財務管理の強化には試算表の作成が不可欠ですが、財務管理は
試算表だけでは不十分です。なぜなら、試算表にはキャッシュ
ベースの収支が反映されないという弱点があるためです。

■ 利益管理と資金繰り管理の重要性
企業経営において、赤字であっても即座に倒産するわけではあ
りません。しかし、黒字企業であっても資金が底をつけば倒産
のリスクに直面します。この観点から、利益管理以上に資金繰
り管理が重要であると言えます。

■ 資金繰り表の重要性
資金繰り管理の要となるのが「資金繰り表」です。これは、毎
月の入金額と支出額を項目ごとにまとめた表で、一見単純です
が財務管理に極めて有用です。

多くの経営者の方々は、何らかの形で資金繰り表を作成されて
いるでしょう。しかし、多くの場合、今月や来月といった短期
間の資金繰りしか把握できていないのが実情ではないでしょう
か。

■ 短期的な資金繰り計画の限界
短期的な資金繰り計画しか立てていないと、資金不足に気づく
のが遅れ、十分な対応時間を確保できません。これでは、経営
者として重要な業務を後回しにしてまで資金調達に奔走せざる
を得なくなり、場当たり的な財務活動に陥ってしまいます。

■ 年間の資金繰り計画の重要性
計画的な財務活動を行うために、向こう1年間の「資金繰り計
画」を作成することをお勧めします。これにより、資金の流れ
を予測し、資金調達や設備投資の計画を立てることができます。

確かに、1年先の売上を正確に予測することは困難です。しか
し、過去1年間の「資金繰り実績」も併せて作成することで、
過去の売上動向から将来の傾向を推測することもできます。

■ 財務管理の最終目標
財務管理の最大の目的は「資金を切らさないこと」です。試算
表で利益を管理しつつ自社の資金調達力を高め、同時に資金繰
り計画を立てて計画的に資金調達や設備投資を行うことで、資
金面での不安を解消し、経営に専念できる環境を整えることが
できます。

■1.お客様の声を聴くだけでは不十分な時代へ
「お客様の声を聴くことが重要」とよく言われますが、令和の
時代においてはそれだけでは十分ではありません。現代のお客
様は自分の困りごとをすでに解決できる手段を持っていること
が多く、本当に必要なものを明確に認識していない場合が多い
からです。

例えば、スマートフォンが登場する前、多くの人は「持ち運び
できる高性能なPCが欲しい」と考えていました。しかし、
Appleは「人々はPCではなく、もっと直感的で便利なデバイ
スを求めている」と考え、iPhoneを開発しました。このように、
成功する企業は市場のニーズを先回りし、お客様自身が気づい
ていない価値を提案しているのです。

■2.マーケットイン vs. プロダクトアウト、時代に合うのは
どちらか
従来、多くの企業は「マーケットイン」型の考え方を重視して
きました。つまり、お客様のニーズを調査し、それに応じた商
品やサービスを提供するという手法です。これは一見合理的に
思えますが、問題点もあります。

●マーケットインの課題
お客様の声に頼りすぎると、すでにある製品の改良にとどまり、
大きなイノベーションが生まれません。競合他社も同じように
市場調査を行うため、同質化します。お客様の意見は「今ほし
いもの」に基づいており、「将来必要になるもの」には気づい
ていないことが多いからです。

一方で、「プロダクトアウト」型の考え方は、企業側が先に仮
説を立て、世の中に新しい価値を提案する手法です。Appleや
Teslaのような企業はこの考え方を採用しており、「お客様の声
を聞く」のではなく、「お客様がまだ知らない価値を提示する」
ことで市場を創り出しています。

■3.中小企業こそ「仮説提案型」の経営が必要
「プロダクトアウト」と聞くと、大企業だからできることだと
思われがちですが、むしろ中小企業こそこの考え方を取り入れ
るべきです。なぜなら、大企業と同じ市場調査をして競争して
も勝てる見込みは薄く、独自の強みを活かした提案力が求めら
れるからです。

●成功事例1:町工場の技術を活かした新商品開発
ある中小企業の町工場では、長年にわたり精密加工技術を活か
して大手メーカーの下請けをしていました。しかし、取引先の
コスト削減が進む中、このままでは厳しいと考え、自社ブラン
ドの商品開発を決意しました。そこで、社内の技術を活かして
「極薄のステンレス製コーヒーフィルター」を開発。市場には
まだなかった商品でしたが、「ペーパーフィルター不要」「環
境に優しい」という価値を訴求し、大ヒットしました。このよ
うに、「お客様が求めるもの」ではなく、「自社の技術を活か
せる新しい価値」を提案したことで成功を収めたのです。

●成功事例2:飲食店のメニュー開発における提案型アプロー

ある地方の和食店では、観光客の減少により売上が落ちていま
した。通常であれば「お客様の声を聴いて、人気メニューを増
やす」といった対応をするかもしれません。しかし、この店は
「お客様が気づいていない魅力を提案する」ことに注力しまし
た。具体的には、地元の食材を活かした創作料理を開発し、
「ここでしか食べられない特別な体験」としてSNSで発信。結
果的に、観光客だけでなく地元客のリピーターも増え、売上が
回復しました。

■4.どうやって「仮説提案型」の経営を実践するか
では、実際にどのようにして「仮説提案型」の経営を進めれば
よいのでしょうか? 以下のステップが有効です。

●1.自社の強みを再確認する
まずは、自社が持っている技術・ノウハウ・リソースを棚卸し
し、「何が他社と違うのか」を明確にします。

●2.お客様の未来の課題を考える
現在のニーズではなく、「この先お客様がどんな困りごとを抱
える可能性があるか」を想像します。

●3.小さく試して反応を見る(MVP戦略)
いきなり大きく投資せず、試作品や試験的なサービスを提供し、
反応を確認しながら調整していきます。

●4.ストーリーを持たせて発信する
単なる商品・サービスとしてではなく、「なぜこれを作ったの
か」「どんな価値があるのか」というストーリーを発信するこ
とで、共感を得られやすくなります。

■5.まとめ
お客様の声を聴くことは大切ですが、それだけに依存すると競
争の中で埋もれてしまいます。成功する企業は、マーケットイ
ンではなくプロダクトアウトの発想で、お客様がまだ気づいて
いない価値を提案しています。特に中小企業は、独自の技術や
強みを活かしながら、未来のニーズを予測し、積極的に仮説を
立てて提案する姿勢が求められます。成功事例に学びながら、
自社ならではの新しい価値を創り出すことで、大企業にはない
独自のポジションを築くことができるでしょう。

2025年、中小企業の成長を加速させる新たな取り組み「100億
宣言」が始動しました。この制度は、売上高10億円から100億
円未満の中小企業を対象に、経営者自らが「売上高100億円」
という野心的な目標を掲げ、その実現に向けた具体的な取り組
みを宣言するものです。

宣言企業には、成長加速化補助金や経営強化税制の拡充措置の
活用、経営者ネットワークへの参加、公式ロゴマークの使用権
など、様々な支援が提供されます。5月頃から特設ポータルサ
イトで申請受付が開始される予定で、多くの中小企業の参加が
期待されています。

■ 政府が100億宣言を実施する背景
この取り組みの背景には、日本経済の構造的な課題があります。
政府は、長年のデフレ経済から脱却するためには、中小企業の
成長が鍵を握っていると認識しているようです。

特に、地域経済の活性化と良質な雇用創出が急務となっており、
売上高100億円規模の企業が増えることで、地域経済に大きな
インパクトをもたらし、持続的な経済成長の基盤を強化するこ
とが期待されています。

また、物価高騰や人手不足など、中小企業を取り巻く経営環境
が厳しさを増す中、企業の「稼ぐ力」を強化し、積極的な投資
を促進する必要性も高まっています。

■ 中小企業が目指すべき経営の方向性
100億宣言は、単なる数字の目標ではありません。中小企業に
求められているのは、究極的には労働生産性の向上です。具体
的には、以下のような方向性が重要になると考えます。

1.経営戦略の抜本的見直し:市場ニーズや競争環境を再評価
し、自社の強みを活かした戦略を構築する。

2.積極的な投資と資金調達:成長に必要な設備投資やM&A
を実行するため、金融機関との連携や外部資金の活用を検討す
る。

3.デジタル化とイノベーションの推進:DXを通じた生産性
向上や、新たな付加価値創造に取り組む。

4.人材育成と組織強化:成長を支える人材の確保・育成と、
それに伴う組織体制の整備を行う。

5.地域・社会との共生:地域経済への貢献や社会課題の解決
を通じて、持続可能な成長を目指す。

日本経済の屋台骨である中小企業の飛躍的成長は、地域の活性
化と国全体の経済発展につながります。100億宣言に挑戦して
みてはいかがでしょうか。

新入社員を受け入れる時期が近づいてきました。どのように伝
え、どのように導くかが、彼らの成長に大きな影響を与えます。
彼らにとって、社会人としての第一歩を踏み出すこの期間は、
単なる仕事のスタートではなく、今後のキャリアを左右する大
切な基礎づくりの時間です。特にこの時期に、「一定期間は加
減をせずに働く」ことの重要性をしっかりと伝えていただきた
いと思います。

新入社員は、まだ仕事の進め方が分からず、体力的にも精神的
にも負荷を感じる場面が多いでしょう。しかし、最初から効率
やバランスばかりを考え、「無理をしない働き方」を覚えてし
まうと、成長の機会を逃してしまいます。仕事の基本を身につ
け、実務を通じて経験を積むためには、一定期間、全力で取り
組む姿勢が不可欠です。

■彼らに伝えるべきことは、スポーツと同じで、「バットを振
らなければ野球はうまくならない」という考え方です。どんな
に理論を学んでも、実際に手を動かし、試行錯誤を繰り返さな
ければ、スキルは身につきません。仕事も同様で、成功も失敗
も含めた経験こそが成長につながります。最初のうちは「がむ
しゃら」に取り組むことが、後々の自信や実力につながること
を、指導の中でしっかりと伝えるべきではないでしょうか。

■指導をする上で、もう一つ意識していただきたいのは、「ビ
ジネスを習得するのに王道はない」という点です。最近はSN
Sや書籍などで「効率的な働き方」や「スマートな仕事術」が
多く紹介されていますが、新人のうちは、それらを意識しすぎ
るのは逆効果です。なぜなら、基礎ができていない状態で応用
に走っても、実力はつかないからです。

「とにかくやってみる」「先輩のやり方を真似てみる」「地道
な作業を徹底してこなす」といった経験こそが、ビジネスの本
質を理解するための唯一の方法です。そのため、新入社員には
「効率」よりも「徹底」を意識させるような指導が必要ではな
いでしょうか。

■また、彼らに伝えるべき重要な考え方として、「自分への投
資のために、身銭を切って学ぶ姿勢」があります。会社の研修
や勉強会はもちろん貴重ですが、それだけでは十分とは言えま
せん。本当に成長したいのであれば、自分の時間やお金を使っ
て学ぶことが大切です。

例えば、専門書を買う、資格取得に挑戦する、セミナーに参加
するなど、自ら学ぶ習慣を身につけることが、長期的な成長に
つながります。この際、「会社が費用を負担してくれるなら勉
強する」のではなく、自分自身の将来のために投資する意識を
持たせることが重要です。ここをしっかり伝えなければ、「会
社のために働く」という受け身の姿勢から抜け出せず、成長の
幅が狭まってしまいます。

特に伝えたいのは、「身につけたスキルは会社の財産ではなく、
自分の一生の財産になる」ということです。会社に貢献するた
めにスキルを磨くのではなく、自分自身の市場価値を高めるた
めに努力する。その結果として、会社にも貢献できるという考
え方を持たせることが重要です。

■どれだけ仕事ができるようになっても、社会人としての基本
を疎かにしてはいけません。その中でも、「約束を守ること」
「時間を厳守すること」は最も重要なルールです。

時間を守る、納期を厳守する、報告・連絡・相談を徹底する。
これらの基本を徹底することで、信頼が生まれます。特に若手
のうちは、「仕事ができるかどうか」よりも「信頼できる人間
かどうか」が評価に直結します。小さな約束を守ることが、や
がて大きなチャンスにつながることを、研修の中で繰り返し伝
えてください。

■さらに、「謙虚であること」も大切です。経験が浅い段階で
は、素直に学ぶ姿勢を持つことが何より重要です。自分の考え
を持つことは大切ですが、まずは周囲の意見に耳を傾けること
を意識させてください。どんなに優秀な人でも、謙虚さを忘れ
た瞬間に成長は止まります。

まずは「守」を徹底させる。指導の際に意識してほしい考え方
として、日本の伝統的な学びの姿勢である「守破離(しゅはり)」
があります。これは、「守」:基本を忠実に守る「破」:基本
を応用し、自分なりの工夫を加える「離」:独自のスタイルを
確立するという成長のプロセスです。新入社員には、まず「守」
の段階を徹底させることが重要です。つまり、基本を忠実に学
び、実践し、身につけることに集中する。自己流でやるのでは
なく、先輩や上司のやり方をしっかり吸収する姿勢を持たせて
ください。

貴社の、日本の未来を担ってくれるかもしれない若手人材を、
優しく、厳しく育ててあげてください。我々が若かりし頃にそ
うしてもらったように。

建設業を営むA社長からの相談です。「融資を申し込んだとこ
ろ、工事台帳の提出を求められた。作成したことがないので手
伝って欲しい。」という内容でした。この相談は、多くの建設
業経営者が直面する課題を反映しています。

■ 金融機関から見た建設業の特殊性
金融機関から見て、建設業の決算書には実態を把握しづらい要
素がいくつかあります。特に注目すべきは、建設業独特の勘定
科目である完成工事未収入金や未成工事支出金です。

建設業は1工事あたりの金額が大きく、毎月の売上も変動する
ため、これらの科目も大きく変動します。残念ながら、その特
性を利用して粉飾決算をする企業もあるため、金融機関は融資
に慎重になります。

■ 工事台帳の重要性
金融機関の不安を払拭するのに有効な資料が工事台帳です。金
融機関が工事台帳から読み取りたい主な内容は以下の通りです。

1)工事ごとの利益状況:各工事の利益率と決算書の利益率が
大きく乖離していないことを示すことで、決算書の正確性を証
明できます。

2)工事のスケジュール:将来にわたって、工事がどのように
進行し、どのタイミングで売上が立つかを示すことで、今後の
業績の見通しを理解してもらえます。

■ 工事台帳の具体例
工事台帳は以下のような形式で作成します。

工事名:○○ビル建設工事
発注者:△△株式会社
工事期間:2025/4/1 ~ 2026/3/31
契約金額:100,000,000円
実行予算:80,000,000円
進捗率:30%
売上高(累計):30,000,000円
原価(累計):24,000,000円
粗利益(累計):6,000,000円

■ 資金繰り表の重要性
工事台帳に加えて、資金繰り表も提出すると効果が高まります。
建設業は決算書の損益とキャッシュの動きに乖離があるため、
全体のお金の流れを示すことが重要です。

■ 建設業の融資申し込みのポイント(まとめ)
1)建設業は決算書の提出だけでは不十分です。
2)工事台帳で工事ごとの利益率を示し、決算書の正確性を補
足しましょう。
3)工事スケジュールを示し、現在の受注残と今後の売上見込
みを説明しましょう。
4)資金繰り表を作成し全体のお金の流れを説明しましょう。
5)設備資金の場合は、さらに詳細な事業計画書が必要になり
ます。

融資申込資料は単に作成すればよいということではありません。
金融機関の意図をくみ取った資料を作成することが、融資を受
けられる確率を高めるカギとなります。

融資申込資料の作成でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談く
ださい。弊所にて専門家がわかりやすく丁寧にサポートいたし
ます。

同じ内容を伝えても、言葉の選び方や話す順番で相手に与える
心象は大きく変わります。日常のトラブルの多くは、その事象
の大小だけでなく、伝え方によってもその炎上度合いが変わり
ます。言葉の使い方について、整理して考えてみましょう。

話し方には、その人の知性や思考の整理度が反映されます。賢
い話し方をする人は、相手に分かりやすく伝え、的確に意図を
伝えられるのに対し、頭の悪い話し方をする人は、内容が伝わ
りにくく、相手に余計なストレスを与え、話をこじらせること
があります。具体的に何が違うのか、いくつかのポイントに分
けて解説します。

■1.話の構成が明確かどうか

●賢い話し方:結論が先、理由が後
・「〇〇です。その理由は△△だからです。」
・まず結論を伝え、次に理由や根拠を説明するので、相手が理
解しやすい。
・要点が整理されており、話がスムーズに進む。
※感情的な相手には、結論を先に伝えない方が良い時もありま
すが。

○頭の悪い話し方:ダラダラと前置きが長い
・「えっと、昨日のことなんですけど、実はちょっと困ったこ
とがあって、それがですね…」
・何を言いたいのか分からず、相手を混乱させる。
・結論が出る前に話が長くなるため、聞き手が集中力を失いや
すい。

■2.言葉の選び方

●賢い話し方:シンプルで的確な表現
・「このプロジェクトは成功しました。ただ、次回の課題とし
て〇〇が挙げられます。」
・余計な装飾がなく、簡潔で分かりやすい。
・具体的な言葉を使い、曖昧な表現を避ける。

○頭の悪い話し方:曖昧で回りくどい
・「なんか、いろいろ大変だったけど、まあまあいい感じにな
ったと思うんですよね。」
・「なんか」「まぁ」「~的な」など、曖昧な言葉が多く、伝
わりにくい。
・話に具体性がなく、聞き手が解釈に迷う。

■3.論理的に話せるかどうか

●賢い話し方:論理の筋道が通っている
・「売上が伸びたのは、広告戦略を見直したからです。その結
果、顧客の反応が改善しました。」
・因果関係を明確にし、話の流れがスムーズ。
・論理的な話し方をすることで、説得力が増す。

○頭の悪い話し方:話が飛びやすい
・「売上が伸びたんですけど、最近寒くなりましたよね。それ
でみんなコーヒー飲むようになったんですよ。」
・話があちこちに飛び、聞き手がついていけなくなる。
・主張に根拠がなく、説得力がない。

■4.相手を意識しているか

●賢い話し方:相手に合わせて話す
・「この話はご存じかもしれませんが、念のため説明しますね。」
・相手の知識レベルに合わせ、必要に応じて補足説明を加える。
・話のスピードや言葉遣いを、相手に応じて調整する。

○頭の悪い話し方:自己中心的に話す
・「そんなの常識でしょ?」
・相手の理解度を考えず、一方的に話す。
・相手が知らないことを説明せず、会話が成立しにくい。

■5.感情のコントロール

●賢い話し方:冷静で落ち着いている
・「私はこの意見に賛成です。ただ、一部懸念点もあります。」
・感情的にならず、冷静に意見を述べる。
・否定する際も、柔らかい表現を使い、対立を避ける。

○頭の悪い話し方:感情的で攻撃的
・「それっておかしくないですか?全然ダメじゃないですか!」
・感情をむき出しにし、相手を責める言い方をする。
・冷静さを欠くため、相手に不快感を与え、話し合いがうまく
進まない。

賢い話し方を身につけることで、仕事でもプライベートでもコ
ミュニケーションが円滑になります。まずは「結論を先に言う」
「簡潔に話す」「論理的に整理する」ことを意識すると、自然
と話し方が洗練されていきます。

◎トラブルの多くは、その内容より、話し方に起因する要素が
大きいです。これ自体が非論理的な話ではありますが、人は感
情に左右される生き物です。

多くの企業、特に新興企業や中小企業にとって、財務管理は常
に重要な課題です。この課題に対処するため、企業の成長を2
つのステージに分けて考えてみましょう。

■ 第1ステージ:安全性の確保

最初に取り組むべきは、企業の存続を確実にすることです。
これは「守りの姿勢」と呼べます。具体的には、

・十分な現金(キャッシュ)を確保する
・不測の事態に備える
・倒産リスクを最小限に抑える

この段階では、手元資金を増やすことに重点を置きます。まだ
利益は十分に出ていないでしょうから、日本政策金融公庫や保
証付き融資を積極的に活用し、手元資金を潤沢に保ちます。

■ 第2ステージ:積極的な成長戦略

ある程度の安全性が確保できたら、次は「攻めの姿勢」に転じ
る必要があります。なぜなら、

・現金を単に保有しているだけでは、わずかな利子収入しか得
られない
・企業の真の成長には、積極的な投資が欠かせない

ここで重要なのは、新たな資金需要を自ら創出することです。
これは必ずしも大規模な新規事業だけを意味しません。現状を
少しずつ改善する小さな投資も、立派な成長戦略となります。

■ 具体的な投資アイデア
・人材強化:営業部門を拡充し、売上増加を狙う
・IT投資:業務効率を向上させ、生産性を高める
・専門家の招聘:例えば、経験豊富な工場長を雇い、製造プロ
セスを改善する
・M&A:相乗効果が期待できる企業との合併や買収を検討する

■ 経営者の真の役割
限られた資金をどこに投資すれば最も効果的に事業が成長する
か、その見極めが経営者の重要な役割です。実際、投資先の選
択肢は多すぎるほどあります。だからこそ、優先順位の決定が
重要になります。

■ まとめ
1.まずは十分な安全性を確保する
2.次に、積極的な投資姿勢に転換する
3.小さな投資機会も見逃さない
4.限られた資金の最適な配分を常に考える

企業の持続的な成長には、「守り」から「攻め」への転換が不
可欠です。安全性を確保した後は、成長のための資金獲得と効
果的な投資に積極的に取り組みましょう。そのためには、銀行
からの借入が不可欠です。

守りの資金、攻めの資金、それぞれ調達のポイントが異なりま
すので、資金調達を検討しておられる経営者様は是非ご相談く
ださい。

近年、日本では物価上昇が続いており、それに伴い大企業を中
心に賃上げの動きが加速しています。特に2024年の春闘で
は、大企業が5%を超える賃上げを実施し、新卒の初任給も相
次いで引き上げられました。この流れの中で、中小企業も賃上
げを行わなければ、人材の確保がますます難しくなることが予
想されます。以下では、物価上昇の影響、大企業の賃上げと新
卒初任給アップの現状、中小企業が賃上げを行うべき理由につ
いて解説します。

■1.物価上昇が続く中、実質賃金の確保が課題に

近年の日本経済では、物価の上昇が大きな問題となっています。
総務省が発表する消費者物価指数(CPI)は、2023年に
前年比+3.2%、2024年も+3%前後の上昇が見込まれ
ています。特に、食料品やエネルギー価格の高騰が家計を圧迫
しており、労働者の実質賃金(名目賃金から物価上昇を引いた
もの)は減少傾向にあります。

こうした状況では、従業員が現在の給与のままでは生活水準を
維持することが難しくなります。特に、もともと賃金水準が低
めの中小企業に勤める労働者は、「より給与の高い企業への転
職を検討する」可能性が高まります。そのため、企業が人材を
確保し続けるためには、物価上昇に見合った賃上げが不可欠と
なります。

■2.大企業の賃上げと新卒初任給アップの影響

2024年の春闘では、大企業を中心に大幅な賃上げが行われ
ました。例えば、トヨタ自動車は5%以上の賃上げを実施し、
日立製作所やパナソニックなどの大手企業も同様の動きを見せ
ています。

さらに、多くの企業が新卒初任給の引き上げを決定しました。
例えば、
・三菱UFJ銀行:初任給を25万円に引き上げ
・資生堂:初任給を30万円に大幅アップ
・ソニーグループ:初任給を30万円に引き上げ

このように、大企業が賃上げを進めることで、労働市場全体の
給与水準が引き上げられています。これは中小企業にとって大
きな課題となります。なぜなら、新卒・中途を問わず、人材が
より給与の高い大企業へ流れてしまうリスクがあるからです。

また、従来は「安定志向」で大企業に就職する傾向が強かった
若年層の価値観も変化し、給与を重視して転職を決断する動き
が強まっています。特に、IT・エンジニア職などでは、スキ
ルのある人材が給与の高い企業へ流れる傾向が顕著になってい
ます。

■3.中小企業も賃上げをしなければ人材確保が困難に

こうした状況の中で、中小企業が賃上げを行わなければ、優秀
な人材の確保はますます難しくなります。その理由を以下の3
点に分けて説明します。

●1.人材不足が深刻化している

中小企業ではすでに慢性的な人材不足が続いています。少子高
齢化が進み、特に若手労働力の確保が困難になっています。日
本商工会議所の調査(2024年)によると、中小企業の約60
%が「人材不足」を経営上の大きな課題として挙げています。
こうした中、賃金の低い中小企業は「給与の高い企業へ転職し
たい」と考える従業員を引き留めることが難しくなります。結
果として、人材が流出し、さらに業務が回らなくなる悪循環に
陥る可能性があります。

●2.「給与の低い会社には入りたくない」という意識の変化

近年の新卒採用市場では、「給与の高さ」が企業選びの重要な
ポイントになりつつあります。就職活動をする学生の間では、
「給与の低い企業には将来性がない」という認識が広がってお
り、中小企業が優秀な学生を確保することがますます難しくな
っています。
例えば、2023年のマイナビの調査では、「企業を選ぶ際に
最も重視するポイント」として「給与・待遇の良さ」を挙げた
学生が過去最高となりました。つまり、中小企業が賃金を引き
上げない限り、優秀な新卒が集まらず、将来的な企業の競争力
低下につながる可能性が高いのです。

●3.物価上昇により「今の給与では生活が厳しい」と感じる
人が増えている

物価上昇が続く中で、「現在の給与では生活が厳しい」と感じ
る労働者が増えています。特に、家賃や生活費の高騰が続く都
市部では、給与の低い企業で働くことのリスクを強く感じる人
が多くなっています。こうした状況では、企業が賃上げを行わ
なければ、従業員が転職を検討しやすくなります。特に、中小
企業では「給与が上がらないなら辞めてしまおう」と考えるケ
ースが増えるでしょう。

■中小企業にとって賃上げはコスト負担ではありますが、今後
の経営を考える上で避けて通れない課題です。政府の支援策や
生産性向上を活用しながら、競争力を維持するための対策を講
じることが求められています。厳しいですがこれが現実です。

創業・起業時の資金調達手段として最もポピュラーなのは、日
本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の創業保証です。一
定の要件を満たせば誰でも利用できる制度であり、創業・起業
時の資金調達環境は比較的整っていると感じます。

しかし、創業融資を受けて無事に開業できても、事業を継続し
成長させていくのは容易ではありません。廃業してしまう事業
者と長期的に存続できる事業者の違いはどこにあるのでしょう
か。長年の経験から、事業の存続と成長の鍵は、創業融資の次、
2回目の融資を受けられるかどうかだと感じます。

2回目の融資を受けられる時期は、1期目ないし2期目の決算
が終わった辺りですが、2回目からの融資は、創業融資のよう
に要件の充足ではなく、業績(実績)が重視されます。

2回目の融資で最も重視される業績は売上です。創業して1年
ないし2年が経っても一定の売上が立たない場合は、経営者の
実力が不足している、もしくは提供している商品やサービスが
市場から必要とされていないと考えられます。よって、2回目
の融資を受けるためには売上が必須です。売上が立てば、一般
的には月商の2カ月程度の融資を受けられる可能性が出てきま
す。

売上が立ったけれど赤字の場合はどうでしょうか。赤字の額に
もよりますが、赤字だからといって絶対に融資を受けられない
訳ではありません。損益分岐点に届かなかったため赤字だが、
融資金によって損益分岐点を超える売上を獲得できると判断で
きれば融資をしてもらえるはずです。

創業時にありがちなミステイクの一つは、本当は利益が出てい
るのに納税を嫌って意図的に業績の悪い決算にすることです。
決算内容を悪くすることで、2回目の融資を断られたり、融資
額が少額に留まってしまうと、攻める経営ができない⇒低成長
⇒さらに融資も出なくなる、という悪循環に陥り、事業の拡大
どころか段々と資金が細り遂には廃業ということになりかねま
せん。

一方、納税を受け入れて利益をしっかり出した企業は、2回目
のファイナンスにより事業を成長させることができ、その成長
が更に大きな融資を呼び込みます。1期目もしくは2期目の決
算処理を誤ることで、その後の姿が大きく変わるので気をつけ
てください。

創業・起業された方は、最初の目標を「2回目の融資を受ける
事」に設定することで生き残れる可能性がぐんと高まります。
2回目の融資を受けるために必要なことをひとつひとつ学んで
いきましょう。

このアプローチは、単に事業を存続させるだけでなく、持続的
な成長を実現するための重要な戦略となります。2回目の融資
獲得に向けて計画的に事業を運営することが、財務基盤の強化、
経営スキルの向上、そして市場での競争力強化につながります。
これらの要素が相まって、長期的な事業の成功確率を高めるこ
とができます。

外注化(アウトソーシング)は、多くの中小企業にとって業務
の効率化、コスト削減、そして新たな価値創造の手段となって
います。ここでは、外注化を積極的に活用し、成果を上げた10
社の成功事例の概要を紹介します。

■1.製造業:部品加工の外注化で生産性向上

企業名:A社(精密機械メーカー)
A社は自社で行っていた部品加工を専門の外注企業に委託。
これにより、生産スピードが30%向上し、開発リソースを新
商品の研究に集中できた。

■2.小売業:ECサイト運営を外注し売上拡大

企業名:B社(アパレルブランド)
ECサイトの管理や広告運用を専門の外部企業に委託。
売上が前年比150%増加し、社内は商品開発やブランディン
グに注力できた。

■3.IT企業:カスタマーサポートを外注し業務効率化

企業名:C社(SaaS企業)
カスタマーサポート業務を専門のBPO(ビジネス・プロセス・
アウトソーシング)企業に委託。
対応品質が向上し、顧客満足度が15%改善した。

■4.飲食業:SNSマーケティングを外注し集客アップ

企業名:D社(レストランチェーン)
SNS運用を外注し、プロの手による効果的な広告とインフル
エンサーマーケティングを実施。
フォロワー数が5倍になり、売上も大幅に向上。

■5.建設業:設計業務を外注しプロジェクトの回転率向上

企業名:E社(住宅設計事務所)
設計業務の一部を外部の設計会社に依頼。
納期が短縮され、より多くの案件を受注できるようになった。

■6.人材サービス業:バックオフィス業務を外注しコア業務
に集中

企業名F社(人材派遣会社)
経理や給与計算をアウトソーシングし、社内リソースを営業活
動に集中。
新規取引先が前年比200%増加。

■7.物流業:配送管理を外注しコスト削減

企業名:G社(EC物流企業)
倉庫管理や配送業務を外部の専門業者に委託。
物流コストが20%削減され、配送品質も向上。

■8.医療機関:予約システムを外注し業務効率化

企業名:H社(クリニック)
予約受付を外部のコールセンターとオンライン予約システムに
委託。
待ち時間が短縮され、顧客満足度が向上。

■9.教育業:オンライン講座の制作を外注し事業拡大

企業名:I社(オンライン教育企業)
講座制作を外注し、短期間で多くの講座を提供可能に。
受講者数が3倍に増加。

■10.デザイン業:営業活動を外注し新規顧客獲得

企業名:J社(グラフィックデザイン会社)
営業代行を活用し、新規案件獲得を強化。
売上が前年比130%増加。

外注化は、業務の効率化やコスト削減だけでなく、新たな価値
創造にもつながります。
中小企業の人手不足、スキル不足を補うための最適解です。
ノンコア業務を外注化するとの発想を超えて、場合によっては
コア業務を外注化することも一手です。
領域を設けずに外注化を検討してください。受け皿は整ってい
ます。