創業して3年以内に7割の会社が廃業すると言われます。しか
し、7割の中には創業融資に関する正しい知識があれば廃業を
防げたケースもあると感じます。

■ 創業融資に関する知識が不足しているケース
そもそも融資を受けるつもりがない創業者の方も多くいらっし
ゃいます。これらの方々は、自己資金だけで事業を軌道に乗せ
る計画を立てているため、創業時に資金調達に関する情報収集
を行っていません。そして、計画通りに事業が進捗しなかった
時に初めて、資金調達に関する情報を集め始めます。しかし、
計画通りに事業が進捗していない時は融資審査も通りにくいた
め、結局、資金が調達できずに事業の継続を断念することにな
ります。

創業してから事業を軌道に乗せるまでの間に資金が調達できる
ポイントは、乱暴に言うと2回しかありません。1回目は創業
前か創業してすぐのタイミング、2回目は単月黒字化を果たし
たタイミングです。このことを最初から知っていれば、融資を
受けやすい創業時にしっかりと資金調達を行い、廃業も免れた
かもしれません。

■ 自身の資金調達力を見誤っているケース
資金調達の重要性は理解しているものの、調達可能な金額を見
誤っている創業者の方も多くいらっしゃいます。貸し手の立場
から考えると、7割の方が廃業すると統計が出ている創業者に
対して、積極的に融資をする理由はありません。創業融資は借
りること自体が難しいにも関わらず、大きな金額を調達できる
と考えるのは危険です。

例えば、自己資金500万円に対して、単月黒字化までに
3,000万円の運転資金が必要となる資金計画を立てると、
資金に詰まる可能性が高くなります。創業融資で2,500万
円を調達するのは一般的に難しいためです。1回目の調達ポイ
ントである創業時に2,500万円全額を調達できれば問題は
ありませんが、仮に1,000万円しか調達できなかった場合、
スタートは出来ても2回目の調達ポイントを迎える前に資金が
不足します。単月黒字化を果たしていない状況では資金調達が
難しいため、事業継続を断念せざるを得ません。

自己資金500万円で大きなビジネスを目論む場合は、まず、
1,500万円を投資して1年で軌道に乗せるコンパクトなビ
ジネスプランを作成し、創業時に1,000万円を調達、軌道
に乗った1年後に追加で1,500万円を調達する計画を立て
ます。高い確率で達成できる目標を最初に設定し、実績を出し
て信用をつけながら、少しずつ目標を大きくしていく方法です。

大きな資金を投入した方が、大きなリターンを得られるという
のはセオリーですが、信用力のない創業時は、一度に大きな資
金調達は望めません。創業時の資金調達力を正しく理解し、適
切な資金計画を立てれば、存続の可能性も高まります。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■疾病1⇒分散症候群(有病率50%)

●治療と予防の方針は⇒
Simple化(単純化)=減らす・単純化する!
戦略的には事業立地の単純化(絞り込み)、戦術的には品揃え
や営業時間の単純化(削減)!

■疾病2⇒安売り症候群(有病率50%)

●治療と予防の方針は⇒
Profitable化(高収益化)=値上げ・上の世界に!
戦略的には生きる世界の格上げ、戦術的には価格の見直し!

■疾病3⇒財務無策症候群(有病率70%)

●治療と予防の方針は⇒
Ample化(潤沢に)=借りられるだけ借りる!
【借り手の論理=雨傘理論】(×)
⇒【貸し手の論理=日傘理論】(○)への発想転換!

■疾病4⇒前のめり症候群(有病率40%)

●治療と予防の方針は⇒Flexible(柔軟に)=余裕を持つ!
戦略的には時間と資金の余裕を持つ!100%ではなく、80
%の経営を!
考え方としては決め込まない!20%の想定外・理不尽に備え
る!

■疾病5⇒お人好し症候群(有病率60%)

●治療と予防の方針は⇒Clearly(明確に)=はっきりさせる!
優しさ、緩さ、だらしなさの排除!【心に一匹の鬼を】
マネージメントとしては管理の充実を!

【 企業が患う5大疾病 】
○一つ目「分散症候群」という疾病の正体は   ⇒有病率50%
○二つ目「安売り症候群」という疾病の正体は  ⇒有病率50%
○三つ目「財務無策症候群」という疾病の正体は ⇒有病率70%
○四つ目「前のめり症候群」という疾病の正体は ⇒有病率40%
○五つ目「お人好し症候群」という疾病の正体は ⇒有病率60%

【 SP(Simple&Profitable)経営 基本方針 】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を
維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

●働き方改革は必須のテーマです。
「…日本の2015年度の時間当たり労働生産性は、OECD
35カ国中20位で42.1ドルです。米国68.3ドル、ド
イツ65.5ドル、イタリア51.9ドル…」
〔公益財団法人日本生産性本部労働生産性の国際比較2016
年度版から引用〕

日本人が、国を挙げて「働き方改革」に取り組まねばならない
ほど、日本人は長時間働いています。一方、上記の国際比較か
らもわかるように、時間当たり生産性は極端に低い状況です。
では、なぜ時間当たり生産性がこれほど低いのでしょうか?

●顧客の声を聞き過ぎているからです。
お人好し症候群⇒安売り症候群&分散症候群

「日本の企業は顧客の声を聞きすぎる。顧客の過度な要望への
対応は、企業を疲弊させ、低生産性の元凶になっている。顧客
を神さまと勘違いして、過剰な対応を行うということは、一方
で、自社の経営と社員を疲弊させることになる。顧客に提供す
るサービスの内容と、負担いただく価格のバランスが、国全体
として崩れてしまっていることが、日本の生産性を著しく低く
してしまった。〔お人好し症候群〕が起点となり、〔分散症候
群〕と〔安売り症候群〕が常態化している。…」との仮説を持
っています。

●最初に『繁盛貧乏』からの脱却を!収益力と時間の余裕を作
りましょう!
N%絞って(減らして)N%値上げすれば、N%増益になりま
す。案外簡単です。7%絞って(減らして)7%値上げすれば、
7%営業利益が増えます。ヤマト運輸もロイヤルホストも、
ドコモも、りそな銀行も…取り組み始めました。過度の客迎合
からの決別です。貴社も取組みませんか?

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライ
アントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』
ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つ
ことを宣言いたします。
我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。
遠慮なくご相談ください。

○音声・パワーポイントレジュメ付の誌上無料セミナー(20分)
をご視聴ください。
【創業~中小零細企業経営者が押さえておくべき銀行取引の
基本ルール10!と3つの事例!】
…借り手の論理ではなく貸し手の論理で!
日傘理論ではなく雨傘理論で!

経営者が借入に消極的になる理由のひとつに個人保証がありま
す。多額の借入をして事業に失敗すると、連帯保証人となって
いる経営者は、多くの場合で法的整理を免れません。

金融庁は、中小企業経営者の思い切った事業展開を後押しする
ため、「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、金融機
関が個人保証に頼らずに融資を行うことを推奨しています。

金融庁が公表している当ガイドラインの活用に関する参考事例
集の中から、事例をひとつご紹介します。

■ ある地域銀行の事例

経営管理の強化に取り組んでいる取引先に対して経営者保証を
求めなかった事例

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

・当社は、建設工事及び建材卸売業を営んでおり、建材卸売部
門では大手メーカーや商社等と代理店・特約店契約を結んで
おり、多種多様な商品(内外装タイル、ユニットバス、耐火
壁、エレベーター等)を取り扱っている。

・震災復興関連工事の受注の増加により増収基調が続いており、
内部留保も厚く堅固な財務内容を維持している。

・当行は、メイン行ではないものの、増加する震災復興関連工
事に伴う資金需要に対応してきたところ、当社から短期資金
の借入の相談があった。

・また、借入の相談の際に、当行本部から送付されたガイドラ
インのパンフレットを見た経営者から、経営者保証を求めな
い融資の相談を受けたことから、ガイドラインの内容を改め
て説明するとともに、当社から提出のあった直近の試算表や
工事概況調等を勘案しつつ、ガイドラインの適用要件等の確
認を行った上で回答することとした。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

・当行の営業店では、案件受付票の作成に合わせ、今回新設し
た「経営者保証に関するガイドラインチェックシート」を活
用し、適用要件の確認を実施している。当該手続による確認
の結果、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで
新規融資に応じることとした。

1)決算書類について「中小企業の会計に関する基本要領」に
則った計算書類を作成し、地元の大手会計事務所が検証等を行
っているなど、法人と経営者の関係の明確な区分・分離がなさ
れていること

2)内部留保も厚く堅固な財務内容を維持しており、償還面に
問題がないこと

3)四半期毎に試算表等の提出を行うなど、当社の業況等が継
続的に確認可能なこと

・当社とは、長年の取引を通じてリレーションシップは十分に
構築されている。震災復興関連工事の増加による業況の拡大
が、ガイドラインで求められている返済能力の向上に寄与し
ている面は否めないが、当社が、外部専門家による検証等を
含め、経営管理の強化に従来以上に取り組むことを表明して
いることから、当行としても、業況の把握に留まらず、当社
の経営管理体制の構築について引き続き積極的にアドバイス
を行っていく方針である。

ご覧いただいた通り、個人保証を入れずに済むためには要件が
あります。当該案件の場合、下記の要件を満たしていることが、
個人保証を求めない要因となっています。

1)決算書に信憑性があること。
2)財務内容が良好であること。
3)経営状況を継続的にディスクローズする体制が整っている
こと。

業況や財務内容に加えて、高い経営品質を求められていること
が分かります。毎月の試算表はもちろん、資金繰り表等も作成
し、金融機関と円滑なコミュニケーションを取れる体制の構築
が必要です。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■病名5:【お人好し症候群】という病は…

創業者~中小企業までの経営者は、社長でありかつ現場のリー
ダーです。大企業の社長とは違います。その指示・命令は、概
念的な「フワッとした」曖昧な内容ではなく、明瞭でなければ
なりません。指示の曖昧な社長は少なくありません。また、頼
まれ事に「NO」と言えない(断ることができない。)社長も
少なくありません。さらに、従業員に嫌われたくないとの思い
からか、その距離を詰め過ぎる社長、嫌ごとや厳しい事を言え
ない社長も少なくありません。
この様なトップの率いる経営体は、組織自体がすべてにおいて
緩く・甘くなっています。

■この様な、緩い・甘い経営体を『お人好し症候群』と呼びます。

【お人好し症候群】の経営体の経営者は、以下のような状況です。
1.自分の判断は、どちらかというと甘いと思う。
2.自分の判断は、どちらかというと曖昧だと思う。
3.自分はNOと言いにくい性格だ。
4.自分は自分に甘いようだ。
5.自分は従業員に甘いようだ。
6.従業員は他の従業員に甘いようだ。
7.自分はお人好しだと思う。

いかがでしょうか?

■病名:『お人好し症候群』を整理します。

○判断が総じて甘く・緩くなる病です。

○原因
胆力の欠落と人の好さが原因です。胆力は長期間、長時間は継
続できません。また、人の好さが災いして、嫌なことを先送り
しがちです。胆力の維持できる範囲内で判断する、嫌なこと、
厳しいことを臆さずはっきり口に出す、これを意識しないと、
甘い・緩い経営になってしまいます。

○症状
すべてが緩慢になっています。仲良し倶楽部になっています。
早期の治療が必要です。
※企業経営はぴりぴりと張り詰める緊張感の中で行うものです。
一つ一つの判断が生死を分け、どちらかというと楽しいことよ
り嫌なこと、厳しいことが多いはずです。

■『お人好し症候群』への対応は…
人の好さは、会社に『甘さ』『緩さ』を蔓延させ、会社を破滅
に導きます。心に一匹の鬼を持って経営判断を行ってください。
厳しいことを臆さずはっきり口に出す、NOならNOとはっき
り言える経営者であってください。また、数値管理を最小単位
まで落とし込んでください。数値を判断基準にすると、曖昧さ
は減少します。

○対策
経営判断を明確(Clearly)にしてください。
1.経営判断に『甘さ』『ゆるさ』を持ち込まないでください。
2.NOといえる経営者になってください。
3.数値(目標、結果)管理を最小単位で徹底してください。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。
◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を
維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

2016年に施行された「中小企業等経営強化法」について、
現在の状況を解説します。

中小企業等経営強化法とは、製造、卸・小売、外食・中食、宿
泊、医療、介護、保育、貨物自動車運送業船舶、自動車整備等
の事業分野ごとに、各事業の所管大臣が示した経営力向上のた
めの取組(顧客データの分析、ITの活用、財務管理の高度化、
人材育成等)に基づいて計画を立て、認定を受けることにより、
税制面の支援等を受けられるという仕組みです。

中小企業庁によると、平成30年6月30日現在の認定件数は
63,469件ですので、認定を受けている中小企業は、まだ
まだ少ない状況ですが、設備投資を予定している企業にとって
は次のメリットがあります。

◆ 経営力向上計画の認定を受けるメリット
1.計画に基づいて行った設備投資について、固定資産税が3
年間半分になります。

2.計画に基づいて行った設備投資について、全額を即時に償
却することができます。もしくは、設備投資額の10%の
税額控除を受けることができます。

3.日本政策金融公庫、及び商工中金による低金利融資、信用
保証協会の保証枠の拡大が受けられます。

税金が安くなることは中小企業にとって大きなメリットです。
設備投資を行う予定があるならば、利用することをおすすめし
ます。具体的な流れは次のとおりです。

1.工業会等による証明書や、経済産業局による投資利益率に
関する確認書を取得します。
2.当該設備を利用し生産性を上げるための「経営力向上計画」
を策定し、各事業分野の担当省庁から認定を受けます。
3.認定を受けた計画に基づき、当該設備を取得します。

2で策定する「経営力向上計画」が大変そうだと思われたかも
しれませんが、「経営力向上計画」は、A4サイズの申請書が
2枚だけです。それほど大変な作業量ではありません。

500万円の設備投資を行ったと仮定すると、即時償却の場合
は、当期の法人税を150万円(実効税率30%とした場合)
削減することができ、税額控除を選択した場合は、法人税を
50万円削減したうえで、減価償却も通常通りに行うことがで
きます。

ご自身で計画の策定が難しい場合は、認定支援機関の支援を受
けて策定することもできますので、弊所までご相談ください。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■病名4:【前のめり症候群】という病は…

創業者~中小企業まで、その大半は小資本、過小資本で経営し
ています。少しのミスが致命傷になります。この実態を謙虚に
受け止めて、(資本を積み上げるまでは)出来るだけリスクを
取らない経営を行うしか他に方法はありません。
過少資本である現実を無視して、大きく攻め込んでしまう経営
者は危険です。少しばかりうまく行ったから・うまく行きそう
だと考えて、安易に人を増やす、事業所を拡大する、事業領域
を広げる等々、この判断とタイミングを間違えると命取りにな
ります。
このステージでは、行き過ぎるデメリットは、遅れるデメリッ
トよりもはるかに大きくなります。小資本、過小資本の会社は、
少し遅れながら攻めてください。
※攻めるためには余力が必要です。自己資本の充実や財務戦略
が重要です。

■この様に、実力以上に攻め込む経営体を『前のめり症候群』
と呼びます。

【前のめり症候群】の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.ぎりぎりの経営をしていると感じる。
2.毎日が緊張の連続で疲れる。
3.少し売上が落ちるとすぐに経営が厳しくなる。
4.資金繰りに追われている。
5.攻めすぎているかも、と感じることがある。
6.攻めすぎたと反省している。

いかがでしょうか?

■病名:『前のめり症候群』という疾病を整理します。

○会社の実力以上に事業を攻めすぎる、組織を大きくし過ぎる
病です。
○攻めるタイミングが、攻める規模が、自社の資本力・体力に
比べて早すぎる、大きすぎることが原因です。また、財務無
策や緩慢な経営管理が気付きを遅らせています。

○症状
持ち合わせた経営資源のすべてを出し切って、ぎりぎりの経営
を行っています。ひとつ判断が狂うと、一挙に経営の根幹が揺
らぎかねない状況に陥ります。企業経営においては、どうして
もこのステージを避けられないこともありますが、可能な限り
回避すべきです。それを恒常的につづけていると、会社も社長
も疲れ果ててしまいます。極めて危険な状況です。早期の治療
が必要です。

■『前のめり症候群』への対応は、事業の速度を落とすこと、
後退させることで、前のめりの角度を緩やかにすることです。
一方、財務戦略を確立することで補うことができます。
また、自己資本の充実や財務戦略をしっかり確立するまでは、
出来るだけリスクを取らない経営を行うしか他に方法がありま
せん。

○対策
変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持して
ください。
1.事業を攻め過ぎないでください。
2.ビジネスモデルを早期に固め過ぎないでください。
3.経営の推移を小まめに把握してください。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。
◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体
を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。

関与先様の紹介で来所されたA社の事例です。資金繰りが厳し
いとのご相談でしたが、決算から11か月が経過しているにも
関わらず、試算表を作成していなかったため、明確な状況を把
握出来ませんでした。ヒアリングによると、「今月末の資金が
不足しており、一応B銀行に融資を申し込んでいる」ことが判
明しました。

しかし、必要な資金の額を把握しなくては、果たして新規の融
資を受けるべきか、リスケジュールをするべきかが分かりませ
ん。よって、大まかな利益状況を調べることにしました。

利益状況を調べている最中に、「B銀行から2,000万円の
融資がおりたので借入をする。」との連絡が社長からありまし
た。まだ調査中でしたが、その時点で、足元の赤字が1,000
万円以上になっていることは確実で、さらに毎月の約定返済額
300万円を考慮すると、本当に2,000万円で足りるかは
疑問でした。しかし、B銀行の融資は数日後に実行されました。

その後、完成した資金繰予定を確認すると、2,000万円の
融資を受けたうえで、翌々月には資金がショートすることが判
明しました。現状の利益では、新規融資は見込めませんので、
リスケを依頼するしかない状況です。

社長は、「B銀行だけ返済して、その他の銀行をリスケすれば
良いのでは?」とおっしゃいますが、リスケジュールは、すべ
ての債権者に平等に対応しなくてはならず、特定の借入だけを
返済することはできません。足元の状況を調べなかったB銀行
にも落ち度はありますが、返済できないことを分かっていて、
融資を受けたと取られると、心証面でこじれてしまい、リスケ
ジュール全体に影響を与える懸念が生じます。

そのような状況の中、メインの銀行、サブの銀行、日本政策金
融公庫の順にリスケの依頼を行いました。どちらの金融機関も、
「他行も同様の条件であればリスケジュールに協力します。」
という返事でした。協力的な姿勢ではありましたが、「他行も
同様であれば」という条件付きです。もし、B銀行がリスケに
応じない場合は、法的整理も視野に入れなくてはなりません。

最後にB銀行と面談してリスケの意向を伝えたところ、担当者
は感情をあらわにして、不動産売却による返済を迫ってきまし
た。たった1回しか返済していない状況でのリスケの依頼です
ので、担当者が怒るのも当然です。しかし、不動産は売却代金
を資金繰りに充てようと考えていたため、担保も内入れも応じ
られないとお断りすると、ついに「何とかしてもらわないと困
る。」と泣きついてきました。上司からも相当責められている
ようです。

協議した結果、担保余力のない不動産に2番抵当をつけること
で最終的にリスケに応じてもらえました。これにより、無事に
すべての金融機関でリスケの承認を得ることができました。

リスケジュールは全金融機関の足並みを揃えなくてはなりませ
ん。一行でも反対があると難しくなりますので、慎重に進める
必要があります。直近借入があるなど、懸念材料がある場合は
事前にご相談ください。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■病名3:【財務無策症候群】という病は…

創業者~中小企業まで、その過半は財務機能を有していません。
また、間違えた考え方を鵜呑みにしておられる経営者も少なく
ありません。
○資金調達のための与信力が低いにもかかわらず、資金のダム
を作って備えようとしません。
○(日傘しかない)金融機関に、資金が不足した時に融資を受
けに(雨傘を借りに)行こうと考えています。
○利益は納税額だけではなく、今後の資金調達力を決めること
になる、これを理解せず、目先の過度な節税を目指します。
※借入れ(融資)可能額は、簡易キャッシュフロー(税引き後
利益+減価償却費)を基準にその概算が判定されます。
これらの財務無知から来る財務無策は、『お金に苦労する経営』
という結果を招くことになります。

■この様に、財務に対する備えが希薄、または、間違えた考え
を持っている経営体を『財務無策症候群』と呼びます。

【財務無策症候群】の経営体には、以下のような症状が現れま
す。
1.金融機関との継続的な関係を築けていない。必要な時のみ
頼る。
2.資金繰りに苦労をしても、借入れは少ない方がよいと考え
ている。
3.資金繰りの余裕が少ない。
4.支払金利に(過度に)敏感である。
5.継続的に資金繰りを管理する仕組みを持ち合わせていない。
6.そもそも『財務』の概念を知らない。

いかがでしょうか?

■『財務無策症候群』という疾病を整理します。

○財務戦略がないために、お金に苦労する経営体に甘んじる病
です。

○原因
財務無知、または、財務無策です。

○症状
手持ち資金が極小であっても、資金繰りに苦労しても、とにか
く借入れを減らして(行わずに)経営を続けようとします。
また、貸し手である金融機関の都合を理解できず、自社の都合、
必要な時に必要な金額だけ貸して欲しいとの借り手の都合で行
動します。少しでも歯車が狂えば、途端に危機的な状況に陥っ
てしまいます。早期の治療が必要です。

■『財務無策症候群』への対応は、財務の機能を持つことです。
中堅以上の企業には、必ずこの機能があります。

○対策
1.金利を気にせずに『借りられる時に借りられるだけ借りる。』
2.『貸し手の論理』(借り手の論理ではなく)に沿って資金
調達を継続する。
3.納税を恐れずに利益をだす。
自己資本の充実と簡易キャッシュフローの最大化を図る。
4.精度の高い6カ月~1年先までの資金繰り計画を持ち続ける。
5.金融機関との継続的な関係を構築する。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。

◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体
を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。

大きな事業を目指せば目指すほど資金は必要になります。経営
者にとって、資金の供給面で最大の事業パートナーとなるのは
金融機関です。パートナー選びを間違わないようにしましょう。
より多くの資金調達を目指す場合の正しい金融機関選びをご紹
介します。

地域により目安となる年商規模が変わる可能性はありますが、
下記は、年商に応じた取引金融機関のイメージです。

■ 創業から年商3億円程度までのステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合からの保証協会保証付き融資
・信用金庫、信用組合からのプロパー融資

■ 年商3億円程度から年商10億円程度までのステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行からの保証協会保証付き融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行からのプロパー融資

■ 年商10億円超のステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行、メガバンクからの保証協会
保証付き融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行、メガバンクからのプロパー
融資

審査の難しい順で並べると、最も融資を受けやすいのは日本政
策金融公庫で、次に保証協会保証付き融資です。続いて信金信
組プロパー融資、地方銀行プロパー融資、メガバンクのプロパ
ー融資となります。

資金戦略上最も重要なポイントは「保証協会保証付き融資をど
この金融機関に割り振るか。」です。保証協会とは、その名の
とおり保証をする機関であり、直接融資をすることはありませ
ん。保証協会の保証があれば、例え創業したばかりの企業でも
メガバンクから融資を受けることができますが、保証付き融資
を利用する金融機関選びは重要です。

メガバンクからプロパー融資を受けられる基準にない企業が、
保証付き融資をメガバンクで利用したケースを考えてみます。
メガバンクとの関係は、あくまでも保証付きが前提ですので、
いざと言う時にプロパー融資をお願いしても門前払いです。
その時に慌てて信金信組に駆け込んでも、初めてお付き合いす
る相手にいきなりプロパー融資を出す可能性は低くなります。
また、信金信組の立場からすると、「メガバンクが安全性の高
い保証付き融資なのに、なぜうちだけがリスクの高いプロパー
融資を出さなくてはならないのか?」となります。

別の見方で検証します。貴社が年商3億円の企業と仮定した場
合、超大手企業をメインの取引先としているメガバンクにとっ
て、貴社はあまり重要でない顧客です。形式上の担当者か、も
しくは担当すらつかないこともあります。一方、地域密着型で
比較的小規模の事業者を取引先としている信金信組では、貴社
は重要な顧客として迎え入れられる可能性があります。エース
級の担当がつき、プロパー融資も含めて資金面を支えてもらえ
る確率が高まります。

より多くの資金調達を目指す場合、いかに早いステージでプロ
パー融資を調達できるかどうかが重要になります。いきなりプ
ロパー融資を受けられるケースは少なく、一般的には保証付き
融資からスタートして信用を積んだ後、少しずつプロパー融資
を受けられるようになります。保証協会の保証枠には上限があ
りますので、最もプロパー融資を出してくれる可能性の高い金
融機関で保証付き融資を利用するのが最善です。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。貴社
の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の
方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及
いたします。

■病名2:【安売り症候群】という病は…

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに
掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けす
ぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与え
るダメージを過小評価してはいけません。
経営者は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」を
して、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛
貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。
経営者は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよ
りも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまい
ます。価格を売るための道具に使ってしまいます。
安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い
取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たな商
品やサービスを創り出す創造力は生まれません。商品やサービ
スの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせ
るのではなく、その価値を向上させることで調整してください。
多くの偉人たちが語る経営の王道です。

■この様に、「値決め」が弱気で利益を出せない経営体、さら
に、新しい価値を生み出す創造力を無くしてしまった経営体を
『安売り症候群』と呼びます。

【安売り症候群】の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.頑張っているのに儲からない。
2.新しい商品、サービスを創造できていない。
3.利益は出なくて良い、と思うことがある。
4.値上げをしたいと思っていてもできない。
5.ぎりぎりの経営をしていると感じる。

いかがでしょうか?

■【安売り症候群】という疾病を整理します。

○値決めに対する姿勢が弱気で、利益管理も曖昧になる病です。

○原因
安くないと売れないとの思い込みが原因です。良いものには相
応の値段を(それなりのものはそれなりの値段を)付けてくだ
さい。良いものを安く売る必要はありません。原価が上がれば
価格を見直す、この当たり前の企業行動を取らなければ、利益
がどんどん減ります。利益が薄くなればなるほど、良いものを
作ろうとする知恵や創造力を失います。最後は、薄利は善、利
益は悪の心境に陥ります。こうなると末期です。

○症状
二つのレベルに分かれます。繁盛貧乏のレベルが第一段階です。
このレベルは頑張っているのに値決めを間違えていて儲からな
い状況です。この段階では価格の見直しを行えば容易に治癒で
きます。第一のレベルを続けていると、頑張っても儲からない
と思い込み、頑張る意欲、より良いものを創造しようとする力
を失くしてしまいます。最後には、儲からない自分を正当化す
るために、儲けは悪、儲からないことが善、ビジネスそのもの
を否定するようになります。

■【安売り症候群】への対応は…「繁盛貧乏」から抜け出すこ
とです。『高収益化(Profitable化)』と定義します。

○対策は…高収益(Profitable)を目指す、ここから始めてく
ださい。
1.値決めを再考ください。値上げを検討してください。
2.付加価値の向上を目指してください。
3.利益管理を徹底してください。
4.コストを抑えてください。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。

◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体
を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。