「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編」
などを目指す企業体に対して、総額1兆1,485億円、通常枠100
万円~6,000万円、補助率2/3の補助金が予算化されました。
以下、新規事業を立ち上げる時の考え方について記述します。

同じ努力を続けても、その成果の大小は、その選択する事業、
ビジネスモデルや事業立地によって大きく変わります。努力が
よりたくさんの成果を生み出せるような事業を選択してくださ
い。(中小零細企業にとっての)新規事業の選定について検証
してみます。

◆1.社長(会社)が得意で好きな事業を狙う!

社長が不得手な事業や好きでない事業に手を出すべきではあり
ません。IT音痴な社長が、高度なITリテラシーを求められ
る事業を行うべきではありません。また、ラーメンが嫌いな社
長が、ラーメン屋さんを開業してもうまくいきません。

◎得意なこと、好きなことを事業にする、これは最初に確認す
べきことでしょう。

◆2.最適な(できるだけ小さい)マーケットサイズ(MS)
の市場を狙う!

BIGマーケットへの参入は、中小零細企業が行うことではあ
りません。今想定しているマーケットが大き過ぎるなら、対象
とするマーケットを敢えて絞り込んでください。BIGマーケ
ットは、多くのBIGカンパニーが、その資本力とブランド力
を駆使して戦う厳しい戦場(レッドオーシャン)です。中小零
細企業が入り込める市場ではありません。

◎狙うマーケットサイズの大きさが適切か、これも確認してく
ださい。

◆3.多大な資金を必要としない事業を狙う!

自身で調達できる資金内(自己資金+可能な借入れ+今回は補
助金)で、一旦立ちあげられる事業を選択してください。力不
相応な資金計画を立てて、資金さえあれば…このないものネダ
リは止めましょう。ステージを一つずつ超えて行きましょう。
また、事業拡大時に多大な事業資金を必要とする事業、金融事
業・投資事業や粗利益率の低い事業は、中小零細企業が取組む
事業ではありません。

◎必要な資金総額が力相応か、これも確認してください。

◆4.付加価値の高い(高価格帯)事業を狙う!

大雑把に分類すると、低価格帯ゾーンのBIGマーケット(ロ
アマス)はBIGカンパニー向け、一方、高価格帯のニッチマ
ーケット(アッパーニッチ)は中小零細企業向けです。ミドル
ゾーンやロアゾーンではなく、アッパーゾーンの価格帯を狙っ
てください。1斤200円の食パンマーケットは大手メーカーで寡
占状態ですが、1斤800円の食パンマーケットには、空きがあり
ました。(現時点では、すでに飽和しかけていますが。)

◎アッパーニッチ(高価格帯の隙間)を狙ってください。

◆5.事業立地を間違えない!

最後に、高収益企業研究の第一人者、三品和広氏〔神戸大学大
学院・経営学研究科教授〕の言葉を引用して紹介させていただ
きます。
『…(高収益企業の研究を通じて)成功例に共通している点は
一目瞭然だった。「事業立地」がよいということだ。仕事の仕
方の工夫や製品開発ではなく、そもそも「何屋さんをやるか」
の選び方が優れている。事業立地の考え方では、ある市場の中
でどこにポジションするかよりもむしろ、そもそもどの市場を
選ぶかが重要になってくる。…』

◎何より大切なのは、事業立地の選定です。

一生懸命頑張ること、これは中小零細企業経営者にとって重要
なことです。ただ、これは成功のための必要条件であって、十
分条件ではありません。十分条件は、頑張ることで、社長自身
も会社も、従業員も報われる事業を選定・設計することです。
社長には、この十分条件を検証し続ける責務があります。これ
こそが、経営者に求められる経営力です。この経営力を磨くた
めに費やす勉強時間とお金をしっかり確保してください。努力
がよりたくさんの成果を生み出せるような事業を選択してくだ
さい。

入社した時、または、先代の跡を継いだ時、その会社にはすで
にビジネスモデルが存在し、ある程度円滑に機能しています。
新入社員は、後継者は、このビジネスモデルに沿って事業に関
与します。その地位が上がっても、その関与する範囲を拡大さ
せるだけで、過去のビジネスモデルを踏襲するケースがほとん
どです。結果として、ほとんどの人が、新規事業を真に創造し
たことがありません。過去のビジネスを踏襲しながら改善する
ことと、ゼロから創造することには雲泥の差があります。新規
事業をはじめる時には、肝に銘じてください。

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