企業経営に関する書籍の中で、中小企業経営者がどれぐらいの
役員報酬や退職金を取るべきかという議論はあまり見かけませ
ん。中小企業の経営を指導する様々な立場の方も、社長の報酬
については腫物に触るような扱いです。銀行員の中には、多額
の役員報酬を取ることが、まるで悪い事のように言う方もおら
れます。

一方、そのような風潮の影響かもしれませんが、多額の役員報
酬を得ることに遠慮がちな社長様も少なくありません。「経営
の目的はお金ではない。」「従業員の給与は安いのに、自分だ
けたくさん取る訳にはいかない。」全てにおいて賛成ですが、
その結果、ご自身の老後の生活費に苦労するようなことがあっ
てはいけません。

中小企業の社長様は会社の借入に対して個人で保証をしていま
す。会社の資金繰りが厳しくなれば私財を投げ打って、また知
人に頭を下げて資金を工面します。従業員は会社の借入に個人
的な責任は負いませんし、資金繰りが厳しくなれば退職届を持
ってきます。従業員にとって、会社が危なくなれば次の職を探
すのは当たり前の行為です。役員報酬に消極的な社長様は、ご
自身が抱えているリスクを低く見積もっているか、会社が厳し
い時には、従業員が自分と同じように動いてくれるという甘い
期待を持っておられるのかもしれません。

役員報酬に対する消極性の最大の問題は、会社の利益目標も小
さくなってしまうことです。ご自身の経済的なバックボーンを
確立することが、より大きな社会的使命を果たすことに繋がり
ますので、まずは個人的な目標設定からスタートしてみてはい
かがでしょうか。

■ 役員報酬の目標額を設定する。
社長業を引退する時に、「気づいたら個人の口座に潤沢な資金
が蓄積されていた。」ということはありません。「引退するま
でにいくら稼ごう。」という強い意志が必要です。せっかくリ
スクを負って社長業をしておられるのですから、周囲の反応を
気にせず、大それた金額を設定してみてはいかがでしょうか。
大きな役員報酬を目標にすることで、おのずと事業の収益力を
高める必要性に迫られます。今までのビジネスモデルを大きく
進化発展させることは、会社にとっても社会にとっても良いこ
とです。

■ 資金計画を立てる。
目標額を決めたら次に計画を立てます。計画を立てる際の重要
なポイントは「利益計画ではなく資金計画を立てる。」と言う
ことです。利益計画は、株主や銀行に対する説明資料としては
最適ですが、会計上の利益と実際のキャッシュは連動しないこ
ともあります。ご自身のために計画を作るのであれば、「利益
ではなくお金をいくら手元に残したいか。」という生々しい資
金計画の方が適していると考えます。

当事務所は、大企業向けの教科書的で美しい経営理論、銀行の
考え方などを理解したうえで、中小企業の社長様が真に取るべ
き戦略を研究しています。大企業のような美しい事業計画書を
作成する前に、まずは個人的な計画から作成してみてはいかが
でしょうか。資金計画の作成は、当事務所の資金繰り円滑化サ
ービスが役立ちます。是非、お問い合わせください。

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