新年度に入り、中小企業庁から「2025年度 中小企業施策利用
ガイドブック」が公開されました。
このガイドブックには、経営力強化や資金繰り、事業再構築、
事業承継、創業支援など、あらゆる経営フェーズに対応した支
援制度が一覧形式で整理されています。

「制度はたくさんあるけど、自分には関係ない」と思っていな
いでしょうか?
しかし、いざというときに頼りになる制度を知っているかどう
かで、経営の打ち手には大きな差が出ます。支援策は“困って
から”ではなく、“困る前”に活用できるようにしておくことが
重要です。

たとえば、金融分野では日本政策金融公庫や信用保証協会を通
じた低利融資、セーフティネット保証、資本性ローンなどの制
度が整理されています。これらは資金繰りが厳しいときだけで
なく、成長資金として活用することもできます。

また、経営力の強化に関する支援も多彩です。専門家派遣や経
営革新計画の認定支援、DXや事業再構築に関する補助制度も
紹介されています。こうした支援は、補助金の取得だけでなく、
銀行との信頼関係を築く材料にもなり得ます。

さらに、事業承継やM&A支援といった中長期的な課題への対
策も強化されています。経営者自身の引退や世代交代が近づい
ている場合、早期にこうした制度を確認しておくことが大切で
す。

ガイドブックの中身はボリュームがありますが、「今の自社に
関係あるところだけ見る」だけでも十分価値があります。必要
であれば、当事務所に相談しながら読み解くこともおすすめで
す。

支援策を「制度」として眺めるのではなく、「経営の引き出し
のひとつ」として持っておくと環境変化への対応力がまったく
違ってきます。

中小企業向けの支援策は年々アップデートされています。せっ
かく用意された道具を使いこなすためにも、一度この機会にガ
イドブックをチェックしてみてはいかがでしょうか。

■2025年度版中小企業施策利用ガイドブック
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2025/index.html

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

人口減少、物価上昇、価値観の多様化等、激変する環境の中で、
中小企業が持続的に成長するためには、「新たな柱となる事業」
を育てる必要があります。しかし、新規事業と聞くと、「特別
な才能が必要」「資金が潤沢でなければ無理」と思われがちで
す。
実際には、多くの中小企業が“身近な不便”や“顧客の声”から新
たなビジネスを立ち上げ、成功しています。以下に、その実例
とともに、経営者が取るべき具体的なアプローチを5つに分け
て例示します。
※ネット上から引用させていただきました。

■1.「顧客のつぶやき」を見逃すな
事例:株式会社山崎製作所様(大阪府/金属加工業)

山崎製作所は、金属部品の試作品を作る町工場です。あるとき、
得意先の設計担当者が「試作品って、外注先に何度も図面を送
り直すのが面倒」とこぼしたことをきっかけに、自社でWeb
で図面を送受信・確認・修正できるシステムを独自開発しまし
た。このサービスは他社からも好評を得て、現在は外部企業に
もSaaS型で提供、売上の約20%を占める新規事業に成長して
います。

顧客の“ぼやき”には、必ず改善の余地が潜んでいます。「もっ
とこうなればいいのに」という声に耳を傾けることが、新規事
業の第一歩です。

■2.「小さく試す」ことでリスクを最小化
事例:有限会社ウメダ様(香川県/菓子製造業)

老舗和菓子店のウメダは、観光客の減少で売上が低迷していま
した。試験的に「和菓子×プロテイン」というユニークな健康
志向商品を開発し、まずは店頭に週末限定で並べたところ、若
年層やスポーツ愛好者にヒットしました。その反響を受けてEC
展開をスタートし、現在では全国に出荷する定番商品に育ちま
した。

初期投資を抑えた「小さなテスト販売」こそが、無駄なコスト
をかけずに市場の反応を得る最善策です。失敗しても傷は浅く、
成功すれば拡大の起点になります。

■3.「外部との接点」で視野を広げよ
事例:株式会社スワニー様(香川県/カバン製造)

キャリーバッグの老舗メーカー・スワニーは、製品展示会で介
護関係者から「シニア向けに、歩行補助になるキャリーバッグ
が欲しい」という声を受け、歩行支援機能付きバッグ「スワニー
ウォーカー」を開発しました。これが大ヒットし、介護市場に
新たな展開を切り拓きました。

異業種交流会、展示会、地域の勉強会などに参加し、既存の業
界の枠を超えたニーズに触れることが、新たな市場の扉を開く
きっかけになります。

■4.「社内から発想を募る仕組み」を持て
事例:有限会社エムアイエス様(新潟県/建設業)

現場作業員からのアイデアで誕生したのが、施工現場向けのス
マホ用現場管理アプリです。もともとは自社の業務効率改善の
ために作ったものでしたが、他社にもニーズがあると気づき、
ライセンス販売をスタートしました。現在では本業と並ぶ収益
源になっています。

「現場の声」「若手社員の気づき」など、ボトムアップの発想
を経営の意思決定に結びつける文化づくりが、企業にイノベー
ションをもたらします。

■5.「やめる」ことから始めよ
事例:株式会社マルヒデ岩崎製茶様(静岡県/製茶業)

伝統的なお茶の卸販売を行っていたマルヒデ岩崎製茶は、価格
競争の激化に直面していました。そこで思い切って卸売業から
撤退し、「海外の富裕層向け」の高級茶葉ブランドを立ち上げ
ました。海外展示会に積極出展し、現在では売上の8割を海外
が占める成功企業になりました。

新しい挑戦には、「やめる決断」が伴います。経営資源は有限
です。思い切って捨てることで、新規事業に集中できる土壌が
生まれます。

■未来は「外」にある

新規事業は、社長室でひねり出すものではありません。現場に、
顧客に、取引先に、そして異業種に、未来のヒントは、すでに
存在しています。中小企業にとって重要なのは、身近な情報を
「仮説」に変え、小さく実験しながら育てていく行動力です。

変化を恐れず、社内外の声に耳を澄ませてください。未来の収
益の柱は、あなたのすぐそばに、静かに芽吹いています。

夏場にかけて、資金繰りに注意が必要となる企業が少なくあり
ません。特に6月から8月は、夏季賞与や季節商品の仕入れな
ど、キャッシュアウトの要因が重なりやすい時期です。現金の
流れが一時的に偏ることで、資金のやり繰りに不安を感じる経
営者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

売上が上がっている企業でも油断は禁物です。仕入れや人件費
といった支出が先行すると、「黒字のはずなのにお金が足りな
い」という“資金繰り赤字”が発生します。こうした問題の多く
は、「事前にわかっていた支出」に対応できなかったことが原
因です。

資金繰りの本質は、“困ったとき”ではなく、“困る前”に動ける
かどうかです。数ヶ月先までのキャッシュフローを見える化し、
計画的に資金を整える。それが、財務の強さを決める分かれ道
になります。

たとえば、夏季賞与は毎年発生する定例支出です。そうであれ
ば、これに合わせた運転資金の調達は、経営のリスク管理その
ものです。早めに銀行に相談することで、必要な資金をスムー
ズに準備できますし、金融機関側にも好印象を与えることがで
きます。

アパレルや食品など、季節商材を扱う企業では、春から夏にか
けての在庫確保が不可欠です。こうした仕入れ先行型のビジネ
スでは、資金の準備が販売チャンスを逃さないための「攻めの
備え」となります。

また、決算月によって納税時期は異なりますが、いずれにせよ
資金繰りへの影響は大きいため、事前に納税額を把握しておく
ことも欠かせません。

借入について心理的な抵抗感を持つ方もいらっしゃいますが、
重要なのは“借りること”ではなく“いつ・どう使うか”です。必
要なときに、必要な資金を、根拠を持って動かせること。それ
こそが、堅実で信頼される経営のあり方ではないでしょうか。

資金繰りの山場は、危機ではなく「チャンスを整えるタイミン
グ」と捉える。先手を打つ資金戦略で、夏をしっかり乗り切り
ましょう。

「我々の敵は、もはや同業者ではない」この言葉が今、多くの
経営者に突きつけられています。これは早稲田大学ビジネスス
クールの入山章栄教授が著書『世界標準の経営理論』(ダイヤ
モンド社)で提起した、(新)レッドクイーン理論に通じる核
心です。

従来のレッドクイーン理論とは、スタンフォード大学のウィリ
アム・バーネット教授が提示した理論で、名前の由来は『鏡の
国のアリス』の「赤の女王」が発した「今の場所にとどまりた
ければ、今の倍の速さで走り続けなければならない」というセ
リフにあります。これは、周囲も進化し続ける世界では、自社
が現状維持するためにはそれ以上の努力をしなければならない
という示唆です。

この理論はまさに日本の製造業の発展過程に当てはまります。
高度経済成長期、企業同士が品質、精度、価格、納期といった
スペックで熾烈な競争を繰り広げ、その過程で驚異的な技術力
と生産性を獲得しました。世界に誇る「メイド・イン・ジャパ
ン」は、この競争の産物といえます。

しかし、それは同時に「スペックの同質化」をもたらしました。
つまり、競争の軸が似たり寄ったりになり、製品やサービスに
対する本質的な差別化が難しくなったのです。このような状態
にあると、業界全体が「進化しているようで、実は同じ場所に
とどまり続けている」状態に陥ります。

ここで登場するのが「(新)レッドクイーン理論」です。入山
教授は、キツネとウサギの例で説明します。キツネはウサギを
捕らえるために、ウサギはキツネから逃げるために、それぞれ
進化を続けてスピードを増します。しかし、空から猛禽類(タ
カやワシ)が飛来すれば、そのスピード競争は意味を失います。
異次元の脅威に対しては、従来の競争ルールでは太刀打ちでき
ないのです。

現代のビジネス環境では、まさにこの「空からの脅威」が次々
と登場しています。例えば、IT業界によるプラットフォーム
ビジネスが製造、流通、小売、金融、教育など、あらゆる業界
に変革をもたらしています。AIの進化、気候変動への対応、
消費者の価値観の変化なども、従来の「業界内の競争」では対
応しきれない課題です。

では、これにどう対応すべきか。まず第一に、視野を広げるこ
とが必要です。競争相手はもはや「隣の会社」ではありません。
顧客の選択肢は、業界の枠を超えて広がっています。たとえば、
車を買うのではなくカーシェアを選ぶ若者、家具を所有せずサ
ブスクで利用する家庭。こうした変化は、業界内のスペック競
争では捉えきれません。

次に、「顧客起点の発想」を徹底することです。同業者が何を
しているかよりも、顧客が何を求めているのか、どんな不満や
期待を持っているのかに耳を傾けるべきです。顧客の課題を起
点にビジネスモデルを再構築することで、新たな市場や価値の
創造につながります。

さらに、「異業種からの学び」も経営力を高める鍵になります。
製造業がサービス業のカスタマー体験設計から学ぶ、飲食業が
IT業界のサブスクリプションモデルを参考にするなど、視野
を広げることで新しい発想が生まれます。

中小企業にとっては、大企業に比べて意思決定が速く、小回り
が利くという強みがあります。柔軟な発想とスピーディな行動
こそが、変化の時代を生き抜く力となります。

今、私たちに求められているのは、「競争のスピードを上げる
こと」ではなく、「競争の枠組みそのものを見直すこと」です。
目の前の同業者との競争に勝つことが目的ではなく、顧客や社
会に選ばれ続ける企業となること。それが、中小企業がこれか
らの時代を生き残るための道筋です。

中小企業の資金調達において最も重要な指標は、「プロパー融
資を受けられるかどうか」です。プロパー融資とは、銀行が保
証協会などの第三者保証や担保に頼らず、自らの信用判断だけ
で融資することを言います。実は、これが企業の信用力を測る
“本当の物差し”です。

多くの経営者は、「まずは保証協会付き融資で借りられれば十
分」と考えがちです。しかし、安易に保証や担保を差し出して
しまうと、後々資金調達の自由度を自ら狭めてしまう危険があ
ります。

最近関与を始めたある企業もその典型でした。メインバンクに
対して保証協会付き融資や担保提供を行っていたのですが、そ
のメインバンクがプロパー融資にまったく動こうとしない。結
果、新たに取引を始めようとした他行からは、「メインがリス
クを取らないのに、なぜうちが?」と敬遠され、資金調達が行
き詰まっていたのです。

ここで考えるべきは、「誰に保証や担保を提供すべきか」とい
う戦略です。例えば、サブバンクにあえて保証付き融資や担保
を多めに提供し、メインバンクにはプロパーで勝負させるとい
う選択肢もあります。メインに保証や担保を預けきってしまう
と、メインの“貸し倒れリスク”がなくなり、追加融資に対する
インセンティブが働かないためです。

なお、金融機関との関係性は一朝一夕に築けるものではありま
せん。新規取引開始時など、保証付きや担保付きでの取引が必
要なフェーズもありますが、常に「この銀行にどこまでリスク
を取らせるか」を意識しながら、バランスよく交渉していくこ
とが、中長期的な信用構築に繋がります。

資金調達は信用の積み重ねです。目先の融資枠に飛びつくので
はなく、将来の選択肢を広げるための布石を打っておくことが、
強い財務体質づくりの第一歩になります。

メイン行の動きが悪いと感じたら、是非、当事務所にご相談く
ださい。

中小企業が成長するためには「品質向上」「コスト削減」とい
った努力が不可欠です。しかし、どれだけ努力して「より良い
もの」を作っても、それが市場で埋もれてしまっては意味があ
りません。多くの企業が似たような取り組みをしている現在、
「より良い」ことはもはや差別化要因ではなく、スタートライ
ンに過ぎないのです。

このような状況で起きているのが、「同質化競争」です。例え
ば、美容室。どの店も「技術力」「丁寧な接客」「居心地の良
い空間」をアピールします。しかし、それだけでは消費者にと
って違いが見えにくく、「安い方に行く」「近い方に行く」と
いった価格や立地の比較に依存してしまいます。こうなると価
格競争が激化し、利益は減少します。

そんな中、大阪にある小さな美容室が打ち出したのが「マンガ
読み放題&完全個室」のサロンです。美容院での会話が苦手な
人、長時間の待ち時間が苦痛な人向けに、全席個室、マンガ
1,000冊常備というコンセプトに特化しました。これにより、
SNSや口コミで話題となり、予約の取れない人気店に成長し
ました。技術ではなく「体験の違い」で勝負した好例です。

製造業でも同様の発想が重要です。ある関東の町工場は、精密
機械部品の下請けとして業界内で地道に活動していましたが、
安価な海外製品との競争に直面していました。そこで同社が始
めたのが「工場の音を使った音楽制作」です。機械の動く音、
金属の削れる音を録音し、それをリズムやメロディにしてCD
として販売。さらに「音で伝えるものづくり企業」として、企
業PR用の動画やイベントに活用されるようになりました。商
品ではなく、自社の環境や雰囲気を「違う形」で価値に変えた
のです。

また、飲食店の例も挙げられます。名古屋のあるカフェは、
「メニューのすべてを昭和レトロ風にアレンジした」という独
自の方向性をとりました。メニュー表は昭和の給食表風、料理
は昭和の家庭料理を再現し、店内は駄菓子屋のような装飾。結
果、ノスタルジーを求める若者や年配客の支持を集め、「映え
る店」としてテレビやSNSで紹介されるまでになりました。

さらに、北海道のある家具職人は、「組み立て不要、部屋の真
ん中で目立つ家具」をコンセプトに、円形の畳ベッドや、壁に
立てかけると棚になるイスなど、機能性より“会話のきっかけに
なる家具”を発表。インテリア雑誌やデザインイベントで注目さ
れ、BtoCだけでなくホテルやカフェへの導入が進みました。

また、福岡の印刷会社は、競合が激化する中、「匂いがする印
刷物」というニッチを発見。香料をインクに混ぜて印刷できる
技術を活かし、アロマ付き名刺や香るパンフレットを開発。化
粧品会社や観光地のお土産パンフに採用され、感覚に訴える新
たな価値を提供しました。

これらの事例に共通しているのは、「他社と違う軸で勝負して
いる」という点です。「品質」や「価格」といった通常の評価
軸ではなく、「体験」「驚き」「記憶に残るコンセプト」など、
比較されにくい価値を提示しているのです。中小企業は資源が
限られているからこそ、このような差別化が極めて有効なので
す。

まとめると、「より良いもの」は他社も目指しているため、気
がつけば同じ土俵での争いになります。しかし「違うもの」は、
競争の土俵そのものを変える力があります。自社の強みや特徴
を活かしながら、「誰にも似ていない価値」を創り出すことが、
これからの中小企業経営には求められているのです。

同質化競争から脱却して、「違うもの」を作ることに挑戦しま
せんか。

全3回でお届けしてきた「資金繰り改善シリーズ」も、今回が
最終回となります。第1回では資金繰り悪化の根本原因と早期
発見のチェックリスト、第2回では売掛金と在庫のスリム化と
いう具体的な改善策について解説しました。最終回となる今回
は、資金調達の多様な選択肢と、金融機関との賢い付き合い方
について掘り下げていきます。

内部努力による資金繰り改善には限界がある場合もあります。
そんな時に頼りになるのが外部からの資金調達です。一口に資
金調達といっても、その方法は多岐にわたります。

■ 主な資金調達の選択肢

・銀行融資:
中小企業の資金調達の王道とも言えるのが銀行融資です。プロ
パー融資(信用力に基づく融資)と信用保証協会付き融資(信
用保証協会の保証を得ることで融資を受けやすくするもの)が
あります。

・制度融資:
地方自治体や政府系の金融機関が提供する融資制度です。低金
利や保証料の優遇など、中小企業にとって有利な条件で利用で
きる場合があります。

・ビジネスローン:
銀行融資に比べて審査が比較的早く、担保や保証人が不要なケ
ースもありますが、金利は高めに設定されていることが多いで
す。

・補助金・助成金:
国や地方自治体が、特定の政策目標に合致する事業を行う中小
企業に対して資金を援助する制度です。返済義務がないため、
積極的に活用したい制度です。

・投資:
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などから出資を受け
る方法です。事業の成長性や将来性が評価される必要がありま
すが、資金調達だけでなく、経営ノウハウやネットワークの提
供も期待できます。

・手形割引・ファクタリング等:
第2回でも触れましたが、保有している手形や売掛金を金融機
関に買い取ってもらうことで、早期に現金化する方法です。

これらの資金調達手段の中から、自社の状況や資金使途に合わ
せて最適な方法を選択することが重要です。

■ 金融機関との賢い付き合い方
資金調達を円滑に進めるためには、金融機関との良好な関係を
築くことが不可欠です。

・日頃からの情報共有とコミュニケーション:
経営状況や事業計画など、自社の情報を積極的に金融機関に開
示し、良好なコミュニケーションを心がけましょう。

・正確な財務情報の開示:
決算書や試算表など、正確な財務情報をタイムリーに提出する
ことは、金融機関からの信頼を得る上で非常に重要です。

・事業計画や資金計画の明確な説明:
資金調達の目的や必要額、返済計画などを明確かつ論理的に説
明できるように準備しましょう。

・担当者との信頼関係の構築:
金融機関の担当者も人間です。誠実な対応を心がけ、長期的な
視点で信頼関係を構築することが大切です。困ったことがあれ
ば早めに相談することも重要です。

■ 資金調達成功のポイント

・早めの準備と計画的な実行:
資金が必要になる前に、余裕をもって情報収集や準備に取り掛
かりましょう。

・複数の選択肢を検討する:
一つの金融機関や一つの資金調達方法に固執せず、複数の選択
肢を比較検討しましょう。

・専門家のサポートも検討する:
必要に応じて、財務の専門家のアドバイスを受けることも有効
です。

この「資金繰り改善シリーズ」を通じて、資金繰りの重要性、
悪化の原因、具体的な改善策、そして資金調達の選択肢につい
て解説してきました。資金繰りの安定は、中小企業が持続的に
成長していくための重要な基盤となります。

資金繰りに関するお悩みがあれば、是非ご相談ください。

前回号の続きです。

現在、多くの中小企業が人手不足に直面しています。採用が難
しく、人件費も上昇傾向にある中、「少ない人員でもしっかり
と経営がまわる体制」をつくることが、持続的成長の鍵になり
ます。単に「人を減らす」ことが目的ではありません。「少数
精鋭」で高い生産性と効率性を実現するための戦略を、以下に
整理してお伝えします。

■1.業務の棚卸とムダの徹底排除

まず着手すべきは、自社の業務全体の可視化です。全社員の業
務を洗い出し、「本当に必要な仕事か」「もっと簡略化できな
いか」を精査しましょう。たとえば毎日行っている会議、紙の
書類管理、手書き伝票など、慣習的に続けている非効率な作業
は驚くほど多く見つかるはずです。

不要な業務を削減し、手間のかかる仕事をIT化・システム化す
るだけで、業務量は30%50%削減できる例もあります。

■2.デジタルツールの導入による効率化

小規模な組織ほど、デジタルツールの恩恵を大きく受けます。
クラウド会計、オンライン勤怠管理、チャットやタスク管理ツ
ール(SlackやNotionなど)を導入することで、時間と工数の
削減が可能です。

たとえば、勤怠管理と給与計算を連動させることで、経理担当
の月末処理が半減する。顧客管理(CRM)をクラウド化すれば、
営業・事務間のやりとりの手間が減る。こうしたツール導入は、
ITが苦手な企業にこそ、大きな効率化効果をもたらします。

■3.業務の標準化とマニュアル整備

属人化された業務が多い企業は、人が抜けたとたんに混乱しま
す。そこで大切なのが「誰がやっても同じ品質でできる仕組み
=標準化」です。作業手順を簡潔に言語化し、写真や動画つき
のマニュアルを整備しておくことで、新人でもすぐに即戦力に
なります。

これはパートやアルバイトを活用する際にも有効で、人件費を
抑えながら戦力化を図ることが可能になります。

■4.外注・業務委託の活用

「全部自社でやる」という考えは捨てるべきです。経理、採用、
営業事務、Web管理などは、信頼できる外注先やフリーランス
に任せることで、固定人件費を変動費化できます。外注と社内
スタッフの役割分担を明確にし、内製すべき部分と外に出すべ
き部分を見極めることで、限られた人数でも機動的な経営が可
能になります。

たとえば、繁忙期だけ受電業務をコールセンターに任せる、SNS
更新を外部パートナーに任せるなど、コア業務に集中するため
の工夫を取り入れましょう。

■5.「自律型人材」の育成

少人数経営では「指示待ち人材」では回りません。一人ひとり
が自分の役割を理解し、自律的に動ける組織文化が必要です。
そのためには、「目的と全体像を共有する」「裁量を与える」
「失敗を責めない」マネジメントが求められます。

毎週の短い全体ミーティングで情報を共有し、進捗を見える化
することで、チーム内の連携や課題解決のスピードも向上しま
す。

■まとめ

人手が増えれば経営がラクになる時代は終わりました。むしろ
少数精鋭でスリムな経営を実現している企業こそ、利益率が高
く、柔軟で強い会社です。無駄を省き、業務を可視化し、デジ
タルや外注をうまく使いながら、自律的に動く人材と共に、少
人数でも機能する「仕組み経営」を目指してください。

それが、次世代の中小企業経営の理想形ではないでしょうか。

前回のコラムでは、資金繰りが悪化する根本原因と、早期発見
のためのチェックリストをお伝えしました。今回は、具体的な
改善策として、比較的すぐに効果が期待できる「売掛金管理の
徹底」と「在庫のスリム化」について解説します。

1.売掛金管理の徹底:
入金サイクルを早め、確実なキャッシュフローを確保

売掛金は、将来入金される予定のお金とはいえ、回収が遅れれ
ば遅れるほど、手元の資金繰りを圧迫します。以下の対策を講
じることで、入金サイクルを早め、安定したキャッシュフロー
の確保に繋がります。

・取引先の信用調査の徹底
回収不能が発生すると資金繰りに大きな影響が出ます。新規取
引先はもちろん、既存の取引先についても定期的に信用状況を
確認しましょう。必要に応じて与信限度額を設定することも有
効です。

・請求書の発行サイクルの見直し
請求書は、商品やサービスを提供したら速やかに発行すること
が鉄則です。月末締め翌月末払いといった慣習にとらわれず、
早期の発行を検討しましょう。電子請求書の導入も効率化に繋
がります。

・入金状況の定期的な確認と迅速な対応
入金予定日を過ぎても入金がない場合は、速やかに取引先に連
絡を取り、状況を確認しましょう。放置すればするほど、回収
が困難になる可能性があります。

・回収条件の見直し
必要に応じて、前金払いや手付金の導入、支払サイトの短縮な
どを検討しましょう。取引先との交渉は重要ですが、自社の資
金繰りを守るための毅然とした姿勢も必要です。

・ファクタリングの活用
売掛金を早期に現金化する手段として、ファクタリングを検討
するのも一つの方法です。手数料はかかりますが、急な資金需
要に対応できるメリットがあります。

2.在庫のスリム化:
不要な在庫を減らし、キャッシュを有効活用する

過剰な在庫は、保管コストだけでなく、陳腐化のリスクも伴い
ます。以下の対策を通じて、在庫のスリム化を図り、キャッシュ
を有効活用しましょう。

・定期的な棚卸の実施と不良在庫の処分
定期的に棚卸を行い、長期滞留している不良在庫を把握し、思
い切って処分しましょう。不良在庫は、会社の利益を圧迫する
だけでなく、保管スペースも無駄にします。

・発注ルールの見直し
過去の販売実績や今後の需要予測に基づき、適切な発注量を決
定しましょう。安易なまとめ買いは、過剰在庫の原因となりま
す。

・先入れ先出しの徹底
古い在庫から順に出庫する「先入れ先出し」を徹底することで、
陳腐化のリスクを低減できます。

・サプライチェーンの見直し
納入リードタイムの短縮や、サプライヤーとの連携強化により、
必要な時に必要なだけ納品される仕組みを構築することも有効
です。

・ITツールを活用した在庫管理の効率化
在庫管理システムを導入することで、在庫状況をリアルタイム
に把握し、発注ミスや過剰在庫を防ぐことができます。

3.事例紹介:
ある製造業のA社では、請求書の発行を月末締めから週締めに
変更し、入金状況を毎日確認する体制を整えた結果、売掛金の
回収期間を2週間短縮することに成功しました。月商1,000万
円ですので、約300万円のキャッシュを生み出したことになり
ます。また、定期的な棚卸と不良在庫の処分を徹底したB社で
は、在庫量を30%削減し、保管コストと仕入代金の支払額を
大幅に削減することができました。

売掛金管理と在庫管理の見直しは、すぐに効果が現れやすい資
金繰り改善策です。今日からできることを実践し、キャッシュ
フローの改善に繋げていきましょう。

多くの中小企業では、「人が足りない」「人を採らなければ仕
事が回らない」と思い込み、常に採用活動に多くのリソースを
割いています。しかし、その前に考えてください。本当に人を
増やすことが、御社の経営にとって正しい判断でしょうか?

現実には、「人を増やすほど経営が苦しくなる」という悪循環
に陥っている中小企業が少なくありません。その根本的な原因
の一つが、「一人当たりの粗利益額」が低すぎるという問題で
す。

■一人当たり粗利益額1,000万円以下では、十分な報酬を支払
えない
※労働分配率を50%としても、一人当たり人件費は500万円、
支給できる報酬総額は最大で400万円程度です。

企業経営において重要なのは、売上よりも「粗利益額」、そし
てその粗利益を生み出す「人員あたりの生産性」です。目安と
して、一人当たり粗利益額が最低でも1,000万円を下回るよう
であれば、その企業の収益構造には無理が生じます。

たとえば、従業員一人あたり粗利益額が800万円の場合、そこ
から給与、社会保険料、福利厚生費、設備費、間接コストを差
し引くと、会社に残る利益はほとんどありません。結果として、
経営者の報酬もままならず、従業員の給与アップも実現できな
い。これでは誰も幸せになれません。

■人数に頼らず、少数精鋭で経営する発想を

ここで発想を変えてみましょう。「同じ仕事量を、少ない人員
でやり切る」。これが中小企業が生き残るための本質的な経営
戦略です。

人を減らせば、一人あたりの負担は一時的に増えるかもしれま
せんが、同時に人件費全体は軽くなり、残った人により多くの
給与を支払うことができます。つまり、「少人数でしっかり儲
けて、しっかり分配する」構造です。

この考え方を、従業員にも丁寧に伝えることが大切です。「人
数が少なくなった分、効率化の工夫と協力が必要になる。でも、
その分、会社も君たちの給料をきちんと上げていく」というメ
ッセージを明確にするのです。

■生産性向上のために取り組むべき具体策

では、どうすれば一人当たりの生産性を高められるのでしょう
か? 以下のような取り組みが有効です。

●1.業務の見直しと削減
やらなくていい仕事を減らす。非効率な会議、過剰な報告、意
味の薄いルーティンなどを排除する。

●2.デジタルツールの活用
クラウド会計、チャットツール、タスク管理アプリなどを導入
して、情報共有と作業時間を短縮する。

●3.マルチスキル化の推進
1人で複数の役割を担えるよう教育・訓練を行い、チーム全体
の柔軟性を高める。

●4.アウトソーシングの活用
専門性の高い業務や事務作業などは、外注を活用することで内
部リソースを集中させる。

■生産性を高める企業風土を築く

これらの施策を実行するには、「みんなで改善していく」とい
う企業文化が欠かせません。単に上から命じるのではなく、社
員一人ひとりが「自分ごと」として、生産性向上に取り組む意
識を持てるよう、仕組みや評価制度を整えていくことが重要で
す。

たとえば、定期的に業務改善提案を集める制度や、成功した改
善事例を社内で表彰する仕組みなどは、社員の意識と行動を変
える力になります。

■経営者の決断が企業の未来を決める

人件費は、経営資源の中でも最大級のコストです。だからこそ、
「安易に人を増やさない」という判断こそが、企業の持続的成
長につながります。目指すべきは、「一人当たり粗利益額1,000
万円以上」を目標とした、筋肉質で強い会社です。

人を雇い過ぎない、効率化を徹底する、社員にしっかり報いる。
この経営方針を掲げ、実行することこそが、中小企業がこれか
らの時代を勝ち抜くための確かな道なのではないでしょうか。