財務戦略とは、企業の将来の見通しを立てながら、必要な投資
やコスト、それに対する原資について検討、分析し、計画を立
て実行することを意味します。最も効率良く利益を増やすため
に、いつ、どこから資金を調達し、どこに資金を費やせば良い
かを慎重に検討することが重要です。
中小企業にとって、攻めの財務戦略は特に必要です。資金ニー
ズが発生してから資金調達を考えるのではなく、資金ニーズが
発生することを予測し、または自ら資金ニーズを創出して、資
金調達を積極的に行うことが「攻めの財務戦略」です。
■ 財務戦略が無い場合
・月末の資金不足:直前にならないと分からないことが多く、
財務計画が不十分です。例えば、リアルタイム財務を導入する
ことで、経営に関する数値や情報が直近のもの、かつ正確であ
るため、経営判断や投資判断が容易になります。
・突発的な支出:機械の故障など、予期せぬ支出に対応するの
が難しくなります。具体的には、予備費の設定やリスク管理策
を講じることで、突発的な支出にも対応できるようになります。
・急なビジネスチャンス:余裕資金が無いため、急なビジネス
チャンスに対応できません。例えば、キャッシュフロー管理を
強化することで、突然のビジネスチャンスにも迅速に対応でき
るようになります。
行き当たりばったりの経営では、有事への対応力が弱く、安定
した経営が難しい状況に陥りやすいです。また、投資の効果を
考慮しないため、結果的に無駄遣いが多くなってしまいます。
■ 保守的な財務戦略の場合
・企業体質の硬直化:「新しいことは何もしない」という姿勢
で、企業体質が硬直化してしまいます。例えば、定期的な事業
レビューを実施することで、必要な投資の再考や優先順位の検
討が可能になります。
・投資効果の薄れ:自社の事業の投資効果が薄れても、気づか
ないまま事業を継続してしまいます。具体的には、KPI(主
要業績評価指標)を設定し、定期的にレビューすることで、投
資効果を常に監視できます。
・新しいビジネスチャンスの見逃し:視野が狭くなり、新しい
ビジネスチャンスを見逃してしまいます。例えば、市場調査や
競合他社の動向を常に監視することで、新しいビジネスチャン
スを把握しやすくなります。
近年、10年安泰な事業は少なく、一定のリスクを冒さなければ、
成長することはもちろん、生き残ることすら難しい時代です。
■ 攻めの財務戦略の場合
・積極的な資金調達:資金調達を積極的に行い、キャッシュポ
ジションを常に高く維持しています。例えば、金融機関との関
係を強化し、必要に応じて迅速に資金調達ができるようにしま
す。
・安定した資金繰り:資金繰りが安定し、落ち着いて経営がで
きます。リアルタイム財務の導入や財務ソフトウェアの活用に
より、財務状況を常に把握しやすくなります。
・スピーディな対応:ビジネスチャンスがあれば、迅速に対応
できます。例えば、予備資金を設定し、急な機会にも即座に対
応できる体制を整えることが重要です。
・計画的な投資:機械の買い替えなど、投資計画を立てること
で計画的に資金調達ができます。長期的な投資計画を立て、優
先順位を設定することで、効率的な資金使用が可能になります。
・事業モデルの進化:自社の事業モデルの進化発展を常に考え
るようになります。定期的な戦略会議を実施し、市場の動向や
技術の進化を踏まえた新しいビジネスモデルを検討することが
重要です。
しっかりと計画を立て、先回りして資金調達に動きます。資金
に余裕を持つことで、経営の選択肢が広がります。
大企業でさえ、成長分野を探して資金を投下し、事業モデルを
変化させながら生き残りを図っています。大企業よりも小回り
の利く中小企業にこそ、攻めの財務戦略が必要ではないでしょ
うか。中小企業はその柔軟性を活かし、迅速な財務戦略の変更
が可能であるため、成長に寄与することが多いです。