中小企業の経営者にとって、事業承継は未来に向けた最も重要
な課題の一つです。事業承継は、事業の持続性や家族の未来に
大きな影響を与えるため、計画的かつ慎重なアプローチが求め
られます。以下に、中小企業の経営者が気をつけるべき事業承
継の留意点をまとめます。

1.事前の計画が不可欠
事業承継は事前の計画が欠かせません。計画を立てることで、
財産の評価、後継者の育成、税務計画、法的手続きなどを時間
をかけて行うことができます。計画が不十分だと、混乱や紛争
の原因になる可能性が高まります。

2.後継者の選定と育成
後継者の選定は極めて重要です。後継者は事業を引き継ぐため
の適性とスキルを持っている必要があります。しかし、適性だ
けでなく、情熱やビジョンも必要です。また、後継者を育てる
ためのプロセスも計画的に行いましょう。

3.財務の評価と戦略
事業の評価は、事業承継において不可欠です。正確な評価に基
づいて、株式の売却価格や贈与価格を決定します。また、税務
プランニングを行い、財務戦略を検討し、適切なファイナンシ
ャルアドバイスを受けることが大切です。

4.法的手続きと文書化
事業承継には多くの法的手続きと文書化が伴います。適切な法
的アドバイザーを選定し、契約書や遺言書、株式移転手続きな
どを正確に処理しましょう。これにより、後々の紛争を避ける
ことができます。

5.従業員とのコミュニケーション
事業承継には従業員へのコミュニケーションも重要です。従業
員は不安を感じることがありますが、計画を共有し、安心感を
提供しましょう。従業員の協力は事業承継の成功に不可欠です。

6.プロフェッショナルの協力を受ける
事業承継には税理士、弁護士、財務アドバイザーなど専門家の
協力が不可欠です。彼らのアドバイスと支援を受け、スムーズ
な事業承継を実現しましょう。

7.リスク管理と継続性
事業承継に伴うリスクを評価し、リスクマネジメント戦略を策
定しましょう。事業が持続可能であることを確保するために、
リスクに対処する計画が必要です。

事業承継は企業の未来を左右する重要なプロセスです。計画的
かつ綿密なアプローチで進め、事業の継続性を確保し、家族や
従業員に安心感を提供することが成功の鍵です。

事業承継の準備を行いたい経営者様がいらっしゃれば、是非、
当事務所にご相談ください。

昭和の名経営者、稲盛和夫氏は、ある時の社員の言葉「家族を
海外旅行に連れて行くためにお金を貯めている(ある社員)」
を聞いて、「この社員も立派に家庭を経営しているではないか
(稲盛氏)」と気付いたそうです。そして、「会社経営とは一
部の経営トップのみで行うものではなく、全社員が関わって行
うものだ。力相応の小さな単位にすれば、誰でも経営できる。」
と考えて発案したのがアメーバ経営だそうです。

確かに、従業員一人一人の貢献度や生産性を正確に把握し、そ
れを経営に反映させることは、組織の成功にとって不可欠です。
この目的を達成するための有効な手法の一つがアメーバ経営で
す。アメーバ経営とは、組織を小規模な自律的運営単位(アメ
ーバ)に分割し、各単位の収益性を重視した経営を行う手法で
す。

一方、アメーバ経営を全社に導入するためには膨大なエネルギ
ーが必要です。導入を試みるも、途中で挫折した会社様もたく
さんあります。まずは、部分導入、これから事業を伸ばされる
会社様は最初から想定して取り組まれることが現実的です。

以下、アメーバ経営について解説いたします。

■1.アメーバ経営の基本原理
アメーバ経営は、以下の原理に基づいています。

○1.小規模単位の運営
組織は複数の小規模なアメーバに分割され、各単位は特定の業
務やプロジェクトに責任を持ちます。

○2.収益責任の明確化
各アメーバは自身の収益とコストに対して責任を持ち、経営の
透明性を高めます。

○3.自立性と教育の重視
アメーバ経営は従業員の自立性を重視し、経営の基本を理解し、
積極的に関与することを奨励します。

■2.従業員の貢献度と生産性の測定
アメーバ経営を導入することで、従業員一人一人の貢献度や生
産性をより明確に把握することができます。

○1.個々のパフォーマンスの透明性
各アメーバ単位での業績は明確に測定され、従業員の貢献度が
直接的に可視化されます。これにより、個々の努力と成果が明
確になり、評価や報酬に公平性をもたらすことができます。

○2.生産性の向上
小規模な単位での運営は、従業員がより集中して効率的に働く
環境を提供します。これにより、生産性の向上が期待できます。

■3.アメーバ経営の導入における課題と対策
アメーバ経営を導入する際には、以下のような課題があります。

○1.適切なアメーバ単位の設定
アメーバ単位の選定には慎重な計画が必要です。過大または過
小な単位は、効果的な管理と運営を妨げる可能性があります。

○2.組織文化の変革
アメーバ経営の成功は、従業員が新しい経営スタイルに適応し、
それを支持する組織文化の確立に大きく依存します。

アメーバ経営を導入することにより、従業員一人一人の貢献度
や生産性を正確に測定し、組織全体のパフォーマンスを向上さ
せることが可能です。このアプローチは、組織の透明性を高め、
個々の従業員が経営に積極的に関与する文化を促進します。た
だし、この変革を成功させるためには、組織全体での計画的な
導入と、従業員の支持と理解が不可欠です。アメーバ経営は、
従業員の貢献度と生産性を最大化するための有効な手法であり、
現代の経営環境において重要な役割を果たすことができますが、
一方、導入には膨大な経営リソースを要します。

部分導入や、これから起こす新規事業、新設部門に当初から導
入する方法が現実的です。ただ、昭和の名経営者が編み出され
た偉大な経営法則の一つです。理解を深めていただければ幸い
です。

経営は時折、厳しい試練に立たされます。特に資金不足や経営
の難題に直面した際、融資はその解決策の一つとして考えられ
ます。しかし、融資を受けたことで、本来取り組まなくてはな
らない抜本的な改革が先送りされてしてまうケースもお見受け
します。融資を単なる「延命策」として利用することは、いく
つかの危険が伴います。

第一に、融資は一時的に資金不足を解消できても、根本的な問
題の解決にはなりません。問題は後でさらに深刻化する可能性
があります。また、融資は必ず返済しなければならないことを
忘れてはなりません。今回のコロナ融資のように、返済が始ま
ることで再び資金不足に陥る可能性があるのです。したがって、
融資を延命策として利用する場合、一時の安心感に陥らず、大
変厳しい道のりのスタートラインに立ったと自覚し、抜本的な
改革に取り組む覚悟が必要です。

延命目的の融資を「戦略的な資金投入」に変えるためには、明
確な目的を持つことが不可欠です。融資は赤字の補填ではなく
事業の発展に向けた投資と考えます。そして融資金は、生産性
の向上、市場の拡大、新商品の開発など、将来の成長につなが
るプロジェクトに投資します。同時に、経営の改革も行います。
効率化やコスト削減、競争力の向上を図り、将来の繁栄に向け
た基盤を築きましょう。

また、リスクマネジメントも忘れてはいけません。融資に伴う
リスクを理解し、リスクマネジメント策を練ります。具体的に
は、バックアッププランを用意することで、未来の不確実性に
備えることができます。

最後に、経営者としての心構えも極めて重要です。危機に直面
しても、希望を失わず、問題に立ち向かう決意を固めましょう。
融資は学びと成長の機会でもあります。多くの経営者が、融資
を利用して危機を克服し、その後にビジネスを成功に導いてい
ます。

融資は、たとえ苦しい状況であっても、未来への投資の手段と
して捉え、計画的かつ戦略的に利用すべきです。絶望的な状況
から抜け出すための道として活かし、ビジョンを実現するため
に賢明に運用しましょう。目先の資金を得たからといって漫然
と赤字を出し続けるのではなく、高い志を持ち、成功を信じて
行動を起こしましょう。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

支持率が最低レベルまで凋落している岸田政権ですが、重点施
策として掲げた下請け対策には力点を置いておられます。この
日本の中小企業や下請け事業者の取引条件改善に関する取り組
みは、経済の健全な成長と中小企業の持続可能な発展を支援す
るために非常に重要です。以下に、岸田政権が実施した主要な
取り組みについて解説します。

■1. 価格交渉の促進
岸田政権は、価格交渉の促進を通じて中小企業や下請け事業者
の取引条件改善を支援しています。

○1.下請中小企業振興法に基づく「助言(注意喚起)」の実施
政府は不公正な取引条件が発生した場合に、大企業と中小企業
の間で価格交渉を促進するために助言や注意喚起を行います。
これにより、取引の公平性が向上し、中小企業の弱みを補完し
ます。

○2.価格交渉促進月間の設定
政府は「価格交渉促進月間」を設定し、中小企業と大企業の価
格交渉を積極的に推進しています。この期間中に、価格交渉の
場を提供し、双方が合意に達するための支援を行っています。

○3.下請中小企業振興法の振興基準の改正
政府は下請中小企業振興法の振興基準を見直し、中小企業の取
引条件改善を推進しています。これにより、取引における公正
なルールが整備され、不当な圧力から中小企業を保護します。

■2.パートナーシップ構築宣言の拡大
政府は大企業と中小企業の協力関係を強化し、パートナーシッ
プ構築宣言の拡大に取り組んでいます。

○1.宣言企業全社への調査
大企業に対して、パートナーシップ構築宣言に関する調査を行
います。これにより、宣言の実効性や実施状況を評価し、改善
の余地を見つけます。

○2.下請取引企業への調査
大企業との取引を行う下請け事業者に対しても調査が実施され
ます。これにより、大企業との関係が下請け事業者にどのよう
な影響を与えているかを把握し、必要な対策を講じます。

○3.コーポレートガバナンスに関するガイドラインへの位置
付け
大企業はコーポレートガバナンスに関するガイドラインに則っ
て経営を行うことが求められます。これにより、企業の透明性
と責任が高まり、中小企業との信頼関係が築かれます。

○4.補助金によるインセンティブの検討
大企業に対して、中小企業とのパートナーシップ構築宣言を実
施する際に補助金を提供することを検討します。これにより、
大企業は中小企業との連携を促進しやすくなります。

■3.下請取引の監督強化
政府は下請取引の監督を強化し、不公正な取引条件から中小企
業を保護するための措置を講じています。

○1.下請けGメンの体制強化
下請けGメンは、不公正な取引に対する監督・指導を行う役員
です。政府はこの体制を強化し、違反行為を取り締まります。

○2.商工会・商工会議所と下請かけこみ寺の連携
商工会や商工会議所は、中小企業に対する支援体制を強化し、
不公正な取引に関する相談を受ける役割を果たします。政府は
これらの組織と連携し、問題の解決を支援します。

○3.業種別ガイドライン・自主行動計画の拡充・改定
下請け取引における業種別ガイドラインや自主行動計画が見直
され、より効果的な取引条件改善が促進されます。

■4.知的財産(知財)関連の対応強化
知的財産に関連する問題に対処するため、政府は以下の措置を
実施しています。

○1.知財Gメンの新設
知的財産に関する専門家からなる知財Gメンが設置され、中小
企業に対して知財に関するアドバイスと支援を行います。

○2.知財取引アドバイザリーボードの設置
知財取引に関するアドバイザーボードが設けられ、中小企業と
大企業の知財関連の取引における課題の解決を支援します。

○3.商工会議所や特許庁との連携
商工会議所や特許庁などの機関と連携し、知財に関する情報提
供やアドバイスを強化します。

■5.約束手形の利用廃止への道筋
政府は約束手形の利用を廃止するためのロードマップの検討を
進めています。約束手形は取引における支払い手段として使用
されてきましたが、これによる支払いリスクが中小企業に負担
をかけることから、その廃止が検討されています。

以上の取り組みは、岸田政権の指導の下で中小企業と下請け事
業者の取引条件を改善し、経済の安定と成長を促進するために
実施されています。これらの政策は、日本の中小企業セクター
の競争力を向上させ、持続可能な経済発展を支える役割を果た
しています。

◎下請かけこみ寺
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.htm

朝倉祐介氏は、「ファイナンス思考」という著書で、損益計算
書(PL)の数字に短絡的に固執する考え方(PL脳)から抜
け出し、長期的な価値向上を目指す戦略的な思考を提案してい
ます。

<以下要約です。>

PL脳とは、売上や利益などの損益計算書上の指標を最大化し
ようとする短期的な思考を指します。この考え方が、日本企業
の長期的な成長を妨げ、失われた10年が30年に広がる原因
となっています。

ファイナンス思考は、企業価値を最大化し、長期的な視点で事
業戦略や財務戦略を総合的に考える思考法です。企業のエッセ
ンスは、社会的な価値の提供であり、その対価としてお金を受
け取ることです。

ファイナンス思考の特徴は、企業が3つの市場で評価されるこ
と(財市場、労働市場、資本市場)で、これらの評価を長期的
な目標に合わせることが経営者の役割です。

ビジネスは資金調達、資金創出、資産の最適配分、ステークホ
ルダーとのコミュニケーションの4つの役割で構成され、これ
らを逆算的かつ戦略的に考えるのがファイナンス思考です。

全ての業務にファイナンス思考が関連しており、従業員が自分
の業務がどの部分を担い、どのような成果を期待されているか
を理解することが重要です。

アマゾンなどの企業はファイナンス思考を活かし、ステークホ
ルダーとのコミュニケーションを重視し、顧客への価値提供に
焦点を当てて成長しています。

日本企業の多くは「PL脳」から抜け出せず、現場でPLを基に
した管理が主流です。経営者になる人材の多くも「PL脳」の
ままであり、これが日本企業の成長を阻害しています。

ファイナンス思考を身につけることで、自身の業務が会社全体
のファイナンスとどのように関連しているかを理解し、経営判
断に資することができます。

<要約終わり>

2018年に出版された少し古い本になりますが、巨額の赤字
を出し続けたアマゾンの戦略等を紹介しながら、短期的な利益
ではなく、価値志向、未来志向を特徴とする「ファイナンス思
考」を提唱しています。ファイナンス力が弱い一般中小企業が
実践するには難しい点もありますが、基本的な企業(事業)の
在り方として必要な考え方であると感じます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、
『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
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お気軽にご相談ください。

同じ利益額でも利益率の高い会社、同じ売上高でも継続的な売
上比率の高い会社、事業用資産の小さな会社、成長性の高い分
野の事業を行う会社は、企業価値が高くなります。企業価値を
向上させるための要諦について解説いたします。

■1.脱・売上至上主義!

◎売上の大きさではなく利益の大きさが重要
◎同じ利益なら、売上は小さいほうが良い

売上には高品質な売上と安物の売上があります。企業価値は売
上の純度に相関します。売上の純度が高い企業ほど、その企業
価値は高くなります。売上の純度を高める経営、純度の低い売
上を取り除く経営を行ってください。企業価値が向上します。

■2.売り切りから継続販売、継続的なサービス提供へ!

◎所有から利用へ、顧客ニーズは変わってきた
◎一過性の売上より、継続する売上の方が良い

顧客ニーズは、所有から利用へと変わってきました。経営的に
も、売切りの一過性の売上よりも、継続的な売上の方が安定し
ます。また、継続的に利用してもらうためには、商品やサービ
スに進化・発展が求められます。継続的な集金モデルを有する
企業には、それに相当する企業価値が与えられます。

近年会社の業績を表す指標にARRを使う企業が増えてきまし
た。この指標は売上や利益の安定度を示しています。
※ARRとは「Annual Recurring Revenue(アニュアル・リカ
ーリング・レベニュー)」の頭文字を取った言葉であり、日本
語に訳すと「年間経常収益」を意味するビジネス用語です。
毎年、決まって得られる収益・売上をさします。

■3.持たざる経営への移行!

◎総資産の大きさではなく純資産の大きさが重要
◎事業用の資産は小さい方が、企業価値が高くなる
※代表的な企業価値算定法であるEBITDAマルチプル法では、
事業用の資産と事業用負債を除外した上で借入金を差し引いた
ネットキャッシュを現時点の株主価値と評価します。
◎同じ利益なら、従業員は少ない方が良い
◎同じ費用総額なら、固定費は小さく、変動費が大きい方が良い

資産には価値ある資産とそうでない資産があります。企業価値
は資産の純度に相関します。資産の純度が高い企業ほど、その
企業価値は高くなります。資産の純度を高める経営、純度の低
い資産を持たない経営を行ってください。企業価値が向上しま
す。また、事業用資産の小さい企業は、生み出すキャッシュフ
ローが相対的に増えるので企業価値が高くなります。

■4.良い事業立地を選定する!

◎どこにでもある事業ではなく、レアな事業を行う方が良い
◎飽和した成熟市場を攻めるより、成長性のある市場の方が良い
◎相対的優位に立てる市場が面白い

事業は、いかに上手に運営するか(マネージメント)の前に、
どんな事業をするか(事業立地の選定)が重要です。取り組む
事業を間違えたら、経営の成果、企業の価値向上は限定的です。
企業価値を高くとるためには、事業立地の選定が重要です。

企業の規模ではなく、企業の価値に重点を置いた経営に移行し
ませんか。そのためにも、事業計画書を作って、又は、作り直
してみませんか。今から作る事業計画書は、【規模拡大を目指
す計画書】ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にして
ください。

日本政策金融公庫が提供する融資制度の一つである新株予約権
付融資(スタートアップ支援資金)について解説します。スタ
ートアップとは、新たなビジネスアイデアや技術を基に、急速
な成長を目指す企業を指しますが、この制度は、スタートアッ
プ企業が成長段階で必要とする資金を提供し、事業の拡大や開
発に注力できるよう支援します。

主な特徴として、次の点が挙げられます。

1.新株予約権付融資: 融資を受けた場合、スタートアップ企
業は日本政策金融公庫に対して新株予約権を付与します。しか
し、日本公庫が、新株予約権を行使して株式を取得することは
なく、原則として、株式公開時など一定の条件に達した場合に
経営責任者の方などに新株予約権を売却します。(新株予約権
の売却時期については、株式の時価が行使価額の2倍以上とな
った場合または株式公開する場合のいずれかを融資時に選択で
きます。)

2.スタートアップ向け: 特にスタートアップ企業を支援する
ために設計されています。成長段階の早い企業にとって、資金
調達は重要ですが、リスクが高いため他の金融機関からの融資
が難しい場合があります。この制度は、そのような企業に必要
な成長資金を無担保で提供する仕組みです。

3.利率優遇: 新株予約権付融資の利率は他の一般的な融資プ
ログラムよりも優遇されていることがあります。これにより、
企業の返済負担を軽減し、資金を効果的に活用できます。

4.成長支援: この制度を利用することで、企業は新たなプロ
ジェクトの開始、市場拡大、技術開発など、成長に向けた活動
をサポートする資金を調達できます。

5.柔軟性: 利用目的や返済スケジュールなど、ある程度の柔
軟性が許容される場合があります。企業の状況に合わせて融資
条件を調整できます。

スタートアップ企業にとっては、成長のための資金調達手段と
して検討する価値がある制度ですが、公庫の審査を通過する必
要があり、条件や要件があることに留意する必要があります。
スタートアップ企業の資金調達についても、是非、ご相談くだ
さい。

起業家の思考法について、21世紀初頭に大きな発見が成されて
います。日本においても近年この思考法が脚光を浴びています。
大変有益な思考法です。ご紹介します。

事業を構築するプロセスにおいて、多くの人は『コーゼーショ
ン=因果法』を使っていると考えられていました。しかし、大
成功した多くの起業家の思考法を検証すると、そうではないこ
とが実証されました。では、どのような思考法なのか?これを
体系立てたのが『エフェクチュエーション=実効法』です。比
較して紹介いたします。

■昔からあった、『コーゼーション=因果法』とは…

1.因果関係に焦点を当てる
コーゼーションは、原因と結果の因果関係に焦点を当てるアプ
ローチです。つまり、特定の行動や決定が特定の結果を引き起
こすという考え方です。このアプローチでは、何が何に影響を
与えるかを特定し、それに基づいて戦略を策定します。

2.計画と予測を重視する
コーゼーションのアプローチでは、計画的で予測可能な方法で
目標を達成しようとすることが一般的です。計画を立て、それ
に従って行動することが強調されます。リスクを最小限に抑え、
事前の計画に従って進むことが目標です。

3.既存のリソースと情報に依存する
コーゼーションは既存の情報やリソースに依存し、それを活用
して目標を達成しようとします。過去の経験やデータに基づい
て意思決定を行います。不確実性を減少させるためにデータ分
析や市場調査が重要視されます。

4.大規模プロジェクトや大企業で一般的に使われる
コーゼーションのアプローチは、大規模なプロジェクトや大企
業によく見られます。組織全体で計画的な戦略を策定し、実行
することが一般的です。リーダーシップと戦略的な計画が重要
です。

■一方、『エフェクチュエーション=実効法』とは…

エフェクチュエーションは、不確実性の高い状況での起業家の
意思決定プロセスを理解するためのフレームワークです。サラ
ス・サラスバシー教授によって開発されたこの理論は、特に新
しい市場や技術におけるビジネスチャンスを探求する際に有効
です。エフェクチュエーションには5つの基本原則があります。

1.手元にあるものを使う(Bird-in-Hand Principle)
この原則では、起業家は自分がすでに持っているリソース(ス
キル、経験、ネットワークなど)から出発し、それを基に機会
を探求します。予測不可能な市場では、利用可能なリソースに
基づいて行動することが重要です。

2.許容可能な損失を考える(Affordable Loss Principle)
起業家は、目標達成のためにどれだけのリスクを取るかではな
く、どれだけの損失を許容できるかを基準に決定を下します。
これにより、大きな失敗を避けながら新しい機会に挑戦するこ
とができます。

3.レモネードを作る(Lemonade Principle)
予期せぬ出来事や課題を機会として捉えることがこの原則の核
心です。起業家は、計画外の変化や「サプライズ」を利用して、
新たな方向性や可能性を探求します。
※人生がすっぱいレモンを与えるなら、レモネードを作れ(ア
メリカの格言)

4.クレイジー・キルトの原則(Crazy Quilt Principle)
この原則では、起業家は競争よりも協力を重視します。他の人
々や組織とのパートナーシップを通じて機会を創出し、リソー
スを統合し、リスクを分散します。

5.飛行機のパイロットの法則(Pilot-in-the-Plane Principle)
市場や将来は予測されるものではなく、起業家自身の行動によ
って形作られるという考えがこの原則の基です。起業家は自ら
の行動で未来を形成し、事業の成果に直接的な影響を与えるこ
とができます。臨機応変に対応するとの意味です。

これらの原則は、不確実な環境での起業や新規事業開発におい
て、従来の予測ベースのアプローチとは異なる視点を提供しま
す。エフェクチュエーションは、可能性を探る過程で、起業家
がどのように意思決定を行い、リソースを活用し、リスクを管
理し、機会を捉えるかに焦点を当てています。

■要するに、コーゼーションは原因と結果の因果関係に焦点を
当て、計画的なアプローチを強調します。一方、エフェクチュ
エーションは不確実性に対処し、既存のリソースを最大限に活
用して新たな機会を見つけ出す柔軟性と創造性を重視します。
どちらのアプローチも異なる状況や目標に適しており、ビジネ
スや起業のコンテキストに応じて選択することが重要です。

◎21世紀経営学の一大発見とも言われる起業家の新しい思考法
『エフェクチュエーション』を活用してみましょう。

前回のコラムで、中小企業における財務管理の出発点は試算表
の作成であることを強調しました。しかし、試算表だけを頼り
にしても十分な管理とは言えません。試算表にはキャッシュフ
ローに関する情報が不足しているという弱点があります。

赤字であっても、すぐに破綻することはありませんが、資金が
底をつくと利益があっても経営が困難になります。したがって、
利益の管理よりも資金繰り管理の方が中小企業においては極め
て重要です。そして、資金繰りの管理を行うための貴重なツー
ルが「資金繰り表」です。資金繰り表は、毎月の入金と支出を
詳細に記録したシンプルな文書ですが、財務管理において非常
に有用です。

ほとんどの中小企業経営者は、何らかの形で資金繰り表を使用
していると思われます。たとえ資金繰り表を具体的に作成して
いなくても、頭の中には収入と支出の大まかなイメージがある
はずです。ただし、残念ながら、多くの経営者は短期間の資金
繰り計画しか持っておらず、数週間や数か月先までしか資金繰
りの見通しを立てていないことが実態と言えるでしょう。

短期的な資金繰り計画に依存することは、資金が不足する可能
性に対処するために十分な時間を確保できないことを意味しま
す。経営者が他の重要な業務を削減してまで急いで資金を調達
しなければならない事態が発生します。これは計画性の欠如に
よる財務活動です。

計画的な財務活動を実現するために、長期の「資金繰り計画」
を策定しましょう。1年間の資金繰り計画を作成し、資金の流
れを予測しながら、資金調達や設備投資などの計画を立てるの
が理想です。1年後の売上などを正確に予測することは難しい
かもしれませんが、過去1年間の「資金繰り実績」を分析して
みましょう。これにより、過去の売上の傾向から未来の資金繰
りを予測する手助けができるはずです。

財務管理の最終的な目標は、「資金不足を回避すること」です。
試算表を活用して利益を管理し、資金繰り表を通じて計画的な
資金調達や設備投資を行えば、資金不足に陥ることなく、経営
に専念する余裕を持つことができます。中長期の資金繰り計画
を有していない経営者は、今年からその作成に取り組むことを
お勧めします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

成長意欲の高い経営者が陥りやすい5つの罠があります。
経営者が患う5大疾病です。
「分散する(広げすぎる)」、「値決めを間違える(安すぎる)」、
「財務を怠る」、「攻め過ぎる」、「管理が甘すぎる」です。
そうならない経営を心掛けましょう。
以下はそれらに対する対策です。

■1:無駄の少ない「Simple」な経営を目指してください。

余計なものをそぎ落とし、密度の濃い「Simple」な経営体に生
まれ変わりましょう。以下の仮説を持っています。

『日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。売上至上主義は、分散症候
群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、
減収(売上減)を容認する経営に移行してください。』

売上高はいくらか?社員数は何人か?事務所は大きいか?立派
か?…事業体の良し悪しをこのような基準で判断するのではな
く、利益はいくらか?…この単純な尺度で図る発想も重要です。
同じ利益なら、売上は小さい方が、社員数は少ない方が、事務
所は狭い方がよい…こんな考え方もあるはずです。

■2:高収益「Profitable」な企業作りを目指してください。

売れた時には、大きな利益を出せる収益構造を当初から設計し
ましょう。高めの粗利益率の設定、高めの値付けを心掛けてく
ださい。値決めを外すなら高めに外してください。ビジネスと
して完成した時点での営業利益率は20%以上で設計してくだ
さい。安売り戦略は、経営の難易度を高め、事業体の創造力を
奪い去る原因になります。

■3:手持ち資金を潤沢「Ample」に維持してください。

資金余力は企業経営の余裕代、時間を提供してくれます。財務
機能を持ってください。資金は可能な限り潤沢に持ち続けまし
ょう。借入れの金利負担よりも、資金に困るリスクの方がはる
かに深刻であることを認識してください。また、借入れのタイ
ミングは、自社が資金を必要とするタイミング(借り手の都合)
ではなく、金融機関が融資できるタイミング(貸し手の論理)
に沿うことが重要です。総じて貸し手の方が強いからです。
資金余力がもたらす経営者の心の余裕と、増加分の金利負担を、
天秤にかけて比較してください。
※当事務所が提供する【財務部長の代行業務】の導入を検討し
てください。

■4:変化に対応できる柔軟性「Flexible」のある企業体を維
持してください。

計画のずれを想定した経営を行ってください。計画(売上の達
成)が遅れることを想定しながら経営してください。「コント
ロールできない売上を、コントロールできる売上以外の経費の
執行で調整する」、これが経営管理です。経費の執行をワンテ
ンポ遅らせる…これが不透明な時代に、企業体力が十分でない
事業体が選択すべき経営のコツです。また、遅れを許容するた
めの資金余力を持てる財務戦略が重要です。

■5:経営判断を明確「Clearly」にしてください。

感覚に頼らず、数字を基準にした論理的な経営を行ってくださ
い。曖昧な経営判断、お人好しな対応を止めましょう。経営は、
感覚や概念ではなく、数字で管理してください。感覚や概念を
基準に考えると、判断が曖昧になりがちです。数字基準での判
断は、その判断の精度を各段に向上させます。経営が締まりま
す。

◎経営の判断基準は何か?永遠のテーマです。経営の判断基準
は無限にあります。逆にも真あり、敢えて真逆を攻めることで
成功することもあります。それでも、王道をお薦めいたします。

王道とは、多くの偉人が語り続けた経営の道です。上記の方針
は、偉人が語る経営の道に近似しているはずです。偉人の言葉
を借りているからです。経営者の皆さま方が、理詰めで考えて、
腑に落ちた部分については、今後の指針として、深く、深く…
心に刻んでください。