ひとつのプロジェクト資金を複数の金融機関で融資することを、
「協調融資」と言います。大企業が大型の資金調達を行うとき
に、金融機関がシンジケート団を組成して行うシンジケートロ
ーンが協調融資の代表例でしたが、現在では、中小企業でも、
複数行が協調して融資を行うことが珍しくなくなってきました。

元々、金融機関は他の金融機関と積極的に連携を図ることはあ
りませんでした。今でも、民間の金融機関同士が連携を図るこ
とは殆どありませんが、日本政策金融公庫と民間金融機関は積
極的に連携を図るようになっています。

例えば、公庫が単独では融資が難しいと判断した場合、担当者
レベルで知り合いの民間金融機関を紹介してくれたりします。
また反対に、民間の金融機関が公庫に掛け合ってくれることも
あります。

企業側の協調融資のメリットは、大きな金額を調達しやすくな
る点です。少し無理をして大きな店舗を出店する場合など、金
額面で金融機関が融資を躊躇することがあります。このような
ケースでは、単独で全額を融資するのはNGでも、他の金融機
関とリスクを分け合えるのであれば、融資は可能と判断しても
らえることがあります。

ただ、金融機関同士の垣根が低くなったとはいえ、まだまだ担
当者レベルの交流が主体のようです。上手くいけば協調相手の
金融機関を紹介してもらえるかもしれませんが、基本的には自
分で金融機関をコーディネートしなくてはなりません。

また、協調融資は、融資額を半分ずつ2つの金融機関に割り当
てるよりも、どちらかの金融機関を主に据えて、不足部分をも
うひとつの金融機関に割り当てる方が上手くいきます。金融機
関への根回しが必要です。

弊所では、多数の地域金融機関と情報連携をしておりますので、
協調融資のコーディネートをお手伝いすることが可能です。自
社の実力に比べて、少し大きな設備投資を行う場合等はご相談
ください。

■消防士は火に対する知見を有しています。

故に、大丈夫、危険だ…これらを正しく判断できます。危険な
火災現場に遭遇しても、最小限のリスクで最大限の対応ができ
るのはこのためです。
仮に、無知な消防士(?)が消火活動を行ったとすると、過度
に恐れて適切な消火活動ができない、または、蛮勇で無茶なそ
れを行うことになるはずです。いずれも正しい消火活動とは程
遠い結果になります。
消防士は、日々欠かさず、火に対する勉強と訓練を積んでくれ
ています。

■社長も経営を「知る」ことが重要です。

経営には不安がつきまといます。具体的な不安、漠然とした不
安…無限の不安が心に降り注いできます。ある種の必然で仕方
ありませんが、これらの不安を軽くする方法はあります。

◎人は、わからないことに多くの不安を感じるようです。
・「知る」ことで多くの不安が解消されます。
・「知る」ためには勉強が必要です。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、程度加減がわかります。
・「知る」ことで、ここまでは大丈夫、これ以上はダメ、この
境界が見えます。
・「知る」ことで、経営判断の精度が向上します。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、「自分の知らないこと」を認識できます。
・知らないことを認識すること(=「無知の知」)は重要です。
・「知る」ことに重点的に取り組むことができます。
・「自分の知らないこと」には取り組まない、または、他人の
知恵を借りる癖が付きます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■過度の心配は払しょくしましょう。チャンスを逃してしまい
ます。逆に、蛮勇もご法度です。会社をつぶしてしまいます。

「無知」な社長は二つのパターンに分かれます。

◆1.過度に恐れて攻めることができない社長。
リスクを過大評価して、一歩も前に進めません。前に向かって
アクセルを踏めない原因の一つは「知らない・わからない」か
らではないでしょうか?

◆2.蛮勇を背景に突っ走る社長。
リスクや実力を省みることなく、とにかくアクセルを踏み続け
ます。過度に邁進できる理由の一つは「知らない・わからない」
からではないでしょうか?
いずれも正しい経営とは程遠い結果になります。

■「知る」ことは大変大きな収穫をもたらします。

社長が経営の勉強をすることには大変大きな意味を持ちます。
その経営成績、収穫に直結します。ただ、社長が勉強すべき
テーマは極めて広範囲です。
以下の方針で取り組んでください。

◎できるだけ体系的・網羅的・論理的に計画的に学んでくださ
い。
◎学びにゴールはありません。生涯学習のつもりで学んでくだ
さい。

「無知」は大きな損失を招きます。損をします。
「無知」は不安の大きな原因の一つです。病みます。
「知る」ことで多くの事を解決できます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

社長様によって経営のスタンスはそれぞれです。家族を養える
範囲で・・・従業員を養える範囲で・・・100年続く企業を目
指して・・・上場企業を目指して・・・日本を代表するグロー
バルな企業を目指して・・・どのスタンスで経営するかは社長
様の自由であり全てが正解です。ただ、規模の拡大を追求する
のであれば、ファイナンス(資金調達)を上手に活用できるか
どうかで成長のスピードが大きく変わります。

単純な話ですが、自己資金300万円で商品を仕入れて売るより
も、さらに300万円を借り入れて、600万円分の商品を仕入れ
て売った方が、より大きな売上を創出できます。社長様が600
万円分の商品を販売できる事業力を有しているのであれば、迷
わずファイナンスを活用すべきです。

売上だけではありません。専門的には財務レバレッジと呼びま
すが、自己資本だけで経営を行うより、他人資本を取り入れた
方が、自己資本の効率が高まるという事実があります。もちろ
ん、利益がマイナスに振れた時には、自己資本だけで経営を行
うよりも資本効率が大きく低下するというデメリットもありま
すが、社長様が利益を上げられる事業力を有しているならば、
迷わずファイナンスを活用すべきです。

世間的に見ても、1代で大きな企業を作った社長様は、ファイ
ナンスを巧みに活用して積極的な拡大戦略をとっています。決
して大企業だけの話ではなく、数億円規模の中小企業でも、資
本主義社会においては、資金力が大きい方が有利であることは
明白です。ファイナンスが重要な経営技術のひとつとされる理
由はそこにあります。

好景気の時など、利益が出やすい環境が整ったときには、ファ
イナンスの恩恵がより高まるチャンスです。景気の流れを見極
めてファイナンスを上手に活用しましょう。

ただ、ファイナンスは経営技術であると述べたとおり、誰にで
も簡単に扱えるものではありません。思ったように調達出来な
いこともあるでしょうし、使い方を間違えば大きなダメージを
受けることになります。

何が正しいのか?大変難しいテーマです。『対局にも真あり』
とも言われます。それでも社長は日々多くの判断をくだしてい
ます。過去の経営判断の集積が現状であり、これからの判断の
結果が未来の経営成績に反映されます。判断の精度が原因、経
営成績が結果、タイムラグを経て明確な因果関係が生まれます。

社長は、何を基準に経営判断を行っているのでしょうか?理詰
めで考えて判断する以外に方法はありません。常に自身の頭の
中で考えを突き詰めて、論理に沿って判断すべきです。絶対に
やってはいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な
世間の間違え常識を鵜呑みにすることです。

曖昧な形で伝わってくる無責任な世間の間違え常識の中には、
疑問を投げかけたくなる内容も混ざっています。特に違和感を
持つのは、大企業の常識と中小企業の常識の違いが勘案されて
いない内容です。大企業の常識は、時に中小企業の非常識に当
たることがあります。
◆間違え常識3、◆間違え常識8や◆間違え常識14はその典
型例です。

◆間違え常識1:収益性の良し悪しは、マネージメントやマー
ケティングで決まる。

⇒違います。その前に事業立地・ビジネスの型の良し悪しが重
要です。飽和した事業立地で、収益力の低いビジネスの型で
事業を行うことには限界があります。

◆間違え常識2:経営の生産性向上のためには、改善すること
だ。

⇒違います。止めること・絞ることです。

◆間違え常識3:マーケットインこそすべてだ。

⇒必ずしもそうではありません。(中小企業には)プロダクト
アウトこそ重要です。ニッチマーケットを開拓するためには、
仮説から始まるプロダクトアウトこそ重要です。

◆間違え常識4:社長は、急ぎで重要なことに専念すべきだ。

⇒違います。社長の仕事は、急ぎでない重要なことへの対処で
す。

◆間違え常識5:売上こそ経営の肝だ。

⇒違います。多くの場合、利益の方が重要です。

◆間違え常識6:売れないので価格を下げる。

⇒違います。価格を売るための道具に使ってはいけません。
売れるように価値を向上させてください。

◆間違え常識7:協業先を早く作りたい。

⇒違います。その前に自立することです。

◆間違え常識8:衆知の経営を行いたい。

⇒違います。小さな会社は社長の独断こそ正です。

◆間違え常識9:従業員に好かれたい。円満でいたい。

⇒違います。好かれる社長のいる会社は総じてうまく行ってい
ません。

◆間違え常識10:社長が忙しい。

⇒違います。余計なことをし、コントロールできないことを考
えているからです。

◆間違え常識11:従業員(会社)が忙しい。

⇒違います。マネージメントが雑なだけです。余計なことをさ
せています。

◆間違え常識12:十分な費用を費やして最高の管理を行うこ
とが重要だ。

⇒違います。最適な管理を最小のコストで行うべきです。

◆間違え常識13:能力の限界まで出世させてあげたい。

⇒違います。能力の限界の手前に留めるべきです。

◆間違え常識14:お金は、お金が必要な時に借りる。

⇒違います。(中小企業は)お金は、借りられる時に借りられ
るだけ借りることです。

◆間違え常識15:借入れは少ない方が良い。

⇒違います。そうでないことも多いです。

◆間違え常識16:取引する銀行は大きな銀行が良い。

⇒違います。取引する銀行は分相応が良いはずです。

◆間違え常識17:現状の厳しさを強調して、金融機関に融資
を依頼する。

⇒違います。返済できる根拠を書面で示して依頼するべきです。

◆間違え常識18:創業時、自己資金が底をついて資金が逼迫
するタイミングで資金調達する。

⇒違います。デスバレーに突入する前の創業初期か、デスバレ
ーを抜け切った黒字転換後しか調達できません。

経営判断は、とことん理詰めで行ってください。絶対にやって
はいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な世間の
間違え常識を鵜呑みにすることです。上記の間違え常識に対す
るコメントも、本当は間違えかも知れません…とことん理詰め
で考えてください。

創業当初からお付き合いさせていただいているA社の事例です。
5期目の決算が終わったところですが、売上高が約7億円と順
調に成長しています。

A社の特徴的な点は、外部からの借入が無く、代表者個人から
の借入金1億円にて資金を繰り回している点です。創業時に創
業融資をおすすめしましたが、「自己資金で対応するので借入
れはしない。」という経営方針であったため、これまでは税務
顧問のみのお付き合いとなっていました。

毎期順調に売上高を伸ばしてきましたが、それと同時に役員借
入金の額も増加し続け、ついに役員借入金が1億円を超えた時
点で、社長より次の主旨のお電話がありました。

・いよいよ自己資金も尽きてきたので借入れを考えたい。
・金額は、今後事業をさらに伸ばすための資金で1億円、個人
で貸している分を返してもらうために1億円、あわせて2億
円を調達したい。
・預金取引をしている信用金庫に行って融資を依頼したが、短
期で1,000万円しか融資ができないと言われた。
・税務だけでなく資金調達を含めた財務面も見てもらえないか。

どこの金融機関も新規取引は慎重になります。A社は金融機関
との融資取引が全くありませんので、すぐに2億円を調達する
のは簡単ではありません。まずは、今期中に1億円、次の決算
後に1億円を調達する計画で資金調達を開始しました。

まず、今後の業績見込みとそれに伴う1億円の資金計画を作成
し、I地銀に保証協会とプロパー融資の打診をしました。I地
銀は保証協会から無担保枠一杯の8,000万円の事前承認を
取り付けてくださいましたが、「プロパーは来期の決算後に・
・・」という回答でした。保証協会の8,000万円だけで終
わりとなっては困るため、I地銀には、5,000万円だけ保
証付融資を申し込み、3,000万円の枠を残すことにしまし
た。

次にBメガバンクに保証協会とプロパーの打診をしました。保
証協会で3,000万円の承認がおりている旨をご説明してプ
ロパーの積み上げを依頼したところ、保証協会3,000万円
とプロパー2,000万円で提案をいただきました。

2行で目標額1億円の調達は完了しましたが、日本政策金融公
庫の無担保枠2,000万円も利用できると考えて打診しまし
た。1億円の調達は完了したが、本来は2億円の調達をしたい
旨をご説明したところ、「通常は2,000万円が無担保枠の
上限だが、制度融資によって4,800万円まで利用できるも
のがある。そちらを利用して4,000万円でどうか。」とい
う提案をいただきました。

続いて商工中金、中小企業事業にも打診を考えており、順調に
いけば今期中の2億円の調達が見えてきました。

本来は1億円以上の調達が可能な実力があるにも関わらず、社
長様が自身で信用金庫に行くと1,000万円の短期融資しか
できないと言われたのはなぜでしょうか。答えは単なる説明不
足です。

A社は、売上高は順調に推移してきたものの、利益が出始めた
のは2期前からであり、表面は債務超過です。実質自己資本と
見做せる代表者からの借入金が1億円ありますが、30代で1
億円の個人資産を持っているのは逆に不審に思われることもあ
ります。

弊所は、社長の略歴、企業の沿革、資金繰りの状況と計画、利
益の状況と計画を整理して、金融機関に説明しただけです。決
して金融機関と特別なパイプがある訳ではありません。説明の
仕方ひとつで結果がこれだけ変わることがあります。

社長様、経営者としてやってはいけないことがあります。整理
してみました。一つの考え方としてご確認ください。

■その1…社長は、悲観的になりすぎてはいけません。

悲観的になりすぎると心が折れます。逆に、楽観的すぎると心
が緩みます。心は、敢えて、楽観と悲観を行き来させることが
コツです。悲壮感あふれる気の毒な社長に時々出会いますが、
これは損です。改めましょう。

■その2…社長は、体を酷使しすぎてはいけません。

疲れすぎると思考が鈍ります。疲れすぎると気力が落ちます。
これでは経営はできません。常に最高の体調を維持することが
必要です。よく眠ってください。頑張りすぎて疲れ切った社長
に時々出会いますが、これは良くないですね。改めましょう。

■その3…社長は、楽観的に行動してはいけません。

最悪を想定して行動してください。備えて・備えて…備え尽く
すことが重要です。悲観的に考える割に、行動は楽観的な社長
がいます。これは真逆です。

■その4…社長は、結論を先送りしてはいけません。

決めること、社長の最も重要な仕事です。二晩寝て決まらない
ことはいくら考えても決まりません。考え続けて決めない社長、
これは良くないですね。改めましょう。

■その5…社長は、決め込んではいけません。

確信をもって行動してください。ただし、いつでも方向転換す
る心構えを持ってください。確信と柔軟性、この両立が必要で
す。何があっても方向転換しない、これは良くないですね。
改めましょう。

■その6…社長は、部下の話をミスリードしてはいけません。

状況把握は丁寧に根気よく行ってください。部下の話を途中で
遮らず、正確に聴くことが必要です。他人が説明している途中
で自分の意見を挟み、結論を決めつける、これは良くないです
ね。改めましょう。

■その7…社長は、合議制の経営を目指してはいけません。

経営判断は自分一人で行うものです。合議制などありません。
中小企業はトップの独断が重要です。自分が決めて、自分で責
任を取る、これが中小企業の健全な姿です。周りに頼り過ぎて
はいけません。
※判断材料としての話は良く聴いてください。

■その8…社長は、ファジーな指示を出してはいけません。

曖昧な中庸の指示は組織を惑わします。指示は白か黒、左か右、
YESかNOです。気を付けてください。どちらとも解釈でき
るような曖昧な指示を出してはいけません。

■その9…社長は、責任転嫁してはいけません。

隕石が降ってきて自分に当たっても自己責任です。すべての事
象を自己の責任として受け止め対応を考える、または、そうな
らないように備える、これが経営です。責任転嫁からは何も生
まれません。

■その10…社長は、切れて(感情で怒って)はいけません。

すぐ切れて損ばかり繰り返す社長は少なくありません。二晩寝
ても治まらない怒りは真の怒りです。真の怒りに対してのみ怒
りをぶつけてください。

■その11…社長は、構想・アイデアを出し過ぎてはいけません。

現場の理解力、執行力に合わせてアイデアを順次出してくださ
い。現場にアイデアを出し過ぎると消化不良を起こします。現
場へのアイデア出しは、適時・適量を心がけてください。

■その12…社長は、部下と仲良しになり過ぎてはいけません。

いつも部下とつるむ社長がいます。経営者の孤独感を解消しよ
うと、部下との距離を詰め過ぎることはお勧めできません。社
長と社員には一定の距離感が必要です。

色々な考え方があります。また、程度加減の問題もありますが、
一つの指針として心に留めてください。

◎「価格戦略=値決め」は、経営成績の良し悪しに甚大な影響
を与えています。勇気をもって「価格戦略=値決め」をご再考
ください。

平成31年4月~6月のセーフティネット保証5号の指定業種
が発表されました。セーフティネット保証5号とは、業況の悪
化している中小企業が利用できる保証制度です。指定業種に含
まれていなければ利用できない制度ですので、まずはご自身の
業種が指定業種に含まれているか、下記中小企業庁のホームペ
ージにてご確認ください。

◆指定業種一覧
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2019/1903205gou2.pdf

ご自身の業種が指定業種に含まれていたら、直近3ヶ月間の売
上高を前年同期間の売上高と比較します。もし、売上高が5%
以上減少していれば対象となりますので、セーフティネット保
証制度に申し込むことが可能です。(指定業種かつ売上減少が
要件です。)

具体的な申し込みの流れは、まず市区町村長の認定を受け、そ
の後、銀行等金融機関に認定書を持ち込みます。認定の受け方
については中小企業庁のホームページでご確認ください。

◆認定の受け方(中小企業庁HPより引用)
対象となる中小企業の方は、法人の場合は登記上の住所地又は
事業実体のある事業所の所在地、個人事業主の方は事業実体の
ある事業所の所在地の市町村(または特別区)の商工担当課等
の窓口に認定申請書2通を提出(その事実を証明する書面等が
あれば添付)し、認定を受け、希望の金融機関または所在地の
信用保証協会に認定書を持参のうえ、保証付き融資を申し込む
ことが必要です。(引用終わり)

信用保証協会では、中小企業が利用できる保証限度額が無担保
で8,000万円と定められています。あくまでも利用可能な枠の
ことであり、必ず8,000万円の保証を受けられるということで
はありませんが、セーフティネット保証制度は、さらに別枠で
8,000万円の保証枠が設けられます。

通常の融資審査は業績が悪いと通りませんが、本制度は業績が
悪くなければ利用することができません。また、通常の金利は、
業績が悪くなればなるほど高くなりますが、本制度は低い金利
で利用することができます。業績が悪くなることを歓迎したく
はありませんが、そうなった場合には利用したい制度です。

「足元の売上高が一時的に減少しているだけでも利用できるか
?」「売上高は落ちているが利益が出ている場合は?」「売上
高が伸びている事業と落ちている事業がある場合は?」等、本
制度の利用についてご質問やご相談があれば、お気軽にお問合
せください。

■勝ち組と負け組の価格戦略は真逆です。

◆市場が飽和した日本のマーケットにおいては、モノやサービ
スを安く買おうとするエネルギーが蔓延しています。モノや
サービスを提供する企業サイドも、その趨勢に迎合すること
で、自社の売上を確保しようと考える傾向が強いようです。

◇一方、十分な利益を確保できる価格設定を行ったうえで、隆々
と経営を続ける企業もたくさんあります。当然、たくさんの
顧客に支えられているはずです。

◆前者と◇後者、雑駁に分類するなら負け組と勝ち組です。
◆前者(負け組)が4割、◇後者(勝ち組)が2割、中間が4割、
このような分類になりそうです。

◆前者(負け組)の企業の価格戦略は…
・「価格(安売り)を売るための道具」だと思っています。
・「価格は安い方が売れる」と思っています。
・「価格は、できるだけ安めに設定するべき」と思っています。
・「価格が高すぎて売れない」ことを過度に嫌います。
・「売れないより、薄利でも売れた方がよい」と考えています。
※うまく行ってたくさん売れても「繁盛貧乏」に陥ります。儲
からないのに忙しい状態でバランスしてしまいます。後は頑
張って・頑張り続けて…現状維持が関の山です。

◇後者(勝ち組)の企業の価格戦略は…
・「価格を売るための道具には使わない」との信念を持ってい
ます。
・「価格が安くても売れるわけではない」と思っています。
・「価格は、できるだけ高く設定すべき」と思っています。
・「(仮に)高すぎて売れないことが有っても仕方ない」と思
っています。
・「薄利で売るよりも、売れない方がよい」と考えています。
※うまく行けば、たくさん売れて儲かる「繁盛高収益」の状態
になれます。利益で次の投資ができ、さらなる成長を目指せ
ます。うまく行かなければ、「閑散貧乏」の状態です。やり
直せます。

■価格に対する二つの潮流…

◆モノやサービスを安く買おうとする潮流に巻き込まれること
は得策ではありません。
◇もう一つの潮流、「良いモノ・必要なモノが欲しい。対価は
払う」に乗せましょう。
気を付けてください。
◆前者の潮流の方が目立っています。◇後者は静かに流れてい
ます。

■もう一度「価格戦略=値決め」を再考してください。

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに
掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けす
ぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与え
るダメージを過小評価してはいけません。
経営者は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」を
して、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛
貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。
経営者は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよ
りも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまい
ます。価格を売るための道具に使ってしまいます。
安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い
取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たな商
品やサービスを創り出す創造力は生まれません。商品やサービ
スの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせ
るのではなく、その価値を向上させることで調整してください。
多くの偉人たちが語る経営の王道です。

事業は付加価値を求めつづけることでのみ継続できます。値決
めは重要な経営判断です。安売りは悪です。利益を計り、利益
を求めてください。また、コストは自然に膨らみます。意識し
て抑え込んでください。高収益(Profitable)な企業体作りを
強く意識してください。

◎「価格戦略=値決め」は、経営成績の良し悪しに甚大な影響
を与えています。勇気をもって「価格戦略=値決め」をご再考
ください。

金融機関は決算書を中心に審査を行いますが、決算書に存在し
ていると融資が難しくなる勘定科目があります。「貸付金勘定」
と「仮払金勘定」です。

貸付金勘定は、会社が第三者にお金を貸し付けることで発生し
ます。「社長が個人的に使ってしまった。」「友人の会社が資
金繰りに困っていたので用立てした。」という場合等に発生し
ます。

金融機関は、融資したお金が本業以外に使われることを嫌いま
す。会社の運転資金として借りたお金を個人的に使うのはもち
ろんですが、他社の支援資金に回ることも資金使途違反となり
ます。自己資本が充実している会社であれば、銀行から借りた
お金ではなく自己資金で貸したのだと主張はできますが、貸付
金勘定の発生自体がネガティブに捉えられます。

仮払金勘定は、お金の使いみちが不明な場合に発生します。宛
先や支払内容が不明な支払はとりあえず仮払金として処理され、
最後まで内容が分からなければ仮払金勘定として残ります。使
途不明金です。

金融機関はどんぶり勘定を嫌います。融資したお金が使途不明
金になっては困りますので、仮払金勘定が多い会社はネガティ
ブに捉えます。もちろん、出張費用の前渡分が未精算である等、
通常の営業活動で発生した仮払金は問題ありません。

「うちは貸付金や仮払金はないから大丈夫」と高をくくっては
危険です。会社からお金を借りた覚えもないのに、銀行から指
摘されて自社の決算書に多額の貸付金勘定や仮払金勘定がある
ことに気がついたというケースは本当に良くあります。

このような時に「税理士さんが勝手に・・・」とおっしゃる社
長様も多くいらっしゃいますが、個人的な支出、領収証がない
支出、宛先不明の支出等は、税理士さんは貸付金や仮払金とし
て処理せざるを得ません。税理士さんの本来の役目は金融機関
から資金を調達することではありませんので、社長様はそのこ
とをしっかりと理解したうえで任せる必要があります。

まずは、社長自身が、貸付金勘定や仮払金勘定が膨らむと金融
機関の評価を下げるという問題を認識し、そのうえで税理士さ
んとしっかり連携を図って対策を講じましょう。

『値決めこそ経営』(京セラ名誉会長、稲盛和夫先生)、この
言葉を肝に銘じてください。どんなに良いものを創りだしても、
その値決めを間違えると台無しになります。故に、値決めは大
変難しい最高レベルの経営判断事項です。であるにもかかわら
ず、値決めを安易に、どちらかというと安めにつけてしまう経
営者は少なくありません。松下幸之助先生はその著書の中で、
パナソニック(当時松下電器)は、相当大きくなるまで、松下
幸之助先生自身が値決めの最終決裁をされていた、と語ってお
られます。

「自社の値決めが正しいのか?」この解は誰にもわかりません
が、少なくとも多くの手間暇と知恵を最大限投入して、悩んで、
悩んで、悩み抜いて決める…この習慣を持っていただきたいと
思っています。

過去(この数十年)において、日本の企業の多くが、どちらか
というと安すぎる値決めを繰り返してきたために、今の経済の
停滞(デフレ)を招いたのではないかとの仮説を持っています。
特にこの傾向は中小企業に顕著です。

以下、【安売り症候群】という疾病を整理いたします。
自社・ご自身にあてはめてご確認ください。

■【安売り症候群】という疾病の正体は…(有病率50%)

◆価格を売るための道具に使うと「繁盛貧乏」になります。

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに
掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けす
ぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与え
るダメージを過小評価してはいけません。
経営者は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」を
して、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛
貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。
経営者は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよ
りも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまい
ます。価格を売るための道具に使ってしまいます。
安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い
取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たな商
品やサービスを創り出す創造力は生まれません。商品やサービ
スの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせ
るのではなく、その価値を向上させることで調整してください。
多くの偉人たちが語る経営の王道です。

◆「値決め」が弱気で利益を出せない経営体、さらに、新しい
価値を生み出す創造力を無くしてしまった経営体を『安売り症
候群』と呼びます。

◆『安売り症候群』の経営体には、以下のような症状が現れます。

□1.頑張っているのに儲からない。
□2.新しい商品、サービスを創造できていない。
□3.利益は出なくて良い、と思うことがある。
□4.値上げをしたいと思っていてもできない。
□5.ぎりぎりの経営をしていると感じる。
いかがでしょうか?

◆病名:『安売り症候群』を整理します。

値決めに対する姿勢が弱気で、利益管理も曖昧になる病です。

●原因

安くないと売れないとの思い込みが原因です。良いものには相
応の値段を(それなりのものはそれなりの値段を)付けてくだ
さい。良いものを安く売る必要はありません。原価が上がれば
価格を見直す、この当たり前の企業行動を取らなければ、利益
がどんどん減ります。利益が薄くなればなるほど、良いものを
作ろうとする知恵や創造力を失います。最後は、薄利は善、利
益は悪の心境に陥ります。こうなると末期です。

●症状

二つのレベルに分かれます。繁盛貧乏のレベルが第一段階です。
このレベルは頑張っているのに値決めを間違えていて儲からな
い状況です。この段階では価格の見直しを行えば容易に治癒で
きます。第一のレベルを続けていると、頑張っても儲からない
と思い込み、頑張る意欲、より良いものを創造しようとする力
を失くしてしまいます。最後には、儲からない自分を正当化す
るために、儲けは悪、儲からないことが善、ビジネスそのもの
を否定するようになります。

『値決めこそ経営』(京セラ名誉会長、稲盛和夫先生)です。
「値決め」には、多くの手間暇と知恵を最大限投入して、悩ん
で、悩んで、悩み抜いて決める…この習慣を持っていただきた
いと思っています。
「値決め」は現場ではなく、トップが決めるべき事項です。