同じ利益額でも利益率の高い会社、同じ売上高でも継続的な売
上比率の高い会社、事業用資産の小さな会社、成長性の高い分
野の事業を行う会社は、企業価値が高くなります。企業価値を
向上させるための要諦について解説いたします。

■1.脱・売上至上主義!

◎売上の大きさではなく利益の大きさが重要
◎同じ利益なら、売上は小さいほうが良い

売上には高品質な売上と安物の売上があります。企業価値は売
上の純度に相関します。売上の純度が高い企業ほど、その企業
価値は高くなります。売上の純度を高める経営、純度の低い売
上を取り除く経営を行ってください。企業価値が向上します。

■2.売り切りから継続販売、継続的なサービス提供へ!

◎所有から利用へ、顧客ニーズは変わってきた
◎一過性の売上より、継続する売上の方が良い

顧客ニーズは、所有から利用へと変わってきました。経営的に
も、売切りの一過性の売上よりも、継続的な売上の方が安定し
ます。また、継続的に利用してもらうためには、商品やサービ
スに進化・発展が求められます。継続的な集金モデルを有する
企業には、それに相当する企業価値が与えられます。

近年会社の業績を表す指標にARRを使う企業が増えてきまし
た。この指標は売上や利益の安定度を示しています。
※ARRとは「Annual Recurring Revenue(アニュアル・リカ
ーリング・レベニュー)」の頭文字を取った言葉であり、日本
語に訳すと「年間経常収益」を意味するビジネス用語です。
毎年、決まって得られる収益・売上をさします。

■3.持たざる経営への移行!

◎総資産の大きさではなく純資産の大きさが重要
◎事業用の資産は小さい方が、企業価値が高くなる
※代表的な企業価値算定法であるEBITDAマルチプル法では、
事業用の資産と事業用負債を除外した上で借入金を差し引いた
ネットキャッシュを現時点の株主価値と評価します。
◎同じ利益なら、従業員は少ない方が良い
◎同じ費用総額なら、固定費は小さく、変動費が大きい方が良い

資産には価値ある資産とそうでない資産があります。企業価値
は資産の純度に相関します。資産の純度が高い企業ほど、その
企業価値は高くなります。資産の純度を高める経営、純度の低
い資産を持たない経営を行ってください。企業価値が向上しま
す。また、事業用資産の小さい企業は、生み出すキャッシュフ
ローが相対的に増えるので企業価値が高くなります。

■4.良い事業立地を選定する!

◎どこにでもある事業ではなく、レアな事業を行う方が良い
◎飽和した成熟市場を攻めるより、成長性のある市場の方が良い
◎相対的優位に立てる市場が面白い

事業は、いかに上手に運営するか(マネージメント)の前に、
どんな事業をするか(事業立地の選定)が重要です。取り組む
事業を間違えたら、経営の成果、企業の価値向上は限定的です。
企業価値を高くとるためには、事業立地の選定が重要です。

企業の規模ではなく、企業の価値に重点を置いた経営に移行し
ませんか。そのためにも、事業計画書を作って、又は、作り直
してみませんか。今から作る事業計画書は、【規模拡大を目指
す計画書】ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にして
ください。

日本政策金融公庫が提供する融資制度の一つである新株予約権
付融資(スタートアップ支援資金)について解説します。スタ
ートアップとは、新たなビジネスアイデアや技術を基に、急速
な成長を目指す企業を指しますが、この制度は、スタートアッ
プ企業が成長段階で必要とする資金を提供し、事業の拡大や開
発に注力できるよう支援します。

主な特徴として、次の点が挙げられます。

1.新株予約権付融資: 融資を受けた場合、スタートアップ企
業は日本政策金融公庫に対して新株予約権を付与します。しか
し、日本公庫が、新株予約権を行使して株式を取得することは
なく、原則として、株式公開時など一定の条件に達した場合に
経営責任者の方などに新株予約権を売却します。(新株予約権
の売却時期については、株式の時価が行使価額の2倍以上とな
った場合または株式公開する場合のいずれかを融資時に選択で
きます。)

2.スタートアップ向け: 特にスタートアップ企業を支援する
ために設計されています。成長段階の早い企業にとって、資金
調達は重要ですが、リスクが高いため他の金融機関からの融資
が難しい場合があります。この制度は、そのような企業に必要
な成長資金を無担保で提供する仕組みです。

3.利率優遇: 新株予約権付融資の利率は他の一般的な融資プ
ログラムよりも優遇されていることがあります。これにより、
企業の返済負担を軽減し、資金を効果的に活用できます。

4.成長支援: この制度を利用することで、企業は新たなプロ
ジェクトの開始、市場拡大、技術開発など、成長に向けた活動
をサポートする資金を調達できます。

5.柔軟性: 利用目的や返済スケジュールなど、ある程度の柔
軟性が許容される場合があります。企業の状況に合わせて融資
条件を調整できます。

スタートアップ企業にとっては、成長のための資金調達手段と
して検討する価値がある制度ですが、公庫の審査を通過する必
要があり、条件や要件があることに留意する必要があります。
スタートアップ企業の資金調達についても、是非、ご相談くだ
さい。

起業家の思考法について、21世紀初頭に大きな発見が成されて
います。日本においても近年この思考法が脚光を浴びています。
大変有益な思考法です。ご紹介します。

事業を構築するプロセスにおいて、多くの人は『コーゼーショ
ン=因果法』を使っていると考えられていました。しかし、大
成功した多くの起業家の思考法を検証すると、そうではないこ
とが実証されました。では、どのような思考法なのか?これを
体系立てたのが『エフェクチュエーション=実効法』です。比
較して紹介いたします。

■昔からあった、『コーゼーション=因果法』とは…

1.因果関係に焦点を当てる
コーゼーションは、原因と結果の因果関係に焦点を当てるアプ
ローチです。つまり、特定の行動や決定が特定の結果を引き起
こすという考え方です。このアプローチでは、何が何に影響を
与えるかを特定し、それに基づいて戦略を策定します。

2.計画と予測を重視する
コーゼーションのアプローチでは、計画的で予測可能な方法で
目標を達成しようとすることが一般的です。計画を立て、それ
に従って行動することが強調されます。リスクを最小限に抑え、
事前の計画に従って進むことが目標です。

3.既存のリソースと情報に依存する
コーゼーションは既存の情報やリソースに依存し、それを活用
して目標を達成しようとします。過去の経験やデータに基づい
て意思決定を行います。不確実性を減少させるためにデータ分
析や市場調査が重要視されます。

4.大規模プロジェクトや大企業で一般的に使われる
コーゼーションのアプローチは、大規模なプロジェクトや大企
業によく見られます。組織全体で計画的な戦略を策定し、実行
することが一般的です。リーダーシップと戦略的な計画が重要
です。

■一方、『エフェクチュエーション=実効法』とは…

エフェクチュエーションは、不確実性の高い状況での起業家の
意思決定プロセスを理解するためのフレームワークです。サラ
ス・サラスバシー教授によって開発されたこの理論は、特に新
しい市場や技術におけるビジネスチャンスを探求する際に有効
です。エフェクチュエーションには5つの基本原則があります。

1.手元にあるものを使う(Bird-in-Hand Principle)
この原則では、起業家は自分がすでに持っているリソース(ス
キル、経験、ネットワークなど)から出発し、それを基に機会
を探求します。予測不可能な市場では、利用可能なリソースに
基づいて行動することが重要です。

2.許容可能な損失を考える(Affordable Loss Principle)
起業家は、目標達成のためにどれだけのリスクを取るかではな
く、どれだけの損失を許容できるかを基準に決定を下します。
これにより、大きな失敗を避けながら新しい機会に挑戦するこ
とができます。

3.レモネードを作る(Lemonade Principle)
予期せぬ出来事や課題を機会として捉えることがこの原則の核
心です。起業家は、計画外の変化や「サプライズ」を利用して、
新たな方向性や可能性を探求します。
※人生がすっぱいレモンを与えるなら、レモネードを作れ(ア
メリカの格言)

4.クレイジー・キルトの原則(Crazy Quilt Principle)
この原則では、起業家は競争よりも協力を重視します。他の人
々や組織とのパートナーシップを通じて機会を創出し、リソー
スを統合し、リスクを分散します。

5.飛行機のパイロットの法則(Pilot-in-the-Plane Principle)
市場や将来は予測されるものではなく、起業家自身の行動によ
って形作られるという考えがこの原則の基です。起業家は自ら
の行動で未来を形成し、事業の成果に直接的な影響を与えるこ
とができます。臨機応変に対応するとの意味です。

これらの原則は、不確実な環境での起業や新規事業開発におい
て、従来の予測ベースのアプローチとは異なる視点を提供しま
す。エフェクチュエーションは、可能性を探る過程で、起業家
がどのように意思決定を行い、リソースを活用し、リスクを管
理し、機会を捉えるかに焦点を当てています。

■要するに、コーゼーションは原因と結果の因果関係に焦点を
当て、計画的なアプローチを強調します。一方、エフェクチュ
エーションは不確実性に対処し、既存のリソースを最大限に活
用して新たな機会を見つけ出す柔軟性と創造性を重視します。
どちらのアプローチも異なる状況や目標に適しており、ビジネ
スや起業のコンテキストに応じて選択することが重要です。

◎21世紀経営学の一大発見とも言われる起業家の新しい思考法
『エフェクチュエーション』を活用してみましょう。

前回のコラムで、中小企業における財務管理の出発点は試算表
の作成であることを強調しました。しかし、試算表だけを頼り
にしても十分な管理とは言えません。試算表にはキャッシュフ
ローに関する情報が不足しているという弱点があります。

赤字であっても、すぐに破綻することはありませんが、資金が
底をつくと利益があっても経営が困難になります。したがって、
利益の管理よりも資金繰り管理の方が中小企業においては極め
て重要です。そして、資金繰りの管理を行うための貴重なツー
ルが「資金繰り表」です。資金繰り表は、毎月の入金と支出を
詳細に記録したシンプルな文書ですが、財務管理において非常
に有用です。

ほとんどの中小企業経営者は、何らかの形で資金繰り表を使用
していると思われます。たとえ資金繰り表を具体的に作成して
いなくても、頭の中には収入と支出の大まかなイメージがある
はずです。ただし、残念ながら、多くの経営者は短期間の資金
繰り計画しか持っておらず、数週間や数か月先までしか資金繰
りの見通しを立てていないことが実態と言えるでしょう。

短期的な資金繰り計画に依存することは、資金が不足する可能
性に対処するために十分な時間を確保できないことを意味しま
す。経営者が他の重要な業務を削減してまで急いで資金を調達
しなければならない事態が発生します。これは計画性の欠如に
よる財務活動です。

計画的な財務活動を実現するために、長期の「資金繰り計画」
を策定しましょう。1年間の資金繰り計画を作成し、資金の流
れを予測しながら、資金調達や設備投資などの計画を立てるの
が理想です。1年後の売上などを正確に予測することは難しい
かもしれませんが、過去1年間の「資金繰り実績」を分析して
みましょう。これにより、過去の売上の傾向から未来の資金繰
りを予測する手助けができるはずです。

財務管理の最終的な目標は、「資金不足を回避すること」です。
試算表を活用して利益を管理し、資金繰り表を通じて計画的な
資金調達や設備投資を行えば、資金不足に陥ることなく、経営
に専念する余裕を持つことができます。中長期の資金繰り計画
を有していない経営者は、今年からその作成に取り組むことを
お勧めします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

成長意欲の高い経営者が陥りやすい5つの罠があります。
経営者が患う5大疾病です。
「分散する(広げすぎる)」、「値決めを間違える(安すぎる)」、
「財務を怠る」、「攻め過ぎる」、「管理が甘すぎる」です。
そうならない経営を心掛けましょう。
以下はそれらに対する対策です。

■1:無駄の少ない「Simple」な経営を目指してください。

余計なものをそぎ落とし、密度の濃い「Simple」な経営体に生
まれ変わりましょう。以下の仮説を持っています。

『日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。売上至上主義は、分散症候
群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、
減収(売上減)を容認する経営に移行してください。』

売上高はいくらか?社員数は何人か?事務所は大きいか?立派
か?…事業体の良し悪しをこのような基準で判断するのではな
く、利益はいくらか?…この単純な尺度で図る発想も重要です。
同じ利益なら、売上は小さい方が、社員数は少ない方が、事務
所は狭い方がよい…こんな考え方もあるはずです。

■2:高収益「Profitable」な企業作りを目指してください。

売れた時には、大きな利益を出せる収益構造を当初から設計し
ましょう。高めの粗利益率の設定、高めの値付けを心掛けてく
ださい。値決めを外すなら高めに外してください。ビジネスと
して完成した時点での営業利益率は20%以上で設計してくだ
さい。安売り戦略は、経営の難易度を高め、事業体の創造力を
奪い去る原因になります。

■3:手持ち資金を潤沢「Ample」に維持してください。

資金余力は企業経営の余裕代、時間を提供してくれます。財務
機能を持ってください。資金は可能な限り潤沢に持ち続けまし
ょう。借入れの金利負担よりも、資金に困るリスクの方がはる
かに深刻であることを認識してください。また、借入れのタイ
ミングは、自社が資金を必要とするタイミング(借り手の都合)
ではなく、金融機関が融資できるタイミング(貸し手の論理)
に沿うことが重要です。総じて貸し手の方が強いからです。
資金余力がもたらす経営者の心の余裕と、増加分の金利負担を、
天秤にかけて比較してください。
※当事務所が提供する【財務部長の代行業務】の導入を検討し
てください。

■4:変化に対応できる柔軟性「Flexible」のある企業体を維
持してください。

計画のずれを想定した経営を行ってください。計画(売上の達
成)が遅れることを想定しながら経営してください。「コント
ロールできない売上を、コントロールできる売上以外の経費の
執行で調整する」、これが経営管理です。経費の執行をワンテ
ンポ遅らせる…これが不透明な時代に、企業体力が十分でない
事業体が選択すべき経営のコツです。また、遅れを許容するた
めの資金余力を持てる財務戦略が重要です。

■5:経営判断を明確「Clearly」にしてください。

感覚に頼らず、数字を基準にした論理的な経営を行ってくださ
い。曖昧な経営判断、お人好しな対応を止めましょう。経営は、
感覚や概念ではなく、数字で管理してください。感覚や概念を
基準に考えると、判断が曖昧になりがちです。数字基準での判
断は、その判断の精度を各段に向上させます。経営が締まりま
す。

◎経営の判断基準は何か?永遠のテーマです。経営の判断基準
は無限にあります。逆にも真あり、敢えて真逆を攻めることで
成功することもあります。それでも、王道をお薦めいたします。

王道とは、多くの偉人が語り続けた経営の道です。上記の方針
は、偉人が語る経営の道に近似しているはずです。偉人の言葉
を借りているからです。経営者の皆さま方が、理詰めで考えて、
腑に落ちた部分については、今後の指針として、深く、深く…
心に刻んでください。

新年明けましておめでとうございます。年初にあたり、中小企
業の財務について、改めてご提案させていただきます。

多くの中小企業において、財務管理に改善の余地があることは
明白です。財務管理が不十分であると、自社の財務状況を金融
機関に適切かつ適時に伝えられないため、融資の獲得が難しく
なる可能性が高まります。融資を円滑に受けられないと、成長
の機会を逃すだけでなく、資金不足に悩むことがあります。従
って、財務管理の強化は中小企業にとって非常に重要です。

財務管理を強化するための第一歩は、経営判断を感覚に頼らず、
財務データに基づいて行うことです。経営の指針となる正確な
財務数値を把握するために、月次試算表の作成が不可欠です。
試算表を通じて、キャッシュフローだけでは把握できない「収
益」と「資産・負債」の健全性を把握できます。

感覚的な経営判断や「どんぶり勘定」からの脱却は、以下のよ
うな問題を解決する助けになります。

■ 赤字の認識不足
実際は赤字であるにもかかわらず、資金繰りが回っているため
それに気づかないことがあります。赤字を見逃すことは、問題
の早期解決を遅らせます。赤字を改善するための対策を講じず、
借入金で資金繰りを維持し続けていると、最終的に資金不足に
陥る可能性が高まります。

■ 無駄な資金繰りの労力
取引条件によっては黒字でも資金繰りが苦しくなります。この
ような場合は健全な資金不足ですので、融資を受けることで簡
単に解決できる問題です。しかし、融資を受けずに毎月資金繰
りに多大な労力をかけている経営者様がいらっしゃいます。経
営者が資金繰りに時間を割くことは、本来すべき経営の本質を
見失っていることを意味します。

■ 融資チャンスの逃失
本当によくあるケースですが、6か月前なら融資を受けられた
というケースです。融資はいつでも受けられる訳ではありませ
んので、財務状況をタイムリーに管理し、一番借りやすい時に
借りておくのが鉄則です。資金が必要なのに融資を断られて困
っている企業様の半数は、過去に資金調達のタイミングを逃し
ています。

こうした問題からわかるように、試算表の定期的な作成は、財
務管理を強化するための第一歩です。試算表は、あらゆる経営
判断の基盤となる情報を提供します。試算表を毎月作成してい
ない経営者は、今年からその作成に取り組むことをお勧めしま
す。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
年初のテーマとして『イノベーション』を
あげさせていただきます。

■【管理的機能の強化・改善】ではなく、
【事業開発≒イノベーション】を…

「多くの並みの中小企業のビジネスモデルはありきたりです。
また、成熟期後期から斜陽期を迎えています。事業をマシーン
に例えると、マシーン自体が2世代前の代物で老朽化していま
す。この状況下においても、ほとんどの経営者は【管理的機能
の強化・改善】に終始しています。本当に必要なのは管理機能
の強化ではなく【事業開発≒イノベーション】です。」
(SP経営協会)

現場には、老朽化したマシーンをメンテして、フル稼働できる
状態を続けられるように指示してください。一方、経営者の真
の仕事は、新しいマシーンの創造・開発、せめて、大幅なリニ
ューアルです。

■【事業開発≒イノベーション】の現実的な取り組みは…

◆1:一つ目は、既存事業を守りながら、経営原則に当てはめ
て修正する、令和の経営原則を知り、自社の実態との齟齬を認
識して修正することです。

○例えば、過度の売上至上主義は、様々な経営への悪影響を及
ぼしています。

「日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。脱・売上至上主義、減収
(売上減)を容認する経営に移行してください。」
(SP経営協会)

○例えば、所有する経営から持たない経営への転換は、
令和時代の経営の基本思想です。

・売上…厳選した売上に絞る
・商品…高収益商品に厳選して
・顧客…優良顧客に厳選して
・原価…40~60%、外部の力を利用して
・販管費…固定費は極小で
・従業員…厳選して、外注・業務委託を活用して、変動費化する
・事務所…できるだけコンパクトに
・働き方…テレワークも活用して、ハイブリッドで
・評価制度…求める(必要な)従業員に厚く分配する

◎打ち手1:減収を容認する事業計画の策定、運用
◎打ち手2:高付加価値化政策の徹底
◎打ち手3:原則持たない、この価値観への転換を図る

◆2:二つ目は、事業開発を行い、事業を付加(掛け算)する、
新しいビジネスモデル(広義)を知り、自社に導入することで
す。

新しいビジネスの型(広義のビジネスモデル)を知り、それを
自社に導入すること、そのプロセスでイノベーションが生まれ
ます。例えば、サービスや商品を提供する企業がソリューショ
ン提供企業に変わろうとすれば、そのサービスや商品の提供方
法、マネタイズを大きく見直す必要が生じます。この過程でイ
ノベーションが生まれます。

事業開発≒イノベーションのヒントは、新しいビジネスの型の
中にたくさんあります。

・サブスクリプション1.0⇒2.0
・受注型⇒プロダクト化
・ソリューション提供企業への転換と継続課金
・D2C(C2M)、クラウドファンディング
・DX ・業界の壁を破る ・同業者支援モデル
・ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム
…等々

◎打ち手4:新しいビジネスの型(広義のビジネスモデル)を
自社に導入する

※「事業開発は、既存の事業と切り離し、エースを投入して行
うことが必須です。」50年前のドラッカー氏の言葉(要旨)です。

【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベーシ
ョン】を断行してください。本年のテーマにいかがでしょうか。

…次回号に続く

2023年も終わりが近づいてきました。年末年始は、多くの
経営者にとって会社の将来について深く考える良い機会かもし
れません。本日は、ドラッカーの財務哲学を紹介します。これ
からの経営に役立つかもしれませんので、ぜひ参考にしてみて
ください。

ピーター・ドラッカーは経営学の権威であり、財務戦略につい
ても多くの価値あるアドバイスを提供しています。
以下に、ドラッカーが推奨する財務戦略の要点をいくつか紹介
します。

1.キャッシュフローの重要性:
ドラッカーはキャッシュフローの管理を非常に重要視しました。
企業は収益性だけでなく、キャッシュフローを注視すべきです。
キャッシュフローが不足すると、企業は支払いを滞納し、資金
不足に陥ります。このため、キャッシュフローの効果的な管理
が必要です。

2.リスク管理:
ドラッカーは、リスク管理を通じて財務戦略を強化することを
強調しました。企業はリスクを評価し、適切な対策を講じる必
要があります。リスクの最小化や回避策の策定が財務安定性の
鍵です。

3.コスト管理:
ドラッカーはコスト管理を徹底的に行うことを提唱しました。
無駄なコストを削減し、効率を向上させることで、企業の収益
性を向上させます。経費対策や効果的な予算編成が求められま
す。

4.長期的な視点:
ドラッカーは経営を長期的な視点で考えることを奨励しました。
企業は短期の利益追求だけでなく、中長期的な成長戦略を立て
るべきです。このためには、財務資源の適切な配分が必要です。

5.投資戦略:
投資に関する戦略もドラッカーの重要なテーマでした。資産の
適切な運用や投資先の選定が、企業の成長と利益に大きな影響
を与えます。リタイアメントプランやキャピタルバジェットな
ど、資本の効果的な運用計画が求められます。

6.顧客志向:
ドラッカーは、企業は顧客に焦点を当てるべきだと述べました。
顧客を満足させ、価値を提供することで、収益性が向上します。
財務戦略は顧客志向の観点からも考えるべきです。

7.従業員への投資:
ドラッカーは、従業員への投資を通じて企業価値を高めること
を支持しました。従業員のスキル向上やモチベーション維持が、
生産性と結果につながります。

これらは、ドラッカーが提唱した財務戦略の一部です。
ドラッカーの提唱は、貴社の長期的な成功に貢献し、経済的な
持続可能性を向上させるのに役立つかもしれません。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

来年は令和6年です。昭和99年ではありません。誰もが知っ
ているはずですが、昭和の経営・考え方をそのまま踏襲してい
る方も少なくありません。新年を迎えるに当たって、もう一度
令和の経営について考えていただければ幸いです。

■1.昭和と令和は社会情勢が大きく異なります。

昭和は、危険・不便・不快等、解決すべきテーマがたくさんあ
りました。前回の東京オリンピックが開催された1964年の
冷蔵庫の普及率は10%だったそうです。大変不便な世の中で
した。このような大きな困りごとを解決するためのプロダクト
開発と大量生産、それを実現するための同質化されたマネージ
メント体制が構築され、「ジャパンアズNo,1」と世界中の注
目を浴びるまでに成長を遂げました。バブルの崩壊までは…

令和は、安全・便利・快適を実現し、大きな課題を見つけにく
い時代です。皆が残された小さなテーマの解決に総動員して取
り組むことで、強烈な同質化・価格競争を招いています。低成
長と低収益のスパイラルから抜け出せません。

■2.であるにも関わらず、我々は、昭和文化に縛られた環境
で今日も生きています。

先輩の経営者、仲間、コンサルタント、書籍…ほとんどが昭和
です。結果として、我々は昭和の経営原則を疑いもせず、信じ
込んでいます。

◆新しい経営原則について考え直してみませんか?

【PL】売上ではなく利益を、規模から質への転換を!
【BS】所有する経営から持たない経営へ!
【MG】ボトムアップの経営からトップダウンの経営へ!雇用
から業務委託へ!

■3.さらに、我々は、昭和のビジネスモデルから未だに抜け出
せません。

2世代上の先輩たちが定義した業種・業界に縛られ、はるか昔
に創造されたマネタイズ・ビジネスの型を未だに模倣していま
す。

◆新しいビジネスの型に転換しませんか?

サブスクリプション1.0⇒2.0
ソリューション提供企業への転換
D2C(C2M)、クラウドファンディング
DX
業界の壁を破る
ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム
…等々

■4.これからは、すさまじいスピードでビジネスが変わりま
す。

・真のネット企業がリアル企業を凌駕します。OMOです。
例)銀行の凋落、すべての分野で同じ事が起こります。
◎OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインと
オフラインの融合を意味しますが、その真はネット企業がリア
ル企業を飲み込む現象です。
・ChatGPTが知的労働の一部を肩代わりしてくれます。
・カーボンニュートラル(炭素ゼロ)政策が自動車業界を直撃
します。出荷額62兆円、全製造業の19%、GDP比12%
(2018年)を占める自動車業界に激震が走ります。

■5.様々な分野でルールチェンジが起こっています。

見方を変えることができれば、我々中小企業やこれから事業を
始める若者には大きなチャンスです。100mを早く走る競技
では勝てないが、100mを20秒ジャストで走る競技を作る
ことができれば、金メダルも夢ではありません。下剋上・激変、
チャンスの到来です。

■6.隆々と生き残り、成長する企業体を作りましょう。

昭和のルールにとらわれず、強烈な同質化・価格競争を回避し、
新しい事業立地やビジネスの型を理解して導入できれば、新し
いルールの創造者としての地位を確保できるかもしれません。

◎SP経営!=脱・昭和、令和の経営!
令和企業に転身し、前途洋々たる未来に向かって、共に頑張っ
ていきましょう。

本年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

中小企業の成長において、財務戦略は極めて重要です。新規事
業の立ち上げ、市場拡大、M&Aなど、成長を支える財務戦略
は、企業の未来を大いに左右する要素と言えます。しかし、こ
れらの戦略を展開する際には、リスクとリターンのバランスを
慎重に考えることが欠かせません。安易な成長戦略は大変危険
です。

■ 新規事業の立ち上げ
新規事業の立ち上げは成長の可能性を広げる素晴らしいチャン
スですが、同時に多くの財務的リスクを伴います。まず、新規
事業への投資が、現在のキャッシュフローを圧迫することがあ
ります。このため、新規事業計画を立てる際には、リスク評価
と予算の慎重な策定が不可欠です。また、新規事業の成功が保
証されていないため、リターンを見込む一方で、損失を吸収で
きる計画も必要です。

■ 市場拡大
市場拡大戦略も、収益性を高めるための有効な手段ですが、拡
大には資本とリソースが必要です。新たな市場へ進出する際、
市場調査と競争分析が不可欠です。また、拡大に伴うコストと
リスクを適切に評価し、リターンがリスクを上回るかどうかを
判断する必要があります。

■ M&A(合併・買収)
M&Aは市場でのプレゼンスを拡大し、競争力を高める手段と
して注目されています。しかし、他社の買収や合併は複雑なプ
ロセスであり、財務的なリスクが高いことも珍しくありません。
財務デューデリジェンスの実施や詳細な契約条件の検討が必要
です。また、統合に伴うコストとリスクも考慮しなければなり
ません。

■ リスクとリターンのバランス
これらの成長戦略を検討する際、リスクとリターンのバランス
を取ることが肝要です。リスクを完全に排除することは難しい
ですが、リスクを最小限に抑えるための戦略を練ることは可能
です。リスクマネジメント、適切な保険の利用、予備資金の確
保などがその一環です。また、リターンが期待される戦略にフ
ォーカスし、戦略的に投資することも大切です。

最後に、成長戦略において外部の専門家やアドバイザーの協力
を得ることも検討してください。弊所でも新規事業に関する資
金シミュレーション等をお手伝いさせていただきます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。