前回号の続きです。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点12:出張料理サービスができるシェフのプラットフ
ォームPRIME CHEF(プライムシェフ)様を紹介します。
〔以下は、PRIME CHEF様のホームページ(令和元年11月6日)
から引用させていただきました。〕
https://www.primechef.cooking/

●PRIME CHEFは、シェフの出張料理サービスを提供するプラ
ットフォーマーです。自宅やオフィスなど指定場所にシェフが
やってきて、買出しから料理提供、お皿洗い等の後片付けまで
全て行います。目の前で調理をするのはもちろん、好き嫌いや
アレルギーにも対応しメニュー変更も可能です。離乳食対応が
可能なシェフも多数在籍しております。
人数や金額感を1分で設定するだけで、最大3人のシェフから
あなたにぴったりのコースの提案があります。検索不要で悩ま
ずカンタンにご希望のシェフが見つかります。

◎シェフと顧客のマッチングサービスです。得意分野、得意な
予算帯・人数をシェフが登録し、顧客はシェフや料理メニュー
に関するニーズを登録するとマッチングできる仕組みです。家
庭で、職場で、希望する料理をシェフに作ってもらえます。

■着眼点13:店を持たず、一人で、受注に応じて、得意料理
を提供できる新しい飲食業の事例を紹介します。
〔以下は、PRIME CHEF様のホームページ(令和元年11月6日)
から引用させていただきました。〕
https://www.primechef.cooking/

●出店場所を探して、お店を作って、ある程度幅広くメニュー
を開発して、スタッフを雇用して…飲食業を開業するためには
多くのコストとリスクが伴います。一方、PRIME CHEFに登録
するシェフは、顧客の自宅(職場)で、提案する料理を、食材
を持ち込んで、先方のキッチンと食器を使って調理して提供し
ます。提供する料理はシェフの得意料理のみです。

◎おいしい料理を提供したいからお店を出店する…そのために
は物件を確保して、品ぞろえを広げ、スタッフを雇用して、で
きるだけ長時間営業して…
別の選択肢が提供されています。
自慢のコース料理で、小資本(投資なし)で、自分だけで、依
頼された時間帯と場所でのみ、ガイヤの夜明け(2019年10月
29日放映済み)では、有名料亭からスピンオフしたシェフが紹
介されていました。
https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber4/preview_20191029.html

◆出張料理サービスができるシェフのプラットフォームPRIME
CHEF(プライムシェフ)様は、新しいルールの創造者です。
料理人には新しい生き方を、お客様には新しい料理サービス
(出張料理サービス)の形を提供しています。大きく飛躍され
ることでしょう。

◆『おいしい料理を提供したいからお店を出店する…そのため
には物件を確保して、品ぞろえを広げ、スタッフを雇用して、
できるだけ長時間営業して…』この様などこにでもあるビジネ
スモデルの呪縛にとらわれないようにしましょう。やり方は色
々あるはずです。

ある程度成長した企業には財務部があります。財務部は、金融
機関の目線を考慮した決算を組み、日常的に金融機関とコンタ
クトを取り、融資を受ける際には金融機関の評価ポイントをお
さえた計画書の作成等を行います。

このような企業では、社長自らが銀行に提出する資料を作成し
たり、折衝したりすることは殆どありません。手間の問題もあ
りますが、財務業務の専門性を考慮し、専任の担当部署を置い
て対応にあたらせることが多いようです。

一方、中小企業はどうでしょうか。必要に迫られた時に社長様
が手探りで行っているのが実情です。ほとんどの中小企業では
財務機能が欠落しています。財務業務は経理や税理士さんに任
せているとおっしゃる社長様もいらっしゃいますが、財務を経
理や税理士さんに任せているという思い込みは危険です。

経理や税理士さんの主な役割は会計基準や税制に沿って正しく
税務処理を行うことであり、金融機関の考え方を理解し、金融
機関が評価する資料を作成し、会社の実力相応の資金調達を行
うことは本来のミッションではありません。

事実、本来受けられるべき融資を受けられていない企業が多数
あります。要因は様々ですが、決算書が税務目線だけで作成さ
れており金融機関の評価を得られにくい、金融機関の評価ポイ
ントを考慮できていない計画書を提出している等、財務機能が
しっかりしていれば融資を受けられたと考えられるケースもた
くさんあります。

会計業務、税務業務、財務業務はそれぞれ似て非なる業務です。
すべての企業が税務申告を行っているはずですので、中小企業
であっても基本的な会計と税務の機能は備わっていると考えて
問題ありません。しかし、財務機能を有している中小企業は少
数です。

中小企業が財務機能を万全にすることは、人材面、費用面にお
いて容易なことではありませんが、まずは自社に財務機能が備
わっていないことを認識することが重要です。

財務の強化は現状認識から始まります。今一度、自社が財務機
能を有しているか検証してください。

前回号の続きです。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点10:フードトラック・プラットフォーム
TLUNCH(トランチ)様を紹介します。
〔以下は、株式会社Mellow様のホームページ(令和元年11月3日)
から引用させていただきました。〕
https://www.mellow.jp/

●日本最大級のフードトラック・プラットフォーム。ビルの空
きスペースと個性豊かなフードトラックをマッチングし、シェ
フのこだわり料理が気軽に楽しめるランチスペースを160スペ
ース(93ヵ所)で展開中。なんでもない場所を、おいしい場所に。
TLUNCH <トランチ> は、ちょっとしたビルの「空きスペース」
と「フードトラック」をマッチングするプラットフォームです。
おいしい料理を提供してくれるフードトラックが訪れることに
よって、楽しくランチタイムを過ごせる人が増え、これまで活
用されていなかった空きスペースに「賑わい」と「新たな収益」
が生まれます。
シェフがこだわりの料理を提供、フードトラック660社と提携!
フードトラックは一つのメニューに特化した専門店です。多く
のメニューを提供しなければならない固定店舗と違い、シェフ
が特定のメニューの美味しさを追求した店舗が多いのが魅力の
ひとつ。単品料理に賭けているから「美味しい」のです。その
ジャンルはエスニックなどのアジアンフードからイタリアン、
フレンチ、カレーや和食、珍しい多国籍料理まで。TLUNCH(ト
ランチ)では、強いこだわりを持ったシェフが腕をふるう多種
多様なジャンルのフードトラック660社と提携しているため、
たくさんのメニューバリエーションを楽しんでいただくことが
できます。

◎空きスペースを有するビルオーナーと腕に自信のある個人シ
ェフ、おいしい昼食を食べたいユーザーを結びつけるプラット
フォームです。

■着眼点11:小資本で自分だけで、決められた時間内で得意
な料理に絞って開業できる新しい飲食業の事例
です。
〔以下は、株式会社Mellow様のホームページ(令和元年11月3日)
から引用させていただきました。〕
https://www.mellow.jp/

●出店場所を探して、お店を作って、ある程度幅広くメニュー
を開発して、スタッフを雇用して…飲食業を開業するためには
多くのコストとリスクが伴います。一方、フードトラック・プ
ラットフォームTLUNCH(トランチ)での出店では、上記のコス
トとリスクを大幅に削減できるようです。また、実働時間は仕
込みからランチ販売まで、この長すぎない実働時間も大きな魅
力です。

〇TLUNCH出店のメリットとして、【出店登録料無料】×【営
業場所拡大】×【出店場所シャッフルシステム】の3つをあげ
ておられます。
出店場所の確保は本部が行い、また、出店場所を定期的にシャ
ッフルすることで、お店側のメニュー変更などを最小限に抑え
て得意な単品に特化して営業ができます。開業費用はキッチン
カーの費用などで300万円~500万円、出店料は売上の
15%(内5%はスペースの賃料)です。自慢の一品のみを磨
き込んで出店できます。

◎おいしい料理を提供したいからお店を出店する…そのために
は物件を確保して、品ぞろえを広げ、スタッフを雇用して、で
きるだけ長時間営業して…
別の選択肢が提供されています。
自慢の一品で、小資本で、自分だけで、長すぎない実働時間で、
ガイヤの夜明け(2019年10月29日放映済み)では、子育て中
のシングルマザーが紹介されていました。
https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber4/preview_20191029.html

◆フードトラック・プラットフォームTLUNCH(トランチ)を開
発した株式会社Mellow様は新しいルールの創造者です。料理
人には新しい生き方を、ビルオーナーには今までなかった収益
を、何より、お客様にはおいしい昼食を提供しておられます。
大きく飛躍されることでしょう。

弊所の顧問先様で、創業から順調に業績を伸ばしているA社が
あります。もちろん営業的な面が上手く行っていることが主な
要因ですが、銀行に依存しない取引条件でビジネスをスタート
できたことも大きな要因です。

信用力が低く銀行借入れが困難なスタートアップ企業は、売上
金の入金が仕入や人件費等の支払いよりも前になるよう、販売
先や支払先と交渉しなくてはなりません。売上の入金が支払日
より1日でも後になってしまえば、支払い資金の調達が必要に
なるため、銀行の協力が絶対条件になります。

先述のA社は、設立時から、売上は月末締め翌月末入金で販売
先に交渉し、仕入先には25日締め翌々月5日払いで交渉しまし
た。末日に回収した売上金を、翌月5日の支払いに充てること
ができるため、資金を気にすることなく取引高を増やすことが
できました。

もうひとつA社が優れている点は、支払日を5日後ろにずらす
だけでなく、仕入の締日を5日前にする交渉を行い、仕入の平
均支払サイトを55日にした点です。一般的な取引条件は月末締
翌月末支払で平均仕入サイトは45日ですので、支払サイトを
10日も長くしています。

この10日は中小企業にとって大きなインパクトがあります。
「支払を先延ばししたところで、いつか払わなくてはならない
のだから意味がないのでは?」とお考えの方もいらっしゃるか
もしれませんが、理論上、企業は永遠に生き続けますので、永
遠に支払うことのない買掛金になります。

月の仕入額が1,000万円であれば10日分の333万円は永遠に買
掛金です。仕入額1億円になれば3,333万円です。無利子かつ
返済不要の借入と同じです。

取引条件に強くこだわっているスタートアップ企業は少ないと
感じます。取引条件がキャッシュフローに与える影響をしっか
りと理解し、もっと拘ってみてはいかがでしょうか。

前回号の続きです。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点8:数量を限定して営業する飲食店の事例!
〔以下は、佰食屋様のホームページから引用させていただきま
した。〕
https://www.100shokuya.com/about/

●『佰食屋、食の安全がささやかれる時代に、安心、安全で美
味しいものを皆様にご提供したい。しかも、誰でも食べに行け
る値段にもこだわりたい。そんな思いを形にしたのが、佰食屋。
新鮮なものを食べてほしいから、当店には冷凍庫がありません。
毎日100人分の食材を仕入れ、100人にご提供する。そう
することで、新鮮で作りたての美味しいお料理をご提供するこ
とが出来ます。
大人も小さなお子様も、みんなが安心して食べてほしいから、
原材料は無添加、無化学調味料。これが、佰食屋のお約束です。
【 佰 】の字に込めた想い。
お客さまも働くメンバーも、みんなが幸せになれるお店をつく
りたい。そんな想いで佰食屋はスタートしました。
お客さまの大切なお時間を、お店に並ぶ時間に費やしてほしく
ない。そんな想いから始まった整理券制度。毎朝9時30分よ
り整理券の配布を開始、お好きな時間を選んでご予約いただけ
ます。お1様4席までご予約可能ですので、予約した後はお時
間までお買い物や観光など、自由にお時間をお過ごしください!
営業時間はお昼だけ。それは、100食限定のため、ランチで
売り切れてしまうから。また、働くメンバーが仕事もプライベ
ートも大切にできると、また一層美味しい料理と良いサービス
をお届けできます。』

◎できるだけ長時間営業して一円でも多くの売上を取りに行く
飲食店が一般的です。結果として、売上の薄い日時も店を開け
ています。一品でも多く売りたいがために、食材の在庫も十二
分に確保しています。効率性・生産性の観点から見直してみる
と、非効率な時間帯が多数存在します。また、食材のロスも発
生します。ロスを出さないために保存しやすい食材に偏りがち
です。
佰食屋さんは大きなヒントを与えてくれています。【営業時間
を固定せず販売数量を固定しました。】整理券を活用して更な
る効率化を実現しています。最も効率的で合理的な売上のみを
狙っています。非効率で非合理な売上を捨て去ったシンプルな
経営を行っておられます。汎用性のある経営手法です。

■着眼点9:「月に1日」しか営業しない
完全予約制ケーキビュッフェの事例!
〔以下は、TSUKIICHI様のホームページから情報を収
集させていただきました。〕
https://tsukiichi-cake.com/

●「月に1日」に限定して完全予約制ケーキビュッフェ(オー
ダーバイキング)全て食べ飲み放題でご提供しておられます。
営業日は4シフト各50名、料金は税込み5,500円です。
お店は通常の賃貸契約で毎日でも営業できますが、それでも
「月に1日」の営業です。その他、マカロンタワー教室やパフ
ェを様々なフォトブースで撮影できる企画など空き日を有効に
活用しておられます。一部の商品は通販で販売しておられます。

◎月一の営業日に合わせて余裕をもって新商品開発や仕込みが
できます。従業員は営業日のみアルバイトを雇い入れるようで
す。普段は一人です。
店舗を借りたからできるだけ長時間営業しなければならない、
こう考える経営者がほとんどです。オーナーシェフのSAI
TOU氏は、営業日を月一に限定したことで、残りの29日
(または30日)を有効に活用しておられます。マカロンタワ
ーを作る教室を運営したり、パフェを作って写真を撮影する企
画など、または、通販商品を開発したり…余力があるのです。

◆「実力の80%までの売上は高収益な売上、80%~100
%に近づくほど収益率は低下して、100%を超えると赤字に
転落、120%を超える売上は高い確率でトラブルを招く。」
こんな仮説を持っています。故に、余力のある経営を提唱して
います。
店舗ビジネスにおける長時間営業は採算性を悪化させ、労務問
題を引き起こす諸悪の根源ではないか?とも思っています。
佰食屋様、TSUKIICHI様からは、多くのヒントを得ら
れるはずです。

卸事業を行うA社様の事例です。会社の幹部に経営を引き継ぎ
たいと考えており、そのための対策が求められていました。事
業承継時に最もよくある課題は下記の2点です。

1.事業を譲り受ける方が株式の購入資金を用意できない。
2.会社の借入に対して個人が連帯保証をすることに抵抗があ
る。

A社も同様に上記の課題に直面していました。資本金は1,000
万円(1,000株)ですが、幹部の方が個人的に用意できる資金
は100万円程度であり、過半数の議決権も取れない状況です。

この問題は自己株の買い取りにより解決しました。自己株の買
い取りとは、社長が持っている株式を、会社が自ら買い取る方
法です。社長が保有している株式1,000株のうち、900株を会
社に900万円で売却しました。会社が買い取った株式は議決権
を持ちませんので、社長は900万円の売却代金を手にしたうえ
で、残りの100株だけで100%の議決権を維持できます。よっ
て、この100株を幹部に100万円で売却すれば、議決権の100
%幹部に引き継ぐことができます。

次に個人保証の問題です。政府は、できるだけ経営者の個人保
証をとらないようにしようと「経営者保証に関するガイドライ
ン」を定めましたが、実務上は銀行も保証協会も簡単には無保
証に応じてくれません。最もこの制度に積極的に取り組んでい
るのは日本政策金融公庫だと感じます。

A社も個人保証を入れた借入が3,000万円超ありましたが、日
本政策金融公庫より無保証で4,000万円の借入を行うことがで
きたため、既存の金融機関とは交渉しやすくなりました。もち
ろん日本政策金融公庫は、既存借入の肩代わり資金として融資
をしてくれた訳ではありませんが、交渉が難航すれば一括返済
という最終手段で対応できます。

これらの事業承継対策は短期間に行った訳ではありません。特
に自己株の買い取りは、株価の問題もあるため、複数年に分け
て行っており、自己株式の買取資金についても、金融機関の協
力があって実現しました。

事業承継時にネックとなる問題は「資金」です。事業承継を考
えておられる経営者様は、是非ご相談ください。

前回号の続きです。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点6:社員を個人事業主化した事例!
〔以下は、日経ビジネス・庄司容子氏の記事を引用させていた
だきました。〕

●体脂肪計で国内シェア首位の健康機器メーカー、タニタ(東
京・板橋)は2017年に新しい働き方の制度を導入した。タニタ
の社員が「個人事業主」として独立するのを支援するというも
のだ。独立した人には、従来のタニタでの仕事を業務委託し、
社員として得ていた収入を確保する。こうすることで働く時間
帯や量、自己研さんにかける費用や時間などを自分でコントロ
ールできるようにするのが狙いだ。副業としてタニタ以外の仕
事を受け、収入を増やすこともできる。
発案者であり、制度設計を主導した谷田千里社長は、「働き方
改革=残業削減」という風潮に疑問を抱いていたという。働き
たい人が思う存分働けて、適切な報酬を受け取れる制度を作り
たいと考え、導入したのがこの「社員の個人事業主化」だ。
開始から2年半がたち、手ごたえを感じているという谷田社長
に話を聞いた。対象はタニタ本体の社員のうち、希望する人。
退職し、会社との雇用関係を終了したうえで、新たにタニタと
「業務委託契約」を結ぶ。独立直前まで社員として取り組んで
いた基本的な仕事を「基本業務」としてタニタが委託し、社員
時代の給与・賞与をベースに「基本報酬」を決める。基本報酬
には、社員時代に会社が負担していた社会保険料や通勤交通費、
福利厚生費も含む。社員ではないので就業時間に縛られること
はなく、出退勤の時間も自由に決められる。
基本業務に収まらない仕事は「追加業務」として受注し、成果
に応じて別途「成果報酬」を受け取る。タニタ以外の仕事を請
け負うのは自由。確定申告などを自分で行う必要があるため、
税理士法人の支援を用意している。契約期間は3年で、毎年契
約を結びなおす。
2017年1月から始めた8人の場合、平均の収入は28.6%上がっ
た。この中には、従来会社が支払っていた社会保険料が含まれ、
独立した社員は任意で民間の保険などに加入する。一方、会社
側の負担総額は1.4%の増加にとどまった。3年目に入った現在、
26人の社員が独立した。

◎社員が担っていた社内業務を、その社員が引き継ぎながら独
立してもらう、併せて副業等も可能にして自由に働いてもらう
制度は斬新です。もちろん課題も山積でしょうが、汎用性のあ
る選択肢の一つに挙げられます。

■着眼点7:フリーランスを戦力として活用する事例!

●あるWEBマーケティング会社は、設立当初から社員の雇用
は行わず、年商4億円弱の今に至っても、社長と秘書兼事務の2
名で運営しています。業務は外部のフリーランスに原則すべて
業務委託して、受注窓口業務及び検収責任のみを担っています。
収益は、売上の約80%が外注費(原価)、約20%が粗利益、経
費は極小で極めて高収益です。

◎アウトソーシングではなく、そもそも外部のフリーランスを
戦力と定義して事業を始められたようです。副業解禁やフリー
ランスが増加するトレンドの中で、このモデルは今後ますます
増えるはずです。

■「専門性の高い業務とルーチン業務はアウトソーシングを活
用して」…このやり方はひと昔前の話になりそうです。専門性
の高いフリーランスが多数輩出され、また、ITツールが進化
した令和の時代は、事業の組み立て方も変わってくるのでしょ
う。アウトソーシング業務に対する制約がなくなりそうです。
そもそも外注先に退職リスクはありません。
契約先である経営者(フリーランス)が社員に比して責任感が
低いとの論拠も希薄です。また、労務リスクも大幅に減少しま
す。経営の新しい型として認識しておいた方がよさそうです。

金融機関が最も重視している財務指標のひとつが「自己資本比
率」です。自己資本比率が高いという事は、他人資本(借入等)
への依存度が低いという事ですので、それだけ経営が安定して
いると判断されます。

自己資本を増やす方法は2つです。「増資により資本金を増や
す」もしくは「税引後利益を増やす」です。しかし、日本の中
小企業は、代表者(一族)以外の第三者が株主となることが少
ないため、資本金はあまり大きくなりません。また、満足な税
引後利益を出し続けることも容易ではないため、多くの中小企
業は自己資本が脆弱な状態にあります。

金融機関は、自己資本が脆弱な企業に対して積極的な融資は出
来ません。よって金融庁は、中小企業の実情を考慮し、自己資
本に関していくつかの解釈を認めています。例えば、自己資本
が脆弱であっても、代表者の個人資産がある場合や、代表者個
人からの借入金がある場合は、それを実質自己資本とみなして
良いといった解釈です。そういった解釈のひとつに、「資本的
劣後ローンの取扱」があります。

資本的劣後ローンとは長期一括返済型の借入です。種々の要件
がありますが、実際は負債であるにも関わらず、金融庁はこの
借入を実質自己資本とみなしても良いとしています。企業側に
とっても、長期間返済義務のない資金が入ることで経営が安定
するうえ、みなし自己資本が増えて財務内容が改善されます。

日本政策金融公庫国民生活事業が取扱っている代表的な制度を
紹介します。

制度名:挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)
利用限度:4,000万円
利率:決算の業績に応じて3区分の利率が適用(1%から6.2%)
融資期間:5年1カ月以上15年以内
返済方法:期限一括返済(利息は毎月払)
担保・保証人:無担保・無保証人

技術やノウハウ等に新規性のある新規開業者や足元の業績は黒
字だが過去の赤字によって債務超過や実質債務超過に陥ってい
る企業様にとっては最適な制度です。

利用にあたっては、事業計画書の策定が必要になります。
ご相談ください。

前回号の続きです。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点5:サービスを特定業種に絞り込む事例を紹介します。

●例えば、店舗の企画設計を行うA社は、製菓業界(菓子専門
店)に対象を絞り込んで店舗の企画・設計、施工管理を行いま
した。飲食店も、雑貨店も、住宅も、工場も…菓子専門店の店
舗以外は一切引受けません。菓子専門店で多くの実績を積み上
げて、その実績を同業界に対してのみ告知することで受注の連
鎖が起きます。当然、様々な業界に対応できる企画設計会社と
は、この業界に対するノウハウ・スキルの差がどんどん広がり
ます。あるレベルに到達した後は、価格競争に巻き込まれるこ
ともなく、極めて高い確率で受注できます。絞ることで習得し
たノウハウ・スキルの差は時間とともにどんどん広がります。

◎総花的な店舗の企画設計会社を経営している会社は星の数ほ
どあります。また、どんな店舗にも対応できるということの意
味は、それぞれに対する深い知見は有していないのと同義です。
上記の会社は、『菓子専門店以外はよくわかりませんが、菓子
専門店の店作りに関しては日本一です。』と言い放つことがで
きます。

●例えば、WEB制作、広告企画を行うB社は整体業に特化し
てホームページの制作と広告コンサルタントを行っています。
整体業に絞り込むことで、再現性の高い成功事例を効率的に収
集することができます。コンテンツの共用化も可能です。強い、
効率的なホームページの制作やコンサルティングを行えます。

◎総花的なWEB制作、広告企画会社は星の数ほどあります。
ここに事業立地を設定すると、上手に広告を行って、他社に負
けない価格設定で受注して、効率的にマネージメントできたと
きにのみ事業が存続できます。サービスを特定業種に絞り込む
こと、ここには大きな活路があります。

●例えば、コンサルタント事業を行うC社は、業種を分類して
その業種ごとにコンサルティングを行っています。また、その
業種は大分類ではなく小分類、とにかく細かく分類して攻めて
います。過去において、多くのコンサルタント会社は、業種で
はなくテーマで分類することが多く、この会社はコンサルタン
ト業界における新しいルールの創造者の地位を獲得しました。
基本の戦略は今も変わっていないようです。継続的な成功を収
めておられます。

◎ただでさえ難解なコンサルティング事業において、対象企業
の範囲を広げることは容易ではありません。業種を小分類まで
絞り込むことの最大のメリットは、コンサルタントの養成が容
易になることです。

■何でもできるは何もできないと同義です。

飲食店も、雑貨店も、住宅も、工場も…何でもできる?店舗の
企画設計会社はたくさんありますが、菓子専門店のみを対象と
する店舗の企画設計会社は稀有です。
幅広くWEB制作、広告企画を行う会社はたくさんありますが、
整体業のみを対象にするWEB制作、広告企画会社はあまり見
受けません。
総花的な経営コンサルタントはたくさんいますが、小さな業種
に真に特化したコンサルタントも稀です。
サービスを特定業種に絞り込む方法は、汎用性のある戦略です。

※困ったら、悩んだら絞り込むこと【Simple化】を考えてくだ
さい。広げるのではなく、絞り込むのです。多くの経営者が真
逆の施策を実行しています。

創業時からお付き合いしている企業様の第4期決算が終わりま
した。資本金100万円で会社を設立し、一緒に300万円の
創業融資を借りに行ったのが始まりです。毎期増収増益で推移
し、第4期の売上高は380百万円、経常利益は13百万円と
なりました。4年間の累積利益は27百万円です。

同社が順調に成長できた要因は、社長の経営手腕が優れている
ことはもちろんですが、他人資本(借入)を上手に活用できた
ことも要因のひとつです。4期が終わった時点で70百万円の
借入がありますので、自己資金100万円では成しえなかった
成長を、借入を活用することで実現できたと感じます。

借入が大きすぎるのではと懸念された方もいらっしゃるかもし
れませんが、同社は、借入が70百万円ある一方で、30百万
円の現預金と40百万円の売掛金を持っています。もし、今事
業をやめるなら、手元現金30百万円と売掛金40百万円の回
収で借入を一括完済することが可能です。もちろんこの辺りの
バランスも見ながら借入を進めてきました。

ただ、最初から借入が簡単にできた訳ではありません。創業融
資は500万円で申し込みましたが300万円しか出ませんで
した。また、保証協会の保証を取りつけるのも最初は苦労しま
した。実績を積み上げながら、少しずつ借入を増やしてきた結
果、70百万円になったという印象です。

利益が出る事業を有しているなら、資金を大きく調達して事業
に投入した方がリターンはより大きくなります。しかし、一朝
一夕に資金調達ができるようになる訳ではありません。銀行が
融資の判断材料としている「決算書」のあるべき姿をしっかり
とイメージし、それに向かって実績を着実に積み上げていく必
要があります。

同社も、1期目から税金をしっかり払って利益を計上し、不用
意な社長への貸付や、仮払等が発生しないように努めるなど、
しっかりと決算書をデザインしてきました。そして、決算書が
イメージに近づくに伴って資金調達額も増えています。

資金調達は長期戦です。今現在資金調達に苦労されている企業
様でも、まずは自社の決算書のあるべき姿をしっかりとイメー
ジし、それに向かって日々着実に実績を積み上げていけば、い
つか必ず調達ができる時が来ます。

ただ、「そもそもどのような決算書を目指せば良いか分からな
い。」という経営者様も多いと思います。是非、ご相談くださ
い。