■収益と忙しさの状態で会社を4つに分類すると以下になります。

1.繁盛高収益企業…

「当社は忙しいです。故に大変儲かっています。」

2.閑散貧乏企業…

「当社は暇です。故に儲かっていません。」

 

上記の二つは納得できます。また、

 

3.閑散高収益企業…

「当社は多忙ではありませんが、それでもしっかり利益を出しています。」

一方、

4.繁盛貧乏企業…

「当社は超多忙ですが、利益はありません。」

 

■繁盛貧乏企業にならないように、また、そうであるならば抜け出すための方法を

考えてみましょう。

繁盛貧乏に陥る会社には概ね共通点があります。

◆理由1:

価格(安売り)を売るための道具として安易に利用する。

事業は、その商品やサービス内容、ブランドで競合と戦っていかねばなりません。

そのサービス内容やブランドを磨かずに、その不足分を価格で補おうとする行為は

命取りです。価格は売るための道具ではありません。この認識と決意が必要です。

売るための道具として安易に低価格を訴求していると、繁盛貧乏に陥ります。

⇒価格(安売り)を売るための道具として安易に利用しないでください。

◆理由2:

閑散であることに耐えられない。売上至上主義に陥る。

とにかく売上が欲しい、間違えではありませんが、売上の総額だけを追いかけると、

利益の概念が希薄になります。売上だけを求めずに、利益を同時に追いかけてください。

⇒売上至上主義に陥らないでください。

◆理由3:心から利益を求めていない。

節税指向を過度に持ち合わせている社長も少なくありません。

税金は、利益に係数を乗じた金額です。節税の行きつくところは利益を出さないことです。

心から利益を求めない事業体が高収益を上げることはありません。

※できる節税は当然しっかり行いましょう。

⇒利益を心の底から求めてください。

◆理由4:ビジネスモデルが疲弊している。事業領域が悪い。

「貴社は、類似の他社と何が違いますか?」この質問に対して、明確な解を提供できない会社は

絶対に儲かりません。この顧客に提供し続けること、そのために商品やサービス内容、ブランド等を

徹底的に磨きましょう。

⇒どこにでもある事業は通用しない時代です。上手く行っても繁盛貧乏です。

他にない何かを創り上げましょう。

◆理由5:客層が悪い。(生きる世界が悪い。)

世の中は原因と結果、因果の関係が明確に成立しています。良い会社には良い顧客が、

そうでない会社にはそうでない顧客が、逆に、良い顧客は良い会社を、そうでない顧客は

そうでない会社を選びます。

鶏と卵…どっちが先かの議論に終着しますが、価格(安売り)を売るための道具として安易に

利用すると、それに乗っかって、他者の価値を認めない顧客が訪れるようになります。

いかがでしょうか?

⇒良い会社(事業)を作って良い顧客とお付合いしましょう。

忙しいのに儲からない「繁盛貧乏」の状態は、会社を根底から疲弊させてしまいます。

この状態を継続すると、知恵を生む気力を奪い去ってしまいます。

最終的に市場から退場する会社の多くはこのパターンです。

1.価格(安売り)を売るための道具として安易に利用しないでください。

2.売上至上主義に陥らないでください。

3.利益を心の底から求めてください。

4.他にない何かを創り上げましょう。

5.良い会社(事業)を作って良い顧客とお付合いしましょう。

 

この機会にご再考いただければ幸いです。

資金調達を成功させるためには、資金使途、事業計画、返済原資等のポイントを

明確にしたうえで、一貫したストーリーに仕上げておく必要があります。

これを案件構築といいます。

以下、一般的なストーリーの流れをご紹介します。

 

■ 第1章:自己紹介

ストーリーの始まりは自己紹介です。どのような思いや目標を持って取り組んでいるのか。

今までの実績はどうなのか。現状はどうなのか。といった点を説明します。

 

■ 第2章:資金の使い道

第1章で説明したこんな私が、次に何をしようとしているのか。そして、その取り組みには

どれぐらいのお金が必要になるのか。といった点を説明します。具体的には、

「新店舗を出店したい。」「仕入を増やしたい。」「人員を増加したい。」といった内容です。

 

■ 第3章:事業計画

第2章で説明した取り組みを行った結果、今後はどのような姿になるのかをまとめます。

具体的には、売上、利益、資金繰り等が、現状と比較してどのように変化するのかを

明確にします。

 

■ 第4章:どうやって返済をするのか

返済が可能な理由を、第3章で示した売上増加額、利益増加額を用いて明確に説明します。

 

小説ではありませんので、融資申し込み時のストーリーに奇想天外な展開は必要ありません。

誰が聞いても違和感のないストーリーが求められます。

良く見られる奇想天外なストーリーとは、私は建築屋ですと自己紹介しておきながら、

第2章でラーメン店を出店したいとなっていたり、ラーメン店を出店したいと言いながら、

融資申し込み金額が一般のラーメン店の投資額よりはるかに大きかったりします。

建築屋さんがラーメン店をやってはいけないと言っているのではありません。

建築屋さんがラーメン店をやろうと考えるに至ったストーリー、普通のラーメン店よりも

大きな投資をしようと考えるに至ったストーリーをしっかりと構築しなくてはならない、

という意味です。

 

これから融資の申し込みをしようと考えている経営者様、上記の流れに沿って案件説明を

した場合、聞き手が違和感なく聞くことができるストーリーに仕上がっているかを

ご確認ください。

■経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目を確実にコントロールする

ことです。これができれば、結果として望む利益も創出できます。

◆ただ、これらの指標は、それらが複雑に絡み合っているので厄介です。

例えば…

・売上を上げようとすると、販促費(販管費)が膨らむ。

・一方、販促費(販管費)を投入しても、予定通り売上が増えるわけではない。

・割引をして粗利益率を落とすと売上が増えることがある。

・ただ、売上が増えても、粗利益の総額(売上×粗利益率)が増えないこともある。

・逆に、値上げをすることで、売上が増えることもある。

・営業人員(販管費)を増やせば売上が増えるはずである。

・ただ、人件費(販管費)の増加分を賄えないこともある。

・旅費交通費(販管費)を減らせば、売上が落ちることがある。

・開発費(販管費)を増やせば、将来の売上は増えるはずだ。

・ただ、将来とはいつなのか、また、どれぐらいなのか予見しにくい。

 

◆また、投資と成果には時間差が出ることも問題を厄介にしています。

例えば…

・販促費(販管費)の投入と売上の増加には、タイムラグが発生する。

・営業人員(販管費)の投入と売上の増加には、さらに大きなタイムラグが発生する。

・開発費(販管費)の投入と売上の増加には、相当長期のタイムラグが発生する。

◆本来コントロールできるはずの、単独の販管費項目ですら見込み違いが発生します。

例えば…

・人件費(販管費)に想定外の時間外手当が発生して止まらない。

・採用がうまく進まず、採用コスト(販管費)が膨らんだ。

・投資(販管費)が計画を大きく上回ってしまった。

・原価の高騰で粗利益率が下がってしまった。

だから経営とは面白くもあり辛くもありますが、社長という道を選んだのなら、楽しみながら取り

組みたいものです。

■長い時間を経て、経営管理体制を構築して、安定した業績を出せている会社は、様々な指標が、

結果として適正にコントロールされています。

・既存の業容のまま、少しの成長を付加しようとするとき、結果に大きな狂いは生じないはずです。

販管費に新規採用分の人件費や追加の開発費・販促費等を追加して、それらの売上に対する

貢献分を売上に足しこんで利益を予見します。

・ただ、大きな投資や新しい事業に挑戦する時は、上記の様に容易ではありません。

現業の指標に対して、動く費用の割合が大きくなるので、その精度は著しく低下します。

 

■創業時や新規事業の立ち上げ時に、計画通りコントロールすることはほぼ無理です。

・第10期目に立てた第11期目の計画は、総じて正しく終結するはずです。

・一方、創業時に立てた第1期目の計画は、概ね当たりません。

故に新規事業の立ち上げ、創業は、少なくない比率でうまくいきません。また、「創業事業計画を

鵜呑みにしてはいけません。」とお伝えするのはこのためです。

 

■それでも、経営を安定・成長させるためには…

◆1:コントロールできることを完全にコントロールすること

◆2:頑張ればコントロールできることをできるだけコントロールすること

◆3:コントロールできないことには、出来るだけ適合すること

この三つを意識して経営していかねばなりません。極めて難解なコントロール業務も、意思を持って

継続すれば、何とかなるものです。

 

経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目を確実にコントロールすることです。

これができれば、結果として望む利益も創出できます。

まずは、月次の資金繰り管理から始めてください。

経営を管理する、この発想は極めて重要です。管理は出来るようになります。

良くあるご相談のひとつに、「創業融資を受けて創業したけれど、追加融資が必要になった。」と

いうものがあります。創業前の創業融資は、要件を満たせば比較的容易に借入できますが、

実際に事業を始めてからの創業融資、追加融資は、少し難しくなります。実際の事例に沿って

ご説明します。

 

◆お客様の概要

・会社名:A株式会社

・事業内容:ホームページ制作業、インターネット通販事業

・1期目業績:売上高約3,000万円、経常利益トントン

資本金300万円で創業し、創業融資600万円を受けて事業を開始しました。しかし、当初予定

していたホームページ制作業では思ったように売上が立たず、途中でインターネット通販事業を

開始しました。結果、初年度売上高3,000万円のうち、2,500万円が通販売上高と

なりました。利益はトントンです。1期目の決算直後、日本政策金融公庫に追加融資を

電話で打診したところ、「据え置き期間があり、返済開始から1年経過していないので追加融資は

難しいと思いますが・・・」という反応でした。しかし、とりあえず説明だけでも聞いて欲しいと

お願いをしてアポイントを取りました。

数日後、初年度の決算書、創業融資申し込み時に提出した計画書、過去1年間の資金繰り表、

向こう1年間の資金繰り計画表、を持って訪問しました。そして下記の流れで説明を行いました。

・創業融資を申し込んだ際は、ホームページ制作を主事業と考えていたが、服飾品を取り扱う

取引先より商品を売って欲しいと依頼があったため、ネット通販事業を開始した。

・当初計画ではホームページ制作により売上高2,000万円を見込んでいたが、ネット通販に

主事業が変わったため、売上高は3,000万円に増加して着地した。

・利益面では仕入が発生したため当初計画を大幅に下回った。

・しかし、いま仕入資金を300万円増やせば、今期の売上高は5,000万円を見込むことが

でき、これに伴って200万円の経常利益を確保できる。

・よって、仕入資金と事業拡大に伴う人員の増加資金として、合計500万円の追加融資を

お願いしたい。公庫さんの追加融資に関する基本的な考え方は、「本来は創業融資で事業を

軌道に乗せなくてはならない。追加融資が必要になるということは、当初の計画どおりに進捗して

いないと考えられる。」とのことでした。しかし本件については、「事業内容の変化により、当初は

予定していなかった仕入資金が必要になったもの。ネガティブな理由で追加資金が

必要になった訳ではない。また、初年度で約3,000万円の売上実績を作ったことはポジティブに

評価できる。」として500万円の追加融資を承認してくださいました。

 

創業時に提出する計画書は、追加融資を受けることなく軌道に乗る計画になっているケースが

多いと思います。よって、追加融資を受ける場合は、今回の説明だけでなく、前回提出した

計画書から説明し、状況がどのように変化したかを説明する必要があります。

 

創業融資サポートの詳細についてはこちら>>

http://www.kagawa-keiri.com/230/

■仮に、同じ能力を備えた5人の従業員が2チーム(赤組と白組)あったとして、また、

スタート時の資金力などの経営資源を同じにして、この同じ能力のチームを2人の

社長(A社長が率いるA社と、B社長が率いるB社とします。)がそれぞれ雇用して

経営を行ったとき、A社とB社の3年・5年・7年後の経営成績は同じではありません。

それどころか、全く違うものになっているでしょう。A社とB社で社長が違うからです。

 

■例えば…

◆ポケモンGOの例で解説します。

○レベル1

・ポケモンGOって何?関係ないと考える社長

・ポケモンGOで遊びほうける社長

○レベル2

・早々にルアーモジュール(使用した場所周辺に30分間ポケモンが出現する。)等を活用して、

自店に集客を図ろうとする社長

・充電器をいち早く販売しようとする社長

○レベル3

・ポケモンGO(任天堂)と業務提携する社長

○レベル4

・ポケモンGOの開発・販売に当初からかかわる社長

○レベル5

・そもそもポケモンGOを開発・販売する社長

 

◆不動産業の例で解説します。

○レベル1

・値上がりしそうな土地を従業員総出で我武者羅に探して仕入れる社長

○レベル2

・大規模な開発情報を探して、それを見込んで近隣の土地を仕入れる社長

○レベル3

・安い土地を仕入れて、自社で大規模な開発を仕掛ける社長

 

◆製造小売業の例で解説します。

○レベル1

・何処にでもあるものを値切られながら従業員総出で販売する社長

○レベル2

・薄利ではあるが、営業が上手でたくさん売れる社長

○レベル3

・レアな商品、高くてもどんどん売れる商品を作れる社長

 

■自社の事業に置き換えて考えてみましょう。

少しでも高いレベルに立ち位置を取った方が事業はうまく行きます。どの立ち位置の会社なのか、

より上位の立ち位置を模索する社長なのか?この違いが会社の将来の業績を決めます。

裏を返せば、この立ち位置を考える仕事、(広義の)ビジネスモデルを考える仕事こそ社長の

仕事です。ポケモンGOを見て、もちろん諸々問題も残りますが、これほどの仕組みを創り出した

ことには驚きを感じます。ただ、すごいな…で終わらずに、自社にとっての発明・創造に置き換えて

みましょう。何も創造せずに、ただただ日常を過ごすのか?

せめて他人の創造に謙虚に相乗りして、精一杯果実を得ましょう。最後は、仕組み自体を自らが

創造する立ち位置を目指しましょう。

 

■経営成績の差は、従業員のクオリティーの差ではありません。

経営成績の差は、社長が創り出すビジネスモデル、立ち位置の差に依るところが大半です。

良い従業員が良い事業を生み出すのではなく、良い事業が良い従業員を作ります。もちろん、

良い事業は良い社長から生まれます。「良い社長⇒良い事業⇒良い従業員」が正解です。

 

社長にはビジネスモデルの構築責任があります。社長の仕事は、ビジネスの立ち位置を考える

ことです。

そして、事業の行く末は、すべて社長次第です。

融資の申し込みをしたら銀行から試算表の提出を求められた。普段から作成していないので

時間がかかりそうだ。急いでいるのに困った・・・という経験のある経営者様も多いと思います。

私の経験値ですが、資金調達のご相談に来られる年商3億円未満の中小企業様で、

毎月試算表を作成している企業様は3割程度しかいらっしゃらないように思います。

 

試算表を作成しない理由は恐らく「必要ない」からでしょう。余程大きな規模でない限り、

試算表を作成しなくても経営はできます。儲かっているかどうかは、感覚とオリジナルの

集計表で十分です。また、もっと直接的な理由として、「領収証等の証憑書類を揃えるのが

面倒くさい。」「会計ソフトの入力が面倒くさい。」「税理士事務所に作成を依頼しているが

税理士事務所も忙しい。」といったことが挙げられます。

 

しかし、ご本人にとってはあまり必要のない試算表であっても、銀行などの第三者にとっては

大変重要です。試算表は、経営者の頭の中をのぞくことができない第三者が、貴社の経営状態を

容易に知ることができる唯一の手段です。自社の経営状態を第三者に伝えるための大変有益な

ツールとなります。

 

また、試算表からは、今年度の利益状況だけでなく、創業時から積み重ねてきた資産、負債、資本の

状況が分かります。そして、これらの状況を分析することで、利益状況よりもはるかに重要な経営の

課題を知ることができます。

 

試算表は、作成するメリットよりも、作成しないデメリットの方が大きいと思います。

ビジネスチャンスに遭遇した時、不測の事態が起こった時、急きょ資金が必要になります。

頻繁に起きる事ではありませんが、いざ起きたときには大変重要な問題です。

早く資金が欲しいという状況にあって、約7割の企業様は、試算表を作成するところから

始めなくてはなりません。過去の分をまとめて作りますので、最低でも1か月、

長い場合は数カ月かかることもあります。機会の損失です。

 

まずは、今現在自身が必要としなくても、いざという時に必要であるという認識を持って、平素から

試算表を作成する体制を構築してはいかがでしょうか。次に、自身が財務の知識を深めるか、

財務の知識を持った人間を横に置いて、試算表を経営に活かしてはいかがでしょうか。

経営に正解などありません。それでも、偉人たちが共通して提唱しておられるおおむね

共通のルールはあります。以下、ご確認ください。

 

◆1:常に『アッパーニッチ』(×ロアマス)を目指します。

…商品やサービス、市場の開拓時には『アッパーニッチ』を狙います。絶対に『ロアマス』は

狙いません。

『アッパーニッチ』とは、高級、高付加価値ゾーンの隙間のことです。

『ロアマス』とは、低価格帯のBIGマーケットのことです。経営資源の乏しい中小規模企業は、

常に局地戦に臨むべきです。絶対に広域で戦うべきではありません。

また、低価格帯のビジネスは、そのスケールメリットや経営管理の優れた大企業向けです。

 

◆2:まず『地上戦の営業』(×空中戦の営業)を企てます。

…新しい物やサービスを世に問う時には、まずは自分の足で、自分の人脈の範囲内から

攻め込みます。空中線は、地上戦での検証を終え、地上戦営業で加速を付けた後に行います。

『地上戦の営業』とは、自分の人脈の範囲内での営業活動のことです。『空中戦の営業』とは、

マス媒体を活用する営業のことです。

 

◆3:『エコ贔屓な経営』(×総花的な経営)を行います。

…経営資源は、強いもの、伸びている所に集中して投下すべきです。総花的に分散しては

いけません。人事においても、伸びている人をさら伸ばす…まずはこれです。

『エコ贔屓の経営』とは、長所に集中する経営のことです。『総花的な経営』とは、分散する

経営のことです。経営資源の乏しい中小規模企業は、バランスよりも尖ることに重点を

置くべきです。

 

○上記(◆1~◆3)は、大きく広く総花的に攻める、この考え方を戒める指針です。一方、

狭く深く尖った経営を狙う、これは、異論をはさめないぐらい確立された経営指針である

はずです。しかしながら、今も多くの経営者が、大きく広く総花的に攻めようとしています。

軌道の修正が必要です。

 

◆4:『ワンマンな経営』(×協議の経営)を行います。

…衆智を集めることは重要です。しかし、結論を協議して出す

…これは正しくありません。社長一人が全責任を負って決めます。

『ワンマンな経営』とは、経営判断は社長が一人で決める、この自覚を持つ経営のことです。

『協議の経営』とは、協議して経営判断を下すことを意味します。企業経営において、総意が

正しいケースは稀です。特に厳しい方向への判断は社長にしかできません。

○社内の総意、これほどいいかげんなことはありません。社内の総意に判断をゆだねるお人好し

社長がうまく行くケースは稀有です。

 

◆5:『程度加減の判断』(×YESかNOの判断)を意識しながら経営します。

経営判断の多くは、YESかNOではなく、もっと早く、もっとたくさん、いや、セーブして…

このように程度加減を決めることが多いものです。経営とは程度加減を計っている…この

認識が重要です。

『程度加減の判断』とは、その程度加減を決めることです。

『YESかNOの判断』とは、その判断の可否を決めることです。方向性の判断よりも、程度加減の

判断の方が難解です。常に程度加減を計りながら進めてください。

○程度加減の判断も、極めて重要な経営判断の範疇です。アクセルとブレーキは、トップが

直接踏むべきです。

 

◆6:『ベターな経営』(×ベストの経営)を目指します。

経営の場で、ベストな状況に遭遇する機会は稀です。ベストにこだわり過ぎると前に進めません。

経営はベターの集合体である…この達観が必要です。

『ベターな経営』とは、ベターを良しとする経営のことです。

『ベストな経営』とは、あくまでもベストありきで進める経営のことです。また、ベストな環境を

待ちすぎて、結果、手遅れになるケースも少なくありません。

○「ベターな環境下で、ベターをベストに近づける行為」これが経営ではないでしょうか。

ベストな状況・環境…これらはないものねだりです。

 

以上ご確認ください。

銀行融資プランナー協会は、不測の事態に備えてキャッシュポジションを高く取る財務戦略を

提唱していますが、これは倒産を予防するという第1ステージの目標です。

第1ステージの目標をクリア出来たら、次は事業を成長させることを考えなくてはなりません。

第2ステージです。

最近驚いた話ですが、「公庫さんから資本性ローンを調達したものの、1年近く手をつけずに

そのまま置いている。」という経営者様に2回も遭遇しました。どちらの経営者様も、「手元

キャッシュを減らすのが不安だという理由もあるが、そもそも使うあてがない。」といった主旨の

お話をされていました。創業してまだ1、2年の企業様で、年商規模も数千万円ですが、

小さいながらも資金繰りが黒字化したことが要因だと考えられます。

 

「キャッシュポジションを高く取って不測の事態に備える。」という守りの姿勢は重要ですが、

キャッシュを後生大事に抱えていても、わずかな金利が得られるだけです。事業の成長を

促すためには、「一定のリスクを冒してでも、新たな資金需要を自ら生み出す。」という攻めの

姿勢が必要です。

もちろん、新たな資金需要を自ら生み出すのは簡単ではありません。ただ、「新たな商品や

サービスを開発する。」といった大掛かりなことだけが新しい資金需要の創出ではなく、現在の

状態を進化発展させるために、小さな投資を積極的に行うことも立派な資金需要の創出です。

 

例えば、現在は黒字なので現状維持でも問題はないが・・・

・もっと大きな利益を狙って営業人員を強化しよう。

・作業効率を上げるためにIT投資をしよう。

・生産性を上げるために大手企業から工場長を招聘しよう。

・事業シナジーを狙ってM&Aをしかけよう。etc

成長を促すために、自ら資金需要を創出すべきことはたくさんあります。むしろ、たくさん

有り過ぎる一方で、資金は有限ですので、優先順位の決定に悩み続けるぐらいです。

 

経営者様の役割は、有限である資金を、どこに分配すれば最も効率よく事業が成長するかを

見極めることです。

よって、一定の安全性を確保した後は、分配の原資となる成長資金の獲得に積極的に

取り組みましょう。

■金融機関は「お金の必要な会社・個人事業者様」に融資します。ただし、もう一つ条件が

あります。融資ができる対象は、「返してくれそうな状況の会社」です。

二つ目の条件を知らない社長様が少なくありません。

 

◆「お金は、お金が必要な時に借りる。」(借り手の論理・雨傘理論)とするお金に関する

間違え常識がはびこっています。

これは間違えです。

○お金が必要なら借りる、今必要ないなら借りない…一見常識的に見えるこの考え方は、

借り手の論理です。だから、「雨が降ってきたから傘を貸してくれ」とする雨傘論が生まれ

ます。金融機関に雨傘は一本もありません。

(※救済的な制度融資・制度保証だけが雨傘です。)

○お金が必要な時にのみ金融機関に駆け込む(スポット対応)ことになります。

○「金融機関が追加融資を受けませんか?」と言ってきてもむげに断ります。

○「とりあえず自己資金ではじめて、必要になったら借ります。」と資産背景の無い創業者様も

平気で言い放ちます。

すべて借り手の論理・雨傘理論です。間違えています。故に、お金に苦労します。

下手をすると破たんします。これを財務無策・財務無知と呼んでいます。

 

◆「お金は、返済できそうな会社に貸す。」(貸し手の論理・日傘理論)が正解です。

○お金は返済できそうな会社に貸します。

○貸した後もしっかり対応してくれる会社こそ優です。

○「提案した追加融資は、素直に受けて欲しい。今は貸せるタイミングだ。」と思っています。

○「業績が悪い時にお金は貸せない。」

貸し手の論理・日傘理論です。

どっちが正しいのか?これを議論することに意味はありません。

相対的に力の弱い小規模零細・個人事業者・創業者様は、貸し手の論理・日傘理論に従うしか

ありません。

 

■当事務所(銀行融資プランナー協会)が提唱する、小規模零細・個人事業者・創業者様向けの

財務指針は、以下です。

1.金融機関借入は、借りられる時に借りられるだけ借りる。

2.借り入れを最大限活用して、手元資金を出来る限り潤沢にして維持する。

3.金融機関とは継続的・戦略的な関係を継続する。金融機関からは、借入れと返済、借り換えを

繰り返しながら、手持ち資金の最大化を図る。

 

◆上記の1~3の実現には、継続的な財務活動が必要です。

○資金は、借入れた時から返済が始まる。借入れ・現金共に徐々に減少する。

○通常の運転資金は借りられるタイミングを計って借入れ・借換えを行う。

○投資や増加運転資金はタイミングを計って借入れを行う。

○状況によっては、いち早くリスケを実行して資金の流失を減らす。

○金融機関への状況報告を積極的に継続して行う。

これらは、小規模零細・個人事業者・創業者様が本来継続して行うべき財務活動ですが、

このような継続的な財務活動を行っている会社・個人様は稀有です。財務無策状態が続いています。

大変危険です。