近年、中小企業の経営者は、競争激化や市場の変化による生存
競争の中で成長を遂げることが求められています。多くの経営
者は、成長のために迅速な展開を追求し、事業の拡大を図って
います。しかし、いたずらに成長スピードを追い求めることに
はリスクが伴うと言えます。

一つのリスクは、資金不足です。例えば、ある飲食店経営者が
金融機関の融資を受けて2号店を出店しましたが、半年後に魅
力的な物件が出たため、3号店の融資を打診したところ、金融
機関から「出店のピッチが速すぎる」と断られたという事例が
あります。このように、急速な拡大によって融資を受けること
が困難になる可能性があります。

金融機関は、企業の成長スピードを慎重に判断し、リスクを避
ける立場にあります。彼らは過去の失敗事例から、時間をかけ
て着実に事業拡大を行う企業に融資をすることで、回収率を確
保しようとしています。したがって、経営者と金融機関の考え
方には大きな隔たりがあります。

中小企業が成長スピードを追い求める際には、いくつかの対処
方法が考えられます。一つは、リスクマネーを提供するベンチ
ャーキャピタルなど、銀行筋ではない金融機関から資金調達を
行うことです。しかし、株式上場に値するビジネスモデルは限
られているため、この方法が適用できる企業は少数です。

もう一つの対処方法は、貸し手の論理に適合する事業計画を立
てることです。事業の拡大に他人資本が必要な場合、金融機関
の考え方をベースにして計画を立てる必要があります。また、
セーフティネットなどの制度融資が出たタイミングで上振れを
狙うことも現実的な手段です。

さらに、経営者は実績を積み重ねることにも注力するべきです。
先述の飲食店経営者は、「2年に1店舗しか出せないのでは、
10店舗出すのに20年かかるではないか」と心配していまし
たが、実際には設立10期で10店舗を経営する別の経営者が、
最初の5年で3店舗、後半の5年で7店舗を出店しました。金
融機関は、実績をしっかりと示せば、その後は積極的に融資を
してくれるようになります。

結論として、中小企業がいたずらに成長スピードを追い求める
ことにはリスクが伴います。適切な資金調達や計画立案、実績
の積み重ねが必要です。貸し手の論理を無視せず、金融機関の
考え方を加味した計画を立てることが重要です。持続可能な成
長を目指すためには、経営者と金融機関の考え方の違いを理解
し、適切なバランスを保つ必要があります。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

ブランドとは、製品やサービスを消費者の心に位置づけ、他の
競合と区別するための一連の要素です。これには名前、ロゴ、
スローガン、デザイン、包装などの視覚的要素だけでなく、品
質、価値、体験などの感じられる要素も含まれます。ブランド
は消費者が製品やサービスを認識し、理解し、信頼するための
重要な手段であり、企業や組織のイメージと価値を体現してい
ます。

ブランドが正しく構築されておれば、商品やサービスを販売す
る時に、それらの説明が不要になります。広告やオペレーショ
ンコストが著しく削減できます。

■ブランド戦略は、大企業だけでなく、中小企業にも極めて重
要です。次に、中小企業が成功するために必要なブランド戦略
について解説します。

◆1.ブランドのビジョンを明確に
中小企業のブランド戦略の最初のステップは、自社のブランド
が何であり、何を達成したいのかを明確にすることです。企業
のミッションとビジョンを元に、具体的な目標を設定し、その
目標に向けてブランドを形成していくべきです。

◆2.ターゲットオーディエンスの理解
自社の製品やサービスを誰に売りたいのかを明確に理解するこ
とは極めて重要です。ターゲットオーディエンスのニーズと願
望を理解し、それに応じてブランドメッセージを作り出すこと
で、コンテンツとマーケティング活動がターゲットオーディエ
ンスに響くようになります。

◆3.差別化
中小企業は大手企業と競合する場合、自社の独自性を強調する
ことが重要です。それは製品の品質、独自の製造プロセス、特
別な顧客サービス、または地元コミュニティへのコミットメン
トなど、何でも良いです。この差別化が強力なブランドイメー
ジを構築するのに役立ちます。

◆4.一貫性
ブランドのメッセージは一貫していなければなりません。それ
はウェブサイト、ソーシャルメディア、プリントメディア、製
品パッケージ、顧客サービス等、あらゆるチャネルにわたって
ブランドのイメージとメッセージを一貫させることを意味しま
す。一貫性は信頼性を高め、顧客のブランド認識を向上させま
す。

◆5.関係構築
中小企業はしばしば、顧客との直接的な関係を通じて、大手企
業よりも深い結びつきを持つことができます。コミュニティイ
ベントのスポンサーシップ、顧客からのフィードバックの積極
的な取り入れ、ソーシャルメディアでの活発なインタラクショ
ンなどを通じて、ブランドと顧客との関係を強化することがで
きます。

■以下では、星野リゾートのブランド戦略について解説いたし
ます。具体的に考えてみてください。星野リゾートは、一貫し
て強力なブランド戦略を推進してきた日本の旅館チェーンです。
以下にその主要な戦略について述べます。

◆1.地域文化の強調
星野リゾートは各リゾートで地元の文化や風土を強調していま
す。これにより、各リゾートはそれぞれ独自の体験を提供し、
一方で星野ブランド全体としては高品質なサービスと施設を維
持します。これは、旅行者がその地域の風土と歴史を感じる一
方で、星野リゾートの一貫したサービスを体験することを可能
にしています。

◆2.顧客体験の重視
星野リゾートは顧客体験に重点を置いています。そのために、
素晴らしい食事、自然体験、リラクゼーション、文化的な学び
など、旅行者が体験できる様々なアクティビティが提供されて
います。

◆3.一貫したサービス品質
星野リゾートはサービス品質の一貫性を保つことで、ブランド
の信頼性を確保しています。これは、全てのリゾートにおいて、
優れたカスタマーサービス、清潔で快適な客室、美味しい食事
など、一定の基準を満たすことを意味します。

◆4.持続可能性への取り組み
星野リゾートは、環境への影響を最小限に抑えるための取り組
みを通じて、持続可能なブランドイメージを築いています。こ
れには、地元の素材の使用、エネルギー効率の高い施設の設計
と運用、自然と地域社会への敬意などが含まれます。

これらの戦略により、星野リゾートはブランドの一貫性と認知
度を確立し、独自の市場ニッチを作り出しています。星野リゾ
ートはブランド戦略の成功例として広く知られています。

中小企業の経営者にとって、会計知識を身に着けることは重要
です。会計知識を持つことは、企業の持続的な成長や成功に不
可欠な要素となります。

中小企業の経営者は、さまざまな業務に追われる中で、会計業
務について後回しにすることがあります。営業活動や生産管理
など、日々の業務に追われる中で会計業務に充分な時間を割く
ことは難しいかもしれません。しかし、会計知識を持つことは、
経営者としての意思決定や企業の成長戦略において欠かせませ
ん。

まず、会計知識を持つことによって、企業の財務状況を正確に
把握することができます。財務諸表を読み解くことで、現金の
流れや資産の状況、債務の状態などを把握することができます。
これによって、企業の健全性や経済的なリスクを把握し、適切
な経営戦略を立てることができます。

さらに、会計知識は資金調達や投資の判断にも役立ちます。銀
行や投資家は、財務諸表を通じて企業の信頼性や経済的な安定
性を判断します。経営者が会計知識を持っていれば、資金調達
や投資交渉において有利な立場を築くことができます。また、
適切な投資判断を行うことで、企業の成長や競争力を向上させ
ることができます。

さらに、会計知識を持つことは法的な規制や税務の遵守にも関
わってきます。会計基準や税法の変更に対応するためには、経
営者がそれらの変更を正しく理解し、適切な対策を取る必要が
あります。法的なトラブルや税務上の問題を未然に防ぐために
も、会計知識は不可欠です。

また、会計知識を持つことは経営者としての信頼性や専門性を
高めることにも繋がります。経営者が自信を持って財務諸表の
分析や報告を行えば、従業員やパートナー、顧客からの信頼を
得ることができます。経営者としての専門性を高めることで、
企業のイメージやブランド価値を向上させることができます。

以上のように、中小企業の経営者にとって会計知識は重要な要
素です。会計知識を持つことで、企業の財務状況を把握し、経
営戦略の立案や資金調達、法的な遵守、信頼性の向上などに役
立ちます。時間やリソースの制約があるかもしれませんが、会
計知識を身に着けることは、中小企業の持続的な成長や成功に
つながる重要な投資と言えるでしょう。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

リスキリングとは、「技術革新やビジネスモデルの変化に対応
するために、新しい知識やスキルを学ぶこと」です。
2020年のダボス会議において、「リスキリング革命(Reskilling
Revolution)」が発表されたことをきっかけに、話題になって
います。

また、第210回臨時国会における岸田内閣総理大臣所信表明演
説(2022/10/03)では、『…リスキリング、すなわち、成長
分野に移動するための学び直しへの支援策の整備や、年功制の
職能給から、日本に合った職務給への移行など、企業間、産業
間での労働移動円滑化に向けた指針を、来年六月までに取りま
とめます。特に、個人のリスキリングに対する公的支援につい
ては、人への投資策を、「五年間で一兆円」のパッケージに拡
充します。…』と述べておられます。

親は子供に学びを求めます。同様に、社長も従業員の成長のた
めの学びを否定する人は少ないはずです。ただ、本当に学びが
必要なのは社長ご自身ではないでしょうか。中小企業経営者の
学びに対する姿勢は様々です。数十%の社長は積極的に学びを
続ける一方、大多数の社長は学びとは縁遠い状況です。

中小企業の社長こそ、リスキリングは重要な課題です。現代の
ビジネス環境は急速に変化し、技術の進歩や市場のグローバル
化などの要因により、企業経営には新たなスキルや知識が求め
られます。以下では、中小企業の社長がリスキリングを行う必
要性について解説します。

◆1.変化するビジネス環境

技術の進歩とデジタル化により、ビジネス環境は大きく変化し
ています。新たなテクノロジーやオンラインプラットフォーム
の出現により、ビジネスのやり方や顧客の行動パターンが変わ
りました。社長は、これらの変化に適応するために、デジタル
マーケティング、eコマース、データ分析などのスキルを習得
する必要があります。

◆2.グローバル競争

インターネットの普及と物流の発展により、中小企業もグロー
バルな市場で競争する必要があります。海外市場への進出や外
国との取引においては、異文化コミュニケーションや国際ビジ
ネスの知識が必要です。社長は、国際的な視点やグローバルビ
ジネスのスキルを習得することで、新たな市場への参入や競争
力の強化が可能となります。

◆3.リーダーシップと組織の変革

中小企業の社長は、リーダーシップの重要性を認識しています。
しかし、ビジネス環境の変化に伴い、従来のリーダーシップス
タイルや組織のあり方に対しても変革が必要です。新たなリー
ダーシップのスキルや組織変革の手法を習得することで、組織
の柔軟性やイノベーション力を高めることができます。

◆4.労働力の多様性とマネジメント

近年、多様なバックグラウンドや世代が混在する労働力が求め
られています。社長は、異なる世代や文化を持つ従業員を効果
的に統合し、育成するスキルが求められます。ダイバーシティ
マネジメントやコミュニケーションのスキルを習得することで、
従業員のモチベーションと生産性を向上させることができます。

◆5.企業の成長と継続性

中小企業の社長は、企業の成長と継続性を担保する責任を持っ
ています。リスキリングにより、社長は新たなビジネスチャン
スを見つけ、事業を成長させることができます。新しいスキル
や知識を習得することで、市場の変化や競争の激化に柔軟に対
応し、企業の持続的な成功を実現することができます。

中小企業の社長がリスキリングを行うことで、企業はより競争
力を高め、成長の機会を活かすことができます。リスキリング
には、自己学習や継続的な教育、業界や専門家とのネットワー
キングなどが含まれます。社長自身が積極的な学習意欲を持ち、
自己啓発に取り組むことが重要です。また、従業員のスキル開
発やチームの育成にもリスキリングの取り組みを広げることで、
組織全体の競争力を向上させることができます。リスキリング
は中小企業の成長と持続的な成功のために不可欠な要素です。

社長は、自身の子供や従業員に対してだけではなく、ご自身の
リスキリングに励むべきではないでしょうか。

中小企業の経営において、資源の限られた状況で効率的に事業
を展開するためには、財務管理が重要です。この点から考える
と、財務部長の役割は中小企業にとっても不可欠なものと考え
ます。

◆ 財務の専門家が重要な理由
多くの中小企業では、経営者自らが財務に関する判断を行って
います。しかし、経営者は様々な業務に関与しなければならず、
財務に必要な注意を払うことは簡単ではありません。ここで財
務部長が必要になります。財務部長は財務の専門家であり、企
業の資金繰りや予算管理、投資判断など、企業の財務全般を監
督する役割を担います。

◆ 効果的な資金管理
中小企業の成長のためには、限られた資金を効果的に活用する
ことが重要です。財務部長は、資金の調達から配分、そして適
切な投資先の選定に至るまで、資金管理の全プロセスを戦略的
にコントロールします。これにより、企業は健全なキャッシュ
フローを維持しつつ、成長に必要な投資を行うことができます。

◆ リスク管理の強化
市場は常に変化しており、中小企業はそれに柔軟に対応する必
要があります。この変化はリスクをもたらすため、リスク管理
が不可欠です。財務部長は、市場の動向を分析し、潜在的なリ
スクを特定。そして、リスクを最小限に抑えながらビジネスを
拡大するための戦略を策定します。

◆ 透明性の確保と信頼の構築
財務部長は、財務報告の精度と透明性を確保する役割も担って
います。正確な財務情報は、企業のパフォーマンスを評価し、
将来の計画を立てる上で不可欠です。また、透明性の高い財務
報告は、投資家や取引先との信頼関係を築く上で重要です。

◆ コスト削減と効率向上
中小企業はしばしば苦しい状況に陥ります。財務部長は、コス
ト削減の機会を見極め、必要な支出を最適化する戦略を立てる
役割を担います。さらに、業務プロセスの効率化を図ることで、
企業の運用コストを削減し、収益性を向上させる手助けをしま
す。

◆ 長期的なビジョンの策定
経営者が日々の業務に追われる中、長期的な視野を持つことは
難しいこともあります。財務部長は企業の財務状況に精通して
おり、その知識を活かして長期的なビジョンを策定し、経営者
に対してアドバイスや提案を行います。これにより、企業は将
来の市場動向やチャンスに備えて、戦略的な計画を立てること
ができます。

しかし、財務部長を雇用するにはコストがかかります。中小企
業が財務部長を雇うかどうかを検討する際には、そのコストと
メリットを慎重に評価する必要があります。財務部長がもたら
す価値が、そのコストを上回るかどうかを判断しなければなり
ません。
もしコスト面で財務部長を雇うのが難しい場合、外部の専門家
を活用するなどのアプローチも考えられます。

弊所では財務部長の代行サービスを提供しております。是非、
ご相談ください。

■自社の事業を成長期初期のステージに置き換えましょう。
成長性が高い事業は「楽な事業」です。ライフサイクルと事業
の成長性には大きな相関関係があります。故に、成長期初期の
ステージにある事業に取り組めばよいのですが、案外ライフサ
イクルに関する検証はおろそかにされています。一方、苦労す
る事業は成熟期後期から衰退期のステージにある事業です。ま
た、導入期も総じて大変厳しい経営を強いられます。

◆戦後の高度成長期と呼ばれた時代、日本企業のほとんどは成
長期のステージにありました。人口がどんどん増えるなか、様
々な困りごとを解決するサービスが開発され、物を作れば売れ
る、インフラを整備したら使われる時代が続きました。日本の
企業は総じて楽な経営ができる環境にあったと言っても間違え
ではないはずです。

◆令和の今、日本企業の70%は成熟期~衰退期のステージでの
経営を強いられています。同じ頑張りを続けていても、毎年業
績が下がるのはこのためです。自社の事業を成長期初期のステ
ージに置き換えましょう。事業再構築の本質はここになります。

■ライフサイクルについてもう一度整理して確認してください。
ライフサイクルは、製品やサービスが市場で進化する過程を表
す概念です。この過程は、一般的に導入期、成長期、成熟期、
衰退期の4つの段階に分類されます。それぞれの段階の特徴に
ついて説明します。

(×)導入期…市場が未完成、ルールも未整備、案外難解
(◎)成長期…普通以上にやれば儲かって、成長する
(△)成熟期…市場が飽和、差別化か高シェア企業に利益が集中
(×)衰退期…市場が衰退、競争過多、稀に残り福あり

◆導入期は、新たな市場や製品が初めて登場する時期です。こ
の段階では、市場が未完成であり、ルールや規制も整備されて
いません。
さらに、新しい製品やサービスが市場に初めて導入されるため、
消費者からも理解されにくい状況です。競争もまだ少なく、市
場のポテンシャルは大きいですが、市場の開拓や普及には多く
の困難が伴います。

◆成長期は、製品やサービスが市場で急速に普及し、売上と利
益が拡大する時期です。市場の需要が高まり、製品の普及が進
むため、普通以上の取引を行えば儲かります。競争も増加し、
新たな参入者が市場に現れますが、成長の機会も多く存在しま
す。市場の拡大や顧客の獲得に注力することで、企業は成長を
実現することができます。

◆成熟期は、市場が飽和状態に達し、製品やサービスの差別化
が難しくなる時期です。競争が激化し、既存の企業や大手企業
が市場シェアを占め、利益が集中する傾向があります。市場の
成熟に伴い、価格競争が起こり、利益率が低下することもあり
ます。この段階では、企業は市場での競争力を維持するために、
品質の向上や新たな市場の開拓に取り組む必要があります。

◆衰退期は、市場が衰退し、競争が過多となる時期です。需要
が減少し、市場規模が縮小するため、競争は一層激化します。
一部の企業は淘汰され、市場から姿を消すことになります。し
かし、衰退期においてもまだ需要がある市場や一部の企業は、
競争を生き抜きながら存続し、稀に利益を上げることもありま
す。衰退期は企業にとって厳しい時期ですが、市場の変化やニ
ーズの再評価によるチャンスも存在します。

ライフサイクルの各段階は、市場や製品の成熟度に応じて異な
る特徴を持ちます。企業は、市場の状況や競争の激化に応じて
適切な戦略を選択し、各段階での成長や存続を図る必要があり
ます。しかしながら、成長期初期のステージに自社事業を充て
る…これに勝る良策はありません。貴社はどのステージで事業
を行っていますか?ご確認ください。

資源が限られている中小企業が長期的に成長するためには、財
務戦略の構築が不可欠です。

まず、キャッシュフローの管理が重要です。キャッシュは企業
の生命線であり、これが途絶えると企業活動は立ち行かなくな
ります。資金繰り表を作成し、売上の回収と支出のタイミング
を管理し、常に一定の現金を確保し続ける努力が必要です。ま
た、未来のキャッシュフローを予測し、そのデータに基づいて
意思決定を行うことも重要です。

次に、コスト管理と効率化に注力する必要があります。中小企
業は、大企業と比べて資本が少ないため、無駄な支出を極力抑
える必要があります。例えば、プロセス管理を効率化して無駄
を削減したり、テクノロジーを活用して作業効率を上げるなど
の工夫が求められます。

さらに、資金調達についても戦略的に考える必要があります。
外部資金を活用することで、新たな事業展開や設備投資を行い、
成長を加速することができます。銀行融資やエンジェル投資、
クラウドファンディングなど、複数の選択肢を検討し、最適な
方法を選択する必要があります。

それと同時に、投資戦略も重要です。中小企業は、限られた資
金をどのように活用するかが成長のカギとなります。短期的な
利益ではなく、長期的な成長を見据えた投資を行う必要があり
ます。これには、技術開発、人材育成、マーケティング活動な
どが含まれます。

また、リスク管理も欠かせません。中小企業は大企業に比べて
リスクに対する耐性が低いため、様々なリスクを事前に特定し、
対策を練る必要があります。例えば、市場の変動や経済状況の
変化、サプライチェーンの不安定性などが挙げられます。これ
らのリスクを最小限に抑えるために、多様な情報収集を行い、
戦略的な判断を下す必要があります。

さらに、財務情報の透明性を確保することも重要な要素です。
ステークホルダーとの信頼を築くために、企業の財務情報を正
確かつ透明に報告することが求められます。これにより、金融
機関やパートナー企業からの支援を受けやすくなります。

最後に、中小企業の経営者や幹部は、持続的な学習に取り組む
こともおすすめします。経済や市場は日々変化しており、昨日
有効だった戦略が今日では通用しないこともあるからです。最
新の知識や情報をキャッチし、それを財務戦略に反映させる能
力が求められます。

このように、中小企業の財務戦略は多岐にわたる要素から成り
立っています。キャッシュフロー管理からコスト削減、資金調
達、投資戦略、リスク管理、財務情報の透明性の確保、そして
持続的な学習と、これらを総合的に行うことが、中小企業が競
争激化する市場で持続的な成長を達成するためのカギだと考え
ます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

…前回号のつづきです。

日本の創業支援制度も捨てたものではありません。
特に、日本政策金融公庫は、創業融資にも前向きに対応してく
れます。ただ、融資要件(ルール)が存在します。希望する資
金を調達するためには、この融資要件に沿って行動する事、ま
た、融資要件に適合していることをわかり易く表明することが
必要です。
創業初期(創業前後)に、不明瞭な資金の流れをいったん作っ
てしまったり、調達可能額以上の資金をあてにした先行投資を
行ってしまったり…慌てて当事務所に駆け込んでこられる創業
者様も少なくありません。
これらの創業者様にも最善を尽くして対応しますが、もっと早
めに相談いただければもっと良い方法があった、このようなケ
ースも少なくありません。早めに相談いただきたい、切なる思
いです。

以下、創業融資について、書面で可能な限りお知らせいたしま
す。
詳細・個別については、遠慮なくご相談ください。

■1.創業融資のポイントを整理しました。ご確認ください。

1.創業融資は、日本政策金融公庫を軸に調達してください。

2.保証協会(付の金融機関融資)にも制度は有りますが、敷
居は低くありません。

3.保証協会は、1期目の決算確定後から対応してください。
※保証協会は、2期終了以降から保証を受けやすくなります。

4.最寄りの信金・信組が、創業融資(プロバー・保証協会保
証無し)制度を設けている場合があります。300万円~500
万円程度の金額であれば、調達できることもあります。
※この時も、日本政策金融公庫との協調等の背景がなければ敷
居は高くなります。

5.日本政策金融公庫の創業融資の要件等は、
○自己資金要件の充足が必須です。自己資金があること、これ
は要件です。自己資金がなければ融資は(ほぼ)受けられませ
ん。
また、規定上は自己資金の9倍までですが、運用は2倍を目安
に行われています。
○自己資金は、その出所が重要です。資金の出所を明確にして
ください。
※支払い済みの領収書や、登記済みの資本金の表記では、この
要件を充足できません。
○経歴要件は、ある程度裁量を持って運用されています。経験
を示せるわかり易い経歴書を提示してください。
○事業総予算の額に目安があるようです。大都市圏で総予算枠
1,000万円以内が目安です。突出した経歴があれば、この
枠を超えることができます。
○調達金額を増やすためには、協調融資を目論んでください。
日本政策金融公庫と信金・信組プロパー融資(または、保証協
会保証付き)の組合せが現実的です。
○創業融資調達時には、資金繰り表を添付してください。

■2.創業融資は受けるべきと確信しています。貴殿が、大資
産家でなければ。

●創業者様の中には『お金が必要になれば、その時に借入れを
行いたいです。』と考えておられる方も少なくありません。こ
のお考えに対する当事務所からの回答は以下です。

○当所の回答
『一定期間経過後資金が必要になって、その時に融資を申し込
むよりも、今、創業融資の調達を試みる方が、調達は容易です。
調達して定期預金で確保しておかれることをお薦めします。ま
た、日本政策金融公庫(や保証協会)は、その実績を重視して
くれます。少しでも創業融資を受けて、返済実績を作っておく
ことで、貴社(貴殿)の実績になります。次の融資が受けやす
くなります。もちろん金利は発生しますが、保険と考えて借入
れに挑戦しませんか。』

■3.当事務所では、以下の事を無料でお伝えいたします。

1.創業融資の上記のノウハウを懇切丁寧にお伝えします。
2.創業融資用の計画書詳細を一枚一枚お見せしながら解説し
ます。
ここまでは無料です。

また、融資戦略の立案・資料作成から、金融機関対応を貴社の
財務部長の立場で代行して対応するサービスもご提供できます。
貴社の手間・煩わしさがほぼすべて払拭できます。このサービ
スは有料ですが、無料相談後にご提案させていただきます。
すべてをお伝えします。まずは、早めにご相談ください。