2023年10月からインボイス制度が導入されました。
経営者は、この制度が経営に与える影響を見逃してはなりませ
ん。しっかりと対策を練り、経営の持続性を確保することが求
められます。

インボイス制度により、多くの中小企業が消費税の負担が増加
する可能性が高まります。経営環境の変化に上手に適応するた
め、次の対策を講じてはいかがでしょうか。

1.キャッシュフローの管理
インボイス制度により、支出が増加する可能性が高まります。
従って、キャッシュフローの管理がより重要となります。支払
いタイミングを計画的に設定し、資金繰りに余裕を持たせる工
夫が求められます。

2.事務プロセスの効率化
インボイス制度に伴い、税負担だけでなく、事務負担が大きく
増加する可能性があります。中小企業は事務リソースに限りが
あるため、この増加する事務負担は重要な懸念材料です。業務
プロセスの効率化やデジタル化により、事務負担を軽減する対
策を検討しましょう。

3.資金調達戦略の見直し
税負担、事務負担の増加に対処するため、資金調達の方法を再
検討することが不可欠です。出来るだけ借入をせずにギリギリ
で資金繰りを回している場合等は、資金調達戦略を見直し、余
裕資金の確保を検討しましょう。

4.より収益性の高いビジネスモデルへの転換
インボイス制度の導入に伴い、ビジネスモデルの再評価も必要
です。より収益性の高いビジネスモデルへの転換を考えましょ
う。新たな収益源の開発や顧客層の拡大など、収益性を向上さ
せる施策を検討し、ビジネスをより持続可能なものにしましょ
う。

インボイス制度の導入は、中小企業経営にとっての新たな試練
とも言えます。しかし、適切な対策を講じ、柔軟に対応するこ
とで、経営の持続性を高め、新たなビジネスチャンスを見つけ
ることも可能です。自社の状況をよく理解し、適切なアクショ
ンを起こしましょう。税負担と事務負担の増加に対する戦略的
な対策が、中小企業経営の成功につながります。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

…前回号のつづきです。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。前回
に続いて、一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み13:
「売上が安定しない。いつも不安がつきまとう。」
創業当初から順調に業績を伸ばされ、初年度から2億円近い売
上(税引き前利益は700万円超です。)を計上された社長様
からのご相談です。順調な立ち上がりですが、300万円の資
本金と、創業融資700万円、売上の割には小資本です。

◇「再来月の売上が読めない。万が一、売上が急激に減少すれ
ば倒産するのではないか?日々不安だ。」とおっしゃっておら
れます。

・売掛金の回収サイトを、買掛金の支払いサイトよりも早く設
定することで、増加の運転資金を伴わない成長を実現されてい
ます。
・月末の現預金残高は多いように見えますが、月中は極小にな
っています。不安なはずです。

○近未来の資金繰りシミュレーションを当事務所で実施しまし
た。
※この「近未来の資金繰りシミュレーション」については、随
時対応させていただきます。ご相談ください。社長様の安心材
料になります。または、問題点が確認できます。

・最悪な状況、売上高が前年比で通年20%ダウン(社長様コ
メント)した時の近未来の資金繰り状況は?
〈結果〉赤字転落しますが、一年以内に資金繰りが切れること
はない。

・粗利益率が2%上がった(当事務所提示)時の資金繰り状況
は?
〈結果〉社長様の想定以上に資金繰り・利益が増えることの気
付き。

・当事務所より、資金調達計画を提示して、即刻資金調達でき
る(可能性大)旨を伝えて、この資金調達計画を資金繰り計画
に織り込みます。
〈結果〉社長様の不安の払しょくと、成長への確信を持ってい
ただけました。

・新規の雇用計画、固定費増を織り込んで、近未来の資金繰り
計画を立案しました。
〈結果〉売上10%増、粗利益率2%増、固定費1,000万
円増…、資金調達3,000万円

○資金調達と継続的なフォローが重要です。
・上記計画に対する進捗管理を毎月行います。計画にずれがあ
れば、都度社長様と対応を協議します。
・必要な資金調達に関しては、当事務所が窓口になって適時行
います。
・資金のダムを作って、そのダムの高さを維持し続けています。
常に、月商の数か月分の資金を有しています。
・トラブルで、受注が一定期間滞った期間がありましたが、資
金余力があったために、慌てずに対応することができました。

◎当事務所は、上記の様なサービスをご提供できます。税務に
付加して、金融機関対応を含む財務の機能を提供する「資金繰
り円滑化サービス=財務部長の代行業務」です。貴社も是非導
入してください。
◆お悩み14:
「資金繰りに時間が取られる。いつも気を使っている。」
余裕資金をほとんど持ち合わせていないために、月中の資金繰
りを行っておられます。10日の入金を15日の支払いに…、
日々の資金残高を気にしながらやりくりされておられます。

◇当事務所で診断した結果、借入れ余力は十分にあります。

○借入れ余力があるにもかかわらず、手持ち資金を極小にして、
その結果資金繰りに時間と神経を使っておられる社長様は少な
くありません。

・借入れに対する過度の嫌悪感がそうさせているのでしょうか?
・資金繰りを行うことも社長の仕事だと考えておられるのでし
ょうか?
・金利のコストが、社長の手間暇、社長が神経をすり減らすこ
とより高いと考えておられるのでしょうか?
・何かが起これば、最悪倒産の危機を迎えます。このリスクを
どう回避するのでしょうか?

◎月商の2か月分程度の資金を、通年を通して持ち続ける資金
計画を作成し、運転資金の調達、継続管理、借換えの継続実施
を当事務所が行っています。今では、「常に資金繰りを気にし
ながら生きてきた…早くこうすべきだった。」(社長様)とお
っしゃっておられます。 税務に付加して、金融機関対応を含む
財務の機能を提供する「資金繰り円滑化サービス=財務部長の
代行業務」です。貴社も是非導入してください。

中小企業経営者にとって、社員を増やすか、外注を増やすかと
いう選択は重要な意思決定です。どちらの選択肢もメリットと
デメリットを伴います。経営と財務の視点からそれぞれの側面
を整理します。

■ 社員を増やす場合のメリット

1.内部コントロール強化:
社内での業務を増やすことで、品質管理やセキュリティ管理な
どの内部コントロールを強化できます。これは特に、機密性が
高い情報を扱う業界において重要です。

2.専門知識の蓄積:
社員は長期的に雇用できるため、企業独自のノウハウや業界知
識を蓄積できます。これは競争優位性を築くために有益です。

3.コミュニケーションの円滑化:
同じオフィス内で働く社員同士は、コミュニケーションが取り
やすく、情報共有が効率的です。これは問題の早期発見や解決
に寄与します。

■ 社員を増やす場合のデメリット

1.人件費の増加:
社員を雇用すると、給与や福利厚生費、研修費用などの人件費
が増加します。これは財務への負担となります。

2.リスクの増加:
不景気や市場の変動に対するリスクを負うことになります。採
用コストをかけた社員を維持するため、業績の波に敏感になり
ます。

■ 外注を増やす場合のメリット

1.コスト削減:
外注業者に仕事を委託することで、人件費や設備投資などのコ
ストを削減できます。適切な外注業者を選択すれば、生産性を
向上させることが可能です。

2.柔軟性の確保:
外注契約はプロジェクトごとに調整でき、需要に応じてリソー
スを迅速に増減できます。これは市場変動に対する柔軟性を確
保するのに役立ちます。

3.リスク分散:
外注業者が特定の業務に関するリスクを負う場合、企業自体の
リスクを分散できます。また、外部の専門知識を活用できます。

■ 外注を増やす場合のデメリット

1.品質管理の難しさ:
外注業者の品質管理が困難な場合、製品やサービスの品質に問
題が生じる可能性があります。品質保証が難しい業務には向か
ない場合もあります。

2.情報セキュリティの懸念:
外部の業者に機密情報を提供する際、情報セキュリティのリス
クが発生する可能性があります。十分なセキュリティ対策が必
要です。

3.コミュニケーションの制約:
外部の業者とのコミュニケーションは、社内のチームと比べる
と制約があり、文化の相違等がコミュニケーションに影響を及
ぼすことがあります。

中小企業経営者が、社員を増やすか外注を増やすかの選択をす
る際に、考慮すべきポイントをまとめます。

1.戦略的なアプローチ:
経営戦略に基づいて社員と外注の比率を検討します。成長段階
や業界の特性に応じて、どちらが最適かを明確にします。

2.コスト対効果の評価:
コスト面で社員と外注を比較し、どちらが財務に有利かを計算
します。コスト削減だけでなく、品質、スピード、柔軟性など
の要素も評価に含めます。

3.リスク管理:
どちらの選択肢が事業のリスクを最小化できるかを検討します。
リスク分散策やリスクヘッジを検討し、事業の安定性を確保し
ましょう。

4.専門知識の活用:
外注を利用する場合、優れた専門知識を持つ業者を選択するこ
とが重要です。外部の専門家の知識を活用することで、競争力
を高められるかを検討しましょう。

5.柔軟性とスケーラビリティ:
事業環境が変化することを考慮し、柔軟性とスケーラビリティ
を確保します。需要の急増や減少に迅速に対応できる体制を整
えます。

最終的な選択は、中小企業の特性や状況に依存しますが、一部
の業務を外注し、中核業務は社内で行うハイブリッドアプロー
チも有効です。経営者は長期的なビジョンと財務戦略に基づい
て、社員と外注のバランスを見つけることが成功の鍵と考えま
す。

…前回号のつづきです。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。前回
に続いて、一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み11:「新しい投資計画書を示しながら新規の融資を
打診したが、計画書の内容を確認するまでもなく、『融資は難
しいです。(銀行担当者)』」と言われた。

◇精魂込めて作り上げた投資計画書を確認してもらえない段階
で、融資を断られたことに納得がいかない様子の相談者様でし
たが…金融機関は、新規の融資を検討する時、まず、直近の決
算書(及び試算表)を確認します。この決算書と足元の推移が
健全であると判断した時に、新規融資の検討を開始します。健
全でなければ、新規融資の検討自体を行いません。

○直近の決算書(及び試算表)の確認方法は…

1.直近の決算書から簡易キャッシュフロー(税引き後利益+
減価償却費)を確認します。この簡易キャッシュフローの金額
が、現時点の実質借入総額の10分の1以上であることが最低
条件です。

2.債務超過でないことが必要です。

※1又は2が突出して優良な時、または、提供できる担保があ
る場合など、上記の限りではありません。上記はあくまでも簡
易的な診断です。実際には、突っ込んだ財務分析を行います。

○1と2を満たす時、現時点においては健全である…と判断さ
れて、新規融資の検討、投資計画書の確認を始めます。直近の
決算書の確認で融資できないとなれば、当然投資計画書の確認
は行いません。

◎当事務所にて、診断を行った結果、新規融資を受けられる可
能性は極めて低いことがわかりました。相談者様に対しては、
融資を受けられない理由、どうなれば融資を受けられるのかを
ご説明して納得いただきました。
◆お悩み12:「リスケジュールの交渉中だが、直近に借入れ
た銀行分だけは、返済額も少ないので返済を続けようと考えて
いたが、他の金融機関が強硬に反対してきた。ダメなのか?」

◇数カ月前に融資を受けたばかりの金融機関にリスケジュール
の相談をしたら、厳しい口調で叱責されたそうです。であるな
らば、その金融機関に対しては返済を続けて、他の金融機関に
はリスケジュールをお願いしようと他の金融機関に相談したら、
他の金融機関に断られた、との相談です。

○融資の借入れを行ってすぐに返済猶予を求めることは、そも
そも返済できないことがわかっていたのに借入れを行ったので
はないか、との疑念を生みます。返済できないことがわかって
いて借入れを起こす行為は、信義に反します。程度加減によっ
ては法律に違反する犯罪行為になります。新規借り入れ直後の
返済猶予は認められないケースがあります。

○金融機関に対して返済猶予などの金融支援を依頼する時は、
衡平でなければならないとするルール「衡平性の原則※」(=
すべての金融機関に対して衡平に金融支援を受ける。)が適用
されます。ある金融機関にのみ返済を続ける、このような例外
は原則成立しません。この場合は、返済猶予依頼先の金融機関
の同意が得られません。このままでは、すべての借入れに対し
てリスケジュールができません。※一部例外があります。

◎当事務所にて、状況の確認を行った結果、当該事象は、直近
借入後の予見不可能な緊急事態による急激な業績の悪化が原因
であり、借入れ時においては予見が難しかった旨を、対象金融
機関に丁寧に説明しました。一部担保(実質価値は小さい)を
追加で提供して了解を得ました。(これも厳密に言うと「衡平
性の原則」から外れますが。)借入先の全金融機関からリスケ
ジュールの承諾を得ることができました。
当事務所が、モニタリングを継続し、会社様のサポートと金融
機関への窓口業務を担っています。

…次回号に続く

中小企業が成長を遂げるためには、資金が必要です。やはり銀
行融資が一番目の選択肢であることは変わりませんが、最近で
は資金調達の方法が多様化しています。このコラムでは、中小
企業の資金調達の新たなトレンドとその利点について考察しま
す。

■ 銀行融資
多くの中小企業は、設立当初から銀行と取引が始まり、融資を
受けています。銀行融資は安定感があり、低金利での借り入れ
が可能です。しかし、審査が厳しいという難点もあります。

■ クラウドファンディング
近年、クラウドファンディングが中小企業にとって注目の資金
調達手段となっています。クラウドファンディングは、多くの
投資家から少額ずつ資金を調達する仕組みです。この方法の利
点は、多くの人々がプロジェクトやビジネスに投資しやすく、
資金を調達しやすい点にあります。また、プロジェクトへの資
金提供者とのコミュニケーションも容易で、市場での製品やサ
ービスの評判を築く機会を得ることができます。

■ ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタル(VC)は、急成長を遂げる新興企業向
けの資金調達方法として知られています。VCは、リスクを冒
し、成長が見込まれる企業に資金を提供します。中小企業がV
Cを活用する際には、成長戦略やビジョンを魅力的に提示する
ことが重要です。VCからの資金調達は、急速な拡大を実現す
るために利用されますが、出資に伴う株式の一部を譲渡する必
要があることに留意する必要があります。

■ アクセラレータ・プログラム
アクセラレータ・プログラムは、中小企業の成長を支援するた
めに提供される資金と専門知識の組み合わせです。これらのプ
ログラムは、特定の業界や市場に特化し、参加企業に対してビ
ジネスモデルの改善や市場進出の支援を行います。一般的には
一定の期間(通常3〜6か月)にわたり、参加企業には資金の
提供やメンターシップが提供されます。アクセラレータ・プロ
グラムは、成長段階の中小企業にとって新たな機会を開く手段
として注目されています。

■ 自己資金の活用
最後に、自己資金の活用について言及します。中小企業は、外
部からの調達も大切ですが、自己資金を最大限に活用すること
が最も重要です。利益を再投資することで、成長に必要な資金
を自己資金から得ることができます。これにより、負債を抑え
た経営を行うことができ、将来的な安定性が向上します。

中小企業の成長には資金が不可欠ですが、その資金調達方法は
銀行融資だけではありません。自社の状況やビジョンに合った
方法を選び、計画的に資金調達を進めることで、持続可能な成
長が実現できます。多様な資金調達オプションを検討し、ビジ
ネスの可能性を最大限に引き出しましょう。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

…前回号のつづきです。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。前回
に続いて、一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み9:
融資依頼を行ったら銀行の担当者に「役員報酬が少ない。」と
言われた。役員報酬が少ないと借入れが受けられないのか?
(相談者様)

◇融資依頼をするために決算書を提示した時に、出入りの銀行
の担当者が「役員報酬が少ないですね。」と言ったそうです。
併せて、新規の融資に難色を示されたので、相談者様は役員報
酬が少ないと借入れが受けられないのか?との疑問を持たれた
ようです。

○金融機関が新規の融資を検討する時には、まず現状の財務の
健全性を確認します。

簡易キャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)を確認し
ます。この簡易キャッシュフローの要素となる税引き後利益を
確認するために、販売管理費も確認します。この時、役員報酬
が過少であれば、本来はもっと役員報酬が必要となるため、税
引き後利益が少なくなるのではないか?と考えたと推測できま
す。金融機関が考える役員報酬額に置き換えた時、簡易キャッ
シュフローが極小であったため、新規融資に難色を示されたよ
うです。

○役員報酬の多い・少ないではなく、実態の税引き後利益がポ
イントです。

※融資審査時の財務診断は他にもあります。簡易キャッシュフ
ローの診断はほんの一部です。

◎当事務所にて、診断を行った結果、奥様の所得が給与に計上
されており、社長様の役員報酬は過少であっても、世帯所得は
常識の範囲内である、役員報酬額の是正(税引き後利益の減額
補正)は必要ない旨を、銀行担当者に説明することで、理解を
得ました。誤解を解きました。金融機関との折衝は、当事務所
が行いました。必要な金額の新規融資を調達できています。

◆お悩み10:
「雨が降ってきたから傘(お金)は貸さない、晴れている時は
傘(お金)を貸す」と言う。銀行とはどんなところだ?(憤り)

◇6か月前に融資を受けませんかとの提案をいただいたそうで
す。その時は断ったが、その後、主要な取引先との取引がなく
なって、業績が悪化して赤字に転落しています。(試算表ベー
スで大赤字です。)同じ銀行に融資依頼を行うも、「融資でき
ない(銀行担当者)」との回答だったそうです。

○金融機関は総じて、「雨が降っている時には傘を貸しません。
晴れたら傘を貸しに来ます。」金融機関にあるのはすべて「日
傘」ですから当然です。金融機関にある傘はすべて「日傘」で
あって「雨傘」ではないことを理解してください。金融機関対
応はこの趨勢を理解して行わないと本事案の様な間違えを起こ
します。

※「雨傘」は、国策としての制度融資や制度保証として時々貸
し出される例外です。

◎当事務所にて財務診断を行いましたが、足元の業績の悪化が
顕著で、新規借り入れの返済原資となるキャッシュフローの見
込みが立ちません。新規の借入れは無理です。

経営改善計画書を作成して既存借入れのリスケジュール(返済
金額0円)を即座に実行しました。資金繰りシミュレーション
を継続的に行いながら、資金ショートの回避と収支バランスの
改善に、財務部長として継続してご支援させていただいていま
す。

当事務所のサービス「資金繰り円滑化サービス(財務部長の代
行業務)」を導入いただいています。社長様の経営改善を資金
繰り・財務面で継続的にサポートできています。収支改善の目
途が付けばいち早く、資金調達にもチャレンジします。(この
時は、リスケジュールを同時に解消します。)

※本事案においても、6か月前に提案された融資を受けておれ
ば、経営改善のための手持ち資金に余裕が持てたはずです。本
事例については、是非記憶に留めてください。

…次回号に続く

中小企業においては、筆頭株主と代表者が同一であるケースが
大多数です。そのため、役員報酬について株主から異議を申し
立てられることは殆どありません。しかし、役員報酬の決定プ
ロセスは、中小企業においても公正さと透明性を持たせる必要
があります。なぜなら、金融機関や従業員等、重要なステーク
ホルダーの評価に晒されているからです。

■ 役員報酬決定の重要性

役員報酬は、以下の点において、中小企業においても非常に重
要な要素です。

1.モチベーションの維持:
役員報酬は、経営陣のモチベーションに直結します。適切な報
酬を提供することで、経営陣は会社の成功に向けて全力を尽く
すことが出来ます。

2.外部評価の向上:
役員報酬は外部からの評価にも影響します。金融機関や投資家
は、役員報酬の適正さを評価の指標として利用します。公正で
透明性のある報酬体系は信頼を築く要素となります。

■ 役員報酬の決定プロセス

公正で透明性のある役員報酬決定のプロセスには、以下の要素
が関与します。

1.業績評価:
役員の業績と貢献度は、役員報酬の決定において基本的な要素
です。会社の業績向上や個々の貢献度が高い場合、それに見合
った報酬が提供されます。

2.競争状況:
中小企業も競争が激しい環境にあります。魅力的な役員報酬を
提供しないと、トップの人材を引き付けることが難しくなりま
す。競合他社との比較も考慮されます。

3.業界標準:
同業他社や同規模の企業と比較して、業界の平均に合わせるこ
とが求められます。業界内で役員報酬が著しく低いと、優秀な
役員を維持するのが難しくなります。

中小企業においても、役員報酬の適正な決定は、経営者や役員
のモチベーションを維持し、会社の成長を促進します。筆頭株
主が経営者と同じである場合でも、透明性、公正性、リスク管
理を考慮しながら、バランスの取れた役員報酬体系を構築する
ことが大切です。

貴社の役員報酬はバランスの取れたものになっていますでしょ
うか。弊所では、税務目線に偏らないアドバイスに努めていま
す。ご相談ください。

…前回号のつづきです。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。前回
に続いて、一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み7:『創業融資依頼時点ですでに支払いを済ませた店
舗保証金分の領収書を提示したが、これでは自己資金の証明に
ならないと、公庫担当者に言われた。』(相談者様)

◇日本政策金融公庫の創業融資の要件の中に、自己資金を有す
ること「…創業時において創業資金総額の10分の1以上の自
己資金を確認できる方。」とする項目があります。

○ポイントは自己資金の出所の証明です。
・この資金は、確実に当該事業の資金として利用されること
・短期的な返済等を必要とする資金でないこと
・創業者が自分自身で蓄積した資金が好ましい
とされています。
※長期間に渡る計画的な貯蓄等は、創業者の堅実性の証明にも
なります。

○短期的に資金を借入れなどで調達し、それを自己資金と称し、
日本政策金融公庫から融資を受けた資金で返済する、このよう
なことにならないために確認されます。
・領収書は支払いの証明書であり、その資金の出所の証明には
なりません。
・求められているのは、出所の証明です。支払いの証明ではあ
りません。

◎当事務所にて、当該資金の出所のエビデンス、本案件の自己
資金は、親御さんからの支援が大半を占めており、その親御さ
んの銀行口座の残高の確認、その残高蓄積の経緯、その資金が
相談者様に移行したエビデンスを準備して公庫の融資依頼資料
として提示し、その詳細を説明することで、理解を得ました。
金融機関との折衝は、当事務所が行いました。必要な金額の創
業融資を調達できました。
※親御さんからの援助資金を自己資金とするとき、その資金の
エビデンスに当たる親御さんの預金通帳等の開示も求められま
す。

◆お悩み8:『信用保証協会の保証付き融資、新たな借入れを
依頼したら、「前回の借入れが資金使途違反に当たるので、新
たな保証は出来ないと保証協会に指摘された。前回融資分の完
済も依頼された。(銀行担当者)」』(相談者)

該当する融資の詳細を確認したところ、
・当該融資は設備投資資金
・借入金額と投資資金の金額は同額、問題なし
・借入れ日の前に当該資金を支払い済み、これが資金使途違
反に当たります。
※大変厳しいように感じますが、信用保証協会の保証付き設備
投資資金は、当該資金の入金後に、当該設備投資費用を支払う
必要があります。この順番が逆転した領収書で指摘を受けてい
ます。

○信用保証協会の保証付き設備投資資金は、その保証金額と投
資金額の整合性だけでなく、その支払い時期についても、厳格
なルールがあります。

○(参考)日本政策金融公庫の設備投資資金は、
・その金額が1,000万円以下の時は、決算書提出時に結果
をトレースされます。
・その金額が1,000万円超の時は、投資実行後にその結果
をトレースされます。
・支払日については、その期間の幅を認めてくれます。
※設備投資資金として調達した資金を、他の用途に利用するこ
とは出来ません。少なくとも、次回以降の融資が受けられませ
ん。本来は完済を求められます。

◎当事務所にて、支払い時期ずれについてその悪意がない旨を、
銀行を通じて信用保証協会にお伝えすると同時に、当該銀行の
協力を得られたので一旦完済した後に、再度必要資金の調達を
行うことができました。信用保証協会の寛容な判断、銀行の協
力、何よりも会社様の業績が極めて良好であったことが、解決
できた理由です。その後、資金繰りシミュレーションの継続と、
タイムリーな資金調達を行う当事務所のサービス「資金繰り円
滑化サービス(財務部長の代行業務)」を導入いただいていま
す。社長様の営業戦略を資金繰り・財務面で継続的にサポート
しながら、この様な金融事故を未然に防ぐこともできています。

…次回号に続く

資金調達のご相談の中には、「もう少し早くご相談して頂けれ
ば…」というものが多くあります。適切な対処をしていれば、
そもそも問題すら起きなかったかもしれない事案です。今回は、
財務無策が招いた資金繰り悪化の実例をご紹介します。

■ 財務無策とは

財務活動には「キャッシュフロー管理(資金繰り管理)」
「ファイナンス(資金調達)」「資産運用」の3つの要素が含
まれます。中小企業にとって特に重要なのは「キャッシュフロ
ー管理」と「ファイナンス活動」です。しかし、中小企業の多
くはこれらの分野において必要な知識やスキルが不足しており、
財務活動に無策の状態と言えます。

■ 財務無策が招いた資金繰り悪化の事例

事例1:余裕資金を持たずに経営を行っているケース

商売がそれなりに順調で、毎月の資金繰りも何とか回っている
ため、資金の調達を怠っている企業様がいらっしゃいます。
「不測の事態により売上が減少し、慌てて銀行に融資を依頼し
たが断られてしまった…」と言うご相談です。お聞きすると、
過去には銀行の方から借りて欲しいとの依頼があったとのこと。
「銀行を儲けさせるだけなので断っていた。」とのことですが、
中小企業の信用力は決して高くありません。不測の事態を想定
し、資金に余裕を持たせておくことは、財務戦略の基本です。

事例2:キャッシュフローの管理ができていないケース

「売上が急激に伸びたため、社員をどんどん増やしていたら、
突然資金繰りが厳しくなってしまった。慌てて資金調達に動い
たが銀行から良い返事が得られない・・・」と言うご相談です。
突然資金繰りが厳しくなるような、資金管理がまともにできて
いない企業への融資は不安ですので、銀行の対応は当然ネガテ
ィブになります。売上が伸びて忙しくなる事は本来良いことで
すので、計画的に資金調達に動いていれば、スムーズに調達出
来ていたはずです。わずかな事で資金不足に陥りがちな中小企
業にとって、キャッシュフローをしっかり管理することは、必
須の財務活動です。

事例3:実力以上の返済を行っているケース

本業の稼ぎ以上の返済を行っている企業様も多く見られます。
手元資金が減少していきますので、当然資金繰りが厳しくなり
ます。問題は「自社の返済能力の限界を知らないこと。」「借
入を早く返したいという意識が強すぎること。」「返済のピッ
チをなだらかにする方法を知らないこと。」などが挙げられま
す。手元資金が不足してからアクションを起こすのではなく、
自社の返済能力を知り、事前に借入金をコントロールしておけ
ば、何ら問題は起きなかった事案と言えます。

中小企業は資金力が限られており、わずかなことで資金繰りが
悪化するリスクを抱えています。しかし、財務活動を適切に行
うことで、多くのリスクを回避できます。財務無策からの脱却
を目指しましょう。お手伝いしますので、お気軽にご相談くだ
さい。

…前回号のつづきです。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。以下、
一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み5:『新しい設備投資を検討しているが、その投資規
模を決めるために、当社が借入可能な金額を知りたい。いくら
まで借りられるか教えて欲しい。』(相談者様)

◇金融機関から新しい借入れを行う時には、まず現状の確認が
必要です。

1.直近の決算書から簡易キャッシュフロー(税引き後利益+
減価償却費)を確認します。この簡易キャッシュフローの金額
が、現時点の借入総額の10分の1以上であることが最低条件
です。

2.債務超過でないことが必要です。
※1又は2が突出して優良な時、または、提供できる担保があ
る場合など、上記の限りではありません。上記はあくまでも簡
易的な診断です。実際には、突っ込んだ財務分析を行います。
1と2を満たす時、現時点においては健全である…と判断され
て、新規の借入れを受けられる可能性が高くなります。

○次に、検討中の設備投資を行った時の収益を見積もります。

3.新しい借入れの返済を、新しい設備投資を行った収益で賄
えること。

4.現存の収益と新しい収益で、既存の借入れと新しい借入れ
の返済を賄えること。
3または4の時、理論的には借入れが可能です。
※新しい設備投資から生まれる収益を、過度に大きく見積もる
と、その蓋然性の説明が難しくなります。注意が必要です。

○上記の検証を行いながら、最適な投資額を決めます。金融機
関には、最適な計画書を作成して、新規の融資を依頼します。

◎当事務所にて、決算分析・設備投資計画書(返済計画書)を
作成し、金融機関に対して借入れの申し込みを行いました。金
融機関との折衝は、当事務所が行いました。必要で最適な新規
の投資資金を調達できました。

◆お悩み6:『ネット通販会社から300万円の広告の提案を
もらった。この投資を行うべきか悩んでいる。相談に乗って欲
しい。』(相談者様)

◇「今回の広告を行うことで、短期的に大きな売上をあげたい、
また、その後の売上の底上げも目論みたい。」相談者様のご意
向です。この会社様は、前金で仕入れてネットで販売する業態
です。売上を伸ばすためには、先んじて仕入れ資金が必要にな
ります。

○現時点から今回の広告を実施した後、さらに、その半年後ま
での資金繰り計画を立案します。
・売上予測が最大の時、仕入れ額も最大とします。
・売上予測が最小の時、仕入れ額を最大とします。
・売上予測が最小の時、仕入れ額を最小とします。
…等々
社長様と共に、様々な資金繰りシミュレーションを行います。
資金繰りが逼迫することがはっきりわかりました。当所で資金
調達の可能性についても検証します。

○結果、最初に仕入れ資金の調達を行い、成功後に300万円
の広告を実施、仕入れ額の増額を行うことになりました。

◎当事務所にて、決算分析・資金繰り計画書を作成し、金融機
関に対して借入れの申し込みを行いました。金融機関との折衝
は、当事務所が行いました。必要な新規の仕入れ資金(運転資
金)を調達できました。また、資金繰りシミュレーションの継
続と、タイムリーな資金調達を行う当事務所のサービス「資金
繰り円滑化サービス(=財務部長の代行業務)」を導入いただ
いています。社長様の営業戦略を資金繰り・財務面で継続的に
サポートできています。

…次回号に続く