税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。以下、
一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み1:
すでに借入れのある銀行から追加の融資依頼(「借りませんか。」)
を受けています。資金にはある程度余裕があるようにも思いま
すが、融資依頼をお断りすることになぜか不安も残ります。
「どこまで借りればよいか?」と悩んでいます。どのような基
準で判断すればよいでしょうか?

◇当事務所(銀行融資プランナー協会)では、このような時に
は以下の基準をご提示して助言しています。

○近未来の資金繰り計画に沿って、
・資金繰り計画上十分な余裕資金を持つこと。
・資金繰り計画(売上計画)自体が下振れする可能性を踏まえ
て、それでも資金繰りに困らない資金を確保すること。保険を
掛けておくこと。
・金融機関は経営状態の良い時(晴れの日)だけ、融資依頼
(「借りませんか。」)を行う、この事実を理解すること。
悪くなれば(雨の日)、「貸せません。」の回答が返ってきま
す。

○一方、
・借り入れが膨らめば、その金利負担が膨らむこと。
・手持ち資金が潤沢になれば、余分なお金を使いたくなる趨勢
がある。
上記の様な長所と短所を天秤にかける必要があります。

近未来の経営状況を正確に読み切れるなら、最小限の資金で会
社は回せますが、近未来の経営に不確実性があるならば、余裕
を持つことが必要です。多くの会社様は後者ではないでしょう
か。結果として、当事務所(銀行融資プランナー協会)では、
「借りられる時に、借りられるだけ借りてください。」と助言
する場合が多くなります。

◎当事務所にて、簡易的な近未来の資金繰り表(標準・良い時・
悪い時)を社長様とミーティングしながら作成した結果、今回
銀行から提案された融資を受けることになりました。近未来の
資金繰り表を作成したことで、社長様は大いに安心されたご様
子でした。

※向こう6か月~1年先までの資金繰り計画は常に把握できる
ようにしてください。また、判断に迷うなら、借りてください。

◆お悩み2:
資金繰りが厳しくなってきたので、銀行の担当者にリスケジュ
ールを依頼しましたが、「せめて半分は返済し続けて欲しい。」
と言われています。半分も返済する余裕はありませんが、受け
付けてもらえません。どう対応すればよいのでしょうか?

◇(確認すると、試算表は提出しているものの、経営改善計画
書は作っておられませんでした。)銀行にリスケジュールを依
頼する時は、経営改善計画書が必要です。銀行は、この経営改
善計画書を基準に、リスケジュールの受け入れの可否や、返済
額の妥当性を判断します。一定期間返済猶予を受けることで、
その会社・個人事業者様の経営が健全化することがリスケジュ
ールの条件になります。返済猶予を行っても、経営が改善する
見込みがない時は、金融機関は返済猶予を受け付けません。返
済額を極小(0円)に圧縮することで、一定期間経過後に健全
化する経営改善計画書を作成することが必須でした。

◎当事務所にて、経営改善計画書を作成し、当事務所が主体的
に銀行対応を行った結果、スムーズに返済額0円でリスケジュ
ールを行うことができました。経営改善の期間は5年です。
一年後に再度リスケジュールに応じてもらうためにも(通常リ
スケジュール契約は一年毎に見直しを行います。)、銀行には
継続的な経営状況の報告が必要です。当事務所が継続的に銀行
とのやり取りを行います。

※リスケジュールを依頼する時は、経営改善計画書が必要です。
金融機関が「せめて半分は返済し続けて欲しい。」と言うのは、
返済額0円にすることで、一定期間経過後に、経営改善が出来
るとする経営改善計画書を提出していないからです。
…次回号に続く

企業の成長や変革には資金が欠かせません。その資金調達方法
の一つとして、銀行借入は多くの企業にとって最も身近な選択
肢です。しかし、企業のライフサイクルに応じて、銀行借入の
利用方法や条件は異なります。このコラムでは、企業のライフ
サイクルと銀行借入について考察します。

■ 初期のスタートアップ段階
新たなビジネスを立ち上げるスタートアップ企業にとって、資
金調達は生命線です。この段階では、自己資金、日本政策金融
公庫や保証協会の創業融資が主な資金源です。

■ 成長期の資金調達
スタートアップ企業が成長し、売上が増加する段階に入ると、
資金需要が高まります。ただ、借入や返済の実績はまだ少ない
ため、黒字転換や将来の収益見込みを示すことが、銀行の審査
に通るための鍵となります。また、保証人や担保の提供が求め
られることもあります。

■ 定着期と安定期
企業が市場で確固たる営業基盤を築き、安定的な収益を上げる
段階に入ると、銀行借入の利用が一層増えます。この時点での
銀行借入は、運転資金の補填や設備投資、M&A(合併・買収)
など、戦略的な資金調達として重要な役割を果たします。企業
の信用度が高まるため、より有利な条件で資金調達できること
があります。

■ 成熟期と後退期
企業が成熟期に入ると、新たな成長機会を見つけることが難し
くなることがあります。この段階では、効率化や収益最大化が
求められ、資金調達の必要性は低下する傾向があります。逆に、
後退期に入る企業は、銀行借入を返済することが難しくなる可
能性があるため、資金調達が困難になることがあります。

最適な銀行借入戦略を選択するために、企業は自身のライフサ
イクル段階を正確に評価し、資金ニーズを明確にすることが重
要です。また、銀行との信頼関係を築き、資金調達のプロセス
をスムーズに進めることが成功の鍵となります。企業の成長と
変遷に合わせて、銀行借入を上手に活用し、持続可能なビジネ
スを築きましょう。

少なくない経営者が金融機関対応に間違えた考え方を持ち込ん
でいます。真逆の対応をしておられる社長様も少なくありませ
ん。まず結論ですが、以下の3つを確認してください。

●1.『雨傘理論』ではなく『日傘理論』で考えてください。
●2.『借り手(会社)の論理』ではなく『貸し手(金融機関)
の論理』で考えてください。
●3.『困ったら借りる』ではなく『借りられる時に借りる』
で行動してください。

以下で解説いたします。

●1.×『雨傘理論』⇒ 〇『日傘理論』

金融機関にある傘はすべて『日傘』です。(一部の制度融資を
除く)金融機関は、資金を必要とする会社にお金を貸すのでは
なく、返済してもらえる会社に融資をします。必要だから、な
ければ困るから貸してくれ…この理屈は通りません。このよう
に返済できるから融資をお願いしたい…この論理展開が重要で
す。

金融機関に、困った会社への救済融資という商品『雨傘』は存
在しません。一部(コロナ融資等)の制度融資は特例です。

●2.×『借り手(会社)の論理』⇒ 〇『貸し手(金融機関)
の論理』

・今は資金が必要でないから借りない。金利ももったいない。
・今は資金が必要だから借りたい。
上記は『借り手の論理』です。

・今は経営状況が良いから融資できますよ。
・今は経営状況が悪いから融資できませんよ。
これらは『貸し手の論理』です。

経営状況が良くて、資金が必要な時には、双方の意向がマッチ
して、資金調達ができますが、経営状況が悪ければ、資金が必
要になっても資金調達はできません。

●3.×『困ったら借りる』⇒ 〇『借りられる時に借りる』

資金余力が十分でない会社は、自社の都合ではなく、貸し手の
都合に合わせて資金調達を継続すべきです。少しばかりの金利
は、保険と割り切りましょう。金融機関のお世話にならなくて
いいと思える確証を持てるまでは、金融機関(貸し手)の都合
を優先してお付き合いしましょう。他に方法がないからです。

◆パワーバランスの欠落は経営者にとって致命傷!

金融機関との関係も、他の利害関係者同様本来は対等であるべ
きです。自社がいくら立派になって、金融機関の支援を必要と
しなくても威張らない、逆に、自社の経営が逼迫していても、
金融機関に媚びる必要はありません。この前提で申し上げるの
ですが、それでもパワーバランスは変動します。自社が相対的
に弱ければ、相手の基準に合わせていかねば事が運びません。
創業から中小零細企業の多くは、金融機関に対しては、自社の
都合『借り手の論理』ではなく、相手の都合『貸し手の論理』
で行動するしかありません。このセンスを持ち合わせていない
経営者は、金融機関対応だけでなく、その他すべてのビジネス
シーンでミスを連発しているはずです。

重要な事なので繰り返しますが…

●1.『雨傘理論』ではなく『日傘理論』で考えてください。
●2.『借り手(会社)の論理』ではなく『貸し手(金融機関)
の論理』で考えてください。
●3.『困ったら借りる』ではなく『借りられる時に借りる』
で行動してください。

上記の3つの原則を守ってください。少なくない社長様が間違
えています。真逆の対応をしています。

卸事業を行うA社様の事例です。会社の幹部に経営を引き継ぎ
たいと考えており、そのための対策が求められていました。
事業承継時に最もよくある課題は下記の2点です。

1.事業を譲り受ける方が株式の購入資金を用意できない。
2.会社の借入に対して後継者個人が連帯保証をすることに
抵抗がある。

A社も同様に上記の課題に直面していました。
資本金は1,000万円(1,000株)ですが、幹部の方が
個人的に用意できる資金は100万円程度であり、過半数の議
決権も取れない状況です。

この問題は自己株の買い取りにより解決しました。自己株の買
い取りとは、社長が持っている株式を会社に売却する方法です。
会社が買い取った株式は議決権を持ちませんので、大半を会社
に売却することで、少数の株式でも経営権を後継者に引き継ぐ
ことができます。

まず、社長が保有している株式1,000株のうち900株を
900万円で会社に売却し、残り100株を100万円で後継
者に売却しました。これにより、後継者は100万円の資金で
100%の経営権を取得することができました。また、社長様
も当初出資した1,000万円全額を回収できました。

次に個人保証の問題です。政府は、できるだけ経営者の個人保
証をとらないようにしようと「経営者保証に関するガイドライ
ン」を定めましたが、実務上は銀行も保証協会も簡単には無保
証に応じてくれないのが現状です。この制度に最も積極的に取
り組んでいるのは日本政策金融公庫だと感じます。

A社も個人保証を入れた借入が3,000万円超ありましたが、
日本政策金融公庫より無保証で4,000万円の借入を行うこ
とができたため、既存の金融機関とは交渉しやすくなりました。
もちろん日本政策金融公庫は、既存借入の肩代わり資金として
融資をしてくれた訳ではありませんが、交渉が難航すれば一括
返済という最終手段で対応できます。

これらの事業承継対策は短期間に行った訳ではありません。特
に自己株の買い取りは、株価の問題もあるため、複数年に分け
て行っており、自己株式の買取資金についても、金融機関の協
力があって実現しました。

事業承継時にネックとなる問題は「資金」です。事業承継を考
えておられる経営者様は、是非ご相談ください。

当事務所、銀行融資プランナー協会の『新・税理士』は、その
突出した新サービス『資金繰り円滑化サービス』を開発し運用
しています。クライアント(候補)の様々な財務・金融事案に
対応できます。

今回は、その事例の一部概要を紹介します。

◆事例1.
創業融資の応用編、創業融資要件不足の補完と協調融資で15
百万円満額調達した事例。(飲食業A氏)

「自己資金5百万円で政策金融公庫に創業融資10百万円を申
し込みに行ったが、受け付けはしてくれたものの、ネガティブ
な対応を受けた」(A氏)と暗い表情で訪ねてこられました。
内容を確認すると、政策金融公庫の創業融資要件をいくつも満
たしておらず、このままでは融資が実行されないのは明らかで
す。一旦融資の申し込みを取り下げて、案件の再構築を行いま
した。提出書類の作り直しと申し込み金額の引き下げ、不足分
は他行との協調融資で満額の15百万円を調達しました。

◆事例2.
リスケ実行のための「経営改善計画書」の策定事例。多くの資
産を保有し、直近借入もあり、少々難解な事例です。
(サービス業B社様)

主要取引先との取引条件変更のために、売上が激減して窮地に
立っていた社長様が来所されました。直近に借入れた融資もあ
り、「金融機関はリスケに応じない」とのことでした。直近に
借入れを起こした金融機関との関係の調整等難航しましたが、
経営改善計画書を作り込んで元金返済0円のリスケを実行しま
した。

◆事例3.
約定返済が厳しくなる中で、「リスケやむなし」と来所された
社長様。借入れの一本化・返済期間の変更等で、リスケを行わ
ず、追加の資金調達を行った事例です。(広告企画業C社様)

「リスケしたいので相談に乗って欲しい。」と社長様が来所さ
れました。内容を確認すると、リスケではなく新規の借入れを
起こせる財務状況にありました。新たな借入れの実行と、既存
の借入れの一本化により、手元資金を確保した上で、返済を続
けています。

◆事例4.
リスケ実行中の社長様が相談に来られました。リスケの解消と
同時に追加資金調達を行った事例です。(製造業D社様)

リスケ中にもかかわらず、相当額の返済を続けている社長様が
来所されました。「メインバンクとはコミュニケーションがう
まくいっていない」とのことでした。返済額の減額か?と当初
考えましたが、内容を確認したところ、融資の他行組み換えに
よるリスケの解消と新規融資の実行で解決しました。手元資金
を新たに確保した上、正常先に格上げされました。

◆事例5.
借入れが困難な会社様に対する「資金繰り円滑化サービス」の
実施事例について。(食品加工業E社様)

「新たな借入れを起こしたい」と社長様が来所されました。内
容を確認すると、明らかに新規融資は受けられません。なぜ、
どの辺が無理なのか?どうすれば融資を受けられるようになる
のか?を説明して納得いただきました。「資金繰り円滑化サー
ビス」を受けながら、資金繰り対応を丁寧に行って経営に励ん
でおられます。

◆事例6.
業績が急激に伸びている会社様に対する「資金繰り円滑化サー
ビス」の実施事例について。(広告企画業F社様)

創業2年目でありながら、業績急成長の社長様がおられます。
「資金繰り円滑化サービス」の利用を始めていただきました。
当所が財務部長的な役割を果たします。必要な成長資金の調達
や、金融機関対応の煩わしさを肩代わりしています。
等々

当事務所は、財務・金融に突出した対応力を持っています。
資金は経営の血液です。厳しい時も、余裕がある時も、備える
ことが重要です。貴社のキャッシュフローの番人業務を当事務
所の『新・税理士』にお任せください。財務部長的な役割を担
います。まずは、ご遠慮なく相談ください。

「ご融資の申し込みですね。それでは決算書3期分と直近試算
表、作成していれば資金繰り表と借入残高一覧表、それから受
注明細と税金の納付書・・・」

融資申し込み資料の準備は手間のかかる作業です。出来れば提
出書類を減らしたい気持ちは分かります。しかし、銀行は漫然
と資料を求めている訳ではありません。目的を持って資料を要
求しています。資金調達を成功に導くためには、「なぜ銀行が
その資料を要求しているのか」を理解することが大切です。

■ 税務申告書
税務署に提出した消費税、法人税、住民税、及び事業税の申告
書類一式です。納税額の確認はもちろんのこと、決算書の利益
額が税務署に報告した利益額と違っていないか等、粉飾決算の
糸口や、償却不足、納税の延滞等、基本的な要件を確認してい
ます。

■ 決算報告書
決算日の財務状況や1年間の経営成績を明らかにした資料です。
融資審査をするうえで最も重視されます。利益の状況、返済原
資の有無、実態債務超過の有無、借入過多の有無などを確認し
ています。

■ 試算表
決算日以降の経営状況を明らかにした資料です。決算書とは違
って正式な書類ではありませんので、あくまでも参考資料です。
決算日以降、売上や利益が大幅に減少していないか等、重大な
後発事象の発生を確認します。

■ 資金繰り表
一定期間のお金の流れを明らかにした資料です。過去の実績を
表した資金繰り実績表と未来の予測を表した資金繰り計画表が
あります。決算書や試算表だけでは分からないお金の流れを知
ることで、返済の見込みをより正確に判断出来る他、必要な運
転資金額の根拠や返済原資を確認することが出来ます。

■ 事業計画書
店舗の出店、工場の建設など、設備投資を行う際の投資効果を
検証する計画書です。設備資金を調達する際は必須の資料です。
融資金を返済出来るだけの利益を上げられる計画になっている
か、また、その実現の可能性について検証しています。

漫然と作成した資料を提出するより、銀行が評価するポイント
をしっかりと押さえた資料を提出した方が、資金調達の可能性
は大きく高まります。銀行から求められた資料について、その
意図をお知りになりたい場合は、お気軽にお問い合わせくださ
い。

スタートアップの成功と失敗は、多くの要因によって決まりま
すが、
■1.プレマチュアスケーリング(Premature Scaling)と
■2.PMF(Product-Market Fit)
は特に重要な概念として取り上げられます。以下に、これらの
言葉を使って、スタートアップが破綻する主要な理由を解説し
ます。

■1.プレマチュアスケーリング(Premature Scaling)
●創業時の罠!
プレマチュアスケーリングとは、スタートアップが市場やビジ
ネスモデルの適合性をしっかりと確立する前に、急激に成長を
追求し事業を拡大することを指します。

◆1.人員の急増
初期段階での急激な人員の増加は、コミュニケーションの混乱
や経費の増大を引き起こす可能性があります。新しい従業員の
教育やマネジメントに必要なリソースが増加し、初期段階での
ミッションやビジョンの共有が難しくなることもあります。

◆2.過剰なマーケティング投資
確固たる顧客基盤を築く前に大きなマーケティング投資をする
ことは、ROI(投資対効果)が低く、資金を無駄に消費する結
果となることが多いです。

◆3.オペレーションの拡大
適切なデマンドフォーキャストなしにインフラや設備を大きく
することは、固定費の急増というリスクを伴います。

これらのプレマチュアスケーリングの結果、企業は過度なコス
トやオペレーションの複雑さに直面し、焦点を失いやすくなり
ます。スタートアップ企業が破綻する要因の過半はこれです。

■2.PMF(Product-Market Fit)
●創業時の鍵!
PMFは、製品やサービスが市場の実際のニーズにしっかりと適
合している状態を指します。

◆1.PMF未達成のリスク
PMFを達成していない状態でビジネスを拡大すると、市場の真
のニーズを満たすことができず、継続的な顧客の獲得やリテン
ションが困難になります。

◆2.顧客のフィードバックの無視
PMFを追求する過程では、顧客のフィードバックを収集し、製
品やサービスの改善に取り組むことが非常に重要です。しかし、
このフィードバックを無視すると、市場ニーズとの乖離が生じ
る可能性が高まります。

◆3.市場のサイズと潜在性の見誤り
PMFを追求する中で、対象となる市場のサイズや潜在的な成長
性を適切に評価することが必要です。過小評価や過大評価は、
戦略の誤りに繋がるリスクがあります。

総じて、プレマチュアスケーリングはスタートアップが急速に
拡大する際の罠となり得る一方、PMFはスタートアップの製品
やサービスが市場の実際のニーズに適合しているかを評価する
ための鍵となります。これらの概念を適切に理解し、それに基
づいて行動することで、スタートアップは健全な成長を追求し、
破綻のリスクを軽減することができます。

企業経営は複雑で多岐にわたる課題を含み、成功するためには
幅広い専門性が必要です。そのため、多くの経営者は、専門家
の意見やアドバイスを受け入れることは大切であると認識して
います。しかし、時には経営者が専門家に過度に依存し、経営
判断までを託してしまうことがあります。社長が専門家に経営
判断を過度に委任することの問題点について考えます。

1. 経営者の責任感の低下
経営者が経営判断を専門家に完全に委任すると、経営者自身の
責任感が低下するリスクが生じます。責任を逃れるために「専
門家がそう言ったから」と言い訳をすることが容易になり、結
果的に経営者のリーダーシップや決断力が鈍化します。経営者
は自身の責任を果たし、ビジョンを明確に持つ必要があります。

2. ビジョンのずれ
専門家は特定の分野に精通していますが、その視点はしばしば
専門性に偏りがちです。経営者が経営判断を完全に委任すると、
専門家の視点によってビジョンが歪められる可能性があります。
経営者のビジョンと専門家のアドバイスをバランスよく統合す
ることが重要です。

3. 経営状況への深い理解の欠如
経営者は企業の日常的な運営や状況を深く理解しています。し
かし、経営判断を専門家に委任しすぎると、経営者自身が企業
の状況を把握する機会が減少します。これにより、経営者は企
業の現実に疎くなり、経営状況へのリアルな理解が欠如する可
能性があります。

4. 過度なコストと時間の浪費
専門家に経営判断を委任することは、高額なコンサルティング
料やアドバイザーの費用を伴います。また、専門家の意見を待
つために時間がかかることもあります。経営者が過度に専門家
に依存すると、財政的な浪費や競争力の低下が懸念されます。

5. 経営者の成長の妨げ
経営者は経験を積むことによって成長し、リーダーシップスキ
ルを向上させることができます。しかし、経営判断を専門家に
完全に委任すると、経営者の成長の機会が制限されます。自己
成長と学習は、持続的な成功のために不可欠です。

専門家のアドバイスや専門知識は、経営者にとって非常に価値
のあるものですが、それを過度に依存し、経営判断までを委任
することは慎重に考えましょう。経営者はビジョンを明確に持
ち、経営状況を理解し、専門家のアドバイスを適切に統合する
バランス感覚を持つことが成功への道です。専門家のサポート
はあくまで手段であり、経営者自身が責任を持ち、ビジョンを
実現する使命を果たすことが重要です。

…前回号のつづきです。

ライドシェアの解禁論が政治課題にあがってきました。勿論反
対論が根強く、タクシー業界は猛反対です。ライドシェアはタ
クシーの天敵であり、自らの地位を脅かす最大の敵だからでし
ょう。

一方、タクシー事業者の中にも、ライドシェアを仕掛けてくる
事業者は必ず存在すると推察します。なぜなら、ライドシェア
事業者として、日本で一番成功しやすい会社は国内のタクシー
事業者だからです。

タクシー会社がライドシェアに反対する代わりに積極的に取り
組む方が良い、という考え方は、カニバリゼーションの理論に
よっていくつかの点で裏付けられます。以下にその主要な理由
を挙げます。

■1.カニバリゼーションを活用する理由

◆1.先手必勝の戦略
ライドシェアが急成長しそうな状況になったら、タクシー業界
が反対姿勢を続けているだけで市場シェアを失い、最終的には
業界そのものが縮小する可能性があります。自社でライドシェ
アに取り組むことで、新しい市場環境に適応し、競争力を維持
できます。

◆2.市場ニーズへの対応
ライドシェアは特に若い世代を中心に受け入れられています。
タクシー会社がこの新しいニーズに適応することで、新しい顧
客層を獲得し、収益の多角化が可能です。

◆3.イノベーションと進化
ライドシェアはテクノロジーを駆使して効率的なサービスを提
供しています。タクシー会社がこの新しいビジネスモデルに取
り組むことで、自社もテクノロジーと効率性に注力する文化が
醸成されます。

◆4.リスクの分散
もしタクシーとライドシェアが共存できるビジネスモデルを見
つけられれば、景気の波や規制の変更など外部からのリスクに
対する柔軟性も高まります。

◆5.コスト効率
ライドシェアが提供するようなアプリベースのサービスは、運
行管理においても多くの効率化が可能です。この効率化は長期
的に見てコスト削減につながり、企業の利益率を改善する可能
性があります。

■2.懸念点とリスク

◆1.短期的な収益減
既存のタクシーサービスがライドシェアサービスによって、一
時的に収益減に陥る可能性があります。

◆2.オペレーショナルな複雑性
異なるビジネスモデルを運営する際の複雑性が増すことは確か
です。しかし、この問題は適切なマネジメントで克服可能です。

◆3.レギュレーションと法的問題
タクシーとライドシェアは異なる法的規制を受ける場合が多く、
その遵守には注意が必要です。

上記のように、ライドシェアの台頭はタクシー業界にとって避
けられない現実であり、積極的に新しいビジネスモデルに適応
していくことで、多くの利点と新たな機会を享受できる可能性
が高いはずです。カニバリゼーションは短期的なリスクを伴う
場合もありますが、その対処法をしっかりと考え、長期的なビ
ジョンを持つことが重要です。

◎ライドシェアが解禁の方向に動いた時、皆様がタクシー会社
の経営者であったなら、どのような経営判断をされますか?
◎また、皆様の業界で同じようなことが起こっていたら、その
ような判断を行っていますか?

この題材を参考にご確認ください。

数値計画書というと、売上と利益が分かる損益計画書が一般的
ですが、場合によっては、キャッシュの収支が分かるキャッシ
ュフロー計画書の方が有益な場合があります。

■ 損益計画書の問題点
顧問先さまから「利益目標と言われても実はピンと来ない…」
とお聞きすることがあります。

利益の難しいところは、赤字だからと言ってすぐに倒産はしま
せんが、反対に黒字なのに倒産する場合があります。また、赤
字でも金融機関の融資を受けられる場合もあるなど、その重要
性を真に理解するのは容易ではありません。

よって中小企業にとっての損益計画書とは、(銀行用などに)
形式的に作成するもの、もしくは、作成しても活用していない
というのが実態ではないでしょうか。

■ キャッシュフロー計画書とは
キャッシュフロー計画書とは、売上や利益の計画では無く、売
上金の回収、借入、設備投資等、あらゆる事業活動における資
金の計画です。利益では無く、入金額と出金額の差額の黒字化
や資金の増加額を目標とします。

■ キャッシュフロー計画書の特徴
キャッシュフロー計画書を作成することにより、売上や利益が
どれくらい必要かということはもちろん、取引条件の変更、借
入の要否、設備投資の可否など、やるべきことがより明確にな
ります。

<キャッシュフロー計画書の優位点>
・実際のキャッシュの出入りに基づいているため、事業計画書
よりも分かりやすい。
・利益では無く、毎月のキャッシュの残高を管理するため倒産
しにくくなる。
・事業計画書では把握できない、取引条件の変更、借入の返済、
設備投資等も網羅している。

当事務所が、利益よりもキャッシュフローを重視したコンサル
ティングを行っているのは他にも理由があります。例えば、将
来の結婚や葬式のために積立金を預かる互助会や、チケットを
事前に販売する業態は、売上よりも先にキャッシュが入ってく
るため資金が潤沢になります。資金調達力が弱い中小企業が大
きくビジネス展開をするためには、単なる利益だけではなく、
この様なキャッシュを増やす工夫も必要だと考えるためです。

是非、キャッシュフロー計画書の作成に取り組んでみてはいか
がでしょうか。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。