融資が通るケースと通らないケースの違いはどこにあるのでしょうか。

先日あった大変めずらしいご相談を紹介します。

飲食業で独立を考えているAさんは、日本政策金融公庫に融資を申し込み、700万円の融資を

受けました。

しかし、出店を予定していた物件が獲得出来なかったため、融資金を一旦全額返済しました。

それから数か月して新たな物件が見つかったため、再度融資を申し込んだところ、

今度は融資を断られたそうです。

2回目の申込額が1,000万円に増えてはいますが、それでも数か月前には融資に通った人物が、

なぜ今回は通らなかったのでしょうか。

融資審査が通る要件について考えてみます。

融資審査は、ポジティブな要因がネガティブな要因を上回った時に「可決」となります。

Aさんの場合を考えます。

 

◆1回目の申し込み

<ポジティブ要因>

・飲食業のキャリアが長い。

・人気の高いショッピングセンターへの出店である。

<ネガティブ要因>

・自己資金が80万円と少ない。

・自己資金の額に比べて借入申込額が700万円と大きい。

 

◆2回目の申し込み

<ポジティブ要因>

・飲食業のキャリアが長い。

<ネガティブ要因>

・自己資金が80万円と少ない。

・自己資金の額に比べて借入申込額が1,000万円と大きい。

 

Aさんには、元々「自己資金が少ない」という大きなネガティブ要因があります。

1回目の申し込み時は、「人気の高いショッピングセンターへの出店」というポジティブな

要因があり、総合的にポジティブな要因が上回りました。

しかし、2回目の申し込み時は、立地条件が前回よりも劣っていたため加点要素がなく、

かつ申し込み金額も増加したため、ネガティブな要因の方が大きく上回ってしまいました。

 

天秤に乗せたバスケットに、ポジティブな材料とネガティブな材料をそれぞれ入れていき、

最終的にポジティブな材料が重くなれば「可決」になる。という考え方は、創業融資だけに

限ったものではありません。

これから融資にチャレンジしようと考えている方は、この考え方を参考にしてください。

創業(開業)初期には、創業赤字が発生します。

創業日当日は赤字でしょう。創業月も赤字でしょう。

赤字期間は資金が沈み続けます。

資金が底をつくまでに、黒字に転換しなければ、事業は継続できません。

(※財務的な黒字と資金の黒字とは、厳密にはイコールではありません。

ここでは資金黒字、資金赤字を指します。)

 

○では、いつ黒字になるのでしょうか?

○何を基準に赤字・黒字を判断するのでしょうか?

 

■創業に必要な最低限の「事業パッケージ」を決めることから始めましょう。

〔例〕

・従業員は2名必要…人件費

・事務所は10坪必要…保証金や備品

・自身の費用は月にいくら必要…役員報酬(生活費)

・その他費用は…

等々

必要な初期投資とランニング費用が算出されます。

必要資金と月次の損益分岐点がわかります。

自分自身が設計した「事業パッケージ」に沿って、事業の黒字ラインが決まります。

 

■創業事業計画は、「事業パッケージ」の設計に力点を置いてください。この、創業に必要な

最低限の「事業パッケージ」、これは創業の成否を決める大きな要因になります。

1.この「事業パッケージ」が大きすぎて、黒字化するまで資金が持たない、または、

実力不足でいつまでも黒字化できない。

2.この「事業パッケージ」が小さすぎて、事業が立ち上がらない。

前者が多いのですが、案外後者も少なくありません。

 

○月商400万円が月次損益分岐点売上高の飲食店、十分な経験がなければ、決して容易な

売上高ではありません。相応のメニュー・立地・マネージメントが必要になります。

初めて飲食店を開業される方には、重すぎる「事業パッケージ」です。

初めて飲食店を開業されるのなら、半分以下の損益分岐点を想定される方が

よいでしょう。(上記1)

 

○スタッフを3人雇って開業する○○コンサルティング、相応の事務所を構えて、広告にも費用を

かける、月次損益分岐点売上高は350万円になります。

相応の実績や経験がなければ、損益分岐点売上高としては小さくない計画です。

スタッフを3人雇うので、当初から受注が必要、故に、広告にも大きな費用を投入する、

このような論理で費用は膨らみます。

スタッフ1名から始めることができれば、損益分岐点売上高は、100万円程度引き下げることが

できます。(上記1)

 

○逆に、事務所も置かず、人も雇わず、1円創業・一人開業の●●コンサルタント、

営業費用もかけずに足で稼ぐ、月次の損益分岐点売上高は50万円になります。

スタート時はこれでよいとする考え方もありますが、相応の顧客を獲得することもできず、

鳴かず飛ばずで終わることも少なくありません。

お金をかけなければ良い、こんな単純な話でもありません。(上記2)

 

■「計画通りに進まない」この達観が必要です。

売上の主体は他人・世間です。自分の思い通りに行かないことが多いものです。

一方、費用や投資は、自分自身が主体者ですので思い通りに進みます。

創業計画の内、費用や投資は計画通りに執行されますが、売上は予定通りには上がらない、

これがそもそも計画と言うものです。そんなものです。この達観が必要です。

 

思い通りに行かない計画を軌道に乗せるためには、努力を継続する時間を稼ぐしか

他に方法はありません。粘ることです。粘るためには、当然資金が必要になります。

実力以上の大きな損益分岐点売上高を自らが設定して、粘る時間を敢えて短くする必要は

ありません。また、創業初期には、この粘る時間を少しでも稼ぐために、積極的に資金調達に

動くべきです。

 

■創業時には…

○自分自身にとって最適な「事業パッケージ」を設計してください。

○「計画通りに進まない」この達観を持って、「計画通りに進まない」ことに備えてください。

備えるために資金調達に励んでください。

 

創業融資サポートの詳細についてはこちら>>

http://www.kagawa-keiri.com/230/

 

ある関与先様との雑談です。毎月のお金のやりくりに結構な神経を使っているとのことです。

多忙な毎日において、「10日の入金を15日の支払いに充てて・・・足りない分の支払いは

月末に回して・・・」といった事を考えるのが面倒くさいとおっしゃいます。

 

○以下が同社のバランスシートの一部です。年商は約1億円です。

現預金   700万円 / 借入金 2,000万円

売掛金 1,200万円 / 買掛金   600万円

 

毎月末日の現預金残高は700万円程度残っていますので、根本的に資金繰りが回っていない

訳ではありません。ただ、月初から月中にかけて支払いが先行しますので、

月中の資金が一時的にタイトになるようです。財務内容は健全で調達余力のある会社です。

なぜ借入を活用しないのか不思議に思ったため、率直にお聞きしたところ、

社長は驚いた顔をして、「資金繰りが回っているのに借りる必要がなぜあるのか?」と

おっしゃいました。

社長のお考えは、「借入をしたら返さなくてはならないし金利も発生する。やりくりをすれば

資金は回るのだし、わざわざ借入をする必要はない。」とのことです。

確かに正しいお考えですが、違った考え方もできます。

「金利は発生するが、自己資金で返す必要のない借入なので借りておいた方が良い。」と

いう考え方です。

 

日繰りから解放されるために2,000万円を借りた場合のバランスシートを想像してみます。

 

○2,000万円を借りた場合のバランスシート

現預金 2,700万円 / 借入金 4,000万円

売掛金 1,200万円 / 買掛金   600万円

 

借入金残高が2,000万円増えていますが、同じく現預金も2,000万円増えていますので、

実質的な借入金の増加額は0円です。翌月の月中は一時的に現預金が減少し、

「現預金<借入金」という状態になりますが、月末には「現預金=借入金(実質無借金)」の

状態に戻ります。

「自己資金で返す必要がない。」というのは、約定返済毎に現預金と借入金が同時に減って

いくためです。単に借りたお金から返しているだけですので、約定返済が進んでも

「現預金=借入金(実質無借金)」の状態はずっと継続します。

いつでも一括返済できる現預金を有していますので、返済をそこまで意識する必要はありません。

もちろん金利は必要です。

仮に2,000万円を2%で調達したとして、年間40万円、毎月3万円強の金利です。

但し、社長が日繰りから解放され、より生産性の高い経営に専念できることを考えると、

決して高くはないはずです。

 

関与先様も、「借入は出来るだけしない方が良いという固定観念があり、日繰りを行うのが

当たりまえの日常になっていた。」とおっしゃっていました。

 

今では、キャッシュポジションを高く取る経営を実践し、

日繰りから解放されて経営に専念しておられます。

■創業時には、適切と考える固定費を算出して、その固定費を稼ぐための損益分岐点売上高を

見つけてください。粗利益率も想定してください。

・適切と考える固定費

・想定した粗利益率

・必要な損益分岐点売上高

まずは、固定費を無駄に膨らませない、粗利益率を安易に落とさないで、必要な売上高を

確保することに集中しましょう。

そして、この損益分岐点売上高を確保できるまでの赤字期間をしのげるだけの資金調達を

継続して行いましょう。

さらに、この期間の資金繰り計画を立てて管理してください。

 

■ここからが本題ですが…

○短期間で破たんする創業者の特徴は、

・上記の計画を持っていない

・上記の計画を立案すると、整合性がそもそも取れていない

(計画がないから気付かないが、上手く行っても破たんしていた。)

・損益分岐点売上高を安易に達成できると思い込む

・適切と考える固定費が高すぎるために、損益分岐点売上高が実力に対して高すぎる

創業融資の計画等で、金融機関が確認したいのは、上記の事柄です。

 

○従って、創業融資の計画書では、以下の事を織り込みます。

・損益分岐点売上高の実現可能性の確認(実現できる蓋然性が高いこと)

・計画上の整合性の確認

・計画が遅れた時の備え(資金余力)

創業計画は、利益計画よりも、資金繰り計画を立案すべきです。

 

■ここからがさらに本題ですが…

○そもそも計画通りに事業が立ち上がるのか?

・もちろん計画次第ですが、計画通りに進まないのが事業です。計画通りに立ち上がらないことを

想定内として事業を開始すべきです。

・計画通りに立ち上がらないことへの備えは、資金的な余力を持つことしかありません。

・もちろん、永遠に立ち上がらない事業なら早めに手仕舞いすべきですが、事業に自信が

あれば粘るべきです。そのためには資金が必要です。

 

○過度に保守的になって、必要な投資や経費を掛けられない創業者も事業を立ち上げられません。

・事業に応じた投資や経費は投入しないと事業としての体を成しません。これができないために

立ち上がらない事業もあります。

○計画は計画、適時見直しも必要です。

・やってみないとわからない、これも事業の本質です。

・当初の計画にとらわれ過ぎず、適時修正を加える判断も重要です。

 

■いよいよ本題ですが…

「現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応していくことになるだろう」

「実現された戦略は最初から明確に意図したものではなく、行動の一つひとつが集積され、

その都度学習する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される」

〔『戦略サファリ』(ヘンリー・ミンツバーグ氏著・齋藤嘉則訳)より引用〕

※ヘンリー・ミンツバーグ氏は、カナダのマギル大学経営大学院のクレゴーン記念教授、

およびINSEADの組織理論学の教授。古典的な経営理論を批判する異色の経営学者、

欧米ではピーター・ドラッカーと並び称される経営学の大家です。

 

計画がなければ始められません。進むべき大体の方向、道しるべが必要です。

また、どれぐらいのペースで進めば、主に資金が足りるのか、一つの基準としても計画は有効です。

一方、近未来を完全に予見できる程の知見を持ち合わせている人は稀有です。

また、日々の経験と成長は、新しい気付きをもたらします。当初計画へ固持し過ぎると、

新しい気付きを反映できなくなります。

計画の必要性を認識しながらも、当初の計画にとらわれ過ぎない経営が必要です。

ヘンリー・ミンツバーグ教授のメッセージを、再度ご確認ください。

 

「現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応していくことになるだろう」

「実現された戦略は最初から明確に意図したものではなく、行動の一つひとつが集積され、

その都度学習する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される」

 

創業融資サポートの詳細についてはこちら>>

http://www.kagawa-keiri.com/230/

マイナス金利政策の導入に伴い、貸出金利引き下げの動きが見られます。

借入の活用を考えている経営者様も多いと思いますが、借入による調達と資本による調達の

効果的な使い分けについて解説します。

会社の総資本は、借入(他人資本)と資本(自己資本)から成り立っています。

費用の観点から見ると、借入は固定的な利息の支払いが発生し、資本は業績変動により

配当が発生します。

 

■ 総資本が1,000万円の下記2社を比較します。

・A社は、総資本の100%が資本です。借入はありません。

・B社は、資本が200万円で借入が800万円です。 (借入金の金利は3%)

 

両社ともに80万円の営業利益を出した場合、A社の税引き前利益は80万円となりますが、

B社は約24万円の利息が発生しますので、税引き前利益は56万円となります。

しかし、資本で稼いだ税引き前利益の割合で考えると、A社の資本利益率は8%であるのに

対して、B社の資本利益率は28%となります。B社の方がA社よりも資本効率が20%高く

なっています。

このことから、借入を活用した方が、自己資本だけで事業を行うよりも、資本の効率が高くなる

ことが分かります。

これを財務レバレッジと呼んでいます。

 

ただ、逆に営業利益が20万円に減少した場合、A社の税引き前利益は20万円と変わりませんが、

B社は、利息の支払い約24万円により、税引き前利益が▲4万円となります。

この場合の資本利益率は、A社が2%であるのに対して、B社は▲2%です。

財務レバレッジは、プラスだけでなくマイナスにも大きく作用することを忘れてはいけません。

利益が確実に獲得できる状況であれば、借入を積極的に活用することで、効率よく大きな利益を

獲得できます。

一方、利益があまり取れない状況であれば、反対に、借入利息が利益を圧迫してしまいます。

 

自社が成長段階にある場合は、借入の積極的な活用を検討してみる価値がありそうです。

しかし、新規事業への取組等、赤字が見込まれる場合は、借入よりも資本の活用が適しています。

日本政策金融公庫が取り扱う資本性ローン等にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有することを宣言する当事務所には、

様々な相談が寄せられます。

前回に続いて、一部をご紹介させていただきます。

 

Q9:

『融資依頼を行ったら銀行の担当者に「役員報酬が少ない。」

と言われた。役員報酬が少ないと借入れが受けられないのか?』(相談者様)

A9:

融資依頼をするために決算書を提示した時に、出入りの銀行の担当者が

「役員報酬が少ないですね。」と言ったそうです。

併せて、新規の融資に難色を示されたので、相談者様は役員報酬が少ないと借入れが

受けられないのか?との疑問を持たれたようです。

○金融機関が新規の融資を検討する時には、まず現状の財務の健全性を確認します。

・簡易キャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)を確認します。

・この簡易キャッシュフローの要素となる税引き後利益を確認するために、販売管理費も

確認します。

・この時、役員報酬が過少であれば、本来はもっと役員報酬が必要となるため、

税引き後利益が少なくなるのではないか? と考えたと推測できます。

・金融機関が考える役員報酬額に置き換えた時、簡易キャッシュフローが極小であったため、

新規融資に難色を示されたようです。

○役員報酬の多い・少ないではなく、実態の税引き後利益がポイントです。

※融資審査時の財務診断は他にもあります。簡易キャッシュフローの診断はほんの一部です。

◎当事務所にて、診断を行った結果、奥様の所得が給与に計上されており、

社長様の役員報酬は過少であっても、世帯所得は常識の範囲内である、

役員報酬額の是正(税引き後利益の減額補正)は必要ない旨を、銀行担当者に説明することで、

理解を得ました。誤解を解きました。

金融機関との折衝は、当事務所が行いました。必要な金額の新規融資を調達できました。

 

Q10:

「雨が降ってきたから傘(お金)は貸さない、晴れている時は傘(お金)を貸すと言う」銀行とは

どんなところだ?

A10:

6か月前に融資を受けませんかとの提案をいただいたそうです。

その時は断ったが、その後、主要な取引先との取引がなくなって、業績が悪化して

赤字に転落しています。(試算表ベースで大赤字です。)

同じ銀行に融資依頼を行うも、「融資できない(銀行担当者)」との回答だったそうです。

○金融機関は総じて、「雨が降っている時には傘を貸しません。晴れたら傘を貸しに来ます。」

金融機関にあるのはすべて「日傘」ですから当然です。

金融機関にある傘はすべて「日傘」であって「雨傘」ではないことを理解してください。

金融機関対応はこの趨勢を理解して行わないと本事案の様な間違えを起こします。

※「雨傘」は、国策としての制度融資や制度保証として時々貸し出される例外です。

 

◎当事務所にて財務診断を行いましたが、足元の業績の悪化が顕著で、

新規借り入れの返済原資となるキャッシュフローの見込みが立ちません。

新規の借入れは無理です。

・経営改善計画書を作成して既存借入れのリスケジュール(返済金額0円)を即座に実行しました。

・資金繰りシミュレーションを継続的に行いながら、資金ショートの回避と収支バランスの改善に、

財務部長として継続してご支援させていただいています。

当事務所のサービス「資金繰り円滑化サービス(財務部長の代行業務)」を導入いただいています。

社長様の経営改善を 資金繰り・財務面で継続的にサポートできています。

収支改善の目途が付けばいち早く、資金調達にもチャレンジします。

(この時は、リスケジュールを同時に解消します。)

 

あるお客様との会話です。「『財務』という単語を日常使っているが、よくよく考えると

『財務』とは何かが分かっていない。

何となく『財務分析をするようなこと』と理解しているが正しいか?」とのご質問がありました。

確かに一口に「財務」といっても広範囲に渡るため、言葉の定義が人それぞれ違っている

可能性があります。

辞書で「財務」と調べても、「財政に関する事務」となっており明確な定義は分かりません。

財務の定義を明確にするために、まずは目的から考えてみます。

財務の究極の目的は、「資金に困らないこと」です。

よって、

資金に困らないために行う活動を「財務」と定義すると分かりやすいのではないでしょうか。

 

資金に困らないために行う代表的な活動は、「ファイナンス(資金調達)活動」です。

ファイナンス活動とは、単に銀行に融資を申し込むことではありません。

銀行から融資を受けやすくするために、常日頃から行う以下の活動もファイナンス活動に

該当します。

 

■ 具体的なファイナンス活動の例

・会計数値をタイムリーかつ正確に集計する。

・集計した財務諸表を見て財務状態をチェックし、改善を促す。

・資金繰り表を作成して資金管理を行う。

・事業計画書を作成して財務目標を明確にする。

・銀行に対するディスクロージャーを継続的に行って信頼関係を構築する。

・資金が必要な時には資金使途と返済原資を明確にした資料を作成し、金融機関に案件説明を

行う。etc

 

人材の少ない中小企業は営業活動が最優先ですので、ここまでのファイナンス活動を

実施している会社は殆どないと思います。

しかし、営業活動をしっかりやられている会社ほど、財務活動に力を入れると大きな効果を

得られます。

弊所が提供している「財務部長代行サービス」を導入いただいたお客さまの感想を紹介します。

 

■ 財務をプロに任せると・・・

・運転資金に余裕ができ資金面の不安が減りました。/加工業S社

・企業規模に比べて大きな資金調達が成功し、保証金の高い好立地の物件を取得することが

できました。経営のステージが変わったと感じます。/飲食業A社

・資料の作成など、銀行対応に費やしていた時間が削減できました。/建設業M社

・銀行の対応ががらりと変わり、お付き合いがうまくいくようになりました。/卸売業K社

 

もちろん、営業活動をしっかりやっていれば最低限の融資を受けることはできます。

しかし、金融機関との信頼関係が強固ではありませんので、事業をスケールアップするための

融資に難色を示されたり、少し赤字を出しただけでネガティブな対応を取られたりします。

財務は、お金の心配をせずに、落ち着いて経営に専念できる環境をもたらします。

弊所の財務部長代行サービスにご興味のある方は、是非、お問い合わせください。

 

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有することを宣言する当事務所には、

様々な相談が寄せられます。

前回に続いて、一部をご紹介させていただきます。

 

Q7:

『創業融資依頼時点ですでに支払いを済ませた店舗保証金分の領収書を提示したが、

これでは自己資金の証明にならないと、公庫担当者に言われた。』(相談者様)

A7:

日本政策金融公庫の創業融資の要件の中に、自己資金を有すること

「…創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方。」とする

項目があります。

 

○ポイントは自己資金の出所の証明です。

・この資金は、確実に当該事業の資金として利用されること

・短期的な返済等を必要とする資金でないこと

・創業者が自分自身で蓄積した資金が好ましいとされています。

※長期間に渡る計画的な貯蓄等は、創業者の堅実性の証明にもなります。

 

○短期的に資金を借入れなどで調達し、それを自己資金と称し、

日本政策金融公庫から融資を受けた資金で返済する、

このようなことにならないために確認されます。

・領収書は支払いの証明書であり、その資金の出所の証明にはなりません。

・求められているのは、出所の証明です。支払いの証明ではありません。

 

◎当事務所にて、当該資金の出所のエビデンス、本案件の自己資金は、

親御さんからの支援が大半を占めており、その親御さんの銀行口座の残高の確認、

その残高蓄積の経緯、その資金が相談者様に移行したエビデンスを準備して

公庫の融資依頼資料として提示し、その詳細を説明することで、理解を得ました。

金融機関との折衝は、当事務所が行いました。必要な金額の創業融資を調達できました。

※親御さんからの援助資金を自己資金とするとき、その資金のエビデンスに当たる

親御さんの預金通帳等の開示も求められます。

 

Q8:

『信用保証協会の保証付き融資、新たな借入れを依頼したら、

「前回の借入れが資金使途違反に当たるので、新たな保証は出来ないと

保証協会に指摘された。前回融資分の完済も依頼された。(銀行担当者)」』(相談者)

A8:

該当する融資の詳細を確認したところ、

・当該融資は設備投資資金

・借入金額と投資資金の金額は同額、問題なし

・借入れ日の前に当該資金を支払い済み、これが資金使途違反に当たります。

※大変厳しいように感じますが、信用保証協会の保証付き設備投資資金は、

当該資金の入金後に、当該設備投資費用を支払う必要があります。

この順番が逆転した領収書で指摘を受けています。

 

○信用保証協会の保証付き設備投資資金は、その保証金額と投資金額の整合性だけでなく、

その支払い時期についても、厳格なルールがあります。

○(参考)日本政策金融公庫の設備投資資金は、

・その金額が1,000万円以下の時は、決算書提出時に結果をトレースされます。

・その金額が1,000万円超の時は、投資実行後にその結果をトレースされます。

・支払日については、その期間の幅を認めてくれます。

※設備投資資金として調達した資金を、他の用途に利用することは出来ません。

少なくとも、次回以降の融資が受けられません。本来は完済を求められます。

 

◎当事務所にて、支払い時期ずれについてその悪意がない旨を、銀行を通じて

信用保証協会にお伝えすると同時に、当該銀行の協力を得られたので一旦完済した後に、

再度必要資金の調達を行うことができました。

信用保証協会の寛容な判断、銀行の協力、何よりも会社様の業績が極めて良好であったことが、

解決できた理由です。

その後、資金繰りシミュレーションの継続と、タイムリーな資金調達を行う当事務所の

サービス「資金繰り円滑化サービス」を導入いただいています。

社長様の営業戦略を資金繰り・財務面で継続的にサポートしながら、

この様な金融事故を未然に防ぐこともできます。

先日、

「現在リスケジュール中だが、金利の支払いが厳しいため、金利を引き下げたい。

良い方法はないか?」

とのご相談がありました。

業績の良し悪しに関係なく、誰もが金利を引き下げる方法について興味があるのでは

ないでしょうか。

金利決定のメカニズムは単純です。ある企業に対して、貸したいと思う銀行が多ければ

金利競争が発生して金利は低くなります。

反対に貸したいと思う銀行が少なければ金利競争は発生しませんので金利は高止まりします。

また、銀行は融資先を財務内容によってランク付をしており、ランク毎に目安となる金利を

設定しています。

財務内容が良い企業は金利が安く、財務内容が悪い企業は金利が高くなるよう、

銀行内のルールで事前に金利が決められていることを考えると、

金利交渉の余地はあまりないことが分かります。

弊所が財務部長を代行している企業様の例ですが、2.5%の金利で7,000万円の

手形割引を行っている銀行が、自ら、手形割引の代わりに使って欲しいといって、

1%弱の金利で長期融資を提案してきたことがあります。

金額にして年間100万円以上の金利減です。

このようなことが起きる背景は、第一に業績が良くなったこと、

それから複数行と融資取引を開始したことが挙げられます。

まずは、業績が良くなければ、そもそも銀行は魅力を感じてくれません。

次にライバルとなる銀行の存在です。1行取引では競争原理が働きませんので、

複数行と融資取引を行い、お互いが切磋琢磨してもらえる環境を作り出すことで、

こちらが働きかけることなく、先方が進んで低い金利を提示してくれるようになります。

では、現在リスケジュール中の企業が金利を引き下げることは可能でしょうか。

お分かりのとおりほぼ不可能です。

リスケジュールを受け入れている銀行は、これ以上融資をしたいと考えてはいません。

むしろ、早く融資を回収したいと考えています。

金利を下げる動機、必然性がありませんので、基本的には難しいと考えるのが自然です。

金利は財務内容に連動すると説明しましたが、

「業績が悪化した際に利用するセーフティネットは金利が低いではないか。」

と考えた方もいらっしゃると思います。

同じ銀行が提案に来るため紛らわしいのですが、セーフティネットは国の政策であり、

民間金融機関が営利目的で行っている融資とは根本が違います。

営利企業である民間金融機関が、救済目的で低い金利を提案することは、預金者や株主の手前、

許されません。

 

金利はあくまでも貸し手の条件です。貸し手の間で競争が起きなければ金利は下がりませんので、

まずは貸し手にとって魅力のある財務内容を目指しましょう。金融機関が評価する財務の

ポイントについて、個別でご相談をお受けしております。

もちろん無料ですので、お気軽にお問合せください。