ニッチ戦略と差別化戦略は大きく異なります。ニッチという概
念に競合相手は存在しません。一方、差別化は競合との対比を
表す概念です。競合が存在します。ニッチな市場で独占的なビ
ジネスを行いたい、誰しもが理想に掲げることですが、これは
大変難解です。そもそも、ニッチ市場はどこにあるのか?マー
ケットは存在するのか?疑問です。

ほとんどの企業はすでに存在する市場に対して、自社のサービ
スや商品を販売しています。その結果、常に競合相手との戦い
を強いられます。

■競合との差別化を図るための「ファイブ・ウェイ・ポジショ
ニング」!

競合優位を確立・維持するために、差別化を図ろうとします。
そのための要素として、
・価格 ・サービス ・アクセス ・経験価値 ・商品
以上の5つがあげられます。

熱心な経営者は、上記の5つすべてで競合優位に立とうとしま
す。もちろん、すべてにおいて優位に立つことが理想ですが、
コストや経営への強いコミットが必要になります。これを愚直
に続けた企業は長続きしない、現実的ではない、とする考え方
が「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」です。

「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」では5つの内、
・一つの要素で圧倒的優位を目指し、
・もう一つの要素で差別化を図り、
・その他の3つは競合と同じレベルを目指せ、
と説いています。

星野社長(星野リゾート)はある対談番組で、
・体験価値で圧倒的優位を目指し、
・アクセス(ネット上の買いやすさ)で差別化を図り、
・その他は競合レベルに合わせる、
と言っておられます。明快な差別化戦略です。

■トレードオフの要素で差別化しないと意味が無い(マイケル
・ポーター)

差別化しようとして何かを生み出しても、それが良いものであ
ればすぐに真似られます。真似られることはある意味仕方ない
ことです。真似にくいようにするしかありません。

ポーター氏が提唱する差別化戦略の中に、真似られないための
以下の考え方があります。
・トレードオフを伴う独自の活動で差別化する
・多くの活動が組み合わされて、単独の活動のみを真似しても
意味を持たないようにする

これについても、星野社長(星野リゾート)のコメントから引
用させていただきますが、星野リゾートは、施設や土地などを
保有しない、運営特化で経営を行っています。保有する利益を
放棄することで運営に特化する、このトレードオフを選択して
おられます。この運営特化から派生する事業展開のスピード感
やブランディング力等を差別化の軸においておられるようです。
保有を放棄して運営に特化する、このトレードオフを起点にし
た、複合的な差別化に追従する競合相手は早々現れないようで
す。痛みが大きいからです。

「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」と「トレードオフを伴
う差別化」、この二つを組み合わせた複合的な差別化戦略は汎
用性の高い考え方です。貴社でもぜひ導入してください。

追伸:例えば、競合との差別化を図ろうと考えた時、自分の頭
の中だけでそれを(考える)『発明』するよりも、勉強して(
探す)『発見』する方がはるかに容易です。経営を学ぶ目的の
一つはこれです。『発明』ではなく『発見』を心がけてくださ
い。

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