新規資金調達と既存借入の借り換えにより、リスケジュールを
回避した事例をご紹介します。

下記A社は、「資金繰りが厳しいので借入のリスケジュールを
検討している。どのように進めればよいか?」というご相談で
来所されました。

会社名:A社(仮称)
事業内容:広告デザイン業
営業年数:22年
資本金:2,000万円
直近売上高:約1億円
直近純利益:約▲300万円
有利子負債総額:約3,400万円
自己資本:約200万円

まず直近の決算書を拝見したところ、売上高が急激に落ち込ん
でおり、純利益は2期連続で赤字という状況でした。しかし、
足元の試算表を確認すると、9カ月経過時点で424万円の経
常利益が出ています。人員を減らすなど、固定費削減努力の効
果のようです。

当初はリスケジュールのご相談でしたが、リスケジュールはデ
メリットもあるため、出来れば避けたい手段です。足元の利益
が継続できれば、新たな資金の調達と、既存借入の返済期間を
長期化することで資金繰りが改善できると考えました。

早速説明資料を作成し、ある信用金庫の担当者に借り換えの相
談をしました。財務状況にいくつか問題点はあるものの、毎月
68万円を返済してきた実績を評価していただき、前向きに取
り組んでいただくことになりました。結果は次のとおりです。

【既存借入の状況】
・K銀行保証付融資残高27,674千円(返済額374千円)
・日本政策金融公庫残高6,300千円(返済額300千円)
・合計借入残高33,974千円(合計返済額674千円)

【借り換え後】
・H信金保証付融資11,202千円(返済額133千円)
・H信金プロパー融資16,472千円(返済額196千円)
・日本政策金融公庫10,000千円(返済額142千円)
・合計借入残高37,674千円(合計返済額471千円)

新規の資金調達が3,700千円できた上で、毎月の返済額を203
千円引き下げることができました。

H信金の担当者によると、「直近の決算が赤字の場合、新規で
取り上げるのは通常難しいが、返済が可能であることを、資料
で丁寧に説明いただいたことが良かった。」と仰っておられま
した。

リスケジュールをする前に、借り換えという選択肢も検討して
みてください。

平成27年度金融行政方針(15年9月)では、事業性評価につい
て、「…担保・保証に依存する融資姿勢を改め、取引先企業の
事業の内容や成長可能性等を適正に評価(事業性評価)し、融
資や本業支援等を通じて、地域産業・企業の生産性向上や円滑
な新陳代謝の促進を図り、地方創生に貢献していくことが期待
される。…」と解説されています。

金融行政の転換期です。少しずつ、中小企業金融の現場にも動
きが出てきました。事業性評価融資の導入で変わること、変わ
らないことを整理いたします。

■以下の1と2は、今後とも変わりません。

◆1.金融機関が保有する傘はすべて「日傘」です。変わりま
せん。

良い会社(返済してくれる会社)に対して融資を行おうとする
基本姿勢は変わりません。経営が、現状もうまく行っていない
会社、将来もうまく行きそうでない会社に対する融資は実行さ
れません。金融機関が有する傘は「雨傘」ではなく「日傘」※
である点は変わりません。
〔※一部の制度融資・制度保証は除きます。〕

◆2.資本の充足状況(BS)と生み出すキャッシュフロー
(PL)の金額、この二つの判断基準は、今後とも融資審査の
礎です。

現行の評価方法は存続します。資本が充足していること、生み
出すキャッシュフローが多いこと、これらの(現時点における)
良い会社の条件は変わりようがありません。この二つは、これ
からも財務上の良し悪しの判断基準であるはずです。ただし、
少額の資本正と資本負(債務超過)の差異で大きく結果が変わ
ることはなくなるかもしれません。また、債務償還年数10年未
満が正常先、このような画一的な判断も減るはずです。

◎上記の1と2は、融資可否判断の原理・原則です。これから
も不変です。

■以下の3は、少しずつ変わってきました。

◆3.担保・保証依存からの脱却が徐々に進みます。

担保と保証に依存する融資姿勢は徐々に改められるはずです。
逆に、優良な担保や保証が有っても、事業の評価が悪ければ融
資を受けられないことになります。この傾向は現時点でも顕在
化してきました。

■以下4の変化が、事業性評価融資の浸透で起きてくるはずで
す。今までの基準+◆4とご理解ください。

◆4.事業の将来性を見極めるための評価、事業性評価が導入
されます。

「現状の財務状況は良くないが、将来を見越して融資を実行す
る」または、「現状の財務状況の程度を越えて、将来を見越し
て多額の融資を実行する」、この将来を見越しての部分が事業
性評価です。
経営の現時点における結果を財務(資本の充足状況とキャッシ
ュフロー)から判断して、良ければ融資可、悪ければ融資不可
とする現行フローの変更が金融機関に求められます。現行フロ
ーに付加して、将来良くなる見込み、良くならない見込み、こ
の判断を行う基準の構築が必要になります。
当該企業体の経営が将来どうなるか?これを見込むのは、現時
点の財務を分析して判断するのとは比べ物にならないぐらい難
解です。ただ、この新しいソリューションを開発・構築するこ
とを、地域金融機関は求められています。構築できなければ淘
汰されるはずです。

■地域金融機関が事業性評価を導入する方向性は、どの金融機
関も概ね同じです。

(1)過去から現在までの流れ、将来の計画を踏まえて判断す
ることになります。

○現時点の財務の良し悪しではなく、将来の経営全般を予測す
るために、過去から現在までの流れの把握・分析が必要になり
ます。事業性評価結果の進捗確認や見直しのための継続的なモ
ニタリングがますます重要になります。

(2)財務以外の企業情報を収集して判断することになります。

○会社の将来展望・ビジョン
○経営者の情報、経歴や強み、人となり、後継者の有無
○市場における優位性や競合状況
○商品・サービスの個性・特徴
○会社の課題と強み・弱み
等々、財務以外の情報の収集・分析が必要です。
金融機関は、これらを総合的に勘案して事業性評価を行います。
今までよりも、より深く対象企業を理解する必要性が生まれま
す。

(1)(2)を突き詰めて行く過程において、独自の事業性評
価を開発することを地域金融機関は期待されています。この独
自の事業性評価が、そのまま金融機関の個性となって、より広
範な企業支援を行える金融業界が近い将来生まれることでしょ
う。一方、この過程で、多くの地域金融機関の淘汰・統合も進
むようです。

■まとめ…

現時点の財務状況及び担保・保証の有無で融資の可否を判断し、
その可となる企業に集中して融資を行った結果、金融機関同士
の(金利)過当競争が生じています。今後は、現時点の財務状
況や担保・保証の有無のみに依存せず、それに付加して新たな
融資基準(事業性評価)が構築されるはずです。容易ではあり
ませんが、この取り組みは、融資規模を拡大する動きであるこ
とに間違えありません。歓迎すべき動きです。
一方、情報をより正確に提供できる企業が、事業性評価の対象
になりやすくなるはずです。情報提供力・説明力が資金調達力
とより相関するようになります。融資を受ける側の力量も問わ
れます。

金融マンは融資をするのが仕事です。一般的な営業職と同じ、
営業マンでもありますが、「借りてください」と自分から営業
をしておきながら、審査の結果、「融資はできません」とお断
りしなくてはならない点において特殊です。金融マンの心情を
考えてみます。

■ 金融マンは深刻な案件に手を出したくありません。
企業がお金を必要とする理由は様々ですが、時には社命がかか
っている場合もあります。何とかしたいと思っても、頑張れば
頑張るほど蟻地獄にはまることがあります。金融マンにとって、
お金を必要とする社長様の期待に応えられないことは、大きな
精神的ダメージとなります。深刻な案件は出来るだけ避けたい
と考える心情は理解できます。

■ 金融マンは断る可能性を想定して話を聞いています。
上述のとおり、深く入り込んだ後にお断りすると、トラブルに
なる可能性が高くなります。トラブルにならなくても、大多数
の社長様は不快感を示します。金融マンはとにかくトラブルを
嫌います。融資ができないのであれば、早いタイミングで断ら
なくてはと考えているため、ネガティブな情報を早めに聞き出
そうとします。金融マンに対して、前向きな話よりも後ろ向き
な話をするイメージを持っている方が多いと思いますが、この
ような思考が根にあるからだと感じます。

■ 金融マンは実績を上げたいと考えています。
金融マンは基本的には融資をしたいと考えています。営業目標
も課せられています。しかし、幅広く融資をすればするほど、
トラブルにあう確率も高くなるため、その狭間でジレンマを抱
えています。

金融マンに求められる最も難しいスキルは、「断る」というス
キルです。融資を断るタイミングは、遅すぎても早すぎてもい
けませんが、早い方がましです。よって、少しでもネガティブ
な面が見えると、早々に断ろうとする金融マンが多くいます。
もしくは、こちらの説明の都度、ネガティブな見解を述べて、
防御線を張ろうとする金融マンもよくお見かけします。

金融マンは実績を上げたいと考えているにも関わらず、このよ
うな行動に出るのは、融資が出せなかった時に、強く責められ
ることを警戒しているためです。信頼関係がしっかりと構築で
きていて、最終的にNGであったとしても、理解を示してもら
えるという確信があれば、じっくりと話を聞いてくれます。も
しくは、信頼している人からの紹介の場合も、トラブルには発
展しにくいと考えるでしょう。金融マンの心情を察して、まず
は安心させてあげることが大切です。

■経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項
目を確実にコントロールすることです。これができれば、結果
として望む利益も創出できます。

◆ただ、これらの指標は、それらが複雑に絡み合っているので
厄介です。
例えば…
・売上を上げようとすると、販促費(販管費)が膨らむ。
・一方、販促費(販管費)を投入しても、予定通り売上が増え
るわけではない。
・割引をして粗利益率を落とすと売上が増えることがある。
・ただ、売上が増えても、粗利益の総額(売上×粗利益率)が
増えないこともある。
・逆に、値上げをすることで、売上が増えることもある。
・営業人員(販管費)を増やせば売上が増えるはずである。
・ただ、人件費(販管費)の増加分を賄えないこともある。
・旅費交通費(販管費)を減らせば、売上が落ちることがある。
・開発費(販管費)を増やせば、将来の売上は増えるはずだ。
・ただ、将来とはいつなのか、また、どれぐらいなのか予見し
にくい。

◆また、投資と成果には時間差が出ることも問題を厄介にして
います。
例えば…
・販促費(販管費)の投入と売上の増加には、タイムラグが発
生する。
・営業人員(販管費)の投入と売上の増加には、さらに大きな
タイムラグが発生する。
・開発費(販管費)の投入と売上の増加には、相当長期のタイ
ムラグが発生する。

◆本来コントロールできるはずの、単独の販管費項目ですら見
込み違いが発生します。
例えば…
・人件費(販管費)に想定外の時間外手当が発生して止まらな
い。
・採用がうまく進まず、採用コスト(販管費)が膨らんだ。
・投資(販管費)が計画を大きく上回ってしまった。
・原価の高騰で粗利益率が下がってしまった。

だから経営とは面白くもあり辛くもありますが、社長という道
を選んだのなら、楽しみながら取り組みたいものです。

■長い時間を経て、経営管理体制を構築して、安定した業績を
出せている会社は、様々な指標が、結果として適正にコントロ
ールされています。

・既存の業容のまま、少しの成長を付加しようとするとき、結
果に大きな狂いは生じないはずです。販管費に新規採用分の人
件費や追加の開発費・販促費等を追加して、それらの売上に対
する貢献分を売上に足しこんで利益を予見します。
・ただ、大きな投資や新しい事業に挑戦する時は、上記の様に
容易ではありません。現業の指標に対して、動く費用の割合が
大きくなるので、その精度は著しく低下します。

■創業時や新規事業の立ち上げ時に、計画通りコントロールす
ることはほぼ無理です。

・第20期目に立てた第21期目の計画は、総じて正しく終結
するはずです。
・一方、創業時に立てた第1期目の計画は、概ね当たりません。

故に新規事業の立ち上げ、創業は、少なくない割合でうまくい
きません。また、「創業事業計画を鵜呑みにしてはいけません。」
とお伝えするのはこのためです。

■それでも、経営を安定・成長させるためには…

◆1:コントロールできることを完全にコントロールすること
◆2:頑張ればコントロールできることをできるだけコントロ
ールすること
◆3:コントロールできないことには、出来るだけ適合するこ

この三つを意識して経営していかねばなりません。極めて難解
なコントロール業務も、意思を持って継続すれば、何とかなる
ものです。

経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目
を確実にコントロールすることです。これができれば、結果と
して望む利益も創出できます。
まずは、月次の資金繰り管理から始めてください。
経営を管理する、この発想は極めて重要です。意識して継続す
れば管理は出来るようになります。

社長様によって経営のスタンスはそれぞれです。家族を養える
範囲で・・・従業員を養える範囲で・・・100年続く企業を
目指して・・・上場企業を目指して・・・日本を代表するグロ
ーバルな企業を目指して・・・どのスタンスで経営するかは社
長様の自由であり、全てが正解です。ただ、規模の拡大を追求
するのであれば、ファイナンス(資金調達)を上手に活用でき
るかどうかで成長のスピードが大きく変わります。

単純な話ですが、自己資金を300万円持っていたとして、商
品を300万円分仕入れて売るよりも、さらに300万円を借
りてきて、600万円分の商品を仕入れて売った方が、より大
きな売上を創出することができます。社長様が600万円分の
商品を販売する事業力を有しているのであれば、迷わずファイ
ナンスを活用すべきです。

売上だけではありません。専門的には財務レバレッジと呼びま
すが、自己資本だけで経営を行うより、他人資本を取り入れた
方が、自己資本の効率が高まるという事実があります。もちろ
ん、利益がマイナスに振れた時には、自己資本だけで経営を行
うよりも資本効率が大きく低下するというデメリットもありま
すが、社長様が利益を出す事業力を有しているならば、迷わず
ファイナンスを活用すべきです。

世間的に見ても、1代で大きな企業を作った社長様は、ファイ
ナンスを巧みに活用して積極的な拡大戦略をとっています。決
して大企業だけの話ではなく、数億円規模の中小企業でも、資
本主義社会においては、資金力が大きい方が有利であることは
明白です。ファイナンスが重要な経営技術のひとつとされる理
由はそこにあります。

事業力があり利益を出す力のある社長様はもちろんですが、好
景気の時など、利益が出やすい環境が整ったときには、ファイ
ナンスの恩恵にあずかれるチャンスです。景気の流れを見極め
てファイナンスを上手に活用しましょう。

ただ、ファイナンスは経営技術であると述べたとおり、誰にで
も簡単に扱えるものではありません。思ったように調達出来な
いこともあるでしょうし、使い方を間違えば大きなダメージを
受けることになります。ご相談ください。

※相応の会社を作りたいのなら…との前提でのお話です。

『法人とは、自然人以外で、法律によって「人」とされている
ものをいう。「人」とは、法律的には、権利義務の主体たる資
格(権利能力)を認められた存在をいう。つまり法人は、自然
人以外で、権利能力を認められた存在ということになる。』
(ウィキペディアより引用)

我々人間は、一時も休むことなく、継続的な活動を続けていま
す。故に命をつなげています。一方、自然人でない法人は、法
律によって「人」とされていますが、それは無機質な物でしか
ありません。誰かが、ここに魂を吹き込まなければ命を持ちえ
ません。
法人の命は、24時間365日、一時も休むことなく、誰かが
生を与え続けることでのみ存命します。

法人に魂を吹き込めるのは社長です。これが代表者の最初の仕
事、そして、代表者である限り永遠に続けて行かねばならない
仕事です。
○貴方は、貴社(=法人)に生を与え続けていますか?
○眠りについている間、法人に生を与えることをおろそかにし
ていませんか?
○休日に、法人のことを忘れ去っていませんか?
○余暇に呆けて、法人をないがしろにしていませんか?
社長として、24時間365日、全身全霊で会社に生を与え続
ける覚悟が必要です。

社長だけではありません。
店舗の責任者が、本来無機質なお店に生を与え続けることがで
きておれば、そのお店は呼吸を続けます。部門の責任者が、本
来無機質な部門に生を与え続けることができておれば、その部
門は命を持って活動を続けます。
店長・部門長…責任者の責務は、自店・自部門に生を与え続け
ることで、無機質な物を生ある者に格上げすることです。

○「24時間365日眠るな」と言っているのではありません。
○「休みを取るな」と言っているのではありません。
○「余暇を楽しむな」と言っているのではありません。
◎「どんな時も、法人や自部門のことを忘れないであげて欲しい」
と言っているのです。

経営者が経営を考える時間の分母は24時間×365日=
8,760時間です。
執務の時間中は当然のこと、休息時や睡眠時にもできるだけ会
社のことを思いやってあげる必要があります。そうしなければ、
法人は絶命してしまいます。

だからこそ、余暇や休息が必要です。意識して体を休め、気を
晴らす必要があります。
それでも…「ゴルフのことだけを考えながらゴルフをやってい
るような人間を社長に選ばない」と、稲盛和夫氏〔京セラ名誉
会長〕が講演でおっしゃっておられました。

何を目指すかにもよりますが、一定以上の企業体を築き上げた
いと考えるなら、こんな生き方が必要なようです。多くの偉人
が口をそろえておっしゃっておられます。

貴方は、貴社(=法人)に生を与え続けていますか?そして、
このような生き方に賛同してくれる部門長を一人でも持ってい
ますか?自問自答してみてください。

ひとつのプロジェクト資金を複数の金融機関で融資することを、
「協調融資」と言います。大企業が大型の資金調達を行うとき
に、金融機関がシンジケート団を組成して行うシンジケートロ
ーンが協調融資の代表例でしたが、現在では、中小企業でも、
複数行が協調して融資を行うことが珍しくなくなってきました。

元々、金融機関は他の金融機関と積極的に連携を図ることはあ
りませんでした。今でも、民間の金融機関同士が連携を図るこ
とは殆どありませんが、日本政策金融公庫と民間金融機関は積
極的に連携を図るようになっています。

例えば、公庫が単独では融資が難しいと判断した場合、担当者
レベルで知り合いの民間金融機関を紹介してくれたりします。
また反対に、民間の金融機関が公庫に掛け合ってくれることも
あります。

企業側の協調融資のメリットは、大きな金額を調達しやすくな
る点です。少し無理をして大きな店舗を出店する場合など、金
額面で金融機関が融資を躊躇することがあります。このような
ケースでは、単独で全額を融資するのはNGでも、他の金融機
関とリスクを分け合えるのであれば、融資は可能と判断しても
らえることがあります。

ただ、金融機関同士の垣根が低くなったとはいえ、まだまだ担
当者レベルの交流が主体のようです。上手くいけば協調相手の
金融機関を紹介してもらえるかもしれませんが、基本的には自
分で金融機関をコーディネートしなくてはなりません。

また、協調融資は、融資額を半分ずつ2つの金融機関に割り当
てるよりも、どちらかの金融機関を主に据えて、不足部分をも
うひとつの金融機関に割り当てる方が上手くいきます。金融機
関への根回しが必要です。

その事業が将来立ち上がるかどうか?こんなことはだれにもわ
かりません。それでも論理と蓋然性から、高い確率で重要な問
題点を指摘して助言することは出来ます。
(※この確率にあてはまらない天才事業家は除外する前提で読
んでください。)

■以下は、創業時に陥りやすい間違え、財務無策の実例です。

◆1:創業1期目が赤字、2期目に追加の資金調達(融資)を
目論む計画
創業1期目が赤字の時、2期目の資金調達は容易ではありませ
ん。創業時の自己資金と創業融資で、黒字化まで自力で持って
いかないと、次の融資はほぼ受けられません。計画の見直しが
必要です。(財務無策です。)

◆2:創業自己資金300万円で初年度の資金調達金額
3,000万円とする計画
計画自体が無謀に見えます。創業時に、こんな多額な融資はほ
ぼ受けられません。計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

◆3:創業自己資金50万円の会社が、創業1期と2期で累計
6,000万円の赤字を出す計画
どんなに経歴や計画書が立派であっても、この計画を支持する
金融機関はありません。そもそも力不相応な計画に見えます。
計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

◆4:創業三ヵ年計画の資金繰りの辻褄が合っていない計画
資金繰り計画書を作ったら資金ショートします。資金繰り計画
を持ち合わせていないので、矛盾に気づいていません。計画の
見直しが必要です。(財務無策です。)

◆5:創業三ヵ年計画に、創業融資の返済原資を見出せない計画
返済を賄う利益を計画段階から計上できていません。返済原資
の無い融資を金融機関は行いません。計画の見直しが必要です。
(財務無策です。)

◆6:創業自己資金300万円、資金的にはぎりぎりの計画で
すが、創業融資をとりあえず受けない計画
「とりあえず自己資金でやってみて、必要になれば融資を受け
たい。」この考え方は根本から間違えています。行き詰まった
時に融資を受けられる可能性は高くありません。最初に創業融
資を受けるべきです。(財務無策です。)

■併せて、創業時に陥りがちな楽観主義について言及いたします。

◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
○10期目の会社が立てた11期目の計画、概ね計画通りに進
捗するでしょう。
○3期目の会社が立てた4期目の計画、計画の見積もりには不
安が残ります。
○創業時に立案した1期目の計画、過度に保守的に見積もらな
い限り当たりません。
計画通りに事業は進まないのです。これが実態です。それでも
計画は目安として必要です。目安を立てて、ずれを確認しなが
ら事業を運営するために必要です。

◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
計画通りに進捗しなかったとき、それを解決するのは時間です。
当初立てた仮説を修正しながら試行錯誤を繰り返します。事業
自体が的外れでなければ、時間を要しながらも着地します。計
画に対して余分に費やした時間を埋められるのは資金・お金し
かありません。資金不足で頓挫する、これは時間を稼ぐ資金を
確保できないとの意味です。

◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
計画通りに進まずに、時間が必要、時間を確保するための資金
が必要になった折に、金融機関に駆け込んで、資金を求めよう
とします。これは原則間違えです。難解です。
計画が遅れた、時間を掛ければ軌道に乗る、この蓋然性の説明
は容易ではありません。金融機関は原則、足元の進捗・実績を
基準に、将来生み出すキャッシュフローを勘案して融資の可否
を判断します。
(金融機関が有するのは「日傘」であって「雨傘」ではありま
せん。)
◎どうすればよいか…計画をしっかり立案します。一方で、そ
の計画を鵜呑みにせずに計画が遅れることを想定して資金を最
大限調達し続けること、これが正解です。

◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!
「とにかく売れさえすれば何とかなる」、このように考える社
長様も少なくありません。「売れなければ何ともならない・始
まらない」は正解ですが、「とにかく売れさえすれば何とかな
る」は正しくありません。
一定額以上売れた時には一定以上の利益を捻出できる値決め・
価格設定は経営上極めて重要です。手間暇をしっかり掛けて、
よくよく考えて、シミュレーションをしっかり行って、腫物に
触るように慎重に決めてください。とにかく値決めに対しては
全身全霊を注いでください。
◎どうすればよいか…安売りは絶対にしない、価格を売るため
の道具に使わない、安売りでしか勝負できない事業なら、事業
自体を再考してください。

信用保証協会による信用補完制度は、中小企業の資金繰りを支
える重要な制度ですが、平成30年4月1日より改正法律が施行
され、その在り方が見直されました。

見直しによる措置は次のとおりとなります。
(中小企業庁のホームページより抜粋)

◇危機関連保証の創設
大規模な経済危機、災害等の事態に際し、予め適用期限を区切
って迅速に発動できる新たなセーフティネットとして、危機関
連保証を創設します。

◇小規模事業者への支援拡充
小規模事業者の持続的発展を支えるため、限度額を拡充します。
(1,250万円→2,000万円)
※保証割合は100%保証を維持

◇創業関連保証の拡充
創業チャレンジを促すべく、創業関連保証の限度額を拡充しま
す。(1,000万円→2,000万円)
※保証割合は100%保証を維持

◇特定経営承継関連保証の創設
事業承継を一層促進するため、法の認定を受けた中小企業の代
表者個人が承継時に必要とする資金(株式取得資金等)を信用保
険の対象とします。

◇経営改善・事業再生の促進、再チャレンジ支援等
経営改善・事業再生を促す保証メニューを充実させるとともに、
抜本再生の円滑化(求償権放棄条例の整備等)を進め、信用保証
協会も経営支援を実施すべく機能強化を図ります。
また、経営者保証ガイドラインの運用開始から一定期間が経過
したところ、保証制度における運用を見直すこと等により、失
敗した場合にも再チャレンジしやすく、思い切った設備投資・
事業拡大ができる環境を整備します。

◇円滑な撤退支援
経営者が撤退を決断する場合にまず必要となる資金(買掛金決済、
原状復帰費用等のつなぎ資金)の調達が円滑に行えるよう、新た
な保証メニューを創設します。

◇信用保証協会における出資ファンドの対象拡大等
信用保証協会が地方創生に一層の貢献を果たすべく、地域の資
金需要に応えるための保証メニューの拡充(引き続き検討中)に
加え、再生ファンド以外のファンドに対しても出資ができるよ
うにします。

創業者、小規模事業者への支援が拡充された他、事業承継、再
生、撤退などの新たな支援が盛り込まれています。活用を検討
してはいかがでしょうか。
詳しくは、以下のホームページをご確認ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/hokan/index.htm

■社長に必要な資質をひとつだけあげるなら、それは当事者意
識です。社長には強烈な当事者意識、例え何が起きても、それ
が不条理や不運であっても、その運命も含めて100%自分の
責任と瞬時に思えるそれが必要です。

◆うまく行かない時、それはすべて社長ひとりの責任です。
100%です。
・例え約束していた取引を急に断られても…
・例え約束していた融資を突然反故にされても…
・例えたくさん売れると謳った広告の商品が全く売れなくても…
・例え信頼していた部下が勝手な都合で突然辞めると言ってき
ても…
・例え頭上から隕石が降ってきて当たっても…
・例えよくできた詐欺に引っかかっても…
(※詐欺の場合、法的な対応を別次元で検討ください。)
これが社長の立場です。

◆理由は簡単です。
・約束していた取引を急に断られた時は、恨むより先にやるべ
きことを考えねばなりません。
・融資を突然反故にされた時は、恨むより先に資金の目途を付
けねばなりません。
・全く売れなければ、恨むより先に次の売上を作らねばなりま
せん。
犯人探しに浪費する時間は無駄です。次の手を考えることが先
です。この時必要なのは、誰が悪いかではなく、何をすべきか
です。
次に再発防止を考えますが、相手が悪い、自分は悪くない、こ
の前提条件から自分自身の反省、総括はできません。他人に責
任を転嫁する人は、総じて間違えを繰り返します。

◆別の理由もあります。
上手く行かなかった責任を、他人や他社に転嫁しようとする社
長を世間は嫌います。経営の結果責任を負うのが社長の立場で
す。原因なんて本当はどうでもいいのです。要は、上手く行か
なかった、ということです。
他人や他社への責任云々の言動に賛同する人は、(少なくとも
一流人の中には)一人もいません。

■以下、アメリカの著名な牧師、ロバート・シュラー氏の言葉
を著書から引用します。

・もしこれが駄目なら、他にどんな方法があるかを検討しよう。
すべての可能性を調査しよう。
・自分のゴールまでの道、あるいはもう一つの残された道や可
能性を自分で決定しよう。
・自分の決断に責任をもとう。
・自分の運命に責任をもとう。
・自分はあやつり人形ではない。単なるスーパーコンピュータ
ーをはるかに越える魂をもった生き物が、己の意志で判断す
る、これが人間というものだ。そして、これがリーダーシッ
プだ。
自分のことは自分で考えよう。
・必要があれば、自分の精神構造や情緒パターンも積極的に変
えていこう。
・リーダーシップを、他人やほかの権力に売り渡すのはやめよ
う。
・消極的な思考に負けて、自己決断の責任を放棄するのはやめ
よう。
・いちばん先頭に立とう。自分の人生のリーダーは自分なのだ。
・権力におびえて、逃げ出すのはやめよう。
・いつまでも自分の魂の航海のキャプテンでいよう。席を離れ
たすきに、誰かが舵を奪い取って、あなたの肉体や心や永遠
の魂まであやつってしまうことのないように注意しよう。
(引用終わり。)

■決断したのは社長自身です。

・急に断られるような取引をあてにしたのは自分です。
・突然反故にされるような融資に期待したのは自分です。
・たくさん売れるという広告を信じ契約したのは自分です。
・突然辞めると言い出す部下を(辞めないと)信頼したのは自
分です。
・落ちてくる隕石の下を歩いていたのは自分です。
・詐欺に引っかかったのは自分です。

■強烈な当事者意識は社長に必要な資質の一つ目です。

景気のせいで…不況業種だから…△△に騙されて…上手く行か
ない、このような言葉を発する社長も残念ながら少なくありま
せん。すべて自分の力不足です。その運命まで含めて受け入れ
た時に、幸運が待ち構えている、と偉人たちはおっしゃってい
ます。