「銀行から赤字を理由に融資を断られた。黒字になったら検討するというが、こっちは赤字だから

お金を借りに行っている。そもそも黒字になったらお金を借りる必要などないではないか?なんて

頭の悪い銀行員だ・・・」と憤っておられる経営者様がおられました。

 

確かにおっしゃる通りです。黒字化するまで資金が不足するから頼んでいるのであって、

黒字化した時には資金は必要なくなります。銀行が「雨の日に傘を取り上げ、晴れたときに

傘を差し出す。」と皮肉られるのも頷けます。銀行の思考回路は一体どのようになっている

のでしょうか?

銀行と話が噛み合わない理由は単純です。銀行は、そもそも赤字の企業に対して融資を

する思考を持ち合わせていません。赤字企業を黒字化させるのではなく、黒字企業を

もっと黒字化させることを第一の使命と考えています。もちろんイレギュラーもたくさんあります

が、経営者としてはこの考え方に立つ方が良いと思います。

銀行の考え方を理解すれば、事業の進め方も変わるはずです。

いきなり大きな利益を狙いに行くのではなく、小さな利益実績を積み上げながら進める方が

調達は容易になります。

 

例えば、「10名の営業マンを雇って、毎月500万円の固定費を使いながら、12か月後に

黒字化を達成する。」という計画で経営を行うよりも、まずは、「2名の営業マンからスタートして

3か月で黒字化を達成する。」という計画で進めた方が、資金調達の可能性は高まります。

6カ月経過時点で、前者は大赤字の真っただ中にありますが、後者は小さいながらも2名で

上げた利益の実績がありますので、そこに資金を提供して人員を増やせば利益も数倍に・・・と

いう想像が容易になります。

広告費用なども同じです。実績がない状態で「1,000万円の広告費用を貸して欲しい。」と

頼むより、たとえ小さな額でも、広告の効果が実績として分かっている方が、融資はしやすく

なります。

 

融資を活用して事業の拡大を目指すならば、「小さな黒字を大きく育てる。」という銀行の考え方に

合わせて、事業計画を進めることをおすすめします。

銀行などの金融機関から返済を前提に資金を調達する借入れ(デッドファイナンスと

呼びます。)に対して、投資として資金を受け入れるエクイティファイナンスについて

言及いたします。

※ここでは、縁故増資ではなく、ベンチャーキャピタルなど、オフィシャルな投資先からの

エクイティファイナンスについて解説します。

 

■実績が必要です。

「こんな面白いアイデアがあって、このような事業計画で進めていきたい。資金があれば、

短期間でIPO(新規株式公開)も狙える。資金調達を希望します。」

この様なケースで資金を調達できる(エクイティファイナンスを成功させる)ことは極めて

稀です。実績がないからです。リスクマネーと呼ばれるこの資金とて、実績のないベンチャー

企業(?)は対象外です。

◎例えば、ザッカーバーグ氏が率いるフェイスブックは、自らが開発したソーシャルネット

ワークサービスを、在籍するハーバード大学内で拡散し、利用者数の増加を実現していました。

利用者数の増加…この実績を持って、投資家からの資金調達を行っています。

フェイスブックとて、「今からこの様なソーシャルネットワークを構築します。近い将来…に

なります。」とプレゼンしても、投資の対象にはなりにくかったはずです。

 

◎例えば、ジョブス氏が率いるアップル社は、自宅の倉庫で小型コンピューターのプロト版の

開発を進めていました。量産し拡販する資金の目途は立っていないけど、とにかく開発して

手作りで制作して、一台でも販売する…この実績を持って、投資家から資金調達を行っています。

事業計画書の内容やプレゼン能力を磨き込んでいくら投資家回りを行っても、実績のない

ベンチャー企業(?)に資金は入りません。まずは、事業としての実績を作ることが必要です。

 

■攻めの資金でなければなりません。

この資金は、その資金使途が重要です。調達した資金が、高収益企業になるための成長に

使われなければなりません。

1.エクイティファイナンスの対象は、近未来の高収益企業です。営業利益率は30%以上か、

又は、数億円以上、かつ、成長を続けることが必要です。

2.エクイティファイナンスの対象は、近未来の高成長企業です。売上高の伸び率は30%以上、

この程度の成長を長期間継続できることが必要です。

 

■出口(イグジット)が必要です。

エクイティファイナンスは、その資金を回収しなければなりません。5年から最長で10年以内に、

投資して保有した株式を売却して資金化することが要件です。この期間内に、保有する株式の

価値が向上し、かつ、売却先が存在するためには、株式の公開を行うか、誰かが買い取るか、

それに値する会社になっていなければなりません。

 

■エクイティファイナンスの投資家は、株主として経営に参画します。

投資家は、持ち株比率に応じた株主としての権利を有します。
これは、必ずしもネガティブなことではありません。株主として支援してくれるかも…との意味も

含みます。

一方、株主への定期的な進捗の報告や、株主総会のオフィシャルな開催、個人経営的な

発想では済まされない公式な対応も必要になります。これも、必ずしもネガティブなことでは

ありません。経営体制が構築されていきます。

 

■現実的には企業価値2億円程度までは自力で構築するしかありません。

※企業価値とは、資本金ではありません。純資産+将来利益で計算される現時点における

企業の価値を示します。ここでは、株数×株価=時価総額と同じ意味です。将来利益は

投資家の見立てで変わります。

 

企業価値2億円とは、2,000万円の投資を受けても、投資家の持ち株比率が9.1%

(2,000万円/2億2,000万円)に収まるラインです。

ただ、現実的には、この企業価値に対して投資するベンチャーキャピタルはレアです。

企業価値5億円以上、このあたりからベンチャーキャピタルの投資対象になります。

 

企業価値(会社の値段)の見立ては、投資家によって当然異なります。また、企業価値は

将来価値から逆算して決めることが多いので、成長し利益を出せる蓋然性が高いほど、

企業価値も高くなります。

 

成長意欲の高い社長様は、エクイティファイナンスについてもご検討ください。

長く経営を続けていると綺麗ごとでは片づけられない問題に直面することもあるでしょう。

やむを得ず、粉飾をしてしまった経営者様もいらっしゃると思います。

一方で、金融機関にとっても、粉飾決算に騙されることは死活問題ですので、

大いに神経をとがらせています。金融機関は、粉飾決算に騙されないよう

以下のポイントを見ています。

 

1.売上高の前倒し計上、架空計上を行っているケース

売上高を増やすことで利益を増やす手法ですが、複式簿記では「売上高」だけを

増やすことは出来ません。相手勘定となる「売掛金」の残高を検証することで

粉飾を見破っています。

具体的には「売上債権回転期間」で売上高とのバランスを見ています。

 

2.仕入債務を過小に計上しているケース

買掛に計上している仕入を消すことで利益を増やす手法です。

しかし、この手法も「買入債務回転期間」が極端に短くなるため粉飾が疑われます。

 

3.在庫を過大に計上しているケース

架空在庫を計上して利益を増やす手法です。

最も多く見られる粉飾の手法ですが、「棚卸資産回転期間」が極端に長くなるため

粉飾が疑われます。

 

4.費用を過小に計上しているケース

実際にかかった経費を消して利益を増やす手法です。

相手勘定の「現金」が異常に膨らみますので粉飾が疑われます。

 

実際にキャッシュを投入して、掛け勘定を使用せずに利益操作をされると、

粉飾決算を見破るのは難しくなりますが、勘定科目だけを操作して行う粉飾決算は、

簡単に見破ることができます。

金融機関は気づいていても、「粉飾ですね。」等とは絶対に言いません。

許容できる間は騙されたふりをして融資を続けていても、看過できないところに

達したら融資は止まります。

 

しかし、それ以上に粉飾が怖いのは、赤字に対する経営者様の問題意識が

薄れてしまう点です。実際は赤字であっても、粉飾決算で資金が調達できれば、

何となく経営が上手く行っている錯覚に陥ります。

よって、一度粉飾をしてしまった企業は、翌年以降もずるずると粉飾を繰り返してしまい、

その額が少しずつ膨らむ傾向があります。粉飾額が大きくなる前に、粉飾のサイクルから

脱却する決断が求められます。

まずは粉飾で分からなくなった本当の利益を洗い出すところからスタートします。

 

粉飾からの脱却をお考えの経営者様は、是非、ご相談ください。

その事業が将来立ち上がるかどうか?こんなことはだれにもわかりません。

それでも論理と蓋然性から、高い確率で重要な問題点を指摘して

助言することは出来ます。

(※この確率にあてはまらない天才事業家は除外する前提で読んでください。)

 

■「創業事業計画によくある10の間違え!」(実例です。)

以下のような創業計画書は少なくありません。

 

◆1:創業1期目が赤字、2期目に追加の資金調達(融資)を目論む計画

創業1期目が赤字の時、2期目の資金調達は容易ではありません。

創業時の自己資金と創業融資で、黒字化まで自力で持っていかないと、

次の融資はほぼ受けられません。計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆2:創業自己資金300万円で初年度の資金調達金額3,000万円とする計画

計画自体が無謀に見えます。創業時に、こんな多額な融資はほぼ受けられません。

計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆3:創業自己資金50万円の会社が、創業1期と2期で累計6,000万円の赤字を

出す計画

どんなに経歴や計画書が立派であっても、この計画を支持する金融機関はありません。

そもそも力不相応な計画に見えます。計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆4:創業三ヵ年計画の資金繰りの辻褄が合っていない計画

資金繰り計画書を作ったら資金ショートします。資金繰り計画を持ち合わせていないので、

矛盾に気づいていません。計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆5:創業三ヵ年計画に、創業融資の返済原資を見出せない計画

返済を賄う利益を計画段階から計上できていません。

返済原資の無い融資を金融機関は行いません。計画の見直しが必要です。

(財務無策です。)

 

◆6:創業自己資金300万円、資金的にはぎりぎりの計画ですが、創業融資を

とりあえず受けない計画

「とりあえず自己資金でやってみて、必要になれば融資を受けたい。」この考え方は

根本から間違えています。

行き詰まった時に融資を受けられる可能性は高くありません。

最初に創業融資を受けるべきです。(財務無策です。)

 

◆7:創業自己資金50万円の会社が急成長して、3期目の期末に従業員が

250名になる計画

力不相応な計画に見えます。250名を雇用する…これを実現するコストだけで、

期間中に数千万円程度必要です。

 

◆8:売上・利益計画の割に、経費が少なすぎる計画

販促費や経費を過少に見積もっているケースも少なくありません。

甘すぎる計画に見えます。上手く行きすぎる計画に蓋然性は見出せません。

 

◆9:既存のサービスの単なる安売りで売上が取れるとする計画

安くして、差別化して、かつ、利益を出して…実現できる蓋然性がありません。

 

◆10:既存のサービスを多数組み合わせ総合化することで差別化しようとする計画

ワンストップにして差別化する…実現できる蓋然性がありません。

 

■上記の事象は、計画書を少し見ればわかります。

◆1~6は、財務的な整合性を欠いています。明らかな財務無策で、計画の見直しが

必要です。

◆7は、雇用にかかる手間暇・コスト、さらには、マネージメント体制を作りあげる

大変さをよく理解できていないことが原因でしょう。計画の見直しが必要です。

◆8の経費の過少計上もよく見かけます。最初からミスなく上手にコストを掛けられる

ことが前提です。試行錯誤の費用が見込まれていません。計画の見直しが必要です。

◆9の安売りモデル、10の総合化モデルもよく見かけます。

安くしても利益を出せる、総合的に組み合わせても、一つ一つが弱くならない理由が

不明瞭です。既存の企業は、安くすると利益が出ないから、組み合わせると一つ一つが

弱くなるから、これができないのであって、このできない理由を解決せずに、

安く・総合的に…とする発想は根本から間違えています。

ビジネスモデルの練り直しが必要です。

 

創業融資サポートの詳細についてはこちら>>

http://www.kagawa-keiri.com/230/

銀行の融資審査にまつわる噂話ですが、「トイレが汚い会社に融資はしない。」とか、

「社内でスリッパを履いている社長に融資はしない。」等、もっともらしい話から、

良く意味の分からない話まで、たくさんの噂話を耳にします。

実際のところはどうなのでしょうか。

 

もちろん銀行員は、財務面以外の部分も観察していますが、「○○だから貸さない。」と

いったことは当然ありません。

しかし、金融機関の中には、スコアリングで融資を決定する商品を有しているところがあり、

そのチェック項目の中には、財務面以外の評価が多く含まれている場合があります。

良くあるチェック項目を次に挙げますので、貴社に当てはめて評価が得られそうかどうか

確認してみてください。

 

【代表者に関するチェック項目】

・業界経験年数は何年か

・代表者が資産を有しているか

・代表者が会計を理解しているか

・代表者が高齢でないか

・代表者の健康状態はどうか

・不必要な付き合い(接待)が多くないか

・ライオンズ、ロータリー、日本青年会議所の会員か

・後継者はいるかetc

 

【従業員に関するチェック項目】

・従業員の採用に積極的か

・従業員の離職が多くないか

・従業員に活気があるか

・従業員の教育が行き届いているか

・右腕となる人物がいるか

・有能な幹部が最近辞めていないかetc

 

【会社に関するチェック項目】

・法令違反(行政処分等)がないか

・整理整頓が行き届いているか

・ホームページが定期的に更新されているか

・地域の振興活動に積極的か

・融資申し込みの経緯に不審な点はないかetc

 

実際は、「自己資本比率が○%以上・・・」等、財務面のチェック項目とあわせて

30から50程度の項目が用意されており、総合点で融資が決まります。

 

いずれも当たり前の内容ではありますが、自社の経営状態を改善するチェックリストにも

なりそうです。

参考にしてはいかがでしょうか。

高いパフォーマンスを引き出すために、仕事に対する取り組み姿勢・考え方に対して

一石を投じた良書です。本文を「 」で引用しながら紹介いたします。

ほんの一部ですが。

https://www.d-publishing.jp/

 

■人は集中することで、深い思慮と大局的な思考回路が働くようにできているようです。

○「人の脳の仕組みは、一度に与えられる情報が多くなるほど、

うまく吸収できなくなるようにできている。」

○「注意を分散させると、記憶として残るものも少なくなる。」

○もはや、多くの現代人は疾病〔ADHD(注意欠陥多動性障害)〕のレベルにあるそうです。

「米精神医学会が発行している〔精神障害の診断・統計マニュアル第4版〕では、

ADHDの主な症状が次のように説明されている。

・作業への注意力を維持することがしばしば難しくなる。

・直接話しかけられているときに、聞いていないように見えることが多い。

・作業や活動を整理することが難しいと感じることが多い。

・知的努力を持続させる必要がある作業をしばしば避ける、嫌う、あるいはやりたがらない。

・外からの刺激に簡単に注意をそらされる。」

 

■情報そのものが貴重で、限られたインテリのみが情報を有した時代には、

「知識は力」(哲学者:フランシス・ベーコン)といわれていましたが、

あり余る情報に埋もれる現代においては、

「情報が何を消費するかは明らかだ。情報の受け手の注意力を消費するのである。

それゆえ、情報が豊かになるほど、注意力は貧困になる。」

(ノーベル経済学賞:ハーバード・サイモン)

 

■多くの企業人が、ADHDを患っているようです。

○「我々が協力してきたほぼすべての組織の文化は、ここで挙げたADHDの症状で

特徴づけられていた。その大きな理由は、今では注意持続時間の短さと断片的な集中が、

一般的な状態として広く受け入れられているからだ。多くの組織では、注意力が意識的な訓練と

定期的な再生が必要な能力だということに気づいていない。」

○「私たちは、生活の中のつまらないあれこれに今まで以上に夢中になることを自分に許して

しまった。注意が分散された生活に価値を置くと…何よりじっくり考えるための時間と空間が

奪われてしまう。それが複雑で変化の激しい新しい世界で成功するための切り札だったのに。

私たちは効率を重視するあまり、人間ならではの本質的な性質の一部をすっかり衰えさせて

しまった。」(マギー・ジャクソン)

 

■自分の注意力のコントロールを取り戻すためには…

○「2つの事を同時にしようとする誘惑に負けないようにしよう。結局はどちらに対しても

十分な注意を与えないことになるからだ。」

○「1日に少なくとも1時間はメールを完全にオフにするようにしよう。そして、目の前の

重要な仕事に集中する。」

 

■一流人と普通の人の違いは…

○「一流の人たちを普通の人と分けるのは、大きなプレッシャーのもとでも余計なことには

気をそらさずに集中できる能力なのである。」

○「一流のアスリートは、彼らの目を見るだけで、どれだけ1つの事に集中しているかがわかる。

心臓外科医、戦闘機のパイロット、バレエダンサー、あるいは法廷で最終弁論に臨むときの

弁護士も同じだ。彼らは注意力と認知能力のすべてを目の前の仕事に向けている。」

 

■まとめ

○「人間はマルチタスキングが出来ないようにできている。コンピューターと違って、

人間は作業を1つずつ順番にこなすように遺伝子に埋め込まれ、人間の脳は同時に

2つの別々の認知作業に集中することができない。」

○「私たちの注意を細切れにするものには2種類ある。1つが外の世界のもの、つまり私たちの

周囲で起こっていること。

もう1つは内面的なもので、自分の頭の中の際限のないおしゃべりだ。」

 

ご自身の、自社の習慣を見直す好機と捉えて、ご一考ください。

先日資金調達相談で来所されたお客様の事例です。

会社を設立して10か月が経過した企業様ですが、試算表を見せていただいたところ、

資本金300万円がバランスシートから抜けています。

他にもおかしな点がいくつかあり、明らかに不完全な試算表でした。

話をお聞きすると、創業当時からお世話になっている顧問税理士の先生に会計資料をお渡しして、

試算表の作成をお願いしているようです。

このような試算表が出てきた原因がどこにあるのか分かりませんが、融資申し込み資料として、

このような試算表を提出するのは本当に危険です。

なぜ、このような事が起きてしまうのでしょうか。

 

◆ 決算書を作成する主な目的は次の3つです。

・税務の目線:税金の計算をするため

・財務の目線:銀行や株主など第三者に経営状況を伝えるため

・経営の目線:自身が経営状況を知るため

 

◆ 試算表を作成する主な目的は次の3つです。

・税務の目線:決算作業をスムーズに行うため

・財務の目線:銀行や株主など第三者に経営状況を伝えるため

・経営の目線:自身が経営状況を知るため

 

財務や経営の目線で考えると、試算表は毎月の正しい利益が分かるものでなければ

意味がありません。

しかし、税務の目線で考えると、税金は決算日の利益が分かれば計算できますので、

必ずしも毎月の利益を知ることが重要ではありません。

貴社が税理士事務所に依頼している業務の内容が、「決算書の作成と申告業務」だけなら、

試算表が毎月作成されないのは当然ですし、仮に作成されたとして、それが財務目線では

不完全なものであっても文句は言えません。

貴社が依頼しているのは、年に1回の税金の計算であって、毎月の正しい利益を計算することでは

ないからです。

 

「銀行からお金を借りるつもりは全くない。」「小規模の売上なので損益状況は頭の中で

把握できている。」という経営者様にとっては、財務や経営目線の試算表はあまり必要では

ないかもしれません。年に1度、税務目線の決算書を作成するだけで十分です。

しかし、「金融機関の協力を得て会社を成長させたい。」とお考えの経営者様は、

財務目線の試算表が絶対に必要です。

不完全な試算表を提出して融資を断られる前に、貴社の試算表がどの目線で作成されているのか、

今一度お確かめください。

■儲かる、儲からない、様々なケースは…

○儲からない会社、そのケース1は…

月商が10万円で利益の出る会社はありません。例え粗利益率が100%であっても、

10万円の売上では、固定費を絶対に賄えないからです。(副業のこづかいなら別ですが…)

儲からない会社、そのケース1は、売上が足りない会社です。

とにかく売上を上げるしか他に方法はありません。

 

○儲からない会社、そのケース2は…

ただ、我武者羅に売上のみを追いかけると、売上を作るために粗利益率を過度に落としたり、

販促費や人件費などの販管費を過度に投入したり、売上の増加に伴う粗利益額の増加よりも、

販管費の増加の方が多くなってしまう会社、儲からない会社、そのケース2に陥ります。

○儲からない会社、そのケース3は…
結局、儲からない会社は、そのケース2のシナリオを営々と続
けている会社、儲からない会社、そのケース3です。

 

○儲かる会社、そのケース1は…

売上が伸びて、売上と粗利益率の積である粗利益額が膨らみ、なおかつ、

その増加額が販管費の増加額を上回る会社が儲かる会社、そのケース1になります。

 

○儲かる会社、そのケース2は…

上記の粗利益の増加額の割合が、販管費の増加額の割合に比べて、

圧倒的に大きな会社は高収益企業、たくさん儲かる会社、そのケース2になります。

■ビジネスモデルの優劣と経営管理の上手下手の問題に帰結します。

 

◆ビジネスモデルの優劣の差は…

○売上が伸びても、原価や販管費がそれほど増えない会社は高収益企業になります。

・売上が伸びた時、原価が比率として下がる、スケールメリットを享受できるビジネス

・売上が伸びた時、追加の原価をあまり必要としないコンテンツビジネス

・売上が伸びた時、販管費があまり増えない非労働集約型ビジネス

・原価や販管費の伸びに比して、単価が高いビジネス

○一方、売上が伸びる時、原価や販管費が売上の伸びに追従して膨らむビジネスは

高収益企業には成り得ません。

 

◆経営管理の上手下手は…

○売上高・粗利益・販管費、この三つのバランスを計り、タイミングよく三つの関係を

見直すための経営管理を確実に行えている会社は利益を出せます。

上記の管理をしっかりできていない会社は、上手くいきません。儲かりません。

 

■儲かる会社にするためには…

1.売上が伸びても、原価や販管費がそれほど伸びないビジネスモデルにする。

2.売上高・粗利益・販管費、この三つのバランスを計り、タイミングよく三つの関係を見直すための

経営管理を確実に実行する。

 

仮に同じ戦力で事業を行っても、その「ビジネスモデルや事業立地」

(どのようなビジネスを、どのように行うか?)によって結果は大きく変わります。雲泥の差です。

社長は、常に自社の「ビジネスモデルや事業立地」を磨き込むことに最善を尽くさねばなりません。

また、「進め方の程度加減」を計らねばなりません。これが経営管理です。

正しい目標「ビジネスモデルや事業立地」に向かって、「進め方の程度加減」を計りながら経営を

進めていく指揮官が社長です。

『言うは易く行うは難し』ですが、経営学の基本中の基本です。

この機会にご一考ください。