前回号の続きです。

■勝ち組と負け組の価格戦略は真逆です。

◆市場が飽和した日本のマーケットにおいては、モノやサービ
スを安く買おうとするエネルギーが蔓延しています。モノやサ
ービスを提供する企業サイドも、その趨勢に迎合することで、
自社の売上を確保しようと考える傾向が強いようです。

◇一方、十分な利益を確保できる価格設定を行ったうえで、隆
々と経営を続ける企業もたくさんあります。当然、たくさんの
顧客に支えられているはずです。

◆前者と◇後者、雑駁に分類するなら負け組と勝ち組です。
◆前者(負け組)が4割、◇後者(勝ち組)が2割、中間が4
割、このような分類になりそうです。

◆前者(負け組)企業の価格戦略は…
・「価格(安売り)を売るための道具」だと思っています。
・「価格は安い方が売れる」と思っています。
・「価格は、できるだけ安めに設定するべき」と思っています。
・「価格が高すぎて売れない」ことを過度に嫌います。
・「売れないより、薄利でも売れた方がよい」と考えています。
※うまく行ってたくさん売れても「繁盛貧乏」に陥ります。
儲からないのに忙しい状態でバランスしてしまいます。後は頑
張って・頑張り続けて…現状維持が関の山です。

◇後者(勝ち組)企業の価格戦略は…
・「価格を売るための道具には使わない」との信念を持ってい
ます。
・「価格が安くても売れるわけではない」と思っています。
・「価格は、できるだけ高く設定すべき」と思っています。
・「(仮に)高すぎて売れないことが有っても仕方ない」と思
っています。
・「薄利で売るよりも、売れない方がよい」と考えています。
※うまく行けば、たくさん売れて儲かる「繁盛高収益」の状態
になれます。利益で次の投資ができ、さらなる成長を目指せま
す。うまく行かなければ、「閑散貧乏」の状態です。やり直せ
ます。

■価格に対する二つの潮流…

◆モノやサービスを安く買おうとする潮流に巻き込まれること
は得策ではありません。
◇もう一つの潮流、「良いモノ・必要なモノが欲しい。対価は
払う」に乗せましょう。

気を付けてください。◆前者の潮流の方が目立っています。
◇後者は静かに流れています。

■もう一度「価格戦略=値決め」を再考してください。

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに
掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けす
ぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与え
るダメージを過小評価してはいけません。

事業は付加価値を求めつづけることでのみ継続できます。値決
めは重要な経営判断です。安売りは悪です。利益を計り、利益
を求めてください。また、コストは自然に膨らみます。意識し
て抑え込んでください。高収益(Profitable)な企業体作りを
強く意識してください。

◎「価格戦略=値決め」は、経営成績に甚大な影響を与えてい
ます。勇気をもって「価格戦略=値決め」をご再考ください。

ある顧問先様から「実は試算表の見方が良く分かっていないの
ですが・・・」と告白されました。経営の経験が10年近くにな
る社長様でしたが、よく考えると試算表の見方を知識として習
得する機会はそれほど無いことに気づかされます。

試算表からは経営に必要な様々な情報が読み取れます。知れば
知るほど奥行きがありますが、まずは業績管理の資料として損
益計算書を毎月確認することから始めるのが良いと思います。

■ 確認ポイント1「売上高」
売上高の確認が必須です。単純に結果だけを見るのではなく、
前年同月や前月などと比較して見ることが重要です。比較して
見ることで増減の要因やトレンドを把握することができます。

■ 確認ポイント2「粗利率」
売上高から原価を差し引いたものを粗利益と呼び、粗利益が売
上高に占める割合を粗利率と言います。売上だけしか見ていな
いと、利益を度外視した売上至上主義に陥ってしまいますので、
売上高とセットで粗利率も必ずチェックしましょう。頑張って
売上を伸ばしたにも関わらず赤字になったという事態に陥らな
いよう気をつけてください。

試算表を経営に活かしたいと考えているならば、目標数値を売
上高ではなく粗利額とし、売上高と粗利率をコントロールして
粗利額の極大化を目指してはいかがでしょうか。粗利額を目標
とすることで、営業一辺倒の施策だけでなく、仕入や外注の効
率化による原価低減や商品やサービスレベルの向上による付加
価値のアップなど、経営施策の選択肢が広がります。

試算表に頼らず経営をしていらっしゃる経営者もたくさんいら
っしゃいます。しかし、自身の頭の中だけでは把握できないぐ
らいの規模に事業を成長させるためには、試算表を活用できた
方が間違いなく有利です。

税理士さんから受け取った試算表を机の上に置きっぱなしにせ
ず、まずは売上高と粗利率を確認する習慣を身に着けてはいか
がでしょうか。

前回号の続きです。

『値決めこそ経営』(京セラ名誉会長、稲盛和夫先生)、この
言葉を肝に銘じてください。どんなに良いものを創りだしても、
その値決めを間違えると台無しになります。故に、値決めは大
変難しい最高レベルの経営判断事項です。であるにもかかわら
ず、値決めを安易に、どちらかというと安めにつけてしまう経
営者は少なくありません。松下幸之助先生はその著書の中で、
パナソニック(当時松下電器)は、相当大きくなるまで、松下
幸之助先生自身が値決めの最終決裁をされていた、と語ってお
られます。

「自社の値決めが正しいのか?」この解は誰にもわかりません
が、少なくとも多くの手間暇と知恵を最大限投入して、悩んで、
悩んで、悩み抜いて決める…この習慣を持っていただきたいと
思っています。

過去(この数十年)において、日本の企業の多くが、どちらか
というと安すぎる値決めを繰り返してきたために、今の経済の
停滞(デフレ)を招いたのではないかとの仮説を持っています。
特にこの傾向は中小企業に顕著です。

以下、【安売り症候群】という疾病を整理いたします。自社・
ご自身にあてはめてご確認ください。

■【安売り症候群】という疾病の正体は…(有病率50%)

◆価格を売るための道具に使うと「繁盛貧乏」になります。

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに
掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けす
ぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与え
るダメージを過小評価してはいけません。
経営者は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」を
して、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛
貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。
経営者は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよ
りも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまい
ます。価格を売るための道具に使ってしまいます。
安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い
取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たな商
品やサービスを創り出す創造力は生まれません。商品やサービ
スの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせ
るのではなく、その価値を向上させることで調整してください。
多くの偉人たちが語る経営の王道です。

◆「値決め」が弱気で利益を出せない経営体、さらに、新しい
価値を生み出す創造力を無くしてしまった経営体を『安売り症
候群』と呼びます。

◆『安売り症候群』の経営体には、以下のような症状が現れま
す。

□1.頑張っているのに儲からない。
□2.新しい商品、サービスを創造できていない。
□3.利益は出なくて良い、と思うことがある。
□4.値上げをしたいと思っていてもできない。
□5.ぎりぎりの経営をしていると感じる。
いかがでしょうか?

◆病名:『安売り症候群』を整理します。

値決めに対する姿勢が弱気で、利益管理も曖昧になる病です。

●原因

安くないと売れないとの思い込みが原因です。良いものには相
応の値段を(それなりのものはそれなりの値段を)付けてくだ
さい。良いものを安く売る必要はありません。原価が上がれば
価格を見直す、この当たり前の企業行動を取らなければ、利益
がどんどん減ります。利益が薄くなればなるほど、良いものを
作ろうとする知恵や創造力を失います。最後は、薄利は善、利
益は悪の心境に陥ります。こうなると末期です。

●症状

二つのレベルに分かれます。繁盛貧乏のレベルが第一段階です。
このレベルは頑張っているのに値決めを間違えていて儲からな
い状況です。この段階では価格の見直しを行えば容易に治癒で
きます。第一のレベルを続けていると、頑張っても儲からない
と思い込み、頑張る意欲、より良いものを創造しようとする力
を失くしてしまいます。最後には、儲からない自分を正当化す
るために、儲けは悪、儲からないことが善、ビジネスそのもの
を否定するようになります。

『値決めこそ経営』(京セラ名誉会長、稲盛和夫先生)です。
「値決め」には、多くの手間暇と知恵を最大限投入して、悩ん
で、悩んで、悩み抜いて決める…この習慣を持っていただきた
いと思っています。「値決め」は現場ではなく、トップが決め
るべき事項です。

新規資金調達と既存借入の借り換えにより、リスケジュールを
回避した事例をご紹介します。下記A社は、「資金繰りが厳し
いので借入のリスケジュールを検討している。どのように進め
ればよいか?」というご相談で来所されました。

会社名:A社(仮称)
事業内容:広告デザイン業
営業年数:22年
資本金:2,000万円
直近売上高:約1億円
直近純利益:約▲300万円
有利子負債総額:約3,400万円
自己資本:約200万円

まず直近の決算書を拝見したところ、売上高が急激に落ち込ん
でおり、純利益は2期連続で赤字という状況でした。しかし、
足元の試算表を確認すると、9か月経過時点で424万円の経
常利益が出ています。人員を減らすなど、固定費削減努力の効
果のようです。

当初はリスケジュールのご相談でしたが、リスケジュールはデ
メリットもあるため出来れば避けたい手段です。足元の利益が
継続できれば、新たな資金調達と既存借入の返済期間を長期化
することで資金繰りが改善できると考えました。

早速説明資料を作成し、ある信用金庫の担当者に借り換えの相
談をしました。財務状況にいくつか問題点はあるものの、毎月
70万円を返済してきた実績を評価していただき、前向きに取
り組んでいただくことになりました。結果は次のとおりです。

【既存借入の状況】
・K銀行保証付融資残高27,674千円(返済額374千円)
・日本政策金融公庫残高6,300千円(返済額300千円)
・合計借入残高33,974千円(合計返済額674千円)

【借り換え後】
・H信金保証付融資11,202千円(返済額133千円)
・H信金プロパー融資16,472千円(返済額196千円)
・日本政策金融公庫10,000千円(返済額142千円)
・合計借入残高37,674千円(合計返済額471千円)

新規の資金調達が3,700千円できた上で、毎月の返済額を203
千円引き下げることができました。

H信金の担当者によると、「直近の決算が赤字の場合、新規で
取り上げるのは通常難しいが、返済が可能であることを資料で
丁寧に説明いただいたことが良かった。」と仰っておられまし
た。リスケジュールをする前に、借り換えという選択肢も検討
してみてください。

■『値上げ』はこのような環境下でも粛々と実施されています。

◆「ブルボン/「アルフォート」など大袋商品を減量
(2020年5月25日)

ブルボンは5月26日出荷分より、「アルフォート」などファミ
リーサイズの大袋商品の一部を規格変更する。諸原料の価格高
騰が続いており、同社の使用する原材料および運送費などにつ
いても値上がりが継続している。生産設備の改善・更新による
生産性の向上や経費の効率的な使用などにより、商品の内容量、
価格の維持に努めてきたが、自助努力のみではコストを吸収す
ることが困難であると判断し、コスト上昇の影響が大きい一部
商品の内容量を減少させる。内容量変更の平均改定率は一般ル
ート商品約4.4%、コンビニエンスストアルート約3.4%とした。
(後略)」(出所:流通ニュース)

◆「はなまるうどん/「かけうどん」値上げ、小は150円から
220円に(2020年5月19日)

はなまるは5月19日、「かけ(温)」を値上げすると発表した。
小は税別150円から220円、中250円から320円、大350円から
420円とする。これまで、おいしい讃岐うどんを日常食として
気軽に食べてほしいという思いにより、「かけ」(小)を150
円(税抜)で提供。しかし、昨今のマーケットや飲食業界を取
り巻く環境の急激な変化で、企業努力のみでは現行価格で提供
を維持することが困難なため、価格を改定する。(後略)」
(出所:流通ニュース)

■価格転嫁してください。

◆原価が上昇すれば販売価格に転嫁する、これが常道です。
(×)価格に転嫁できるかどうかで悩む。
(○)どうすれば転嫁できるかで悩む。
後者で悩んでください。

○原価・仕入れ価格が上昇しても売価に転嫁できない、と結論
付ける経営者は少なくありません。これは安易すぎます。思考
放棄です。

○価格に転嫁しても、売上(利益)を落とさない方法を探す、
こう考えるべきではないでしょうか。原価・仕入れ価格の上昇
を売価に転嫁しながらも、売上(利益)を落とさない方法を考
える、このためには相応の努力が必要です。A案、B案、C案、
それらの組合せなど、創意工夫と知恵が必要です。

■価格転嫁する、この選択をすることで、付加価値アップの必
然性が生まれます。

◆物流費などのコスト上昇局面において、価格転嫁を前提に創
意工夫を重ねていく会社様と、価格転嫁できないことを前提に
創意工夫を怠る会社様に分かれてしまうのでしょう。

○価格への転嫁は付加価値アップの試練を与えます。商品やサ
ービスへの創意工夫が求められます。

○価格の据え置きは、付加価値アップの意欲を奪います。コス
トに対する過度の忍耐から、知恵の創造・付加価値アップは生
まれません。

◎5年後・10年後、前者と後者には大きな差が生まれます。

■過去におけるこの考え方の差が、現時点の企業の優劣に表れ
ています。

価格の上昇に消極的な判断を続けてきた会社は、付加価値アッ
プへの挑戦を怠り、結果、価格を上げると売れない実態を余儀
なくされています。 一方、価格の上昇に積極的に取り組んでき
た会社は、それに見合う付加価値アップへの挑戦を繰り返して
きました。結果、価格を上げても売上を落とさない企業力を構
築できています。

■自社の過去を振り返り、今後の価格戦略を構築してください。

1.原価や仕入れ価格の上昇分は、確実に価格転嫁してくださ
い。
2.価格転嫁するために、様々な創意工夫を行ってください。
この創意工夫こそが経営そのものです。
3.価格を上げることに積極的な経営を行ってください。

価格転嫁を行わない消極的な経営ではなく、より良いものを創
り出して単価アップを狙う経営を目指していただきたいと思っ
ています。後者の方が上手くいくことを、少なくとも歴史と統
計は証明しています。この機会に、自社の価格政策についても
ご再考いただければ幸いです。

物の本によると、倒産とは、「企業が債務の支払不能に陥った
り、経済活動を続けることが困難になった状態を指す。法的倒
産と私的倒産の2つに大別され、法的倒産では再建型の会社更
生法と民事再生法、清算型の破産と特別清算に4分類される。
私的倒産は、銀行取引停止と内整理に分けられる。」と定義さ
れています。

しかし、厳しい状況に追い込まれながらも倒産を選択せずに事
業を継続している社長様もいらっしゃいます。家賃や人件費が
払えない、返済ができないからと言って倒産するとは限りませ
ん。基本的には、経営者の意思で法的整理や私的整理等の行動
を起こしてはじめて倒産となります。倒産するかどうかは経営
者次第です。

この社長様の事例です。第三者から資金支援を受けて事業拡大
に挑戦しましたが、出店した新店舗が軌道に乗らず会社全体の
資金繰りが悪化してしまいました。やむを得ず新店舗の撤退を
決断したところ、スポンサーから支援の打ち切りだけでなく、
これまで受けた支援資金の返済を執拗に迫られるようになりま
した。

資金繰りが厳しいうえ、契約書をしっかりと交わしていなかっ
たため裁判を起こされたり、違法な取り立てを受けたりしたた
め精神的に参ってしまい、「今後どうすれば良いのか。倒産し
なければならないのか?」というご相談で来所されました。

こちらの社長様も、家賃や返済が出来なくなれば「倒産しなけ
ればならない」と勘違いしていたようです。倒産するかどうか
は社長様次第であることや、法的整理やM&A等の選択肢につい
ても説明した結果、「今が楽になっても今後の収入がなくなる
のは困る。止めるのはいつでも出来るのでもう少し頑張ってみ
よう。」という結論に至りました。

継続を前提として資金繰り予測を立てたところ、銀行と大家さ
んの協力があれば何とか資金が回ることが確認できたため、計
画書類を作成して銀行と大家さんのところに出向きました。大
家さんは延滞分の分割支払い、銀行には返済猶予に快く応じて
いただきました。

それから約1年後、売上規模は大きく落ちましたが黒字決算と
なりました。スポンサーからの嫌がらせも徐々に収まってきて
いるようです。社長様は、「この調子でいけば少しずつ債務の
返済ができそうだ。あの時は現状から逃げることばかり考えて
いたが逃げなくて良かった。おそろしい程メンタルが強くなっ
ただけかもしれないが今考えると何てことはない。」と笑って
おられました。

この選択が正しかったかどうかは分かりませんが、倒産しない
というのも一つの選択肢かもしれません。

事業体は変化に対応し、進化・発展を繰り返しながらその命を
つないでいます。一方、進化・発展を続けることは容易ではあ
りません。今回は、ビジネスを進化させるための一つのコツを
お伝えします。

■自社ビジネスに旬を掛け算する!

●例えば、前回号でお伝えした【D2C】や【C2M】、【ク
ラウドファンディング】を研究してください。一方、自社にお
ける今までの売り方と突合してください。今までの自社の売り
方と、新しい旬のビジネスモデル【D2C】や【C2M】、
【クラウドファンディング】を掛け算して、自社にとってのこ
れからの売り方を築きあげてください。

●例えば、今までの課金方法(マネタイズ)を確認してくださ
い。一方、旬の課金方法である【サブスクリプション】モデル
を研究してください。その上で、自社にとっての新しい課金方
法にチャレンジしてください。

●例えば、今までの業務フローを確認してください。一方、旬
の【デジタル化】ビジネスモデルを研究してください。その上
で、自社にとってのデジタルシフトを作り上げてください。

●例えば、自社のビジネスの型を整理してください。一方、旬
の【プラットフォーム】ビジネスモデルを研究してください。
その上で、自社ビジネスのプラットフォーム化に取り組んでく
ださい。

…等々

■上記のように、新しいビジネスモデルを創造しましょう。で
きれば、ルールメーカーを目指しましょう。さらに、正しいビ
ジネスの型で世の中に浸透させましょう。

◆1:新しいルール、ビジネスモデルを作り上げた企業は、
『ルールメーカー』として隆々と生きています。

◆2:誰かが作ったルール、ビジネスモデルにいち早く適合し
た企業は、『準ルールメーカー』としてうまく経営できていま
す。

◆3:その他の企業は、昔から存在するルール、ビジネスモデ
ルに従う『ルールの適合者』です。『ルールの適合者』は、そ
のマネージメントやマーケティングが相対的に優れている時に
のみ、一定の規模と利益を享受できます。

優良企業や、特に新規上場を果たすような企業群は、そのほと
んどが『ルールメーカー』又は『準ルールメーカー』です。
ルールの適応範囲の大小にかかわらず、新しいルールを構築で
きた企業群に対して、世間は高い評価を与えます。それが高い
利益率であり、高額な企業価値(時価総額)です。
※ここで言うルールとは、消費者に提供する新しい価値のこと
を指します。企業側から考えると、新しいビジネスモデル、事
業立地を創造することです。今まで世の中に存在しなかった製
品やサービス、提供方法のことです。

企業経営の良し悪しは、そのマーケティングやマネージメント
の上手下手の前に、ビジネスモデルの良し悪しで決まります。
大半の企業は、大きな戦略論である事業立地を含むビジネスモ
デルの議論を放棄して、戦術論であるマーケティングやマネー
ジメントの議論に終始しています。
上記のことを踏まえて、自社の事業立地・ビジネスモデルをし
っかり見直してください。そして、ルールメーカーになってい
ただきたい。中小企業でも、小さなルールの創造者、『スモー
ルルールメーカー』にはなれます。

◎自社ビジネスに旬を掛け算することで、独自のビジネスモデ
ルを創造しましょう。そのためには、旬のビジネスモデルを研
究してください。

どこに給油ポイントがあるか分からないことが経営を困難にし
ています。ガソリンがどれぐらい持つか分からない、どこに給
油ポイントがあり、給油ポイントがあったとしてどれぐらい給
油できるかも分からない、という条件で目的地に辿り着くのは
至難の業です。経営とはそれ程困難な挑戦だと感じます。

目的地に辿り着ける経営者とそうでない経営者の最大の違いは、
言うまでもなく給油(借入)に頼らない自家発電力(利益)を
より多く有しているか否かです。しかし、一切の給油(借入)
を行わずに事業を大きく成長させられることは稀です。そうで
あれば、自社が、「いつ」、「どのような状態であれば」、
「どれぐらいの資金調達ができるか」を知っている方が断然有
利です。

最初の借入可能なポイントは創業時です。創業時の資金調達は
自己資金の2~3倍、かつ2,000万円未満が目安です。よって、
創業までにどれぐらい自己資金を貯めることができるかで資金
調達力が変わります。

次の借入可能なポイントは1期目ないし2期目の決算が終わった
時点、かつ黒字を確保できたタイミングです。裏を返せば創業
から黒字化までの間に借入可能なポイントはありません。創業
融資で調達した資金で黒字化できなければ、新たな融資を受け
られず、事業継続を断念することになります。創業3年以内に7
割の方が事業継続を断念していると言われますが、創業後の給
油ポイントを知らずにアクセルを踏み込みすぎたことが要因の
ひとつだと推測できます。事業を3年以上継続できるかどうか
の最大のポイントは、2回目の資金調達を成功させられるかど
うかです。

3回目以降は売上と利益の成長に合わせて資金調達可能な金額
が決まります。よって、基本的には赤字の場合は資金調達が困
難になります。先行投資をしなければ事業を成長させることは
できませんが、先行投資をし過ぎると赤字になり資金調達がで
きなくなります。そのバランスを取りながら経営のかじを上手
く取ることができるかがポイントです。大変高度な経営センス
を要求されます。

ある日突然資金が不足するという事態に陥らないため、経営の
目的地に辿り着くまでの間、どこでどれぐらいの資金調達を行
うかを書き記したロードマップを作成してはいかがでしょうか。
そのためには、自社がどのタイミングでどれぐらいの資金調達
を行えるかを知ることから始めなくてはなりません。

是非ご相談ください。

■D2Cとは、事例でご説明します。

『ある酒蔵メーカーさんは、酒販店向けの卸事業を続けながら
も、消費者への直販を始めました。YouTubeチャンネル、その他
のSNSを駆使して自社商品の宣伝媒体〔マイチャンネル〕を構築
するための投資を始めました。直販向けの商品は、酒販店での
売れ筋価格帯ではなく、高級品です。また、クラウドファンデ
ィングを活用したブランドの浸透と受注生産体制の構築も目論
んでいます。C2Mを狙っています。』

中間流通やマス広告を活用せずに、エンドユーザーに直接販売
するビジネスモデルを【D2C(ダイレクトtoコンシューマー
=消費者)】と呼びます。スマートフォンやSNSの普及で、こ
のような販売形態が生まれてきました。さらに、【クラウドフ
ァンディング】が、作る前に受注できる機会を提供してくれま
す。モノやサービスを作る前に受注する、このエコシステムが
【D2C】の概念を超えた【C2M(カスタマーtoマニュファ
クチャー)】という進化版のビジネスモデルを生み出しつつあ
ります。【D2C】、いや【C2M】こそが、生産者と消費者
(カスタマー)を結ぶ最終到達系になりそうです。

20年前、IT企業、ドットコム企業と呼ばれる企業が多数輩出
されました。今、IT企業、ドットコム企業という言葉自体が
死語になりましたが、それはITがスタンダードになったから
です。10年後、【D2C】や【C2M】という言葉も使われな
くなることでしょう。

【D2C】や【C2M】のビジネスモデルは、多くの中小零細
企業にチャンスをもたらしてくれます。前髪をつかめる今は、
取り組み始める好機です。

■【D2C】モデル成功のポイント!

◆1:自らの媒体(マイチャンネル)を構築するか、インフル
エンサーと連携する!

【D2C】は、創業~中小零細企業と相性の良いモデルです。
多大な広告費を使わず、中間流通を飛ばして直接エンドの消費
者とつながりを持てるからです。もちろん容易ではありません。
自らの媒体(マイチャンネル)を構築するか、インフルエンサー
と連携するかが必要です。

◆2:【D2C】、正解は【C2M】です。最初から【C2M】
を狙って下さい!

作る前に受注する、カスタマー(顧客)を先に創造する【C2
M】は、【D2C】の進化版、最終到達系です。【クラウドフ
ァンディング】を研究してください。ここに有効な解がありま
す。

■自社に当てはめて考えてみましょう。

『当社は、●●向けの卸事業を続けながらも、消費者への直販
を始めました。YouTubeチャンネル、その他のSNSを駆使して
自社商品の宣伝媒体〔マイチャンネル〕を構築するための投資
を始めました。直販向けの商品は、●●での売れ筋価格帯では
なく、高級品です。また、クラウドファンディングを活用した
ブランドの浸透と受注生産体制の構築も目論んでいます。C2
Mを狙っています。』

◎3年後の成功に向けて勉強と投資を始めましょう。

コロナウィルス感染拡大の影響により赤字になる関与先様が増
加しています。しかし、多くの関与先様はコロナ関連融資を積
極的に利用し、向こう1年程度は持ちこたえられるキャッシュ
を事前に確保できているため、金融機関も今回の赤字に限って
は大目に見てくれています。

本来利益は大変重要ですが、このような状況下においては、利
益よりもキャッシュフローを重視した方が経営は楽になるかも
しれません。

月額3万円程度の利用料を売上高とするA社とB社があります。
A社は普通に毎月3万円を受け取っていますが、B社は初月に
6か月分の18万円を一括で受け取っています。A社は毎月の
資金不足を補てんするため資金繰りに奔走していますが、B社
は先取りした6か月分の売上代金で人件費等の支払に充ててい
ます。A社とB社は同じビジネスモデル、同じ売上高ですが、
資金繰りの状況は全く違います。

あるソフトウェアを受託開発しているA社と、パッケージ化し
て商品にしたB社があります。A社の受託開発期間は平均3か
月ですので代金を受け取れるのは最大4か月後となり、その間
の人件費の立替に苦労しています。一方のB社は基本機能をパ
ッケージ化しているため納品した時点で売上を立てることがで
き、翌月には売上の代金を受け取れます。A社は黒字ですが資
金繰りは厳しく、B社は将来のために開発費を先行投入して赤
字になっているにも関わらず資金繰りに余裕があります。

ある機械を自社割賦で販売しているA社と、リース会社と提携
してリース販売しているB社があります。A社は原価相当額を
一括で受け取った後、利益部分を10回の分割払いにしていま
すが、原価部分の一括払いがネックとなり営業面で苦労するう
え、利益は後からの回収となるため資金繰りに苦労しています。
一方のB社は全額リースで販売できるため、営業面でハードル
がA社よりも低く、さらに一括で代金の回収ができるため資金
繰りにも苦労することがありません。

コロナ禍の影響により世間的には赤字を容認する雰囲気があり
ます。経営状況を無理して良く見せる必要がないのであれば、
利益率は良いが取引条件の悪い売上より、利益率はそこそこで
もキャッシュフローの良い売上を優先して獲得する方が資金繰
りは改善されます。