ある金融機関より紹介を受け、金融機関担当者と一緒にご融資
先企業を訪問しました。財務面に不安があるのでサポートして
欲しいというご要望です。
決算書を拝見したところ、直近決算は赤字、今期も赤字で推移
しています。売上や利益の状況、売上債権や在庫、買入債務か
ら判断すると、既に限度一杯の融資を受けており、これ以上の
資金調達余力はなさそうです。
社長様にお話を聞くと、「数字のことは良く分からないが、当
面の資金繰りは問題ない。これから新規事業〇〇と新規事業△△
に取組みたいと考えている。」と意欲的です。
確かに現時点では資金繰りに窮していませんが、このままの業
績で推移した場合、赤字や返済を考えると、1年程度で手元資
金が底をつく計算です。
社長様は1年後の心配はしていられないとおっしゃいますが、
財務や金融の知識がある金融機関担当者は違います。このまま
の状況では資金が枯渇する時に融資が出来ないことが分かって
いるためです。
銀行は基本的に年(決算書)単位で融資を検討します。同社は
5月が決算ですが、このまま決算を迎えると2期連続赤字とな
ります。その場合、新規融資は困難になるため、その次の決算
まで新規融資は検討出来なくなります。最短でも1年7か月先
となりますので、1年後に資金がショートする時に力になるこ
とはできません。
資金に行き詰まり、事業継続を断念された社長様をたくさん見
てきました。口を揃えて、「まさか・・・」「予想ができなか
った・・・」等とおっしゃいますが、金融や財務の知識があれ
ば予想出来たケースも多々あります。
前述の社長様も、このまま突っ走って1年後に資金が調達でき
なかった時、「まさか・・・」とおっしゃるかもしれませんが、
1年前である現時点で十分に予測出来る結果です。
社長様には、新規事業に取り組みたい気持ちは良く分かるが、
銀行融資のメカニズムに合わせて、まず今期の黒字化に注力し、
決算後に新たな資金調達を成功させたうえで、来期、晴れて新
規事業に取り組むことが安全ではないかと提案しました。
社長様は、「何となく資金がたくさんあると思っていたが、資
金が切れるタイミングや、新たな調達が難しいことが明確にな
った途端、急に不安になった。ただ、銀行さんの協力がなけれ
ば、自分の思いだけで事業を進めることができないことに気づ
けたので良かった。」とおっしゃいました。
アクセルの踏み過ぎ、目測の誤りは金融や財務の知識で回避で
きます。弊所の財務部長代行サービスを是非ご検討ください。