銀行などの金融機関から返済を前提に資金を調達する借入れ(デッドファイナンスと

呼びます。)に対して、投資として資金を受け入れるエクイティファイナンスについて

言及いたします。

※ここでは、縁故増資ではなく、ベンチャーキャピタルなど、オフィシャルな投資先からの

エクイティファイナンスについて解説します。

 

■実績が必要です。

「こんな面白いアイデアがあって、このような事業計画で進めていきたい。資金があれば、

短期間でIPO(新規株式公開)も狙える。資金調達を希望します。」

この様なケースで資金を調達できる(エクイティファイナンスを成功させる)ことは極めて

稀です。実績がないからです。リスクマネーと呼ばれるこの資金とて、実績のないベンチャー

企業(?)は対象外です。

◎例えば、ザッカーバーグ氏が率いるフェイスブックは、自らが開発したソーシャルネット

ワークサービスを、在籍するハーバード大学内で拡散し、利用者数の増加を実現していました。

利用者数の増加…この実績を持って、投資家からの資金調達を行っています。

フェイスブックとて、「今からこの様なソーシャルネットワークを構築します。近い将来…に

なります。」とプレゼンしても、投資の対象にはなりにくかったはずです。

 

◎例えば、ジョブス氏が率いるアップル社は、自宅の倉庫で小型コンピューターのプロト版の

開発を進めていました。量産し拡販する資金の目途は立っていないけど、とにかく開発して

手作りで制作して、一台でも販売する…この実績を持って、投資家から資金調達を行っています。

事業計画書の内容やプレゼン能力を磨き込んでいくら投資家回りを行っても、実績のない

ベンチャー企業(?)に資金は入りません。まずは、事業としての実績を作ることが必要です。

 

■攻めの資金でなければなりません。

この資金は、その資金使途が重要です。調達した資金が、高収益企業になるための成長に

使われなければなりません。

1.エクイティファイナンスの対象は、近未来の高収益企業です。営業利益率は30%以上か、

又は、数億円以上、かつ、成長を続けることが必要です。

2.エクイティファイナンスの対象は、近未来の高成長企業です。売上高の伸び率は30%以上、

この程度の成長を長期間継続できることが必要です。

 

■出口(イグジット)が必要です。

エクイティファイナンスは、その資金を回収しなければなりません。5年から最長で10年以内に、

投資して保有した株式を売却して資金化することが要件です。この期間内に、保有する株式の

価値が向上し、かつ、売却先が存在するためには、株式の公開を行うか、誰かが買い取るか、

それに値する会社になっていなければなりません。

 

■エクイティファイナンスの投資家は、株主として経営に参画します。

投資家は、持ち株比率に応じた株主としての権利を有します。
これは、必ずしもネガティブなことではありません。株主として支援してくれるかも…との意味も

含みます。

一方、株主への定期的な進捗の報告や、株主総会のオフィシャルな開催、個人経営的な

発想では済まされない公式な対応も必要になります。これも、必ずしもネガティブなことでは

ありません。経営体制が構築されていきます。

 

■現実的には企業価値2億円程度までは自力で構築するしかありません。

※企業価値とは、資本金ではありません。純資産+将来利益で計算される現時点における

企業の価値を示します。ここでは、株数×株価=時価総額と同じ意味です。将来利益は

投資家の見立てで変わります。

 

企業価値2億円とは、2,000万円の投資を受けても、投資家の持ち株比率が9.1%

(2,000万円/2億2,000万円)に収まるラインです。

ただ、現実的には、この企業価値に対して投資するベンチャーキャピタルはレアです。

企業価値5億円以上、このあたりからベンチャーキャピタルの投資対象になります。

 

企業価値(会社の値段)の見立ては、投資家によって当然異なります。また、企業価値は

将来価値から逆算して決めることが多いので、成長し利益を出せる蓋然性が高いほど、

企業価値も高くなります。

 

成長意欲の高い社長様は、エクイティファイナンスについてもご検討ください。

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