「税金とどう向き合っていくか。」というのは、財務の大きな
テーマのひとつです。納税が資金繰りを圧迫することもありま
すし、税金に対する過度な意識が、会社の成長を妨げる要因に
なることもあります。税金に対して、どのように対処するのが
正解でしょうか。

大多数の方は、支払う税金は少ない方が嬉しいでしょう。しか
し、支払う税金が少ない代わりに、銀行からの借入ができなく
なっては困るはずです。税金が少ないということは、利益が少
ないということですので、銀行の評価は低くなります。「税金
を減らすこと」と「借入可能額を増やすこと」は二者択一です。
どちらに比重を置いて経営をするのか、自社の状況に合わせて
方針を決める必要があります。

また、「税金を払わないこと」が目的になってしまうと、最も
重要なキャッシュフローがおろそかになることがあります。税
金を減らす手法として、保険や設備投資等、さまざまな方法が
ありますが、大半が素直に税金を払うよりも多くの資金を必要
とします。財務の第一原則はキャッシュを切らさないことです
ので、節税が資金繰りを圧迫しないよう細心の注意が必要です。

消費税は、お客様から事前に預かっている税金です。法人税等
は利益の35%程度です。普通に考えると払えないはずはあり
ません。しかし、税金を楽に払えるという企業様は殆どいらっ
しゃらないのではないでしょうか。中には、資金をかき集めて
納税をされる企業様も少なくありません。

納税が重たく感じられるのは、現金化されていない利益にも税
金がかかっていたり、預り金や利益が、設備投資や借入の返済
に充てられたりしているためです。従って、売上金の回収より
も支払が先行する企業様や、在庫をたくさん持たなくてはなら
ない企業様は、税金の支払いが苦しくなるのは当然です。

しかし、納税が苦しいからといって利益(税金)を減らそうと
考えるのは大変危険です。利益を減らせば借入も出来なくなる
ため、成長資金の獲得ができず、いつまでたっても零細企業か
ら脱却できなくなります。納税が苦しいときの正しい対処法は
ファイナンスです。利益が現金化されるまでの資金、設備投資
が利益を生むようになるまでの資金は、しっかりと借入で対応
しておけば、決算の時に慌てることはないはずです。

指針のまとめです。もし貴社が、安定した売上高と利益を毎期
獲得できるぐらい成熟していて、また、今後借入を活用して事
業を伸ばす予定もない場合は、内部留保が優先ですので、キャ
ッシュフローに影響がない範囲で節税を行いましょう。もし貴
社が成長の途上にあり、今後も借入は不可欠であるという場合
は、成長資金の獲得が優先ですので、思い切って利益を出すよ
うにしましょう。但し、納税で資金ショートを起こさないよう、
常日頃から資金調達はしっかりと行ってください。

前回のつづきです。

「事業の内容や成長可能性等を適正に評価(事業性評価)して
…」、様々な人が行う様々な事業の、その事業内容や成長可能
性を正しく評価できる方法は存在するのでしょうか?
答えは、NOではないがYESとも言い難い、と言ったところ
でしょうか。この前提で話を進めます。

前回とは少し違う視点で整理します。

1.過去から現在までがうまく行っておれば、さらに、そのう
まく行くレベルが向上しておれば、概ね当面はうまく行きそう
と推定できるため、事業性評価は○になるはずです。
具体的には、過去の決算書を数期並べて、右肩上がり(又は横
ばい)の増収・増益(又は安定収益)、直近の資産状況(BS)
に不備がなく、さらに、この成長曲線(横這い)の延長線上の
事業計画を持っておれば事業性評価は○でしょう。

2.事業体としての過去が無い新設事業者の評価(創業融資)
時には、経営者の経歴と自己資金を勘案します。これは、事業
体の過去を経営者の経歴に、足元のBSを自己資金に置き換え
た考え方です。さらに、創業事業計画の妥当性は、その計画の
蓋然性が適用されます。これぐらいの売上は立ちそう、経費は
これぐらいあれば足りそう、このような一般常識をあてはめて
判断します。
経歴と自己資金、計画の蓋然性が整えば、創業者の事業性評価
は○になるはずです。
※自己資金要件については、政策的に審査が緩くなる趨勢です。

3.事業の将来性を評価する時は、その事業の事業立地が勘案
されます。これは1.を前提にした上での、加点又は減点の要
素です。
例えば、インバウンド、IoTやシェアリングエコノミ-は、
事業立地として加点要素でしょうが、どこにでもある○○屋さ
んでは加点されません。逆に、不況業種は減点でしょう。何屋
さんをやるか、事業立地も事業性評価には重要な要素です。
事業立地は、1.の条件が整った上での要素ですが、1.の悪
さを覆せる事業立地の優位性があればこの限りではありません。
ただし、この判断は極めて難解です。

4.知的所有権の有無も事業性評価のひとつになるはずですが、
3.と同じく、1.の条件を補完する要素と考えた方が良さそ
うです。もちろん、1.の悪さを覆せるぐらいの知的所有権で
あれば別ですが。

事業性評価(融資)、この発想は決して目新しいものではあり
ません。金融機関は従前より、金融庁の検査マニュアルの有無、
内容に関わらず、事業性評価を行ってきました。金融機関が求
める取引先は、あくまでも返済してくれる会社・安定した会社・
伸びる会社であるため、事業性評価は必要でした。

◆金融検査マニュアルが整備される前は…
1.を軸に、3.や4.その他あらゆる要素を加点・減点要因
に組み込んで、金融機関独自の融資判断基準を有していました。
結果、時に大胆な企業支援が実施され、後のBIGカンパニー
を創出してきました。

◆金融検査マニュアルが整備された後は…
1.を判断基準にしなさいとする厳しいルールが課されたため、
3.や4.の要素を融資判断に組み込むことが難しくなったた
めに、画一的な融資審査が行われるようになりました。この背
景には、バブルの崩壊で傷ついた金融機関自身のBSを是正す
る狙いがあったためです。また、この期間に金融機関は3.4.
その他の判断力=目利き力を無くしてしまったようです。

◆今後は…
金融検査マニュアルが整備される前に戻るはずです。1.を軸
に、3.や4.その他あらゆる要素を加点・減点要因に組み込
んで、金融機関独自の融資判断基準が構築されることでしょう。
ただし、
◎あくまでも1.が判断基準の肝であることに変わりはありま
せん。
◎3.や4.その他は、企業側が、積極的に情報発信していか
ないと、金融機関には気付いてもらえません。

事業性評価融資の導入で、金融機関の融資は変化するはずです。
ただし、その変化は突拍子もないものではありません。事業体
として至極当然のことを突き詰めていくことこそが、金融機関
が行う事業性評価融資の基準に適合することになります。ただ
し、今まで以上に金融機関にわかってもらう努力、とりわけて
情報提供を継続的に行うことが重要になってきます。このこと
は、肝に銘じてください。
※金融機関はモニタリング機能を充実させるはずです。

資金調達の手段は、デットファイナンスとエクイティファイナ
ンスに大別できます。デットファイナンスとは「借入」のこと
であり、エクイティファイナンスとは「増資」のことです。中
小企業の殆どは、デットファイナンスによる調達が主体ではあ
りますが、エクイティファイナンスの仕組みを知ることで、調
達の幅が広がる可能性があります。

エクイティファイナンスは、会社が新しい株式を発行し、株式
を投資家に買ってもらうことで資金を調達する仕組みです。借
入ではなく増資ですので返済の必要はありません。そのかわり、
投資家には株式の持ち分に応じた権利が発生します。

エクイティファイナンスは、株式を買ってもらえる投資家が居
てはじめて成立します。無償の支援を仰げる親族や友人は別で
すが、投資家は何らかの目的があって投資を行いますので、投
資家のニーズを的確に満たすことが、エクイティファイナンス
の成功の鍵となります。

投資家の代表として、ベンチャーキャピタル、投資ファンド、
エンジェルなどが挙げられますが、これらの投資家の目的は
「利益」です。取得した株式を将来第三者に高値で売却するこ
とが主たる目的ですので、会社が上場して株式が市場で売却で
きるようになること、もしくは、M&Aで会社を他の会社に売
却することが大前提です。よって、上場やバイアウトの計画が
ない場合は、この手の投資家を呼び込むことはできません。

上場やバイアウトを考えていない企業でも、企業同士の関係強
化を目的としたエクイティファイナンスは可能性があります。
例えば、貴社が強い販売力を持っているとして、その販売力を
魅力に感じるメーカーがあれば、貴社に投資をする動機になり
ます。中小企業のエクイティファイナンスは業務資本提携が現
実的です。

ただ、エクイティファイナンスにはデメリットもあります。業
績が思うように進捗しない場合等は、株主との関係が悪化し、
自分の思い通りに経営ができなくなってしまうことがあります。
このような時でも最悪の事態に陥らないよう、エクイティファ
イナンスは持ち分のコントロール(資本政策)が重要です。

平成27年度金融行政方針(15年9月)では、事業性評価につい
て、「…担保・保証に依存する融資姿勢を改め、取引先企業の
事業の内容や成長可能性等を適正に評価(事業性評価)し、融
資や本業支援等を通じて、地域産業・企業の生産性向上や円滑
な新陳代謝の促進を図り、地方創生に貢献していくことが期待
される。…」と解説されています。

金融行政の転換期です。少しずつ、中小企業金融の現場にも動
きが出てきました。事業性評価融資の導入で変わること、変わ
らないことを整理いたします。

■以下の1と2は、今後とも変わりません。

1.金融機関が保有する傘はすべて「日傘」です。
変わりません。

良い会社(返済してくれる会社)に対して融資を行おうとする
基本姿勢は変わりません。経営が、現状もうまく行っていない
会社、将来もうまく行きそうでない会社に対する融資は実行さ
れません。金融機関が有する傘は「雨傘」ではなく「日傘」※
である点は変わりません。
※一部の制度融資・制度保証は除きます。

2.資本の充足状況(BS)と生み出すキャッシュフロー(PL)
の金額、この二つの判断基準は、今後とも融資審査の礎です。

現行の評価方法は存続します。資本が充足していること、生み
出すキャッシュフローが多いこと、これらの(現時点における)
良い会社の条件は変わりようがありません。この二つは、これ
からも財務上の良し悪しの判断基準であるはずです。ただし、
少額の資本正と資本負(債務超過)の差異で大きく結果が変わ
ることはなくなるかもしれません。また、債務償還年数10年未
満が正常先、このような画一的な判断も減るはずです。

上記の1と2は、融資可否判断の原理・原則です。これからも
不変です。

■以下の3は、少しずつ変わってきました。

3.担保・保証依存からの脱却が徐々に進みます。

担保と保証に依存する融資姿勢は徐々に改められるはずです。
逆に、優良な担保や保証が有っても、事業の評価が悪ければ融
資を受けられないことになります。この傾向は現時点でも顕在
化してきました。

■以下4の変化が、事業性評価融資の浸透で起きてくるはずで
す。今までの基準+4とご理解ください。

4.事業の将来性を見極めるための評価、事業性評価が導入さ
れます。

「現状の財務状況は良くないが、将来を見越して融資を実行す
る」または、「現状の財務状況の程度を越えて、将来を見越し
て多額の融資を実行する」、この将来を見越しての部分が事業
性評価です。
経営の現時点における結果を財務(資本の充足状況とキャッシ
ュフロー)から判断して、良ければ融資可、悪ければ融資不可
とする現行フローの変更が金融機関に求められます。現行フロ
ーに付加して、将来良くなる見込み、良くならない見込み、こ
の判断を行う基準の構築が必要になります。
当該企業体の経営が将来どうなるか?これを見込むのは、現時
点の財務を分析して判断するのとは比べ物にならないぐらい難
解です。ただ、この新しいソリューションを開発・構築するこ
とを、地域金融機関は求められています。構築できなければ淘
汰されるはずです。

■地域金融機関が事業性評価を導入する方向性は、どの金融機
関も概ね同じです。

(1)過去から現在までの流れ、将来の計画を踏まえて判断す
ることになります。
○現時点の財務の良し悪しではなく、将来の経営全般を予測す
るために、過去から現在までの流れの把握・分析が必要になり
ます。事業性評価結果の進捗確認や見直しのための継続的なモ
ニタリングがますます重要になります。

(2)財務以外の企業情報を収集して判断することになります。
○会社の将来展望・ビジョン
○経営者の情報、経歴や強み、人となり、後継者の有無
○市場における優位性や競合状況
○商品・サービスの特徴
○会社の課題と強み・弱み
等々、財務以外の情報の収集・分析が必要です。
金融機関は、これらを総合的に勘案して事業性評価を行います。
今までよりも、より深く対象企業を理解する必要性が生まれま
す。

(1)(2)を突き詰めて行く過程において、独自の事業性評
価を開発することを地域金融機関は期待されています。この独
自の事業性評価が、そのまま金融機関の個性となって、より広
範な企業支援を行える金融業界が近い将来生まれることでしょ
う。一方、この過程で、多くの地域金融機関の淘汰・統合も進
むようです。

■まとめ…

現時点の財務状況及び担保・保証の有無で融資の可否を判断し、
その可となる企業に集中して融資を行った結果、金融機関同士
の(金利)過当競争が生じています。今後は、現時点の財務状
況や担保・保証の有無のみに依存せず、それに付加して新たな
融資基準(事業性評価)が構築されるはずです。容易ではあり
ませんが、この取り組みは、融資規模を拡大する動きであるこ
とに間違えありません。歓迎すべき動きです。
一方、情報をより正確に提供できる企業が、事業性評価の対象
になりやすくなるはずです。情報提供力・説明力が資金調達力
とより相関するようになります。融資を受ける側の力量も問わ
れます。

政府の中小企業金融政策で最も重要な役割を果たしているのが
信用保証協会です。信用保証制度は時代の流れとともに、その
役割を少しずつ変化させてきました。近い将来、信用保証制度
がどのように変化するのか、2016年12月に有識者会議でまとめ
られた報告書から読み取ります。

信用保証制度とは、中小企業が金融機関から融資を受けやすく
するため、金融機関に対して信用保証協会が債務を保証する制
度です。金融機関にとっては、いざという時には国が返済して
くれるため、企業の信用力が低くても、安心して融資をするこ
とができます。

しかし、金融機関にリスクが全くないため、信用保証付き融資
のみの企業に対して、支援姿勢が弱くなるという傾向が見られ
ました。よって、平成19年から、保証割合を100%から80%に
改正し、金融機関も20%のリスクを取るよう変更されています。

以降、この保証割合を80%からさらに減らしていくことが大き
な論点となってきましたが、2016年12月にまとめられた報告書
で最終的な概要が見えてきました。

■ リスク分担について
保証割合は現行のまま、80%が保証協会、20%が金融機関とい
う結論です。理由は、保証割合を変更するのではなく、企業の
借入全体に占める金融機関のプロパー融資の割合で、実質的な
リスク分担を行う方が有効だという判断です。

他にも、企業のライフステージ各局面における施策についてま
とめられました。

1.創業期の施策
過去の実績など、事業リスクを判断する材料がないため、金融
機関は創業企業に融資をしにくいという課題があります。一方
で、創業期は、事業を軌道に乗せるまでに相当程度の資金を必
要とするため、創業者向け保証制度の限度額が、1,000万円から
2,000万円に拡充される見込みです。

2.拡大期の施策
事業を拡大するための設備資金や増加運転資金が必要となる局
面です。先行投資により収益が一旦悪化しますが、中小企業か
ら中堅企業に成長発展する過程においては、一定程度のプロパ
ー融資を確保し、保証への依存度を下げることが望ましいとさ
れました。保証協会からの卒業をうながしています。

3.持続的発展期の施策
中小企業の中でも、とりわけ小規模事業者の場合は、信用力が
低くプロパー融資が十分に行われない恐れがあります。よって
小規模事業者向け保証制度の限度額が1,250万円から2,000万円
に拡充される見込みです。

4.再生期等
限度額まで借入を行っているにもかかわらず、経営上の課題が
残されている場合も多く、新規資金の調達が困難な状況です。
プロパー融資の維持など、金融機関の支援姿勢が確保できてい
る前提で一定の支援がなされます。また、円滑な撤退を可能と
するための保証メニューの充実なども検討されるようです。

5.危機時の対応
自然災害、不況業種等の支援策として、保証割合が100%のセ
ーフティネット保証がありますが、不況業種への保証について
は、100%保証が活用し続けられると、企業の経営改善が進ま
ないこととなりかねないため、不況業種へのセーフティネット
保証制度は、保証割合が100%から80%に改正される見込みで
す。

今回の改正により見えてきた方針は、創業期は政府主導による
支援、そこから成長発展していく企業は民間金融機関がプロパ
ー融資で支援、そのまま小規模事業に留まる企業は引き続き政
府主導による支援、再生段階にある企業は金融機関主導で選別
を強化する流れと感じます。創業を歓迎し、不況業種への支援
体制は薄く、再生期の企業が撤退しやすい環境を整え、新陳代
謝を促す動きが加速しそうです。

資金繰りに苦労する、経営者として一番つらい局面です。また、
お金の苦労は、全く付加価値を生まない無駄な苦労です。でき
るなら、一生涯資金繰りに困らないように経営してください。

■経営安全度が2倍になる5つの行動指針!
※以下は、財務基盤が安定していない創業~中小零細企業向け
の指針です。

1.事業資金については、適時適量発想を捨ててください。
適時適量発想は間違えです。

○『適時適量』×ではなく、『(資金)在庫過多』○で臨んで
ください。
○金融機関が有する傘はすべて『日傘』○です。『雨傘』×は、
一本もありません。
○『資金は、借りられるときに借りられるだけ借りておきまし
ょう。』『借りたいときに必ず借りられる』保障はありません。

2.損益計算書・貸借対照表の前に、近未来の資金繰り表を確
認してください。

○『近未来の資金繰り表』をまず確認してください。
○損益計算書・貸借対照表は読めなくても、近未来の資金繰り
表は読んでください。簡単です。
○最低でも向こう6か月間の資金繰りは常に把握してください。

3.近未来の資金繰り表を金融機関対応に活用してください。

○『早めに借りる、または、早めに返済を止める。』、心がけ
てください。
○金融機関対応のタイミングが総じて遅れがちです。数か月早
めに手を打ってください。雲泥の差です。

4.近未来の資金繰り表を経営判断に活用してください。

○『投資や費用の増加が近未来の資金繰りに与える影響』を資
金繰り表で確認してください。
○『経営判断が資金繰りに与える影響』を、事前に想定してく
ださい。予見できます。
○計画は資金繰りを確認して最終判断してください。判断の礎
を資金繰りにおいてください。

5.中小企業も財務機能(金融機関対応機能も含む)を持って
ください。

○創業間もない会社にも、財務の機能は必要です。
○自前の調達が無理なら、『新・税理士』である当事務所にご
依頼ください。

上記の1.~4.に対して、最高のスキルを持って対応します。

※当事務所の『新・税理士』(=税務+財務・金融機関対応機
能を有する)が貴社の財務部長を代行して、資金繰り表の番人、
金融機関対応時の積極的説明補助機能を勤めます。
税務顧問と併せて行うことで極めてリーズナブルに対応できま
す。

■多くの財務指数に惑わされないでください。

経営状態を把握するための財務指標はたくさんあります。すべ
て先人が見つけ出した意味のある指標です。ただ、それらをす
べて理解して経営に生かすことは容易ではありません。

■近未来の資金繰り表に、財務戦略を集中させましょう。

繰り返しますが…
○向こう6か月先~1年先までの資金繰り表を作成しましょう。
○この資金繰り表の更新と精度アップに励みましょう。
○この資金繰り表を金融機関対応と経営判断の基礎資料・礎と
しましょう。

■お金の心配をしない経営を本気で目指すためには…

資金繰りに困る理由の50%は財務無策です。また、創業~中
小零細企業の80%は財務無策です。お金の心配をしない経営
を本気で目指すためには、『近未来の資金繰り表』を礎に、す
べてを近未来の資金繰りの良し悪しで判断する…この資金繰り
経営を行っていきましょう。そして、経営の安全度の向上を図
りましょう。

創業当初からお付き合いさせていただいているA社の事例です。
5期目の決算が終わったところですが、売上高が約7億円と順
調に成長しています。

A社の特徴的な点は、外部からの借入が無く、代表者個人から
の借入金1億円にて資金を繰り回している点です。創業時に創
業融資をおすすめしましたが、「自己資金で対応するので借入
れはしない。」という経営方針であったため、これまでは税務
顧問のみのお付き合いでした。

毎期順調に売上高を伸ばしてきましたが、それと同時に役員借
入金の額も増加し続けました。役員借入金がついに1億円を超
えた時点で、社長より、次の主旨のお電話を頂戴しました。

・いよいよ自己資金も尽きてきたので借入れを考えたい。
・金額は、今後事業をさらに伸ばすための資金で1億円、個人
で貸している分を返してもらうために1億円、あわせて2億
円を調達したい。
・預金取引をしている近くの信用金庫に融資を依頼したが、短
期で1,000万円しか融資ができないと言われた。
・税務だけでなく資金調達を含めた財務面を手伝って欲しい。

どこの金融機関も新規取引は慎重になります。A社は金融機関
と融資取引をすること自体初めてですので尚更です。すぐに2
億円を調達するのは簡単ではないと考え、まずは、今期中に1
億円、次の決算後に1億円を調達する計画を立てました。

まず、今後の業績見込みと、それに伴う1億円の資金計画を作
成し、I地銀に保証協会とプロパー融資の打診をしました。I
地銀は保証協会から無担保枠一杯の8,000万円の事前承認
を取り付けてくださいましたが、「プロパー融資は来期の決算
後に・・・」という回答でした。保証協会の8,000万円だ
けで終わりとなっては困るため、I地銀には、5,000万円
だけ保証付融資を申し込み、3,000万円の枠を残すことに
しました。

次にBメガバンクに保証協会とプロパーの打診をしました。保
証協会で3,000万円の承認がおりている旨をご説明して、
プロパー融資の積み上げを依頼したところ、保証協会3,000
万円とプロパー融資2,000万円で提案をいただきました。

2行で目標額1億円の調達は完了しましたが、日本政策金融公
庫の無担保枠2,000万円も利用できると考え打診しました。
1億円の調達は完了したが、本来は2億円の調達をしたい旨を
説明したところ、「通常は2,000万円が無担保枠の上限だ
が、制度融資によって4,800万円まで利用できるものがあ
る。そちらを利用して4,000万円でどうか。」という提案
をいただきました。

続いて商工中金、中小企業事業にも打診を考えており、順調に
いけば、今期中で2億円の調達が見えてきました。

このように、A社は、1億円以上を調達できる実力を有してい
ました。それにも関わらず、当初、社長様が信用金庫に行った
時には、なぜ1,000万円の短期融資しかできないと言われ
たのでしょうか。答えは単なる説明不足だと考えます。

A社は、売上高は順調に推移してきたものの、利益が出始めた
のは2期前からであり、表面は債務超過です。実質自己資本と
見做せる代表者からの借入金が1億円ありますが、30代で1
億円の個人資産を持っているのは逆に不審に思われることもあ
ります。

弊所は、社長の略歴、企業の沿革、資金繰りの状況と計画、利
益の状況と計画を整理して、金融機関に説明しただけです。決
して金融機関と特別なパイプがある訳ではありません。説明の
仕方ひとつで結果が大きく変わった事例です。

中小企業経営者は、百%経営者業務のみを行っているわけでは
ありません。執行部分、大企業流にいうなら執行役員部分や部
長、場合によっては担当者の仕事も担っています。経営者業務
と執行業務を分けて考えておかないと、どうしても執行業務に
追われます。結果として、経営者不在の経営が続くことになり
ます。
※世の中の大半の中小企業経営者は、百%執行業務を行ってお
り、経営者不在の状況が続いています。目先の業績は作れても、
中長期の経営指針を創造できていません。創業時、事業継承時
と同じ事業モデルを営々と継続しています。これが実情ではな
いでしょうか?

■優秀な店舗デザイナーA氏は、数名を連れて起業しました。

A氏は優秀なデザイナーです。デザインのクオリティーは抜群
です。デザインを24時間考え続けながら、素晴らしいアウトプ
ットを創出しています。クライアントからも高い評価を得てい
ます。執行者として評価するなら満点かもしれません。
一方、会社の経営は順調ではありません。仕事を安定的に受注
する仕組みがないからです。
A氏はいつも、デザインに関する読書に耽っていますが、経営
に関する勉強には興味を持ちません。
A氏はデザインが大好きで、24時間365日そのことのみを
考えています。

この会社は経営者不在の状況が続いています。A氏は、自分の
好きなデザインに対する執着は強いものの、経営を考えること
が嫌い、苦手なようです。会社としての成長は難しいでしょう。
本来A氏は、デザイナーとしての執行業務と、社長としての経
営者業務を同時に担わねばなりません。今のA氏は、後者の業
務を行っていません。経営が上手くいくはずありません。

逆に、創業者や小規模企業経営者の場合、自分自身が執行者と
しての役割を果たさず、もっぱら経営のみに専念することも、
物理的に不可能です。最も優秀な執行者、社員としての業務を
担うことも必要です。

■経営管理に長けたB氏は、数名を連れて起業しました。

B氏は上場企業の取締役まで経験した敏腕ビジネスマンです。
経営管理は大の得意分野です。机上での計画書作りやマネージ
メントは得意ですが、現場で業務を執行するつもりはないよう
です。大きな資本で、人材を確保して始める起業ならこれで良
いのですが、小資本・少人数での起業には向かないタイプです。
創業者や小規模企業経営者の場合、自らが最も優秀な開発マン
・営業マンでなければなりません。この機能を他人に頼るのは、
その資金力に無理があります。
経営者としての仕事だけでなく、執行者としての仕事の比率を
高くとる必要があります。

小さな会社と大きな会社では、その仕組みが異なります。小規
模創業から企業規模を拡大できた経営者は、その経営者として
の仕事と、執行者としての仕事の割合を上手にコントロールで
きてきたようです。

■経営者業務と執行業務の業務比率のイメージ…

◆創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=2:8
◆50人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=6:4
◆300人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=9:1
◆1,000人超の人員の時の比率、経営者業務:執行業務=10:0

創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=0:10の経営者
がいます。A氏です。食ってはいけるかもしれませんが、会社
の成長は望めません。
※多くの中小零細企業はA氏と同じ状況です。経営者業務とは
何か?この機会に考えてください。

創業時の業務比率、経営者業務:執行業務=10:0の経営者
がいます。B氏です。そもそも会社が立ち上がらないはずです。
(大資本での創業は除く。)

経営者は、会社の置かれている状況やステージによって、その
業務分配比率をバランスよく調整していかねばなりません。こ
のバランス感覚も、経営者にとって必要な資質の一つです。

貴方の会社のステージはどこですか?
貴方の業務分配比率は適切ですか?
自問自答してください。

創業してから1年経たずに自己破産を申請したAさんのお話を
聞く機会がありました。金融機関から融資を受けて創業したが、
思うように売上が伸びず、借入の返済が厳しくなったことが、
自己破産に至った要因だそうです。

通帳の残高が日々減少していく恐怖は、実際に味わった経験の
ある方にしか分からないでしょう。Aさんも、不安で誰かに相
談しなくてはという気持ちだったと言います。

Aさんは弁護士さんに相談しました。借入の返済が厳しくなっ
たことに強い不安を感じていたため、弁護士さんを頼って相談
した結果、自己破産が最善とすすめられたそうです。

お客様もつき始めていたため、もう少し事業を継続したいとい
う気持ちもあったようですが、弁護士さんは弁護士の立場で解
決策を提示しますので、このような状況で弁護士さんに相談す
れば、自己破産をすすめられるのは当然です。

もし、弁護士さんの代わりに、何度も苦しい状況を乗り越えて
きた先輩経営者に相談していたらどうだったでしょう。「創業
時に予想通りに売上が上がらないことなんて普通だよ。」とい
って励ましてくれたかもしれません。もしくは、具体的な経営
のアドバイスや資金の援助をしてくれたかもしれません。

相談相手を選ぶときは、相手が相談内容に精通しているかどう
かはもちろん、相手がどのような立場に立っているかを見極め
なくてはなりません。法律の相談を税理士さんにしていたり、
経営の相談を弁護士さんにしていたり、相談する相手を間違っ
ているケースをよくお見かけします。

ただ、金融機関対応について相談できる専門家は多くありませ
ん。経営者、税理士さん、コンサルタント等が部分的に金融機
関対応の知識や経験を持ち合わせていることはありますが、体
系的網羅的、かつ実務レベルで金融機関の考え方やトレンドを
把握している方は少ないです。

「知る」ことで多くの事を解決できます。故に、賢明な社長は
日々勉強に励みます。

■消防士は火に対する知見を有しています。

故に、大丈夫、危険だ…これらを正しく判断できます。危険な
火災現場に遭遇しても、最小限のリスクで最大限の対応ができ
るのはこのためです。仮に、無知な消防士(?)が消火活動を
行ったとすると、過度に恐れて適切な消化活動ができない、ま
たは、蛮勇で無茶なそれを行うことになるはずです。いずれも
正しい消火活動とは程遠い結果になります。
消防士は、日々欠かさず、火に対する勉強と訓練を積んでくれ
ています。

■社長も経営を「知る」ことが重要です。

経営には不安がつきまといます。具体的な不安、漠然とした不
安…無限の不安が心に降り注いできます。ある種の必然で仕方
ありませんが、これらの不安を軽くする方法はあります。

◆人は、わからないことに多くの不安を感じるようです。
・「知る」ことで多くの不安が解消されます。
・「知る」ためには勉強が必要です。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◆「知る」ことで、程度加減がわかります。
・「知る」ことで、ここまでは大丈夫、これ以上はダメ、この
境界が見えます。
・「知る」ことで、経営判断の精度が向上します。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◆「知る」ことで、「自分の知らないこと」を認識できます。
・知らないことを認識すること(=「無知の知」)は重要です。
・「知る」ことに重点的に取り組むことができます。
・「自分の知らないこと」には取り組まない、または、他人の
知恵を借りる癖が付きます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■過度の心配は払しょくしましょう。チャンスを逃してしまい
ます。逆に、蛮勇もご法度です。会社をつぶしてしまいます。

「無知」な社長は二つのパターンに分かれます。

◆1.過度に恐れて攻めることができない社長。
リスクを過大評価して、一歩も前に進めません。前に向かって
アクセルを踏めない原因の一つは「知らない・わからない」か
らではないでしょうか?

◆2.蛮勇を背景に突っ走る社長。
リスクや実力を省みることなく、とにかくアクセルを踏み続け
ます。過度に邁進できる理由の一つは「知らない・わからない」
からではないでしょうか?
いずれも正しい経営とは程遠い結果になります。

■「知る」ことは大変大きな収穫をもたらします。

社長が経営の勉強をすることには大変大きな意味を持ちます。
その経営成績、収穫に直結します。ただ、社長が勉強すべきテ
ーマは極めて広範囲で、何からどのようにすればよいかわから
ない、とおっしゃる方も少なくありません。まさにその通りで
すが、これにもヒントはあります。
不安なことから勉強してください。不安を解消しましょう。

■何が不安なのでしょうか?人・モノ・金…?

人の問題は、人的投資を続ければ改善します。
モノの問題も、開発投資を続ければ改善します。
経営上の問題は、結局お金の問題に終結します。
少し乱暴な論理を展開するならば、(中小零細企業)経営の問
題はほぼすべてお金の問題に置き換えることができます。結局
お金の心配が一番大きな最初の問題ではないでしょうか?

まずはお金の不安を完全に払しょくしませんか?
お金の不安を払しょくするためには「お金について知る」こと
です。「財務とは何?」多分このあたりから始める必要があり
そうです。

・「無知」は大きな損失を招きます。損をします。
・「無知」は不安の大きな原因の一つです。病みます。
「知る」ことで多くの事を解決できます。故に、賢明な社長は
日々勉強に励みます。