朝倉祐介氏は、「ファイナンス思考」という著書で、損益計算
書(PL)の数字に短絡的に固執する考え方(PL脳)から抜
け出し、長期的な価値向上を目指す戦略的な思考を提案してい
ます。

<以下要約です。>

PL脳とは、売上や利益などの損益計算書上の指標を最大化し
ようとする短期的な思考を指します。この考え方が、日本企業
の長期的な成長を妨げ、失われた10年が30年に広がる原因
となっています。

ファイナンス思考は、企業価値を最大化し、長期的な視点で事
業戦略や財務戦略を総合的に考える思考法です。企業のエッセ
ンスは、社会的な価値の提供であり、その対価としてお金を受
け取ることです。

ファイナンス思考の特徴は、企業が3つの市場で評価されるこ
と(財市場、労働市場、資本市場)で、これらの評価を長期的
な目標に合わせることが経営者の役割です。

ビジネスは資金調達、資金創出、資産の最適配分、ステークホ
ルダーとのコミュニケーションの4つの役割で構成され、これ
らを逆算的かつ戦略的に考えるのがファイナンス思考です。

全ての業務にファイナンス思考が関連しており、従業員が自分
の業務がどの部分を担い、どのような成果を期待されているか
を理解することが重要です。

アマゾンなどの企業はファイナンス思考を活かし、ステークホ
ルダーとのコミュニケーションを重視し、顧客への価値提供に
焦点を当てて成長しています。

日本企業の多くは「PL脳」から抜け出せず、現場でPLを基に
した管理が主流です。経営者になる人材の多くも「PL脳」の
ままであり、これが日本企業の成長を阻害しています。

ファイナンス思考を身につけることで、自身の業務が会社全体
のファイナンスとどのように関連しているかを理解し、経営判
断に資することができます。

<要約終わり>

2018年に出版された少し古い本になりますが、巨額の赤字
を出し続けたアマゾンの戦略等を紹介しながら、短期的な利益
ではなく、価値志向、未来志向を特徴とする「ファイナンス思
考」を提唱しています。ファイナンス力が弱い一般中小企業が
実践するには難しい点もありますが、基本的な企業(事業)の
在り方として必要な考え方であると感じます。

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