新規資金調達と既存借入の借り換えにより、リスケジュールを
回避した事例をご紹介します。下記A社は、「資金繰りが厳し
いので借入のリスケジュールを検討している。どのように進め
ればよいか?」というご相談で来所されました。

会社名:A社(仮称)
事業内容:広告デザイン業
営業年数:22年
資本金:2,000万円
直近売上高:約1億円
直近純利益:約▲300万円
有利子負債総額:約3,400万円
自己資本:約200万円

まず直近の決算書を拝見したところ、売上高が急激に落ち込ん
でおり、純利益は2期連続で赤字という状況でした。しかし、
足元の試算表を確認すると、9カ月経過時点で424万円の経
常利益が出ています。人員を減らすなど、固定費削減努力の効
果のようです。

当初はリスケジュールのご相談でしたが、リスケジュールはデ
メリットもあるため、出来れば避けたい手段です。足元の利益
が継続できれば、新たな資金調達と既存借入の返済期間を長期
化することで資金繰りが改善できると考えました。

早速説明資料を作成し、ある信用金庫の担当者に借り換えの相
談をしました。財務状況にいくつか問題点はあるものの、毎月
70万円を返済してきた実績を評価していただき、前向きに取
り組んでいただくことになりました。結果は次のとおりです。

【既存借入の状況】
・K銀行保証付融資残高27,674千円(返済額374千円)
・日本政策金融公庫残高6,300千円(返済額300千円)
・合計借入残高33,974千円(合計返済額674千円)

【借り換え後】
・H信金保証付融資11,202千円(返済額133千円)
・H信金プロパー融資16,472千円(返済額196千円)
・日本政策金融公庫10,000千円(返済額142千円)
・合計借入残高37,674千円(合計返済額471千円)
新規の資金調達が3,700千円できた上で、毎月の返済額を203
千円引き下げることができました。

H信金の担当者によると、「直近の決算が赤字の場合、新規で
取り上げるのは通常難しいが、返済が可能であることを、資料
で丁寧に説明いただいたことが良かった。」と仰っておられま
した。リスケジュールをする前に、借り換えという選択肢も検
討してみてください。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

長引くコロナ禍、原料価格の高騰等々、資金繰りが悪化する企
業様も増えてきました。一方、業績改善の見られない会社様へ
の新規融資は厳しくなっています。新規の借入ができない会社
様は、早めにリスケを検討してください。

■リスケジュールとは…

金融機関への返済を一定期間猶予してもらうことで、経営の改
善・安定化を図る施策、これも財務戦略の一つです。リスケジ
ュール、リスケと呼びます。

リスケジュールとは、予定を変更することです。その大半は、
予定を延ばすこと、金融の分野では債務の返済計画を変更して、
返済を繰り延べることを意味します。すべての金融機関の同意
と、衡平(※)な割合での繰り延べが必要です。

※衡平性の原則…返済猶予を受ける時は、すべての金融機関に
対して原則同じ条件で依頼しなければなりません。A行には返
済しながら、B行には返済しない、これは衡平性の原則に反し
ます。(一部例外もありますが)

■リスケジュールを受けられる条件は…

一定期間返済猶予を受けることで、その会社・個人事業者様の
経営が健全化することが条件になります。返済猶予を行っても、
経営が改善する見込みがない時は、金融機関は返済猶予を受け
付けません。

・「経営がうまく行っていません。返済する資金がありません。
経営が改善する見込みも立ちません。」
このケースは、リスケジュールを受け付けてくれません。
・「短期的に資金繰りが厳しい状況です。中期的にこのように
経営は改善していきます。一時的に返済を猶予いただきたい。
経営改善の計画は、経営改善計画書で提示します。」
リスケジュールが認められるのは、このようなケースです。

■経営改善計画書作成及びその後の対応のポイントは…

金融機関の同意を得るために必要な計画書を経営改善計画書と
呼びます。
※経営改善計画書は、金融機関に提出するためにも必要ですが、
その本質は経営改善の道標です。

1.経営改善計画の期間は最長5年以内が目安です。

・金融機関目線の経営の健全化・健全な財務とは、債務償還年
数が10年以内、かつ、資本正(債務超過でない)であること
です。
・5年以内に、単年度の簡易キャッシュフロー(=減価償却費
+税引き後利益)が、純債務の10分の1以上(債務償還年数
10年以内)に到達しなければなりません。併せて、資本正の
状態に仕上げる必要があります。

●過度に短期間で完了する経営改善計画書はお勧めできません。
結果として、早期の完了は問題ありません。5か年計画をお勧
めします。

2.リスケジュール中には、新たな金融支援は受けられません。

・金融機関からの新たな資金調達を行わずに、手持ち資金のみ
で資金繰りを回し続ける計画が必要です。
・リスケジュールの依頼は、手持ち資金を持ち合わせた状況で
行わないと、その後の資金繰り計画が立ちません。ある程度の
手持ち資金を残した状況で行います。
・同様に、リスケジュール中は、極力返済金額を極小(可能で
あれば0円)に設定します。手持ち資金のみで経営改善を完遂
するためには、一定の資金が必要です。

●リスケジュールは、一定以上の手持ち資金がある状況で行い、
かつ、リスケジュール中の返済金額は極小に設定することをお
勧めします。

3.リスケジュール計画は、原則毎年1回更新されます。2年
以上のリスケジュールを金融機関が受け付けるケースは稀です。

・5か年計画に沿って、その進捗を適時金融機関に報告しなが
ら経営改善を進めます。
・計画に変更があれば適時計画を見直します。
・金融機関は、経営改善計画に沿って、リスケジュールを受け
付けた会社様を、継続的にモニタリングする必要があります。
継続的に経営状況がわかる資料の提出が必要です。

※モニタリング頻度は、状況によって変わりますが、毎月また
は3ヶ月毎が一般的です。

●リスケジュール中の金融機関対応は、特に丁寧に行ってくだ
さい。

金融機関への返済で資金繰りが悪化している局面において、足
元の経営状況を鑑みて新規の借入れが出来ない状況が続きそう
な時は、リスケジュールの検討が必要です。この時は、経営改
善計画書の立案・提出が必須です。

銀行融資プランナー協会の正会員事務所である当事務所は、財
務戦略の一環として、時に最善なリスケジュール戦略のご提案
と経営改善計画書の作成、その後の継続的な金融機関対応を行
います。
まずは、早めにご相談ください。

財務の教科書には、借入は少なく、自己資本を厚くと書かれて
います。借入(負債)が増えると自己資本比率が悪化するため、
できるだけ借入はしないようにというのが財務のセオリーです。

実際に大企業は余分な借入をしないよう資金管理を行っていま
す。しかし、中小企業が大企業の戦略をそのまま見習うのは大
変危険です。信用力に劣る中小企業は、借りたいときにいつで
も借りられるとは限らないためです。

ギリギリの手元資金で資金繰りを回していた場合、ちょっとし
た引っ掛かりで資金ショートが起きてしまいます。大企業であ
れば、事前に設定された信用枠の範囲内で機動的に資金調達が
可能ですが、中小企業の場合は、都度審査が必要になります。

入金が遅れたり回収不能が原因で資金がショートするとなると、
融資審査はより慎重になるため、不測の事態が起きてからの調
達は大変難しいものになります。

中小企業は、自己資本比率を気にせず、借入ができる時に最大
限の借入をしておくことが望ましいです。極端な例ですが、使
うあてのない融資でも借り入れて、別口座でほったらかしにし
ておくだけでも意味があります。

これは有事に対する備えです。経営状態が悪くなった時に銀行
が融資をしてくれないのであれば、経営状態が良い時に借入を
して、キャッシュを手元に置いておくことが備えになります。
借入金に手をつけなければ、借入と同額の預金を有しているだ
けですので何らリスクはありません。デメリットは金利が発生
することですが、いざと言う時に資金を確保できる保険料と考
えれば納得できます。

口座に大金があると気が大きくなり、気前よく使ってしまう経
営者様もたまにいらっしゃいますが、目的はキャッシュポジシ
ョンを高めることですので、その点は注意が必要です。

借りられる時に借りられるだけ借りておく戦略は、教科書通り
の財務戦略ではありませんので、財務を学んだことのある方か
らすれば少し違和感があるかもしれません。銀行の担当者も眉
をひそめるかもしれませんが、中小企業が生き抜くためには、
これもひとつの正しい戦略です。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

…前回号のつづきです。

未来人材ビジョン(経済産業省、令和4年5月)について、ま
とめの章【5.結語】を引用して紹介いたします。

『デジタル化や脱炭素化といったメガトレンドは、必要とされ
る能力やスキルを変え、職種や産業の労働需要を大きく増減さ
せる可能性がある。こうした中、未来を支える人材を育成・確
保するには、雇用・労働から教育まで、社会システム全体の見
直しが必要である。

これから向かうべき2つの方向性を示したい。
◆1.「旧来の日本型雇用システムからの転換」
◆2.「好きなことに夢中になれる教育への転換」

「旧来の日本型雇用システムからの転換」とは、人的資本経営
を推進することで、働き手と組織の関係を、閉鎖的な関係から、
「選び、選ばれる」関係へと、変化させていくことである。多
様で複線化された採用の「入口」を増やしていくことでもある。
これらを通じて、多様な人材がそれぞれの持ち場で活躍でき、
失敗してもまたやり直せる社会へと、変化していく。

「好きなことに夢中になれる教育への転換」とは、一律・一斉
で画一的な知識を詰め込むという考えを改め、具体的なアクシ
ョンを起こすことである。一人ひとりの認知特性・興味関心・
家庭環境の多様性を前提に、時間・空間・教材・コーチの組み
合わせの自由度を高める方向に転換し、子どもたちが好きなこ
とに繰り返し挑戦したくなる機会を増やしていく。

これらの方向性へと向かうための具体策を、以下に示したい。

◆1.旧来の日本型雇用システムからの転換

(1)人を大切にする企業経営へ

●具体策1:人的資本経営に取り組む企業を一同に集め、互い
を高め合いながら、変化を加速させる「場」を創設するべきで
ある。

●具体策2:インターンシップの適正化を図る一方で、学生の
就業観を早期に培い、目的意識を持った学業の修得、有為な若
者の能力発揮にも資するよう、インターンシップを積極的に活
用する仕組みに変えるなど、新卒一括採用だけでなく通年採用
も並列される社会へ変革するべきである。

(2)労働移動が円滑に行われる社会に

●具体策1:“ジョブ型雇用”の導入を検討する企業に向けたガ
イドラインを作成するべきである。

●具体策2:退職所得課税をはじめとする税制・社会保障制度
については、多様な働き方やキャリアを踏まえた中立的な制度
へ見直すべきである。

●具体策3:兼業・副業は、社内兼業も含めて、政府としてよ
り一層推進すべきである。

●具体策4:働き手の学びへの意欲とキャリア自律意識を高め
るための取組として、「学び直し成果を活用したキャリアアッ
プ」を促進する仕組みを創設するべきである。

●具体策5:スタートアップと大企業の間の人材の行き来を、
政府としても支援すべきである。

●具体策6:地域における人材の活躍に向けて、地域の産学官
による人材育成・確保のための機能を強化すべきである。

●具体策7:未来に向けた労働時間制度のあり方について検討
すべきである。

◆2.好きなことに夢中になれる教育への転換

●具体策1:教育課程編成の一層の弾力化や、多様な人材・社
会人が学校教育に参画できる仕組みの整備など、時間・空間・
教材・コーチの組み合わせの自由度を高める教育システムの改
革に向けて更に議論を深めるべきである。

●具体策2:高校においては、全日制や通信制を問わず、必要
に応じて対面とデジタルを組み合わせることができるように転
換すべきである。

●具体策3:公教育の外で才能育成・異能発掘を行おうとする
民間プログラムの全国ネットワークを創設すべきである。

●具体策4:「知識」の獲得に関する企業の研修教材や大学講
義資料等は、デジタルプラットフォーム上で解放を進め、誰で
もアクセスできる形で体系化していくべきである。これにより、
教員の方々のリソースを、「探究力」の鍛錬に集中させること
ができる。

●具体策5:大学・高専等における企業による共同講座の設置
や、自社の人材育成に資するためのコース・学科等の設置を促
進すべきである。

前半で示した雇用推計の結果が、それぞれの産業や職種におい
て、組織内の雇用制度や業界の人材育成の在り方に関する議論
に一石を投じることになれば、幸いである。』(引用)

と締めくくられています。

●未来人材ビジョン!全文
https://onl.bz/bkZQrRM

複数の企業を経営している社長様も多くいらっしゃいます。全
ての会社の業績が良ければ資金調達に苦労しないと思いますが、
業績があまり良くない場合は、資金調達に苦労されているので
はないでしょうか。

3社のグループ会社を持つ関与先の事例です。

グループの概要は下記となります。まだ借入実績がないC社の
資金調達に苦労していました。

A社:設立6期目(本社東京で借入実績あり)
B社:設立4期目(本社福岡で借入実績あり)
C社:設立3期目(本社大阪で借入実績なし)

金融機関の担当者は、一般的にグループ会社のある企業への融
資検討を嫌います。理由は単純に手間がかかるためです。

グループ会社のそれぞれが全く別の事業を営んでおり、かつ、
グループ間で一切の取引も無い場合は、単独の会社として融資
検討をすることが可能です。しかし、大抵の場合、グループ間
で営業上の取引があったり、資金の貸し借りがあったりするた
め、融資対象の会社だけでなく、関連するグループ会社すべて
の財務状況を審査しなくてはならなくなります。通常の会社を
審査するよりも数倍の手間がかかります。

具体的には、グループ間で利益操作を行っている可能性を払拭
するために、グループ合算の貸借対照表や損益計算書を作成し
ます。すべてのグループ会社の決算月が同一であれば簡単です
が、決算月が違う場合は正確な財務状況がつかみにくくなるた
め、さらに作業が複雑になります。

しかし、手間をかけてグループ合算資料を作成したところで、
必ず融資を出せるとは限りません。金融機関の担当者の立場で
考えると、「融資案件が他にもある中で、わざわざ手間のかか
る案件に関わりたくない。」というのが本音だと思います。

それでは、グループ会社のある会社はどのように融資を申し込
めば良いのでしょうか。答えは、金融機関の担当者に出来るだ
け手間をかけさせないよう、会社側が資料を作成するというこ
とです。

金融機関が必ず知りたがるポイントは下記です。
・グループ合算で利益が出ているか?
・グループ合算で債務超過となっていないか?
・グループ間で実態のない取引を計上していないか?
・グループ間で資金の融通がないか?

これらの疑念を払しょくするためには、最低限、下記の資料を
用意する必要があります。
・グループ全体の資産、負債と資本の状況が分かる合算貸借対
照表
・グループ全体の利益状況が分かる合算損益計算書
・グループ間の取引状況が分かる取引関係図

C社も、これらの資料を作成して提出することで、無事に満額
の融資を受けることができました。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
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…前回号のつづきです。

未来人材ビジョン(経済産業省、令和4年5月)について、前
回号につづけて要点のみ引用して解説いたします。

■雇用と人材育成について

かつて日本型雇用システムは、大量生産モデルの製造業を中心
に競争力の源泉と言われた。日本型雇用システムは、右肩上が
りの経済成長の下で、長期雇用を前提に長期的な視点に立って
人材育成を行い、組織の一体感の醸成や、企業特殊的な能力の
蓄積に寄与した。また、長期雇用を前提として定着した新卒一
括採用により、一時的な例外期を除けば多くの学生が卒業後に
就職できる傾向があり、若年失業率は低い水準に収まるなど、
社会の安定につながっていた。しかし、我が国の経済成長が鈍
化し、日本企業特有の賃金・人事制度の前提とされていた「成
長の継続」が見込めなくなった結果、1990年代からは、日本型
雇用システムの限界が指摘されてきた。90年代以降、日本型雇
用システムの変革が模索されてきたが、働き手と、組織は、こ
の30年でどうなったか。

・日本企業の従業員エンゲージメントは、世界全体でみて最低
水準にある。
・「現在の勤務先で働き続けたい」と考える人は少ない。
・しかし、「転職や起業」の意向を持つ人も少ない。
・日本は、課長・部長への昇進が遅い。日本企業の部長の年収
は、タイよりも低い。
・「転職が賃金増加につながらない」傾向が強い。
・4割以上の企業は、「技術革新により必要となるスキル」と、
「現在の従業員のスキル」との間のギャップを認識している。
・企業は人に投資せず、個人も学ばない。
・日本の人材の競争力は下がっている。
・日本企業の経営者は、「生え抜き」が多く、同質性が高い。
・役員・管理職に占める女性比率が低い。
・東証一部上場企業の合計時価総額は、GAFAM5社に抜かれた。
・日本の国際競争力は、この30年で1位から31位に落ちた。

この現実を直視するなら、企業にはいま、雇用・人材育成シス
テムの聖域なき見直しが求められているのではないか。具体的
には、終身雇用や年功型賃金に代表される「日本型雇用システ
ム」と社外との接続領域である「採用戦略」をどうするか、で
ある。既に一部の企業では、相当程度変わってきた現実もある
かもしれない。しかしまだ十分ではない。変化を、加速させる
必要がある。

・人的資本経営により、働き手と組織の関係は、「閉鎖的」関
係から「選び、選ばれる」関係へと変化していくべき。
・人的資本経営は、スタートアップの方が既に実践に移せてい
ることも多い。スタートアップから学ぶことが多いのではない
か。
・日本型雇用システムの起源は、公務員の人事制度にあるのだ
から、公務員の人事制度も変わっていくべきであり、むしろ先
に変わっていくべきではないか、との意見もあった。
・人的資本経営という変革を通じて、日本社会で働く個人の能
力が十二分に発揮されるようになれば、日本社会がより一層、
キャリアや人生設計の複線化が当たり前で、多様な人材がそれ
ぞれの持ち場で活躍でき、失敗してもまたやり直せる社会へと、
転換していく。
・大企業の採用手法は、新卒一括採用だけでなく、中途採用、
通年採用、職種別採用、ジョブ型採用など、多様化や複線化が
進みつつある。
・自社が求めるスキルや能力を明確化し、それに見合った処遇
を行う企業が増加している。
・最初は無限定正社員で働き、キャリアを積んだ後、ジョブ型
雇用に転換していくという考え方も出てきている。
・これからの採用シーンでは、新卒一括採用が相対化されてい
く。「何を深く学び、体得してきたのか」が問われる、多様で
複線化された採用の「入口」になるはずである。
・学生の就業観が早期に培われるインターンシップの重要性が
増している。
・外国人は、日本で長く働き続けてくれない。地域社会は、人
手不足を克服しなければならない。

2050年目線では、仮想空間上のアバターや遠隔操作するロボッ
ト、人の身体的能力や知覚能力を拡張する技術が普及する中、
付加価値の源泉や労働形態のあり方が根本から変わるだろう。
それは、身体や脳、空間や時間の制約がなくなっていく過程で
もある。その過程では、「働くこと」の意味や「組織」の意味
付け自体が問い直され、働き方を規律する法体系やセーフティ
ーネットの在り方も根本から見直される可能性がある。
こうした未来への備えとしては、働き手の自律性を高める方向
性がやはり望ましい。

現状の日本の雇用と人材育成について、的確に分析・整理され
ています。

●未来人材ビジョン!全文
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…次回号につづく

コロナウイルス感染拡大の影響により赤字に陥る関与先様が増
加しています。本来は利益が大変重要ですが、このような状況
下においては、利益よりもキャッシュフローを重視した方が経
営は楽になるかもしれません。

月額3万円程度の利用料を売上高とするA社とB社があります。
A社は毎月3万円を受け取っていますが、B社は初月に6か月
分の18万円を一括で受け取っています。A社は毎月の資金不
足を補てんするため資金繰りに奔走していますが、B社は先取
りした6か月分の売上代金を人件費等の支払に充てています。
A社とB社は同じビジネスモデル、同じ売上高ですが、資金繰
りの状況は全く違います。

あるソフトウェアを受託開発しているA社と、パッケージ化し
て商品にしたB社があります。A社の受託開発期間は平均3か
月ですので代金を受け取れるのは最大4か月後となり、その間
の人件費の立替に苦労しています。一方のB社は基本機能をパ
ッケージ化しているため納品した時点で売上を立てることがで
き、翌月には売上の代金を受け取れます。A社は黒字ですが資
金繰りは厳しく、B社は将来のために開発費を先行投入して赤
字になっているにも関わらず資金繰りに余裕があります。

ある機械を自社割賦で販売しているA社と、リース会社と提携
してリース販売しているB社があります。A社は原価相当額を
一括で受け取った後、利益部分を10回の分割払いにしていま
すが、原価部分の一括払いがネックとなり営業面で苦労するう
え、利益は後からの回収となるため資金繰りに苦労しています。
一方、B社は全額リースで販売できるため、営業面でハードル
がA社よりも低く、さらに一括で代金の回収ができるため資金
繰りにも苦労することがありません。

コロナ禍の影響により世間的には赤字を容認する雰囲気があり
ます。経営状況を無理して良く見せる必要がないのであれば、
利益率は良いが取引条件の悪い売上より、利益率はそこそこで
もキャッシュフローの良い売上を優先して獲得する方が資金繰
りは改善されます。

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正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

面白いレポートを見つけたのでご紹介します。

■未来人材ビジョン(経済産業省、令和4年5月)

サブタイトルは、『2030年、2050年の未来を見据え、「旧来
の日本型雇用システムからの転換」と「好きなことに夢中にな
れる教育への転換」を!』となっています。

■「未来人材ビジョン」のポイント

「未来人材ビジョンでは、将来の労働需要の変化を推計した上
で、社会システム全体を見直す大きな方向性を二つに整理し、
今後取り組むべき具体策を示しました。

一つ目は、「旧来の日本型雇用システムからの転換」です。今
後は、人を大切にする経営への改革を推進していく必要があり
ます。そのために、”実践”と”開示”の両輪で進めていくことが
重要であり、変化を加速させる「場」の創設等に取り組みます。

二つ目は、「好きなことに夢中になれる教育への転換」です。
このため、公教育の外で才能を育成する民間プログラムの全国
ネットワークの創設等に取り組みます。

この未来人材ビジョンは、あくまでも最初の出発点として提示
するものです。それぞれの産業や職種において、組織内の人事
制度や業界の人材育成の在り方の議論に一石を投じることにな
れば幸いです。」(引用)

■気になるポイントを抜粋して解説します。

◆生産年齢人口は、2050年には現在より28%減少する。

生産年齢人口(15歳~65歳)は、1995年をピークに減少を続
けており、2020年には7,400万人、2050年には5,300万人ま
で28%減少します。失われた30年と言われますが、日本は過去
30年間生産年齢人口の減少を労働参加率の向上で補いながら、
GDPの総額を維持してきました。ある意味踏ん張ってきた30年
でした。
今後はさらに生産年齢人口の減少が進むため、生産性の向上以
外に日本の国力を維持する方法はありません。2050年までに
28%生産性を向上させることで現状維持できるということです。
これは現状維持であって成長ではありません。

この課題を解決するためには、中小企業事業者を含むすべての
事業者にイノベーションが必要です。過去のやり方をそのまま
だらだらと続けていては低成長・停滞のサイクルから抜け出せ
ません。

◆解決策の一つとして次の事を示しています。

『次の社会を形づくる若い世代に対しては、
・「常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」
・「夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢」
・「グローバルな社会課題を解決する意欲」
・「多様性を受容し他者と協働する能力」
といった、根源的な意識・行動面に至る能力や姿勢が求められ
る。現場を支える方々を含めて、あらゆる人が時代の変化を察
知し、能力やスキルを絶えず更新し続けなければ、今後加速す
る産業構造の転換に適応できない』(引用)

◆また、これからの人材に求められる能力として次の事を示し
ています。

『現在は「注意深さ・ミスがないこと」、「責任感・まじめさ」
が重視されるが、将来は「問題発見力」、「的確な予測」、
「革新性」が一層求められる。』(引用)

『こうした変化に対処するため、産業界と教育機関が一体とな
って、今後必要とされる能力等を備えた人材を育成することが
求められている。その際、時間軸を分けて考えることが重要で
ある。

2030年目線…今の社会システムを出発点として変化を加える
2050年目線…全く異なる社会システムを前提に、バックキャス
トして、今からできることに着手する。

今回の「未来人材ビジョン」は、この考え方に従い、大きな方
向性と当面取り組むべき具体策を示したい。』(引用)

●未来人材ビジョン!全文
https://onl.bz/bkZQrRM

…次回号につづく

ある企業様からの相談事例です。事業再構築補助金の採択を受
けたものの、メインの金融機関から融資を断られたそうです。

社長様の主張は以下のとおりです。

・担当者は(融資は)大丈夫だと言った。
・なので、既に工事を発注している。
・工事が遅れているだけで損害なのに、新規事業を取りやめと
なったら、もっと大きな損害を被ることになる。
・資金計画や事業計画に無理があると言われたが、そもそも国
の認定を受けた事業である。融資を断っていいのか。

国の認定を受けた事業なので、当然融資を受けられると思って
おり、融資を出さないのは、意地悪、嫌われているとも感じて
いらっしゃる様子でした。

しかし、決算書を見れば、原因は「赤字債務超過」であること
が分かります。金融機関の初動や態度に問題があったかもしれ
ませんが、決して意地悪ではありません。

赤字債務超過は、経営上はもちろん、金融機関から見ても大き
な問題です。一度赤字債務超過に陥ると、金融機関からは融資
を受けられなくなるという覚悟・達観が必要です。

少なくない経営者様が、赤字債務超過の重大さを理解していな
いように感じます。それは、赤字債務超過でも融資を受けられ
ることがあるためです。

日本公庫やコロナ融資など、国の政策によって、赤字債務超過
でも融資を受けられることがありますが、これはイレギュラー
です。当たり前と捉えない方が安全です。

前述の社長様は、メイン以外の金融機関にも全て断られたそう
ですが、それでも融資をしてくれる金融機関を諦めずに探し続
けるとおっしゃっていました。もちろん、信じて調達先を探す
ことは尊重しますが、事業再構築補助金は、国の制度と言って
も、金融機関の融資を国が保証している訳ではありません。や
はり、赤字債務超過の状態では、認定を受けているからという
理由だけで融資を受けるのは難しいと考えます。

赤字債務超過になると、基本的には融資審査は通らないという
認識を持ちましょう。そして、赤字債務超過に陥ってから資金
調達にジタバタするのではなく、赤字債務超過に陥らないよう
ジタバタしてください。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

■現状の社会情勢・経営環境は必ずしも良い状況にはありませ
ん。経営者としての悩みや痛みも少なくないはずです。それで
も、自社を、自分を守り抜き、成長させていかねばなりません。
自身が選んだ道である以上、腹をくくって臨まねばなりません。

では、どうすればよいか?この本質的な質問に対する解はたっ
た一つ、「何をすべきかわからなければ、何をすべきかをわか
るために学びましょう」です。知ることでやるべきことがわか
ります。失敗や不安を減らせます。楽になります。

米百俵(幕末の長岡藩)の話は有名ですが、同様に「日本の未
来を切り開くためには教育への投資が重要だ」との意見に異論
はないはずです。であるならば、会社を良くするためには、ト
ップ自身の学びが何よりも重要なはずです。従業員の教育では
なく社長自身の学びです。

■消防士は火に対する知見を有しています。

故に、大丈夫、危険だ…これらを正しく判断できます。危険な
火災現場に遭遇しても、最小限のリスクで最大限の対応ができ
るのはこのためです。仮に、無知な消防士(?)が消火活動を
行ったとすると、過度に恐れて適切な消化活動ができない、ま
たは、蛮勇で無茶なそれを行うことになるはずです。いずれも
正しい消火活動とは程遠い結果になります。消防士は、日々欠
かさず、火に対する勉強と訓練を積んでくれています。

■社長も経営を「知る」ことが重要です。

経営には不安がつきまといます。原材料の高騰や売上不振等、
不安が極限に達している方も多くいます。具体的な不安、漠然
とした不安…無限の不安が心に降り注いできます。ある種の必
然で仕方ありませんが、これらの不安を軽くする方法はありま
す。

◎人は、わからないことに多くの不安を感じるようです。
・「知る」ことで多くの不安が解消されます。
・「知る」ためには勉強が必要です。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、程度加減がわかります。
・「知る」ことで、ここまでは大丈夫、これ以上はダメ、この
境界が見えます。
・「知る」ことで、経営判断の精度が向上します。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、「自分の知らないこと」を認識できます。
・知らないことを認識すること(=「無知の知」)は重要です。
・「知る」ことに重点的に取り組むことができます。
・「自分の知らないこと」には取り組まない、または、他人の
知恵を借りる癖が付きます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■過度の心配は払しょくしましょう。チャンスを逃してしまい
ます。逆に、蛮勇もご法度です。会社をつぶしてしまいます。

「無知」な社長は二つのパターンに分かれます。

◆1.過度に恐れて攻めることができない社長。
リスクを過大評価して、一歩も前に進めません。前に向かって
アクセルを踏めない原因の一つは「知らない・わからない」か
らではないでしょうか?

◆2.蛮勇を背景に突っ走る社長。
リスクや実力を省みることなく、とにかくアクセルを踏み続け
ます。過度に邁進できる理由の一つは「知らない・わからない」
からではないでしょうか?

いずれも正しい経営とは程遠い結果になります。

■「知る」ことは大変大きな収穫をもたらします。

社長が経営の勉強をすることには大変大きな意味を持ちます。
その経営成績、収穫に直結します。ただ、社長が勉強すべきテ
ーマは極めて広範囲で、何からどのようにすればよいかわから
ない、とおっしゃる方も少なくありません。まさにその通りで
すが、これにもヒントはあります。

◎不安なことから勉強してください。不安を解消しましょう。

◆「無知」は大きな損失を招きます。損をします。
◆「無知」は不安の大きな原因の一つです。病みます。
「知る」ことで多くの事を解決できます。故に、賢明な社長は
日々勉強に励みます。

経営を学べば、その勝率は格段に向上します。知ることで失敗
や不安を減らせます。楽になります。考えていただければ幸い
です。