商品やサービスそのものを提供する企業が、それに付帯する周
辺サービスを併せて提供することで、提供先企業が抱える問題
点を解決する「ソリューション提供企業に転身する」…TVCM
等で大手企業がよく掲げるセリフです。

※ソリューションとは、一般的には「回答」や「解決すること」
などの意味を持つ英語です。IT用語としては、企業がビジネス
やサービスについて抱えている問題や不便を解消すること、お
よび、そのために提供される情報システムなどを指します。

◆メーカー(1)

(現)タイヤメーカー
(新)車両の足回りサービス企業
バス会社・運送会社向けに、車両の足回りのメンテナンス業務
をすべて担うサービスをサブスクで行います。商品の単独供給
からソリューション提供に移行する段階で、サブスクモデルに
転換します。

⇒バス会社・運送会社はタイヤそのものを求めているのではあ
りません。快適・安全に走行できる機能が必要なのです。

◆メーカー(2)

(現)製麺事業者
(新)うどん店店舗サポート事業
(コンサルティング事業⇒FC本部)
うどん店向けに、麺を販売していた事業者が、うどん店の運営
支援に乗り出します。さらに、うどん店の成功モデルを見出し
FC本部として事業を展開します。

⇒うどん店は、麺だけでなくおいしい食事、より良い顧客サー
ビス、総合的なお店の成功を求めているのです。

ソリューション提供企業への転身とは上記のような事例を指し
ます。

メーカーが商品だけを売る時代は終わっています。1980年代の
ジャパンアズNo.1の時代に、優れた製品を追求し続けた日本の
メーカーは、世界でもトップレベルの会社に成長しました。し
かしながら、その後のソリューション追及の時代の波に乗り遅
れたようです。

・顧客は、ドリルが欲しいのではなく、穴が欲しい。
・顧客は、土木用重機が欲しいのではなく、整地された土地が
欲しい。
・顧客は、エアコンが欲しいのではなく、快適な空気(環境)
が欲しい。

日本の大手メーカーもこれらのことに対応し始めました。「ソ
リューション提供企業に転身する」、この言葉の意味するとこ
ろです。

メーカー以外にもこの発想転換は重要です。
◆小売店

(現)アパレル店舗
(新)コーディネート機能の充実した試着専用店舗

コーディネート機能を充実させた試着用の実店舗を出店してネ
ット販売との融合で経営の安定化を図ります。

⇒顧客は、服が欲しいのではなく、かわいい、かっこいい身な
り・着こなしを維持したいのです。

■ソリューション提供企業への転身には発想の転換が必要です。

・タイヤではなく、安全・快適な足回りが欲しい。
・ドリルではなく、穴が欲しい。
・土木用重機ではなく、整地された土地が欲しい。
・エアコンではなく、快適な空気(環境)が欲しい。
・衣料(アウター)ではなく、身なりが欲しい。

◎貴社が今提供しているのは…
◎顧客が本当に求めているのは…

上記のギャップを埋めることがソリューションの追加です。
ご検討ください。

中小企業における財務の強化方法についてシリーズでお伝えし
ております。第1回目は、「試算表」を作成することの重要性
を、続く第2回目は、「資金繰り表」を作成することの重要性
をお伝えしました。3回目となる今回は、「中小企業が実践す
べき財務戦略」について解説致します。

試算表や資金繰り表は、それ自体は単なるデータであり、財務
に関する明確な指針を持って初めて価値あるものに変わります。
弊所では、「手元キャッシュをより多く持つ」ことを、中小企
業の財務指針として推奨しています。

手元キャッシュを厚くする主な理由は、「キャッシュが切れな
い限り倒産することはない。」「キャッシュに余裕があれば不
測の事態が起きても落ち着いて対処できる。」「キャッシュが
あれば千載一遇のビジネスチャンスを逃さない。」ためです。
経営の目的を達成するために、キャッシュは絶対に欠かせない
要素のひとつです。

しかし、「元々潤沢な自己資金を持っている。」もしくは、
「毎月キャッシュが余るほど大きな利益を上げている。」ので
なければ、そう簡単に手元キャッシュを厚くすることはできま
せん。手元キャッシュを増やす最も現実的な方法は、「借入を
最大限活用する。」ことです。

借入を嫌う経営者も多いですが、そこには、困った時だけ金融
機関に頼ればよいという錯覚があります。金融機関はこちらの
都合で融資をしてくれません。不測の事態が起きた時、千載一
遇のビジネスチャンスに出会った時、都合よく融資を受けられ
るとは限らないのです。

中小企業の金融機関との正しいお付き合いの仕方は、自社のタ
イミングで融資を受けにいくのではなく、金融機関側のタイミ
ングで融資を受けて手元にキャッシュを置き、必要な時にその
キャッシュを使うというのが正解です。今すぐ必要でない資金
を借りるデメリットは余分な金利を払うことですが、いざとい
う時に融資を受けられないリスクに比べれば小さな問題です。
借入が増えると財務内容が悪くなると考える方もいらっしゃい
ますが、借入と同時にキャッシュも増えますので、実質的な借
入額が増える訳ではありません。

「借入を活用して手元キャッシュをより多く持つ。」ことの重
要性にご賛同いただけたならば、次は、「どうすれば金融機関
から最大限の融資を受けられるか。」という課題にお気づきに
なるのではないでしょうか。金融機関から最大限の融資を受け
るためには、自社の財務状況を定期的に金融機関に開示し、融
資が可能であれば、いつでも提案を持ってきてもらえる関係を
構築する必要があります。

試算表や資金繰り表は金融機関とのコミュニケーションツール
です。試算表や資金繰り表の提出なしに金融機関と円滑な関係
を構築することは出来ませんので、まずは、毎月しっかりと作
成しましょう。さらに、「キャッシュをより多く持つ。」とい
う財務指針も金融機関と共有出来れば、財務はより強固なもの
になります。

躍進を続ける企業には一つ特徴があります。それは、既存の業
界・業種分類に当てはまらないことです。

■アマゾンは何屋さんか?

・ネットの本屋さん?違います。
・ネットの総合通販会社?違います。
・クラウド事業者?違います。
・物流企業?違います。
・金融事業者?違います。
アマゾンは上記のすべて、その他諸々の事業に取り組んでいま
す。何屋さんでしょうか?既成概念では定義できません。

■テスラは何屋さん?

・自動車メーカー?違います。
・バッテリーメーカー?違います。
・発電事業者?違います。
何屋さんでしょうか?既成概念では定義できません。

業界・業種の分類は昭和時代の遺産です。この分類にこだわり、
その中のルールに縛られながら経営するのを止めましょう。
IT・通信インフラの深耕は、ビジネスのやり方を大きく変え
ました。現存する業界・業種の概念は、昭和時代に生まれたル
ールであり、もはや無用の長物、創造に対する阻害要因です。

■業界・業種の壁を超えるためのヒント!

◇問屋業…
1.ニューミドルマン(販売代理⇒購買代理)への転換
2.プラットフォーマーへの挑戦
※問屋が購買代理を極めるとファブレスメーカーに転換します。
買手を囲い込んだこの会社は何屋さんでしょうか?もはや問屋
でもメーカーでもありません。

◇メーカー…
1.モノの供給からモノ+α、ソリューションの提供企業への
転換
2.直販体制(D2C)モデルの構築
※顧客の困りごと解決のための解=ソリューションを提供する
モデルは、メーカーが取るべき標準的な戦略になっています。
また、中間業者を中抜きしてエンドユーザーに届ける直販比率
は確実に高くなります。中抜きが起きます。

◇小売業…
1.店舗販売からeコマース企業への急速な転換
2.デジタルが主、店舗が従の体制へ
※店舗の販売比率は確実に下がります。店舗の定義が変わります。

◇士業…
1.基本業務をベースに周辺事業領域への業務拡大とデジタル
シフトの徹底
2.ノウハウのコンテンツ化(商品化)、デジタル販売
※士業は決められたルールの外でビジネスを行うようになりま
す。まさに業界破壊が起きます。

また、上記すべてにおいて以下の二つは必須要件です。
1.デジタルシフトの徹底
2.売り切りからサブスクリプションモデルへの転換

◎現存する業界・業種の概念を打ち破る、業界・業種の壁を超
える、これらは飛躍の大きなヒントです。自社ビジネスに何を
掛け算するのか?どこから破るのか?深く考えてみませんか。

前回のメールマガジンでは、財務管理の強化は試算表の作成か
ら始まることをお伝えしました。しかし、試算表だけ作成すれ
ば十分かと問われると、そうではありません。試算表にはキャ
ッシュベースの収支が分からないというウィークポイントがあ
ります。

赤字になっても即倒産はしませんが、資金が底をつくと黒字で
も倒産します。そういう意味では、利益管理よりも資金繰り管
理の方が重要です。そして、資金繰りの管理を行うツールが
「資金繰り表」になります。資金繰り表は、毎月の入金額と支
出額を項目ごとにまとめた単純な表ですが、財務管理にとても
役立ちます。

殆どの社長様が何らかの資金繰り表を作成していると思います。
実際に表を作成していなくても、頭の中にはおおよその入金額
と支出額が入っているはずです。ただ、残念なことに今月もし
くは来月、といった短い期間の資金繰り状況しか把握できてい
ないのが実態ではないでしょうか。

短期間の資金繰り計画しか立てていないと、「お金が足りない!」
という事態が1か月ほど前にしか分からないということになり
ます。1か月という時間は、資金調達を行うには決して十分な
時間ではありません。経営者としての他の大切な業務を削って
でも資金調達に走り回らなくてはならなくなります。行き当た
りばったりの財務活動です。

計画的に財務活動を行うために実践していただきたいのは、向
こう1年間の「資金繰り計画」の作成です。1年程度先までの
資金繰り計画を立て、資金の流れを予測しながら、資金調達や
設備投資の計画を立てます。1年先の売上など分からないとい
う声もお聞きしますが、向こう1年間の「資金繰り計画」とあ
わせて、過去1年間の「資金繰り実績」も作成してみてくださ
い。過去の売上の動きから未来の売上の動きを何となく予測す
ることができるかもしれません。

財務管理の最大の目的は、「資金を切らさないこと」です。試
算表で利益を管理しながら自社の資金調達力を高め、資金繰り
計画を立てて計画的に資金調達や設備投資を行えば、資金に慌
てることなく落ち着いて経営に専念できます。

これらは(以下は)、5年~10年後、いや、それより早く、
いや、もうすでに起こっている現実です。経営者として、しっ
かり認識いただき、その方向に舵を切ってください。
※言い古された言葉ですが、変化は猛スピードで、加速しなが
ら起きています。

■ルールチェンジの兆候!8つのキーワード!

◆1.デジタルシフト!

〇デジタルが主、リアルが補完する、パワーバランスが変化す
る!
※試着(現物確認)・リサーチ専門店の出現!
※基本はデジタル、リアルは限定的に!

◆2.中間流通、小売業の衰退!

〇中間事業者はニューミドル(販売代理⇒購買代理)の立ち位
置を確保!
〇メーカー(サプライヤー)はD2C(C2M)マイチャンネ
ルの構築!
〇プラットフォーマーと共存!

◆3.マネタイズ、投資思想、顧客との関係性の変化!

〇売り切りからサブスクへの転換を図る!
〇フリービジネスの更なる台頭!マネタイズポイントの変化!

◆4.商品・サービス提供からソリューションの提供へ!

〇もの・こと提供者からソリューション提供企業への転換!
※ブリヂストンはタイヤメーカーからソリューション提供企業
へ!

◆5.業界分類の崩壊!

〇現業界にこだわらない事業展開!業界の壁の破壊!事業立地
の変更!
※アマゾンは、物販⇒クラウド⇒金融⇒…

◆6.持たざる経営、保有のデメリットが顕在化!

〇日本のBIGカンパニーは保有のデメリットと戦う!
※人・ハード…余剰整理との戦い!

◆7.経済の効率化が進む!

〇本格的な人余りの時代が到来する!
〇大企業は余剰人員・余剰設備の削減と戦う!
〇ベーシックインカムの検討・導入?

◆8.格差が拡大する!

〇中小企業はアッパーニッチで自社領域の確保を目指す!
※ロアマスに生きる余地は少ない!

絶対に逆らってはいけない相手は時流・トレンドです。時流と
いう強烈なうねりに適合しながら、自社の経営をより良いもの
に作り込んで行きましょう。

殆どの中小企業が財務管理に改善の余地があると感じます。財
務管理が弱いと、自社の財務状況を金融機関に正確かつタイム
リーに伝えられないため、本来融資を受けられる業績であって
も、融資を断られる場合があります。融資をスムーズに受けら
れなければ、成長の機会を逃したり、資金不足に陥ったりしま
すので、財務管理は強い方が安心です。

財務管理強化の第一歩はどんぶり勘定から脱却することです。
通帳の残高を見ながら感覚的に経営するのではなく、財務数値
に基づいて経営判断を行った方が、より正確な経営判断を下す
ことができます。正確な財務数値を把握するために、まずは月
次試算表の作成から始めましょう。試算表を見れば、キャッシ
ュの動きだけでは分からない「利益」と「資産・負債」の状況
が分かります。

どんぶり勘定が引き起こす代表的な事例は以下となります。

■ 実は赤字だが資金繰りが回っているため気がつかない。
本当は赤字に気づいているのかもしれませんが、赤字を直視し
ないことによって対策が遅れます。赤字を改善する努力を行わ
ず、借入で資金繰りをごまかすことを優先し続けると、必ず最
後に資金が行き詰ります。

■ 無駄な資金繰りに時間を費やしている。
取引条件によっては黒字でも資金繰りが苦しくなります。黒字
ですので融資を容易に受けることができ、資金繰りの苦労から
も簡単に解放されますが、それに気づかず資金繰りに多大な労
力をかけています。

■ 融資を受けられるタイミングを逃している。
本当によくあるケースですが、6か月前なら融資を受けられた
というケースです。融資はいつでも受けられる訳ではありませ
んので、財務状況をタイムリーに管理し、一番借りやすい時に
借りておくのが鉄則です。資金が必要なのに融資を断られて困
っている企業様の半数は、過去に資金調達のタイミングを逃し
ています。

他にもたくさん事例はございますが、お伝えしたいのは、「試
算表」を毎月作成することの重要性です。試算表は、あらゆる
経営判断を下す根拠となるものですので、財務管理を強化する
ための第一歩として、試算表を毎月作成することからスタート
してください。

新年あけましておめでとうございます。
昨年は突然コロナ禍が襲来しました。パンデミックという言葉
は以前からありましたが、想像と現実の違いを実感させられま
した。それでも、明るく前向きに、日々最善で生きて行きたい
ものです。本年もよろしくお願いします。

年初に当たって、もう一度、経営の基本指針について言及させ
ていただきます。一つの考え方としてご確認ください。

■1:無駄の少ない「Simple」な経営を目指してください。

余計なものをそぎ落とし、密度の濃い「Simple」な経営体に生
まれ変わりましょう。以下の仮説を持っています。
『日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。売上至上主義は、分散症候
群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、
減収(売上減)を容認する経営に移行してください。』

売上高はいくらか?社員数は何人か?事務所は大きいか?立派
か?…事業体の良し悪しをこのような基準で判断するのではな
く、利益はいくらか?…この単純な尺度で図る発想も重要です。
同じ利益なら、売上は小さい方が、社員数は少ない方が、事務
所は狭い方がよい…こんな考え方もあるはずです。

■2:高収益「Profitable」な企業作りを目指してください。

売れた時には、大きな利益を出せる収益構造を当初から設計し
ましょう。高めの粗利益率の設定、高めの値付けを心掛けてく
ださい。値決めを外すなら高めに外してください。ビジネスと
して完成した時点での営業利益率は20%以上で設計してくだ
さい。安売り戦略は、経営の難易度を高め、事業体の創造力を
奪い去る原因になります。

■3:手持ち資金を潤沢「Ample」に維持してください。

資金余力は企業経営の余裕代、時間を提供してくれます。財務
機能を持ってください。資金は可能な限り潤沢に持ち続けまし
ょう。借入れの金利負担よりも、資金に困るリスクの方がはる
かに深刻であることを認識してください。また、借入れのタイ
ミングは、自社が資金を必要とするタイミング(借り手の都合)
ではなく、金融機関が融資できるタイミング(貸し手の論理)
に沿うことが重要です。総じて貸し手の方が強いからです。
資金余力がもたらす経営者の心の余裕と、増加分の金利負担を、
天秤にかけて比較してください。

※当事務所が提供する【財務部長の代行業務】の導入を検討し
てください。

■4:変化に対応できる柔軟性「Flexible」のある企業体を維
持してください。

計画のずれを想定した経営を行ってください。計画(売上の達
成)が遅れることを想定しながら経営してください。「コント
ロールできない売上を、コントロールできる売上以外の経費の
執行で調整する」、これが経営管理です。経費の執行をワンテ
ンポ遅らせる…これが不透明な時代に、企業体力が十分でない
事業体が選択すべき経営のコツです。また、遅れを許容するた
めの資金余力を持てる財務戦略が重要です。

■5:経営判断を明確「Clearly」にしてください。

感覚に頼らず、数字を基準にした論理的な経営を行ってくださ
い。曖昧な経営判断、お人好しな対応を止めましょう。経営は、
感覚や概念ではなく、数字で管理してください。感覚や概念を
基準に考えると、判断が曖昧になりがちです。数字基準での判
断は、その判断の精度を各段に向上させます。経営が締まりま
す。

◎経営の判断基準は何か?永遠のテーマです。 経営の判断基
準は無限にあります。逆にも真あり、敢えて真逆を攻めること
で成功することもあります。それでも、王道をお薦めいたしま
す。王道とは、多くの偉人が語り続けた経営の道です。上記の
方針は、偉人が語る経営の道に近似しているはずです。当然で
す、偉人の言葉を借りているからです。経営者の皆さま方が、
理詰めで考えて、腑に落ちた部分については、今後の指針とし
て、深く、深く…心に刻んでください。

本年度、皆さま方の更なるご発展とご健勝を心より祈念いたし
ます。引き続きよろしくお願いします。感謝・合掌

2020年度は企業にとって大変厳しい年となりました。夏以降
は赤字で決算を締める企業が増えており、コロナウィルス感染
拡大の影響の大きさを痛感しています。この状況は今年で終わ
った訳ではなく、現在進行形で来年も引き続き対処が必要です。

コロナ対策融資、補助金や助成金により、赤字であっても即倒
産という状況ではないと思いますが、手元現預金が日々減少し
ており、追加融資を受けられるかどうかが気になっている社長
様も多いのではないかと感じます。

コロナ関連融資は政府の政策であり企業の救済が目的です。し
かし、金融機関は返済原資のない赤字企業に融資をし続けるこ
とに葛藤があるようです。数年以内に業績が確実に回復する見
込みがあれば、現在を乗り切るための融資を出すことは問題あ
りませんが、回復の見込みがない企業に延命のための融資を出
してしまえばモラルハザードになるためです。

実際に、当初は比較的審査が緩く、多くの企業がコロナ関連融
資を受けることができましたが、コロナウィルスが落ち着くに
したがって、審査もだんだん厳しくなっています。追加融資は
もっと厳しく選別されることが予想されます。

では、金融機関は、追加融資をする企業としない企業をどのよ
うに選別するのでしょうか。様々な視点で検証されるとは思い
ますが、やはり外部環境への適用努力状況が大きなポイントに
なるはずです。

赤字の決算書を提出し、業績の回復はコロナ次第、苦しいから
とにかく助けて、というスタンスはもう通じないと思います。
外部環境を踏まえ、自社がどのような企業努力を行ってきたか
が問われます。

具体的には、経費の削減努力、新たな売り方への挑戦、新たな
商品やサービスの開発などが審査の判断材料になります。利益
は出ないまでも、新たな商品やサービスの売上が立っていたり、
引き合いが増えていたりすれば、業績の回復見込みありとして
追加融資を受けられる可能性は高まると思います。

…前回からのつづきです。

自社の経営をより良くするためには、今のビジネスモデルに新
しいアイデアを付加することが一つの道です。そのためには、
様々な経営の法則を一つでも多く頭に入れてください。
経営者として知っておくべき知見は星の数ほどありますが、ほ
んの一部を紹介します。

■コントロールするのか?適合するのか?(SP経営協会)

○経営の対象には…
◆1:コントロールできる事
◆2:頑張ればコントロールできる事
◆3:コントロールできない事
の三つがあります。

○経営を安定・成長させるためには…
◆1:コントロールできる事を完全にコントロールする事
◆2:頑張ればコントロールできる事をできるだけコントロー
ルする事
◆3:コントロールできない事には、できるだけ適合する事
※特に、時流には積極的に身を預けるぐらい適合する事が重要
です。絶対に逆らってはいけません。

コントロールできる事をコントロールしない事を『放漫経営』
と呼びます。頑張ればコントロールできる事をコントロールし
ない事を『怠慢経営』と呼びます。コントロールできない事を
コントロールしようとする事を『独り善がり経営』と呼びます。
さらに、時流に逆らう経営は『最も愚かな経営』です。

■低粗利益率のビジネスは、小資本企業には不向きです。
(SP経営協会)

粗利益率は外部との関わり度合いで決まります。
粗利益率20%、これはエンドユーザーに届くまでの役務・価
値の内の、80%は自社以外が担っている・生み出しているこ
とを意味します。同様に、粗利益率50%はその関わり度合い
が50%、粗利益率100%はそれが100%であることを意
味します。

◆粗利益率100%が必ずしも優ではありません。
粗利益率100%とは、ユーザーに商品やサービスを届けるま
でに、他人の力を借りないことを意味します。良く言えば自前
主義、悪く言えば協業ができない、故に、一般論として粗利益
率100%のビジネスは大きくなりません。

◆一方、低粗利益率のビジネスは、小資本企業には不向きです。
低粗利益率のビジネスは、大資本家向けです。他人の知恵と、
自身の資本力・資金力をうまく活用して利益を上げます。金融
業や商社がこれに該当します。

小さな資本しか持ち合わせていない中小・零細企業や独立開業
者は、「金は無いけど知恵を使う」ビジネスを行っていかねば
なりません。その多くを他人の力に頼る低粗利益率ビジネスで
成功することはできません。極めて難解です。
小資本企業にとっての適正な粗利益率とは…(感覚論で恐縮で
すが、最低でも)40%以上を目指してもらいたいと思ってい
ます。

…次回につづく

●まさかのコロナショック、大変ご苦労されておられる経営者
様も少なくないはずです。それでも、明るい未来に希望を持っ
て、日々精進していこうではありませんか。

本年もお世話になりました。良い新年をお迎えください。
感謝・合掌

コロナ融資を受けた企業様は、その後の業績確認のため、試算
表の提出を求められ始めているのではないでしょうか。

ある関与先様から、「金融機関から試算表の提出を求められた
が、融資金の一部を個人的な支出に充ててしまっているため提
出したくない。断ることはできないか?」というご質問があり
ました。

試算表の提出を拒んだからと言って融資金を引き上げられたり
することはもちろんありません。しかし、提出を拒むことにポ
ジティブな理由はありませんので、金融機関の担当者はネガテ
ィブに捉えることは間違いありません。

まずは、試算表の提出を依頼してきた金融機関の担当者に、試
算表が必要な理由を率直に聞いてみました。回答は「保証協会
に売上高の報告をするため」とのことでした。

よって、「試算表がまだ出来ていないため、売上高だけ集計し
て提出すればよいか」と確認するとそれでよいとのことです。
何かを調べたいのではなく、報告が必要なので単純に仕事とし
てやっているという感じでした。

仮に試算表の提出が必須だという回答だった場合はどうするべ
きでしょうか。ありのままを提出し、個人的な支出に流用しな
くてはならない理由があったならそれを説明し、理由がなけれ
ば真摯に反省し、決算までには個人的な支出分を会社に戻す努
力をすることをお約束するのが正解だと思います。

試算表の提出(業績の報告)は金融機関との最良なコミュニケ
ーションツールです。金融機関に対して負い目がある時は、試
算表の提出を依頼してきた担当者に対して、「そんなことに対
応している暇はない。」などと攻撃したり、不機嫌な態度をと
ったりする経営者もおられます。不安や保身から取ってしまう
行動だと思いますが何のプラスにもなりません。

金融機関とは信頼関係を構築できないとお考えの経営者様も少
なからずいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。
もちろん、一朝一夕に構築できるものではありませんが、良い
ことだけでなく、悪いことも報告して相談することが関係構築
の第一歩になります。