コロナ融資を受けたある関与先様から、「金融機関から試算表
の提出を求められたが、融資金の一部を個人的な支出に充てて
しまっているため提出したくない。断ることはできないか?」
というご質問がありました。

試算表の提出を拒んだからと言って融資金の一括返済を迫られ
ることはもちろんありませんが、金融機関の担当者はネガティ
ブに捉えることは間違いありません。

まずは、試算表の提出を依頼してきた金融機関の担当者に、試
算表が必要な理由を率直に聞いてみました。回答は「保証協会
に売上高の報告をするため」とのことでした。

よって、「試算表がまだ出来ていないため、売上高だけ集計し
て提出すればよいか」と確認するとそれでよいとのことです。
何かを調べたいのではなく、報告が必要なので単純に仕事とし
て依頼しているという感じでした。

仮に試算表の提出が必須という回答だった場合はどうするべき
でしょうか。原則的には、ありのままを提出し、個人的な支出
に流用しなくてはならない理由があったならそれを説明し、理
由がなければ真摯に反省の弁を述べ、決算までには個人的な支
出分を会社に戻す努力をすることをお約束するのが正解だと思
います。

試算表の提出(業績の報告)は金融機関との最良なコミュニケ
ーションの機会です。金融機関に対して負い目がある時は、試
算表の提出を依頼してきた担当者に対して、「そんなことに対
応している暇はない。」などと攻撃したり、不機嫌な態度をと
ったりする経営者もおられます。不安や保身から取ってしまう
行動だと思いますが何のプラスにもなりません。

金融機関に対しては悪いことは隠さなくてはならないとお考え
の経営者様も少なからずいらっしゃいますが、必ずしもそうで
はありません。良いことだけでなく、悪いことも報告して相談
することが関係構築の第一歩になります。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

■会社のさらなる成長を望むなら、モデルとする企業を持ちま
しょう。モデル企業とは、自社がなりたい姿に近い会社です。
モデル企業を見つけて※ベンチマークしてください。

※ベンチマーク (英: benchmark) は、本来は測量において利用
する水準点を示す語。転じて金融、資産運用などや株式投資に
おける指標銘柄など、比較のために用いる指標を意味する。ま
た、広く社会の物事のシステムのあり方や規範としての水準や
基準などを意味する。 (ウィキペディアより引用)

真似られるところは謙虚に真似てください。

○出来る限りの情報を集めてください。
・信用情報を取り寄せて、モデル企業の収益構造を理解してく
ださい。
・上場企業なら事業内容が詳しく適時開示されています。
・コンシューマー向けの企業なら、顧客になって使ってみてく
ださい。
・できれば成長のプロセスを時系列に調べてください。
等々、
事業立地やビジネスモデル、その成長のプロセスを理解するこ
とが重要です。

○良いところを探して真似てください。
・事業立地を研究してください。
・ビジネスモデルを研究してください。
・成長のプロセスを研究してください。
・長所と弱点を自分なりに理解してください。
・良いところを取り入れてください。

モデル企業をベンチマークする方法は、ごく一般的に行われる
手法です。コンサル会社がクライアント企業の経営戦略を練る
ときにも活用します。まず良いところは真似る、それにオリジ
ナリティーを付加することでオンリーワンを目指せます。

■自分自身のさらなる成長を望むなら、師を持ちましょう。行
き詰ったときに助言をもらえる師を持ってください。この時、
答えを求めてはいけません。自分にとっての正解は、誰も教え
てくれません。考え方を確認してください。ヒントをもらって
ください。

自分や自社に対する回答は世の中に存在しません。自分自身の
頭の中にしかないのです。繰り返しますが、求めていいのは考
え方やヒントです。また、師とのお付き合いはつかず離れず良
い距離感を保ってください。

■自分自身の活性化を望むのなら、友を持ちましょう。同じ志
を持つ、同じレベルの友は、時に大きなモチベーションを与え
てくれます。

依存しあう関係ではなく、一定の距離を持った関係であるべき
です。どちらかが相手に依存した瞬間にこの関係は終焉します。
あくまでも対等に、GIVE&TAKEの関係が必要です。

順風満帆に経営を続けられる企業は稀有です。皆無と言っても
間違いではありません。「山あり谷ありまさかあり」が普通で
す。モデルとする企業の研究は、将来の「山・谷・まさか」を
ある程度予測する題材になります。

考え方やヒントをもらえる師は、迷った時の羅針盤になってく
れるでしょう。

同じ志を持つ友は、まさにモチベーションの源泉になってくれ
るでしょう。

●自社のモデルとなる企業
●考え方やヒントをもらえる師
●同じ志を持つ友

意識して持ってください。探してください。

利益率、流動比率、自己資本比率など、財務指標には多くの種
類があります。中小企業は財務指標をどの程度意識して経営す
べきでしょうか。

自己資本比率で考えてみます。自己資本比率とは、総資産に占
める自己資本(主に資本金と利益剰余金)の割合です。財務の
教科書には、自己資本比率は高い方が良いと書かれています。

例えば、一切借入を行わず、全ての支払いを先払いし、黒字を
確保できれば、自己資本比率100%を維持できます。しかし、
事業に使える資金は少なく、キャッシュフローも悪いので、大
きなビジネスは育ちにくくなります。

一方、資本金10百万円の企業が30百万円の借入れを行った場合、
自己資本比率はたちまち25%に低下してしまいますが、40百万
円という大きな資金を事業に使うことができます。

優秀な経営者であれば、自己資本の範囲内で小さく事業を行う
より、他人資本を活用して事業を行った方が、より大きな売上
や利益を生み出すことができます。

自己資本比率は、利益が蓄積されれば結果的に良くなります。
最初から自己資本比率を高く維持しようと考えて経営を行うの
は本末転倒かもしれません。

他にも財務指標はたくさんありますが本質的には同じです。自
社の過去や業界平均等と比較して、財務状況を客観的に把握す
るには大変有効な指標ですが、指標そのものが経営の目的には
なりません。

財務指標を過度に意識するあまり、売上と利益の拡大を目指す
という経営の本質を見失わないようにしてください。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

雑駁とは『雑然として統一がないこと。また、そのさま 。』を
意味します。この雑駁さで会社をダメにしてしまう社長は少な
くありません。

■自己診断をお願いします。

[  ]・自分が書く文章に誤字・脱字はほとんどない。
[  ]・自分の発する言葉に誤り・失言はほとんどない。
[  ]・自分は決めたことを継続して実行できる。
[  ]・自分は時間・納期に正確だ。
[  ]・自分は出来る限り論理的に考え行動している。
[  ]・自分は出来るだけ体系的・網羅的な思考を意識している。
[  ]・自分の考えには一貫性がある。

事業を構築するのは、『数百万点以上の部品からなる精巧なプ
ラモデルを組み立てるようなものだ。』と思っています。『精
密に設計し、正確に組み立てる』ことが必要条件です。
(十分条件は別にあります。)
最大の敵は、『雑駁な』思考や行動です。

■『脱・雑駁』のためには、正確に行動することが重要です。

・自身のアウトプットには、その正確さを求める。
・自身が発する言葉には、その正確さを求める。
・約束は確実に履行する。
・時間は確実に守る。3分遅れではなく、5分前で行動する。
・納期は厳守する。ギリギリではなく、数日早めに納める。

人間は過ちを犯します。時に間違えたり、時に遅刻したり。
ゆえに、自身を厳しく統制しておかないと、ダラダラの人生に
なってしまいます。『雑駁』な人は、このダラダラを許容して
しまうのでしょう。ほんの少しの許容が、徐々にその限度を増
していきます。

・間違いだらけのアウトプット。
・裏付けや哲学の無い発言。
・細かい約束を反故にしても気にならない厚かましさ。
・3分遅れを許容する時間管理。
・納期ギリギリの業務管理。

行動の雑駁さは三流の証です。行動の正確さ・緻密さを維持継
続しましょう。

■『脱・雑駁』のためには、考え方の正確さが重要です。

・考え方に一貫性を持たせる。
・考え方から論理矛盾を排除する。
・考え方に沿った行動を心掛ける。

一貫した考え方に沿った企業運営を行わなければ、その企業は
体を成しません。ダッチロールします。

・良い商品やサービスは、一貫した考え方から創造されます。
・良い顧客は、企業の考え方に賛同してお付合いしてくれます。
・従業員も同じです。

考え方の雑駁さは三流の証です。一貫した考え方を貫きましょ
う。
あわせて、考え方に沿った行動を心掛けてください。

■『雑駁』は企業経営の最大の敵です。

『数百万点以上の部品からなる精巧なプラモデルを組み立てる
(比喩)』事業構築のプロセスにおいて、『雑駁』は最大の敵
です。このウイルスは、シロアリのように企業の屋台骨を蝕み
ます。

・社長は、自分自身の『雑駁さ』を徹底的に排除する努力を続
けましょう。
この前提で、
・社内にはびこる『雑駁さ』に対しても、厳しく対処しましょ
う。
『雑駁さ』を互いが責め合う文化を構築しましょう。

一流は、間違えなく『雑駁』ではありません。
お互い一流を目指しましょう。

コロナ融資を最大限受けた結果、借入額が上限に達し、新たな
融資を受けられない企業様が増えています。

そのような状況の中、伴走支援型特別保証制度を活用した借り
換えにより、キャッシュフローを改善した事例をご紹介します。

伴走支援型特別保証制度とは、2021年4月に保証限度額4,000
万円でスタートし、その後段階的に保証限度額が引き上げられ、
現在は1億円の保証限度額となっています。

また、4号、5号認定を受けられた場合、信用保証料が0.2%
まで大幅に引き下げられる他、資金使途は、既往の保証付融資
の全てが借り換えの対象です。

■ N社の事例

1)2020年3月、下記条件によりコロナ融資を受けました。

・借入金額 80,000千円
・借入期間 7年
・毎月返済額 953千円
2)2022年10月、伴走支援型特別保証制度により下記条件に
て上記借入の借換を実行しました。

・借入金額 60,000千円(既往借入残債50,000千円返済)
・借入期間 10年
・据置期間 3年
他行でもコロナ融資の利用があったため、10,000千円程度の
純増に留まりましたが、据置期間を設定することにより、向こ
う3年で、34,308千円(毎月返済額953千円×36か月)のキャ
ッシュフローを改善することができました。また、保証料率が
下がったことにより、保証料も1,000千円程度返還されていま
す。

新たな融資は受けられなくても、既存借入の組みなおしにより
キャッシュフローを捻出できる場合があります。
是非、ご相談ください。

銀行対応を得意と謳う税理士事務所も少なくありませんが、ク
ライアント(貴社)をサポートする姿勢や、金融機関との対応
方法には雲泥の差があります。

銀行融資プランナー協会の正会員事務所である当事務所は、
◆金融機関との窓口機能を完全に担います。
◆融資戦略の立案や必要書類の作成を主体的に行います。
消極的な部分支援ではなく、積極的な全部支援を目指していま
す。

■銀行融資プランナー協会の正会員事務所である当事務所が、
貴社の金融機関対応をお引き受けする時は、(最大限)当事者
として対応します。

◆情報や、やり取りの流れは以下です。

『金融機関』→『当事務所』→『クライアント(貴社)』の流
れを構築します。逆も同じです。『クライアント(貴社)』→
『当事務所』→『金融機関』になります。窓口は原則当事務所
です。

○金融機関との対応窓口の役回りをしっかりと担うことで…
・クライアント(貴社)の煩わしさを払しょくします。
・結果として、極めて効率的かつ合理的です。
・金融機関との誤解や齟齬も起きません。

※金融機関対応が得意と謳う多くの税理士事務所も、金融機関
対応は、クライアントを通して行おうと考えています。
金融機関との対応は、『金融機関』→『クライアント(貴社)』
→『税理士事務所』の流れを想定して行います。逆も同じです。
『税理士事務所』→『クライアント(貴社)』→『金融機関』
になります。当事務所とは、考え方が抜本的に違います。

◆融資戦略の立案や必要書類の作成も、当事務所が主体的に行
います。

「社長のご要望を伺った後は、必要書類の作成から金融機関へ
の説明まで、原則すべて当事務所が対応いたします。面談や契
約時には、当然社長の同行を求めることになりますが。」当事
務所は、上記の対応を行います。

○融資戦略を主体的に立案することで…
・クライアント(貴社)の煩わしさを払しょくします。
・融資審査がスムーズに進み、希望される融資金額の調達がし
やすくなります。
・金融機関の手間暇も削減され、歓迎されます。

※金融機関対応が得意と謳う税理士事務所も、その多くは、貴
社をお手伝いしようと考えています。
「金融機関対応のお手伝いをさせていただきます。当事務所は、
金融機関対応が得意です。必要書類の作成や、金融機関への同
行も行います。」このようなメッセージを発しています。

このメッセージの真意は、
「社長自身が精一杯金融機関対応に励んでください。必要な書
類も自分で考えて作ってください。どうしても当事務所が作ら
なければならない資料は最後にお手伝いします。金融機関への
説明も社長自身で頑張って行ってください。どうしても必要な
ら私(当事務所)も同行します。」です。当事務所とは、考え
方が抜本的に違います。

■「そこまでやってくれるの。煩わしさのほとんどを取り除い
てくれて本当に助かる。」このような評価を多くのクライアン
トからいただいています。

税務顧問業務に付加して、様々な金融(財務)支援サービスを
準備しています。

1.銀行融資獲得のためのスポットサービス
…『銀行融資プランニングサービス』
2.リスケを円滑に行うためのスポットサービス
…『経営改善計画書策定及び金融機関対応支援サービス』
3.貴社の財務部長機能(金融機関対応含む)を継続してお引
き受けするサービス
…『資金繰り円滑化(財務部長の代行業務)サービス』

金融庁は、経営者個人が企業の連帯保証人となる「個人保証」
の制度を見直すことを明らかにしました。来年度から、金融機
関が個人保証を求める場合は、説明義務を課すことを検討して
いるようです。

しかし、金融機関サイドからは、「現実問題として個人保証を
急に減らすことは難しい。」と言った声も出ているようで、全
ての経営者が自動的に個人保証を免れるということはなさそう
です。

どのようなケースであれば、個人保証を外すことができるのか、
平成25年に策定された「経営者保証に関するガイドライン」の
活用に関する参考事例集の中から、事例をひとつご紹介します。

■ある地域銀行の事例
経営管理の強化に取り組んでいる取引先に対して経営者保証を
求めなかった事例

主債務者及び保証人の状況、事案の背景等
・当社は、建設工事及び建材卸売業を営んでおり、建材卸売部
門では大手メーカーや商社等と代理店・特約店契約を結んで
おり、多種多様な商品(内外装タイル、ユニットバス、耐火
壁、エレベーター等)を取り扱っている。
・震災復興関連工事の受注の増加により増収基調が続いており、
内部留保も厚く堅固な財務内容を維持している。
・当行は、メイン行ではないものの、増加する震災復興関連工
事に伴う資金需要に対応してきたところ、当社から短期資金
の借入の相談があった。
・また、借入の相談の際に、当行本部から送付されたガイドラ
インのパンフレットを見た経営者から、経営者保証を求めな
い融資の相談を受けたことから、ガイドラインの内容を改め
て説明するとともに、当社から提出のあった直近の試算表や
工事概況調等を勘案しつつ、ガイドラインの適用要件等の確
認を行った上で回答することとした。

■経営者保証に依存しない融資の具体的内容
・当行の営業店では、案件受付票の作成に合わせ、今回新設し
た「経営者保証に関するガイドラインチェックシート」を活
用し、適用要件の確認を実施している。当該手続による確認
の結果、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで
新規融資に応じることとした。
1)決算書類について「中小企業の会計に関する基本要領」に
則った計算書類を作成し、地元の大手会計事務所が検証等を
行っているなど、法人と経営者の関係の明確な区分・分離が
なされていること
2)内部留保も厚く堅固な財務内容を維持しており、償還面に
問題がないこと
3)四半期毎に試算表等の提出を行うなど、当社の業況等が継
続的に確認可能なこと

・当社とは、長年の取引を通じてリレーションシップは十分に
構築されている。震災復興関連工事の増加による業況の拡大
が、ガイドラインで求められている返済能力の向上に寄与し
ている面は否めないが、当社が、外部専門家による検証等を
含め、経営管理の強化に従来以上に取り組むことを表明して
いることから、当行としても、業況の把握に留まらず、当社
の経営管理体制の構築について引き続き積極的にアドバイス
を行っていく方針である。

ご覧いただいた通り、個人保証を入れずに済むためには要件が
あります。当該案件の場合、下記の要件を満たしていることが、
個人保証を求めない要因となっています。

決算書に信憑性があること。
財務内容が良好であること。
経営状況を継続的にディスクローズする体制が整っていること。

業況や財務内容だけでは不十分で、高い経営品質を求められて
いることが分かります。毎月の試算表はもちろん、資金繰り表
等を用いて金融機関と円滑なコミュニケーションを取れる体制
の構築が必要です。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

中小企業経営者は、百%経営者業務のみを行っているわけでは
ありません。執行部分、大企業流に言うなら執行役員部分や部
長、場合によっては担当者の仕事も担っています。経営者業務
と執行業務を分けて考えておかないと、どうしても執行業務に
追われます。結果として、経営者不在の経営が続くことになり
ます。

■優秀な店舗デザイナーA氏は、数名を連れて起業しました。

○A氏は優秀なデザイナーです。デザインのクオリティーは抜
群です。デザインを24時間考え続けながら、素晴らしいアウト
プットを行います。クライアントからも高い評価を得ています。
執行者として評価するなら満点かもしれません。

○一方、会社の経営は順調ではありません。仕事を安定的に受
注する仕組みがないからです。A氏はいつも、店舗のデザイン
に関する読書に耽っています。A氏は店舗デザインが大好きで、
24時間365日そのことのみを考えています。

○この会社は経営者不在の状況が続いています。A氏は、自分
の好きなデザインに対する執着は強いものの、経営を考えるこ
とが嫌い、苦手なようです。会社としての成長は難しいでしょ
う。本来A氏は、トップデザイナーとしての執行業務と、社長
としての経営者業務を同時に担わねばなりません。今のA氏は、
後者の業務を行っていません。経営が上手くいくはずありませ
ん。

逆に、創業者や小規模企業経営者の場合、自分自身が執行者と
しての役割を果たさず、もっぱら経営のみに専念することも、
物理的に不可能です。最も優秀な執行者、社員としての業務を
担うことも必要です。

■経営管理に長けたB氏は、数名を連れて起業しました。

○B氏は上場企業の取締役まで経験した敏腕ビジネスマンです。
経営管理は大の得意分野です。机上での計画書作りやマネージ
メントは得意ですが、現場で業務を執行するつもりはないよう
です。大きな資本で、人材を確保して始める起業ならこれで良
いのですが、小資本・少人数での起業には向かないタイプです。

○創業者や小規模企業経営者の場合、自らが最も優秀な開発マ
ン・営業マンでなければなりません。この機能を他人に頼るの
は、その資金力に無理があります。経営者としての仕事だけで
なく、執行者としての仕事の比率を高くとる必要があります。

小さな会社と大きな会社では、その仕組みが異なります。小規
模創業から企業規模を拡大できた経営者は、その経営者として
の仕事と、執行者としての仕事の割合を上手にコントロールで
きてきたようです。

■経営者業務と執行業務の業務比率のイメージ…

◆創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=2:8
◆50人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=6:4
◆300人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=9:1
◆1,000人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=10:0

○創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=0:10の経営
者がいます。A氏です。食ってはいけるかもしれませんが、会
社の成長は望めません。

○創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=10:0の経営
者がいます。B氏です。そもそも会社が立ち上がらないはずで
す。(大資本での創業は除く。)

経営者は、会社の置かれている状況やステージによって、その
業務分配比率をバランスよく調整していかねばなりません。こ
のバランス感覚も、経営者にとって必要な資質の一つです。

◎貴方の会社のステージはどこですか?
◎貴方の業務分配比率は適切ですか?
自問自答してください。

ある社長様との会話です。起業3年目で従業員は7名いるが、
まだ社会保険に加入できていない。加入したいと思うが遡って
社会保険料を支払うとなると100万円を超えてしまう。資金
繰りが厳しく、税金も遅れながら払っている状況なので加入は
とても無理だ、とおっしゃいます。

目先のお金がないので社会保険に入れない。目先の税金が払え
ないので利益がだせない。等は悪循環の始まりです。時が過ぎ
れば過ぎるほど深みにはまっていきます。早期解決が必要です。

社長様は、社会保険料を払えるよう、もう少し頑張って売上を
増やさないといけないとおっしゃいますが、よく聞けば利益は
出ているようです。さらにお聞きすると、売上の入金が翌々月
で人件費の支払いが先行しているにも関わらず、借入をしてい
ないことが分かりました。

借入をしない理由をお聞きすると、借入はしたいと思うが、忙
しいし借り方も分からないのでずるずると今日に至っている、
との回答です。借入さえすれば簡単に解決できる問題を先送り
して、日々資金繰りに苦労し、リスクを抱えている現状は本当
にもったいないです。

こちらの会社の本当の問題解決方法は、売上の増加ではなく、
借入です。社長様は、売上が伸びているので今月さらに1名を
増員するとおっしゃっていましたが、売上増に対応するために
人件費を増やせば、資金繰りが余計厳しくなってしまいます。

借入をすれば資金繰りが楽になるかもと思いながら、忙しいか
ら、よく分からないから、と日々過ごしておられる社長様は、
次のようなリスクが表面化する前に資金調達に動きましょう。

・社会保険に加入しないことで罰則を受けるリスク
・社会保険に加入しないことで従業員から訴えられるリスク
・税金を減らすために無理な利益圧縮を行い、税務署に指摘
されるリスク
・帳簿上の業績が悪いため、借入ができなくなるリスク
・社会保険料の不払いにより法人税が増加するリスク

弊所では資金調達のご支援を行っています。
是非ご相談ください。

売上高・粗利益率・固定費の三つは極めて重要な経営指標です。
資金繰りを円滑に回しながら、この三つの指標をコントロール
することで、利益の最大化を図ることこそが経営管理の鉄則で
す。経営者にはこれらのバランスを計る芸術的なセンスが求め
られます。

売上高・粗利益率・固定費の相関関係について検証してみまし
ょう。

■売上高が伸びると固定費は上昇する傾向にあります。

売上高を伸ばすためには、人件費や広告費等諸々の経費を要し
ます。固定費も上昇します。ただ、売上高の伸び高に対して、
固定費の伸び高を抑えることができれば、その分だけ利益が増
えます。売上高が伸びる時に、固定費の伸びをいかにして抑え
るか?これが経営の要諦です。

■売上高が急激に減少する局面においては、固定費の大幅な削
減が必要です。

営業不振で売上高が激減する局面でも、固定費の削減を思い切
ってできない経営者は少なくありません。固定費は文字通り固
定費です。意図しないと削減できません。
この決断の遅れが致命傷になることを肝に銘じてください。売
上高激減なら即刻固定費の削減を行う、これが会社を守る要諦
です。

■売上高を伸ばそうとするがために、粗利益率を落としてしま
うケースは少なくありません。

安売りや無理な仕入れ・生産のための原価アップが原因です。
売上高を伸ばしても、粗利益率を落としては意味がありません。
売上高を伸ばす時の前提条件は、粗利益率を落とさないことで
す。最低でも、粗利益額を落とさないように管理してください。
売上高を伸ばす時に、粗利益率をいかにして落とさないか?こ
れも経営の要諦です。

■固定費は簡単に増加します。

固定費の決裁権者は自社・自分です。人を雇い入れる、広告費
を使う、事務所を拡張する、すべて自分で決めることができま
す。ゆえに、売上高の増加を前提に固定費の増加を計画した時、
結果として、売上高は伸びていないのに、固定費だけが増加し
てしまう状況になりがちです。固定費の増加を伴う経営判断は、
売上高の増加基調等を見極めて、少し遅らせながら行うことが
経営の要諦です。

■粗利益率の低下を簡単に容認しないでください。

粗利益額=売上高×粗利益率、この算式を担保にして、粗利益
率が下がっても、売上高が大きく伸びれば、粗利益額も増加す
るので問題ない、とする経営判断に遭遇します。
この考え方は、原則取らないようにしましょう。これは、安売
りを容認するためにはじき出した危険な方程式です。粗利益率
は、何が有っても守りきる、これも経営の要諦です。

■経営計画(進捗管理計画)は、

1.売上高をどうするのか?どの程度伸ばす、維持する、場合
によってはどの程度落ちることを容認する。
2.粗利益率をどうするのか?どの程度上げる、維持する、場
合によってはどこまで落ちることを容認する。
3.固定費をどうするのか?どの程度の上昇を容認するのか?
維持する、削減する。

この三つの組み合わせで決まります。

売上高の伸びと粗利益率の向上は利益への貢献要因、一方、固
定費の上昇は利益に対するマイナス要因、このバランスをとる
ことで、良い会社に向かって成長できます。逆に、このバラン
スが崩れると、会社は破たんに向かいます。

経営者は、売上高・粗利益率・固定費、どれにどのくらい影響
を与えるのかを常に念頭に置きながら、一つ一つ決断してくだ
さい。そして、その結果を、数値で把握してください。そのた
めに、財務諸表があります。これが経営管理です。そして、こ
れを続けることで、真の経営感覚が身に付きます。多くの財務
諸表を駆使した高度な経営管理を中小零細企業に求めるつもり
はありません。ただ、売上高・粗利益率・固定費、そして資金
繰り、この4つの推移については、毎月~四半期(3ヶ月)の
タームで管理してください。

当事務所が提供する「資金繰り円滑化サービス」(財務部長代
行業務)は、この指標管理にも最適です。採用をご検討くださ
い。