…前回号のつづきです。

ライドシェアの解禁論が政治課題にあがってきました。勿論反
対論が根強く、タクシー業界は猛反対です。ライドシェアはタ
クシーの天敵であり、自らの地位を脅かす最大の敵だからでし
ょう。

一方、タクシー事業者の中にも、ライドシェアを仕掛けてくる
事業者は必ず存在すると推察します。なぜなら、ライドシェア
事業者として、日本で一番成功しやすい会社は国内のタクシー
事業者だからです。

タクシー会社がライドシェアに反対する代わりに積極的に取り
組む方が良い、という考え方は、カニバリゼーションの理論に
よっていくつかの点で裏付けられます。以下にその主要な理由
を挙げます。

■1.カニバリゼーションを活用する理由

◆1.先手必勝の戦略
ライドシェアが急成長しそうな状況になったら、タクシー業界
が反対姿勢を続けているだけで市場シェアを失い、最終的には
業界そのものが縮小する可能性があります。自社でライドシェ
アに取り組むことで、新しい市場環境に適応し、競争力を維持
できます。

◆2.市場ニーズへの対応
ライドシェアは特に若い世代を中心に受け入れられています。
タクシー会社がこの新しいニーズに適応することで、新しい顧
客層を獲得し、収益の多角化が可能です。

◆3.イノベーションと進化
ライドシェアはテクノロジーを駆使して効率的なサービスを提
供しています。タクシー会社がこの新しいビジネスモデルに取
り組むことで、自社もテクノロジーと効率性に注力する文化が
醸成されます。

◆4.リスクの分散
もしタクシーとライドシェアが共存できるビジネスモデルを見
つけられれば、景気の波や規制の変更など外部からのリスクに
対する柔軟性も高まります。

◆5.コスト効率
ライドシェアが提供するようなアプリベースのサービスは、運
行管理においても多くの効率化が可能です。この効率化は長期
的に見てコスト削減につながり、企業の利益率を改善する可能
性があります。

■2.懸念点とリスク

◆1.短期的な収益減
既存のタクシーサービスがライドシェアサービスによって、一
時的に収益減に陥る可能性があります。

◆2.オペレーショナルな複雑性
異なるビジネスモデルを運営する際の複雑性が増すことは確か
です。しかし、この問題は適切なマネジメントで克服可能です。

◆3.レギュレーションと法的問題
タクシーとライドシェアは異なる法的規制を受ける場合が多く、
その遵守には注意が必要です。

上記のように、ライドシェアの台頭はタクシー業界にとって避
けられない現実であり、積極的に新しいビジネスモデルに適応
していくことで、多くの利点と新たな機会を享受できる可能性
が高いはずです。カニバリゼーションは短期的なリスクを伴う
場合もありますが、その対処法をしっかりと考え、長期的なビ
ジョンを持つことが重要です。

◎ライドシェアが解禁の方向に動いた時、皆様がタクシー会社
の経営者であったなら、どのような経営判断をされますか?
◎また、皆様の業界で同じようなことが起こっていたら、その
ような判断を行っていますか?

この題材を参考にご確認ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です