検討する時
に必ず参考にしている「債務償還年数」で分かります。

債務償還年数とは融資先が借り入れをしすぎていないかを判断
するための指標です。借り入れが大きい(債務償還年数が長い)
ほど、新たな融資は出しにくくなります。

債務償還年数を算出するためには、まず簡易キャッシュフロー
を理解しなくてはなりません。簡易キャッシュフローとは、会
社が1年間で返済可能な額を表します。計算式は「純利益+減
価償却費」です。純利益とは税金を払った後の会社が自由に使
えるお金です。減価償却費とは帳簿上の経費であり、実際にお
金が出て行った訳ではありませんので、同額の資金が手元に残
っていると考えます。

例えば、減価償却を5,000千円実施したうえで純利益が
3,000千円出ている会社であれば、5,000千円+
3,000千円の計8,000千円が簡易キャッシュフローと
なります。年間8,000千円を返済に回すことができる会社
ということです。

次は借入についてです。債務償還年数を考えるうえにおいては、
実際の借入額をそのまま借入額とする訳ではありません。次の
算式で導きだした額を借入額とします。「有利子負債残高-現
預金-所要運転資金」です。

有利子負債とは役員借入金等は除いた金融機関等からの借り入
れを指します。割引手形も含みます。しかし、一方で保有して
いる預金を差し引かなければ純粋な借入額は出ませんので、
50,000千円の借入があっても、預金を20,000千円
保有していれば、実質的な借入は30,000千円と考えます。

借入に関する考え方はこれで終わりではありません。実質的な
借入額から、さらに運転資金を借入から差し引くことができま
す。例えば、決算書から常に10,000千円の運転資金が必
要と読み取れれば、30,000千円からさらに10,000
千円を差し引き、20,000千円が簡易キャッシュフローで
返済すべき借入額となります。

債務償還年数とは、借入を何年で返済できるかという指標です
から、今回のケースは、借入額が20,000千円、年間の返
済可能額は8,000千円ですので20,000千円÷
8,000千円=2.5年となります。

一般的に債務償還年数が10年以内であれば正常と判断されま
すので、この会社の調達余力は、年間返済額8,000千円×
7.5年(10年-2.5年)=60,000千円と導き出せ
ます。

前回号の続き…

「人間には思いを実現する能力が備わっている。」稲盛和夫先
生はおっしゃっておられます。とするならば、経営者は何を思
うべきなのでしょうか?それは会社の未来・行く末です。うま
く行く絵を描いて、それを目指しましょう。これが事業計画書
です。
さらに、今から作る事業計画書は、【規模拡大を目指す計画書】
ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にしてください。

■【企業価値を向上させる計画書】作成の手順…

◆ステップ1:社長の考えをまとめてください。イメージで構
いません。

●以下のような内容を紙に書いてください。社長自身の言葉に
してください。現時点、3年後、N年後を横軸に、2~12ま
でを縦軸にとって、表に仕上げてください。大切なことは、社
長が自分で作ることです。走り書きでいいので書き込んでくだ
さい。

1.現時点・3年後・N年後を想定して、
2.売上高推移…過度な売上至上主義に陥らず!
3.営業利益額推移…営業利益は10%以上を必達!
4.キャッシュフロー(現預金)推移…資金を潤沢に維持して!
5.現商品・サービスの売上額推移
6.新商品・新サービスの開発イメージ、売上額推移
…開発費を継続的に投入して!
7.商品・サービスの内外製比率、固定費と変動費の比率
…固定費比率を下げて!
8.現販路の売上額推移
9.新販路の開発イメージと、売上高推移
…開発費を継続的に投入して!
10.新規事業の開発への投資とTODO、その売上の将来の推移
…胆力を持って求め続けて!
11.社員数・外注・社員給与の推移…外注比率を上げながら!
12.社長の収入の推移…豊かに生きる!
13.会社の外形イメージ、どんな会社のするのか
…社長の言葉で表現する!

●また、規模の拡大ではなく企業価値の向上を目指す観点から、
守って欲しい項目があります。

◎過度な売上至上主義に陥らないこと!
◎営業利益は10%以上を必達すること!
◎資金を潤沢に維持すること!
◎開発費を継続的に投入して新商品・新サービスを開発すること!
◎固定費比率を下げる、外注比率(変動比比率)を上げること!
◎新規事業は長期目線で胆力を持って求めること、投資を続け
ること!
◎社長自身も豊かに生きること!

◆ステップ2:社長のイメージを数値計画に落とし込みます。
ここからは部下や外部のブレーンの力も借りてください。

1.社長がイメージした2~12を、現時点から3年後・N年
後までの数値計画に落とし込みます。この過程で、論理矛盾が
たくさん生まれます。その論理矛盾を解決するための施策を考
える、これが経営戦略の立案です。

2.新商品や、特に新規事業はすぐには生まれません。これら
に対しては、創造し仕上げることが目標です。それでいいので
す。それらの占める売上高や利益は一旦Xとでも表記してくだ
さい。

◆ステップ3:完成したら、従業員にも教えてあげてください。

従業員は、会社のことをほとんど理解できていません。事業計
画書は、従業員に社長の考えや会社の未来像を知らしめること
もその大切な目的です。

事業計画書を作って、又は、作り直してみませんか。今から作
る事業計画書は、【規模拡大を目指す計画書】ではなく、【企
業価値を向上させる計画書】にしてください。

ある関与先様が銀行に融資を申し込んだところ、売上が急激に
伸びていることを懸念され融資を断られそうになったそうです。
通常、売上が伸びることは良いことですので意外に思われるか
もしれませんが、金融機関は急成長企業を敬遠することがしば
しばあります。

「急成長企業が突然倒産した。」といったニュースを耳にされ
たことがあるかもしれません。急激な売上の増加は場合によっ
て倒産確率も高めます。倒産確率が高まる要因は、急な成長に
「人がついていけない。」「商品やサービスのクオリティが維
持できない。」など様々ありますが、結果として資金が底をつ
いてしまうことが直接的な要因です。

■ 急成長企業が陥りやすいパターン
1.売上を伸ばすため銀行から最大限の資金調達を行い、設備
投資、仕入の増加、人材雇用等を積極的に行います。
2.投資の効果により売上や利益が伸びると銀行が追加で融資
をしてきます。その融資金をさらに事業に投資して売上と
利益を伸ばします。売上や利益が伸びると、銀行がさらに
融資をしてきます・・・繰り返します。
3.やがて投資をしても売上や利益に反映されない踊り場が訪
れます。投資に見合った利益が出ない状況であるにも関わ
らず、相変わらず一本調子で投資を継続して売上の拡大を
目指します。
4.無理な投資が利益を圧迫して赤字に転落することで銀行か
らの融資が止まり、たちまち資金が回らなくなります。

弊所は「資金は借りられる時に借りられるだけ借りましょう。」
というメッセージを平素から発信していますが、その目的は、
いざという時のために手元資金にゆとりを持ちましょうという
ことです。決して限界まで事業に投資することをお奨めしてい
る訳ではありません。手元資金をしっかりと確保して倒産リス
クを回避しながら、自社に合った無理のないスピードで成長を
目指すことを指針としています。

早く会社を大きくしたいという思いは経営者として当然のこと
ですが、踊り場に来たと感じたら一休みしてはいかがでしょう
か。一旦売上の成長を止めることで増加運転資金が不要になる
ためキャッシュフローが改善されます。

踊り場で少し体力をつけてから再度成長を目指すのが無理のな
い財務戦略だと考えます。

アフターコロナ、ウィズコロナを踏まえた、新しい事業計画を
作りましょう。先行きが読みにくい状況の中、今一度自社の経
営をじっくり考えなおす好機と捉え、自社の未来のイメージを
具現化しましょう。

■増収(売上増)発想を一旦捨ててみましょう!

事業計画を作る時には、売上は当然伸びるとする会社様が大半
です。例えば、今後3年間毎年売上を伸ばし、その中で原価と
費用を賄いながらも営業利益を少しは増やす、このような計画
が大半です。増収を前提にした計画です。計画書作成後は、売
上の達成状況を第一義に確認しながら経営を行います。売上目
標の達成のためには、原価や販管費の上昇も仕方ないと考えて
しまうようです。この考え方は、時に売上至上主義を招きます。

■減収(売上減)を容認する、敢えて減収を狙う計画を作りま
しょう!

貴社が、増収ありきの考え方を長期間続けてきたならば、一度
発想を変えてみることをお薦めします。減収(売上減)を容認
する、又は、敢えて減収を狙う考え方です。ウィズコロナの今
は特に重要です。例えば、次年度の計画を作る時に、売上は
10%減じても良いとする一方、粗利益率は5%向上する目標
を立てます。この時、ほとんどの会社様は黒字を確保できます。
赤字にはなりません。売上を何としても死守する発想を捨てる
ことができれば、筋の悪い売上を捨てることができます。経営
が、会社が大きく変わります。

※売上には筋の良い売上と筋の悪いそれがあります。言いかえ
ると、無理なく立てた売上と、無理して立てたそれです。後者
は概ね薄利(赤字)であり、時に大きなトラブルを招きます。
減収を容認することで、後者の売上を捨てることができます。

■過去の増収一辺倒の発想から脱却してみましょう。

多くの経営者は、売上高確保、増収(売上増)にこだわってき
ました。何が何でも売上高を確保しようとすることで、売上高
を確保するために多くの犠牲を払ってきました。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めをしてきました。利益に見合わ
ない過大な広告コストを支払ってきました。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行っています。顧客の過度な要
求を受け入れています。売上至上主義は、分散症候群や安売り
症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、減収(売
上減)を容認する経営に移行してください。ウィズコロナの今
は特に重要です。

◆事業計画の目的は大きく二つあります。

〇一つ目は、経営者が自分の歩む道を整理して決めること、仮
説を立てることです。
コロナ禍の状況を勘案して、もう一度経営者自身が自社の近未
来像を想定しなおすことです。

〇二つ目は、従業員に対してなすべきことを明確にして伝える
ことです。
従業員は暗中模索の状況です。自社の従業員に会社の未来を示
してあげることも重要です。

◎事業計画を作る、作り直す…ご検討ください。

経営者にとって税金とはどういうものでしょうか。安心安全な
社会システムの維持発展に必要なものだと頭では分かっていて
も、いざ納付書の金額を見ると「・・・」というのが心情では
ないでしょうか。

・高すぎる。なぜこんなに払わなくてはならないのか。
・どうせ政治家に無駄遣いされるだけだ。
・払ってしまったら資金繰りが厳しくなる。

思うところはたくさんありますが、法律に則って会社経営を行
う以上、残念ながら納税から逃れることはできません。節税に
も限界があります。そうであれば、納税を少しでも前向きに捉
えられた方が幸せです。困難な課題ではありますが、「利益」
がヒントになるかもしれません。

会社は利益を栄養素としています。利益を与えなければ会社は
弱り、最後は死んでしまいます。経営者にとって自分の会社は
かけがえのない存在でしょう。絶対に死なせたくないはずです。
人間が生きていくには食事が必要なように会社には利益が必要
です。

利益を与えれば与えるほど、会社は大きく健康に育ちます。会
社の健康度合は貸借対照表の自己資本を見れば分かります。自
己資本とは資本金と累積利益の合計です。自己資本が多ければ
多いほど体力があります。資本金が1円で生まれてくる会社も
あれば1億円の会社もあります。生まれながらにして会社の基
礎体力は違いますが、利益という栄養素を与えることで体力は
強化できます。

全ての経営者が会社を大きく健康に育てたいと考えているはず
ですが、実際には最低限の利益しか会社に与えない経営者も多
くおられます。理由のひとつとして利益は税金との交換でしか
手に入らないためです。本当は利益を出せるのに税金を払いた
くないというメンタルが利益を最小限にとどめてしまいます。

頑張って稼いだ利益が納税で半分近く減ってしまう喪失感は言
葉に出来ません。利益をあげようという意欲を失うのも理解で
きます。しかし、かけがえのない会社のことを思うならば、税
金を払いたくないという思いよりも、大切な会社に利益を与え
られる喜びを重視してはいかがでしょうか。

稲盛和夫先生も「稲盛和夫経営講演選集 第3巻 成長発展の
経営戦略」の中で、京セラが高収益企業になった理由のひとつ
として次のようにおっしゃっておられます。

300万円の税引前利益が出て、そこから半分税金がとられる。
私もそれが惜しいと思い、「国というのは、時代劇に出てくる
悪代官みたいなものだ。みんなが怒るのも無理はない。われわ
れ庶民を痛めつけて税金をむしりとる。けしからん」と憤った
ぐらいです。ですから、税金をとられるのはもったいないので、
ごまかして脱税しようと考える人も出てきます。

あるいは、「汗水たらしてがんばったのに、何の手伝いもして
くれなかった国に150万円もとられるぐらいなら自分で使っ
てしまおう。300万円も利益が出たから半分とられる。だっ
たら、利益を減らせばよい。それだけの余裕があるのだから使
ってしまおう。交際費で使うとか、従業員に臨時ボーナスでも
出して、自分も経営者として少しもらう。山分けをして利益を
減らそう」と考えるわけです。

この場合、最初の魂胆は、とられる税金が惜しいので、それを
減らそうという発想だったのですが、それは期せずして低収益
を望んでいることになるわけです。本当は、税金がけしからん
から、税金から逃げようとしているだけで、決して低収益を望
んでいるわけではありません。しかし結果として、そのメンタ
リティが、自分から望んで「低収益のほうが結構だ」という考
えに結びついているわけです。

私は借金を返そうと思ったものですから、脱税しようともしな
かったし、山分けをしようとも思わなかったのです。さらに収
益性をあげて、10%の売上利益率だったものを、20%にし
よう。そうして税引後に300万円残るようにしよう。そうす
れば三年間で借金が返せるではないかと、素朴にそう考えたの
です。

そのときは「高収益を目指そう」とは思っていませんでしたが、
とにかく、税金も全部払った残りが300万円必要だと思った
からこそ、自然に「高収益」企業へと舵をとったわけです。つ
まり、「借金を返すためには、高収益でなければならない」と
自分なりに考えたことが高収益企業への始まりだったのです。