■2021年の10月以降に値上げを行った商品・サービスは以下
です。また、本年度も値上げの発表が続いています。

以下、ITmediaビジネスオンラインより抜粋、引用させていた
だきます。

・外食産業は、吉野家が牛丼並盛を39円値上げした。中盛り・
大盛りなどのサイズ変更も値上げの対象となった。すき家も12
月から並盛を50円、その他のサイズを最大70円値上げ。

・高級食パン専門店の乃が美は、「生」食パンレギュラー(2斤)
を中心にサイズ違いも含め最大108円値上げした。

・テーマパークでは、東京ディズニーランド・シーが価格変動
制により、繁忙期の入園料を最大700円値上げ、閑散期は300
円の値下げとした。繁忙期の入園料は最大で9400円になる。

・11月には化学メーカーのカネカが、塩化ビニル樹脂1キログ
ラム当たり40円以上の値上げに踏み切った。

・最も多く値上げを発表したのは、食品関連だろう。各社、原
材料価格の高騰や政府売渡価格の改定に伴い値上げを発表した。
山崎パン、フジパン、敷島製パン(Pasco)は10月に和洋菓子
の価格を改定した。山崎パンは「まるごとバナナ」などを含む
商品を平均7.0%値上げした。フジパンは平均8.4%、敷島製パ
ンは平均7.4%の値上げを発表した。…等々多数

・22年も食品関連の企業が最も多く値上げを実施する予定だ。

・1月に値上げする企業は山崎パン、日清フーズ、カルビーだ。
山崎パンは21年10月に和洋菓子の値上げを実施し、年明けには
食パン・菓子パンを平均7.3%値上げする。…等々多数

・2月には、冷凍食品、加工肉、食用油、ジャムなどが値上げ
対象となる。冷凍食品は、味の素冷凍食品がタイで製造してい
る鶏肉加工品について家庭用4品・業務用40品種を値上げ、も
しくは内容量を変更する。…等々多数

■価格転嫁してください。

原価が上昇すれば販売価格に転嫁する、これが常道です。価格
に転嫁できるかどうかで悩むのではなく、どのように価格転嫁
するかを考えてください。

原価・仕入れ価格が上昇しても売価に転嫁できない、と結論付
ける経営者も少なくありませんが、これは思考放棄です。価格
に転嫁しても、売上(利益)を落とさない方法を探す、こう考
えるべきではないでしょうか。原価・仕入れ価格の上昇を売価
に転嫁しながらも、売上(利益)を落とさない方法を考える、
このためには相応の努力が必要です。A案、B案、C案、それ
らの組合せなど、創意工夫と知恵が必要です。

■価格転嫁する、この選択をすることで、付加価値アップの必
然性が生まれます。

原材料費・人件費や物流費などのコスト上昇局面において、価
格転嫁を前提に創意工夫を重ねていく会社様と、価格転嫁でき
ないことを前提に創意工夫を怠る会社様に分かれてしまうので
しょう。

価格への転嫁は付加価値アップの試練を与えます。商品やサー
ビスへの創意工夫が求められます。価格の据え置きは、付加価
値アップの意欲を奪います。コストに対する過度の忍耐から、
知恵の創造・付加価値アップは生まれません。

◎5年後・10年後、前者と後者には大きな差が生まれます。

■過去におけるこの考え方の差が、現時点の企業の優劣に表れ
ています。

価格の上昇に消極的な判断を続けてきた会社は、付加価値アッ
プへの挑戦を怠り、結果、価格を上げると売れない実態を余儀
なくされています。一方、価格の上昇に積極的に取り組んでき
た会社は、それに見合う付加価値アップへの挑戦を繰り返して
きました。結果、価格を上げても売上を落とさない企業力を構
築できています。

■自社の過去を振り返り、今後の価格戦略を構築してください。

◎原価や仕入れ価格の上昇分は、確実に価格転嫁してください。
◎価格転嫁するために、様々な創意工夫を行ってください。
この創意工夫こそが経営そのものです。
◎価格を上げることに積極的な経営を行ってください。

今一度、自社の収支構造を確認いただいて、必要なら躊躇なく
値上げを検討してください。

前回のメールマガジンでは、財務管理の強化は試算表の作成か
ら始まることをお伝えしました。しかし、試算表だけ作成すれ
ば十分かと問われると、そうではありません。試算表にはキャ
ッシュベースの収支が分からないというウィークポイントがあ
ります。

赤字になっても即倒産はしませんが、資金が底をつくと黒字で
も倒産します。そういう意味では、利益管理よりも資金繰り管
理の方が重要です。そして、資金繰りの管理を行うツールが
「資金繰り表」になります。資金繰り表は、毎月の入金額と支
出額を項目ごとにまとめた単純な表ですが、財務管理にとても
役立ちます。

殆どの社長様が何らかの資金繰り表を作成していると思います。
実際に表を作成していなくても、頭の中にはおおよその入金額
と支出額が入っているはずです。ただ、残念なことに今月もし
くは来月、といった短い期間の資金繰り状況しか把握できてい
ないのが実態ではないでしょうか。

短期間の資金繰り計画しか立てていないと、「お金が足りない!」
という事態が1か月ほど前にしか分からないということになり
ます。1か月という時間は、資金調達を行うには決して十分な
時間ではありません。経営者としての他の大切な業務を削って
でも資金調達に走り回らなくてはならなくなります。行き当た
りばったりの財務活動です。

計画的に財務活動を行うために実践していただきたいのは、向
こう1年間の「資金繰り計画」の作成です。1年程度先までの
資金繰り計画を立て、資金の流れを予測しながら、資金調達や
設備投資の計画を立てます。1年先の売上など分からないとい
う声もお聞きしますが、向こう1年間の「資金繰り計画」とあ
わせて、過去1年間の「資金繰り実績」も作成してみてくださ
い。過去の売上の動きから未来の売上の動きを何となく予測す
ることができるかもしれません。

財務管理の最大の目的は、「資金を切らさないこと」です。試
算表で利益を管理しながら自社の資金調達力を高め、資金繰り
計画を立てて計画的に資金調達や設備投資を行えば、資金に慌
てることなく落ち着いて経営に専念できます。

年初に当たって、もう一度、経営の基本原則について言及させ
ていただきます。一つの考え方としてご確認ください。

■1:無駄の少ない「Simple」な経営を目指してください。

余計なものをそぎ落とし、密度の濃い「Simple」な経営体に
生まれ変わりましょう。以下の仮説を持っています。

『日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。売上至上主義は、分散症候
群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、
減収(売上減)を容認する経営に移行してください。』

売上高はいくらか?社員数は何人か?事務所は大きいか?立派
か?…事業体の良し悪しをこのような基準で判断するのではな
く、利益はいくらか?…この単純な尺度で図る発想も重要です。
同じ利益なら、売上は小さい方が、社員数は少ない方が、事務
所は狭い方がよい…こんな考え方もあるはずです。

■2:高収益「Profitable」な企業作りを目指してください。

売れた時には、大きな利益を出せる収益構造を当初から設計し
ましょう。高めの粗利益率の設定、高めの値付けを心掛けてく
ださい。値決めを外すなら高めに外してください。ビジネスと
して完成した時点での営業利益率は20%以上で設計してくだ
さい。安売り戦略は、経営の難易度を高め、事業体の創造力を
奪い去る原因になります。

■3:手持ち資金を潤沢「Ample」に維持してください。

資金余力は企業経営の余裕代、時間を提供してくれます。財務
機能を持ってください。資金は可能な限り潤沢に持ち続けまし
ょう。借入れの金利負担よりも、資金に困るリスクの方がはる
かに深刻であることを認識してください。また、借入れのタイ
ミングは、自社が資金を必要とするタイミング(借り手の都合)
ではなく、金融機関が融資できるタイミング(貸し手の論理)
に沿うことが重要です。総じて貸し手の方が強いからです。
資金余力がもたらす経営者の心の余裕と、増加分の金利負担を、
天秤にかけて比較してください。

※当事務所が提供する【財務部長の代行業務】の導入を検討し
てください。

■4:変化に対応できる柔軟性「Flexible」のある企業体を維
持してください。

計画のずれを想定した経営を行ってください。計画(売上の達
成)が遅れることを想定しながら経営してください。「コント
ロールできない売上を、コントロールできる売上以外の経費の
執行で調整する」、これが経営管理です。経費の執行をワンテ
ンポ遅らせる…これが不透明な時代に、企業体力が十分でない
事業体が選択すべき経営のコツです。また、遅れを許容するた
めの資金余力を持てる財務戦略が重要です。

■5:経営判断を明確「Clearly」にしてください。

感覚に頼らず、数字を基準にした論理的な経営を行ってくださ
い。曖昧な経営判断、お人好しな対応を止めましょう。経営は、
感覚や概念ではなく、数字で管理してください。感覚や概念を
基準に考えると、判断が曖昧になりがちです。数字基準での判
断は、その判断の精度を各段に向上させます。経営が締まります。

◎経営の判断基準は何か?永遠のテーマです。経営の判断基準
は無限にあります。逆にも真あり、敢えて真逆を攻めることで
成功することもあります。それでも、王道をお薦めいたします。

王道とは、多くの偉人が語り続けた経営の道です。上記の方針
は、偉人が語る経営の道に近似しているはずです。当然です、
偉人の言葉を借りているからです。経営者の皆さま方が、理詰
めで考えて、腑に落ちた部分については、今後の指針として、
深く、深く…心に刻んでください。

明けましておめでとうございます。年初にあたり、中小企業の
財務について、改めてご提案させていただきます。

殆どの中小企業が財務管理に改善の余地があると感じます。財
務管理が弱いと、自社の財務状況を金融機関に正確かつタイム
リーに伝えられないため、本来融資を受けられる業績であって
も、融資を断られる場合があります。融資をスムーズに受けら
れなければ、成長の機会を逃したり、資金不足に陥ったりしま
すので、財務管理は強い方が安心です。

財務管理強化の第一歩はどんぶり勘定から脱却することです。
通帳の残高を見ながら感覚的に経営するのではなく、財務数値
に基づいて経営判断を行った方が、より正確な経営判断を下す
ことができます。正確な財務数値を把握するために、まずは月
次試算表の作成から始めましょう。試算表を見れば、キャッシ
ュの動きだけでは分からない「利益」と「資産・負債」の状況
が分かります。

どんぶり勘定が引き起こす代表的な事例は以下となります。

■ 実は赤字だが資金繰りが回っているため気がつかない。
本当は赤字に気づいているのかもしれませんが、赤字を直視し
ないことによって対策が遅れます。赤字を改善する努力を行わ
ず、借入で資金繰りをごまかすことを優先し続けると、必ず最
後に資金が行き詰ります。

■ 無駄な資金繰りに時間を費やしている。
取引条件によっては黒字でも資金繰りが苦しくなります。黒字
ですので融資を容易に受けることができ、資金繰りの苦労から
も簡単に解放されますが、それに気づかず資金繰りに多大な労
力をかけています。

■ 融資を受けられるタイミングを逃している。
本当によくあるケースですが、6か月前なら融資を受けられた
というケースです。融資はいつでも受けられる訳ではありませ
んので、財務状況をタイムリーに管理し、一番借りやすい時に
借りておくのが鉄則です。資金が必要なのに融資を断られて困
っている企業様の半数は、過去に資金調達のタイミングを逃し
ています。

他にもたくさん事例はございますが、お伝えしたいのは、「試
算表」を毎月作成することの重要性です。試算表は、あらゆる
経営判断を下す根拠となるものですので、財務管理を強化する
ための第一歩として、試算表を毎月作成することからスタート
してください。

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

今年は令和4年です。昭和97年ではありません。誰もが知って
いるはずですが、昭和の経営・考え方をそのまま踏襲している
方も少なくありません。新年を迎えるに当たって、もう一度令
和の経営について考えていただければ幸いです。

■1:昭和と令和は社会情勢が大きく異なります。

●昭和は、危険・不便・不快等、解決すべきテーマがたくさん
ありました。前回の東京オリンピックが開催された1964年の
冷蔵庫の普及率は10%だったそうです。大変不便な世の中でし
た。このような大きな困りごとを解決するためのプロダクト開
発と大量生産、それを実現するための同質化されたマネージメ
ント体制が構築され、「ジャパンアズNO.1」と世界中の注目
を浴びるまでに成長を遂げました。バブルの崩壊までは…

●令和は、安全・便利・快適を実現し、大きな課題を見つけに
くい時代です。皆が残された小さなテーマの解決に総動員して
取り組むことで、強烈な同質化・価格競争を招いています。低
成長と低収益のスパイラルから抜け出せません。

■2:であるにも関わらず、我々は、昭和文化に縛られた環境
で今日も生きています。

先輩の経営者、仲間、コンサルタント、書籍…ほとんどが昭和
です。結果として、我々は昭和の経営原則を疑いもせず、信じ
込んでいます。

◆新しい経営原則について考え直してみませんか?

・【PL】売上ではなく利益を、規模から質への転換を!
・【BS】所有する経営から持たない経営へ!
・【MG】ボトムアップの経営からトップダウンの経営へ!
雇用から業務委託へ!

■3:さらに、我々は、昭和のビジネスモデルから未だに抜け
出せません。

2世代上の先輩たちが定義した業種・業界に縛られ、はるか昔
に創造されたマネタイズ・ビジネスの型を未だに模倣していま
す。

◆新しいビジネスの型に転換しませんか?

・サブスクリプション1.0⇒2.0
・ソリューション提供企業への転換
・D2C(C2M)、クラウドファンディング
・DX
・業界の壁を破る
・ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム
…等々

■4:これからは、すさまじいスピードでビジネスが変わります。

◆1:真のネット企業がリアル企業を凌駕します。
例)銀行の凋落、すべての分野で同じ事が起こります。

◎OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフ
ラインの融合を意味しますが、その真はネット企業がリアル企
業を飲み込む現象です。

◎さらに、ITの3次元化(メタバース)が始まります。

◆2:カーボンニュートラル(炭素ゼロ)政策が自動車業界を
直撃します。出荷額62兆円、全製造業の19%、GDP比12%
(2018年)を占める自動車業界に激震が走ります。

◎自動車エンジン向けにアルミニウム鋳造設備を開発・製造し
ていた大阪技研(大阪府松原市)の破産が4月、決まった。
(2021年6月16日、日経新聞)、この記事が象徴的です。

■5:様々な分野でルールチェンジが起こっています。

見方を変えることができれば、我々中小企業やこれから事業を
始める若者には大きなチャンスです。100mを早く走る競技で
は勝てないが、100mを20秒ジャストで走る競技を作ることが
できれば、金メダルも夢ではありません。下剋上・激変、チャ
ンスの到来です。

特に、以下の3つは新ルール構築の目玉になるテーマです。

●OMO(Online Merges with Offline)!
⇒デジタルシフトではなくDX(デジタルトランスフォーメー
ション)を!

●メタバース!
⇒ITが2次元から3次元空間の中に移動します。

●SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な
開発目標)」17の目標と、それを達成するための具体的な169
のターゲット!

■6:隆々と生き残り、成長する企業体を作りましょう。作れ
ます。

1.昭和のルールにとらわれず、
2.強烈な同質化・価格競争を回避し、
3.新しい事業立地やビジネスの型を理解して導入し
4.できれば、新しいルールの創造者としての地位を確保する

◎SP経営!=脱・昭和、令和の経営!
令和企業に転身し、前途洋々たる未来に向かって、共に頑張って
いきましょう。

本年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

グループ会社を持つ企業の資金調達事例です。グループの概要
は下記となります。今回、C社の資金調達をお手伝いしました。

A社:設立6期目(借入実績あり)
B社:設立4期目(借入実績あり)
C社:設立3期目(借入実績なし)

金融機関はグループ会社への新規融資を嫌います。理由は実態
把握に手間がかかるためです。

グループ会社のそれぞれが全く別の事業を営んでおり、かつ、
グループ間で一切の取引も無い場合は、単独の会社として融資
検討をすることが可能です。しかし、大抵の場合、グループ間
で営業上の取引があったり、資金の貸し借りがあったりするた
め、融資対象の会社だけでなく、関連するグループ会社すべて
の財務状況を調査しなくてはなりません。通常の会社を審査す
るよりも数倍の手間がかかります。

具体的には、グループ間で利益操作を行っている可能性を払拭
するため、グループ合算の貸借対照表や損益計算書を作成しま
す。すべてのグループ会社の決算月が同一であれば簡単ですが、
決算月が違う場合は正確な財務状況がつかみにくくなるため、
さらに作業が複雑になります。

しかし、手間をかけてグループ合算資料を作成したところで、
必ず融資を出せるとは限りません。金融機関の担当者の立場で
考えると、「融資案件が他にもある中で、わざわざ手間のかか
る案件に関わりたくない。」というのが本音のようです。

よって、グループ会社がある会社は、金融機関の担当者に手間
をかけさせないよう、会社側で説明資料を作成しておくことが
重要です。

資料を作成するにあたり、金融機関が必ず知りたがるポイント
は下記になります。

・グループ合算で利益が出ているか?
・グループ合算で債務超過となっていないか?
・グループ間で実態のない取引を計上していないか?
・グループ間で資金の融通がないか?

これらの疑念を払拭するためには、最低限、下記の資料を用意
する必要があります。

・グループ間の取引状況が分かる取引関係図
・グループ合算の貸借対照表
・グループ合算の損益計算書

C社も、これらの資料を提出することで、スムーズに新規融資
を受けることができました。

資金調達が上手くいかないと感じているグループ企業の経営者
様、説明資料の不足が原因かもしれません。

是非、ご相談ください。

アフターコロナの財務戦略についてお話しします。

新たな変異株の出現でコロナ禍の終焉時期は確定しませんが、
それでもいつかは平時を迎えます。この病を多くの人たちが安
全の概念ではなく安心、受け入れの境地に立った時、他の感染
症と同じ対応になるのでしょうか。

約半数の事業がコロナ禍の影響を大きく受けたと言われていま
す。特に飲食やサービス・旅行関連などへの影響は甚大でした。
この損失を借入で賄った事業者は、今後長期間に渡って返済し
ていかねばなりません。

以下、対応を考えてみましょう。

◆PLが健全化できそうな会社に対する国の対応は…

国は、コロナ禍で生じた赤字を特別損失と見なし、返済を超長
期まで引き延ばせる施策を引き続き打ち出してくるはずです。
PL審査で新規の融資も実施しながら、積極的な支援を続けるは
ずです。場合によっては、DES(デッドエクイティースワップ)
で株式に転換し、備忘価格でオーナーが買い戻すなど、実質的
な棒引きを行ってくれる可能性もありそうです。

◎PLを合わせる、黒字化を図る、コロナ禍でダメージを受けた
会社様も、できるだけ短期間に黒字化を達成しなくてはなりま
せん。BSが痛んで債務超過に陥ろうとも、PLを整えましょう。
足元の収支がバランスしておれば、コロナ禍起因の棄損は説明
が付きます。コロナ融資や事業再構築補助金を存分に活用して、
とにかく黒字化を図ってください。

◆PLが健全化できそうにない会社に対する国の対応は…

上記と同様に、返済を超長期まで引き延ばせる施策を引き続き
打ち出してくるはずですが、健全でないPLに対する新たな融資
付けは難しく、リスケを繰り返しながら時間を稼ぐことしかで
きません。
最終的には整理することになります。

コロナ禍の融資対応は簡単でした。
国策として提供された「雨傘融資」の要件は、「コロナ禍の影
響で売上が落ちたので融資をお願いしたい。」のみであり、極
めて容易に資金調達ができました。

アフターコロナは徐々に平時に戻ります。
一方、アフターコロナ、平時に実施される「日傘融資」の要件
は、返済原資の有無であり、事業体の健全性です。180度、そ
の融資方針が転換します。

来年以降、有事「雨傘」から平時「日傘」に徐々に転換するプ
ロセスを迎えるに当たり、コロナ禍で生じた損失補填のための
融資金返済に迫られます。数年以上経過し、平時に完全に戻っ
た時には苦境に立たされる企業様も少なくないはずです。

◆財務戦略を持ってください。

当事務所では、アフターコロナの状況を想定し、クライアント
に対する財務支援体制の充実を図っています。コロナ禍で被っ
たBSの棄損を処理する長い旅路の伴走者としての役回りを担わ
せていただきます。

一年間お世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

 

金融機関は「決算書」を拠り所に融資審査を行います。中小企
業の場合、税理士事務所が税務目線で作ることが多い決算書で
すが、金融機関は税務署ではありませんので、「税金が正しく
計算されているか。」ではなく、「貸したお金が本当に返って
くるか。」という目線で見ています。よって、税務上は正しい
決算書であっても、提出された決算書をそのまま分析するので
はなく財務の目線で修正しています。

下記にセルフチェックの手順をご紹介します。すべての金融機
関が必ず下記の手順で診断している訳ではありませんが、基本
的な考え方としてご了承願います。

1.損益計算書の修正および診断

◆ 減価償却不足を修正します。
減価償却の未計上は税務上問題ありませんが、利益が正しく計
上されないため、財務上は必ず計上します。よって減価償却不
足がある場合、「税引き後利益-償却不足額」で利益修正を行
います。

◆ 役員報酬を修正します。
役員報酬を減らして利益を大きく計上するなど、役員報酬は利
益の調整弁になりやすい項目です。役員報酬額を実際に必要な
生活費よりも過小に計上している場合は、「実際に必要な生活
費(※360万円程度)-役員報酬額」を税引き後利益から差
し引きます。反対に実際に必要な生活費以上の役員報酬を得て
いる場合は、「役員報酬額-生活に必要な生活費(※800万
円程度)」を税引き後利益に加算します。
※金額はイメージしやすいように例示したものです。あくまで
も参考程度とお考えください。

【返済能力の診断(診断その1)】
修正後の損益計算書を基に返済能力を診断します。企業の返済
能力は、「修正後の税引き後利益+減価償却費」で求められま
す。この値がプラスであれば第1段階の診断はクリアです。マ
イナスであればプロパー融資を受けるのは難しくなります。

【適正借入額の診断(診断その2)】
返済能力を確認したら、次は借入額が返済能力に見合っている
かを診断します。「(金融機関からの借入額-現預金)÷(税
引き後利益+減価償却費)」で求められる値が「10」未満に
収まっていれば資金調達余力があると判断されます。10以上
となった場合は新たな借入は難しくなりますが、正式な算式は
さらに細かいものになりますので個別でお問い合わせください。

2.貸借対照表の修正および診断

◆ 不良資産の修正
資産の中から、実際は価値の無い資産を減算していきます。例
えば、回収不能な売掛金や貸付金、不良在庫、使途不明な仮払
金などは減算の対象です。販売先が破産を申し立てた場合、税
務上は破産手続きが完了するまで資産に計上しておかなくては
なりませんが、実態は回収見込みが薄いため、財務上は減算し
ます。

◆ 返済不要な負債の修正
社長個人からの借入金など、差し迫って返済が不要なものは負
債から減らすことが出来ます。

【安全性の診断(診断その3)】
倒産しにくい会社かどうかを、「自己資本」で判断します。こ
の場合も、修正後の貸借対照表を基に、「修正後の資産-修正
後の負債」で自己資本を算出します。損益計算書の診断結果が
良好で、この値もプラスであれば融資を受けられる可能性はさ
らに高くなります。

以上、3つの診断の結果はいかがだったでしょうか。ひとつで
もクリアできていない項目があれば財務面に問題を抱えている
ことになりますので、お早めにご相談ください。

コロナ禍の影響もあって、リモートワークが浸透しました。経
営者はその長短を自社の特性を合わせて検証しながら、これか
らの業務のオペレーション・働き方を最適化していかねばなり
ません。

リモートワークに関して積極的に運営してきたであろう識者の
見解を集めて以下列記しました。判断材料としてご確認くださ
い。

◆1.リモートワークを徹底することで、優秀な人材を全国から
集めることができている。完全リモートで全国一律賃金の某IT
企業は、優秀なITエンジニアの採用に困らない状況が続いてい
る。

◆2.全国に店舗展開している某アパレル企業は、リモートイン
フラを整備したことで、店舗間及び店舗と本部の情報格差がな
くなった。今まではリアルが主体の情報発信を行っていたので、
遠隔地とは情報格差が生じていたようだ。

◆3.採用時にリモート面談を行うことで、より多数の入社希望
者との面談が容易になった。最終面談のみリアルで対応してい
る。リモート面談とリアル面談との差異はあまり感じない。

◆4.リアルの参加者とリモートからの参加者が同居する会議に
おいては、リモート参加者に疎外感を与えない配慮が必要だ。
某企業は、リアルで参加可能な人(出社中の人)にも、自席か
らリモートで参加(全員リモートに統一)させている。

◆5.リモートワークだから従業員の業務管理が難しいのではな
い。そもそもオフィスワーク時に自席で勤務している部下の業
務を完全に管理できているわけではない。

◆6.某大手外資系企業はリモートワークを推奨しているが、一
方、出社時の社員間のコミュニケーションを充実させるための
事務所リニューアルを行った。

◆7.オフィスワーク時に話した内容も、リモートワーク者に伝
わる配慮が必要だ。オフィスワーカーとリモートワーカーの情
報格差を作ってはいけない。

◆8.リモートMTG時こそ、その前後の雑談的な時間を確保する
と有効だ。無駄時間を意図的に作るようにしている。

◆9.リモートワークへの適性や好みは各自異なる。一律に週3
日出社等とルール化するのではなく、柔軟に運用すべきだ。
リモートワーカーとオフィスワーカーがお互いを肯定し合える
文化を作りたい。

◆10.自宅での勤務環境を確保できない社員に対する配慮は必要
だ。自宅近隣でのサテライトオフィスの利用を促し、併せて、
自宅での環境整備費用を補助している。

◆11.新人(新卒及び中途入社)のオンボーディングに関しては、
リアル対応を充実させた方が良さそうだ。一方、これすらリモ
ート対応で十分との意見もある。

◆12.リモートワークの短所を考えるとき、それが不慣れな故に
起きている問題なのか、本質的な問題なのかの見極めが必要だ。

…等々

【リモートワーク】か【オフィスワーク】か、この二者選択で
はなく、これらを上手く使い分ける【ハイブリッドワーク】が
解でしょう。

また、業種や業態、会社の文化・考え方によって取り組み方は
それぞれでしょうが、全否定して取り組まない会社は時代から
取り残されることになりそうです。
デジタルネイティブなZ世代(※Z世代は、2021年現在の年齢
にして10~21歳)の社会進出が始まります。完全【オフィス
ワーク】で、毎日定刻に出社を余儀なくされる会社に、優秀な
若者が就職しなくなっても不思議ではありません。働かせ方?、
事業の運営についても改革が必要です。

ご存知の方も多いと思いますが、会社や事業にはライフサイク
ルがあります。ライフサイクルとは、会社や事業が、導入期→
成長期→成熟期→衰退期という成長カーブを描くという考えで
す。ライフサイクルと借入の関係について見てみましょう。

■ ライフサイクルの例
飲食店を例に取ります。出店からお客様に認知されるまでの局
面を導入期、お客様の評価を得て売上が増加していく局面を成
長期、売上の成長が止まり横ばいが続く局面を成熟期、お客様
に飽きられて売上が減少していく局面が衰退期です。

■ 飲食店の借入
飲食店の場合、導入期に出店資金を借入するのが一般的です。
店舗の設備資金として、1,000万円を7年返済で借りた場
合、7年以内に1,000万円超の剰余金を生み出す成長カー
ブを描くことが必須条件となります。極端に小さな成長カーブ
や短いライフサイクルで寿命を終えてしまえば、借金を残して
閉店することとなり、最悪の場合、法的整理をすることになり
ます。それなりの成長カーブを描いたとしても、剰余金が
1,000万円に届かなければ、リスケジュール等による返済
期間の条件変更を金融機関に依頼しなくてはなりません。

単純な例で借入とライフサイクルの関係を説明しましたが、実
際はもっと複雑です。より大きな成長カーブを描くために、成
長期に借入を行って複数店舗を出店する経営者もいます。また、
衰退期に借入を行い、店舗のリニューアルにより再度成長カー
ブを描く経営者もいます。各ステージにおける借入の役割と注
意点を説明します。

○導入期の借入
借入はてこの役割を果たします。導入期に500万円の自己資
金を有していた場合、借入を行わず500万円だけでお店をつ
くる場合と、1,000万円の借入をして1,500万円でお
店を作る場合では、期待できる成長カーブの大きさが変わりま
す。5年から7年でどれくらいの規模に成長させたいかをイメ
ージして借入の額を決定しましょう。

○成長期の借入
事業の拡大に伴い、業種によっては運転資金需要が旺盛になり
ます。運転資金の借入は、売上債権や在庫といった資産を見合
いに行う借入ですので、成長に伴って借入が膨らんでも問題は
ありません。しかし、新たな設備資金の借入は、導入期に行っ
た借入が順調に返済できていることが前提です。導入期の借入
が順調に返済できていないということは、予定どおりに成長カ
ーブが描けていないことを意味しています。マイナスからの返
済スタートになりますので、導入期の失敗を本当にリカバーで
きるかどうかの見極めが必要です。

○成熟期の借入
成熟期は利益を享受する時期です。新たな借入の需要はありま
せん。成熟期でも資金が忙しい場合は、予定通りの成長カーブ
を描けていないことを意味しています。成長途中の踊り場なの
か、衰退期に向かう局面なのかを見極め、必要に応じてリスケ
ジュール等の対応が必要です。

○衰退期の借入
事業が先細りしていく過程ですので、衰退に伴って借入も減ら
していきます。店舗のリニューアルや商品改良により、第2次
成長カーブを描くことを目指すならば、新たな借入を検討しま
すが、寿命に逆らう追加投資は創業よりも難しいと言われます。
引き際を見誤り最後に大きな借入を抱えてしまうことも珍しく
ありません。

会社や事業には寿命があり、山を登った後には必ず下らなけれ
ばならないことも考慮して借入を行う必要があります。借入の
状況を、ご自身が描こうとしている成長カーブの大きさや現在
の位置に照らし合わせて検証することも大切です。