2023年も終わりが近づいてきました。年末年始は、多くの
経営者にとって会社の将来について深く考える良い機会かもし
れません。本日は、ドラッカーの財務哲学を紹介します。これ
からの経営に役立つかもしれませんので、ぜひ参考にしてみて
ください。

ピーター・ドラッカーは経営学の権威であり、財務戦略につい
ても多くの価値あるアドバイスを提供しています。
以下に、ドラッカーが推奨する財務戦略の要点をいくつか紹介
します。

1.キャッシュフローの重要性:
ドラッカーはキャッシュフローの管理を非常に重要視しました。
企業は収益性だけでなく、キャッシュフローを注視すべきです。
キャッシュフローが不足すると、企業は支払いを滞納し、資金
不足に陥ります。このため、キャッシュフローの効果的な管理
が必要です。

2.リスク管理:
ドラッカーは、リスク管理を通じて財務戦略を強化することを
強調しました。企業はリスクを評価し、適切な対策を講じる必
要があります。リスクの最小化や回避策の策定が財務安定性の
鍵です。

3.コスト管理:
ドラッカーはコスト管理を徹底的に行うことを提唱しました。
無駄なコストを削減し、効率を向上させることで、企業の収益
性を向上させます。経費対策や効果的な予算編成が求められま
す。

4.長期的な視点:
ドラッカーは経営を長期的な視点で考えることを奨励しました。
企業は短期の利益追求だけでなく、中長期的な成長戦略を立て
るべきです。このためには、財務資源の適切な配分が必要です。

5.投資戦略:
投資に関する戦略もドラッカーの重要なテーマでした。資産の
適切な運用や投資先の選定が、企業の成長と利益に大きな影響
を与えます。リタイアメントプランやキャピタルバジェットな
ど、資本の効果的な運用計画が求められます。

6.顧客志向:
ドラッカーは、企業は顧客に焦点を当てるべきだと述べました。
顧客を満足させ、価値を提供することで、収益性が向上します。
財務戦略は顧客志向の観点からも考えるべきです。

7.従業員への投資:
ドラッカーは、従業員への投資を通じて企業価値を高めること
を支持しました。従業員のスキル向上やモチベーション維持が、
生産性と結果につながります。

これらは、ドラッカーが提唱した財務戦略の一部です。
ドラッカーの提唱は、貴社の長期的な成功に貢献し、経済的な
持続可能性を向上させるのに役立つかもしれません。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

来年は令和6年です。昭和99年ではありません。誰もが知っ
ているはずですが、昭和の経営・考え方をそのまま踏襲してい
る方も少なくありません。新年を迎えるに当たって、もう一度
令和の経営について考えていただければ幸いです。

■1.昭和と令和は社会情勢が大きく異なります。

昭和は、危険・不便・不快等、解決すべきテーマがたくさんあ
りました。前回の東京オリンピックが開催された1964年の
冷蔵庫の普及率は10%だったそうです。大変不便な世の中で
した。このような大きな困りごとを解決するためのプロダクト
開発と大量生産、それを実現するための同質化されたマネージ
メント体制が構築され、「ジャパンアズNo,1」と世界中の注
目を浴びるまでに成長を遂げました。バブルの崩壊までは…

令和は、安全・便利・快適を実現し、大きな課題を見つけにく
い時代です。皆が残された小さなテーマの解決に総動員して取
り組むことで、強烈な同質化・価格競争を招いています。低成
長と低収益のスパイラルから抜け出せません。

■2.であるにも関わらず、我々は、昭和文化に縛られた環境
で今日も生きています。

先輩の経営者、仲間、コンサルタント、書籍…ほとんどが昭和
です。結果として、我々は昭和の経営原則を疑いもせず、信じ
込んでいます。

◆新しい経営原則について考え直してみませんか?

【PL】売上ではなく利益を、規模から質への転換を!
【BS】所有する経営から持たない経営へ!
【MG】ボトムアップの経営からトップダウンの経営へ!雇用
から業務委託へ!

■3.さらに、我々は、昭和のビジネスモデルから未だに抜け出
せません。

2世代上の先輩たちが定義した業種・業界に縛られ、はるか昔
に創造されたマネタイズ・ビジネスの型を未だに模倣していま
す。

◆新しいビジネスの型に転換しませんか?

サブスクリプション1.0⇒2.0
ソリューション提供企業への転換
D2C(C2M)、クラウドファンディング
DX
業界の壁を破る
ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム
…等々

■4.これからは、すさまじいスピードでビジネスが変わりま
す。

・真のネット企業がリアル企業を凌駕します。OMOです。
例)銀行の凋落、すべての分野で同じ事が起こります。
◎OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインと
オフラインの融合を意味しますが、その真はネット企業がリア
ル企業を飲み込む現象です。
・ChatGPTが知的労働の一部を肩代わりしてくれます。
・カーボンニュートラル(炭素ゼロ)政策が自動車業界を直撃
します。出荷額62兆円、全製造業の19%、GDP比12%
(2018年)を占める自動車業界に激震が走ります。

■5.様々な分野でルールチェンジが起こっています。

見方を変えることができれば、我々中小企業やこれから事業を
始める若者には大きなチャンスです。100mを早く走る競技
では勝てないが、100mを20秒ジャストで走る競技を作る
ことができれば、金メダルも夢ではありません。下剋上・激変、
チャンスの到来です。

■6.隆々と生き残り、成長する企業体を作りましょう。

昭和のルールにとらわれず、強烈な同質化・価格競争を回避し、
新しい事業立地やビジネスの型を理解して導入できれば、新し
いルールの創造者としての地位を確保できるかもしれません。

◎SP経営!=脱・昭和、令和の経営!
令和企業に転身し、前途洋々たる未来に向かって、共に頑張っ
ていきましょう。

本年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

中小企業の成長において、財務戦略は極めて重要です。新規事
業の立ち上げ、市場拡大、M&Aなど、成長を支える財務戦略
は、企業の未来を大いに左右する要素と言えます。しかし、こ
れらの戦略を展開する際には、リスクとリターンのバランスを
慎重に考えることが欠かせません。安易な成長戦略は大変危険
です。

■ 新規事業の立ち上げ
新規事業の立ち上げは成長の可能性を広げる素晴らしいチャン
スですが、同時に多くの財務的リスクを伴います。まず、新規
事業への投資が、現在のキャッシュフローを圧迫することがあ
ります。このため、新規事業計画を立てる際には、リスク評価
と予算の慎重な策定が不可欠です。また、新規事業の成功が保
証されていないため、リターンを見込む一方で、損失を吸収で
きる計画も必要です。

■ 市場拡大
市場拡大戦略も、収益性を高めるための有効な手段ですが、拡
大には資本とリソースが必要です。新たな市場へ進出する際、
市場調査と競争分析が不可欠です。また、拡大に伴うコストと
リスクを適切に評価し、リターンがリスクを上回るかどうかを
判断する必要があります。

■ M&A(合併・買収)
M&Aは市場でのプレゼンスを拡大し、競争力を高める手段と
して注目されています。しかし、他社の買収や合併は複雑なプ
ロセスであり、財務的なリスクが高いことも珍しくありません。
財務デューデリジェンスの実施や詳細な契約条件の検討が必要
です。また、統合に伴うコストとリスクも考慮しなければなり
ません。

■ リスクとリターンのバランス
これらの成長戦略を検討する際、リスクとリターンのバランス
を取ることが肝要です。リスクを完全に排除することは難しい
ですが、リスクを最小限に抑えるための戦略を練ることは可能
です。リスクマネジメント、適切な保険の利用、予備資金の確
保などがその一環です。また、リターンが期待される戦略にフ
ォーカスし、戦略的に投資することも大切です。

最後に、成長戦略において外部の専門家やアドバイザーの協力
を得ることも検討してください。弊所でも新規事業に関する資
金シミュレーション等をお手伝いさせていただきます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

…前回号のつづきです。

事業計画の要諦は、事業立地を成長分野に転換することです。

■何十年間も同じことを繰り返している会社は少なくありませ
ん。

創業以来、先代以来…ずっと同じことを行っています。事業を
創る、事業立地を見直す、イノベーションを企てる、これらの
発想すらありません。それでも、社長は、従業員も皆まじめに
働いています。この会社は、静かに衰退をたどりながら、時に
急激にその使命を終えることになります。

「今年生まれた子供たちが、二十年後に就職する会社の半分は、
今存在しない会社だ」と言われています。二十年で会社の半分
は入れ替わるとの仮説です。多分そうなるのでしょう。AIに
取って代わられる業種、話題を呼んでいますが、自社がその中
に入っているのかの心配には及びません。すべての会社が時代
に取って代わられるからです。

変化しなければ会社は存在意義を無くします。時代毎のニーズ
に対応することが生き残るための条件です。経営は、連続的な
小さな変化を続けて行かなければなりません。この小さな変化
は、時間を経て大きな変化を遂げます。激変したように見える
会社も、小さな変化の積み重ねです。

■「事業計画を策定する」このテーマについて言及しています。

事業計画は、変化のための種です。何をどう変えて、○○まで
にどのように変化させるか!この仮説こそが事業計画です。過
去の流れを踏襲するだけの数値計画を作って満足してはいけま
せん。

■事業計画作成時の重要度

事業計画作成時には、以下の要素が含まれているか確認してく
ださい。

・事業立地の見直し・イノベーションの付加ができているか?
・収益モデルの創造・見直しができているか?
・現状の認識は十分か?
・(仮)のゴール〔マイルストーン〕の設定はできているか?
・全体を包括する整合性の取れた数値計画ができているか?
・数値計画と資金計画との整合性を確認できているか?
・マネージメント体制は成長についていけそうか?又は、妥当か?
・日々修正しながら現実的に対応できているか?

■経営者の仕事は、事業立地とビジネスモデルの検証・構築、
すなわち事業計画の立案・見直し以外にありません。

経営者の仕事は何?あれもこれも…たくさんありますが、重要
度で下位から消去して最後に残るのは、「事業立地とビジネス
モデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案・見直し」です。
であるにも関わらず、大半の経営者はこれらの仕事をぞんざい
にしています。故に、経営者不在の企業体になり下がっていま
す。創業時に考えたビジネスモデルや、親から受け継いだビジ
ネスモデルを進化・発展させることなくただただ継続していま
す。事業計画と称して、過去の事業の時間軸を先に延ばして置
き換えるだけの数値計画を作って自己満足しています。体裁の
良い数値計画は事業計画ではありません。肝に銘じてください。

■経営者には3つの胆力が必要です。

経営にウルトラCは滅多にありません。一つ一つ理詰めで考え
抜く、一つ一つ確実に行動に移す、都度調整しながら継続して
積み上げていく…この行為を粛々と続けていくことこそ王道で
す。

・理詰めで考える知力と、これを継続する知的胆力
・確実に行動し続ける行動力と、これを継続する肉体的胆力
・中々上手く行かないことに耐える耐力、これを継続する精神
的胆力

経営者には3つの胆力が必要です。

■事業計画とは、江戸時代に中国の奥地の○○を目指す長い旅
の旅程表のようなものです。

存在自体が不確実なゴールに向かって、一歩ずつ歩みを続けて
行かねばなりません。(江戸時代に)日本から中国の奥地を目
指すなら、まずは大陸に渡る手立てを考えます。渡れる航路を
求めて港に向かいます。そのためには、港に向かうための旅費
が必要になります。大陸に渡っても、続く道の存在は不確実で
す。それでも渡ります。ゴールまでの旅費の算段が読めなくて
も、それでも一歩ずつ前に進みます。これらの過程では、様々
なトラブルにも見舞われることでしょう。トラブルをできるだ
け避けながら、遭遇したら解決しながら、不確実なゴールに向
かって歩み続けます。この旅路にゴールは存在しません。

経営とは、ゴールではなく、そのプロセスそのものであるよう
に思います。知的胆力と肉体的胆力、そして精神的胆力を鍛え
ながら、経営という長旅に共に挑んでいきましょう。楽しみな
がら。

新しい事業計画を作成するための指針、経営を考え直すきっか
けにしてもらえれば幸いです。

資金力の乏しい中小企業にとって、金融機関との信頼関係は基
本的かつ不可欠な要素です。特に、経営者による発言や行動は、
この信頼関係を築く、または壊す上で重要な役割を果たします。
しかし、その重要性を軽視し、銀行との関係を危険にさらすよ
うな行動をとる経営者をしばしばお見かけします。

まず、不透明な財務報告や楽観的な業績予測は、銀行の信頼を
損ねる一因です。銀行は貸出の決定に際して、正確で透明な情
報を前提にしています。経営者が不正確な情報を提供したり、
重要な情報を隠したりすると、銀行はその企業に対する信用を
見直さざるを得ません。

次に、社会的責任の欠如もまた、銀行との信頼関係に悪影響を
及ぼします。社会問題や環境問題等に対する無関心、不適切な
労働条件の維持などは、経営者の倫理観を疑わせ、結果として
銀行からの信用を失うことに繋がります。

また、個人的な行動や発言も重要です。経営者が不適切な行動
やスキャンダルに関与すると、その企業全体の評判が損なわれ、
銀行との関係にも影響を及ぼす可能性があります。

さらに、経営者が「税理士に相談してから回答する」というよ
うな発言をすることも、信頼性の問題となり得ます。このよう
な発言は、経営者が自身の判断に自信を持っておらず、重要な
意思決定において主体性を欠くことを示唆しています。銀行は、
経営者が自社の財務状況やビジネス戦略に精通し、確かな判断
力を持っていることを期待します。そのため、このような発言
は、経営者の資質を疑わせる行為となり、結果的に銀行からの
信頼を損ねることに繋がります。

逆に、こうした問題点を認識し、適切に対処することで、経営
者は銀行との信頼関係を再構築することが可能です。透明性の
高いコミュニケーション、倫理的な経営、社会的責任の履行は、
信頼の回復に寄与します。

銀行と企業間の信頼関係は、両者の成功にとって大変重要です。
経営者は、自らの行動や発言がこの信頼関係に及ぼす影響を常
に意識し、責任ある行動を心がけることが求められています。
信頼は簡単に失われますが、再構築には時間と努力が必要です。
したがって、経営者はその価値を理解し、日々の一言一行に気
を配りましょう。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

来年の計画の指針にしてもらえれば幸いです。

◆1:新しい事業計画を立案する時には、今の事業立地に関す
る検証に時間を割いてください。

事業計画作成の要諦は、事業立地の見直しです。斜陽分野では
なく成長分野への事業立地の変更を検討してください。

○以下、高収益企業研究の第一人者でおられる三品和広教授の
言葉を引用します。

『…事業の根底には立地(誰に何を売るか)があり、その上に
構え(出荷するモノをいかに入手して顧客に届けるか)、製品
(いかに個別製品を魅力的に仕立てるか)、管理(いかに品質・
原価・納期を守るか)が重層構造を成している。…中期経営計
画などで立地や構えに手をつけることなく、製品の刷新や管理
の強化を打ち出している企業は数多くあるが、この次元で動き
だしたところで、高収益への転換に結び付いた事例はほとんど
ない。…』 〔三品和広教授(高収益企業研究の第一人者)〕

◎事業計画を作成することは、事業立地を検証し見直すことで
す。過去の流れをそのまま踏襲することを事業計画と呼び、そ
れを繰り返していると事業の革新は生まれません。何十年も同
じ事業立地にとどまって、ジリ貧に陥るのはこのケースです。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。

◆2:事業計画は、過去からの流れをそのまま維持する保守的
な計画でない限り、その予測は難解であって、その多くは計画
通りに進捗しません。

多くのクリエイティブな計画の成功事例は、後に理論武装され
て解説を加えられています。後付けです。保守的な計画でない
限り、事業の正確な予測はできない前提で、事業を執行してく
ださい。クリエイティブな計画を鵜呑みにすることは大変危険
です。

『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』
※マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて1965年
に経営学修士及び1968年に博士を取得された異色の経営学者
と呼ばれるヘンリー・ミンツバーク博士の言葉を引用しました。

◆3:事業計画作成時の注意点!

事業計画は、そのアイデアが斬新で素晴らしいほど予測が難し
い!
事業計画は、起点の認識と終点のイメージ化が重要。プロセス
は都度計りながら進める!
作成した事業計画を鵜呑みにしてはいけない。脱・前のめり!

◆4:事業計画作成の要諦!

事業立地の確認・選定…どんな事業を!
収益モデルの創造(ビジネスの型の確定)…どのような形で!
起点(現状)を認識する!…力相応を知る!
(仮)のゴールのイメージ化…目指すゴールは!
起点からゴールまでの道筋を仮決めする!

上記を踏まえた上で、
全体を包括する整合性の取れた数値計画の立案!
数値計画と資金計画との整合性の確認!
マネージメント体制の整備!
日々修正しながら現実的に対応する!

◆5:事業計画執行時の注意事項(追記)!

コントロールできることを完全にコントロールすること!
頑張ればコントロールできることをできるだけコントロールす
ること!
コントロールできないことには、出来るだけ適合すること!

コントロールできることをコントロールしない、これは放漫経
営です。頑張ればコントロールできることをコントロールしな
い、これは怠慢経営です。そして、コントロールできないこと
までコントロールしようとする、これは独りよがり経営です。

自社の明るい未来のために、真の事業計画を作成しましょう。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。これは事業計画ではなく、進捗管理計画です。

…次回号に続く