営業キャッシュフロー(CF)のマイナスを理由に融資を断ら
れることがあります。しかし、営業CFがマイナスとなるのは、
必ずしも業績不振だけが背景ではありません。業績が良好であ
っても、積極的な先行投資を行っている企業は、営業CFが一
時的にマイナスになることがあります。

粗利率30%、販管費支出が月100万円の通信販売事業者の
ケースで考えてみます。100万円の販管費支出をカバーする
には、100万円の粗利益が必要ですので、最低でも、233
万円の仕入れを行って、333万円の売上高を獲得しなければ
なりません。

もし、営業不振により、売上高が300万円しか獲得できなけ
れば、粗収支は300万円-233万円=67万円になります
ので、販管費支出100万円をカバーできず、33万円の営業
CF赤字となります。

しかし、営業が好調で400万円の売上高を獲得しても、更な
る売上の増加を目指して350万円の先行仕入を行えば、粗収
支は400万円-350万円=50万円になりますので、こち
らも販管費支出100万円をカバーできず、50万円の営業C
F赤字となります。

前者の場合は、売上を増やさなければ営業CFをプラスにする
ことはできませんが、後者の場合は、400万円の売上高に合
わせて、仕入を280万円に抑えれば、いつでも20万円の営
業キャッシュフローを確保できます。このような経営上の選択
肢を持つ企業は、営業不振によるマイナスCFとは根本的に異
なります。

ここまで言葉で説明しましたが、正直理解が難しかったのでは
ないでしょうか。金融機関への説明も同じです。この営業CF
のメカニズムを深く理解してもらうためには、単に言葉で伝え
るより、資金繰り表を用いた方が有効です。「売上が予測を下
回っても、このように仕入れをコントロールすれば、営業CF
はいつでもプラスにできます」という内容を資金繰り表を通じ
て具体的に示すことで、金融機関の担当者にも理解が深まり、
「なるほど、そういうことか」と納得してもらいやすくなりま
す。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

「経路依存性」とは、経済学用語として開発された理論で、過
去の経緯や歴史によって決められた仕組みや出来事にしばられ
る現象のことをいいます。 個人も組織も、過去に行った意思
決定によって制約を受ける傾向があります。

「もっとうまく経営したい」、経営者なら誰しもが持つ願望で
しょう。
「もっとうまく仕事を進めたい」、ビジネスマンなら誰しもが
持つ願望でしょう。
「もっとうまく…」これらは結果です。
結果の変化を求めるためには、その原因を変えねばなりません
が、多くの人たちは、原因を変えることに消極的です。結果の
変化はその原因の変化の延長にあるはずですが。

◆1:人は、総じて限られた人達とのみ付き合っています。

「師」と「友」は、自身の力に応じて構成されます。自身の成
長に応じて、その構成が変わることもあります。異次元の「師」
と「友」を作ることはできません。「師」と「友」は、ある意
味自分自身を投影する鏡です。

・自分の成長が著しく、「師」と「友」の成長が緩やかであれ
ば、新しい「師」と「友」を求めることになります。
・自分の成長が「師」と「友」の成長に追いつかなければ、こ
の「師」と「友」とは疎遠になります。
・「師」と「友」と同じスピードで成長することもあります。
・「師」と「友」共々停滞しているケースもあります。
「師」と「友」が自分に与える影響は計り知れません。

さらなる成長を求めるならば、「付き合う人を変えろ。」ある
偉人の言葉です。「居心地の良さ」や「緩さ」のみに甘んじる
ことなく、より厳しい環境を求めることも、時には必要です。
自身に対して、敢えて厳しく、より成長スピードの速い「師」
と「友」を求めてみるのも一つの方法ではないでしょうか。
「厳しく、より成長スピードの速い」「師」と「友」との出会
いにより、その「結果」が変わることはよくあります。

◆2:人は、総じてルーチン(習慣)に生きています。

朝起きてから就寝するまで、月曜日から週末まで、月初から月
末まで、年初から年末まで…勤勉な人も怠惰な人も、総じてル
ーチンを繰り返しています。時間配分は総じて変わりません。

○ルーチンの一部を壊してみましょう。
ルーチンを全面否定するつもりはありませんが、過度なルーチ
ンは自らを束縛することになります。時にはルーチンを大きく
変えてみることで、変化のきっかけを探ってみてはいかがでし
ょうか?守るべきルーチンと、壊すべきルーチンに分けて、後
者を止めてください。新たな生き方・考え方が生まれるかもし
れません。

○時間の棚卸が必要です。
・1週間、狭義で40時間、広義で168時間の時間配分を練
り直してみましょう。
・1か月、狭義で176時間、広義で720時間の時間配分を
練り直してみましょう。
・1か年、狭義で2,000時間、広義で8,760時間の時
間配分を練り直してみましょう。

我々は、いったい何にどれくらい時間を費やしているのでしょ
うか?優先順位の低い不要な時間もたくさんあるはずです。こ
れらの時間を、違う何かに振り分ける…この時間配分の変更が
必要です。『時間配分を変える』という「原因」に対して、
『もっとうまくいく』という「結果」が伴います。

人は変化を嫌い、ルーチン(習慣)に安住しがちです。
「明日から変わろう。」と決意しても簡単には変われません。
それは、過去から積み上げてきた習慣や時間配分や、自分を取
り巻く人間関係に縛られてしまうからでしょう。変化という結
果を求めるためには、変化できない原因である習慣や時間配分
や人間関係を変えることが必要です。

◎付き合う人たちを変えてみましょう。
◎ルーチン(習慣)を変えてみましょう。
◎時間配分を変えてみましょう。

経路依存性をぶっ壊して、変化することに挑戦しませんか!

ある企業様の資金調達交渉の場面に同席させていただきました。
その際の体験を通じて、金融機関対応の重要なポイントを共有
したいと思います。

該当企業は、ウェブサービスを開発・販売する会社で、以下の
ような財務状況です。

・売上高:約2億円
・経常利益:約700万円
・減価償却費:250万円
・簡易キャッシュフロー:900万円
・借入残高:約80000万円
・資金調達目標:1億円(主に広告宣伝費用途)

金融機関は返済能力、具体的には「簡易キャッシュフロー」に
最も重きを置きます。売上高が増収基調で資本超過という前提
ですが、もし同社の簡易キャッシュフローが2,000万円以
上あれば、決算書をお渡しするだけで交渉は終わりです。理由
は、簡易キャッシュフローが2,000万円あれば、既存借入
8,000万円と新規借入1億円の返済が十分に可能であると
判断できるラインだからです。

しかし、この会社の簡易キャッシュフローは900万円と、こ
の基準を満たしていません。そのため、計画書の詳細な説明が
必要になりました。

計画の内容は、資金を広告に投じることで売上を大幅に増加さ
せる一方で、広告費用の増加により、翌期と翌々期は大幅な赤
字になるというものでした。この計画書を見た金融機関の担当
者は明らかにネガティブな反応を示しました。

金融機関の担当者が確認したいのは、極論を言えば、借入の返
済が出来るかどうか、資本超過の状態を保てるかどうかの2点
です。大幅赤字の計画書では、返済が出来ないということ、債
務超過に陥ることを表明されたのと同じです。

金融機関の考え方に配慮するならば下記の追加補足が必要です。

■ 売上の質が良質であること。
同社の売上高は、一度顧客になれば毎月継続して収入を得るこ
とができる継続課金型の売上です。解約率も数%であることか
ら一度獲得した売上高は向こう数年に渡って継続する可能性が
高いです。最初に広告費で赤字になっても、一度顧客になれば、
それ以降は広告費を0円にしても継続する良質な売上であるこ
とを理解してもらう必要があります。

■ 広告費はコントローラブルであること。
現在でも新規顧客獲得のための広告を止めれば、利益は倍増す
る状態です。よって、1億円を広告費に投入する計画ですが、
目標としている広告効果が得られない場合は、直ちに広告を止
める考えも一方で持ち合わせており、黒字化はある程度コント
ロール可能な状態であることを理解してもらう必要があります。

■ 赤字の先に簡易キャッシュフローの増加が見込まれること。
2年間先行投資を続けた後には、返済が十分に可能なキャッシ
ュフローが見込まれることを説明する必要があります。

■ 赤字の間の返済原資を示すこと
現預金の全部を先行投資に使う訳ではもちろんありませんので、
資金繰り表を作成し、現在の手元資金により赤字の間でも返済
が可能であることを示す必要があります。

■ 資本超過を維持できること
事業計画書に純資産の推移も追加し、財務の健全性を意識した
経営を行っており、自己資本の範囲内での投資を考えているこ
とを説明する必要があります。

事業計画は、計画通りに進められる資金があって初めて計画と
なり得ます。そのためには、自身がやりたいと思う計画だけで
なく、資金面でのパートナーである金融機関にも同意を得られ
る計画である必要があります。

金融機関の同意が得られる計画書を作成するには、金融機関の
考え方を理解している必要があります。金融機関を巻き込んで
積極的に事業を拡大したいとお考えの経営者様は、是非、弊所
にお声がけください。

■『スタートアップ育成5か年計画』とは…

2022年11月に日本政府が発表したスタートアップ育成5か年
計画は、スタートアップの新たな成長を支援し、イノベーショ
ンを加速させることを目的としています。日本の近未来の盛衰
を左右するぐらいの重要な施策であり、岸田政権も本件に関し
ては本気です。

この計画が掲げる目標は、以下です。
・5年後の2027年にスタートアップへの投資額を10倍に
・スタートアップへの投資額8,000億円規模を10兆円規模に
・スタートアップを10万社創出する、ユニコーンを100社創
出する
・日本がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のス
タートアップの集積地になる

上記の目標を達成するために政府は、人・モノ・金・税制等々、
可能な限りの施策を打っています。発表から一年数か月が経過
しましたが、その施策が具現化されてきました。

■そもそもスタートアップとは何か?大きな飛躍を目指す起業
家様には、選択肢とし理解を深めてください。

スタートアップ型のビジネスとスモールビジネス型のビジネス
は、運営の目的、成長の速度、資金調達の方法、リスクの取り
方など、多くの点で異なります。これらの違いを理解すること
は、起業家が自分のビジネスモデルを選択し、戦略を計画する
上で重要です。

●目的とビジョン

スタートアップは、通常、革新的なアイデアや技術を市場に導
入することを目指しています。これらの企業は、従来の問題に
対して独自の解決策を提供するか、まったく新しい市場を創出
することを目標としています。スタートアップの目的は、急速
な成長と規模の拡大にあります。一方、スモールビジネスは、
安定した収入を生み出し、地域社会にサービスや製品を提供す
ることを目指しています。これらのビジネスは、より伝統的な
ビジネスモデルを採用し、地域社会内で長期的な関係を築くこ
とに重点を置いています。

●成長と拡大

スタートアップは急速な成長を目指し、短期間で大規模な顧客
基盤を確立し、高い収益を生み出すことを目指します。これに
対し、スモールビジネスは、比較的遅い成長率を示し、主に地
元市場や特定の地域に焦点を当てています。スモールビジネス
は、持続可能な運営と徐々に成長することを重視します。

●資金調達

資金調達の方法も両者の間で大きく異なります。スタートアッ
プは、その革新的なアイデアや成長の可能性を魅力として、ベ
ンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの資金調達を目指
します。これにより、急速な成長とスケールアップを実現する
ための大きな資金を確保することができます。一方、スモール
ビジネスは、銀行借入、個人資産、または家族や友人からの支
援に頼ることが多いです。これらのビジネスは、外部投資家か
らの圧力が少なく、自己資本による運営が一般的です。

●リスクと安定性

スタートアップは、高いリスクと高いリターンを追求します。
市場に新しいアイデアを導入することは、不確実性が高く、成
功するまでの道のりは困難が伴います。しかし、成功した場合
のリターンは非常に大きくなります。対照的に、スモールビジ
ネスは、より予測可能なビジネスモデルと安定した収入を求め
ます。これらのビジネスは、リスクを最小限に抑えつつ、長期
にわたって安定した経営を目指します。

スタートアップ型とスモールビジネス型の主な違いは、成長の
速度、目指す市場、資金調達の方法、そして取るリスクの大き
さです。スタートアップは、革新的なアイデアを持ち、急速な
成長と大規模な市場の獲得を目指しています。これに対し、ス
モールビジネスは、地域社会に根ざした安定した収益と持続可
能な成長を目標としています。起業家は、自分のビジネスアイ
デア、成長の目標、リスク許容度を考慮して、これらのモデル
のどちらが最適かを決定する必要があります。

大きな飛躍を目指したい起業家様は、スモールビジネス型では
なく、スタートアップ型起業も選択肢に組み込んでください。
起業家にとって、今の日本は相当恵まれた環境であり好機です。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/su-portal/index.html

顧問先様の中には、正社員の雇用を最小限に抑え、外注などの
外部リソースの活用で安定した売上と潤沢な利益を出し続けて
いる企業様がいらっしゃいます。

中小企業にとって、資本やリソースが限られる中で、どのよう
にして競争力を確保し、市場での地位を築くかは永遠の課題で
す。新しい概念ではありませんが、「持たざる経営」という経
営戦略が中小企業にとっても有効なのか考えてみます。

■ 持たざる経営の魅力
持たざる経営は、企業が物理的な資産や固定費用を最小限に抑
え、必要なリソースやサービスを外部から柔軟に調達する経営
手法です。このアプローチの最大の魅力は、固定費用の削減と
経営の柔軟性にあります。市場の変化に迅速に対応できるだけ
でなく、リスクの分散も可能になります。

■ 中小企業における有効性
中小企業は、資本の規模や運用可能なリソースが限られている
ため、持たざる経営は特に有効とされています。以下にその理
由を挙げます。

・固定費用の削減:
資産を保有しないことで、固定費用を大幅に削減でき、財務の
健全性を保つことができます。
・柔軟性の確保:
外部リソースを活用することで、市場の変動や需要の変化に迅
速に対応することが可能になります。
・新しいビジネスモデルへの適応:
持たざる経営を取り入れることで、新しいビジネスモデルへの
適応が容易になり、イノベーションの創出につながります。

■ 実践する際の留意点
しかし、持たざる経営を実践する際には、いくつかの留意点が
あります。外部リソースの質と関係性の構築、自社の存在価値
の明確化が重要になります。また、市場や顧客ニーズの変化を
敏感に察知し、それに応じたビジネスモデルの柔軟な修正が求
められます。

■ 結論
持たざる経営は、中小企業にとって大きな可能性を秘めた経営
戦略です。資本やリソースの制約がある中小企業でも、この手
法を通じて、より大きな市場での競争力を確保し、持続可能な
成長を遂げることが可能になります。しかし、持たざる経営を
成功させるには、外部リソースの効果的な活用と、変化への柔
軟な対応が必要不可欠です。中小企業の経営者は、この新しい
経営手法をどのように自社に取り入れ、活用するかを真剣に考
える必要があります。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

これまで数多くの創業の相談を受けてきました。創業時には創
業融資の獲得をお手伝いし、その後も事業の成長を見守りなが
ら、適切なタイミングで成長資金を確保することが、順調な創
業のパターンと言えます。

しかし、創業融資を受けて事業を開始した後、売上が伸び悩む
ケースもあります。主な原因は、単純に商品やサービスが売れ
ないことですが、中には、社長が慎重になりすぎて、プロダク
トやサービスが完璧になるまで販売を開始しないこともありま
す。確かに、不完全なプロダクトやサービスを市場に投入する
ことにはリスクが伴いますが、早期に市場に投入して改善を進
めることが成功の鍵となる場合が多いのも事実です。

創業者が心掛けるべきポイントはいくつかあります。まず、積
極的な市場投入と同時に、継続的な改善を行うことが重要です。
完璧なプロダクトやサービスを待っていては競争力を失い、市
場での存在感を確立することが難しくなります。リリース後も
フィードバックを受けながら、製品やサービスの改善を進める
ことが必要です。

次に、スピード感を持って行動することが重要です。市場は常
に変化しており、競合他社も動き続けています。迅速な行動が
求められます。アイデアや計画を練り上げることも大切ですが、
行動を起こすことが成功の近道です。スピード感を持って行動
し、柔軟に対応することが重要です。

さらに、失敗を恐れずにチャレンジすることも大切です。失敗
は避けられないものですが、失敗から学ぶことが成長につなが
ります。チャレンジ精神を持って取り組むことが成功への近道
です。

最後に、周囲との協力やネットワークを活用することも重要で
す。成功には周囲の支援が不可欠です。助言や支援を受けなが
ら、自らのビジョンを実現していくことが重要です。

創業者は、完璧を待つのではなく、早期に市場に投入し、継続
的な改善を行いながら成長していく姿勢が求められます。柔軟
性やチャレンジ精神を持ち、周囲の支援を活用しながら、ビジ
ョンを実現していくことが成功への鍵となるのではないでしょ
うか。

創業や新規事業に関する資金調達等のご相談もお受けしており
ます。是非、ご相談ください。

■52枚のトランプを無作為に観客に並べ替えてもらった後に、
『種も仕掛けもありません。』と一通り(数秒間)観客にカー
ドの表を見せます。この時に52枚のトランプの並びをすべて
暗記してしまうそうです。後は、自分でトランプを繰り返し並
べ替えますが、どう並べ替えたかはすべて手の感覚で頭に入っ
ているそうです。何枚目に何があるのか、すべてです。観客が
『ストップ』と言って止まった場所のカードは、把握できてい
ます。さらに並べ替えながら、一枚ずつめくるカードを言い当
てます。トランプを使ったプロマジシャンの、種も仕掛けもな
いマジック?です。暗記力と正確な手さばき、まさに訓練の賜
物です。資質の問題もあるでしょうが、とんでもない努力を長
期間続けてこられたのでしょう。3年、5年、いや、10年以
上でしょうか。

■マラソンの世界記録ホルダーは、42.195キロメートル
を2時間1分強、時速20キロメートルを超えるスピードで2
時間走り続けています。資質の問題もあるでしょうが、とんで
もない努力を長期間続けてこられたのでしょう。3年、5年、
いや、10年以上でしょう。

■1万時間の法則があります。The New Yorkerの
スタッフライターであるマルコム・グラドウェル氏が提唱し始
めた、『集中して1万時間努力を継続できれば、その分野では
ある程度以上のレベルに到達できる』とする法則です。ダラダ
ラではなく集中して、これが条件です。
小学校1年生から野球を始めて、365日毎日3時間ずつ集中
して練習を継続できれば、高校1年生の夏に1万時間の壁を越
えられます。夏の甲子園で注目されるような選手は、皆1万時
間を越えているはずです。

■ビジネスマンにとって、1万時間の対象は何でしょうか?
その対象は、今の仕事そのもの、または、関連性の強い分野に
絞るべきです。勤務時間をすべてカウントするならば、1日8
時間、250日で2,000時間、5年で1万時間に到達しま
す。確かに、5年も社会人を経験すれば、殆どの人はそれなり
に仕事を覚えます。自宅での週末学習や、勤務後の自己学習に
時間をつぎ込める人は、1日10時間、330日で3,300
時間、3年で1万時間に到達します。期間を集中している分、
習得レベルも格段に向上するはずです。年長者は、さらに、勤
務時間を積み上げているわけですから、いずれにしても1万時
間の壁は越えているはずです。

■仕事に対しては、プロ(を目指す)意識が重要です。
プロのマジシャンは52枚のカードを瞬時に暗記して自在に扱
えます。一流のマラソン選手は、時速20キロメートル前後で
二時間強走り続けることができます。プロの野球選手は、時速
150キロメートルの白球を打ち返すことができます。…等々

■ビジネスマンである貴方は、何ができますか?何ができるこ
とを目指しますか?
今取り組んでいる業務分野において、徹底的にプロ化を図るべ
きではないでしょうか?営業職であるならば、日常の業務に百
%のエネルギーを投入しながら、併せて、営業に関する様々な
自己研鑽に励むことでしょう。関連書籍を読み漁ったり、動画
で学んだりしながら、日々の業務で仮説と検証を繰り返しなが
ら、予算の達成に邁進するのでしょう。この様な姿勢で1万時
間超の時間を過ごすことができたなら、営業のプロとして立派
に人生を送れるはずです。

経理職であるならば…
技術職であるならば…
等々、すべて同じです。

■プロとセミプロの間には、大きな壁があります。プロは、道
を究めた専門家です。セミプロは、良く知っている便利な人で
す。プロとセミプロの間には大きな壁があります。貴方がプロ
であるならば、貴方の食い扶持は生涯確保されるはずです。職
を求めて苦労することはありません。貴方がセミプロであるな
らば、運が悪ければ職を失います。

希望したのか?または、必然なのか?は別にして、今の仕事で
プロになりましょう。会社のためだけではありません。自分の
ためにです。

…次回号につづく

信用保証協会の「スタートアップ創出促進保証」制度が開始さ
れてから、約1年が経過しようとしています。この制度は日本
政策金融公庫の「新創業融資」と並び、経営者保証を不要とし
ている点が大きな特徴です。

経営者保証が不要というメリットは、起業家や中小企業経営者
が個人の財産をリスクに晒すことなく資金調達が可能となる点
です。新しいビジネスを立ち上げる際には不確定な要素が多く、
失敗するリスクもありますが、経営者保証がないことが大きな
安心感につながります。そのため、起業家や中小企業経営者は、
より大胆な資金調達の計画を立て、成長の可能性を追求するこ
とができるようになりました。

それでもなお、借入に抵抗感のある創業者の方もいらっしゃい
ますが、創業時に資金調達を行うことは、ビジネスの成功に不
可欠です。十分な資金があれば、製品やサービスの開発、マー
ケティング活動、人材の採用など、成長に必要なあらゆる面に
投資することができます。特に、競争が激しい業界では、創業
時の資金調達が成功の鍵となることがあります。資金調達を行
うことで、競合他社との差別化や市場シェアの拡大など、ビジ
ネスの成長に直結する取り組みが可能となります。

もちろん、借入をすることには、返済に関する不安、財務内容
の悪化や利子負担などのリスクがあります。また、借入に伴う
債務の増加は、経営上の負担となり、資金繰りの悪化や経営不
安を招く可能性もあります。しかし、適切な計画と戦略を立て
ることで、そのリスクを軽減することは可能です。

信用保証協会のスタートアップ創出促進保証制度、日本政策金
融公庫の新創業融資は、利用限度額、具体的な条件や手続きな
どに違いがありますので、利用を検討する際には、それぞれの
制度の特徴や運用面を詳しく把握することが重要です。

当事務所は、創業時の事業計画策定や資金調達支援に豊富な経
験があります。是非、ご相談ください。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

未来を背負ってもらえる若者たちの成長と活躍を願いながら、
前向きなメッセージを発信させてもらいます。新入社員、若手
社員に伝えてあげてください。

社会人として二十年近く時間を経て四十歳ぐらいになると、そ
のビジネスマンとしての実力の差は歴然とします。雲泥の差で
す。

○出来る分野・領域の広さに大きな差が付きます。太平洋とプ
ールの差です。

良くできる人は、概ねどんな業務もやる気になれば対応できま
す。そうでない人には、極めて限定的な作業しか与えられませ
ん。できないからです。

○業務の精度・スピードに雲泥の差が出ます。

知恵を使う業務であれば、できる人とそうでない人の差はざっ
と10倍ぐらいでしょうか。単純な業務であっても、その差は
3倍ぐらいになるように感じます。

社会人として、上記の事実を早い時期に知っておくべきです。
なぜ、これだけの差がついてしまうのかを、論理的に考えてみ
ましょう。

高校時代の運動部のことを思い出してください。

○放課後真面目に練習を継続している野球部のメンバーと、野
球部でないメンバーが、三年生の時に試合をしたら、この差は
歴然です。たった二年強の期間、一日当たり数時間の練習を継
続するかしないかの違いが、この雲泥の実力の差を生みます。

○スポーツより複雑でわかりにくいので自覚しにくいですが、
二十年という年月は、上記の何十倍もの差を生んでいます。そ
して、見る人が見れば、その差は歴然です。四十歳のビジネス
マンの実力に、想像を絶するぐらいのかい離があることを想像
いただけるはずです。

仕事は上手になってください。好む好まざるにかかわらず、社
会人として長期間生きて行かねばなりません。会社のためだけ
ではありません。何より自分自身のためです。

そのために…
目先の仕事に徹底的に真摯に取り組んでください。
どんな仕事に対しても、「誰にも負けない」との思いを込めて、
全身全霊で取り組んでください。机を拭く、こんな仕事でも、
「誰にも負けない、私の机の拭き方は、誰よりきれいで効率的
だ」と自負できるようにあたってください。一つ一つのこの真
摯な取り組みの集積が、自分自身の仕事への精度と執着を養っ
てくれます。

1.正確な実務能力を身につけてください。

書類を正確に早く作成する、文章を正確に早く書く、過密なス
ケジュールを効率的に乗り切る、これらを実務能力と呼びます。
この実務能力がその人のポテンシャルになります。若い間は、
可能な限り多くの業務をやりきる訓練を積んでください。

2.仕事の予習と復習をしてください。

アフターファイブや休日にも、仕事の予習と復習を欠かさず行
いましょう。この差がビジネス力の差を生みます。また、自分
自身の勉強の時間を確保してください。生涯勉強です。すべて
自分の財産になります。できるビジネスマンは習慣になってい
ます。

3.読書や音声で勉強してください。

できるビジネスマンの多くは読書家です。逆に、できないビジ
ネスマンの多くは本を読んでいません。週一冊本を読めば、
(四十歳を迎える)二十年で千冊強の本と出会えます。この千
冊の引き出しの有無が、ビジネスマンとして、人としての実力
の差の原因の一つです。また、オンラインの動画講座での学び
は効率的です。読書と併用してください。

4.良い仲間を見つけてください。

仕事に真摯に取り組む仲間、向上心のある仲間を見つけて親交
を深めましょう。類は友を呼びます。自分の仲間の属性は、そ
のまま自分自身の姿です。「明るく・朗らかで、前向きで、向
上心の強い勉強好きな」仲間たちと、お互いの成長を確かめ合
いながら生きていきましょう。

人は公平ではありません。これは紛れもない事実です。何故な
ら、過去(の努力)が違うからです。このことを肝に銘じてく
ださい。二十年後に後悔しないために、自分自身ができるだけ
主導権を握れる人生を送るために、長期目線でしっかり力を付
けましょう。(※新入社員に伝えてあげてください。)

◎参考データ:
(株)リクルートマネージメントソリューションズ(2014年データ)

自主的な学習に費やす時間は1週間にどれぐらいですか?

○新人
平均4.96時間(43分/1日)、1時間29.3%、8時間以上17.9%
○若手
平均3.32時間(29分/1日)、1時間37.5%、8時間以上9.5%
○中堅
平均3.94時間(34分/1日)、1時間35.9%、8時間以上11.5%

一週間に1時間と回答した人の未来は統計的に知れています。
自らの意思で負け組に向かって歩んでいます。8時間以上の人
には高い確率で勝てません。貴方は、1週間に何時間勉強しま
すか?決意を持って社会人のスタートを切ってください。

…次回号につづく

2022年12月に中小企業庁が策定した「収益力改善支援に
関する実務指針」をご存知でしょうか。中小企業の収益力向上
は、経済活動の活性化や地域の発展に直結する重要な課題です。
この指針はその課題に対処するための具体的な手法やアプロー
チについてまとめられています。

※収益力改善支援に関する実務指針
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shuuekiryokukaizen/shishin.pdf

以下は、中小企業庁HPから抜粋した指針の概要です。

■実務指針の狙いと運用方針

・中小企業を取り巻く環境が激変する中、本源的な収益力の改
善に向けた取組や、思い切った事業展開を行うためのガバナン
ス体制の整備が必要。

・収益力改善やガバナンス体制整備の際に、経営者と支援者の
対話に活用し、互いの目線合わせや信頼関係の構築につなげる
ことを目的としている。

・経営改善計画策定支援事業(405事業・ポスコロ事業)に
ついては、認定経営革新等支援機関が本実務指針に沿った支援
を行うことを求める。

■収益力改善支援の実務と着眼点

1.支援ニーズの掘り起こし:
経営者向けと支援者向けの経営状況チェックリストを活用し、
経営者と支援者が互いの視点から、収益力改善のニーズを早期
に把握します。

2.支援者による相談対応:
対話と傾聴を基本姿勢に、ローカルベンチマークや経営デザイ
ンシートなどを活用しながら、経営者が納得できる取り組みを
共に模索します。
経営課題の多様化や高度化に対応するため、よろず支援拠点な
ども活用しつつ、幅広い支援者と早い段階で連携します。

3.計画策定支援:
1)現状分析:ローカルベンチマークなどを活用して、財務、
商流、業務フロー、内外の経営環境などを分析します。
2)経営課題の明確化:現状分析を踏まえて、課題を明確化し、
経営者の理想の姿を実現するための動機付けを行います。
3)課題解決策の検討:効率的で実行可能な解決策を検討しま
す。
4)アクションプランの策定:具体的な行動計画を策定します。
5)数値計画の策定:アクションプランの効果を踏まえて、数
値化した見通しを立てます。
6)資金繰りの検討:資金収支の予測と過不足への対策を検討
します。
7)金融支援内容の検討:金融機関と情報共有を行いながら、
金融支援の必要性や返済計画などを理解し、検討します。

■伴走支援の実務と着眼点

1.進捗確認:
数値計画と実績の差異を多角的に確認(財務指標を活用しつつ、
背景や要因等を含めて確認)

2.取組状況の確認:
アクションプラン等の取組状況を確認(内部統制や人員体制等、
数値以外の変化にも着目)

3.対応策の検討と事業者へのアドバイス:
計画の進捗状況の原因を分析し対応策を検討(経営者が、計画
に固執せず柔軟に取り組めるよう後押し)

4.報告支援:
計画進捗状況等を整理し、金融機関等のステークホルダーと報
告(共有)

5.計画の見直しとPDCAサイクルの構築:
取組を一過性のものとせず、課題設定→計画策定→実行→
検証・見直しのPDCAサイクルの構築を支援

この指針は中小企業の経営者や経営支援機関が具体的なアクシ
ョンを起こす際の参考となるだけでなく、政府や地方自治体が
中小企業を支援するための政策や施策の策定にも活用されます。
これにより、中小企業が収益力を向上させるための支援が強化
され、地域経済や産業の発展に貢献することが期待されていま
す。