2021年3月頃から輸入木材の価格が高騰しています。ウッドシ
ョックと呼ばれていますが、同様に鋼材の価格も高騰するアイ
アンショックも懸念されています。特に鋼材の値上げ幅は10%
以上とも言われており、鋼材を原材料とする企業は対策に追わ
れている状況です。

原材料の価格高騰は、販売価格に転嫁するのが基本ですが、販
売先との関係上、上昇分の100%を転嫁するのは困難なケース
が多いようです。従いまして、木材や鋼材を主な原料とする事
業者におかれましては、減益を覚悟しなくてはならない状況で
す。

減益によりキャッシュフローが悪化すれば、資金調達を行って
キャッシュフローを改善する必要があります。2008年に原油
価格が高騰した際、原材料価格高騰対応等緊急保証という融資
制度が発表されました。今回も同様の制度が発表されるか分か
りませんが、発表された際には利用できるよう、アンテナを張
っておきましょう。

現時点で活用できそうな制度は日本政策金融公庫の「経営環境
変化対応資金(セーフティネット貸付)」です。原材料の高騰
を直接的にサポートする制度ではありませんが、経営環境の変
化により業績が悪化した場合に利用できる制度です。

・ご利用いただける方
社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい
支障を来している方または来すおそれのある方等

・融資限度額
4,800万円

・返済期間
設備資金 15年以内
運転資金 8年以内

制度の詳細は下記URLからご確認願います。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html

深刻な原材料高が起きています。まずは価格転嫁、効率化によ
る原価率の改善、固定費の削減を行い、新たな資金調達の準備
も始めましょう。

前回号の続きです。

■着眼点20:画像や紙の媒体から動画(音声)媒体への急激
なパラダイムシフトへの対応を!

画像や紙の媒体から動画(音声)媒体への急激なパラダイムシ
フトが始まっています。ホームページ・ブログやツイッターが
ユーチューブに、紙のカタログが動画のカタログに、書籍がリ
スニングブックに、社員やアルバイトの採用告知がホームペー
ジ上の画像から動画の案内に、教育用のマニュアルが紙から動
画に、ライブの教育セミナーがオンラインセミナーに…急激に
変わり始めています。

画像や紙の情報に比べて、動画の情報はその情報量が圧倒的に
勝ることは以前からわかっていましたが、近年これを実現する
ためのインフラが整備されたことが主な理由です。
※動画を作る仕事の需要が急増しています。

●あるメーカーは、毎年更新している商品カタログに加えて動
画を付加しました。商品のコンセプトや主力商品の特徴などを
動画に仕上げて、カタログと共に顧客に提供しています。カタ
ログだけでは十分伝えきれなかった商品の良さを、短い動画の
ダイジェスト版で広報できています。カタログ+動画、この組
み合わせがお勧めです。

●某飲食企業は、新規のアルバイト向けの導入教育用動画を制
作しました。それまでアルバイトの教育は都度店長が対面で行
っていましたが、動画を準備したことで、アルバイトの導入教
育の80%が自動化できたそうです。アルバイトの導入訓練に費
やしていた店長の実働時間を大きく削減できているようです。

※参考:動画の進化版であるVRの現時点の主要なマーケットは
教育分野です。ウォルマート・ケンタッキーフライドチキン
(KFC)、東日本旅客鉄道(JR東日本)等が実際に活用してい
ます。コスト削減になる、リアルな体験感を得られること等が
そのメリットと言われています。VRではなく、普通の動画でも
十分有益ですのでご検討ください。

※参考:『VR・バーチャル・リアリティ(英: virtual reality)
とは、現物・実物(オリジナル)ではないが機能としての本質
は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激
することにより理工学的に作り出す技術およびその体系。略語
としてVRとも。日本語では「人工現実感」あるいは「仮想現実」
と訳される(#「仮想現実」という訳語について)。古くは小
説や絵画、演劇やテレビなども、程度の差こそあれVRとしての
機能を有している。』〔出典:ウィキペディア(Wikipedia)〕

◆半数以上の人が、買い物前に動画を探す!
Criteo社HPから引用させていただきました。
https://www.criteo.com/jp/company/
『Criteoが予測したとおり、2018年は動画広告市場が驚くべき
成長を遂げ、今や動画広告は最もエンゲージメント効果の高い
マーケティングフォーマットとなっています。その背景として、
スマートフォンで動画を視聴する習慣が国や地域、世代を超え
て一気に定着しつつあることが挙げられます。Googleの調査で
は、「買い物の前に動画を探す」と回答した人は全体の50%超。
YouTubeで商品やサービスの使い方を説明する、いわゆる「ハ
ウツー動画」の検索数は前年比70%も増えていることが明らか
になりました。ちなみに、ハウツー動画で特に人気の高い分野
は、日曜大工(DIY)、美容、そして料理でした。さらにGoogle
は、約53%のスマホユーザが、サイトやアプリにハウツー動画
を用意している企業に対して「好感が持てる」と回答したとい
う調査結果も明らかにしています。』

…次回につづく

コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの企業様がダメー
ジを受けました。コロナ融資により、何とか経営を維持できて
いる企業様も多いと思いますが、コロナ融資の返済が始まると
資金繰りが一気に悪化する可能性があります。

業績が戻っていなければ、新たな借入でコロナ融資の返済をカ
バーしなくてはなりませんが、直近2期が連続赤字、場合によ
っては債務超過に陥っていると、新たな資金調達は非常に難し
くなります。

このようなケースで検討したいのは、日本政策金融公庫の新型
コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コ
ロナ対策資本性劣後ローン)です。

資本的劣後ローンとは長期一括返済型の借入です。種々の要件
がありますが、実際は負債であるにも関わらず、金融庁はこの
借入を実質自己資本とみなしても良いとしています。企業側に
とっても、長期間返済義務の無い資金が入ることで経営が安定
するうえ、財務内容が改善されます。

■新型コロナ対策資本性劣後ローンの概要

制度名   :新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強
化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)
利用限度  :7,200万円(別枠)
利率    :決算の業績に応じて2区分の利率が適用
(0.5%から2.95%)
融資期間  :5年1カ月以上20年以内
返済方法  :期限一括返済(利息は毎月払)
担保・保証人:無担保・無保証人

利用のポイントは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた
ものの業績の回復が見られること、本件借入により債務超過が
解消し、民間金融機関から新たな資金調達が見込まれること等
が考えられます。

民間金融機関を巻き込んだ事業計画書の策定など、ハードルの
高い借入になりますが、挑戦してみたいと考える企業様は、
是非、ご相談ください。

前回号の続きです。

■着眼点19:

自社の広報媒体(主に動画)と自社のコミュニティーの構築を!

●昔は、DMやチラシを主な告知媒体として使っていました。

店舗ビジネスでは、これらを使って来店を促し、ポイントカー
ドを配布して固定客化を狙っていました。昔々の販促・固定客
化の王道です。時に固定客限定のイベント等を行っていました。

●今は、ホームページや文章・画像を使ったSNSを活用しなが
ら、自社の告知を行っています。また、ネット販売は、大手販
売プラットフォームに出店して行っています。自社独自で顧客
にリーチしにくいからです。

●今後は、各社が自社の広報媒体(主に動画)を持ち情報配信
を行うことで、直接顧客にアプローチするようになります。さ
らに、各社が自社のコミュニティー(自社のビジネスオンライ
ンサロン=ファンクラブ)を運営するようになります。ネット
販売においても、自社が直接顧客に販売するようになり(D2C
モデル)、大手のプラットフォーマー(B2B2Cモデル)を経由
して販売する比率が下がります。

情報配信力とITリテラシーの高い企業は、エンドユーザーを囲
い込み、自社の商品やサービスを直接販売するようになります。

代理店や、ネット上での大手のプラットフォーマーをも中抜き
できる社会構造がついに出来上がりました。

◎エンドユーザーがスマホという極めて高機能な情報受信媒体
を標準装備しています。また、発信者から受信者(エンドユー
ザー)へ届けるためのインフラも完璧に整備されました。
このような環境に今我々は遭遇しています。この環境に適合す
るのか無視するのか?10年後の未来が大きく変わります。

◆我々が取り組むべきことは以下です。

1.尖った商品やサービスを開発する。

2.自社の情報配信チャンネル(動画を使った自社TVのような
もの※ユーチューブが現実的です。)を整備して情報配信を始
める。

3.顧客及び顧客候補を囲い込む自社のビジネスオンラインサ
ロン(自社のファンクラブ)を開設して囲い込む。

是非ご検討ください。

…次回につづく

中小企業経営における再優先事項は「営業」や「マネージメン
ト」ですので、「税務」や「財務」について、深く意識する機
会は少ないと思います。

何となく一括りで語られることが多い「税務」と「財務」です
が、実は明確に違います。そして、自社に「財務」の機能が備
わっていないことを認識している企業は少ないと感じます。

弊所のホームページを見てご相談に来られた社長様の話です。

・現在決算作業中であるが、ある不動産の取引について、銀行
からの評価が下がる会計処理をされた。
・税理士さんに処理方法の変更を依頼したが「出来ない」と言
われた。
・「出来ないはずはない」と感じたため、複数の知人を頼って
知恵をもらったところ、可能な処理であることが分かった。
・税理士さんにその結果をお伝えしたらようやく変更してもら
えた。
・税理士さんはプロだと思って任せているが、なぜこのような
ことを会社側が気にしなくてはならないのか?本来は税理士
さんの方から提案してくるべきことではないのか?

当事務所にご相談に来られる社長様が必ず口にされるセリフは、
「今の税理士さんは少しも〇〇なアドバイスをくれない。」と
いうものです。〇〇に入る内容は概ね財務に関することですが、
当事務所では、「先生は何も間違っていませんよ。」といつも
お答えしています。

税理士さんは、その名の通り税務のプロであり、今回の処理も
税務上は全く正しい処理です。社長様が、税理士さんに税務面
だけでなく、財務面もコンサルティングして欲しいと依頼して
いるならば別ですが、そうでなければ税理士さんはしっかりと
責務を果たしています。問題は、税理士さんに依頼しているの
は税務面のアドバイスであるにも関わらず、財務面も任せてい
ると会社側が錯覚してしまっていることです。

先述の社長様は鋭い感覚をお持ちでしたので、結果的に財務目
線でも評価される決算処理を行うことができましたが、一般的
には、財務面も見てもらっていると思い込み、税務上は問題な
いが、融資判定で不利になるような決算書を金融機関に提出し
ているケースもあると感じます。

先述の社長様から、「税務と財務の違いは理解できたが、会社
側に財務の知識もないのに今後はどのように対処すべきか?」
とご質問がありました。

中堅企業以上には財務部長がいます。しかし、中小企業で財務
に明るい人材を置いている企業は殆どありません。まさに、社
長様のご質問こそが中小企業が抱える大きな課題です。

弊所では、税務だけでなく、財務の目線で中小企業経営をサポ
ートする「財務部長の代行サービス」をご用意しています。

是非、ご相談ください。

前回号の続きです。

■着眼点18:クラウドソーシングを活用して事業を運営する!
正社員を減らす、雇用しない経営!

●フリーランス(個人事業者等)を業務委託先として活用する
インフラが整ってきました。

以下、当該事業の代表格のランサーズ株式会社様HPから引用
させていただきます。
https://www.lancers.co.jp/

『クラウドソーシング(crowdsourcing)とは、仕事を依頼し
たい企業と仕事を受けたい個人をオンライン上でマッチングす
るウェブサービスです。企業がアウトソーシングをする際に抱
える「予算が限られているので外注コストを抑えたい」「納期
が短く依頼できる外注先がない」「人を介してのやりとりだと
納品物の品質が心配」といった悩みを、企業と実績・スキルの
ある個人を直接つなぐことで解消できるのが、クラウドソーシ
ングのメリットです。

Web制作やデザイン、ライティング、システム開発などの専門
スキルの必要な仕事だけでなく、群衆(crowd)に業務委託
(sourcing)するという語源が指すように、データ入力などの
大量単純作業を不特定多数の人々に依頼することでハイスピー
ドに完了することができるため、大企業からスタートアップ企
業まで幅広い活用が広がってきています。

一方、受注者側としても、専門スキルを活かして直接企業から
発注をうけることが可能となり、クラウドソーシングのみで生
計を立てる地方在住のフリーランスや、家事や育児の合間に在
宅ワークを行う主婦など、時間と場所にとらわれない新しい働
き方として注目されています。

クラウドソーシング「ランサーズ」は、日本初・日本最大級の
クラウドソーシングサービスです。実績とスキルのあるデザイ
ナー・エンジニア・ライターが多数登録しているため、安心し
てご利用いただけます。依頼したい仕事に合わせて、依頼方式
をコンペ・プロジェクト・タスク方式から選択でき、コンペ方
式で多くの提案を比較したり、プロジェクト方式で多数の見積
もりから検討することも可能です。是非、「ランサーズ」でク
ラウドソーシングを体験してみてください。』

◆多様な働き方が進むことは、同時に企業経営における多様性
も創出します。悪いことではありません。正規社員または非正
規社員という選択肢の中でのみ企業運営を行うのではなく、企
業の運営の在り方を抜本的に見直す選択肢の一つがフリーラン
スの活用です。

フリーランスは正社員と比して割高なのか?
フリーランスは正社員と比して信頼できないのか?
フリーランスは正社員と比して使い勝手が悪いのか?

これらの疑問に対して解を提供してくれるのが「ランサーズ」
の提供するサービスです。

フリーランスに直接発注…Lancers
厳選フリーランスを紹介…Lancers Pro
常駐ITフリーランスを紹介…Lancers Argent
ディレクターへ一括業務委託…Lancers Outsourcing
オンラインチームが業務代行…Lancers Assistant
社外人材活用ソリューション…Lancers Enterprise

◎経営者は、時短・働き方改革への対応策として、【正社員を
減らす、雇用しない経営】を考えるべきタイミングかも知れま
せん。

一方、働く人達は、容易ではありませんが【自分自身の価値観
と市場価値に合った生き方を求められる】ことになります。

◎クラウドソーシングは、今後の企業のマネージメントに、働
く人達の働き方に、新しいメッセージを投げかけているように
感じます。

…次回につづく

数百万円の資金を元手に行うビジネスより、数千万円の資金を
元手に行うビジネスの方が、より大きなリターンを得ることが
できます。思い切った資金調達を行い、事業を拡大できた飲食
店様の事例を紹介します。下記A社は、「もっと大きな店舗を
経営したい。当社は最大どれぐらいの資金調達が可能なのか?」
というご相談で来所されました。

会社名:A社(仮称)
事業内容:飲食店3店舗経営
営業年数:9年
資本金:300万円
直近売上高:6,400万円
経常利益:14万円
長期借入金:1,600万円
純資産:339万円

年商1,000万円のBARを2店舗、年商4,400万円の
レストランを1店舗運営していましたが、経常利益は14万円
と低い利益状況に苦しんでいました。社長様は、1,000万
円規模の小規模店舗では利益が稼げないため、BAR2店舗を
閉めて、出来るだけ大きな店舗を新たに1店舗出店したいと考
えていました。

決算状況を分析した結果、返済原資となる簡易キャッシュフロ
ーは102万円と弱含み、また、売上高の25%の借り入れが
既にあり、新規で調達を行うためには、事業計画書を丁寧に作
りこむ必要がありました。

早速事業計画書の作成に取り掛かった結果、社長様がイメージ
している年商5,000万円の店舗を出店するためには、
2,000万円の借入が必須であると判明しました。目標調達
額は2,000万円です。

A社の利益状況、財務状況から判断すると、2,000万円と
いう目標額は簡単な金額ではありません。1金融機関に相談し
ても、「金額が大きすぎる。」と断られる可能性がありました
ので、各金融機関の負担が軽くなる協調融資で調達することに
しました。日本政策金融公庫さんと地域の信金さんにお声かけ
し、3者で協議を行った結果、下記のとおり、満額の資金を獲
得することができました。

【資金調達内訳】
・日本政策金融公庫 1,000万円
・信金保証付融資 500万円
・信金プロパー融資 500万円

A社は、調達した資金で立地の良い場所に出店を行い、業績を
順調に軌道に乗せることができました。2店舗を閉めたにもか
かわらず、翌期の決算では売上高が1億円を超え、約700万
円の経常利益を計上しています。

前回号の続きです。

■着眼点17:
サブスクリプション(定額課金)商品・サービスの開発を!

●サービス提供側の視点でサブスクリプションモデル(定額課
金モデル)を検証してみましょう。

今までは多くの企業が、自社の商品やサービスを売切りで販売
してきました。企業側は売った時に対価を回収し、ビジネス上
は一旦検収を上げます。済です。もちろんアフターサービスや
メンテナンスサービスなどを行いますが、それらはあくまでも
別物です。
また、販売する商品やサービスの内容は確定しており、この確
定したそれらに対する対価として売上が立ちます。

一方買い手側は、買い取った商品やサービスを資産として保有
し、利用しながら償却していきます。途中で不要になってもや
めにくい、放棄しにくい構造です。

サブスクリプションモデル(定額課金モデル)は、売切りでは
なく月額定額制で商品やサービス等々を提供するビジネスの型
です。提供側からすると、うまく行けば長期間継続的に売上が
立ち、経営が安定します。利用する側は、いやなら簡単にやめ
られるメリットがあります。

◆売り切り(買い取り)からサブスクリプションモデル(定額
課金モデル)への移行が進んでいます。自社の商品やサービス
も、売り切りからサブスクリプションモデル(定額課金モデル)
への転換を検討してみてはいかがでしょうか!

『…2018年度のサブスクリプション(定額)サービス国内市
場規模(8市場計)はエンドユーザー(消費者)支払額ベース
で、5,627億3,600万円であった。サブスクリプション(subsc
ription)は元来、新聞などの定期購読を意味する英語であるが、
サブスクリプションサービスとは会員制・定額制サービスにお
ける「定期的に利用料等を徴収する販売方式」を意味する。

サブスクリプションサービス普及の背景には、ECサイトが流
通チャネルの一つとして成長するなか、顧客(ユーザー)の購
入履歴が利活用されるようになったことがある。ECサイト利
用時のレコメンド(推奨)機能など、顧客情報や閲覧・購入履
歴等を利用することで、顧客の潜在需要を顕在化させ、定期購
入などの消費を促すといった施策を提供する事業者が増えたこ
とがサービス普及の一因である。

また、消費者のモノの所有から利用へと消費行動が変化するな
かで、シェアリングサービスの普及もあるものとみる。こうし
たなかで、定額でモノやサービスを利用できるサブスクリプシ
ョンサービスへの需要の高まりもあるものと考える。
…2023年度のサブスクリプション(定額)サービス国内市場
規模(8市場計)はエンドユーザー(消費者)支払額ベースで
8,623億5,000万円を予測する。国内は少子高齢化の進展など
から、多くの市場において成長率が鈍化してきており、当該市
場分野においては新規需要や販路の開拓が課題となっている。
なかでもサブスクリプションサービスを先行していたアパレル
分野は所有からサービス利用へといった消費者動向を踏まえ、
主要企業においてはこうした需要の開拓に成功している。また、
自社製品やサービスをサブスクリプションサービスに活用しよ
うとする企業の追随する動きもみられる。こうした動きはアパ
レル分野以外でも想定されることから、今後もサブスクリプシ
ョンサービス市場は好調に推移するものと考える。…』

【(2018年株式会社矢野経済研究所:サブスクリプションサー
ビス市場に関する調査)】から公開情報を抜粋して引用させて
いただきます。

…次回につづく

新型コロナウィルス感染症による経済への影響が続いています。
じりじりと資金繰りが厳しくなり、借入金の返済負担が大きい
と感じる企業様も多いと感じます。

借入は将来の利益を先んじて現金化していると言えます。予想
通りに利益が出るならば、てこの原理で効率よく資金を膨らま
せることができます。しかし、一度赤字に転落してしまうと、
逆にその返済負担が資金繰りを大きく圧迫します。

資金繰りが厳しいと感じた時、第一に取る行動は新たな資金調
達です。新たな資金調達ができなかった場合、もしくは資金調
達が十分でない場合は、借入の返済を止めてもらうこと(リス
ケ)を検討しなくてはなりません。

リスケの決断は簡単ではありませんが、決断が遅れると命取り
になります。まずは固定費の削減努力をしたうえで、それでも
1年以内に資金が枯渇する恐れがあるならば、余裕があるうち
にリスケを決断してください。

余裕を持ってリスケをした結果、資金繰り悪化が杞憂に終わっ
たとしても、杞憂だったと分かった時点で返済を開始すればよ
いだけです。新たな資金調達も可能になります。もし杞憂に終
わらなかった場合、リスケを決断した時には、既に資金が枯渇
している可能性が高いです。そのような状態でリスケをしたと
ころで、原状回復費すら用意できず、家賃を下げることもでき
ません。

「資金が十分にある状態ではリスケに応じてもらえないのでは
?」と思うかもしれませんが、経験上そのようなことはありま
せん。確かに、金融機関は手持ち資金が多いとリスケを渋る傾
向にあります。しかし、資金繰り計画表を作成して、近い将来
に資金が枯渇する恐れがあることを説明し、納得していただけ
れば応じてもらえます。

先行きはまだまだ不透明です。1年以内に資金がショートする
恐れがある企業様は早めにご相談ください。

前回号の続きです。

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。ビジ
ネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいときの着
眼点を整理いたします。
■着眼点15:家庭に眠っているブランドバッグを借り受けて、
月額定額制(サブスクリプション)で第三者に貸し出すサービ
ス!
https://laxus.co/

●所有に対するこだわりが薄れ、必要なものを必要な時にのみ
借りて使う、手元にあるものが自分の所有物である必要はない、
と考える消費者が増えているようです。特に高額なハイブラン
ド商品などは買えない、所有できないが使ってみたいと思う潜
在ニーズがあったのでしょう。

一方、使い飽きたブランド品をタンスの肥やしとして眠らせて
いる所有者がいて、この眠っているブランド品を貸し出しても
よいと考える人もたくさんおられるようです。

ラクサス様は上記のニーズをマッチングさせることに成功しま
した。貸し出したい人から借り受けて、商品の補修・整備を行
い、借りたい人に貸し出します。貸出期間中は所有者に対して
貸出料を支払います。借りる人は月額定額制で必要なバッグを
借り続けることができます。
■着眼点16:契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫・
空き地・商業施設などの空きスペースを開拓して、時間貸しす
るサービス!
https://akippa.co.jp/

●月極駐車場や個人宅の車庫・空き地・商業施設などの空きス
ペースは相当数存在します。これらの空きスペースのオーナー
が、決められた日時、時間に限定して利用希望者に駐車場とし
て貸し出します。この貸し手と借り手をマッチングさせるプラ
ットフォーマーがakippa株式会社様です。ITとスマホの普及で、
アナログでは到底対応できないきめ細やかなマッチングが可能
になりました。
◆シェアリングエコノミーがどんどん世の中を変えています。
自社流のシェアリングエコノミーを創造したいものです。

以下、シェアリングエコノミーに関する中小企業庁のレポート
を掲載します。その定義も含めてご確認ください。

◆シェアリングエコノミーの認知度と活用に向けた課題

『…近年、スマートフォンの普及等ITの利活用環境の変化に伴
い、シェアリングエコノミーが登場し、我が国経済の仕組みを
変えつつある。シェアリングエコノミーについては、様々な分
野で新たなサービスが開発されており、現時点で一義的に定義
を行うことは困難であるが、本項では「個人等が保有する活用
可能な資産等をインターネット上のマッチングプラットフォー
ムを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動」とし
て捉えることとする。資産の提供者である貸主は個人のことが
多いが、法人が貸主となることもあり、遊休資産の活用による
収入を得ることができる。他方、借主は所有することなく利用
ができることから既存のサービスと比較して利用コストを低く
抑えることができるというメリットがある。将来的には「所有
から利用へ」という発想転換が進み、新ビジネスが多数参画し
産業の新陳代謝が促進される可能性がある。代表的なサービス
としては、他人が所有する空き部屋や不動産を利用希望者に提
供する民泊サービス、個人の所有するモノを他人が利用するサ
ービス、個人の専門的なスキルを空き時間に提供するサービス
等が挙げられる…』(出所:中小企業庁)

…次回につづく