新しい社員を迎え入れる時節です。人事についてもう一度考え
るきっかけにしてください。

■大企業と中小零細企業では背景が違います。

大企業は、従業員や就職希望者に対して、自社に対する愛社精
神、忠誠心、帰属意識等のブランドロイヤリティーを提供でき
ます。相応のBIGカンパニーや著名なベンチャー企業は、社
長個人の魅力ではなく、このブランドロイヤリティーが、継続
的な就業や就職動機として機能します。
一方、中小企業、まして零細企業にブランドロイヤリティーは
存在しません。社長個人がこの役目を果たさねばなりません。
言いかえると、「社長自身の器量やポテンシャルを越える人材
は採用できない、仮に採用できても辞めてしまう」、というこ
とです。故に、より優秀な人材を採用したいのなら、社長自身
が自らの器量やポテンシャルを高めていく努力を続けていくし
か方法がありません。悲観論ではなく、事実として認識してく
ださい。人事はこの認識から始めなくてはなりません。この前
提条件を踏まえて、以下のテクニカルな話に言及します。

■雇用の安定のための人事における3つの最適化とは…

◆人事業務で一番大切なことは、最適化です。
すべてにおいて最適化のポイントを求め続けることこそ人事担
当者の仕事です。中小零細企業では社長の仕事です。最適化が
なされておれば、人は概ね辞めません。採用もできます。離職
率が極端に高いのは、人が採用できないのは、最適化できてい
ないからです。
離職率が高いからレクリエーションを充実させる…間違えでは
ありませんが、本筋ではありません。採用できないから上手な
キャッチコピーを考える、採用媒体を見直す…間違えではあり
ませんが、本筋ではありません。

◆最適化とは…
1.【従業員の市場価値】と【会社が支払う給与】
2.【会社が従業員に求める業務】と【会社が支払う給与】
3.【従業員の能力】と【その従業員に求める業務】
の3つをバランスさせることです。

1.給与はその従業員の市場価値に適合させることが重要です。
給与はその人の市場価値に対して、安すぎても、高すぎてもい
けません。

○優秀な従業員を安く使えている、これは長続きしません。ど
こかで辞表がでます。
○割高な給与を支払っている、これも長続きしません。どこか
で社長のストレスが爆発します。辞めさせる羽目になります。

2.求める業務に応じた給与を支払ってください。
給与は求める業務に対して、安すぎても、高すぎてもいけませ
ん。

○難解な業務を、薄給の人に求めてはいけません。どこかで辞
表がでます。
○安易な業務を、高給の人に割り当ててはいけません。どこか
で社長のストレスが爆発します。辞めさせる羽目になります。

3.従業員の能力に合わせて業務を割り当ててください。
割り当てる業務は、従業員の能力に対して、難しすぎても容易
過ぎてもいけません。

○能力の低い人に、難解な業務を背負わせてはいけません。ど
こかで辞表がでます。
○能力の高い人には、それ相応の業務を担ってもらいましょう。
有効に活用しましょう。

言うは易く行うは難し…ですが、人事の肝は上記です。
(程度加減の)正解はだれにもわかりませんが、そのゴールの
無い道をきわめることが人事です。社長にとって大切なことは、
上記の理屈を理解して、程度加減を是正しながら判断・行動す
ることです。

◆絶対にやってはいけないこと…
○よくできる人材を、薄給を承知で便利に使い続けること
ある日突然辞表がでます。適正な給与(地位)の是正を実施し
なかったことが原因です。

○道理を越えた高給を支払って雇用する、慰留すること
長続きしません。社長の、組織内のアンバランスが限度を超え
た時、辞めさせる羽目になります。そして、大きな罪を作りま
す。その人の人生を歪めてしまいます。

○能力の低い人に、(精神論として)高度な仕事を任せること
訓練の機会・期間を設けずに、業務を何段階もステップアップ
させること、これに耐え得るのはほんの少数です。大半の人は
挫折します。訓練の機会・期間を経ずにやってはいけません。

同様の理屈で…
○薄給で優秀な人材を求めること
○薄給で採用して高度な仕事を求めること
○ただただ高給を訴求して人を採用すること

■最後に2つ…

1.人事をある程度適正に行えば、人はそれ程辞めません。
小さな会社で人が次々に入れ替わるのであれば、それは人事が
なされていないからです。是正が必要です。一方、それでも一
定の比率で人は辞めます。会社への不満とか?ではありません。
人それぞれです。可能な限り円満に送り出してあげることが得
策です。

2.力不相応の人材を求めてもうまくいきません。
これも達観が必要です。まずは(今の)力相応の従業員を求め
ましょう。優秀な人材が集まらないと嘆く社長様も少なくあり
ません。自社や自分の現状を棚にあげて、優秀な人材を求める
社長様がいますが、これも無いものネダリです。

◎良い会社になった時に、優秀な従業員が入社します。良い従
業員が集まるから良い会社になるのではありません。
◎今の実力相応の従業員が入社してきます。鏡の原理です。
◎まれに、将来性に賭けて入社してくれる人もいます。(今の)
力不相応な従業員の雇用は、社長自身が一本釣りするしかあり
ません。これをやってください。できなければあきらめましょ
う。

貴社の人事に対する考え方を、この機会にご一考ください。

2024年4月から予定されているM&A(合併・買収)優遇
税制の拡充は、中小企業にとって注目すべきポイントとなりま
す。この制度を活用することで、企業の成長を促進し、税金を
節約するチャンスが広がります。以下では、この制度の拡充内
容、利用すべき企業、そして注意点について掘り下げてみます。

■M&A優遇税制の拡充とは?

日本の中小企業において、後継者不足は深刻な問題です。多く
の企業が事業承継に悩む中、政府はこの問題に対処するため、
2024年税制改正大綱においてM&A優遇税制の拡充を計画
しています。

主な変更点は以下の通りです:

1. 損金算入率の引き上げ
中小企業において、初めてM&Aで譲り受けを行う場合、70
%が損金に計上できるようになります。
2回目のM&Aでは90%、3回目以降は100%が損金に算
入可能です。

2. 従業員2000人以下の中堅企業への拡充
従業員2000人以下の中堅企業も、2回目のM&Aから90
%、3回目以降は100%が損金に算入できるようになります。

3. 過去5年間までの遡及規定
過去5年間までさかのぼってM&Aで1億円以上の株式取得を
行っている場合は1社とカウントされ、損金算入率の適用があ
ります。

■ どのような企業が利用すべきか?

この拡充されたM&A優遇税制は、特に以下のケースで利用す
べきです

1.後継者問題を抱える企業:後継者不足で事業承継に悩んで
いる企業は、他の企業との合併や買収を通じて、事業を継続し
やすくなります。

2.成長戦略を模索中の企業:成長戦略の一環として、他の企
業を買収して市場拡大を図る企業は、税制優遇を活かすことで
資金を効率的に活用できます。

3.競争力向上を図りたい企業:他社の技術やノウハウを取り
入れ、競争力を高めたい企業は、M&Aを通じて戦略的な強化
を図ることができます。

■ 制度を利用する際の注意点

利用する際には以下の点に留意しましょう:

1.戦略性を重視:単なる節税手段ではなく、ビジネス戦略に
組み込むことが重要です。合併・買収がビジョンや成長戦略と
一致しているか確認しましょう。

2.リスク評価:M&Aにはリスクが伴います。買収先企業の
デューデリジェンスを徹底的に行い、リスクを最小限に抑える
戦略を策定しましょう。

3.税務アドバイザーの活用:税制は複雑で変動するため、税
務アドバイザーと協力し、最適な税務戦略を検討しましょう。

2024年M&A優遇税制の拡充は、中小企業にとって成長と
節税の両面で大きなメリットをもたらします。ただし、慎重な
計画と戦略が必要です。ビジネスの将来を見据え、適切なM&
A戦略を検討し、成功への道を切り拓きましょう。是非、ご相
談ください。

前回のアメーバ経営に続けて、昭和の名経営者、稲盛和夫先生
のお言葉を引用して解説いたします。経営の判断基準について
分かり易い例えでお話しされています。経営判断を下す時には
この言葉を思い出してください。

■『一時の感情や感覚を判断基準にして行動しないでください』

少なくない経営者が、いや人々が、一時の感情に走って人生を
大きくロスしています。時に台無しにしています。

■経営の判断基準の優劣を、稲盛和夫先生は、講演で以下のよ
うに述べておられます。

『感情、感覚、理性(論理)、魂の順番にレベルが向上する。
最も程度の低い判断基準は感情である。経営者は、感情や感覚
に判断基準をゆだねず、理性をベースにして、魂にその判断を
ゆだねなさい。(後略)』

■感情的判断には2つのパターンがあります!

◆1.(短期的)瞬間的に心が乱れて感情的になる。
◆2.(慢性的)長い間心が病んで感情的になる。

◆1.(短期的)瞬間的に心が乱れて感情的になる…の処方箋!

瞬間的に怒りの感情がこみ上げることがあります。この時は、
自分が正しくて、相手に非があると思っています。感情的な言
葉を発すると、吐いた言葉は戻ってきません。相手の心には生
涯残るかもしれません。

瞬間的に感情がこみ上げてきたときには、まずは心の中に留め
てください。そして、この怒りを持ち帰ってください。一晩、
できれば数日温めても、この感情が抜けなければ、そこから対
応を考えましょう。この手の感情の大半は、数日以内に消え去
ります。であるなら、数日前に感情的な言葉を発さなかったこ
とが正になります。

◆2.(慢性的)長い間心が病んで感情的になる…の処方箋!

長い期間試練にさらされた時、その試練の絶対量が経営者のキ
ャパシティーを超えた時に発症します。『そうならないように
無理をし過ぎない。』『サポートを依頼する。』ことも必要です。
病気として病む手前、この状況が一番危険です。正常と考えて
経営判断を行ってしまうためです。

自分の心を完全にコントロールできる人はほとんどいません。
というより皆無でしょう。この前提で、経営に取り組んでいか
ねばなりません。

◎(短期的)瞬間的に心が乱れて感情的になったときは、言葉
を吐かずに時間を稼いでください。また、この状況下での判断
は行わず、先送りしてください。時間が解決してくれることで
しょう。

◎(慢性的)長い間心が病んで感情的になったら、これはかな
り重症です。このような状況に自分自身を追い込まないように
用心しましょう。そうなってしまったら、誰かのサポートを受
けてください。

自分の心を大切に労わりながら生きてください。経営は、人生
は、短距離走ではなく長距離走です。

中小企業の経営者にとって、事業承継は未来に向けた最も重要
な課題の一つです。事業承継は、事業の持続性や家族の未来に
大きな影響を与えるため、計画的かつ慎重なアプローチが求め
られます。以下に、中小企業の経営者が気をつけるべき事業承
継の留意点をまとめます。

1.事前の計画が不可欠
事業承継は事前の計画が欠かせません。計画を立てることで、
財産の評価、後継者の育成、税務計画、法的手続きなどを時間
をかけて行うことができます。計画が不十分だと、混乱や紛争
の原因になる可能性が高まります。

2.後継者の選定と育成
後継者の選定は極めて重要です。後継者は事業を引き継ぐため
の適性とスキルを持っている必要があります。しかし、適性だ
けでなく、情熱やビジョンも必要です。また、後継者を育てる
ためのプロセスも計画的に行いましょう。

3.財務の評価と戦略
事業の評価は、事業承継において不可欠です。正確な評価に基
づいて、株式の売却価格や贈与価格を決定します。また、税務
プランニングを行い、財務戦略を検討し、適切なファイナンシ
ャルアドバイスを受けることが大切です。

4.法的手続きと文書化
事業承継には多くの法的手続きと文書化が伴います。適切な法
的アドバイザーを選定し、契約書や遺言書、株式移転手続きな
どを正確に処理しましょう。これにより、後々の紛争を避ける
ことができます。

5.従業員とのコミュニケーション
事業承継には従業員へのコミュニケーションも重要です。従業
員は不安を感じることがありますが、計画を共有し、安心感を
提供しましょう。従業員の協力は事業承継の成功に不可欠です。

6.プロフェッショナルの協力を受ける
事業承継には税理士、弁護士、財務アドバイザーなど専門家の
協力が不可欠です。彼らのアドバイスと支援を受け、スムーズ
な事業承継を実現しましょう。

7.リスク管理と継続性
事業承継に伴うリスクを評価し、リスクマネジメント戦略を策
定しましょう。事業が持続可能であることを確保するために、
リスクに対処する計画が必要です。

事業承継は企業の未来を左右する重要なプロセスです。計画的
かつ綿密なアプローチで進め、事業の継続性を確保し、家族や
従業員に安心感を提供することが成功の鍵です。

事業承継の準備を行いたい経営者様がいらっしゃれば、是非、
当事務所にご相談ください。

昭和の名経営者、稲盛和夫氏は、ある時の社員の言葉「家族を
海外旅行に連れて行くためにお金を貯めている(ある社員)」
を聞いて、「この社員も立派に家庭を経営しているではないか
(稲盛氏)」と気付いたそうです。そして、「会社経営とは一
部の経営トップのみで行うものではなく、全社員が関わって行
うものだ。力相応の小さな単位にすれば、誰でも経営できる。」
と考えて発案したのがアメーバ経営だそうです。

確かに、従業員一人一人の貢献度や生産性を正確に把握し、そ
れを経営に反映させることは、組織の成功にとって不可欠です。
この目的を達成するための有効な手法の一つがアメーバ経営で
す。アメーバ経営とは、組織を小規模な自律的運営単位(アメ
ーバ)に分割し、各単位の収益性を重視した経営を行う手法で
す。

一方、アメーバ経営を全社に導入するためには膨大なエネルギ
ーが必要です。導入を試みるも、途中で挫折した会社様もたく
さんあります。まずは、部分導入、これから事業を伸ばされる
会社様は最初から想定して取り組まれることが現実的です。

以下、アメーバ経営について解説いたします。

■1.アメーバ経営の基本原理
アメーバ経営は、以下の原理に基づいています。

○1.小規模単位の運営
組織は複数の小規模なアメーバに分割され、各単位は特定の業
務やプロジェクトに責任を持ちます。

○2.収益責任の明確化
各アメーバは自身の収益とコストに対して責任を持ち、経営の
透明性を高めます。

○3.自立性と教育の重視
アメーバ経営は従業員の自立性を重視し、経営の基本を理解し、
積極的に関与することを奨励します。

■2.従業員の貢献度と生産性の測定
アメーバ経営を導入することで、従業員一人一人の貢献度や生
産性をより明確に把握することができます。

○1.個々のパフォーマンスの透明性
各アメーバ単位での業績は明確に測定され、従業員の貢献度が
直接的に可視化されます。これにより、個々の努力と成果が明
確になり、評価や報酬に公平性をもたらすことができます。

○2.生産性の向上
小規模な単位での運営は、従業員がより集中して効率的に働く
環境を提供します。これにより、生産性の向上が期待できます。

■3.アメーバ経営の導入における課題と対策
アメーバ経営を導入する際には、以下のような課題があります。

○1.適切なアメーバ単位の設定
アメーバ単位の選定には慎重な計画が必要です。過大または過
小な単位は、効果的な管理と運営を妨げる可能性があります。

○2.組織文化の変革
アメーバ経営の成功は、従業員が新しい経営スタイルに適応し、
それを支持する組織文化の確立に大きく依存します。

アメーバ経営を導入することにより、従業員一人一人の貢献度
や生産性を正確に測定し、組織全体のパフォーマンスを向上さ
せることが可能です。このアプローチは、組織の透明性を高め、
個々の従業員が経営に積極的に関与する文化を促進します。た
だし、この変革を成功させるためには、組織全体での計画的な
導入と、従業員の支持と理解が不可欠です。アメーバ経営は、
従業員の貢献度と生産性を最大化するための有効な手法であり、
現代の経営環境において重要な役割を果たすことができますが、
一方、導入には膨大な経営リソースを要します。

部分導入や、これから起こす新規事業、新設部門に当初から導
入する方法が現実的です。ただ、昭和の名経営者が編み出され
た偉大な経営法則の一つです。理解を深めていただければ幸い
です。

経営は時折、厳しい試練に立たされます。特に資金不足や経営
の難題に直面した際、融資はその解決策の一つとして考えられ
ます。しかし、融資を受けたことで、本来取り組まなくてはな
らない抜本的な改革が先送りされてしてまうケースもお見受け
します。融資を単なる「延命策」として利用することは、いく
つかの危険が伴います。

第一に、融資は一時的に資金不足を解消できても、根本的な問
題の解決にはなりません。問題は後でさらに深刻化する可能性
があります。また、融資は必ず返済しなければならないことを
忘れてはなりません。今回のコロナ融資のように、返済が始ま
ることで再び資金不足に陥る可能性があるのです。したがって、
融資を延命策として利用する場合、一時の安心感に陥らず、大
変厳しい道のりのスタートラインに立ったと自覚し、抜本的な
改革に取り組む覚悟が必要です。

延命目的の融資を「戦略的な資金投入」に変えるためには、明
確な目的を持つことが不可欠です。融資は赤字の補填ではなく
事業の発展に向けた投資と考えます。そして融資金は、生産性
の向上、市場の拡大、新商品の開発など、将来の成長につなが
るプロジェクトに投資します。同時に、経営の改革も行います。
効率化やコスト削減、競争力の向上を図り、将来の繁栄に向け
た基盤を築きましょう。

また、リスクマネジメントも忘れてはいけません。融資に伴う
リスクを理解し、リスクマネジメント策を練ります。具体的に
は、バックアッププランを用意することで、未来の不確実性に
備えることができます。

最後に、経営者としての心構えも極めて重要です。危機に直面
しても、希望を失わず、問題に立ち向かう決意を固めましょう。
融資は学びと成長の機会でもあります。多くの経営者が、融資
を利用して危機を克服し、その後にビジネスを成功に導いてい
ます。

融資は、たとえ苦しい状況であっても、未来への投資の手段と
して捉え、計画的かつ戦略的に利用すべきです。絶望的な状況
から抜け出すための道として活かし、ビジョンを実現するため
に賢明に運用しましょう。目先の資金を得たからといって漫然
と赤字を出し続けるのではなく、高い志を持ち、成功を信じて
行動を起こしましょう。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

支持率が最低レベルまで凋落している岸田政権ですが、重点施
策として掲げた下請け対策には力点を置いておられます。この
日本の中小企業や下請け事業者の取引条件改善に関する取り組
みは、経済の健全な成長と中小企業の持続可能な発展を支援す
るために非常に重要です。以下に、岸田政権が実施した主要な
取り組みについて解説します。

■1. 価格交渉の促進
岸田政権は、価格交渉の促進を通じて中小企業や下請け事業者
の取引条件改善を支援しています。

○1.下請中小企業振興法に基づく「助言(注意喚起)」の実施
政府は不公正な取引条件が発生した場合に、大企業と中小企業
の間で価格交渉を促進するために助言や注意喚起を行います。
これにより、取引の公平性が向上し、中小企業の弱みを補完し
ます。

○2.価格交渉促進月間の設定
政府は「価格交渉促進月間」を設定し、中小企業と大企業の価
格交渉を積極的に推進しています。この期間中に、価格交渉の
場を提供し、双方が合意に達するための支援を行っています。

○3.下請中小企業振興法の振興基準の改正
政府は下請中小企業振興法の振興基準を見直し、中小企業の取
引条件改善を推進しています。これにより、取引における公正
なルールが整備され、不当な圧力から中小企業を保護します。

■2.パートナーシップ構築宣言の拡大
政府は大企業と中小企業の協力関係を強化し、パートナーシッ
プ構築宣言の拡大に取り組んでいます。

○1.宣言企業全社への調査
大企業に対して、パートナーシップ構築宣言に関する調査を行
います。これにより、宣言の実効性や実施状況を評価し、改善
の余地を見つけます。

○2.下請取引企業への調査
大企業との取引を行う下請け事業者に対しても調査が実施され
ます。これにより、大企業との関係が下請け事業者にどのよう
な影響を与えているかを把握し、必要な対策を講じます。

○3.コーポレートガバナンスに関するガイドラインへの位置
付け
大企業はコーポレートガバナンスに関するガイドラインに則っ
て経営を行うことが求められます。これにより、企業の透明性
と責任が高まり、中小企業との信頼関係が築かれます。

○4.補助金によるインセンティブの検討
大企業に対して、中小企業とのパートナーシップ構築宣言を実
施する際に補助金を提供することを検討します。これにより、
大企業は中小企業との連携を促進しやすくなります。

■3.下請取引の監督強化
政府は下請取引の監督を強化し、不公正な取引条件から中小企
業を保護するための措置を講じています。

○1.下請けGメンの体制強化
下請けGメンは、不公正な取引に対する監督・指導を行う役員
です。政府はこの体制を強化し、違反行為を取り締まります。

○2.商工会・商工会議所と下請かけこみ寺の連携
商工会や商工会議所は、中小企業に対する支援体制を強化し、
不公正な取引に関する相談を受ける役割を果たします。政府は
これらの組織と連携し、問題の解決を支援します。

○3.業種別ガイドライン・自主行動計画の拡充・改定
下請け取引における業種別ガイドラインや自主行動計画が見直
され、より効果的な取引条件改善が促進されます。

■4.知的財産(知財)関連の対応強化
知的財産に関連する問題に対処するため、政府は以下の措置を
実施しています。

○1.知財Gメンの新設
知的財産に関する専門家からなる知財Gメンが設置され、中小
企業に対して知財に関するアドバイスと支援を行います。

○2.知財取引アドバイザリーボードの設置
知財取引に関するアドバイザーボードが設けられ、中小企業と
大企業の知財関連の取引における課題の解決を支援します。

○3.商工会議所や特許庁との連携
商工会議所や特許庁などの機関と連携し、知財に関する情報提
供やアドバイスを強化します。

■5.約束手形の利用廃止への道筋
政府は約束手形の利用を廃止するためのロードマップの検討を
進めています。約束手形は取引における支払い手段として使用
されてきましたが、これによる支払いリスクが中小企業に負担
をかけることから、その廃止が検討されています。

以上の取り組みは、岸田政権の指導の下で中小企業と下請け事
業者の取引条件を改善し、経済の安定と成長を促進するために
実施されています。これらの政策は、日本の中小企業セクター
の競争力を向上させ、持続可能な経済発展を支える役割を果た
しています。

◎下請かけこみ寺
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.htm

朝倉祐介氏は、「ファイナンス思考」という著書で、損益計算
書(PL)の数字に短絡的に固執する考え方(PL脳)から抜
け出し、長期的な価値向上を目指す戦略的な思考を提案してい
ます。

<以下要約です。>

PL脳とは、売上や利益などの損益計算書上の指標を最大化し
ようとする短期的な思考を指します。この考え方が、日本企業
の長期的な成長を妨げ、失われた10年が30年に広がる原因
となっています。

ファイナンス思考は、企業価値を最大化し、長期的な視点で事
業戦略や財務戦略を総合的に考える思考法です。企業のエッセ
ンスは、社会的な価値の提供であり、その対価としてお金を受
け取ることです。

ファイナンス思考の特徴は、企業が3つの市場で評価されるこ
と(財市場、労働市場、資本市場)で、これらの評価を長期的
な目標に合わせることが経営者の役割です。

ビジネスは資金調達、資金創出、資産の最適配分、ステークホ
ルダーとのコミュニケーションの4つの役割で構成され、これ
らを逆算的かつ戦略的に考えるのがファイナンス思考です。

全ての業務にファイナンス思考が関連しており、従業員が自分
の業務がどの部分を担い、どのような成果を期待されているか
を理解することが重要です。

アマゾンなどの企業はファイナンス思考を活かし、ステークホ
ルダーとのコミュニケーションを重視し、顧客への価値提供に
焦点を当てて成長しています。

日本企業の多くは「PL脳」から抜け出せず、現場でPLを基に
した管理が主流です。経営者になる人材の多くも「PL脳」の
ままであり、これが日本企業の成長を阻害しています。

ファイナンス思考を身につけることで、自身の業務が会社全体
のファイナンスとどのように関連しているかを理解し、経営判
断に資することができます。

<要約終わり>

2018年に出版された少し古い本になりますが、巨額の赤字
を出し続けたアマゾンの戦略等を紹介しながら、短期的な利益
ではなく、価値志向、未来志向を特徴とする「ファイナンス思
考」を提唱しています。ファイナンス力が弱い一般中小企業が
実践するには難しい点もありますが、基本的な企業(事業)の
在り方として必要な考え方であると感じます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

○銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、
『貴社の財務部長代行』を廉価でお引き受けいたします。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所である当事務所にて承っております。
お気軽にご相談ください。

同じ利益額でも利益率の高い会社、同じ売上高でも継続的な売
上比率の高い会社、事業用資産の小さな会社、成長性の高い分
野の事業を行う会社は、企業価値が高くなります。企業価値を
向上させるための要諦について解説いたします。

■1.脱・売上至上主義!

◎売上の大きさではなく利益の大きさが重要
◎同じ利益なら、売上は小さいほうが良い

売上には高品質な売上と安物の売上があります。企業価値は売
上の純度に相関します。売上の純度が高い企業ほど、その企業
価値は高くなります。売上の純度を高める経営、純度の低い売
上を取り除く経営を行ってください。企業価値が向上します。

■2.売り切りから継続販売、継続的なサービス提供へ!

◎所有から利用へ、顧客ニーズは変わってきた
◎一過性の売上より、継続する売上の方が良い

顧客ニーズは、所有から利用へと変わってきました。経営的に
も、売切りの一過性の売上よりも、継続的な売上の方が安定し
ます。また、継続的に利用してもらうためには、商品やサービ
スに進化・発展が求められます。継続的な集金モデルを有する
企業には、それに相当する企業価値が与えられます。

近年会社の業績を表す指標にARRを使う企業が増えてきまし
た。この指標は売上や利益の安定度を示しています。
※ARRとは「Annual Recurring Revenue(アニュアル・リカ
ーリング・レベニュー)」の頭文字を取った言葉であり、日本
語に訳すと「年間経常収益」を意味するビジネス用語です。
毎年、決まって得られる収益・売上をさします。

■3.持たざる経営への移行!

◎総資産の大きさではなく純資産の大きさが重要
◎事業用の資産は小さい方が、企業価値が高くなる
※代表的な企業価値算定法であるEBITDAマルチプル法では、
事業用の資産と事業用負債を除外した上で借入金を差し引いた
ネットキャッシュを現時点の株主価値と評価します。
◎同じ利益なら、従業員は少ない方が良い
◎同じ費用総額なら、固定費は小さく、変動費が大きい方が良い

資産には価値ある資産とそうでない資産があります。企業価値
は資産の純度に相関します。資産の純度が高い企業ほど、その
企業価値は高くなります。資産の純度を高める経営、純度の低
い資産を持たない経営を行ってください。企業価値が向上しま
す。また、事業用資産の小さい企業は、生み出すキャッシュフ
ローが相対的に増えるので企業価値が高くなります。

■4.良い事業立地を選定する!

◎どこにでもある事業ではなく、レアな事業を行う方が良い
◎飽和した成熟市場を攻めるより、成長性のある市場の方が良い
◎相対的優位に立てる市場が面白い

事業は、いかに上手に運営するか(マネージメント)の前に、
どんな事業をするか(事業立地の選定)が重要です。取り組む
事業を間違えたら、経営の成果、企業の価値向上は限定的です。
企業価値を高くとるためには、事業立地の選定が重要です。

企業の規模ではなく、企業の価値に重点を置いた経営に移行し
ませんか。そのためにも、事業計画書を作って、又は、作り直
してみませんか。今から作る事業計画書は、【規模拡大を目指
す計画書】ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にして
ください。

日本政策金融公庫が提供する融資制度の一つである新株予約権
付融資(スタートアップ支援資金)について解説します。スタ
ートアップとは、新たなビジネスアイデアや技術を基に、急速
な成長を目指す企業を指しますが、この制度は、スタートアッ
プ企業が成長段階で必要とする資金を提供し、事業の拡大や開
発に注力できるよう支援します。

主な特徴として、次の点が挙げられます。

1.新株予約権付融資: 融資を受けた場合、スタートアップ企
業は日本政策金融公庫に対して新株予約権を付与します。しか
し、日本公庫が、新株予約権を行使して株式を取得することは
なく、原則として、株式公開時など一定の条件に達した場合に
経営責任者の方などに新株予約権を売却します。(新株予約権
の売却時期については、株式の時価が行使価額の2倍以上とな
った場合または株式公開する場合のいずれかを融資時に選択で
きます。)

2.スタートアップ向け: 特にスタートアップ企業を支援する
ために設計されています。成長段階の早い企業にとって、資金
調達は重要ですが、リスクが高いため他の金融機関からの融資
が難しい場合があります。この制度は、そのような企業に必要
な成長資金を無担保で提供する仕組みです。

3.利率優遇: 新株予約権付融資の利率は他の一般的な融資プ
ログラムよりも優遇されていることがあります。これにより、
企業の返済負担を軽減し、資金を効果的に活用できます。

4.成長支援: この制度を利用することで、企業は新たなプロ
ジェクトの開始、市場拡大、技術開発など、成長に向けた活動
をサポートする資金を調達できます。

5.柔軟性: 利用目的や返済スケジュールなど、ある程度の柔
軟性が許容される場合があります。企業の状況に合わせて融資
条件を調整できます。

スタートアップ企業にとっては、成長のための資金調達手段と
して検討する価値がある制度ですが、公庫の審査を通過する必
要があり、条件や要件があることに留意する必要があります。
スタートアップ企業の資金調達についても、是非、ご相談くだ
さい。