「大手量販店で商品を取り扱ってもらえることになりました!
値段は厳しいですが大幅な売上増が見込めます!」と喜んだ数
ヶ月後、「売上高は目論見どおり伸びましたが、利益は半減、
資金繰りも厳しくなってしまいました・・・」という場面に遭
遇することがしばしばあります。

大手量販店との取引は魅力的ですが、たとえ相手が大手であっ
ても、安易に価格を下げて取引を行うことは、良い結果に繋が
らないケースが多いようです。冷静に採算を判断することをお
すすめします。

原価3,000円の商品を、5,000円で販売した場合と、4,000円で
販売した場合を比べてみます。5,000円の場合、500個販売す
れば100万円の粗利益を獲得できます。同じ100万円の粗利益
を獲得するのに、4,000円の場合は1,000個の販売が必要です。
5,000円で販売するより、4,000円で販売した方が多く売れる
ことは予想できますが、販売個数が2倍になってはじめて粗利
益は同等になります。

冒頭の企業様は、大手量販店と取引を開始したにも関わらず、
売上高が1.5倍程度しか伸びなかったため、従来よりも粗利益
率が低下しました。また、販売個数が大幅に増えたことにより、
配送コストと在庫管理のコストが増加しました。さらに、欠品
が許されないと在庫を多めに抱えたため、利益が半減しただけ
でなく、資金繰りまで大きく悪化しました。

「売上高が大きい」「大手企業と付き合いがある」というのは
必ずしもメリットばかりではありません。

・製造の機械化を行うことで製造コストを引き下げることがで
きる。

・多額の資金を費やして大量仕入れを行うことで仕入コストを
引き下げることができる。

など、しっかりとした根拠に基づく価格の引き下げであれば問
題ありませんが、単に売上が増えるからというだけで価格を引
き下げるのは正しくありません。

資金や人的資源が不足している中小規模企業の場合、低価格大
量販売は難しいという認識を持ち、低価格路線に安易に流れる
のではなく、適正な利益で販売できるよう努力するのが正解と
考えます。「大手から声がかかった!」というのは、「実は採
算が合わないため誰もやりたがらない仕事だから話が回ってき
た。」ということも往々にしてあります。
慎重に検討してください。

未来を背負ってもらえる若者たちの成長と活躍を願いながら、
前向きなメッセージを発信させてもらいます。新入社員に伝え
てあげてください。

■社会人として二十年近く時間を経て四十歳ぐらいになると、
そのビジネスマンとしての実力の差は歴然とします。雲泥の差
です。

○出来る分野・領域の広さに大きな差が付きます。太平洋とプ
ールの差です。
・良くできる人は、概ねどんな業務もやる気になれば対応でき
ます。
・そうでない人には、極めて限定的な作業しか与えられません。
できないからです。

○業務の精度・スピードに雲泥の差が出ます。
・知恵を使う業務であれば、できる人とそうでない人の差はざ
っと10倍ぐらいでしょうか。
・単純な業務であっても、その差は3倍ぐらいになるように感
じます。

社会人として、上記の事実を早い時期に知っておくべきです。
なぜ、これだけの差がついてしまうのかを、論理的に考えてみ
ましょう。

■高校時代の運動部のことを思い出してください。

○放課後真面目に練習を継続している野球部のメンバーと、野
球部でないメンバーが、三年生の時に試合をしたら、この差は
歴然です。たった二年強の期間、一日当たり数時間の練習を継
続するかしないかの違いが、この雲泥の実力の差を生みます。

○スポーツより複雑でわかりにくいので自覚しにくいですが、
二十年という年月は、上記の何十倍もの差を生んでいます。
そして、見る人が見れば、その差は歴然です。四十歳のビジネ
スマンの実力に、想像を絶するぐらいのかい離があることを想
像いただけるはずです。

■仕事は上手になってください。好む好まざるにかかわらず、
社会人として長期間生きて行かねばなりません。会社のためだ
けではありません。何より自分自身のためです。

そのために…

◆1.目先の仕事に徹底的に真摯に取り組んでください。
どんな仕事に対しても、「だれにも負けない」との思いを込め
て、全身全霊で取り組んでください。机を拭く、こんな仕事で
も、「だれにも負けない、私の机の拭き方は、誰よりきれいで
効率的だ」と自負できるようにあたってください。一つ一つの
この真摯な取り組みの集積が、自分自身の仕事への精度と執着
を養ってくれます。

◆2.正確な実務能力を身に着けてください。
書類を正確に早く作成する、文章を正確に早く書く、過密なス
ケジュールを効率的に乗り切る…これらを実務能力と呼びます。
この実務能力がその人のポテンシャルになります。若い間は、
可能な限り多くの業務をやりきる訓練を積んでください。

◆3.仕事の予習と復習をしてください。
アフターファイブや休日にも、仕事の予習と復習を欠かさず行
いましょう。この差がビジネス力の差を生みます。また、自分
自身の勉強の時間を確保してください。生涯勉強です。すべて
自分の財産になります。できるビジネスマンは習慣になってい
ます。

◆4.本を読んでください。
できるビジネスマンの多くは読書家です。逆に、できないビジ
ネスマンの多くは本を読んでいません。週一冊本を読めば、
(四十歳を迎える)二十年で千冊強の本と出会えます。この千
冊の引き出しの有無が、ビジネスマンとして、人としての実力
の差の原因の一つです。
※最近はオンライン講座なども良いかも知れません。

◆5.良い仲間を見つけてください。
仕事に真摯に取り組む仲間、向上心のある仲間を見つけて親交
を深めましょう。類は友を呼びます。自分の仲間の属性は、そ
のまま自分自身の姿です。「明るく・朗らかで、前向きで、向
上心の強い勉強好きな」仲間たちと、お互いの成長を確かめ合
いながら生きていきましょう。

人は公平ではありません。これは紛れもない事実です。何故な
ら、過去(の努力)が違うからです。このことを肝に銘じてく
ださい。二十年後に後悔しないために、自分自身ができるだけ
主導権を握れる人生を送るために、長期目線でしっかり力を付
けましょう。(※新入社員に伝えてあげてください。)

◎参考データ:
〔(株)リクルートマネージメントソリューションズ
(2014年データ)〕

■自主的な学習に費やす時間は1週間にどれぐらいですか?

○新人
平均4.96時間(43分/1日)、1時間29.3%、8時間以上17.9%
○若手
平均3.32時間(29分/1日)、1時間37.5%、8時間以上9.5%
○中堅
平均3.94時間(34分/1日)、1時間35.9%、8時間以上11.5%

一週間に1時間と回答した人の未来は統計的に知れています。
自らの意思で負け組に向かって歩んでいます。8時間以上の人
には高い確率で勝てません。貴方は、1週間に何時間勉強しま
すか?決意を持って社会人のスタートを切ってください。

先日、創業資金の調達をお手伝いさせていただいたAさんの事
例です。勤めている会社を退職し、株式会社を設立して、店舗
を作りたいというご相談でした。

■ 創業プランは以下のとおりです
事業内容:一般消費者向けの小売業態
総投資額:6,800万円(設備6,000万円+運転800万円)
調達計画:自己資金800万円、勤務していたメーカーからの
借入3,000万円、金融機関からの借入3,000万円

勤務していたメーカーから3,000万円の資金支援を受けられる
予定ですが、総投資額が大きいため、金融機関からも3,000万
円の調達が必要です。創業資金の最も有力な調達先は日本政策
金融公庫ですので、今回も日本政策金融公庫からの調達を主と
して調達の計画を立てました。公庫の創業融資のポイントは以
下のとおりです

【自己資金】
創業融資審査における最も重要なポイントは自己資金です。自
己資金は多ければ多いほど良いのですが、日本政策金融公庫は、
最低でも総投資額の10分の1以上の自己資金を求めています。
今回の総投資額は6,800万円で、自己資金は800万円ですので、
自己資金の要件は何とかクリアしています。また、この800万
円は、あくまでも資本金として事業に費やす金額であり、別途、
個人的な貯蓄として500万円程度を有していました。

【キャリア】
次に重要なポイントはキャリアです。創業する事業に対する経
験や実績が重視されます。Aさんはメーカーに勤務し、小売店
の販売を指導する職務に従事していました。数多くの店舗の経
営指導をしてきた実績があり、当該事業はビジネスとして採算
が合うことを確信したため独立を決意しました。キャリアは十
分です。

【総投資額】
今回最も大きな懸念点となったのは総投資額です。申し込み要
件には明確に記されていませんが、日本政策金融公庫には、最
初は小さな投資から始めることを良しとする価値観があります
ので、6,800万円という初期投資が問題となりました。

調達金額が大きい場合の対処法は次が有効です。

・公庫の単独ではなく、民間の金融機関からも調達を同時に行
う協調融資で案件を組み立てる。

・認定支援機関の助言を受けて事業計画書を作成し、経営力強
化資金を利用する。

本件も、公庫2,000万円、保証付き融資1,000万円で案件を構
築し、最終的には満額の資金調達ができました。金融機関の担
当者にお話を聞くと、「金額が大きく難しい案件だったが、自
己資金とキャリアがしっかりしていたことに加え、計画書類が
充実していたこと、また、個人資産の開示等に協力的であった
ことが決めてとなった。」とおっしゃっていました。

『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どのように売るのか?』、
この4つの要素の組合せがビジネスモデル(の概況)です。
創業・開業や新規事業を起こす時に、これらの4つの要素をす
べてゼロから構築する計画は大変難解です。特に、『何を?』
と『誰に?』の2要素の内の一つは、すでに持ち合わせたモノ
を利用することをお薦めします。

◆ケース1:既存の商圏から、『何を?』と『誰に(顧客)?』
を持ってくる創業は比較的容易です。

前職の会社で、自身が扱っていた商品とサービスを、一部の顧
客ごとそのまま横滑りさせて起業するケースは、初期の立ち上
げが容易です。デスバレーもほとんど作らずに、初年度から相
応の売上と黒字を出せる会社様の大半はこのケースです。ただ
し、前職の会社との折り合いがついていなければ、トラブルを
誘発する可能性もあります。注意が必要です。また、その後事
業が停滞する確率が高いのもこのケースです。そもそも既存の
商圏の一部を移転させたわけですから当然です。新たな創造が
求められます。

◆ケース2:『何を?』と『誰に?』の2要素をゼロから作る
創業は大変難解です。

商品やサービスが現存せず、顧客も持ち合わせていない状態で
の創業です。そのマーケットが相当有望であったとしても、大
きな先行投資が必要になります。デスバレーも深く長いものに
なります。ビジネスに対する知見と資金力を有する者のみが挑
戦できる創業と考えてください。頓挫する確率の高い創業です。
※ただし、これを立ち上げられる経営者は、その後の大化けが
期待できます。

◆ケース3:『何を?』を持っていて、これから『誰に?』
『いくらで?』『どのように売るのか?』を創造
する創業が一般的です。

自身の得意な『何を?』、商品やサービスを有している状態で、
顧客を創造するケースです。相応のデスバレーは存在しますが、
ケース2のデスバレーよりは、はるかに小さいはずです。
※ケース3よりはレアですが、『誰に?』を持っていて、
『何を?』を創造する創業もあります。

□『何を?』と『誰に?』を共に有する創業は…◎
□『何を?』を持ち合わせた創業は…○
□『何を?』も『誰に?』も持ち合わせていない創業は…×(難解)

大変大雑把な分類ですが、判断基準として有意性があります。

◆ケース4:『いくらで?』を高めに設定できる創業者様と、
安めに設定してしまう創業者様がいます。

□高めに設定できる創業は…○
□安めに設定する創業は…×
これも有意性があります。

◆ケース5:ITに関するリテラシーの高い創業者様と、そう
でない創業者様がいます。

□ITリテラシーの高い創業者様は…○
□ITリテラシーの低い創業者様は…×
これも有意性があります。

◆ケース6:資金力(調達力も含めて)のある創業者様と、
そうでない創業者様がいます。

□資金力(調達力も含めて)大の創業者様は…○
□資金力(調達力も含めて)小の創業者様は…×
これも有意性があります。

◎『何を?』と『誰に?』、少なくとも一つを持ち合わせ、
『高めの価格設定』で、『ITリテラシーは高く』、『資金力
(調達力も含めて)の有る』創業者様は、その成功確率が高い
ようです。

入社した時、その会社にはすでにビジネスモデルが存在し、
ある程度円滑に機能しています。新入社員は、このビジネスモ
デルに沿って、『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どのよ
うに売るのか?』の4つの要素の一部を担います。その地位が
上がっても、その関与する範囲を拡大させるだけで、過去のビ
ジネスモデルを踏襲するケースがほとんどです。結果として、
ほとんどの人が、『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どの
ように売るのか?』を真に創造したことがありません。
過去のビジネスを踏襲しながら改善することと、ゼロから創造
することには雲泥の差があります。創業・開業時や新規事業を
はじめる時には、肝に銘じてください。

中小企業経営承継円滑化法とは、中小企業の経営承継を円滑に
することを目的とした法律です。都道府県知事の認定を受ける
ことで、相続税・贈与税の納税猶予の特例、代表者交代による
信用不安を補完する金融支援、遺留分に関する民法の特例、を
受けることができます。

◆ 事業承継税制(特例措置)の概要
後継者が相続又は遺贈により取得した株式等に係る相続税の
100%が猶予されます。本制度の適用を受けるためには、経
営承継円滑化法に基づく都道府県知事の「認定」を受け、報告期
間中(原則として相続税の申告期限から5年間)は代表者とし
て経営を行う等の要件を満たす必要があり、その後は、後継者
が対象株式等を継続保有すること等が求められます。また、後
継者が死亡した等の一定の場合には、猶予された相続税が免除
されます。

◆ 金融支援の概要
事業承継の際に、会社や後継者である個人事業主あるいは代表
者個人が資金を必要とする場合に、日本政策金融公庫あるいは
沖縄振興開発金融公庫の低利融資制度による支援を受けること
ができます。また、事業承継に関する資金を金融機関から借り
入れる場合には、信用保証協会の通常の保証枠とは別枠が用意
されます。

◆ 遺留分に関する民法の特例
推定相続人が複数いる場合、後継者に自社株式を集中して承継
させようとしても、遺留分を侵害された相続人から遺留分に相
当する財産の返還を求められた結果、自社株式が分散してしま
うなど、事業承継にとっては大きなマイナスとなる場合があり
ます。このような問題に対処するため、経営承継円滑化法は、
推定相続人全員の合意の上で、現経営者から後継者に贈与等さ
れた自社株式について、遺留分算定基礎財産から除外できたり、
又は遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定
することができます。

上記のとおり、様々な制度が用意されていますが、事業を引き
継ぐ意欲のある後継者や従業員がいたとしても、やはり、負債
や資金面で断念するケースが現実的には多いように感じます。
このようなケースにおいては、日本政策金融公庫や保証協会の
金融支援が大いに役立ちます。事業承継を考えていらっしゃる
経営者様は、是非、ご相談ください。

自動運転やライドシェアの進展によって、近未来の車の販売台
数は激減するはずです。英金融大手のバークレイズは、米国の
新車販売市場は40年までに4割縮むとの予測を示しています。
車を個人で所有するのではなく、共有されるとなると、これま
での車の概念が大きく変わります。
また、年間販売台数1,000万台を超えるトヨタ自動車の時
価総額22兆円に対して、高々数十万台しか販売していないテ
スラモーターの時価総額が5兆円、電気自動車の隆盛と、内燃
機関の没落を象徴しています。
個人所有のパーソナル市場で台数を稼ぎ、複雑難解なエンジン
の開発・生産力と、数万点以上にも及ぶ部品の調達とアッセン
ブリ―能力で、圧倒的な参入障壁を維持できた自動車メーカー
にも暗雲が立ち込めています。

トヨタ自動車の豊田社長は、「私たちの競争相手はもはや自動
車会社だけではなく、グーグルやアップル、フェイスブックの
ような会社もライバルになってくる」「様々なコネクティッド
サービスに必要な、モビリティサービスプラットフォームをつ
くる会社になる」と明言されています。
トヨタ自動車ですら、全く新しいビジネスモデルの創造を強い
られています。早期に実現できなければ、エクセレントカンパ
ニーからただの大企業に転落するのでしょう。
『make a change』、変化に対応しなければ我々も存在意義を
無くします。最も重要な経営者の仕事、いや、経営者の唯一の
仕事は、数十年後にも隆々と事業を営めるように事業を変化さ
せる、そのために学び、行動すること以外にありません。

■経営を変えるための5つの切り口!
事業立地・ビジネスの型・集中度合い・値決め・ナンバーワン
発想!を変える。

◆1.事業立地(ポジショニング)を変える!
※一にも二にもこれが重要です。

『…覚えておきたいのは、「一にも、二にも、三にも人」では
ない。一貫してうまくいく有効な解答は、「一にも、二にも、
三にも(事業の)ポジショニング」だ。…』
〔リチャード・コッチ氏(大成功を納めた投資家)〕

『…(高収益企業の研究を通じて)成功例に共通している点は
一目瞭然だった。「事業立地(ポジショニング)」がよいとい
うことだ。仕事の仕方の工夫や製品開発ではなく、そもそも
「何屋さんをやるか」の選び方が優れている。…』
〔三品和広教授(高収益企業研究の第一人者)〕

繰り返しご紹介していますが、上記のメッセージは心に留め置
いていただきたい内容です。レッドオーシャンのど真中に立っ
ているなら、立ち位置をずらしてブルーオーシャンを狙うべき
です。この事業の立ち位置、事業立地を確認してください。事
業立地を変えることは、事業自体を変えるための最も重要な要
素です。

◆2.ビジネスの型を見直す!

経営の幅(商品・サービスや販売拠点等)が伸びきったストアー
型(総合型)のビジネスは総じて苦戦しています。成熟社会の
日本では厳しいようです。脱・ストアー型、プロダクト型(集
中型)からプラットフォーム型を狙う流れが主流です。強いプ
ロダクトに仕上げた上で、プラットフォームの構築を目指して
ください。ビジネスの型を変えることは、事業自体を変えるた
めの最も重要な要素のひとつです。

◆3.集中するために絞り込む!

経営資源が分散していないかの検証も必要です。絞るから強く
なる、絞ることがすべての起点になります。ビジネスの型その
ものだけでなく、ありとあらゆるものを絞り込むことで集中す
る、この発想が重要です。絞り込むと事業自体が変わります。

◆4.高付加価値を狙う!

売上至上主義からの脱却が必要です。必要なのは粗利益であっ
て売上ではありません。繁盛貧乏の原因は過度な売上至上主義
です。「薄利な売上ほど邪魔なモノはない。」、「価格を売る
ための道具に使わない。」この発想を持ってください。高付加
価値化を図ることで、その事業の立ち位置、生きる世界を変え
られます。

◆5.ナンバーワンよりオンリーワン、アッパーニッチ戦略を!

今ないモノ、あっても注目されていないモノ、マーケットが小
さすぎて大手が参入しにくいモノを対象とするビジネスは前途
洋洋です。ナンバーワンは、競争に勝って一番になることです。
オンリーワンは、競争せずに一番(?)になることです。競争
しないためには、他人・他社と違うこと、世の中にないことを
行うことです。お金・人・モノ、これらの経営資源の乏しい会
社こそ、競争しない経営を心掛けるべきではないでしょうか。
小規模零細企業、または、これから独立開業される方こそ、こ
の発想が重要です。
誰もが腰を抜かすような、画期的な商品やサービスを開発する
に越したことはありませんが、容易ではありません。いきなり
このようなことができる会社・社長は稀有です。そうではなく、
今取り組んでいる事業の、ほんの少し目先を変えて、どこにも
ないモノ・コトを開発しましょう。ナンバーワンを狙わずにオ
ンリーワンを目指すことで、経営の目標が大きく変わるはずで
す。『make a change!』に挑戦してください。

借入には1年以内に返済期日が到来する短期借入と、返済期日
が1年を超える長期借入があります。売上金の回収期間が仕入
の支払期間より長い場合に発生する経常運転資金は、回収サイ
トに合わせて短期借入で調達するのが一般的でしたが、近年は
長期運転資金として調達するのが一般的になっています。

◆ 短期借入と長期借入の違い
短期借入と長期借入は、融資審査において、評価ポイントが変
わってきます。短期借入の場合、返済できるかどうかは売掛金
で判断し、長期借入の場合、返済できるかどうかは利益と減価
償却費で判断しています。

モノやサービスは売れたが、代金の回収までに時間を要する場
合、その間の収支ギャップを埋めるために利用するのが短期借
入です。短期借入の返済は、回収した売上代金で行いますので、
たとえ赤字であっても、回収確実な売掛金があれば、短期借入
で調達出来る可能性は十分に考えられます。

一方、長期借入の返済原資は利益と減価償却費です。たとえ回
収確実な売掛金があっても、赤字、かつ将来も利益が出る見込
みがない場合は、返済原資がないため長期借入は原則困難です。

◆ 短期借入と長期借入のメリット・デメリット
期日一括返済の短期借入は、業況が安定していれば基本的に期
日は延長されます。借りっぱなしで返済をしなくてよいため、
資金繰りが安定しやすいというメリットがあります。しかし、
期日に期限を延長してもらえなかった場合は、まとまった返済
資金を一括で用意しなくてはならないリスクもあります。

長期運転資金は毎月一定の返済を行うため、計画的に返済をし
ていくことが可能です。しかし、1,000万円の収支ギャップを
埋めるために1,000万円の借入をしても、約定返済分は資金が
不足しますので、実際に必要な金額よりも余分に借りなくては
ならないというデメリットがあります。

◆ 短期と長期どちらで調達を行うべきか
資金繰りの観点から考えると、毎月発生する収支ギャップ(経
常運転資金)は約定返済のない短期借入で調達すると、利益を
返済に回さずに済むため資金繰りは安定します。投資回収に長
い年月を要する設備資金や、更なる売上拡大に挑戦するための
増加運転資金は、投資効果に合わせて少しずつ返済を進めた方
が資金繰りは安定します。

短期借入と長期借入は単に返済期間が違うというだけでなく、
融資審査のポイントも違うことをご理解いただいたと思います。
そうであれば、短期借入を申し込む場合と、長期借入を申し込
む場合で、金融機関に提出する計画書の訴求ポイントも変えな
くてはなりません。

金融機関の考え方を理解し、金融機関が評価するポイントをし
っかり押さえた書面を作成することが、資金調達をより確実に
します。

■多くの偉人が、経営者に必要な資質の一つに「胆力」を挙げ
ておられます。「胆力」とは何か?を考察してみましょう。

・新しいビジネスモデルを創造する。
・高付加価値の商品やサービスを新たに開発する。
・新しい販売方法を考える。
・効率的な業務の運営方法を考える。
・有事に対応する。
等々

●何かを考えるという行為は、大きな力を必要とします。なか
なか思いつかないことを頭の中から絞り出す、小さなひらめき
に論理的な積み上げや検証を繰り返す、来る日も来る日も、そ
して行き詰っては元に戻り、そして前進する…相応の何かを創
造しようとすれば、わからないことを考え続ける力が必要です。
このプロセスに長期間耐え得る力を「胆力」と定義すればわか
り易いはずです。

●日本の経営学の大家・伊丹敬之先生は著書の中で以下のよう
に言及しておられます。「知力は論理を要求する。しかし、論
理的に考えるからといって、『最後の結論は論理的には不明確
です』だけでは行動はとれない。わからないことはわからない
なりに認めて、しかし一定の方向が正しいであろうと自分なり
に納得する結論に至る論理を構築できるための知力。それが、
行動のバイタリティーを生み出すのにもっとも重要なのである。
では、知力を生み出す知のエネルギーとは何だろうか。それは、
わからないなりに考え抜くための『考える』プロセスを耐える
エネルギーであり、そのプロセスでの論理の積み上をきちんと
できる脳と心のエネルギーである。」
(「よき経営者の姿」日本経済新聞社、伊丹敬之氏著より引用
させていただきました。)

■「よく考える」…この意味をよく考えてみましょう。

●企画やアイデアは偶然思いつくようなものではないはずです。
自分の頭に考えさせて、思いつかせるものです。漠然と求める
ものがあって、求めるもの自体も明瞭でない状況から、雲をつ
かむようにアイデアのかけらを寄せ集める、寄せ集めてみても
形にならない、 再度バラス。また、寄せ集めてみる、少し形が
見えてくる、使い物にならないので一部を残してバラス。何か
が足りないので、仮説を立てて外部からも情報を集める。時に
何千回・何万回も繰り返しながら創り上げる…これが企画やア
イデアの正体です。この過程で、脳細胞が何度も音を立てて破
裂するぐらいの勢いで考えることが必要でしょう。

■「よく考える」ために必要な能力こそが「胆力」です。

●経営者には、「胆力」が必要です。そして、「胆力」を持ち
続けるためには、常に高いレベルのエネルギーを維持しておか
ねばなりません。伊丹敬之先生のお言葉を借りるなら「…わか
らないなりに考え抜くための『考える』プロセスを耐えるエネ
ルギーであり、そのプロセスでの論理の積み上をきちんとでき
る脳と心のエネルギー…」です。故に、「胆力」を有すること
は、経営者にとって極めて重要な資質であって、かつ、その欠
落は致命傷であると言われるゆえんです。

●本田技研工業の第二の創業者と言われる名経営者の藤沢武夫
氏は、以下の言葉を残して引退されました。
「三日間くらい、寝不足続きに考えたとしても間違いのない結
論を出せるようでなければ、経営者とはいえない。平常のとき
には問題がないが、経営者の決断場の異常事態発生のとき、年
齢からくる粘りのない体での『判断の間違い』が企業を破滅さ
せた例を多く知っている。…」
(「藤沢武夫の研究」かのう書房、山本祐輔氏著より引用させ
ていただきました。)

アイデアが出ないのは、「胆力」が足りないから、「考えが足
りない」からです。上記の偉人の定義を踏まえた上で、今一度
自社の経営について「胆力」を使って「よく考えて」みてはい
かがでしょうか。答えはどこかに必ずあるはずです。自社の経
営の解は、経営者自らが見つけ出すしかありません。

マラソンを完走するためには「体の体力」が必要です。一方、
考えるためには「脳と心の体力」が必要です。意識して「脳と
心」を強化したいものです。