社長も従業員も多忙を極めているのに利益が出ない状況の会社
は少なくありません。これを繁盛貧乏と呼んでいます。何が間
違えているのか?考えてみましょう。

■収益と忙しさの状態で会社を4つに分類すると以下になりま
す。

1.繁盛高収益企業…
「当社は忙しいです。故に大変儲かっています。」
2.閑散貧乏企業…
「当社は暇です。故に儲かっていません。」

上記の二つは納得できます。
また、

3.閑散高収益企業…
「当社は多忙ではありませんが、それでもしっかり利益を
出しています。」社長の腕前がいいのでしょう。

一方、

4.繁盛貧乏企業…
「当社は超多忙ですが、利益はありません。」

■繁盛貧乏企業にならないように、また、そうであるならば抜
け出すための方法を考えてみましょう。

繁盛貧乏に陥る会社には概ね共通点があります。

◆理由1:
価格(安売り)を売るための道具として安易に利用する。

事業は、その商品やサービス内容、ブランドで商品やサービス
を売っていくものです。そのサービス内容やブランドを磨かず
に、その不足分を価格で補おうとする行為は命取りです。価格
は売るための道具ではありません。この認識と決意が必要です。
売るための道具として安易に低価格を訴求していると、繁盛貧
乏に陥ります。

⇒価格(安売り)を売るための道具として安易に利用しないで
ください。

◆理由2:
閑散であることに耐えられない。売上至上主義に陥る。

とにかく売上が欲しい、間違えではありませんが、売上の総額
だけを追いかけると、利益の概念が希薄になります。売上だけ
を求めずに、利益を同時に追いかけてください。

⇒売上至上主義に陥らないでください。

◆理由3:心から利益を求めていない。

節税指向を過度に持ち合わせている社長も少なくありません。
税金は、利益に係数を乗じた金額です。節税の行きつくところ
は利益を出さないことです。心から利益を求めない事業体が高
収益を上げることはありません。

⇒利益を心の底から求めてください。

◆理由4:ビジネスモデルが疲弊している。事業領域が悪い。

「貴社は、類似の他社と何が違いますか?」この質問に対して、
明確な解を提供できない会社は絶対に儲かりません。この解を
顧客に提供し続けること、そのために商品やサービス内容、ブ
ランド等を徹底的に磨きましょう。

⇒どこにでもある事業は通用しない時代です。うまく行っても
繁盛貧乏です。他にない何かを創り上げましょう。

◆理由5:客層が悪い。(生きる世界が悪い。)

世の中は原因と結果、因果の関係が明確に成立しています。良
い会社には良い顧客が、そうでない会社にはそうでない顧客が、
逆に、良い顧客は良い会社を、そうでない顧客はそうでない会
社を選びます。鶏と卵…どっちが先かの議論に終着しますが、
価格(安売り)を売るための道具として安易に利用すると、そ
れに乗っかって、他者の価値を認めない顧客が訪れるようにな
ります。

⇒良い会社(事業)を作って良い顧客とお付合いしましょう。

忙しいのに儲からない「繁盛貧乏」の状態は、会社を根底から
疲弊させてしまいます。この状態を継続すると、知恵を生む気
力を奪い去ってしまいます。最終的に市場から退場する会社の
多くはこのパターンです。

◎1.価格(安売り)を売るための道具として安易に利用しな
いでください。
◎2.売上至上主義に陥らないでください。
◎3.利益を心の底から求めてください。
◎4.他にない何かを創り上げましょう。
◎5.良い会社(事業)を作って良い顧客とお付合いしましょう。

SP経営では、上記を総称して【安売り症候群】に対する対策
【Profitable=高付加価値化】と定義しています。この機会に
ご再考いただければ幸いです。

建設業を営むある社長様から、「資金繰りが厳しいが銀行に融
資を申し込んでも相手にしてもらえない。」とのご相談があり
ました。銀行に対してどのようにアプローチしているのかをお
聞きしたところ、「1億円の資金が必要なことを伝え、決算書
と試算表を提出した。」とおっしゃいます。1億円を5年返済
で借りた場合、年間2,000万円の返済が必要になります。
同社の決算書では500万円程度のキャッシュフローしかあり
ませんので、決算書や試算表だけでは、逆に「返せない」こと
を銀行に伝えたことになります。

まず1億円が必要な理由をお聞きしたところ、1.5億円の大
型案件を受注したことにより、先出しになる原価部分がおおよ
そ1億円あるという回答でした。しかし、一方で回収条件もお
聞きしたところ、工期は約1年で、着手時30%、中間で30
%、完工時に40%とのことです。おおよその外注費の支払時
期と入金時期を擦り合わせたところ、5,000万円の資金が
あれば十分にキャッシュが回ることが分かりました。

◆社長のお話をお聞きしたうえで次の資料を弊所にて作成しま
した。

・当該案件の原価の金額や割合を明確にした売上原価表
・5,000万円の資金を借入し、中間時に2,500万円、
完工時に2,500万円を返済する資金繰計画表

◆社長と一緒に銀行に訪問し資料を提出しました。
売上原価表と資金繰計画表をお見せして、5,000万円が必
要な理由を説明し、回収条件が明記されている契約書をお見せ
して返済の確実性を示しました。

最終結果は、当方の申し出どおり、融資金額5,000万円、
6ヶ月後に2,500万円、1年後に2,500万円という返
済条件で承認を得ることができました。

本件のように、売上や利益と比較して大きな資金を借入する場
合は、資金の使い道や金額の根拠、返済の方法や根拠を、必ず
書面に落とし込んで説明することが重要です。

■年商約5億円、営業利益約1,000万円(減価償却費約
1,500万円)の飲食業を経営しておられる社長様からご相
談いただきました。

◎〔社長様〕
「テナント出店の依頼を受けているので出店したいが、家賃が
少々高めで損益分岐点ギリギリかも?」、相談を名目に来所さ
れておられますが、真意は「出店したいので背中を押してくれ」
と言わんばかりです。
○〔当事務所〕
「来年は、上手く行って年商5億7,000万円、営業利益
1,000万円(現状維持)になりますね?」少し意地の悪い
質問をさせていただきました。
○〔当事務所〕
「なぜ、利益が出そうもない出店(社長自身がそのようにおっ
しゃっています。)を目論むのですか?」さらに、意地悪な質
問をぶつけさせていただきました。
…中略…

●〔結論〕
空きテナントへの出店、SC(ショッピングセンター)からの
持ち込み案件であるにもかかわらず、当方の意向よりも家賃が
高いため、大幅な条件変更をダメもとで提示して、先方からの
回答を待つ。提示条件以外であれば出店を止める、以後の条件
交渉はしない…結論に落ち着きました。
※自分自身で条件を決めて、家賃が○○万円以下なら出店する。
1円オーバーしても出店しない。この様に条件を決めて相手に
判断を任せる方法もあります。
…中略…

◎〔社長様〕
「集中して使う食材▲▲を自前で調達できる仕組みを考えてい
る。上手く行けば、新鮮な▲▲を安く調達できるようになる。」
○〔当事務所〕
「コストダウンは金額換算でいくらぐらいになりそうですか?」
◎〔社長様〕
「500万円~700万円ぐらいにはなりそうだ。」
○〔当事務所〕
「相応な利益を積めますね。」
…中略…

○〔当事務所〕
「営業利益率は現在2%ですね。赤字店舗もありますね。」
◎〔社長様〕
「そうですね。」
○〔当事務所〕
「赤字店舗、黒字化を目指すか、退店してはどうですか?いず
れにしても目処付けしませんか?」
◎〔社長様〕
「一店舗毎の見極めと対応が必要ですね。」
…中略…

●〔結論〕
魅力の無い新店舗の出店に経営資源を投入するよりも、品質向
上とコストダウンが実現できそうな▲▲の内製化に注力する。
また、一店舗毎の店舗再構築を実施する。…この結論に至りま
した。
※もちろん、やってみないとわかりませんが、これに注力する
方がより前向きです。

◎〔社長様〕
「売上を積み上げること、店数を増やすことのみに長年邁進し
てきました。この新店についても、何とか出店したいとの想い
のみで、冷静な判断を欠いていました。」
後日このような言葉をいただきました。

■時には、増収をあきらめて、増益狙いに舵を取ることも必要
です。

売上高は確かに重要です。否定するつもりはありません。ただ、
それにも程度加減があります。長期間、とにかく売上至上主義
で、我武者羅に売上高のみを追いかけ続けることは間違えです。
この様な状況の会社様は少なくありません。【安売り症候群の
一種です。】一度立ち止まってもらいたいと思っています。一
旦、売上高を増やすことを止めて、売上の中身の見直しを行っ
てください。増収を長年続けてきた会社様の場合、大幅な増益
に転じることもあります。

ご存知の方も多いと思いますが、会社や事業にはライフサイク
ルがあります。ライフサイクルとは、会社や事業が、導入期→
成長期→成熟期→衰退期という成長カーブを描くという考えで
す。ライフサイクルと借入の関係について見てみましょう。

■ ライフサイクルの例
飲食店を例に取ります。出店からお客様に認知されるまでの局
面を導入期、お客様の評価を得て売上が増加していく局面を成
長期、売上の成長が止まり、横ばいが続く局面を成熟期、お客
様に飽きられて売上が減少していく局面が衰退期です。

■ 飲食店の借入
飲食店の場合、導入期に出店資金を借入するのが一般的です。
店舗の設備資金として、1,000万円を7年返済で借りた場
合、7年以内に1,000万円超の剰余金を生み出す成長カー
ブを描くことが必須条件となります。極端に小さな成長カーブ
や短いライフサイクルで寿命を終えてしまえば、残債を残して
閉店することとなり、最悪の場合、法的整理をしなくてはなり
ません。それなりの成長カーブを描いたとしても、剰余金が
1,000万円に届かなければ、リスケジュール等により返済
期間の延長をしなくてはなりません。

単純な例で借入とライフサイクルの関係を説明しましたが、実
際はもっと複雑です。より大きな成長カーブを描くために、成
長期に借入を行って複数店舗を出店する経営者もいます。また、
衰退期に借入を行い、店舗のリニューアルにより再度成長カー
ブを描く経営者もいます。各ステージにおける借入の役割と注
意点を説明します。

○ 導入期の借入
借入はてこの役割を果たします。導入期に500万円の自己資
金を有していた場合、借入を行わず500万円だけでお店をつ
くる場合と、1,000万円を借入して1,500万円でお店
を作る場合では、期待できる成長カーブの大きさが変わります。
5年から7年でどれくらいの規模に成長させたいかをイメージ
して借入の額を決定しましょう。

○ 成長期の借入
事業の拡大に伴い、業種によっては運転資金需要が旺盛になり
ます。経常運転資金は、売上債権や在庫といった資産を見合い
に行う借入ですので、成長に伴って借入が膨らんでも問題はあ
りません。しかし、新たな設備資金の借入は、導入期に行った
借入が順調に返済できていることが前提です。導入期の借入が
順調に返済できていないということは、予定どおりに成長カー
ブを描けていないことを意味しています。マイナスからのスタ
ートになりますので、リカバーが本当にできるかどうかの見極
めが必要です。

○ 成熟期の借入
成熟期は利益を享受する時期です。新たな借入の需要はありま
せん。成熟期でも資金が忙しい場合は、予定通りの成長カーブ
を描けていないことを意味しています。成長途中の踊り場なの
か、衰退期に向かう局面なのかを見極め、必要に応じてリスケ
ジュール等の対応が必要です。

○ 衰退期の借入
事業が先細りしていく過程ですので、衰退に伴って借入も減ら
していきます。店舗のリニューアルや商品改良により、第2次
成長カーブを描くことを目指すならば、新たな借入を検討しま
すが、寿命に逆らう追加投資は創業よりも難しいと言われます。
引き際を見誤り最後に大きな借入を抱えてしまうことも珍しく
ありません。

会社や事業には寿命があり、山を登った後には必ず下らなけれ
ばならないことも考慮して借入を行う必要があります。借入の
状況を、ご自身が描こうとしている成長カーブの大きさや現在
の位置に照らし合わせて検証することも大切です。

■この会社は(推測含む)1970年ごろ、売上高は数億円、営業
利益も数千万円以上を安定的に計上できる、小ぶりながら優良
企業でした。最新の成型機やオーブンを使って生産される主力
単品の名物商品は、相応のブランド力を有しており、優良な卸
業者や優良小売店に限定して販売されていました。原材料は厳
選された高級材料に限定していました。従業員の処遇も相応で、
熱心に業務に励んでいた事でしょう。

◆二代目社長は、大衆化による拡大路線を選択しました。
1.生産するアイテム数をどんどん増やしました。
2.販路拡大を行いました。
3.廉価な商品を開発しました。

◆分散と安売り路線を突き進みました。
大衆化された新しい商品と販路の拡大により、売上高は膨らん
でいきました。右肩上がりの売上増を経験した二代目社長は、
さらなる大衆化と拡大路線にアクセルを踏み込みました。
ある時を境に売上の伸びは止まり、時を同じくして営業利益も
目減りする趨勢に転落しました。それでも、売上を伸ばそうと、
営業利益を捻出しようと、さらなる大衆化による拡大路線を貫
きました。

◆2005年ごろ、売上高は約9億円、営業赤字5千万円(過去3期
連続赤字)、債務超過5千万円、破たんの危機に見舞われました。

○工場の躯体も内装も、肝心の生産設備まですべてがポンコツ、
長期間投資する余力が無かったのでしょう。
○販売先は安物を扱う卸と小売店、廉価品中心の品ぞろえが招
く当然の結果です。
○商品はその多くが陳腐化していました。新商品を開発する力
は残っていません。
○創業時の主力商品のみが、何とか原型をとどめている状況で
す。

◆2005年時点でのこの会社の企業価値は明らかにマイナスです。
◎企業価値試算=純資産(▲5千万円)+将来利益(▲5千万円
×3年=▲1億5千万円)=▲2億円です。

ある金融機関の仲介でベンチャー企業が買収しました。オーナ
ーの個人資産の充当と、会社が有していた特殊な権利(※この
会社が持ち合わせた最後の幸運です。)で、▲2億円を充当して、
企業価値0円と試算できたからです。

■新しい経営者は、絞り込み(Simple)と高付加価値(Profitable)
な経営〔SP経営〕に舵を切りました。

1.徹底的な絞り込みを行いました。
生産アイテムの半減、販売先チャネルの半減、低生産性商品と
採算割れ販売先との決別を徹底して行いました。
・売上高比率15%超のある商品群を全廃しました。
・全国に広く薄く散らばって販売していた商品群を全廃しまし
た。
等々

2.高付加価値商品の開発と高付加価値販売チャネルの開発に
力点を置きました。
・高品質な原材料の仕入れルートを開発しました。
・優良商品を生産できる設備を投入しました。
・方針の合わない工場長と決別して、やる気のある若手を抜擢
しました。
・開発費への投資を惜しみませんでした。
・業績の改善を待たず、処遇の改善を可能な限り行いました。
等々

※これらの先行投資を行う財力と与信力を有していたことが背
景にあります。

◆業績の回復…
経営が変わって丸3年、業績は見違えるように好転しました。
売上高約8億円、営業利益5千万円、一過性ではなく安定的な利
益を捻出できる会社に変貌しました。
商品の過半は刷新され、アイテム数は▲30%、販売先数もその
数十%は新しい先になりました。原材料も仕入れ先の変更によ
り高級品を入手できるようになっていました。

■絞り込み(Simple)と高付加価値(Profitable)な経営〔SP
経営〕の成果は…

絞り込みから余力が生まれます。高付加価値化は生きる世界
(仕入れ先・売り先等すべて)をより上の世界に転換してくれ
ます。歴史を振り返る…この会社の古に戻しただけです。
分散と安売りは、企業経営の2大悪です。
(一部推測も入りますが、概ね実例です。)

先日、5年ほど前に知り合った社長様と久しぶりにお会いする
機会がありました。お会いした当時はいつも資金繰りが厳しい
とおっしゃっていた社長様ですが、現在は資金繰りも楽になっ
たようです。要因をお聞きしたところ、「節税をやめたら楽に
なりました。」とおっしゃいます。

その社長様はウェブサイトの制作事業で起業しましたが、ある
大手企業をクライアントに持っていたため、設立当初からまと
まった売上が立っていました。しかし、当時の内情を改めてお
聞きすると、節税をすることが正しいと考え、1億円の売上が
出来れば、9,990万円の費用を使うようにしていたそうで
す。

「税金とどう向き合っていくか。」というのは、経営の大きな
テーマのひとつです。納税が資金繰りを圧迫することもありま
すし、税金に対する過度な意識が、会社の成長を妨げることも
あります。同社は後者のケースです。

キャッシュフローを最大化することが本来の目的であるはずな
のに、節税に意識が向き過ぎると、税金を出来るだけ払わない
ことが目的になってしまいます。利益を出さないように費用を
使えば、税金を少なくするという目的は達成できますが、手元
にキャッシュは残りません。財務内容も悪くなり借入もままな
らないため、資金繰りは当然厳しくなります。

同社の社長様も、「節税を止めた途端に銀行が積極的に融資を
してくれるようになりました。1,000万円近くの税金を支
払っても億単位の資金を調達できるので資金には余裕がありま
す。」と言っていましたが、まさにその通りです。

税金は最大でも利益の40%程度です。利益以上に税金を払う
ことは決してありませんので、税金が原因で倒産することは理
論上ありません。ただ、税金の支払いが利益の受取よりも先に
来る場合に資金繰りが苦しくなります。この場合の問題は税金
ではなくファイナンスです。税金を少なくすることに一生懸命
になるのではなく、ファイナンスを適切なタイミングでしっか
りと行うことが正解です。

節税をしているのに資金繰りが苦しいと感じておられる社長様
は、一度思い切って利益を出してみてはいかがでしょうか。世
界が変わるかもしれません。

雑駁とは『雑然として統一がないこと。また、そのさま。』を
意味します。この雑駁さは会社の屋台骨を蝕みます。社長自ら
が率先して、雑駁さを排除する努力を続けてください。

■社長ご自身の自己診断をお願いします。

□ 自分が書く文章に誤字・脱字はほとんどない。
□ 自分の発する言葉に誤り・失言はほとんどない。
□ 自分は決めたことを継続して実行できる。
□ 自分は時間・納期に正確だ。
□ 自分は出来る限り論理的に考え行動している。
□ 自分は出来るだけ体系的・網羅的な思考を意識している。
□ 自分の考えには一貫性がある。

事業を構築するのは、『数百万点以上の部品からなる精巧なプ
ラモデルを組み立てるようなものだ。』と思っています。
『精密に設計し、正確に組み立てる』ことが必要条件です。
(十分条件は別にあります。)
最大の敵は、『雑駁な』思考や行動です。

■『脱・雑駁』のためには、正確に行動することが重要です。

・自身のアウトプットには、その正確さを求める。
・自身が発する言葉には、その正確さを求める。
・約束は確実に履行する。
・時間は確実に守る。3分遅れではなく、5分前で行動する。
・納期は厳守する。ギリギリではなく、数日早めに納める。

人間は過ちを犯します。間違えたり、遅刻したり…ゆえに、自
身を厳しく統制しておかないと、ダラダラの人生になってしま
います。『雑駁』な人は、このダラダラを許容してしまうので
しょう。
ほんの少しの許容が、徐々にその限度を増していきます。
・間違いだらけのアウトプット。
・裏付けや哲学の無い発言。
・細かい約束を反故にしても気にならない厚かましさ。
・3分遅れを許容する時間管理。
・納期ギリギリの業務管理。

◎行動の雑駁さは三流の証です。行動の正確さ・緻密さを維持
継続しましょう。

■『脱・雑駁』のためには、考え方の正確さが重要です。

・考え方に一貫性を持たせる。
・考え方から論理矛盾を排除する。
・考え方に沿った行動を心掛ける。

一貫した考え方に沿った企業運営を行わなければ、その企業は
体を成しません。ダッチロールします。
・良い商品やサービスは、一貫した考え方から創造されます。
・良い顧客は、企業の考え方に賛同してお付合いしてくれます。
・従業員も同じです。

◎考え方の雑駁さは三流の証です。一貫した考え方を貫きまし
ょう。あわせて、考え方に沿った行動を心掛けてください。

■『雑駁』は企業経営の最大の敵です。

『数百万点以上の部品からなる精巧なプラモデルを組み立てる
(比喩)』事業構築のプロセスにおいて、『雑駁』は最大の敵
です。このウイルスは、シロアリのように企業の屋台骨を蝕み
ます。
・社長は、自分自身の『雑駁さ』を徹底的に排除する努力を続
けましょう。

この前提で、
・社内にはびこる『雑駁さ』に対しても、厳しく対処しましょう。
『雑駁さ』を互いが責め合う文化を構築しましょう。

一流は、間違えなく『雑駁』ではありません。
一流を目指しましょう。

「事業計画書で融資が決まる」と言われるとおり、実体を伴っ
た事業計画書は融資審査を良い方向に導きます。しかし、事業
計画書だけで融資が決まることはありません。事業計画書より
前に、多くの審査ポイントがあります。

事業計画書は、企業理念に始まり、会社概要、事業内容、組織
体制、市場分析、財務分析、中長期経営目標、中長期数値計画、
単年度経営目標、単年度数値計画等で構成しているのが一般的
です。

良い事業計画書は、単なる説明や数字の羅列ではなく、最初の
ページから最後のページまで矛盾の無いストーリーになってい
ます。また、ストーリーの背景には社長様の熱い思いが込めら
れており、理論だけで無く感情にも訴えかける魅力があります。

しかし、どんなに素晴らしい計画書を作成しても、実体を伴っ
ていなければ評価は限定的です。いくら将来的に大きな利益が
上がる計画であっても、現在の実績が悪過ぎれば信じてもらえ
ません。どんなに立派な経営理念や目標があっても、現在の管
理体制がずさんであれば実行力が伴っていないと判断されます。

また、融資のためだけに作成された立派すぎる事業計画書も問
題です。特に、第三者が作成したテクニカルな計画書は、社長
様が自分の言葉で説明できないため、金融機関から悪い印象を
持たれてしまうことすらあります。

中小企業にとって、事業計画書を運用するのは、作成すること
よりも更に困難です。企業経営に関する知見や財務の知識が要
求されるのはもちろん、日々の営業活動など、管理よりも優先
して取り組まなければならないことがたくさんあるためです。
よって、金融機関も事業計画書を絶対的な融資の判断材料とは
していません。

事業計画書を作成して運用することはもちろん大切ですが、融
資を申し込むにあたっては、将来の事業計画よりも、現在の利
益や資金繰りの状況がわかる「試算表」や「資金繰表」をしっ
かりと作成することが優先です。融資審査のポイントを間違え
ないようにしてください。

■1.営業時間が長すぎる⇒営業時間・営業日の短縮を!

○店舗ビジネスの経営者は、その店舗を最大限効率的に活用し
ようと考えます。当然です。では、効率的とはどのように運用
することでしょうか?
多くの経営者が考える効率的とは…できるだけ長時間店舗を営
業すること、家賃は同じだから、お客様が来店されるから等々
が理由です。
長時間営業しても、家賃が固定費で同じだから、本当でしょう
か?
営業すれば人件費という大きな経費が必要になりますが、営業
しなければ人件費は発生しません。(休日に充当できます。)
店舗を最大限効率的に活用することは、イコール、できるだけ
長時間営業することではありません。この視点を重視してくだ
さい。

○店舗ビジネスにおいて営業時間をいかに短縮するか?これが
大きなテーマです。
居酒屋を経営しているとします。給料日前の月曜日を休みにし
たらどうなりますか?時間帯別売上高、曜日別、時期別(給料
日前等)の売上高を確認してください。ランクを付けてくださ
い。繁忙期の繁忙日をSランクとするなら、閑散期の閑散日は
CかDランクになるはずです。Sランク~Dランクまで、すべ
て営業することが、本当に有効活用なのでしょうか。

◎できるだけ営業時間・営業日を短縮する、この『絞り込む』
経営が必要になってきました。経営に必要なのは、その売上高
ではなく、その利益です。3万円を売り上げるために、それを
上回る経費を投入している営業を止めましょう。減収になって
も、増益になる経営を目指してください。

■2.アイテムが多すぎる⇒アイテムの絞り込みを!

○取り扱いアイテム数をいかにして絞り込むか?これが大きな
テーマです。
居酒屋を経営しているとします。居酒屋が10アイテムで経営
できるはずありません。50アイテム、100アイテム…でし
ょうか。
ここで重要なのは以下の2点です。

◆1.101アイテムよりも、100アイテムの方が効率的で
美味しくなるということです。
一つでも少ない方が、生産性と品質が向上します。100アイ
テムと101アイテムでは誤差の範囲でしょうが、この差が大
きくなればなるほど、顕在化します。

◆2.時間の経過とともに、アイテム数は増える、この趨勢を
理解してください。
メニューを絞り込む・止めることは難しく、温存すること、増
やすことは容易だからです。
商品別の売上高を確認してください。ランクを付けてください。
Sランク~Dランクまで、すべて本当に必要でしょうか。3つ
カットして1つ追加する、全体で数十%減らすぐらいの思い切
った目標を立てて取り組んでください。

◎できるだけアイテム数を減らす、この『絞り込む』経営が必
要になってきました。
100アイテムの生産性と品質を維持しながら提供するオペレ
ーションと、80アイテムのそれでは、その収益性等すべてに
雲泥の差が生まれます。少ない方がよい、この原理・原則を忘
れないでください。

■3.値段が安すぎる⇒価格を見直す、値上げを!

○価格への弱腰姿勢を是正する、経営の大きなテーマです。
集客商品だから、目玉商品だから、原価率は高いが価格が高い
ので粗利益額は確保できるから、これらをフック商品にして…
等々、安売りを正当化する理由はいくらでも見つかります。
安くするための理由ではなく、高くするための工夫に知恵を絞
ってください。

◎価格をすべて見直してください。
値決めが経営に与えるインパクトを過小評価してはいけません。
一品一品丁寧に、材料原価と手間原価(生産性)を勘案しなが
ら、1円単位で値決めを再考してください。アイテムの絞り込
みと同時に行うと効率的です。また、深夜の営業時間帯には特
別料金を加算することも重要です。

必要な原価・コストを織り込んだ上で、必要な売上高を確保で
きないビジネスは確実に淘汰されます。サービス残業も近未来
には確実になくなるはずです。法で規制されます。従業員がい
なくなります。
そのためには、売上至上主義、頑張りすぎる経営からの脱却が
必要なようです。残された時間は限られています。
『営業時間・営業日の短縮』・『アイテムを絞り込む』・『価
格を見直す、値上げする』この3つのテーマを実行に移してく
ださい。

人生はいつも順調とは限りません。誰もが、様々な事情で、個
人ローンの返済やクレジットカードの支払いが滞ってしまう可
能性があります。本日は、個人の金融事故が今後の法人の資金
調達に与える影響について解説します。

そもそも、個人の信用情報はどのように管理されているのでし
ょうか。金融機関は、個人のお客様への融資状況を信用情報機
関に登録して共有しています。主だった信用情報機関として、
クレジット系の金融機関が情報を登録しているCIC、消費者
金融系の金融機関が情報を登録しているJICC、銀行系の金
融機関が情報を登録している全国銀行個人信用情報センターが
あります。

日本政策金融公庫を例に挙げますと、借入申込書の裏面に、こ
の3つの機関の利用および登録について承諾を得る欄がありま
す。最近では個人情報の取扱いが厳しくなっていますので、金
融機関が本人の承諾を得ずに信用情報機関に照会をかけること
はありません。書面で承諾を受けた後、照会をかけてネガティ
ブ情報の有無を確認します。

それでは、照会の結果、ネガティブな情報が出た場合、法人の
融資審査にどの程度影響があるのかを見てみましょう。

・現在も返済が滞っている。
未解決の状況ですので、新規融資は見送られる確率が高くなり
ます。

・しばしば支払の遅れがある。
これだけで断られることはありませんが、業績や財務内容が良
好である等、マイナス面をカバーできるポジティブな材料がな
いと厳しくなります。

・返済が1、2ヶ月遅れ続けた時期があるが先月完済した。
解決はしているものの、解決してから日が浅いため、新規融資
は一旦見送られる可能性が高くなります。

・返済が1、2ヶ月遅れ続けた時期があるが数年前に完済した。
解決してから数年が経過していますので、新規融資を受けられ
る可能性は十分にあります。

・返済が数ヶ月から数年に渡って遅れ続けた後に完済した。
重度の金融事故になりますので、完済してから5年程度は新規
融資は難しくなります。

一般的な事例をご紹介しましたが、もちろん、足元の状況や金
融機関によっては違う対応をしてもらえる可能性はあります。
しかし、その場合も、申し込みには注意が必要です。

完済後、5年程度で信用情報機関の事故情報は消えますが、情
報が消える前に融資を申し込んだ場合、金融機関内部の記録に
事故情報が残ってしまうケースがあります。そうなると、その
金融機関には永遠に記録が残りますので、5年経った後も融資
を断られる可能性が出てきます。

個人信用情報に傷がある場合は、いざという時には担当者で情
報が止まるよう、金融機関の担当者と信頼関係を構築したうえ
で、融資を打診することをおすすめします。

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