銀行融資プランナー協会が提唱している「財務部長の代行サービス」は、
経営状況が悪化した企業様を対象にしたものと誤解されることがあります。
資金調達、財務支援といったキーワードが企業再生を連想させるので
しょうか。確かに、世の中にある他の財務支援サービスは、企業再生を
メインにしたものが多いようです。しかし、財務に力を入れることで、最も
大きなメリットを得られるのは、創業期、成長期にある企業様です。
■ 創業期
創業期に、自社が調達できる資金の量を知り、その資金をどこにどの程度
投資すべきかを考える時に、財務が非常に役立ちます。7割の創業者が
創業期を乗り越えられずに断念すると言われていますが、中には、営業力が
あるにも関わらず、自社の資金調達力を見誤り、実力以上の事業規模で
創業してしまったことが要因であることも少なくありません。創業期に売上を
作ることができなければ、財務を強化しても効果はありませんが、一定以上の
売上を作る力をお持ちであれば、財務次第で創業期を乗り越えることができます。
■ 成長期
創業期を乗り越えて、右肩あがりで業績が伸びている成長期は、一見資金を
調達する必要はないように感じますが、この時期に投下した資金量で、事業の
成長スピードは大きく違ってきます。資金を投下した分だけ、感度よく業績に
跳ね返ってきますので、財務を強化して最大限の資金を調達し、事業に投下
していくことで、成り行きよりも大きな成長カーブを描くことができます。
■ 安定期
成長が止まり安定期に入ると、皮肉にも資金調達はしやすくなりますが、いくら
資金を事業に投下しても、成長期ほど業績に跳ね返ってこなくなります。
よって、資金調達を行って事業の拡大を目論むより、やがて訪れる衰退期に
備えて、外部に資金を流出させない施策に取り組むことが優先です。但し、
安定期に最大限の調達を行って、新たな事業の創造を開始するのであれば、
やはり財務は重要です。
■ 衰退期
事業力の低下が根本の原因ですので、財務で問題を解決することは困難です。
もちろん、経営が悪化した上場企業の再生劇に見られるような、莫大な債権放棄や
税金の投入があれば別ですが、事業力の低下により資金調達がしにくい環境に
なっている中で、わずかばかりの資金を調達しても、延命を図るのが精一杯です。
財務の担当者を置くメリットは、会社の実力に対して最大の資金調達ができる点です。
資金調達の効果が最もあるのは成長期になりますので、成長期の企業様にこそ、
「財務部長代行サービス」を利用していただきたいと考えています。