本年5月に公開された上記の白書の概要について、抜粋して引
用いたします。詳細は以下を確認してください。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/2024gaiyou.pdf
『事業者が直面している課題として、売上高が感染症による落
ち込みから回復し、企業の人手不足が深刻化していることが挙
げられる。今後の展望として、就業者数の増加が見込めない中
で、日本の国際競争力を維持するためには、省力化投資や単価
の引上げを通じて、中小企業の生産性を向上させていくことが
期待される。』
(中小企業白書)
成長する中小企業の行動を分析すると、企業の成長には、人へ
の投資、設備投資、M&A、研究開発投資といった投資行動が
有効である。また、成長投資に伴う資金調達手段の検討も必要
である。
(小規模企業白書)
小規模事業者は、中小企業と比べ厳しい経営環境にある中で、
コストを把握した適正な価格の設定や、顧客ターゲットの明確
化に取り組むことで、売上高の増加につながることが期待でき
るほか、支援機関の活用も効果的である。また、新たな担い手
の参入も生産性向上の効果が期待できる。
◆人手不足
・売上高が感染症の落ち込みから回復する中で、人手不足が深
刻化。
・これまでは、生産年齢人口の減少を補う形で女性・高齢者の
就業が進んできたが、足下は就業者数の増加が頭打ちとなり、
人材の供給制約に直面。
◆雇用者一人当たり労働時間の減少と人手確保のための取組
・時間外労働の上限規制に伴い、雇用者一人当たり労働時間の
減少が労働投入量を下押ししている。
・人材を十分に確保できている企業では、働きやすい職場環境・
制度の整備が進んでいる。
◆人材確保・育成
・人材の確保に向けては、経営戦略と一体化した人材戦略を策
定した上で、職場環境の整備に取り組むことが重要。
・人材育成は、人材の定着や労働生産性の向上にもつながるこ
とが期待される。
◆賃上げ
・物価に見合った賃金の引上げを通じて、需要の拡大につなげ
る好循環を実現することが重要。
・春闘の賃上げ率・最低賃金の改定率は過去最高水準。一方で、
人材確保の必要性や物価動向を背景に、賃上げの原資となる業
績の改善が見られない中で、賃上げを行う企業が増加。
◆省力化投資
・人手不足への対応策として、採用等の人材確保に加えて省力
化に向けた設備投資も必要であるが、規模の小さな企業ほど省
力化投資が進んでおらず、省力化の取組余地が大きい。
・また、省力化投資は人手不足緩和だけでなく売上高増加にも
つながることが期待される。
◆生産性
・日本の経済成長は海外と比べ見劣りする中で、今後は就業者
数の減少が本格化する。
・国際的に見ても日本の生産性は低く、日本の国際競争力を維
持するためには中小企業の生産性の引上げが必要。
◆生産性の分子・付加価値の向上に向けて
・生産性向上に向けて、日本企業は低コスト化・数量確保の取
組を続けてきた。この結果、売上高や利益率は大企業が増加す
る一方、中小企業は発注側の売上減価低減の動きの中で低迷。
・今後は低コスト化・数量増加以上に、単価の引上げによる生
産性の向上も追及する必要がある。
◆価格転嫁
・賃上げ原資の確保に向けては、価格転嫁の促進が重要。価格
交渉が可能な取引環境が醸成されつつあるが、コスト増加分を
十分に転嫁できておらず、転嫁率向上のための取組強化が課題。
・十分な価格転嫁のためには、適切な価格交渉が重要。 転嫁に
関する協議の実施とともに、商品・製品の原価構成を把握して
交渉を進めることが有効。
◆パートナーシップ構築宣言と取引の実態
・パートナーシップ構築宣言企業は非宣言企業と比べて、より
多くの発注先と価格協議を行っており、価格転嫁にもより高い
水準で応じている傾向にある。
・ただし、 協議に十分に応じていない企業も一定数存在するた
め、宣言の実効性向上のための取組も重要。
◆事業承継
・足下では経営者年齢の分布が平準化しつつあるものの、半数
近くの中小企業で後継者が不在。
・一方、後継者が決まっている中小企業においても、承継の課
題を抱えている企業が見られる。
◆経営改善・再生支援
・感染症の感染拡大以降、経営改善・再生支援のニーズが高ま
っている。
・金融機関の経営支援により、財務内容の改善等の効果が期待
できる。経営改善・再生支援の効果を高めるためには、関係機
関が一丸となって経営改善・再生支援に取り組むことが求めら
れる。
詳細は以下を確認してください。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/2024gaiyou.pdf