仕事の進め方、時間の使い方について考えてみましょう。30
%ぐらいは改善の余地がありそうです。この30%を働き方改
革の原資に、または、創造のための時間にあててください。

◆部下への短納期の業務の指示
「今日中にこれを仕上げて」ではなく、「5日後の○日の午前
中までにこれを仕上げて」と指示されれば、指示を受けた部下
は時間を組み立てられます。少しの負荷は誤差として吸収でき
ます。不要な残業は発生しません。部下への短納期の急な業務
の指示は、不要な残業を生み出す悪の根源です。部下への短納
期の急な業務の指示は極力控えてください。恒常的に発生して
いる会社には、不要な残業が発生しています。上司が改めるべ
きです。
※短納期の急な指示しかできない人はマネージャー失格です。

◆移動時間の短縮
訪問(出張)の必要性について再考しましょう。特に、必然性
の薄い訪問(出張)を減らせば、その分の移動時間が大幅に短
縮できます。ITインフラの進化で、数十年前と比べてコミュ
ニケーションの取り方は格段に多様化しました。先入観や過去
の慣習にとらわれずに、新しいコミュニケーションの方法を見
つけ出してください。
例えば、メールで資料を送って電話で1時間話せば、概ねやり
取りはできるはずです。この商談やミーティングのために遠方
まで訪問(出張)する必要があるのか?ご再考ください。
〔※電話ミーティングのアポ取り〕この習慣を導入してくださ
い。また、多人数でゾロゾロと訪問(出張)・商談を行ってい
る様を見ます。必要な時も無くはありませんが、本当に必要な
のか?この疑問を持ってください。

◆商談の進め方
初回商談からさっさと核心の提案を行いましょう。相手が一流
ほど雑談を嫌います。挨拶や関係性の構築を否定するつもりは
ありませんが、最初の面談は挨拶や雑談で済ませる、このよう
な考え方を嫌う人たちも増えています。最初の面談から核心に
触れて、ビジネスを進めてください。相手側も働き方改革を進
めています。

◆接待や親睦
接待や親睦は最小限に留めましょう。ビジネスパートナーと度
々酒を飲んで親睦を図るのではなく、懇親頻度を半分に減らし、
その分は、ビジネスプランをお互いが考える時間にあてましょ
う。

◆ビジネスパートナーの選別
ビジネスパートナーを選別してください。効果の薄い、心地よ
いビジネスパートナー(候補)と付き合うのを止めて、有益な
パートナーのみに絞り込んでください。余力を使って、新しい
パートナーを探しましょう。

◆日常業務
前さばきで、これから行う業務を選別しましょう。前さばきの
時間を大切にしてください。前さばきにあてる10分で、後の
業務を30分減らせます。例えば、膨大な資料をいきなり作り
始めるのではなく、本当に必要な資料を見極めるために10分
間考える、その後、資料作成を始めるようにしてください。

◆資料の作成
パソコンの技術を駆使して、過度にきれいに仕上げられた資料※
を時折見かけます。綺麗な割に中身は?ワードの箇条書きで十
分ではないか?見栄えがオーバースペックな資料は時間の無駄
使いです。社内では止めてもらってください。また、社内配布
資料をカラーコピーで配布、時折目にします。
※提案の内容より見栄えの向上に重点が置かれてしまいがちで
す。注意してください。

◆その他
1.惰性・ルーチンの行動を改めてください。惰性・ルーチン
を疑ってください。
2.まず考える、選んで行動する、この習慣を習得してくださ
い。
3.やらねばならない(と思い込んでいる)仕事に追われない
生き方を心掛けてください。
4.思考停止に陥らないでください。今までと同じように黙々
と仕事に励むのではなく、昨日までとは違うやり方はない
かと考える癖をつけてください。

我々は、相当無駄なことに時間を浪費しているようです。この
無駄使いで犠牲になるのは『落ち着いてじっくりと物事を考え
る時間』です。この重要な時間を確保するために、業務の棚卸
を行ってください。『落ち着いてじっくりと物事を考える時間』
を確保できれば、仕事の効率とクオリティーが格段に向上しま
す。

知識が役に立つ日が来ないことが一番ですが、もし、現在融資
を受けている信用保証協会の保証付き融資が返済できなくなっ
た場合、その後の手続きがどのように進められるかを解説致し
ます。

先日、「信用保証協会の保証付き融資を銀行から受けているが、
業績が悪いため延滞している。銀行から保証協会に事故報告を
上げると言われたが、何か良い調達方法はないか?」というご
相談をお受けしました。

正直この段階でご相談に来ていただいても、資金調達面では手
の施しようがありません。新たな調達は難しい旨を丁寧にご説
明しました。すると、社長様は吹っ切れた様子になり、今度は、
「このまま支払えなかった場合はどうなるのか?」というご質
問を熱心に始められました。

Q1.このまま支払えない場合はどうなるのか?
A1.延滞が続くと最終的には代位弁済となります。

Q2.代位弁済とは何か?
A2.貴社の借入については、信用保証協会が保証をしていま
すので、貴社が返済できなくなった時点で、信用保証協会が貴
社の代わりに銀行に残債を支払います。これを代位弁済といい
ます。

Q3.代位弁済の手続きは自分でするのか?
A3.代位弁済は、銀行から信用保証協会に請求するものです
ので、貴社が手続きをすることはありません。

Q4.代位弁済の後はどうなるのか?
A4.銀行の借入がそのまま信用保証協会に移る形になります
ので、今後は銀行ではなく、信用保証協会に対して返済を行っ
ていきます。

Q5.毎月の返済額はいくらか?
A5.担保を差し入れている場合は、担保を処分して借入金の
返済に充てる方向で手続きが進められます。担保を処分しても
なお残った残債や、そもそも無担保で借り入れている場合は、
利益の状況にあわせて返済額が決まります。

Q6.代位弁済というのは倒産のことか?
A6.法的な倒産とは違います。代位弁済となっても、その後
保証協会に少しずつ返済をしながら事業を継続している企業様
は多くいらっしゃいます。

最後は、「事業は継続できるのですね。」と少し安心されたご
様子でした。業績が悪化し、支払いに追われている状態では、
平静を保つのも難しくなります。しかし、何が起きるか分かっ
ていれば、多少なりとも不安をやわらげることができます。事
業の失敗は誰にでも起こりうることです。知識を身に着け、冷
静に対処してください。

誰にも叱られない立場、これこそ社長の特権であり最大のウイ
ークポイントです。頑張る人はとことん頑張り、怠惰な人はど
んどん堕落します。結果、雲泥の差が出ます。
自分の考え方や生き方を、自分で計りながら生きていくことを
求められる立場、これが社長です。楽しさと怖さが入り混じっ
た感覚、これが社長業でしょう。社長として、正しい生活習慣
を身に付けましょう。

◆1.「一人でしっかり考える時間」を確保しましょう。

毎日、できれば2時間ぐらい、自社の経営、自分のなすべきこ
と・行ったことについて、外部との情報を遮断して、自分の頭
の中だけで考える時間を確保してください。

・そもそも自分は何をしたいのか?
・これからどのように経営を行うのか?
・近々何をするのか?明日は何をするのか?
・今日の成果と反省は?
・自分に不足しているのは何か?どんな学びが必要か?
等々

◎365日、1日も欠かさずしっかり考える時間が必要です。

◆2.「決めたことは確実に実行」してください。

決めたら石にかじりついてでも確実に実行しましょう。結果は
ともあれ、自分が決めたことの実行率は百%を維持しましょう。
また、従業員に対しても、実行率百%を守らせてください。仕
事なので当たり前です。能力に応じてできることを計り、量を
調整することは必要です。

◎日々1.の「一人でしっかり考える時間」で総括してください。

◆3.「余計なことをしない」肝に銘じてください。

余計なことにたくさんの時間とお金を浪費しています。仕事と
称して遊ばないようにしましょう。遊びは遊びと認識してしっ
かり遊んでください。仕事と遊びの境界線がわからなくなって
いる社長も少なくありません。仕事に対する目的意識が明確な
ら、このような混同は起きにくいはずです。

◎日々1.の「一人でしっかり考える時間」で総括してください。

◆4.「凡事・細事は素早く確実に済ませましょう。」

メールの返信や書類の返答等、様々な凡事や細事も社長にはつ
きまといます。先送りせずに、今この瞬間にさっさとけりを付
けましょう。終わらせましょう。凡事・細事の翌日以降への先
送りをゼロにしてください。どうせやることは、できるだけ早
く終わらせてしまう、この習慣も重要です。

◎日々1.の「一人でしっかり考える時間」で総括してください。

◆5.「健康的な生活」を送りましょう。

睡眠を十分にとり、できるだけ健康的な食生活を意識して日々
を過ごしましょう。また、一定の休息も意識してとってくださ
い。頑張りすぎると思考が停止してしまいます。頑張る社長に
は余暇や休息が必要です。

◎日々1.の「一人でしっかり考える時間」で総括してください。

◆6.「24時間、365日経営のことを忘れない」でください。

法人(事業)に魂を注ぎ込むことができるのは、社長だけです。
休みながら、遊びながら、眠りながらも、会社のことを思いや
ってあげてください。

正しい生活習慣は健康な肉体や精神を構築します。会社・法人
も同じです。社長の生き様が、そのまま会社・事業の実態とし
て表れます。また、社長に限らず、このような生き方を習得で
きたビジネスマンは、間違えなく勝ち組になれます。原因と結
果、因果関係は明確です。意識して実行してください。

ひとつのプロジェクト資金を複数の金融機関で融資することを、
「協調融資」と言います。大企業が大型の資金調達を行うとき
に、金融機関がシンジケート団を組成して行うシンジケートロ
ーンが協調融資の代表例でしたが、現在では、中小企業でも、
複数行が協調して融資を行うことが珍しくなくなってきました。

元々、金融機関は他の金融機関と積極的に連携を図ることはあ
りませんでした。今でも、民間の金融機関同士が連携を図るこ
とは殆どありませんが、日本政策金融公庫と民間金融機関は積
極的に連携を図るようになっています。

例えば、公庫が単独では融資が難しいと判断した場合、担当者
レベルで知り合いの民間金融機関を紹介してくれたりします。
また反対に、民間の金融機関が公庫に掛け合ってくれることも
あります。

企業側の協調融資のメリットは、大きな金額を調達しやすくな
る点です。少し無理をして大きな店舗を出店する場合など、金
額面で金融機関が融資を躊躇することがあります。このような
ケースでは、単独で全額を融資するのはNGでも、他の金融機
関とリスクを分け合えるのであれば、融資は可能と判断しても
らえることがあります。

ただ、金融機関同士の垣根が低くなったとはいえ、まだまだ担
当者レベルの交流が主体のようです。上手くいけば協調相手の
金融機関を紹介してもらえるかもしれませんが、基本的には自
分で金融機関をコーディネートしなくてはなりません。

また、協調融資は、融資額を半分ずつ2つの金融機関に割り当
てるよりも、どちらかの金融機関を主に据えて、不足部分をも
うひとつの金融機関に割り当てる方が上手くいきます。金融機
関への根回しが必要です。

弊所では、多数の地域金融機関と情報連携をしておりますので、
協調融資のコーディネートをお手伝いすることが可能です。自
社の実力に比べて、少し大きな設備投資を行う場合等はご相談
ください。

■消防士は火に対する知見を有しています。

故に、大丈夫、危険だ…これらを正しく判断できます。危険な
火災現場に遭遇しても、最小限のリスクで最大限の対応ができ
るのはこのためです。
仮に、無知な消防士(?)が消火活動を行ったとすると、過度
に恐れて適切な消火活動ができない、または、蛮勇で無茶なそ
れを行うことになるはずです。いずれも正しい消火活動とは程
遠い結果になります。
消防士は、日々欠かさず、火に対する勉強と訓練を積んでくれ
ています。

■社長も経営を「知る」ことが重要です。

経営には不安がつきまといます。具体的な不安、漠然とした不
安…無限の不安が心に降り注いできます。ある種の必然で仕方
ありませんが、これらの不安を軽くする方法はあります。

◎人は、わからないことに多くの不安を感じるようです。
・「知る」ことで多くの不安が解消されます。
・「知る」ためには勉強が必要です。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、程度加減がわかります。
・「知る」ことで、ここまでは大丈夫、これ以上はダメ、この
境界が見えます。
・「知る」ことで、経営判断の精度が向上します。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、「自分の知らないこと」を認識できます。
・知らないことを認識すること(=「無知の知」)は重要です。
・「知る」ことに重点的に取り組むことができます。
・「自分の知らないこと」には取り組まない、または、他人の
知恵を借りる癖が付きます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■過度の心配は払しょくしましょう。チャンスを逃してしまい
ます。逆に、蛮勇もご法度です。会社をつぶしてしまいます。

「無知」な社長は二つのパターンに分かれます。

◆1.過度に恐れて攻めることができない社長。
リスクを過大評価して、一歩も前に進めません。前に向かって
アクセルを踏めない原因の一つは「知らない・わからない」か
らではないでしょうか?

◆2.蛮勇を背景に突っ走る社長。
リスクや実力を省みることなく、とにかくアクセルを踏み続け
ます。過度に邁進できる理由の一つは「知らない・わからない」
からではないでしょうか?
いずれも正しい経営とは程遠い結果になります。

■「知る」ことは大変大きな収穫をもたらします。

社長が経営の勉強をすることには大変大きな意味を持ちます。
その経営成績、収穫に直結します。ただ、社長が勉強すべき
テーマは極めて広範囲です。
以下の方針で取り組んでください。

◎できるだけ体系的・網羅的・論理的に計画的に学んでくださ
い。
◎学びにゴールはありません。生涯学習のつもりで学んでくだ
さい。

「無知」は大きな損失を招きます。損をします。
「無知」は不安の大きな原因の一つです。病みます。
「知る」ことで多くの事を解決できます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

社長様によって経営のスタンスはそれぞれです。家族を養える
範囲で・・・従業員を養える範囲で・・・100年続く企業を目
指して・・・上場企業を目指して・・・日本を代表するグロー
バルな企業を目指して・・・どのスタンスで経営するかは社長
様の自由であり全てが正解です。ただ、規模の拡大を追求する
のであれば、ファイナンス(資金調達)を上手に活用できるか
どうかで成長のスピードが大きく変わります。

単純な話ですが、自己資金300万円で商品を仕入れて売るより
も、さらに300万円を借り入れて、600万円分の商品を仕入れ
て売った方が、より大きな売上を創出できます。社長様が600
万円分の商品を販売できる事業力を有しているのであれば、迷
わずファイナンスを活用すべきです。

売上だけではありません。専門的には財務レバレッジと呼びま
すが、自己資本だけで経営を行うより、他人資本を取り入れた
方が、自己資本の効率が高まるという事実があります。もちろ
ん、利益がマイナスに振れた時には、自己資本だけで経営を行
うよりも資本効率が大きく低下するというデメリットもありま
すが、社長様が利益を上げられる事業力を有しているならば、
迷わずファイナンスを活用すべきです。

世間的に見ても、1代で大きな企業を作った社長様は、ファイ
ナンスを巧みに活用して積極的な拡大戦略をとっています。決
して大企業だけの話ではなく、数億円規模の中小企業でも、資
本主義社会においては、資金力が大きい方が有利であることは
明白です。ファイナンスが重要な経営技術のひとつとされる理
由はそこにあります。

好景気の時など、利益が出やすい環境が整ったときには、ファ
イナンスの恩恵がより高まるチャンスです。景気の流れを見極
めてファイナンスを上手に活用しましょう。

ただ、ファイナンスは経営技術であると述べたとおり、誰にで
も簡単に扱えるものではありません。思ったように調達出来な
いこともあるでしょうし、使い方を間違えば大きなダメージを
受けることになります。

何が正しいのか?大変難しいテーマです。『対局にも真あり』
とも言われます。それでも社長は日々多くの判断をくだしてい
ます。過去の経営判断の集積が現状であり、これからの判断の
結果が未来の経営成績に反映されます。判断の精度が原因、経
営成績が結果、タイムラグを経て明確な因果関係が生まれます。

社長は、何を基準に経営判断を行っているのでしょうか?理詰
めで考えて判断する以外に方法はありません。常に自身の頭の
中で考えを突き詰めて、論理に沿って判断すべきです。絶対に
やってはいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な
世間の間違え常識を鵜呑みにすることです。

曖昧な形で伝わってくる無責任な世間の間違え常識の中には、
疑問を投げかけたくなる内容も混ざっています。特に違和感を
持つのは、大企業の常識と中小企業の常識の違いが勘案されて
いない内容です。大企業の常識は、時に中小企業の非常識に当
たることがあります。
◆間違え常識3、◆間違え常識8や◆間違え常識14はその典
型例です。

◆間違え常識1:収益性の良し悪しは、マネージメントやマー
ケティングで決まる。

⇒違います。その前に事業立地・ビジネスの型の良し悪しが重
要です。飽和した事業立地で、収益力の低いビジネスの型で
事業を行うことには限界があります。

◆間違え常識2:経営の生産性向上のためには、改善すること
だ。

⇒違います。止めること・絞ることです。

◆間違え常識3:マーケットインこそすべてだ。

⇒必ずしもそうではありません。(中小企業には)プロダクト
アウトこそ重要です。ニッチマーケットを開拓するためには、
仮説から始まるプロダクトアウトこそ重要です。

◆間違え常識4:社長は、急ぎで重要なことに専念すべきだ。

⇒違います。社長の仕事は、急ぎでない重要なことへの対処で
す。

◆間違え常識5:売上こそ経営の肝だ。

⇒違います。多くの場合、利益の方が重要です。

◆間違え常識6:売れないので価格を下げる。

⇒違います。価格を売るための道具に使ってはいけません。
売れるように価値を向上させてください。

◆間違え常識7:協業先を早く作りたい。

⇒違います。その前に自立することです。

◆間違え常識8:衆知の経営を行いたい。

⇒違います。小さな会社は社長の独断こそ正です。

◆間違え常識9:従業員に好かれたい。円満でいたい。

⇒違います。好かれる社長のいる会社は総じてうまく行ってい
ません。

◆間違え常識10:社長が忙しい。

⇒違います。余計なことをし、コントロールできないことを考
えているからです。

◆間違え常識11:従業員(会社)が忙しい。

⇒違います。マネージメントが雑なだけです。余計なことをさ
せています。

◆間違え常識12:十分な費用を費やして最高の管理を行うこ
とが重要だ。

⇒違います。最適な管理を最小のコストで行うべきです。

◆間違え常識13:能力の限界まで出世させてあげたい。

⇒違います。能力の限界の手前に留めるべきです。

◆間違え常識14:お金は、お金が必要な時に借りる。

⇒違います。(中小企業は)お金は、借りられる時に借りられ
るだけ借りることです。

◆間違え常識15:借入れは少ない方が良い。

⇒違います。そうでないことも多いです。

◆間違え常識16:取引する銀行は大きな銀行が良い。

⇒違います。取引する銀行は分相応が良いはずです。

◆間違え常識17:現状の厳しさを強調して、金融機関に融資
を依頼する。

⇒違います。返済できる根拠を書面で示して依頼するべきです。

◆間違え常識18:創業時、自己資金が底をついて資金が逼迫
するタイミングで資金調達する。

⇒違います。デスバレーに突入する前の創業初期か、デスバレ
ーを抜け切った黒字転換後しか調達できません。

経営判断は、とことん理詰めで行ってください。絶対にやって
はいけないことは、曖昧な形で伝わってくる、無責任な世間の
間違え常識を鵜呑みにすることです。上記の間違え常識に対す
るコメントも、本当は間違えかも知れません…とことん理詰め
で考えてください。

創業当初からお付き合いさせていただいているA社の事例です。
5期目の決算が終わったところですが、売上高が約7億円と順
調に成長しています。

A社の特徴的な点は、外部からの借入が無く、代表者個人から
の借入金1億円にて資金を繰り回している点です。創業時に創
業融資をおすすめしましたが、「自己資金で対応するので借入
れはしない。」という経営方針であったため、これまでは税務
顧問のみのお付き合いとなっていました。

毎期順調に売上高を伸ばしてきましたが、それと同時に役員借
入金の額も増加し続け、ついに役員借入金が1億円を超えた時
点で、社長より次の主旨のお電話がありました。

・いよいよ自己資金も尽きてきたので借入れを考えたい。
・金額は、今後事業をさらに伸ばすための資金で1億円、個人
で貸している分を返してもらうために1億円、あわせて2億
円を調達したい。
・預金取引をしている信用金庫に行って融資を依頼したが、短
期で1,000万円しか融資ができないと言われた。
・税務だけでなく資金調達を含めた財務面も見てもらえないか。

どこの金融機関も新規取引は慎重になります。A社は金融機関
との融資取引が全くありませんので、すぐに2億円を調達する
のは簡単ではありません。まずは、今期中に1億円、次の決算
後に1億円を調達する計画で資金調達を開始しました。

まず、今後の業績見込みとそれに伴う1億円の資金計画を作成
し、I地銀に保証協会とプロパー融資の打診をしました。I地
銀は保証協会から無担保枠一杯の8,000万円の事前承認を
取り付けてくださいましたが、「プロパーは来期の決算後に・
・・」という回答でした。保証協会の8,000万円だけで終
わりとなっては困るため、I地銀には、5,000万円だけ保
証付融資を申し込み、3,000万円の枠を残すことにしまし
た。

次にBメガバンクに保証協会とプロパーの打診をしました。保
証協会で3,000万円の承認がおりている旨をご説明してプ
ロパーの積み上げを依頼したところ、保証協会3,000万円
とプロパー2,000万円で提案をいただきました。

2行で目標額1億円の調達は完了しましたが、日本政策金融公
庫の無担保枠2,000万円も利用できると考えて打診しまし
た。1億円の調達は完了したが、本来は2億円の調達をしたい
旨をご説明したところ、「通常は2,000万円が無担保枠の
上限だが、制度融資によって4,800万円まで利用できるも
のがある。そちらを利用して4,000万円でどうか。」とい
う提案をいただきました。

続いて商工中金、中小企業事業にも打診を考えており、順調に
いけば今期中の2億円の調達が見えてきました。

本来は1億円以上の調達が可能な実力があるにも関わらず、社
長様が自身で信用金庫に行くと1,000万円の短期融資しか
できないと言われたのはなぜでしょうか。答えは単なる説明不
足です。

A社は、売上高は順調に推移してきたものの、利益が出始めた
のは2期前からであり、表面は債務超過です。実質自己資本と
見做せる代表者からの借入金が1億円ありますが、30代で1
億円の個人資産を持っているのは逆に不審に思われることもあ
ります。

弊所は、社長の略歴、企業の沿革、資金繰りの状況と計画、利
益の状況と計画を整理して、金融機関に説明しただけです。決
して金融機関と特別なパイプがある訳ではありません。説明の
仕方ひとつで結果がこれだけ変わることがあります。

社長様、経営者としてやってはいけないことがあります。整理
してみました。一つの考え方としてご確認ください。

■その1…社長は、悲観的になりすぎてはいけません。

悲観的になりすぎると心が折れます。逆に、楽観的すぎると心
が緩みます。心は、敢えて、楽観と悲観を行き来させることが
コツです。悲壮感あふれる気の毒な社長に時々出会いますが、
これは損です。改めましょう。

■その2…社長は、体を酷使しすぎてはいけません。

疲れすぎると思考が鈍ります。疲れすぎると気力が落ちます。
これでは経営はできません。常に最高の体調を維持することが
必要です。よく眠ってください。頑張りすぎて疲れ切った社長
に時々出会いますが、これは良くないですね。改めましょう。

■その3…社長は、楽観的に行動してはいけません。

最悪を想定して行動してください。備えて・備えて…備え尽く
すことが重要です。悲観的に考える割に、行動は楽観的な社長
がいます。これは真逆です。

■その4…社長は、結論を先送りしてはいけません。

決めること、社長の最も重要な仕事です。二晩寝て決まらない
ことはいくら考えても決まりません。考え続けて決めない社長、
これは良くないですね。改めましょう。

■その5…社長は、決め込んではいけません。

確信をもって行動してください。ただし、いつでも方向転換す
る心構えを持ってください。確信と柔軟性、この両立が必要で
す。何があっても方向転換しない、これは良くないですね。
改めましょう。

■その6…社長は、部下の話をミスリードしてはいけません。

状況把握は丁寧に根気よく行ってください。部下の話を途中で
遮らず、正確に聴くことが必要です。他人が説明している途中
で自分の意見を挟み、結論を決めつける、これは良くないです
ね。改めましょう。

■その7…社長は、合議制の経営を目指してはいけません。

経営判断は自分一人で行うものです。合議制などありません。
中小企業はトップの独断が重要です。自分が決めて、自分で責
任を取る、これが中小企業の健全な姿です。周りに頼り過ぎて
はいけません。
※判断材料としての話は良く聴いてください。

■その8…社長は、ファジーな指示を出してはいけません。

曖昧な中庸の指示は組織を惑わします。指示は白か黒、左か右、
YESかNOです。気を付けてください。どちらとも解釈でき
るような曖昧な指示を出してはいけません。

■その9…社長は、責任転嫁してはいけません。

隕石が降ってきて自分に当たっても自己責任です。すべての事
象を自己の責任として受け止め対応を考える、または、そうな
らないように備える、これが経営です。責任転嫁からは何も生
まれません。

■その10…社長は、切れて(感情で怒って)はいけません。

すぐ切れて損ばかり繰り返す社長は少なくありません。二晩寝
ても治まらない怒りは真の怒りです。真の怒りに対してのみ怒
りをぶつけてください。

■その11…社長は、構想・アイデアを出し過ぎてはいけません。

現場の理解力、執行力に合わせてアイデアを順次出してくださ
い。現場にアイデアを出し過ぎると消化不良を起こします。現
場へのアイデア出しは、適時・適量を心がけてください。

■その12…社長は、部下と仲良しになり過ぎてはいけません。

いつも部下とつるむ社長がいます。経営者の孤独感を解消しよ
うと、部下との距離を詰め過ぎることはお勧めできません。社
長と社員には一定の距離感が必要です。

色々な考え方があります。また、程度加減の問題もありますが、
一つの指針として心に留めてください。

◎「価格戦略=値決め」は、経営成績の良し悪しに甚大な影響
を与えています。勇気をもって「価格戦略=値決め」をご再考
ください。

平成31年4月~6月のセーフティネット保証5号の指定業種
が発表されました。セーフティネット保証5号とは、業況の悪
化している中小企業が利用できる保証制度です。指定業種に含
まれていなければ利用できない制度ですので、まずはご自身の
業種が指定業種に含まれているか、下記中小企業庁のホームペ
ージにてご確認ください。

◆指定業種一覧
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2019/1903205gou2.pdf

ご自身の業種が指定業種に含まれていたら、直近3ヶ月間の売
上高を前年同期間の売上高と比較します。もし、売上高が5%
以上減少していれば対象となりますので、セーフティネット保
証制度に申し込むことが可能です。(指定業種かつ売上減少が
要件です。)

具体的な申し込みの流れは、まず市区町村長の認定を受け、そ
の後、銀行等金融機関に認定書を持ち込みます。認定の受け方
については中小企業庁のホームページでご確認ください。

◆認定の受け方(中小企業庁HPより引用)
対象となる中小企業の方は、法人の場合は登記上の住所地又は
事業実体のある事業所の所在地、個人事業主の方は事業実体の
ある事業所の所在地の市町村(または特別区)の商工担当課等
の窓口に認定申請書2通を提出(その事実を証明する書面等が
あれば添付)し、認定を受け、希望の金融機関または所在地の
信用保証協会に認定書を持参のうえ、保証付き融資を申し込む
ことが必要です。(引用終わり)

信用保証協会では、中小企業が利用できる保証限度額が無担保
で8,000万円と定められています。あくまでも利用可能な枠の
ことであり、必ず8,000万円の保証を受けられるということで
はありませんが、セーフティネット保証制度は、さらに別枠で
8,000万円の保証枠が設けられます。

通常の融資審査は業績が悪いと通りませんが、本制度は業績が
悪くなければ利用することができません。また、通常の金利は、
業績が悪くなればなるほど高くなりますが、本制度は低い金利
で利用することができます。業績が悪くなることを歓迎したく
はありませんが、そうなった場合には利用したい制度です。

「足元の売上高が一時的に減少しているだけでも利用できるか
?」「売上高は落ちているが利益が出ている場合は?」「売上
高が伸びている事業と落ちている事業がある場合は?」等、本
制度の利用についてご質問やご相談があれば、お気軽にお問合
せください。