前回号の続きです。

イノベーションは、『技術革新』ではなく『新結合』です。

■イノベーションは誰にでもできます。

イノベーションを『技術革新』と定義してしまうと、多くの中
小企業には敷居が高くなり、自社には無関係の代物に思えてき
ます。一方、イノベーションを『新結合』と定義しなおすと、
イメージが湧いてきます。

イノベーションの父と言われる経済学者、ヨーゼフ・アロイス
・シュンペーターは、1912年に著した『経済発展の理論』の
中で、イノベーションの定義を「これまで組み合わせたことの
ない要素を組み合わせることによって新たな価値を創造するこ
と」=『新結合』と言っています。

イノベーションは、『技術革新』ではなく『新結合』なんです。
まずは、定義を改めましょう。

■イノベーションを起こすとは、『新結合』を起こすこと、す
なわち、結合の相手を探すことが近道です。

前回号で解説した、

◆一つ目は、既存事業を守りながら、経営原則に当てはめて修
正する、令和の経営原則を知り、自社の実態との齟齬を認識し
て修正することです。修正しようとするプロセスでイノベーシ
ョンが生まれます。

◆二つ目は、事業開発を行い、事業を付加(掛け算)する、新
しいビジネスモデル(広義)を知り、自社に導入することです。
導入するプロセスでイノベーションが生まれます。

上記2つの指針に沿って、イノベーションに挑戦してください。

■イノベーションに関するピーター・ドラッカー氏からのメッ
セージ

ドラッカー氏は、マネージメント・エッセンシャル版(ダイヤ
モンド社)の中で、イノベーションに関する示唆に富む言葉を
数多く残されています。初版が発行された1973年当時の言葉
と思うとやはりすごすぎる先生です。以下、ご紹介します。

「現代というイノベーションの時代において、イノベーション
のできない組織は、たとえいま確立された地位を誇っていても、
やがて衰退し、消滅すべく運命づけられる」
「管理的な目標や基準とは別に、イノベーションのための目標
と基準の必要を知れ」
※補足:新規分野の事業に関する計画立案、執行、運営に関す
る指針です。新規事業は先が読み切れないので柔軟に対応しな
さい、と私は解します。

「新しいものの創造と既存のものの面倒は、同時に行えない」
※補足:新規事業は、既存事業と分けて取り組め、と言ってお
られます。

「イノベーションは常に市場に焦点を合わせなければならない。
市場ではなく、製品に焦点を合わせたイノベーションは、新奇
な技術は生むかもしれないが、成果は失望すべきものとなる。」

■多くの中小企業にとって必要なのはイノベーションです。

以下をもう一度ご確認ください。

『多くの並みの中小企業のビジネスモデルはありきたりです。
また、成熟期後期から斜陽期を迎えています。事業をマシーン
に例えると、マシーン自体が2世代前の代物で老朽化していま
す。この状況下においても、ほとんどの経営者は【管理的機能
の強化・改善】に終始しています。本当に必要なのは管理機能
の強化ではなく【事業開発≒イノベーション】です。』
(SP経営協会)

【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベー
ション】を断行してください。

…次回号に続く

「銀行家というのは、太陽が照っている時に自分の傘を差しだ
し、雨が降り始めるやいなや傘を返せというようなやつだ」と
言う有名な言葉があります。トムソーヤの冒険を書いたマーク・
トウェインの言葉だそうです。ユニークな言い回しで、なるほ
どそうだと納得させられる名言です。

しかし、経営者にとっては銀行の役割を取り違えた少し危険な
考え方です。そもそも銀行が貸している傘は、雨傘ではなく日
傘です。晴れた日には大いに役立ちますが、雨の日に使うもの
ではありません。すぐに使い物にならなくなってしまいます。

銀行が保有しているお金は預金者から預かっているものです。
預金者から見れば、業績が悪化して返済の目処が立たない企業
に融資をするのは許されない行為です。いろいろな考え方があ
るとは思いますが、経営者であれば「銀行の姿勢は事実そうで
ある」ことを受け入れる覚悟が必要です。

債権者、債務者と言う考え方でいけば、もちろん銀行は企業よ
り強い立場にあります。しかし、銀行は預かったお金を運用し
なければ生きていけません。預金者のお金を運用しなくてはな
らない銀行と、そのお金を使って新しい事業を起こす経営者は
パートナーの関係にあり、その点で銀行と企業は対等です。

銀行の役割を正確に捉えることは経営者にとって重要なポイン
トのひとつです。銀行は困った企業を助ける救済機関だと考え
ている経営者は、融資をしてくれない銀行を恨みます。金利を
払って銀行を儲けさせる考えなど毛頭ありません。そのような
経営者は銀行から敬遠されます。

一方、銀行は現在の事業をワンランク拡大するためのパートナ
ー機関だと考えている経営者は銀行を恨みません。そもそも雨
傘は貸してくれないと知っているからです。晴れの日に、さら
に前に進むための日傘を借りにいき、その対価として一定の金
利を払うことを当然だと考えています。そのような経営者には
資金が集まります。

ファイナンスは経営者にとって必須のスキルです。しかし、金
融機関の役割を正しく捉えられていないために、間違った銀行
対応をしている経営者様を多くお見受けします。まずは、銀行
の役割を正確に定義しましょう。

■【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベ
ーション】を…

「多くの並みの中小企業のビジネスモデルはありきたりです。
また、成熟期後期から斜陽期を迎えています。事業をマシーン
に例えると、マシーン自体が2世代前の代物で老朽化していま
す。この状況下においても、ほとんどの経営者は【管理的機能
の強化・改善】に終始しています。本当に必要なのは管理機能
の強化ではなく【事業開発≒イノベーション】です。」
(SP経営協会)

現場には、老朽化したマシーンをメンテして、フル稼働できる
状態を続けられるように指示してください。一方、経営者の真
の仕事は、新しいマシーンの創造・開発、せめて、大幅なリニ
ューアルです。

■【事業開発≒イノベーション】の現実的な取り組みは…

◆1:一つ目は、既存事業を守りながら、経営原則に当てはめ
て修正する、令和の経営原則を知り、自社の実態との齟齬を認
識して修正することです。

○例えば、過度の売上至上主義は、様々な経営への悪影響を及
ぼしています。

「日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。…脱・売上至上主義、減収
(売上減)を容認する経営に移行してください。」
(SP経営協会)

○例えば、所有する経営から持たない経営への転換は、令和時
代の経営の基本思想です。

・売上…厳選した売上に絞る
・商品…高収益商品に厳選して
・顧客…優良顧客に厳選して
・原価…40~60%、外部の力を利用して
・販管費…固定費は極小で
・従業員…厳選して、外注・業務委託を活用して、変動費化する
・事務所…できるだけコンパクトに
・働き方…テレワークを活用して、極力出社しないで
・評価制度…求める(必要な)従業員に厚く分配する

◎打ち手1:減収を容認する事業計画の策定、運用
◎打ち手2:高付加価値化政策の徹底
◎打ち手3:原則持たない、この価値観への転換を図る

◆2:二つ目は、事業開発を行い、事業を付加(掛け算)する、
新しいビジネスモデル(広義)を知り、自社に導入することで
す。

新しいビジネスの型(広義のビジネスモデル)を知り、それを
自社に導入すること、そのプロセスでイノベーションが生まれ
ます。例えば、サービスや商品を提供する企業がソリューショ
ン提供企業に変わろうとすれば、そのサービスや商品の提供方
法、マネタイズを大きく見直す必要が生じます。この過程でイ
ノベーションが生まれます。

事業開発≒イノベーションのヒントは、新しいビジネスの型の
中にたくさんあります。

・サブスクリプション1.0⇒2.0
・受注型⇒プロダクト化
・ソリューション提供企業への転換と継続課金
・D2C(C2M)、クラウドファンディング
・DX ・業界の壁を破る ・同業者支援モデル
・ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム …等々

◎打ち手4:新しいビジネスの型(広義のビジネスモデル)を
自社に導入する

※「事業開発は、既存の事業と切り離し、エースを投入して行
うことが必須です。」50年前のドラッカー氏の言葉(要旨)で
す。

【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベー
ション】を断行してください。

…次回号に続く

起業してこれから融資を受けようと考えている方はもちろん、
経営経験の長い経営者様であっても、お付き合いする銀行をど
のような観点で選べばよいか分からない方も多いと思います。

金融機関の力を最大限活用するためには、ご自身に合った金融
機関を選んだ方が有利ですので、まずは、金融機関の種類や特
性を見ていきましょう。

■ 金融機関は大きく次の5種類に大別できます。

◆政府系金融機関
最も有名な政府系金融機関は日本政策金融公庫です。預金取引
は行わない融資取引のみの金融機関で、信用力が低い創業時か
らお付き合いできる数少ない金融機関です。企業規模に関わら
ず、事業資金の融資相談に乗ってもらえます。あまり知られて
いませんが、日本政策金融公庫は国民生活事業、中小企業事業、
農林水産事業の3つに分かれており、これにより数百万円の創
業融資から数億円規模の事業融資まで幅広く対応しています。

◆メガバンク
明確な定義はありませんが、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三
井住友銀行の3行を3大メガバンク、りそな銀行を加えた4行
を4大メガバンクと表現することが多いようです。規模が大き
く全国に支店があるため、口座を持っているという方も多いと
は思いますが、事業資金のプロパー融資取引となると、規模の
小さな中小企業にとっては、少し敷居の高い金融機関です。

◆地方銀行
各都道府県に本店があり、地域経済の発展に尽力している金融
機関です。地域経済に大きな影響力を有する企業や地場産業を
営んでいる企業を中心として、主に地域の中小企業向けに融資
取引を行っています。メガバンクとは違った役割を担っていま
すが、「銀行」ですので、審査の傾向はメガバンクと似ていま
す。

◆信用金庫・信用組合
地域経済の発展に尽力している点においては地方銀行と同じで
すが、地方銀行よりも、さらに地域の細部に根付いています。
経営形態も銀行とは違い、企業が出資者となって相互扶助を目
的とする協同組織型の金融機関です。よって、まず出資をして
会員とならなければ融資取引をしてもらえません。小規模の事
業者にとっては身近な存在です。

◆ノンバンク
預金の受け入れは行わず、融資取引のみを行う金融機関をノン
バンクと言います。信販系やリース系の金融機関もノンバンク
に分類されます。金利は高いものの手軽に利用できるメリット
があります。

例えば、貴社が年商3千万円の小規模企業であれば、メガバン
クとお付き合いをしても積極的な提案は受けられないかもしれ
ません。メガバンクの主たる取引先は大企業になりますので、
小さな会社の対応は手薄になりがちです。

あくまでもイメージですが、創業~年商3億円程度までは日本
政策金融公庫国民生活事業及び信金信組をメインとし、年商3
億円を超えたあたりで地方銀行や日本政策金融公庫中小企業事
業にチャレンジ、年商が10億円を超えたあたりでメガバンク
にチャレンジするのが理想だと感じます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

年初に当たって、もう一度、経営の基本原則について言及させ
ていただきます。一つの考え方としてご確認ください。

■1:無駄の少ない「Simple」な経営を目指してください。

余計なものをそぎ落とし、密度の濃い「Simple」な経営体に生
まれ変わりましょう。以下の仮説を持っています。

『日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。売上至上主義は、分散症候
群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、
減収(売上減)を容認する経営に移行してください。』

売上高はいくらか?社員数は何人か?事務所は大きいか?立派
か?…事業体の良し悪しをこのような基準で判断するのではな
く、利益はいくらか?…この単純な尺度で図る発想も重要です。
同じ利益なら、売上は小さい方が、社員数は少ない方が、事務
所は狭い方がよい…こんな考え方もあるはずです。

■2:高収益「Profitable」な企業作りを目指してください。

売れた時には、大きな利益を出せる収益構造を当初から設計し
ましょう。高めの粗利益率の設定、高めの値付けを心掛けてく
ださい。値決めを外すなら高めに外してください。ビジネスと
して完成した時点での営業利益率は20%以上で設計してくだ
さい。安売り戦略は、経営の難易度を高め、事業体の創造力を
奪い去る原因になります。

■3:手持ち資金を潤沢「Ample」に維持してください。

資金余力は企業経営の余裕代、時間を提供してくれます。財務
機能を持ってください。資金は可能な限り潤沢に持ち続けまし
ょう。借入れの金利負担よりも、資金に困るリスクの方がはる
かに深刻であることを認識してください。また、借入れのタイ
ミングは、自社が資金を必要とするタイミング(借り手の都合)
ではなく、金融機関が融資できるタイミング(貸し手の論理)
に沿うことが重要です。総じて貸し手の方が強いからです。
資金余力がもたらす経営者の心の余裕と、増加分の金利負担を、
天秤にかけて比較してください。

※当事務所が提供する【財務部長の代行業務】の導入を検討し
てください。

■4:変化に対応できる柔軟性「Flexible」のある企業体を維
持してください。

計画のずれを想定した経営を行ってください。計画(売上の達
成)が遅れることを想定しながら経営してください。「コント
ロールできない売上を、コントロールできる売上以外の経費の
執行で調整する」、これが経営管理です。経費の執行をワンテ
ンポ遅らせる…これが不透明な時代に、企業体力が十分でない
事業体が選択すべき経営のコツです。また、遅れを許容するた
めの資金余力を持てる財務戦略が重要です。

■5:経営判断を明確「Clearly」にしてください。

感覚に頼らず、数字を基準にした論理的な経営を行ってくださ
い。曖昧な経営判断、お人好しな対応を止めましょう。経営は、
感覚や概念ではなく、数字で管理してください。感覚や概念を
基準に考えると、判断が曖昧になりがちです。数字基準での判
断は、その判断の精度を各段に向上させます。経営が締まりま
す。

◎経営の判断基準は何か?永遠のテーマです。経営の判断基準
は無限にあります。逆にも真あり、敢えて真逆を攻めることで
成功することもあります。それでも、王道をお薦めいたします。

王道とは、多くの偉人が語り続けた経営の道です。上記の方針
は、偉人が語る経営の道に近似しているはずです。当然です、
偉人の言葉を借りているからです。経営者の皆さま方が、理詰
めで考えて、腑に落ちた部分については、今後の指針として、
深く、深く…心に刻んでください。

創業・起業時の資金調達手段として最もポピュラーなのは、日
本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の創業保証です。一
定の要件を満たせば誰でも利用できる制度であり、創業・起業
時の資金調達環境は比較的整っていると感じます。

しかし、創業・起業は3年で7割が廃業するとも言われており、
創業融資を受けて無事に開業できても、生き残るのは大変厳し
い世界です。では、3年未満に廃業してしまう事業者と3年以
上生き残れる事業者の違いはどこにあるのでしょうか。長年の
経験から、生き残れるかどうかは、創業融資の次、2回目の融
資を受けられるかどうかが決め手だと感じます。

2回目の融資を受けられる時期は、1期目ないし2期目の決算
が終わった辺りですが、2回目からの融資は、創業融資のよう
に要件の充足ではなく、業績(実績)が重視されます。

2回目の融資で最も重視される業績は売上です。創業して1年
ないし2年が経っても一定の売上が立たない場合は、経営者の
実力が不足している、もしくは提供している商品やサービスが
市場から必要とされていないと考えられます。よって、2回目
の融資を受けるためには売上が必須です。売上が立てば、一般
的には月商の2カ月程度の融資を受けられる可能性が出てきま
す。

売上が立ったけれど赤字の場合はどうでしょうか。赤字の額に
もよりますが、赤字だからといって絶対に融資を受けられない
訳ではありません。損益分岐点に届かなかったため赤字だが、
融資金によって損益分岐点を超える売上を獲得できると判断で
きれば融資をしてくれるはずです。

創業時にありがちなミステイクの一つは、本当は利益が出てい
るのに納税を嫌って意図的に業績の悪い決算にすることです。
決算内容を悪くすることで、2回目の融資を断られる、もしく
は少額に留まってしまうと、攻める経営ができない⇒低成長⇒
さらに融資も出なくなるという悪循環に陥り、事業の拡大どこ
ろか段々と資金が細り遂には廃業ということになりかねません。

一方、納税を受け入れて利益をしっかり出した企業は、2回目
のファインナンスにより事業を成長させることができ、その成
長が更に大きな融資を呼び込みます。1期目もしくは2期目の
決算処理を誤ることで、その後の姿が大きく変わるので気をつ
けてください。

創業・起業された方は、最初の目標を「2回目の融資を受ける
事」に設定することで生き残れる可能性がぐんと高まります。
2回目の融資を受けるために必要なことをひとつひとつ学んで
いきましょう。

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

今年は令和5年です。昭和98年ではありません。誰もが知って
いるはずですが、昭和の経営・考え方をそのまま踏襲している
方も少なくありません。新年を迎えるに当たって、もう一度令
和の経営について考えていただければ幸いです。

■1.昭和と令和は社会情勢が大きく異なります。

昭和は、危険・不便・不快等、解決すべきテーマがたくさんあ
りました。前回の東京オリンピックが開催された1964年の冷
蔵庫の普及率は10%だったそうです。大変不便な世の中でした。
このような大きな困りごとを解決するためのプロダクト開発と
大量生産、それを実現するための同質化されたマネージメント
体制が構築され、「ジャパンアズNO.1」と世界中の注目を浴
びるまでに成長を遂げました。バブルの崩壊までは…

令和は、安全・便利・快適を実現し、大きな課題を見つけにく
い時代です。皆が残された小さなテーマの解決に総動員して取
り組むことで、強烈な同質化・価格競争を招いています。低成
長と低収益のスパイラルから抜け出せません。

■2.であるにも関わらず、我々は、昭和文化に縛られた環境
で今日も生きています。

先輩の経営者、仲間、コンサルタント、書籍…ほとんどが昭和
です。結果として、我々は昭和の経営原則を疑いもせず、信じ
込んでいます。

◆新しい経営原則について考え直してみませんか?

【PL】売上ではなく利益を、規模から質への転換を!
【BS】所有する経営から持たない経営へ!
【MG】ボトムアップの経営からトップダウンの経営へ!雇用
から業務委託へ!

■3.さらに、我々は、昭和のビジネスモデルから未だに抜け
出せません。

2世代上の先輩たちが定義した業種・業界に縛られ、はるか昔
に創造されたマネタイズ・ビジネスの型を未だに模倣していま
す。

◆新しいビジネスの型に転換しませんか?

サブスクリプション1.0⇒2.0
ソリューション提供企業への転換
D2C(C2M)、クラウドファンディング、DX
業界の壁を破る
ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム
…等々

■4.これからは、すさまじいスピードでビジネスが変わりま
す。

・真のネット企業がリアル企業を凌駕します。
例)銀行の凋落、すべての分野で同じ事が起こります。

◎OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオ
フラインの融合を意味しますが、その真はネット企業がリアル
企業を飲み込む現象です。

◎さらに、ITの3次元化(メタバース)が始まります。

・カーボンニュートラル(炭素ゼロ)政策が自動車業界を直撃
します。出荷額62兆円、全製造業の19%、GDP比12%(2018
年)を占める自動車業界に激震が走ります。

■5.様々な分野でルールチェンジが起こっています。

見方を変えることができれば、我々中小企業やこれから事業を
始める若者には大きなチャンスです。100mを早く走る競技で
は勝てないが、100mを20秒ジャストで走る競技を作ることが
できれば、金メダルも夢ではありません。下剋上・激変、チャ
ンスの到来です。

特に、以下の3つは新ルール構築の目玉になるテーマです。

1.OMO(Online Merges with Offline)!
⇒デジタルシフトではなくDXを!
2.メタバース!
⇒ITが2次元から3次元空間の中に移動します。
3.SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能
な開発目標)」17の目標と、それを達成するための具体的な
169のターゲット!

■6.隆々と生き残り、成長する企業体を作りましょう。

・昭和のルールにとらわれず、
・強烈な同質化・価格競争を回避し、
・新しい事業立地やビジネスの型を理解して導入して、
・新しいルールの創造者としての地位を確保する

◎SP経営!=脱・昭和、令和の経営!
令和企業に転身し、前途洋々たる未来に向かって、共に頑張っ
ていきましょう。

本年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

金融機関は「決算書」を拠り所に融資審査を行います。中小企
業の場合、税理士事務所が税務目線で作ることが多い決算書で
すが、金融機関は税務署ではありませんので、「税金が正しく
計算されているか。」ではなく、「貸したお金が本当に返って
くるか。」という目線で見ています。よって、税務上は正しい
決算書であっても、提出された決算書をそのまま分析するので
はなく財務の目線で修正しています。

下記にセルフチェックの手順をご紹介します。すべての金融機
関が必ず下記の手順で診断している訳ではありませんが、基本
的な考え方としてご了承願います。

1.損益計算書の修正および診断

◆ 減価償却不足を修正します。
減価償却の未計上は税務上問題ありませんが、利益が正しく計
上されないため、財務上は必ず計上します。よって減価償却不
足がある場合、「税引き後利益-償却不足額」で利益修正を行
います。

◆ 役員報酬を修正します。
役員報酬を減らして利益を大きく計上するなど、役員報酬は利
益の調整弁になりやすい項目です。役員報酬額を実際に必要な
生活費よりも過小に計上している場合は、「実際に必要な生活
費(※360万円程度)-役員報酬額」を税引き後利益から差
し引きます。反対に実際に必要な生活費以上の役員報酬を得て
いる場合は、「役員報酬額-生活に必要な生活費(※800万
円程度)」を税引き後利益に加算します。
※金額はイメージしやすいように例示したものです。あくまで
も参考程度とお考えください。

【返済能力の診断(診断その1)】
修正後の損益計算書を基に返済能力を診断します。企業の返済
能力は、「修正後の税引き後利益+減価償却費」で求められま
す。この値がプラスであれば第1段階の診断はクリアです。マ
イナスであればプロパー融資を受けるのは難しくなります。

【適正借入額の診断(診断その2)】
返済能力を確認したら、次は借入額が返済能力に見合っている
かを診断します。「(金融機関からの借入額-現預金)÷(税
引き後利益+減価償却費)」で求められる値が「10」未満に
収まっていれば資金調達余力があると判断されます。10以上
となった場合は新たな借入は難しくなりますが、正式な算式は
さらに細かいものになりますので個別でお問い合わせください。

2.貸借対照表の修正および診断

◆ 不良資産の修正
資産の中から、実際は価値の無い資産を減算していきます。例
えば、回収不能な売掛金や貸付金、不良在庫、使途不明な仮払
金などは減算の対象です。販売先が破産を申し立てた場合、税
務上は破産手続きが完了するまで資産に計上しておかなくては
なりませんが、実態は回収見込みが薄いため、財務上は減算し
ます。

◆ 返済不要な負債の修正
社長個人からの借入金など、差し迫って返済が不要なものは負
債から減らすことが出来ます。

【安全性の診断(診断その3)】
倒産しにくい会社かどうかを、「自己資本」で判断します。こ
の場合も、修正後の貸借対照表を基に、「修正後の資産-修正
後の負債」で自己資本を算出します。損益計算書の診断結果が
良好で、この値もプラスであれば融資を受けられる可能性はさ
らに高くなります。

以上、3つの診断の結果はいかがだったでしょうか。ひとつで
もクリアできていない項目があれば財務面に問題を抱えている
ことになりますので、お早めにご相談ください。

前回号のつづきです。

■何十年間も同じことを繰り返している会社は少なくありませ
ん。

創業以来、先代以来…ずっと同じことを行っています。事業を
創る、事業立地を見直す、イノベーションを企てる、これらの
発想すらありません。それでも、社長は、従業員も皆まじめに?
働いています。この会社は、静かに衰退をたどりながら、時に
急激にその使命を終えることになります。

「今年生まれた子供たちが、二十年後に就職する会社の半分は、
今存在しない会社だ」と言われています。二十年で会社の半分
は入れ替わるとの仮説です。多分そうなるのでしょう。AIに
取って代わられる業種、話題を呼んでいますが、自社がその中
に入っているのかの心配には及びません。すべての会社が時代
に取って代わられるからです。

変化しなければ会社は存在意義を無くします。時代毎のニーズ
に対応することが生き残るための条件です。経営は、連続的な
小さな変化を続けて行かなければなりません。この小さな変化
は、時間を経て大きな変化を遂げます。激変したように見える
会社も、小さな変化の積み重ねです。

■「事業計画を策定する」このテーマについて言及しています。

事業計画は、変化のための種です。何をどう変えて、○○まで
にどのように変化させるか!この仮説こそが事業計画です。過
去の流れを踏襲するだけの数値計画を作って満足してはいけま
せん。

■事業計画作成時の重要度
※事業計画作成時には、以下の要素が含まれているか確認して
ください。

○事業立地の見直し・イノベーションの付加ができているか?
…重要度S
○収益モデルの創造・見直しができているか?…重要度S
○現状の認識は十分か?…重要度A
○(仮)のゴール〔マイルストーン〕の設定はできているか?
…重要度S
○全体を包括する整合性の取れた数値計画ができているか?
…重要度A
○数値計画と資金計画との整合性を確認できているか?
…重要度B
○マネージメント体制は成長についていけそうか?又は、妥当か?
…重要度B
○日々修正しながら現実的に対応できているか?…重要度S

■経営者の仕事は、事業立地とビジネスモデルの検証・構築、
すなわち事業計画の立案・見直し以外にありません。

経営者の仕事は何?あれもこれも…たくさんありますが、重要
度で下位から消去して最後に残るのは、「事業立地とビジネス
モデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案・見直し」です。
であるにも関わらず、大半の経営者はこれらの仕事をぞんざい
にしています。故に、経営者不在の企業体になり下がっていま
す。創業時に考えたビジネスモデルや、親から受け継いだビジ
ネスモデルを進化・発展させることなくただただ継続していま
す。事業計画と称して、過去の事業の時間軸を先に延ばして置
き換えるだけの数値計画を作って自己満足しています。体裁の
良い数値計画は事業計画ではありません。肝に銘じてください。

■経営者には3つの胆力が必要です。

経営にウルトラCは滅多にありません。一つ一つ理詰めで考え
抜く、一つ一つ確実に行動に移す、都度調整しながら継続して
積み上げていく…この行為を粛々と続けていくことこそ王道で
す。

◎理詰めで考える知力と、これを継続する知的胆力
◎確実に行動し続ける行動力と、これを継続する肉体的胆力
◎中々上手く行かないことに耐える耐力、これを継続する精神
的胆力

経営者には3つの胆力が必要です。

■事業計画とは、江戸時代に中国の奥地の○○を目指す長い旅
の旅程表のようなものです。

存在自体が不確実なゴールに向かって、一歩ずつ歩みを続けて
行かねばなりません。(江戸時代に)日本から中国の奥地を目
指すなら、まずは大陸に渡る手立てを考えます。渡れる航路を
求めて港に向かいます。そのためには、港に向かうための旅費
が必要になります。大陸に渡っても、続く道の存在は不確実で
す。それでも渡ります。ゴールまでの旅費の算段が読めなくて
も、それでも一歩ずつ前に進みます。これらの過程では、様々
なトラブルにも見舞われることでしょう。トラブルをできるだ
け避けながら、遭遇したら解決しながら、不確実なゴールに向
かって歩み続けます。この旅路にゴールは存在しません。

経営とは、ゴールではなく、そのプロセスそのものであるよう
に思います。知的胆力と肉体的胆力、そして精神的胆力を鍛え
ながら、経営という長旅に共に挑んでいきましょう。楽しみな
がら。

本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

人員を雇用する、広告を出す、値引き販売をする等の投資判断
を行う際、最も気になるのは採算が取れるかどうかです。最終
的には、やってみなければ分からないと言うのが本質かも知れ
ませんが、まずは机上で採算が取れるか否かを検証する必要が
あります。

投資を行う際に知っておくべき点は「採算ラインとなる売上高」
です。専門的には損益分岐点売上高と言います。損益分岐点売
上高を求める算式は、固定費÷変動費率です。変動費率を求め
るのは少し手間がかかりますので、変動費率の代わりに粗利率
を代用することで大まかな採算ラインが分かります。「損益分
岐点売上高=固定費÷粗利益率」は、様々な場面で多用出来る
式ですので是非覚えてください。

■ 営業人員を雇用する際の採算ラインの算出
粗利益率が30%の商品を販売する営業マンを雇用する際、こ
の新人営業マンに期待すべき販売目標は下記で求められます。

※損益分岐点売上高150万円
=固定費(営業マンの平均月収30万円+福利厚生費5万円+
営業経費10万円)÷粗利益率30%

この新人営業マンが月平均150万円の販売を達成できなけれ
ば赤字社員となってしまいます。もちろん、会社の利益も必要
ですので、最低販売目標150万円+期待する利益額が、営業
マン採用時の目線となります。

■ 広告費の採算ラインの算出
粗利益率が30%の商品の広告出稿を検討する際、どれぐらい
販売出来れば採算が合うのかを知りたいときにも使えます。

※損益分岐点売上高333万円
=固定費(広告費100万円)÷粗利益率30%

100万円の広告費に対して、333万円の販売額が採算ライ
ンとなります。

■ 5%値引きセールの採算ラインの算出
粗利益率30%の商品を5%値引きで販売した際の採算ライン
は以下となります。(固定費が50万円の場合)

※5%値引きによる粗利益率の低下30%→26.3%

※元々の損益分岐点売上高166万円
=固定費50万円÷粗利益率30%

※値引き後の損益分岐点売上高190万円
=固定費50万円÷26.3%

通常販売時より、売上高が24万円(190万円-166万円)
増加した時点から、ようやく値引き販売の効果が得られること
が分かります。

無謀な値引き販売や過大投資を行っている企業様をお見受けし
ます。損益分岐点売上高が実現可能なラインかどうかを把握し
てから投資判断を行ってください。