融資の申し込みをしたら銀行から試算表の提出を求められた。普段から作成していないので

時間がかかりそうだ。急いでいるのに困った・・・という経験のある経営者様も多いと思います。

私の経験値ですが、資金調達のご相談に来られる年商3億円未満の中小企業様で、

毎月試算表を作成している企業様は3割程度しかいらっしゃらないように思います。

 

試算表を作成しない理由は恐らく「必要ない」からでしょう。余程大きな規模でない限り、

試算表を作成しなくても経営はできます。儲かっているかどうかは、感覚とオリジナルの

集計表で十分です。また、もっと直接的な理由として、「領収証等の証憑書類を揃えるのが

面倒くさい。」「会計ソフトの入力が面倒くさい。」「税理士事務所に作成を依頼しているが

税理士事務所も忙しい。」といったことが挙げられます。

 

しかし、ご本人にとってはあまり必要のない試算表であっても、銀行などの第三者にとっては

大変重要です。試算表は、経営者の頭の中をのぞくことができない第三者が、貴社の経営状態を

容易に知ることができる唯一の手段です。自社の経営状態を第三者に伝えるための大変有益な

ツールとなります。

 

また、試算表からは、今年度の利益状況だけでなく、創業時から積み重ねてきた資産、負債、資本の

状況が分かります。そして、これらの状況を分析することで、利益状況よりもはるかに重要な経営の

課題を知ることができます。

 

試算表は、作成するメリットよりも、作成しないデメリットの方が大きいと思います。

ビジネスチャンスに遭遇した時、不測の事態が起こった時、急きょ資金が必要になります。

頻繁に起きる事ではありませんが、いざ起きたときには大変重要な問題です。

早く資金が欲しいという状況にあって、約7割の企業様は、試算表を作成するところから

始めなくてはなりません。過去の分をまとめて作りますので、最低でも1か月、

長い場合は数カ月かかることもあります。機会の損失です。

 

まずは、今現在自身が必要としなくても、いざという時に必要であるという認識を持って、平素から

試算表を作成する体制を構築してはいかがでしょうか。次に、自身が財務の知識を深めるか、

財務の知識を持った人間を横に置いて、試算表を経営に活かしてはいかがでしょうか。

経営に正解などありません。それでも、偉人たちが共通して提唱しておられるおおむね

共通のルールはあります。以下、ご確認ください。

 

◆1:常に『アッパーニッチ』(×ロアマス)を目指します。

…商品やサービス、市場の開拓時には『アッパーニッチ』を狙います。絶対に『ロアマス』は

狙いません。

『アッパーニッチ』とは、高級、高付加価値ゾーンの隙間のことです。

『ロアマス』とは、低価格帯のBIGマーケットのことです。経営資源の乏しい中小規模企業は、

常に局地戦に臨むべきです。絶対に広域で戦うべきではありません。

また、低価格帯のビジネスは、そのスケールメリットや経営管理の優れた大企業向けです。

 

◆2:まず『地上戦の営業』(×空中戦の営業)を企てます。

…新しい物やサービスを世に問う時には、まずは自分の足で、自分の人脈の範囲内から

攻め込みます。空中線は、地上戦での検証を終え、地上戦営業で加速を付けた後に行います。

『地上戦の営業』とは、自分の人脈の範囲内での営業活動のことです。『空中戦の営業』とは、

マス媒体を活用する営業のことです。

 

◆3:『エコ贔屓な経営』(×総花的な経営)を行います。

…経営資源は、強いもの、伸びている所に集中して投下すべきです。総花的に分散しては

いけません。人事においても、伸びている人をさら伸ばす…まずはこれです。

『エコ贔屓の経営』とは、長所に集中する経営のことです。『総花的な経営』とは、分散する

経営のことです。経営資源の乏しい中小規模企業は、バランスよりも尖ることに重点を

置くべきです。

 

○上記(◆1~◆3)は、大きく広く総花的に攻める、この考え方を戒める指針です。一方、

狭く深く尖った経営を狙う、これは、異論をはさめないぐらい確立された経営指針である

はずです。しかしながら、今も多くの経営者が、大きく広く総花的に攻めようとしています。

軌道の修正が必要です。

 

◆4:『ワンマンな経営』(×協議の経営)を行います。

…衆智を集めることは重要です。しかし、結論を協議して出す

…これは正しくありません。社長一人が全責任を負って決めます。

『ワンマンな経営』とは、経営判断は社長が一人で決める、この自覚を持つ経営のことです。

『協議の経営』とは、協議して経営判断を下すことを意味します。企業経営において、総意が

正しいケースは稀です。特に厳しい方向への判断は社長にしかできません。

○社内の総意、これほどいいかげんなことはありません。社内の総意に判断をゆだねるお人好し

社長がうまく行くケースは稀有です。

 

◆5:『程度加減の判断』(×YESかNOの判断)を意識しながら経営します。

経営判断の多くは、YESかNOではなく、もっと早く、もっとたくさん、いや、セーブして…

このように程度加減を決めることが多いものです。経営とは程度加減を計っている…この

認識が重要です。

『程度加減の判断』とは、その程度加減を決めることです。

『YESかNOの判断』とは、その判断の可否を決めることです。方向性の判断よりも、程度加減の

判断の方が難解です。常に程度加減を計りながら進めてください。

○程度加減の判断も、極めて重要な経営判断の範疇です。アクセルとブレーキは、トップが

直接踏むべきです。

 

◆6:『ベターな経営』(×ベストの経営)を目指します。

経営の場で、ベストな状況に遭遇する機会は稀です。ベストにこだわり過ぎると前に進めません。

経営はベターの集合体である…この達観が必要です。

『ベターな経営』とは、ベターを良しとする経営のことです。

『ベストな経営』とは、あくまでもベストありきで進める経営のことです。また、ベストな環境を

待ちすぎて、結果、手遅れになるケースも少なくありません。

○「ベターな環境下で、ベターをベストに近づける行為」これが経営ではないでしょうか。

ベストな状況・環境…これらはないものねだりです。

 

以上ご確認ください。

銀行融資プランナー協会は、不測の事態に備えてキャッシュポジションを高く取る財務戦略を

提唱していますが、これは倒産を予防するという第1ステージの目標です。

第1ステージの目標をクリア出来たら、次は事業を成長させることを考えなくてはなりません。

第2ステージです。

最近驚いた話ですが、「公庫さんから資本性ローンを調達したものの、1年近く手をつけずに

そのまま置いている。」という経営者様に2回も遭遇しました。どちらの経営者様も、「手元

キャッシュを減らすのが不安だという理由もあるが、そもそも使うあてがない。」といった主旨の

お話をされていました。創業してまだ1、2年の企業様で、年商規模も数千万円ですが、

小さいながらも資金繰りが黒字化したことが要因だと考えられます。

 

「キャッシュポジションを高く取って不測の事態に備える。」という守りの姿勢は重要ですが、

キャッシュを後生大事に抱えていても、わずかな金利が得られるだけです。事業の成長を

促すためには、「一定のリスクを冒してでも、新たな資金需要を自ら生み出す。」という攻めの

姿勢が必要です。

もちろん、新たな資金需要を自ら生み出すのは簡単ではありません。ただ、「新たな商品や

サービスを開発する。」といった大掛かりなことだけが新しい資金需要の創出ではなく、現在の

状態を進化発展させるために、小さな投資を積極的に行うことも立派な資金需要の創出です。

 

例えば、現在は黒字なので現状維持でも問題はないが・・・

・もっと大きな利益を狙って営業人員を強化しよう。

・作業効率を上げるためにIT投資をしよう。

・生産性を上げるために大手企業から工場長を招聘しよう。

・事業シナジーを狙ってM&Aをしかけよう。etc

成長を促すために、自ら資金需要を創出すべきことはたくさんあります。むしろ、たくさん

有り過ぎる一方で、資金は有限ですので、優先順位の決定に悩み続けるぐらいです。

 

経営者様の役割は、有限である資金を、どこに分配すれば最も効率よく事業が成長するかを

見極めることです。

よって、一定の安全性を確保した後は、分配の原資となる成長資金の獲得に積極的に

取り組みましょう。

■金融機関は「お金の必要な会社・個人事業者様」に融資します。ただし、もう一つ条件が

あります。融資ができる対象は、「返してくれそうな状況の会社」です。

二つ目の条件を知らない社長様が少なくありません。

 

◆「お金は、お金が必要な時に借りる。」(借り手の論理・雨傘理論)とするお金に関する

間違え常識がはびこっています。

これは間違えです。

○お金が必要なら借りる、今必要ないなら借りない…一見常識的に見えるこの考え方は、

借り手の論理です。だから、「雨が降ってきたから傘を貸してくれ」とする雨傘論が生まれ

ます。金融機関に雨傘は一本もありません。

(※救済的な制度融資・制度保証だけが雨傘です。)

○お金が必要な時にのみ金融機関に駆け込む(スポット対応)ことになります。

○「金融機関が追加融資を受けませんか?」と言ってきてもむげに断ります。

○「とりあえず自己資金ではじめて、必要になったら借ります。」と資産背景の無い創業者様も

平気で言い放ちます。

すべて借り手の論理・雨傘理論です。間違えています。故に、お金に苦労します。

下手をすると破たんします。これを財務無策・財務無知と呼んでいます。

 

◆「お金は、返済できそうな会社に貸す。」(貸し手の論理・日傘理論)が正解です。

○お金は返済できそうな会社に貸します。

○貸した後もしっかり対応してくれる会社こそ優です。

○「提案した追加融資は、素直に受けて欲しい。今は貸せるタイミングだ。」と思っています。

○「業績が悪い時にお金は貸せない。」

貸し手の論理・日傘理論です。

どっちが正しいのか?これを議論することに意味はありません。

相対的に力の弱い小規模零細・個人事業者・創業者様は、貸し手の論理・日傘理論に従うしか

ありません。

 

■当事務所(銀行融資プランナー協会)が提唱する、小規模零細・個人事業者・創業者様向けの

財務指針は、以下です。

1.金融機関借入は、借りられる時に借りられるだけ借りる。

2.借り入れを最大限活用して、手元資金を出来る限り潤沢にして維持する。

3.金融機関とは継続的・戦略的な関係を継続する。金融機関からは、借入れと返済、借り換えを

繰り返しながら、手持ち資金の最大化を図る。

 

◆上記の1~3の実現には、継続的な財務活動が必要です。

○資金は、借入れた時から返済が始まる。借入れ・現金共に徐々に減少する。

○通常の運転資金は借りられるタイミングを計って借入れ・借換えを行う。

○投資や増加運転資金はタイミングを計って借入れを行う。

○状況によっては、いち早くリスケを実行して資金の流失を減らす。

○金融機関への状況報告を積極的に継続して行う。

これらは、小規模零細・個人事業者・創業者様が本来継続して行うべき財務活動ですが、

このような継続的な財務活動を行っている会社・個人様は稀有です。財務無策状態が続いています。

大変危険です。

 

 

「銀行から赤字を理由に融資を断られた。黒字になったら検討するというが、こっちは赤字だから

お金を借りに行っている。そもそも黒字になったらお金を借りる必要などないではないか?なんて

頭の悪い銀行員だ・・・」と憤っておられる経営者様がおられました。

 

確かにおっしゃる通りです。黒字化するまで資金が不足するから頼んでいるのであって、

黒字化した時には資金は必要なくなります。銀行が「雨の日に傘を取り上げ、晴れたときに

傘を差し出す。」と皮肉られるのも頷けます。銀行の思考回路は一体どのようになっている

のでしょうか?

銀行と話が噛み合わない理由は単純です。銀行は、そもそも赤字の企業に対して融資を

する思考を持ち合わせていません。赤字企業を黒字化させるのではなく、黒字企業を

もっと黒字化させることを第一の使命と考えています。もちろんイレギュラーもたくさんあります

が、経営者としてはこの考え方に立つ方が良いと思います。

銀行の考え方を理解すれば、事業の進め方も変わるはずです。

いきなり大きな利益を狙いに行くのではなく、小さな利益実績を積み上げながら進める方が

調達は容易になります。

 

例えば、「10名の営業マンを雇って、毎月500万円の固定費を使いながら、12か月後に

黒字化を達成する。」という計画で経営を行うよりも、まずは、「2名の営業マンからスタートして

3か月で黒字化を達成する。」という計画で進めた方が、資金調達の可能性は高まります。

6カ月経過時点で、前者は大赤字の真っただ中にありますが、後者は小さいながらも2名で

上げた利益の実績がありますので、そこに資金を提供して人員を増やせば利益も数倍に・・・と

いう想像が容易になります。

広告費用なども同じです。実績がない状態で「1,000万円の広告費用を貸して欲しい。」と

頼むより、たとえ小さな額でも、広告の効果が実績として分かっている方が、融資はしやすく

なります。

 

融資を活用して事業の拡大を目指すならば、「小さな黒字を大きく育てる。」という銀行の考え方に

合わせて、事業計画を進めることをおすすめします。

銀行などの金融機関から返済を前提に資金を調達する借入れ(デッドファイナンスと

呼びます。)に対して、投資として資金を受け入れるエクイティファイナンスについて

言及いたします。

※ここでは、縁故増資ではなく、ベンチャーキャピタルなど、オフィシャルな投資先からの

エクイティファイナンスについて解説します。

 

■実績が必要です。

「こんな面白いアイデアがあって、このような事業計画で進めていきたい。資金があれば、

短期間でIPO(新規株式公開)も狙える。資金調達を希望します。」

この様なケースで資金を調達できる(エクイティファイナンスを成功させる)ことは極めて

稀です。実績がないからです。リスクマネーと呼ばれるこの資金とて、実績のないベンチャー

企業(?)は対象外です。

◎例えば、ザッカーバーグ氏が率いるフェイスブックは、自らが開発したソーシャルネット

ワークサービスを、在籍するハーバード大学内で拡散し、利用者数の増加を実現していました。

利用者数の増加…この実績を持って、投資家からの資金調達を行っています。

フェイスブックとて、「今からこの様なソーシャルネットワークを構築します。近い将来…に

なります。」とプレゼンしても、投資の対象にはなりにくかったはずです。

 

◎例えば、ジョブス氏が率いるアップル社は、自宅の倉庫で小型コンピューターのプロト版の

開発を進めていました。量産し拡販する資金の目途は立っていないけど、とにかく開発して

手作りで制作して、一台でも販売する…この実績を持って、投資家から資金調達を行っています。

事業計画書の内容やプレゼン能力を磨き込んでいくら投資家回りを行っても、実績のない

ベンチャー企業(?)に資金は入りません。まずは、事業としての実績を作ることが必要です。

 

■攻めの資金でなければなりません。

この資金は、その資金使途が重要です。調達した資金が、高収益企業になるための成長に

使われなければなりません。

1.エクイティファイナンスの対象は、近未来の高収益企業です。営業利益率は30%以上か、

又は、数億円以上、かつ、成長を続けることが必要です。

2.エクイティファイナンスの対象は、近未来の高成長企業です。売上高の伸び率は30%以上、

この程度の成長を長期間継続できることが必要です。

 

■出口(イグジット)が必要です。

エクイティファイナンスは、その資金を回収しなければなりません。5年から最長で10年以内に、

投資して保有した株式を売却して資金化することが要件です。この期間内に、保有する株式の

価値が向上し、かつ、売却先が存在するためには、株式の公開を行うか、誰かが買い取るか、

それに値する会社になっていなければなりません。

 

■エクイティファイナンスの投資家は、株主として経営に参画します。

投資家は、持ち株比率に応じた株主としての権利を有します。
これは、必ずしもネガティブなことではありません。株主として支援してくれるかも…との意味も

含みます。

一方、株主への定期的な進捗の報告や、株主総会のオフィシャルな開催、個人経営的な

発想では済まされない公式な対応も必要になります。これも、必ずしもネガティブなことでは

ありません。経営体制が構築されていきます。

 

■現実的には企業価値2億円程度までは自力で構築するしかありません。

※企業価値とは、資本金ではありません。純資産+将来利益で計算される現時点における

企業の価値を示します。ここでは、株数×株価=時価総額と同じ意味です。将来利益は

投資家の見立てで変わります。

 

企業価値2億円とは、2,000万円の投資を受けても、投資家の持ち株比率が9.1%

(2,000万円/2億2,000万円)に収まるラインです。

ただ、現実的には、この企業価値に対して投資するベンチャーキャピタルはレアです。

企業価値5億円以上、このあたりからベンチャーキャピタルの投資対象になります。

 

企業価値(会社の値段)の見立ては、投資家によって当然異なります。また、企業価値は

将来価値から逆算して決めることが多いので、成長し利益を出せる蓋然性が高いほど、

企業価値も高くなります。

 

成長意欲の高い社長様は、エクイティファイナンスについてもご検討ください。

長く経営を続けていると綺麗ごとでは片づけられない問題に直面することもあるでしょう。

やむを得ず、粉飾をしてしまった経営者様もいらっしゃると思います。

一方で、金融機関にとっても、粉飾決算に騙されることは死活問題ですので、

大いに神経をとがらせています。金融機関は、粉飾決算に騙されないよう

以下のポイントを見ています。

 

1.売上高の前倒し計上、架空計上を行っているケース

売上高を増やすことで利益を増やす手法ですが、複式簿記では「売上高」だけを

増やすことは出来ません。相手勘定となる「売掛金」の残高を検証することで

粉飾を見破っています。

具体的には「売上債権回転期間」で売上高とのバランスを見ています。

 

2.仕入債務を過小に計上しているケース

買掛に計上している仕入を消すことで利益を増やす手法です。

しかし、この手法も「買入債務回転期間」が極端に短くなるため粉飾が疑われます。

 

3.在庫を過大に計上しているケース

架空在庫を計上して利益を増やす手法です。

最も多く見られる粉飾の手法ですが、「棚卸資産回転期間」が極端に長くなるため

粉飾が疑われます。

 

4.費用を過小に計上しているケース

実際にかかった経費を消して利益を増やす手法です。

相手勘定の「現金」が異常に膨らみますので粉飾が疑われます。

 

実際にキャッシュを投入して、掛け勘定を使用せずに利益操作をされると、

粉飾決算を見破るのは難しくなりますが、勘定科目だけを操作して行う粉飾決算は、

簡単に見破ることができます。

金融機関は気づいていても、「粉飾ですね。」等とは絶対に言いません。

許容できる間は騙されたふりをして融資を続けていても、看過できないところに

達したら融資は止まります。

 

しかし、それ以上に粉飾が怖いのは、赤字に対する経営者様の問題意識が

薄れてしまう点です。実際は赤字であっても、粉飾決算で資金が調達できれば、

何となく経営が上手く行っている錯覚に陥ります。

よって、一度粉飾をしてしまった企業は、翌年以降もずるずると粉飾を繰り返してしまい、

その額が少しずつ膨らむ傾向があります。粉飾額が大きくなる前に、粉飾のサイクルから

脱却する決断が求められます。

まずは粉飾で分からなくなった本当の利益を洗い出すところからスタートします。

 

粉飾からの脱却をお考えの経営者様は、是非、ご相談ください。

その事業が将来立ち上がるかどうか?こんなことはだれにもわかりません。

それでも論理と蓋然性から、高い確率で重要な問題点を指摘して

助言することは出来ます。

(※この確率にあてはまらない天才事業家は除外する前提で読んでください。)

 

■「創業事業計画によくある10の間違え!」(実例です。)

以下のような創業計画書は少なくありません。

 

◆1:創業1期目が赤字、2期目に追加の資金調達(融資)を目論む計画

創業1期目が赤字の時、2期目の資金調達は容易ではありません。

創業時の自己資金と創業融資で、黒字化まで自力で持っていかないと、

次の融資はほぼ受けられません。計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆2:創業自己資金300万円で初年度の資金調達金額3,000万円とする計画

計画自体が無謀に見えます。創業時に、こんな多額な融資はほぼ受けられません。

計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆3:創業自己資金50万円の会社が、創業1期と2期で累計6,000万円の赤字を

出す計画

どんなに経歴や計画書が立派であっても、この計画を支持する金融機関はありません。

そもそも力不相応な計画に見えます。計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆4:創業三ヵ年計画の資金繰りの辻褄が合っていない計画

資金繰り計画書を作ったら資金ショートします。資金繰り計画を持ち合わせていないので、

矛盾に気づいていません。計画の見直しが必要です。(財務無策です。)

 

◆5:創業三ヵ年計画に、創業融資の返済原資を見出せない計画

返済を賄う利益を計画段階から計上できていません。

返済原資の無い融資を金融機関は行いません。計画の見直しが必要です。

(財務無策です。)

 

◆6:創業自己資金300万円、資金的にはぎりぎりの計画ですが、創業融資を

とりあえず受けない計画

「とりあえず自己資金でやってみて、必要になれば融資を受けたい。」この考え方は

根本から間違えています。

行き詰まった時に融資を受けられる可能性は高くありません。

最初に創業融資を受けるべきです。(財務無策です。)

 

◆7:創業自己資金50万円の会社が急成長して、3期目の期末に従業員が

250名になる計画

力不相応な計画に見えます。250名を雇用する…これを実現するコストだけで、

期間中に数千万円程度必要です。

 

◆8:売上・利益計画の割に、経費が少なすぎる計画

販促費や経費を過少に見積もっているケースも少なくありません。

甘すぎる計画に見えます。上手く行きすぎる計画に蓋然性は見出せません。

 

◆9:既存のサービスの単なる安売りで売上が取れるとする計画

安くして、差別化して、かつ、利益を出して…実現できる蓋然性がありません。

 

◆10:既存のサービスを多数組み合わせ総合化することで差別化しようとする計画

ワンストップにして差別化する…実現できる蓋然性がありません。

 

■上記の事象は、計画書を少し見ればわかります。

◆1~6は、財務的な整合性を欠いています。明らかな財務無策で、計画の見直しが

必要です。

◆7は、雇用にかかる手間暇・コスト、さらには、マネージメント体制を作りあげる

大変さをよく理解できていないことが原因でしょう。計画の見直しが必要です。

◆8の経費の過少計上もよく見かけます。最初からミスなく上手にコストを掛けられる

ことが前提です。試行錯誤の費用が見込まれていません。計画の見直しが必要です。

◆9の安売りモデル、10の総合化モデルもよく見かけます。

安くしても利益を出せる、総合的に組み合わせても、一つ一つが弱くならない理由が

不明瞭です。既存の企業は、安くすると利益が出ないから、組み合わせると一つ一つが

弱くなるから、これができないのであって、このできない理由を解決せずに、

安く・総合的に…とする発想は根本から間違えています。

ビジネスモデルの練り直しが必要です。

 

創業融資サポートの詳細についてはこちら>>

http://www.kagawa-keiri.com/230/

銀行の融資審査にまつわる噂話ですが、「トイレが汚い会社に融資はしない。」とか、

「社内でスリッパを履いている社長に融資はしない。」等、もっともらしい話から、

良く意味の分からない話まで、たくさんの噂話を耳にします。

実際のところはどうなのでしょうか。

 

もちろん銀行員は、財務面以外の部分も観察していますが、「○○だから貸さない。」と

いったことは当然ありません。

しかし、金融機関の中には、スコアリングで融資を決定する商品を有しているところがあり、

そのチェック項目の中には、財務面以外の評価が多く含まれている場合があります。

良くあるチェック項目を次に挙げますので、貴社に当てはめて評価が得られそうかどうか

確認してみてください。

 

【代表者に関するチェック項目】

・業界経験年数は何年か

・代表者が資産を有しているか

・代表者が会計を理解しているか

・代表者が高齢でないか

・代表者の健康状態はどうか

・不必要な付き合い(接待)が多くないか

・ライオンズ、ロータリー、日本青年会議所の会員か

・後継者はいるかetc

 

【従業員に関するチェック項目】

・従業員の採用に積極的か

・従業員の離職が多くないか

・従業員に活気があるか

・従業員の教育が行き届いているか

・右腕となる人物がいるか

・有能な幹部が最近辞めていないかetc

 

【会社に関するチェック項目】

・法令違反(行政処分等)がないか

・整理整頓が行き届いているか

・ホームページが定期的に更新されているか

・地域の振興活動に積極的か

・融資申し込みの経緯に不審な点はないかetc

 

実際は、「自己資本比率が○%以上・・・」等、財務面のチェック項目とあわせて

30から50程度の項目が用意されており、総合点で融資が決まります。

 

いずれも当たり前の内容ではありますが、自社の経営状態を改善するチェックリストにも

なりそうです。

参考にしてはいかがでしょうか。

高いパフォーマンスを引き出すために、仕事に対する取り組み姿勢・考え方に対して

一石を投じた良書です。本文を「 」で引用しながら紹介いたします。

ほんの一部ですが。

https://www.d-publishing.jp/

 

■人は集中することで、深い思慮と大局的な思考回路が働くようにできているようです。

○「人の脳の仕組みは、一度に与えられる情報が多くなるほど、

うまく吸収できなくなるようにできている。」

○「注意を分散させると、記憶として残るものも少なくなる。」

○もはや、多くの現代人は疾病〔ADHD(注意欠陥多動性障害)〕のレベルにあるそうです。

「米精神医学会が発行している〔精神障害の診断・統計マニュアル第4版〕では、

ADHDの主な症状が次のように説明されている。

・作業への注意力を維持することがしばしば難しくなる。

・直接話しかけられているときに、聞いていないように見えることが多い。

・作業や活動を整理することが難しいと感じることが多い。

・知的努力を持続させる必要がある作業をしばしば避ける、嫌う、あるいはやりたがらない。

・外からの刺激に簡単に注意をそらされる。」

 

■情報そのものが貴重で、限られたインテリのみが情報を有した時代には、

「知識は力」(哲学者:フランシス・ベーコン)といわれていましたが、

あり余る情報に埋もれる現代においては、

「情報が何を消費するかは明らかだ。情報の受け手の注意力を消費するのである。

それゆえ、情報が豊かになるほど、注意力は貧困になる。」

(ノーベル経済学賞:ハーバード・サイモン)

 

■多くの企業人が、ADHDを患っているようです。

○「我々が協力してきたほぼすべての組織の文化は、ここで挙げたADHDの症状で

特徴づけられていた。その大きな理由は、今では注意持続時間の短さと断片的な集中が、

一般的な状態として広く受け入れられているからだ。多くの組織では、注意力が意識的な訓練と

定期的な再生が必要な能力だということに気づいていない。」

○「私たちは、生活の中のつまらないあれこれに今まで以上に夢中になることを自分に許して

しまった。注意が分散された生活に価値を置くと…何よりじっくり考えるための時間と空間が

奪われてしまう。それが複雑で変化の激しい新しい世界で成功するための切り札だったのに。

私たちは効率を重視するあまり、人間ならではの本質的な性質の一部をすっかり衰えさせて

しまった。」(マギー・ジャクソン)

 

■自分の注意力のコントロールを取り戻すためには…

○「2つの事を同時にしようとする誘惑に負けないようにしよう。結局はどちらに対しても

十分な注意を与えないことになるからだ。」

○「1日に少なくとも1時間はメールを完全にオフにするようにしよう。そして、目の前の

重要な仕事に集中する。」

 

■一流人と普通の人の違いは…

○「一流の人たちを普通の人と分けるのは、大きなプレッシャーのもとでも余計なことには

気をそらさずに集中できる能力なのである。」

○「一流のアスリートは、彼らの目を見るだけで、どれだけ1つの事に集中しているかがわかる。

心臓外科医、戦闘機のパイロット、バレエダンサー、あるいは法廷で最終弁論に臨むときの

弁護士も同じだ。彼らは注意力と認知能力のすべてを目の前の仕事に向けている。」

 

■まとめ

○「人間はマルチタスキングが出来ないようにできている。コンピューターと違って、

人間は作業を1つずつ順番にこなすように遺伝子に埋め込まれ、人間の脳は同時に

2つの別々の認知作業に集中することができない。」

○「私たちの注意を細切れにするものには2種類ある。1つが外の世界のもの、つまり私たちの

周囲で起こっていること。

もう1つは内面的なもので、自分の頭の中の際限のないおしゃべりだ。」

 

ご自身の、自社の習慣を見直す好機と捉えて、ご一考ください。