■A氏、B氏…Z氏に、これから飲食店を出店するとして、そのお店作りについて(イメージを)聞いてみました。
※他の業種でも同じです。読み替えて考えてください。

◆出店するお店の規模をイメージして教えてください。
A氏:「路地裏にあるカウンター席が5席と、4人掛けのテーブル席が二つの小料理屋さんです。」
B氏:「…」
Z氏:「繁華街の路面に面した100坪120席のレストランです。」

◆出店にいくら必要ですか?
A氏:「運転資金を入れて300万円ぐらいでしょうか。」
B氏:「…」
Z氏:「保証金等も含めると1億円強でしょうか。」

◆いくら位売れますか?
A氏:「月商150万円位売りたい。」
B氏:「…」
Z氏:「月商2,000万円は超えたい。」

◆利益はどれ位出ますか。
A氏:「生活費として月に30万円位は残ります。」
B氏:「…」
Z氏:「営業利益で月に200万円位は出したい。」

同じ飲食店でも、人によってイメージは百人百様です。このイメージは何から形成されているのでしょうか?

■ベンチマークとは…
人は無意識にベンチマークしています。無意識にベンチマークされたイメージを基準に、自分の将来を決めています。
A氏は、自身がイメージしたお店を作り、イメージ通りの売上と利益を目指します。
Z氏も、自身がイメージしたお店作りを目指します。イメージした売上と利益を求めます。
「人間にはイメージを実現する能力が備わっている。」偉人の名言です。その通りだと思います。

※ベンチマーク (英: benchmark) は、本来は測量において利用する水準点を示す語。転じて金融、資産運用などや株式投資における指標銘柄など、比較のために用いる指標を意味する。また、広く社会の物事のシステムのあり方や規範としての水準や基準などを意味する。(ウィキペディアより引用)

■ベンチマークする対象が重要です。
月商150万円の飲食店のオーナーが、月商500万円の新店舗を出店したいとするならば、ご自身のイメージを大きく変えねばなりません。
店作り、立地、投資、メニュー構成、オペレーション、売上、利益…すべてが既存店とは異なります。自分のイメージに頼って新店舗を開発してしまうと、限りなく月商150万円の既存店に近づいてしまいます。
ご自身を、既存店をベンチマークしてしまっているからです。

■今の自社を、今日の自分をベンチマークしてはいけません。
月商150万円の飲食店のオーナーが、月商500万円の新店舗を出店したいとするならば、今の自店、今の自分をベンチマークしてはいけません。月商500万円の店舗を見つけて、それを確実にベンチ―マークしなければなりません。

■ベンチマークすべき対象を見つけて研究を続けること、経営者の勉強すべきテーマの一つはこれです。

1.ベンチマークすべき対象を探し続けてください。見つけてください。

2.出来る限りの情報を集めてください。
・信用情報を取り寄せて、モデル企業の収益構造を理解してください。
・上場企業なら事業内容が詳しく適時開示されています。
・コンシューマー向けの企業なら、顧客になって使ってみてください。
・できれば成長のプロセスを時系列に調べてください。
等々、
ビジネスモデルと成長のプロセスを理解することが重要です。

3.良いところを探して真似てください。
・ビジネスモデルを研究してください。
・成長のプロセスを研究してください。
・長所と弱点を自分なりに理解してください。
・良いところを取り入れてください。
※モデル企業をベンチマークする方法は、ごく一般的に行われる手法です。コンサル会社がクライアント企業の経営戦略を練るときにも活用します。

今の自社を、今日の自分をベンチマークしてはいけません。停滞してしまう大きな原因の一つはこれです。

日本の金融機関は、長らく「金融庁マニュアル」に縛られてきました。金融庁マニュアルの本来の目的は、金融機関が保有している不良債権をあぶりだすことでしたが、融資審査に多くの弊害も生み出すこととなりました。「決算書至上主義」、「どこの銀行に行っても答えは同じ」という弊害です。

各金融機関は、金融庁マニュアルに則り、一斉に「格付」を導入しました。格付とは、融資先を決算内容に基づいてランク付けする仕組みですが、決算数値に基づいて機械的に判定されますので、決算書の数値が悪ければ、例え将来性があると分かっていても、融資を行うのが大変難しくなってしまいました。

また、全ての金融機関が同じマニュアルを基にしていますので、どこの金融機関に融資を依頼しても結果は同じという傾向も見られました。金融機関の裁量が小さくなり、極端に言えば、決算書を見て機械的に融資の可否を判断している状況です。

しかし、最近の金融庁の動向を見ていますと、融資の審査基準として、「事業性の評価」を取り入れようとするレポートが多く出されています。決算数値だけではなく、事業も評価しようという動きです。現場レベルに落とし込まれるのはまだ先だと思いますが、企業にとっては、「決算数値が悪くても、事業性を評価して融資をしてくれる金融機関が現れるかもしれない。」という可能性を秘めています。

それでは、「事業性の評価」はどのようにして行うつもりでしょうか?各種レポートから読み取ると、「労働生産性」や「従業員数の増減」などから、事業性の良し悪しを見極めようとしているように感じます。しかし、「企業の事業性を評価する。」ことは、それ程簡単ではありません。やはり企業側からの補足が必要になります。

もちろん今までも自社の事業内容や将来性について理解してもらうことは重要でした。しかし、決算書一辺倒だった今までに比べて、事業性の評価が加味されることになれば、自社の事業内容や将来性を説明することが、ますます重要になります。

金融機関は察してはくれません。また、口頭での伝達も十分ではありません。金融機関の評価ポイントを押さえた説明資料の作成等、自社の事業内容や将来性をしっかりと伝える力が求められます。

■創業して最初の壁、デスバレー※を越えられない理由は大きく二つです。

1.事業自体が本質的に的外れであるケース。
実はこのケースは案外少ないように感じます。それなりに考えて、それなりの経験を踏まえた創業であるならば、その成功度合いは別にして、何とかやって行けるはずです。

2.事業の立ち上げに想定以上の時間を費やしてしまい、立ち上がるまで資金が続かないために途中で頓挫するケース。
多いのはこのケースです。事業の立ち上げに対する想定が甘すぎる、楽観主義が原因です。

※デスバレー(死の谷)とは…
起業から一定期間、赤字が続く時期があります。そして、ある段階でその赤字幅が縮小しながら黒字化に向かいます。黒字転換して安定できたら起業はひとまず成功です。起業から黒字転換するまでの期間をデスバレー(死の谷)と呼びます。

■4つの楽観主義…

◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!

◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
・10期目の会社が立てた11期目の計画、概ね計画通りに進捗するでしょう。
・3期目の会社が立てた4期目の計画、計画の見積もりには不安が残ります。
・創業時に立案した1期目の計画、過度に保守的に見積もらない限り当たりません。
計画通りに事業は進まないのです。これが実態です。それでも計画は目安として必要です。目安を立てて、ずれを確認しながら事業を運営するために必要です。

◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
計画通りに進捗しなかったとき、それを解決するのは時間です。
当初立てた仮説を修正しながら試行錯誤を繰り返します。事業自体が的外れでなければ、時間を要しながらも着地します。計画に対して余分に費やした時間を埋められるのは資金・お金しかありません。資金不足で頓挫する、これは時間を稼ぐ資金を確保できないとの意味です。

◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
計画通りに進まずに、時間が必要、時間を確保するための資金が必要になった折に、金融機関に駆け込んで、資金を求めようとします。これは原則間違えです。難解です。計画が遅れた、時間を掛ければ軌道に乗る、この蓋然性の説明は容易ではありません。金融機関は原則、足元の進捗・実績を基準に、将来生み出すキャッシュフローを勘案して融資の可否を判断します。(金融機関が有するのは「日傘」であって「雨傘」ではありません。)

◎どうすればよいか…計画をしっかり立案します。一方で、その計画を鵜呑みにせずに計画が遅れることを想定して資金を最大限調達し続けること、これが正解です。

◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!
「とにかく売れさえすれば何とかなる」、このように考える社長様も少なくありません。
「売れなければ何ともならない・始まらない」は正解ですが、「とにかく売れさえすれば何とかなる」は正しくありません。
一定額以上売れた時には一定以上の利益を捻出できる値決め・価格設定は経営上極めて重要です。手間暇をしっかり掛けて、よくよく考えて、シミュレーションをしっかり行って、腫物に触るように慎重に決めてください。とにかく値決めに対しては全身全霊を注いでください。

◎どうすればよいか…安売りは絶対にしない、価格を売るための道具に使わない、安売りでしか勝負できない事業なら、事業自体を再考してください。

■4つの楽観主義を改めてください。

◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
◎回答…計画通りには進捗しません。ほぼ遅れます。

◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
◎回答…計画の遅れは資金で埋めるしか方法がありません。

◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
◎回答…資金は必要なときに借りるのではなく、借りられるときに借りてください。

◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!
◎回答…売上至上主義ではなく、利益至上主義で経営してください。

知識を役立てる機会はないかもしれませんが、もし、現在利用している信用保証協会の保証付き融資が返済できなくなった場合、その後の手続きがどのように進められるかをご説明します。

先日あったご相談内容です。「信用保証協会の保証付き融資を銀行から受けているが、業績が良くないためリスケをしており、さらに、金利すら延滞している。銀行の担当者から保証協会に事故報告を上げると言われたが、何か良い調達方法はないか?」

正直この段階でご相談に来ていただいても手の施しようがありません。新たな調達は難しい旨を丁寧にご説明しました。すると、社長様は吹っ切れた様子になり、今度は、「このまま支払えなかった場合はどうなるのか?」ということについて、熱心
にご質問を始められました。

Q1.このまま支払えない場合はどうなるのか?
A1.延滞が続くと最終的には代位弁済となります。

Q2.代位弁済とは何か?
A2.貴社の借入については、信用保証協会が保証をしていますので、貴社が返済できなくなった時点で、信用保証協会が貴社の代わりに銀行に残債を支払います。これを代位弁済といいます。

Q3.代位弁済の手続きは自分でするのか?
A3.代位弁済は、銀行から信用保証協会に請求するものですので、貴社が手続きをすることはありません。

Q4.代位弁済の後はどうなるのか?
A4.銀行の借入がそのまま信用保証協会に移る形になりますので、代位弁済後は銀行ではなく、信用保証協会に対して返済を行っていきます。

Q5.返済金額はいくらか?
A5.担保を差し入れている場合は、担保を処分して借入金の返済に充てる方向で手続きが進められます。担保を処分してもなお残った残債や、そもそも無担保で借り入れている場合は、利益の状況にあわせて返済額が決まります。

Q6.代位弁済というのは倒産のことか?
A6.倒産ではありません。代位弁済となっても、その後信用保証協会に少しずつ返済をしながら、事業を継続している企業様は多くいらっしゃいます。

最後は、「事業は継続できるのですね。」と少し安心されたご様子でした。

業績が悪化し、支払いに追われている状態では、平静を保つのも難しくなります。しかし、今後起きることが分かっていれば、多少なりとも不安をやわらげることができます。事業の失敗は誰にでも起こりうることです。感情ではなく知識に頼ってください。

■経営がうまく行っている会社様には特徴があります。

1.『競合しない』ビジネスを構築できています。
2.『利益を確保できる』利益率が設定されています。
3.『安売りをしない』との決意が固いです。
4.『売上至上主義』ではありません。
また、これらの基本ルールを死守するための勉強に熱心に取り組んでおられます。勉強熱心です。

◆競合しない!
競合を出来るだけ回避する、ビジネスを設計する時に最初に考慮すべき事柄です。
同じような商品・サービスを同じように売っていても、上手く行かないのは当然です。
違う商品・サービスを、違う売り方で、店舗ビジネスでは違う場所で売る、この原理原則をしっかり確認しましょう。
競合の真ん中で戦う、どんなに頑張り続けても上手く行かない(売れない)のはこのためかもしれません。

◆利益を確保する!
利益を確保する、ビジネスを設計する時に極めて重要な視点です。
同じ投資をして、同じ経費で、同じ売り上げを上げても、その粗利益率が30%か40%か50%か、この違いは利益に格段の差をもたらします。その後の経営が大きく変わります。
儲からない利益率を設定したがために、どんなに頑張り続けても上手く行かない(利益がでない)のはこのためかもしれません。

◆安売りをしない!
安売りをしない、販売戦略から安売りの発想を捨ててください。
売上をいくら伸ばしても、その価格を割り引いてしまっては何の意味もありません。10%の値引きは、最初から利益を10%放棄することと同義です。
忙しいのに儲からない状況「繁盛貧乏」に陥るのは、安売りをするから、または、そもそも値決めが安すぎる(※当初から安売り状態)からかもしれません。

◆売上至上主義に陥らない!
売上ではなく、利益を優先して求めて(管理)ください。
「いくら売れそうか?」「いくら売れた?」ではなく、「いくら利益が出そうか?」「いくら利益が出た?」で管理してください。
社長は「売上」ではなく「利益」を求めてください。赤字に陥るのは、そもそも「利益」を最初から求めて(管理)いないからかもしれません。

○上手く行かない経営を行っている会社は、案外単純です。上記の様な基本を外しているからです。軌道を修正してください。
○そもそも上記の基本を外したプラン?で創業を企てる創業者様も少なくありません。見直してください。

■『経営の方針』、その要諦は『繁盛貧乏に陥らない』ことです。再度ご確認ください。

◆力相応オンリーワンを目指す。
→どこにでもあるネタをビジネスにしない。一工夫、二工夫…
◆低粗利益率のビジネスは行わない。
→粗利益率30%未満はおすすめしない。
小資本企業には難解です。
◆価格を売るための道具に使わない。
→安売りはしない。
◆売上至上主義に陥らない。
→売上よりも利益を優先する。

この機会にご自身のビジネスモデルを点検してください。
特に、有店舗型のビジネスは、その立地(競合状況)によって業績が大きく変わります。また、立地の置き換えは容易ではありません。立地の選定には多くのエネルギーを費やしてくださ
い。

「経営者の仕事とは・・・」多くの場面で語られる大変重要なテーマです。その中で、概ね支持

されている意見は、「現場仕事で忙しくするのは経営者の仕事ではない。」というものではない

でしょうか。私も全く異論はありません。ただ、経営資源が不足する中小企業にとって、考え方は

正しくても実践するのは容易ではありません。

 

新しい事業の構築は簡単ではありませんので、殆どの経営者様は、他人任せにせず自ら現場に

入って事業をスタートさせるはずです。その後、現場で陣頭指揮を取りながら事業の構築に取り組み

ますが、多くの中小企業経営者様は、この状態から脱却できずに苦しんでいるように感じます。

この状態の時に経営者が現場から離れると、たちまち業績が悪化します。思い切って従業員に任せ

ない限り、いつまでたっても従業員は育ちませんが、その間の業績悪化を容認できるほど、資金的な

余裕はありません。

中小企業の経営者様が現場から離れられないのは、「資金的な余裕がないこと。」もひとつの要因

ではないでしょうか。

 

先日、飲食店を2店舗経営している顧問先様の資金調達を行いました。社長様は、調達した資金で

3店舗目を出店したいと考えていましたが、私は、財務部長として、「現場を離れるために既存

店舗に力を入れてはどうか。」と提案しました。無理に拡大をするよりも、じっくりと事業を作り

込んだ方が良いと考えたためです。同社の社長様は、1号店の店長として今でも現場で

頑張っています。将来的には経営に専念して、多店舗化を目指したいと考えていますが、

従業員に任せている2店舗目の業績があまり良くないため、2号店の業績をカバーするために、

やむを得ず1号店で頑張っている状態です。

このような状態で3店舗目を出してしまうと、ますます現場から離れなくなります。

最終的には、3号店の店長として考えていた人材を1号店の店長に据え、社長は両店舗の店長

教育に専念することになりました。1号店の業績が悪化する可能性もありますが、資金的には

当面耐えられる状況です。

 

経営者が現場から離れるためには、従業員の成長を含めた事業の作りこみが必須です。

事業を作りこむためには時間が必要です。その解決方法の一つとして、資金を多く持つことが、

時間的猶予を得ることになるのではないでしょうか。

…前回号からのつづきです。

■創業者~中小企業までの経営者は、社長でありかつ現場のリーダーです。大企業の社長とは

違います。その指示・命令は、概念的な「フワッとした」曖昧な内容ではなく、明瞭でなければ

なりません。指示の曖昧な社長は少なくありません。また、頼まれ事に「NO」と言えない

(断ることができない。)社長も少なくありません。

さらに、従業員に嫌われたくないとの思いからか、その距離を詰め過ぎる社長、嫌ごとや厳しい事を

言えない社長も少なくありません。この様なトップの率いる経営体は、組織自体がすべてにおいて

緩く・甘くなっています。

■この様な、緩い・甘い経営体を『お人好し症候群』と呼びます。『お人好し症候群』の経営体は、

以下のような状況です。

1.自分の判断は、どちらかというと甘いと思う。〔  〕

2.自分の判断は、どちらかというと曖昧だと思う。〔  〕

3.自分はNOと言いにくい性格だ。〔  〕

4.自分は自分に甘いようだ。〔  〕

5.自分は従業員に甘いようだ。〔  〕

6.従業員は他の従業員に甘いようだ。〔  〕

7.自分はお人好しだと思う。〔  〕

いかがでしょうか?

■病名:『お人好し症候群』を整理します。

○判断が総じて甘く・緩くなる病です。

○原因

胆力の欠落と人の好さが原因です。胆力は長期間、長時間は継続できません。また、人の

好さが災いして、嫌なことを先送りしがちです。胆力の維持できる範囲内で判断する、嫌なこと、

厳しいことを臆さずはっきり口に出す、これを意識しないと、甘い・緩い経営になってしまいます。

○症状

すべてが緩慢になっています。仲良し倶楽部になっています。

早期の治療が必要です。

※企業経営はぴりぴりと張り詰める緊張感の中で行うものです。

一つ一つの判断が生死を分け、どちらかというと楽しいことより嫌なこと、厳しいことが多いはず

です。

■『お人好し症候群』への対応は…

人の好さは、会社に『甘さ』『緩さ』を蔓延させ、会社を破滅に導きます。心に一匹の鬼を持って

経営判断を行ってください。厳しいことを臆さずはっきり口に出す、NOならNOとはっきり言える

経営者であってください。

また、数値管理を最小単位まで落とし込んでください。数値を判断基準にすると、曖昧さは減少

します。

○対策

経営判断を明確に(Clearly)にしてください。

・経営判断に『甘さ』『ゆるさ』を持ち込まないでください。

・NOといえる経営者になってください。

・数値(目標、結果)管理を最小単位で徹底してください。

■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。

◆病名1:分散症候群  …有病率50%

◆病名2:安売り症候群 …有病率50%

◆病名3:前のめり症候群…有病率30%

◆病名4:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】

◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。

◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。

◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。

◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

経営体が患う4大疾病について、自問自答してください。そして、対応してください。

銀行融資プランナー協会が提唱している「財務部長の代行サービス」は、

経営状況が悪化した企業様を対象にしたものと誤解されることがあります。

資金調達、財務支援といったキーワードが企業再生を連想させるので

しょうか。確かに、世の中にある他の財務支援サービスは、企業再生を

メインにしたものが多いようです。しかし、財務に力を入れることで、最も

大きなメリットを得られるのは、創業期、成長期にある企業様です。

 

■ 創業期

創業期に、自社が調達できる資金の量を知り、その資金をどこにどの程度

投資すべきかを考える時に、財務が非常に役立ちます。7割の創業者が

創業期を乗り越えられずに断念すると言われていますが、中には、営業力が

あるにも関わらず、自社の資金調達力を見誤り、実力以上の事業規模で

創業してしまったことが要因であることも少なくありません。創業期に売上を

作ることができなければ、財務を強化しても効果はありませんが、一定以上の

売上を作る力をお持ちであれば、財務次第で創業期を乗り越えることができます。

■ 成長期

創業期を乗り越えて、右肩あがりで業績が伸びている成長期は、一見資金を

調達する必要はないように感じますが、この時期に投下した資金量で、事業の

成長スピードは大きく違ってきます。資金を投下した分だけ、感度よく業績に

跳ね返ってきますので、財務を強化して最大限の資金を調達し、事業に投下

していくことで、成り行きよりも大きな成長カーブを描くことができます。

■ 安定期

成長が止まり安定期に入ると、皮肉にも資金調達はしやすくなりますが、いくら

資金を事業に投下しても、成長期ほど業績に跳ね返ってこなくなります。

よって、資金調達を行って事業の拡大を目論むより、やがて訪れる衰退期に

備えて、外部に資金を流出させない施策に取り組むことが優先です。但し、

安定期に最大限の調達を行って、新たな事業の創造を開始するのであれば、

やはり財務は重要です。

■ 衰退期

事業力の低下が根本の原因ですので、財務で問題を解決することは困難です。

もちろん、経営が悪化した上場企業の再生劇に見られるような、莫大な債権放棄や

税金の投入があれば別ですが、事業力の低下により資金調達がしにくい環境に

なっている中で、わずかばかりの資金を調達しても、延命を図るのが精一杯です。

 

財務の担当者を置くメリットは、会社の実力に対して最大の資金調達ができる点です。

資金調達の効果が最もあるのは成長期になりますので、成長期の企業様にこそ、

「財務部長代行サービス」を利用していただきたいと考えています。