売上高・粗利益率・固定費の三つは極めて重要な経営指標です。
資金繰りを円滑に回しながら、この三つの指標をコントロール
することで、利益の最大化を図ることこそが経営管理の鉄則で
す。経営者にはこれらのバランスを計る芸術的なセンスが求め
られます。

売上高・粗利益率・固定費の相関関係について検証してみまし
ょう。

■売上高が伸びると固定費は上昇する傾向にあります。

売上高を伸ばすためには、人件費や広告費等諸々の経費を要し
ます。固定費も上昇します。ただ、売上高の伸び高に対して、
固定費の伸び高を抑えることができれば、その分だけ利益が増
えます。売上高が伸びる時に、固定費の伸びをいかにして抑え
るか?これが経営の要諦です。

■売上高が急激に減少する局面においては、固定費の大幅な削
減が必要です。

営業不振で売上高が激減する局面でも、固定費の削減を思い切
ってできない経営者は少なくありません。固定費は文字通り固
定費です。意図しないと削減できません。
この決断の遅れが致命傷になることを肝に銘じてください。売
上高激減なら即刻固定費の削減を行う、これが会社を守る要諦
です。

■売上高を伸ばそうとするがために、粗利益率を落としてしま
うケースは少なくありません。

安売りや無理な仕入れ・生産のための原価アップが原因です。
売上高を伸ばしても、粗利益率を落としては意味がありません。
売上高を伸ばす時の前提条件は、粗利益率を落とさないことで
す。最低でも、粗利益額を落とさないように管理してください。
売上高を伸ばす時に、粗利益率をいかにして落とさないか?こ
れも経営の要諦です。

■固定費は簡単に増加します。

固定費の決裁権者は自社・自分です。人を雇い入れる、広告費
を使う、事務所を拡張する、すべて自分で決めることができま
す。ゆえに、売上高の増加を前提に固定費の増加を計画した時、
結果として、売上高は伸びていないのに、固定費だけが増加し
てしまう状況になりがちです。固定費の増加を伴う経営判断は、
売上高の増加基調等を見極めて、少し遅らせながら行うことが
経営の要諦です。

■粗利益率の低下を簡単に容認しないでください。

粗利益額=売上高×粗利益率、この算式を担保にして、粗利益
率が下がっても、売上高が大きく伸びれば、粗利益額も増加す
るので問題ない、とする経営判断に遭遇します。
この考え方は、原則取らないようにしましょう。これは、安売
りを容認するためにはじき出した危険な方程式です。粗利益率
は、何が有っても守りきる、これも経営の要諦です。

■経営計画(進捗管理計画)は、

1.売上高をどうするのか?どの程度伸ばす、維持する、場合
によってはどの程度落ちることを容認する。
2.粗利益率をどうするのか?どの程度上げる、維持する、場
合によってはどこまで落ちることを容認する。
3.固定費をどうするのか?どの程度の上昇を容認するのか?
維持する、削減する。

この三つの組み合わせで決まります。

売上高の伸びと粗利益率の向上は利益への貢献要因、一方、固
定費の上昇は利益に対するマイナス要因、このバランスをとる
ことで、良い会社に向かって成長できます。逆に、このバラン
スが崩れると、会社は破たんに向かいます。

経営者は、売上高・粗利益率・固定費、どれにどのくらい影響
を与えるのかを常に念頭に置きながら、一つ一つ決断してくだ
さい。そして、その結果を、数値で把握してください。そのた
めに、財務諸表があります。これが経営管理です。そして、こ
れを続けることで、真の経営感覚が身に付きます。多くの財務
諸表を駆使した高度な経営管理を中小零細企業に求めるつもり
はありません。ただ、売上高・粗利益率・固定費、そして資金
繰り、この4つの推移については、毎月~四半期(3ヶ月)の
タームで管理してください。

当事務所が提供する「資金繰り円滑化サービス」(財務部長代
行業務)は、この指標管理にも最適です。採用をご検討くださ
い。

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