前回号のつづきです。

■何十年間も同じことを繰り返している会社は少なくありませ
ん。創業以来、先代以来…ずっと同じことを行っています。事
業を創る、事業立地を見直す、イノベーションを企てる、これ
らの発想すらありません。それでも、社長は、従業員も皆まじ
めに?働いています。この会社は、静かに衰退をたどりながら、
時に急激にその使命を終えることになります。

「今年生まれた子供たちが、二十年後に就職する会社の半分は、
今存在しない会社だ」と言われています。二十年で会社の半分
は入れ替わるとの仮説です。多分そうなるのでしょう。AIに
取って代わられる業種、話題を呼んでいますが、自社がその中
に入っているのかの心配には及びません。すべての会社が時代
に取って代わられるからです。

変化しなければ会社は存在意義を無くします。時代毎のニーズ
に対応することが生き残るための条件です。経営は、連続的な
小さな変化を続けて行かなければなりません。この小さな変化
は、時間を経て大きな変化を遂げます。激変したように見える
会社も、小さな変化の積み重ねです。

■「事業計画を策定する」このテーマについて言及しています。

事業計画は、変化のための種です。何をどう変えて、○○まで
にどのように変化させるか!この仮説こそが事業計画です。過
去の流れを踏襲するだけの数値計画を作って満足してはいけま
せん。

■事業計画作成時の重要度

※事業計画作成時には、以下の要素が含まれているか確認して
ください。

◆事業立地の見直し・イノベーションの付加ができているか?
…重要度S
◆収益モデルの創造・見直しができているか?
…重要度S
◆現状の認識は十分か?
…重要度A
◆(仮)のゴール〔マイルストーン〕の設定はできているか?
…重要度S
◆全体を包括する整合性の取れた数値計画ができているか?
…重要度A
◆数値計画と資金計画との整合性を確認できているか?
…重要度B
◆マネージメント体制は成長についていけそうか?又は、妥当
か?
…重要度B
◆日々修正しながら現実的に対応できているか?
…重要度S

■経営者の仕事は、事業立地とビジネスモデルの検証・構築、
すなわち事業計画の立案・見直し以外にありません。

経営者の仕事は何?あれもこれも…たくさんありますが、重要
度で下位から消去して最後に残るのは、「事業立地とビジネス
モデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案・見直し」です。
であるにも関わらず、大半の経営者はこれらの仕事をぞんざい
にしています。故に、経営者不在の企業体になり下がっていま
す。創業時に考えたビジネスモデルや、親から受け継いだビジ
ネスモデルを進化・発展させることなくただただ継続していま
す。事業計画と称して、過去の事業の時間軸を先に延ばして置
き換えるだけの数値計画を作って自己満足しています。体裁の
良い数値計画は事業計画ではありません。肝に銘じてください。

■経営者には3つの胆力が必要です。

経営にウルトラCは滅多にありません。一つ一つ理詰めで考え
抜く、一つ一つ確実に行動に移す、都度調整しながら継続して
積み上げていく…この行為を粛々と続けていくことこそ王道で
す。
1.理詰めで考える知力と、これを継続する知的胆力
2.確実に行動し続ける行動力と、これを継続する肉体的胆力
3.中々上手く行かないことに耐える耐力、これを継続する精
神的胆力
経営者には3つの胆力が必要です。

■事業計画とは、江戸時代に中国の奥地の○○を目指す長い旅
の旅程表のようなものです。

存在自体が不確実なゴールに向かって、一歩ずつ歩みを続けて
行かねばなりません。(江戸時代に)日本から中国の奥地を目
指すなら、まずは大陸に渡る手立てを考えます。渡れる航路を
求めて港に向かいます。そのためには、港に向かうための旅費
が必要になります。大陸に渡っても、続く道の存在は不確実で
す。それでも渡ります。ゴールまでの旅費の算段が読めなくて
も、それでも一歩ずつ前に進みます。これらの過程では、様々
なトラブルにも見舞われることでしょう。トラブルをできるだ
け避けながら、遭遇したら解決しながら、不確実なゴールに向
かって歩み続けます。この旅路にゴールは存在しません。

経営とは、ゴールではなく、そのプロセスそのものであるよう
に思います。知的胆力と肉体的胆力、そして精神的胆力を鍛え
ながら、経営という長旅に共に挑んでいきましょう。
楽しみながら。

「中小企業が伸びるか否かは社長の資金調達力で決まる。」と
言われることがあります。実際、事業を大きく拡大している企
業は、総じて資金調達が上手くいっています。この「資金調達
力」とは一体何でしょうか。

ご相談に来られるお客様の中には、本来融資を受けられる実力
があるにも関わらず、財務スキルの不足や調達戦略の間違いに
よって調達に苦労している方が一定数おられます。この場合、
弊所で調達戦略を練り直し、融資申し込み資料の作成をお手伝
いすることで資金調達が可能になります。一般的には、これら
のスキルを資金調達力と呼ぶことが多いようです。

しかし、銀行融資プランナー協会が考える資金調達力とは、こ
のような目先の調達を成功させるスキルではありません。本当
の資金調達力とは、「事業の拡大に必要な資金を調達し続けら
れる体制を構築すること」だと考えます。

そのためには、金融機関と円滑な関係を構築することが必須で
す。円滑な関係とは、会社の良い面だけでなく、悪い面も含め
て理解したうえで、積極的に融資取引をしてもらえる関係です。

もちろん、一夜にして金融機関から信頼を得ることはできませ
ん。決算書の提出時に業績報告を行ったり、月次試算表や資金
繰表を定期的に提出したりして経営状況を共有し続けることで、
徐々に信頼関係が構築されます。

他にも、事業計画書を作成し、経営方針、目指している目標や
資金が必要になる時期等を共有しておくことも大切です。

資金調達は、お金が必要な時だけ行うものという認識を改め、
常日頃から継続的に行うものと理解して取り組んではいかがで
しょうか。経営品質の向上に努め、金融機関と積極的に情報共
有を行い続けることで、資金調達力は着実に高まります。

◆1:新しい事業計画を立案する時には、今の事業立地に関す
る検証に時間を割いてください。事業計画作成の要諦は、事業
立地の見直しです。よりアッパーでニッチな領域への事業立地
の変更を検討してください。

○以下、高収益企業研究の第一人者でおられる三品和広教授の
言葉を引用します。
『…事業の根底には立地(誰に何を売るか)があり、その上に
構え(出荷するモノをいかに入手して顧客に届けるか)、製品
(いかに個別製品を魅力的に仕立てるか)、管理(いかに品質・
原価・納期を守るか)が重層構造を成している。…中期経営計
画などで立地や構えに手をつけることなく、製品の刷新や管理
の強化を打ち出している企業は数多くあるが、この次元で動き
だしたところで、高収益への転換に結び付いた事例はほとんど
ない。…』 〔三品和広教授(高収益企業研究の第一人者)〕

◎事業計画を作成することは、事業立地を検証し見直すことで
す。過去の流れをそのまま踏襲することを事業計画と呼び、そ
れを繰り返していると事業の革新は生まれません。何十年も同
じ事業立地にとどまって、ジリ貧に陥るのはこのケースです。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。

◆2:事業計画は、過去からの流れをそのまま維持する保守的
な計画でない限り、その予測は難解であって、その多くは計画
通りに進捗しません。多くのクリエイティブな計画の成功事例
は、後に理論武装されて解説を加えられています。後付けです。
保守的な計画でない限り、事業の正確な予測はできない前提で、
事業を執行してください。クリエイティブな計画を鵜呑みにす
ることは大変危険です。

『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』

※マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて1965年に
経営学修士及び1968年に博士を取得された異色の経営学者と呼
ばれるヘンリー・ミンツバーク博士の言葉を引用しました。

◆3:事業計画作成時の注意点!

1.事業計画は、そのアイデアが斬新で素晴らしいほど予測が
難しい!
2.事業計画は、起点の認識と終点のイメージ化が重要。プロ
セスは都度計りながら進める!
3.作成した事業計画を鵜呑みにしてはいけない。脱・前のめ
り!

◆4:事業計画作成の要諦!

1.事業立地の確認・選定…どんな事業を!
2.収益モデルの創造(ビジネスの型の確定)…どのような形
で!
3.起点(現状)を認識する!…力相応を知る!
4.(仮)のゴールのイメージ化…目指すゴールは!
5.起点からゴールまでの道筋を仮決めする!

上記を踏まえた上で、

6.全体を包括する整合性の取れた数値計画の立案!
7.数値計画と資金計画との整合性の確認!
8.マネージメント体制の整備!
9.日々修正しながら現実的に対応する!

◆5:事業計画執行時の注意事項(追記)!

1.コントロールできることを完全にコントロールすること。
2.頑張ればコントロールできることをできるだけコントロー
ルすること。
3.コントロールできないことには、出来るだけ適合すること。

コントロールできることをコントロールしない、これは放漫経
営です。頑張ればコントロールできることをコントロールしな
い、これは怠慢経営です。そして、コントロールできないこと
までコントロールしようとする、これは独りよがり経営です。

自社の明るい未来のために、真の事業計画を作成しましょう。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。

ある関与先様から、「業績が回復せず資金繰りが厳しい。次の
返済が出来そうにないが、延滞したら自宅を差し押さえられた
りしないか心配だ。どのように対処すべきか。」とのご相談が
ありました。

返済が難しくなった時の一般的な流れは以下となります。

1.返済条件の変更
金融機関は、融資先から返済が出来ないという相談を受けた場
合、まずは返済金額の減額を行って様子を見ます。

2.代位弁済(保証協会利用の場合)
返済条件を変更した状態からさらに業績が悪化し、金利や追加
の保証料すら払えなくなった場合、金融機関は保証協会から融
資金を回収します。この時点で、貸主が金融機関から保証協会
に変わりますので、その後の返済計画については、改めて保証
協会と協議することになります。

3.差し押さえなど(プロパー融資の場合)
プロパー融資の場合も、条件変更からさらに業績が悪化した段
階で担保の処分や連帯保証人の資産差し押さえ等を行います。
主要な資産を差し押さえられると事業を継続できませんので、
多くの場合はここで事業の継続を断念することになります。

上記のとおり、金融機関は一度の延滞だけで、いきなり差し押
さえを行うようなことはしません。貸出条件の変更等により、
業績の回復を相当な期間待ってくれます。ただ、これには経営
者が業績の回復を諦めていないこと、さらに金融機関と情報共
有が出来ていることが大前提となります。

経営者自身が業績の回復を諦めてしまえば金融機関は回収に走
らざるを得ません。また、十分な説明が得られない、連絡が取
れない場合も、強制的な回収に走らざるを得なくなります。返
済のあてがない時は、金融機関からの連絡に応じるのは苦痛で
すが、貸し手の立場で考えると、連絡が取れないほど不安なこ
とはありません。

業績が苦しい時ほど信頼関係が重要です。貸し手の理解を得ら
れるよう真摯に対応すれば、相手も真摯に対応してくれます。
無駄に恐れることはありません。

有事から平時に転換した時、金融機関はその『雨傘』を『日傘』
に持ち替えます。その時に備えて、今一度貴社の財務戦略を確
認してください。

■経営安全度が2倍になる5つの行動指針!
※以下は、財務基盤が安定していない創業~中小零細企業向け
の指針です。

◆1.事業資金については、適時適量発想を捨ててください。
適時適量発想は間違えです。

○『適時適量』ではなく、『(資金)在庫過多』で臨んでくだ
さい。
○金融機関が有する傘はすべて『日傘』です。『雨傘』は、一
本もありません。
※『雨傘』は有事のみ使われる緊急対策です。
○『資金は、借りられるときに借りられるだけ借りておきまし
ょう。』『借りたいときに必ず借りられる』保障はありません。

◆2.損益計算書・貸借対照表の前に、近未来の資金繰り表を
確認してください。

○『近未来の資金繰り表』をまず確認してください。
○損益計算書・貸借対照表は読めなくても、近未来の資金繰り
表は読んでください。簡単です。
○最低でも向こう6か月間の資金繰りは常に把握してください。

◆3.近未来の資金繰り表を金融機関対応に活用してください。

○『早めに借りる、または、早めに返済を止める。』、心がけ
てください。
○金融機関対応のタイミングが総じて遅れがちです。数か月早
めに手を打ってください。雲泥の差です。

◆4.近未来の資金繰り表を経営判断に活用してください。

○『投資や費用の増加が近未来の資金繰りに与える影響』を資
金繰り表で確認してください。
○『経営判断が資金繰りに与える影響』を事前に想定してくだ
さい。予見できます。
○計画は資金繰りを確認して最終判断してください。判断の礎
を資金繰りにおいてください。

◆5.中小企業も財務機能(金融機関対応機能も含む)を持っ
てください。

○創業間もない会社にも、財務の機能は必要です。
○自前の対応が無理なら、『新・税理士』である当事務所にご
依頼ください。

◎上記の1.~4.に対して、最高のスキルを持って対応しま
す。

※当事務所の『新・税理士』(=税務+財務・金融機関対応機
能を有する)が貴社の財務部長を代行して、資金繰り表の番人、
金融機関対応時の積極的説明補助機能を勤めます。税務顧問と
併せて行うことで極めてリーズナブルに対応できます。

■多くの財務指数に惑わされないでください。

経営状態を把握するための財務指標はたくさんあります。すべ
て先人が見つけ出した意味のある指標です。ただ、それらをす
べて理解して経営に生かすことは容易ではありません。

■近未来の資金繰り表に、財務戦略を集中させましょう。

繰り返しますが…
○向こう6か月先~1年先までの資金繰り表を作成しましょう。
○この資金繰り表の更新と精度アップに励みましょう。
○この資金繰り表を金融機関対応と経営判断の基礎資料・礎と
しましょう。

■お金の心配をしない経営を本気で目指すためには…

資金繰りに困る理由の50%は財務無策です。また、創業~中
小零細企業の80%は財務無策です。お金の心配をしない経営
を本気で目指すためには、『近未来の資金繰り表』を礎に、す
べてを近未来の資金繰りの良し悪しで判断する…この資金繰り
経営を行っていきましょう。そして、経営の安全度の向上を図
りましょう。

ある関与先様から、「銀行から個人資産や家族構成など根掘り
葉掘り聞かれた。気持ち悪いが大丈夫か?」というご質問を頂
戴しました。

主に決算書だけで融資判断を行う金融機関もあれば、個人や家
族の状況も含めて融資判断を行う金融機関もあります。それぞ
れの金融機関の特性を知れば、余計なストレスを感じることな
く対処できます。

金融機関の種類を大きく分けると、メガバンク、地方銀行、信
金信組、政府系となります。いずれの金融機関も商品はお金で
すが、各金融機関の価格(金利)と審査方法は違います。

総じて価格(金利)が安いのはメガバンクと政府系金融機関で
す。同じ商品であれば、当然価格が安いところにお客様は集ま
りますので、メガバンクは多くの見込み客の中から融資先を選
定することが可能です。よって、メガバンクは、数多くの見込
み客の中から、無理をせず、信用力の高い企業とだけお付き合
いをしようとします。

一方、お金の仕入れコストが高い信金信組は、価格(金利)で
メガバンクに勝てません。メガバンクから0.7%の金利で融
資を受けられる優良企業が、わざわざ2.5%の金利で融資を
受ける理由はありませんので、信金信組は、メガバンクが融資
をしない企業の中から融資先を探すことになります。

信用力が高い企業を相手にしているメガバンクの審査はシンプ
ルです。決算書を見て、業績や財務内容が良ければ融資を行い、
業績や財務内容が悪ければお断りします。一般論ですが、業績
や財務内容に問題のある中小企業に対して、審査に手間暇をか
けてまで何とか融資をしようという動機はメガバンクにはあり
ません。

一方、価格競争力で劣る信金信組には、信用力が高い企業は集
まりにくいため、決算書だけで審査をしていては、融資をする
先が限られてしまいます。よって、社長個人、配偶者や子息の
資産状況等も調べ、融資が出来る材料を何とか見つけだそうと
します。

冒頭の関与先様のように、個人的な情報を詳細に聞かれるのは
気持ち悪いと感じる方も少なくないでしょう。中には、金融機
関に情報を与えすぎるのは良くないと考え、個人資産等をあえ
て少なく申告する方もおられます。決算書だけで勝負できる、
もしくはそこまでして借りる必要がないのであれば問題はあり
ませんが、借りる必要があるならば逆効果です。

メガバンクと信金信組の大まかな違いをご説明しましたが、メ
ガバンク同士や信金信組同士でも違いがあります。各金融機関
の特性を理解することで、金融機関とスムーズに話を進められ
るようになります。

金融機関対応で疑問を感じていることがあれば、是非弊所に
ご相談ください。

先日高専卒の新入社員が、二つの会社に正社員採用されたとの
記事を見ました。それぞれの会社に対して週三日と週二日出勤
するそうです。便宜上は一つの会社には正社員として、もう一
社は非正規採用されるとのことです。
社長同士が知り合いで、本人が就職先を悩んでいる状況を鑑み
て、本人に対して二社就職を提案したそうです。特殊な事案と
は言え、多分日本初ではないでしょうか。

働き方が変わりました。「終身雇用は維持できない。」経済界
の重鎮が言及しました。大企業においても終身雇用が終焉しま
す。新型コロナ肺炎ウイルスの影響で、一気にテレワーク等が
進みます。個人で生きるフリーランスが増えます。副業も解禁
されます。

優秀な人材ほどこの流れにうまく乗ってきます。優秀な人材を
企業として囲い込むためには、新しい考え方を織り込んだ人事
制度の整備が必要です。以下、ご確認ください。
今後の人事制度は!(優秀な人材を囲い込むために)

◆今までの働き方!評価方法!

〇できれば長期間働く。終身雇用を想定する。
〇給与の差は小さい。
〇昇給は慎重に。ただし、減給は原則行わない。
〇昇進は慎重に。ただし、降格は原則行わない。
〇働く側は、会社に忠誠心を持つ。
〇雇う側は、雇用に責任を持つ。
〇出勤して会社で働く。
〇専業で働く。副業は原則行わない。

◆今後の働き方!評価!

〇長期間働くことを想定しない。終身雇用は原則ない。
〇給与は能力に応じて大きく差をつける。
〇昇給は短期間で行う。ただし、減給も躊躇なく行う。
〇昇進も短期間で行う。ただし、降格も躊躇なく行う。
〇働く側の会社に対する忠誠心は薄い。
〇雇う側の雇用責任も軽い。
〇テレワーク等を活用して働く。
〇専業のみではなく副業も認める。

◆今後の人事制度は!(優秀な人材を囲い込むために)

◎短期間で評価する。
◎給与格差を大きくする。今までの数倍程度に。
◎短期間で昇給または減給する。
◎短期間で昇進または降格させる。
◎働く側に過度の忠誠心を求めない。
◎雇う側も過度の雇用責任を負わない。
◎テレワーク環境を整備する。ルールやインフラを整備する。
◎テレワーク時の評価制度を整備する。
◎副業を可とし、その前提で評価制度に織り込む。

好む好まざるにかかわらず人事についてもルールチェンジが起
きています。新しいルールに適合していきましょう。

安定的に利益を上げられるライフステージに入った企業は、資
金調達を積極的に行うよりも、負債を圧縮したり、金利を下げ
ることが重要かもしれません。

しかし、成長過程にある企業の資金調達方針は、金利よりも調
達金額を重視すべきです。理由は、成長期の企業は、投資をす
ればするほど業績に跳ね返ってくるためです。(ここでは銀行
筋からの調達を想定しています。銀行筋よりも金利が高いノン
バンク等からの調達はよく検討する必要があります。)

仮にA行から、金額1,000万円、金利2.0%で融資の提
案があったとします。一方、B行の提案は、金利は2.5%で
すが、融資金額は1,500万円です。

A行の方が1,000万円あたりの金利は年間5万円少なくな
りますが、年間10%の利益を出せる事業をお持ちの企業であ
れば、金利が高くても1,500万円を借り入れて事業に費や
した方が、年間50万円も多く利益を残すことができます。

よって、成長過程にある企業は、金利を下げる方法よりも、資
金をより多く調達する方法を知ることが大切です。

あるお客様の事例をご紹介します。

X社は、2期目が終わった時点で、メガバンクからプロパービ
ジネスローン1,000万円の融資を受けていました。

3期目の期中に、飛び込みで来たある地方銀行から保証付き融
資の提案を受けました。しかし、社長様は、既に取引のあるメ
ガバンクに依頼するのが筋だと考え、地方銀行の提案を断って
メガバンクで1,000万円の保証付き融資を受けました。

丁度この頃、弊所に財務部長代行のご依頼をいただきました。
金融機関との取引が増えてきたため、財務を強化したいとの理
由です。弊所は、金利を下げるより、資金をより多く調達する
方針を提案し、社長様にも賛同いただきました。

■弊所の対応
X社は大変利益率の高いビジネスを行っており、3期目の業績
もすこぶる好調でした。次の資金調達のタイミングである3期
目の決算後は、保証協会で5,000万円以上の調達も期待で
きそうです。問題は保証協会の融資をどこの金融機関で調達す
るかです。

金利を重視するならばメガバンクに申し込みます。しかし、メ
ガバンクの場合は、保証協会が承認した金額を融資して終わり
です。新規取引のキャンペーンでプロパービジネスローンを出
してくれましたが、X社はまだまだメガバンクが本格的にプロ
パー融資を検討する規模には至っていません。

より多くの金額を調達するならば、プロパー融資を検討しても
らえる地方銀行、信用金庫に申し込みます。3期目の決算は好
決算になる見込みであることを説明し、保証協会の枠を分ける
代わりにプロパー融資を検討してもらうよう依頼します。保証
協会の調達額はどこの金融機関を経由しても基本的には同じで
すので、そうすることでプロパー融資の分だけ調達額は多くな
ります。

X社の場合も、前回お断りした地方銀行にお声掛けしたところ、
決算後に保証付き融資を申し込むことを前提として、プロパー
融資1,000万円を決算前に出してくれました。

社長様からの直近の質問を整理してみました。ご回答を添えて
ご紹介いたします。
(公の紙面ですので、概要・イメージになります。)

■Q1:飲食業リアル店舗の売上大幅減少!対策は?
業績不振、今後の方向性に悩んでおられる飲食店は少なくあり
ません。

□A1:飲食業の選択肢は以下でしょうか。

・テイクアウト販売強化
・業態転換(焼肉、定食)
・立地変更(郊外へ)
・退店(店減らし)
・退店(商売替え)
◎食品加工販売事業への転換
(商品開発・ネット通販・クラウドファンディング)
◎高単価業態への転換
◎場所貸し業態への転換(飲み物限定サブスク)

■Q2:アパレル小売業の売上大幅減少!対策は?
業績不振、今後の方向性に悩んでおられるアパレル小売業は少
なくありません。
※他の小売業も類似です。

□A2:アパレル小売業の選択肢は以下でしょうか。

・業態転換(カジュアル化)
・立地変更(郊外へ)
・退店(店減らし)
・退店(商売替え)
◎アパレルファブレスメーカーへの転換
(商品開発・ネット通販・クラウドファンディング)
※売れ筋に絞って自社開発!
◎リアル店舗の強化(コンシェルジュサービス)!

■Q3:サブスク導入時の価格設定の考え方!
サブスク導入時の値決めは難解です。

□A3:最適値を探すしかありません。

・1か月間の利用金額を参考に。
・部分サブスク(会費?)+都度支払い(利用に応じて)
・完全サブスク(1.0)⇒(2.0)
◎まずは、定期購読、定額課金(1.0)に挑戦。

■Q4:コロナ融資の資金使途についての注意点!
キャッシュリッチな企業様も少なくありません。

□A4:無理に使わない

◎他社(他人)への投融資は絶対NGです。
※明確な資金使途違反です。
・運転資金なら用途は自由です。
・撤退等にも積極活用して、BSが痛んでもPLを整える。
・無理に使わず余ったら置いておく。

■Q5:企業経営におけるSNS活用について!
SNSの商用利用が活発化しそうです。

□A5:そろそろ始める好機と考えています。

・クラブハウスは専門チャネルに最適、おじさん・おばさんの
参加が目立つ。
・YouTube上には、多くの企業チャンネルが登場し始めた。
・広告がTⅤからSNSへ本格的に移行し始めた。
そろそろ参入好機ではないでしょうか。

ある社長様と決算対策のお打ち合わせをした際、「税金を減ら
す方策はないか?」とご相談がありました。資金調達が上手く
行かないとのことで今期よりお付き合いを始めた社長様でした
ので、「納税額を減らすこと」と「資金調達を成功させること」
のどちらを優先しますかと聞き直したところ、両方だとお答え
になられました。

納税額と資金調達額はトレードオフの関係です。納税額を減ら
せば資金調達は難しくなり、資金調達を成功させようと思えば
納税額を増やさなくてはなりません。このシンプルな原理原則
に逆らって、決算前に利益を一生懸命削り、決算後に一生懸命
資金調達に動いている社長様が多くいらっしゃいます。

先述の社長様にもご説明をし、再度どちらを優先させるかをお
聞きしたところ、「利益を出せば本当に資金調達ができるのか?
もし調達ができなかった場合は資金面で苦しくなる。不安だ。」
とおっしゃいました。

同社は増収増益で推移しており、このまま決算を迎えることが
できれば、融資を受けられる可能性は非常に高いと考えており
ましたが、社長様の不安を払拭するために、決算前に500万
円の資金調達を行いました。納税資金です。

その後、予定通り増収増益で決算を迎えることができ、資金調
達に動いた結果、総額で8,000万円の資金調達に成功しま
した。社長様は、「銀行の対応が全然違う。どうしてこんなに
融資をしてくれたのでしょうか?」と不思議そうでした。

資金調達に成功した社長様の多くは、「利益を出せば融資を受
けられるのは何となく分かっていたが、思ったよりも大きな金
額を調達することができた。」と口を揃えておっしゃいます。
融資の上限は、利益に対するレバレッジ効果が働くためです。

融資の上限はキャッシュフロー(純利益+減価償却費)に年数
をかけて算出します。キャッシュフローが100万円であれば、
7年分で700万円が融資の上限です。キャッシュフローが
500万円であれば7年分で3,500万円となります。
400万円の利益の差で、資金調達力は2,800万円も違っ
てきます。

税金面から考えても同様です。実効税率35%と仮定した場合、
100万円の利益で35万円、500万円の利益で175万円
の税金になります。税金が140万円増えますが、資金調達力
は2,800万円も違ってきます。

100万円の利益の圧縮が、700万円から1,000万円の
資金調達の機会を失わせています。