税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。前回
に続いて、一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み7:『創業融資依頼時点ですでに支払いを済ませた店
舗保証金分の領収書を提示したが、これでは自己資金の証明に
ならないと、公庫担当者に言われた。』(相談者様)

◇日本政策金融公庫の創業融資の要件の中に、自己資金を有す
ること「…創業時において創業資金総額の10分の1以上の自
己資金を確認できる方。」とする項目があります。

○ポイントは自己資金の出所の証明です。
・この資金は、確実に当該事業の資金として利用されること
・短期的な返済等を必要とする資金でないこと
・創業者が自分自身で蓄積した資金が好ましい
とされています。
※長期間に渡る計画的な貯蓄等は、創業者の堅実性の証明にも
なります。

○短期的に資金を借入れなどで調達し、それを自己資金と称し、
日本政策金融公庫から融資を受けた資金で返済する、このよう
なことにならないために確認されます。
・領収書は支払いの証明書であり、その資金の出所の証明には
なりません。
・求められているのは、出所の証明です。支払いの証明ではあ
りません。

◎当事務所にて、当該資金の出所のエビデンス、本案件の自己
資金は、親御さんからの支援が大半を占めており、その親御さ
んの銀行口座の残高の確認、その残高蓄積の経緯、その資金が
相談者様に移行したエビデンスを準備して公庫の融資依頼資料
として提示し、その詳細を説明することで、理解を得ました。

金融機関との折衝は、当事務所が行いました。必要な金額の創
業融資を調達できました。
※親御さんからの援助資金を自己資金とするとき、その資金の
エビデンスに当たる親御さんの預金通帳等の開示を求められる
事もあります。

◆お悩み8:『信用保証協会の保証付き融資、新たな借入れを
依頼したら、「前回の借入れが資金使途違反に当たるので、新
たな保証は出来ないと保証協会に指摘された。前回融資分の完
済も依頼された。(銀行担当者)」』(相談者)

該当する融資の詳細を確認したところ、
・当該融資は設備投資資金
・借入金額と投資資金の金額は同額、問題なし
・借入れ日の前に当該資金を支払い済み、これが資金使途違反
に当たります。
※大変厳しいように感じますが、信用保証協会の保証付き設備
投資資金は、当該資金の入金後に、当該設備投資費用を支払う
必要があります。この順番が逆転した領収書で指摘を受けてい
ます。

○信用保証協会の保証付き設備投資資金は、その保証金額と投
資金額の整合性だけでなく、その支払い時期についても、厳格
なルールがあります。

○(参考)日本政策金融公庫の設備投資資金は、
・その金額が1,000万円以下の時は、決算書提出時に結果
をトレースされます。
・その金額が1,000万円超の時は、投資実行後にその結果
をトレースされます。
・支払日については、その期間の幅を認めてくれます。
※設備投資資金として調達した資金を、他の用途に利用するこ
とは出来ません。少なくとも、次回以降の融資が受けられませ
ん。本来は完済を求められます。

◎当事務所にて、支払い時期ずれについてその悪意がない旨を、
銀行を通じて信用保証協会にお伝えすると同時に、当該銀行の
協力を得られたので一旦完済した後に、再度必要資金の調達を
行うことができました。信用保証協会の寛容な判断、銀行の協
力、何よりも会社様の業績が極めて良好であったことが、解決
できた理由です。
その後、資金繰りシミュレーションの継続と、タイムリーな資
金調達を行う当事務所のサービス「資金繰り円滑化サービス
(財務部長の代行業務)」を導入いただいています。社長様の
営業戦略を資金繰り・財務面で継続的にサポートしながら、こ
の様な金融事故を未然に防ぐこともできています。

先日資金調達のお手伝いをさせていただいたAさんの事例です。
勤めている会社を退職し、株式会社を設立して、店舗を作りた
いというご相談でした。

■ 創業プランは以下のとおりです
事業内容:一般消費者向けの小売業態
総投資額:6,800万円(設備6,000万円+運転800万円)
調達内容:自己資金800万円、勤務していたメーカーからの借
入3,000万円、金融機関からの借入3,000万円

勤務していたメーカーから3,000万円の資金支援を受けられる
予定ですが、総投資額が大きいため、金融機関からも3,000万
円の調達が必要です。創業資金の最も有力な調達先は日本政策
金融公庫ですので、今回も日本政策金融公庫からの調達を主と
して調達の計画を立てました。公庫の創業融資のポイントは以
下のとおりです。

【自己資金】
創業融資審査における最も重要なポイントは自己資金です。
自己資金は多ければ多いほど良いのですが、日本政策金融公庫
は最低でも総投資額の10分の1以上の自己資金を求めています。
投資総額6,800万円に対し、自己資金は800万円ですので、自
己資金の要件はクリアしています。また、事業に費やす800万
円以外に、別途500万円程度の貯蓄も有していましたので自己
資金は十分でした。

【キャリア】
次に重要なポイントはキャリアです。創業する事業に対する経
験や実績が重視されます。Aさんはメーカーに勤務していまし
たが、小売店の販売を指導する職務に従事していました。
数多くの店舗を見てきた経験があり、儲けのポイントを理解し
たうえで独立を決意したためキャリアは十分です。

【総投資額】
今回最も大きな懸念点となったのは総投資額です。申し込み要
件には明確には記されていませんが、最初は小さな投資から始
めることを良しとする価値観がありますので、6,800万円とい
う初期投資が問題となりました。

調達金額が大きい場合の対処法は次が有効です。
・公庫の単独ではなく、民間の金融機関からも調達をする協調
融資で案件を組み立てる。
・認定支援機関の助言を受けて事業計画書を作成し、経営力強
化資金を利用する。
本件も、公庫2,000万円、保証付き融資1,000万円で案件を構
築し、最終的には満額の資金調達ができました。金融機関の担
当者にお話を聞くと、「金額が大きく難しい案件だったが、自
己資金とキャリアがしっかりしていたことに加え、計画書類が
充実していたこと、個人資産の開示等に協力的であったことが
決め手となった。」とおっしゃっていました。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。前回
に続いて、一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み5:『新しい設備投資を検討しているが、その投資規
模を決めるために、当社が借入可能な金額を知りたい。いくら
まで借りられるか教えて欲しい。』(相談者様)

◇金融機関から新しい借入れを行う時には、まず現状の確認が
必要です。

1.直近の決算書から簡易キャッシュフロー(税引き後利益+
減価償却費)を確認します。この簡易キャッシュフローの金額
が、現時点の借入総額の10分の1以上であることが最低条件
です。

2.債務超過でないことが必要です。

※1又は2が突出して優良な時、または、提供できる担保があ
る場合など、上記の限りではありません。上記はあくまでも簡
易的な診断です。実際には、突っ込んだ財務分析を行います。
1と2を満たす時、現時点においては健全である…と判断され
て、新規の借入れを受けられる可能性が高くなります。

○次に、検討中の設備投資を行った時の収益を見積もります。
3.新しい借入れの返済を、新しい設備投資を行った収益で賄
えること。
4.現存の収益と新しい収益で、既存の借入れと新しい借入れ
の返済を賄えること。
3または4の時、理論的には借入れが可能です。

※新しい設備投資から生まれる収益を、過度に大きく見積もる
と、その蓋然性の説明が難しくなります。注意が必要です。

○上記の検証を行いながら、最適な投資額を決めます。金融機
関には、最適な計画書を作成して、新規の融資を依頼します。

◎当事務所にて、決算分析・設備投資計画書(返済計画書)を
作成し、金融機関に対して借入れの申し込みを行いました。金
融機関との折衝は、当事務所が行いました。必要で最適な新規
の投資資金を調達できました。
◆お悩み6:『ネット通販会社から300万円の広告の提案を
もらった。この投資を行うべきか悩んでいる。相談に乗って欲
しい。』(相談者様)

◇ 「今回の広告を行うことで、短期的に大きな売上をあげたい、
また、その後の売上の底上げも目論みたい。」相談者様のご意
向です。この会社様は、前金で仕入れてネットで販売する業態
です。売上を伸ばすためには、先んじて仕入れ資金が必要にな
ります。

○現時点から今回の広告を実施した後、さらに、その半年後ま
での資金繰り計画を立案します。

・売上予測が最大の時、仕入れ額も最大とします。
・売上予測が最小の時、仕入れ額を最大とします。
・売上予測が最小の時、仕入れ額を最小とします。
…等々

社長様と共に、様々な資金繰りシミュレーションを行います。
資金繰りが逼迫することがはっきりわかりました。当所で資金
調達の可能性についても検証します。

○結果、最初に仕入れ資金の調達を行い、成功後に300万円
の広告を実施、仕入れ額の増額を行うことになりました。

◎当事務所にて、決算分析・資金繰り計画書を作成し、金融機
関に対して借入れの申し込みを行いました。金融機関との折衝
は、当事務所が行いました。必要な新規の仕入れ資金(運転資
金)を調達できました。また、資金繰りシミュレーションの継
続と、タイムリーな資金調達を行う当事務所のサービス「資金
繰り円滑化サービス(=財務部長の代行業務)」を導入いただ
いています。社長様の営業戦略を資金繰り・財務面で継続的に
サポートできています。

2022年1月31日から事業復活支援金の申請受付が始まり
ました。5月31日までとなっておりますので、対象の方は、
申請漏れがないよう気をつけてください。

■ 支援金の概要

・給付対象
新型コロナウィルス感染症の影響を受け、2021年11月~
2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年、
2019年、2020年、2021年の同月の売上高と比較し
て50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者

・給付額
売上の規模、売上高減少率によって、個人事業主は30万円も
しくは50万円、法人は60万円から最大250万円です。

■ 申請の流れ
過去に一時支援金や月次支援金を受給された方は、必要書類を
準備してマイページから申請を行います。

過去に一時支援金や月次支援金を受給していない方は、まず下
記ホームページからアカウント登録を行います。

https://registration.ichijishienkin.go.jp/register-user/entry

その後、お付き合いのある商工会、金融機関、税理士等に事前
確認を依頼し、事前確認通知番号を発番してもらいます。

その後は、同様に必要書類を準備してマイページから申請を行
います。

■ 必要書類
申請に際して、下記の資料が必要になります。
・履歴事項証明書(法人の場合)
・運転免許証やマイナンバーカード等(個人事業主の場合)
・確定申告書の控え(比較する月を含む期間のもの)
・対象となる月(売上が下がった月)の売上台帳等
・支援金を振り込んでもらう通帳のコピー
・ホームページからダウンロードした宣誓・同意書

補助金・助成金は利益に直結します。例え60万円の給付金で
も、経常利益率が3%の事業の場合、2,000万円の売上に
匹敵します。

書類を揃えるのが少々大変ですが、侮ることなく、確実に受給
するようにしてください。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。以下、
一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み3:『新店出店資金として2,000万円の調達を希
望する旨を、保証協会付融資で取引のある某銀行に依頼したが、
新店出店のための希望調達額2,000万円に対して、保証協
会から1,000万円の保証しか取れない(※事前相談時の非
公式なコメントと推測できます。)、とする某銀行担当者のコ
メントが返ってきた。』(相談者様)

◇決算書と足元の業績を確認させていただいたところ、確かに
資金調達はできそう、一方、2,000万円の希望金額は金額
が大きく容易ではないことが想定できました。また、某銀行は
規模の大きい銀行であり、この会社様がプロパー融資を受ける
ことが難しいことも推測できます。

○現状は…
・希望調達額2,000万円、調達候補先は保証協会保証付き
某銀行からの融資…1,000万円

○当事務所で、融資の戦略を練り直します。
・保証協会保証付き某信用金庫からの融資…1,000万円
・同じ某信用金庫プロパー融資…300万円~700万円
・日本政策金融公庫からの融資…700万円~300万円
ポイントは、保証協会付融資に付加してプロパー融資を引き受
けてくれそうな信用金庫(信用組合)を探して、さらに、日本
政策金融公庫にもお願いして、上記の3つの引き出しから合計
2,000万円を調達する協調融資を目論むことです。

◎当事務所にて、決算分析・出店計画書(返済計画書)を作成
し、某信用金庫と日本政策金融公庫に対して、合計2,000
万円の調達に動きました。当事務所が主体的に対応しています。
結果、合計2,000万円の出店資金の調達に成功しました。
希望通りの新店出店が実現しています。新規の借入れができそ
うな状況にあっても、その借入希望額が大き過ぎる?と想定さ
れるとき、この協調融資は大変有効です。当事務所では、多数
の実績をあげています。

※『協調融資』とは、複数の金融機関から、同時に同じ目的の
資金を合算して調達する資金調達手法です。一般的に言われる
『シンジケートローン』とは異なります。
◆お悩み4:『二期連続赤字ですが、今期期中の足元の業績は
急回復しています。返済のみが長期間続いていて、資金繰りが
厳しくなってきました。今期決算は相応の黒字を計上できそう
ですが、決算を待たずにこの段階で新規の借り入れは出来ない
でしょうか。金融機関の担当者に相談したら、決算が締まるま
で待ってください、と言われました。』(ご相談者様)

◇金融機関の貸出しの判断は、原則論として決算書を基準に行
います。期中の試算表で収益の改善を示しても、決算まで待っ
てください、となるケースは少なくありません。ただ、期中で
あっても、その業績の改善が顕著で、その改善状況をはっきり
と説明できれば、日本政策金融公庫や、信用保証協会の保証付
き融資を受けられる可能性があります。

○ご相談者様のケースでは、
・決算後9カ月が経過しており
・その収益改善の方法が明確であったこと
・その簡易キャッシュフローの額が、総借入額と比して大きか
ったこと(債務償還年数は約6年)
・明らかに債務超過でないこと
上記の事実を踏まえて、精度の高い試算表を整備して解説する
ことで、ご相談者様が希望される金額の融資を受けることがで
きました。

◎当事務所にて、決算分析・資金繰り表(実績と見込み)を作
成し、某信用金庫と日本政策金融公庫に対して、運転資金の調
達に動きました。金融機関対応は、当事務所が主体的に行って
います。財務目線で信憑性のある試算表作りと、資金繰りの実
態と予測をできるだけ正確に提供することが、融資成功のポイ
ントです。

※試算表の精度は総じて低い、金融機関はこのように考えてい
ます。作る側も「とりあえず…」と考え、費用や売上の計上漏
れを容認しているケースも少なくありません。金融機関に対し
て、経営の進捗状況を報告する資料であるならば、上記の緩さ
は看過できません。当事務所では、試算表を財務目線でより正
確に作成し、その分析資料を金融機関目線で作成・解説するこ
とで、クライアントの経営品質の高さを金融機関にご理解いた
だきます。上記のことが、二期連続赤字企業様が、期中で新規
融資を受けられた要因の一つです。

借入には1年以内に返済期日が到来する短期借入と、返済期日
が1年を超える長期借入があります。売上金の回収期間が仕入
の支払期間より長い場合に発生する経常運転資金は、回収サイ
トに合わせて短期借入で調達するのが一般的でしたが、近年は
長期運転資金として調達するのが一般的になっています。

◆短期借入と長期借入の違い
短期借入と長期借入は、融資審査において、評価ポイントが変
わってきます。短期借入の場合、返済できるかどうかは売掛金
で判断し、長期借入の場合、返済できるかどうかは利益と減価
償却費で判断しています。

モノやサービスは売れたが、代金の回収までに時間を要する場
合、その間の収支ギャップを埋めるために利用するのが短期借
入です。短期借入の返済は、回収した売上代金で行いますので、
たとえ赤字であっても、回収確実な売掛金があれば、短期借入
で調達出来る可能性は十分に考えられます。

一方、長期借入の返済原資は利益と減価償却費です。たとえ回
収確実な売掛金があっても、赤字、かつ将来も利益が出る見込
みがない場合は、返済原資がないため長期借入は原則困難です。

◆短期借入と長期借入のメリット・デメリット
期日一括返済の短期借入は、業況が安定していれば基本的に期
日は延長されます。借りっぱなしで返済をしなくてよいため、
資金繰りが安定しやすいというメリットがあります。しかし、
期日に期限を延長してもらえなかった場合は、まとまった返済
資金を一括で用意しなくてはならないリスクもあります。

長期運転資金は毎月一定の返済を行うため、計画的に返済をし
ていくことが可能です。しかし、1,000万円の収支ギャップを
埋めるために1,000万円の借入をしても、約定返済分は資金が
不足しますので、実際に必要な金額よりも余分に借りなくては
ならないというデメリットがあります。

◆短期と長期どちらで調達を行うべきか
資金繰りの観点から考えると、経常運転資金は、約定返済のな
い短期借入で調達した方が利益を返済に回さずに済むため資金
繰りは安定します。投資回収に長い年月を要する設備資金や、
更なる売上拡大に挑戦するための増加運転資金は、投資効果に
合わせて少しずつ返済を進めた方が資金繰りは安定します。

短期借入と長期借入は単に返済期間が違うというだけでなく、
融資審査のポイントも違うことをご理解いただいたと思います。
そうであれば、短期借入を申し込む場合と、長期借入を申し込
む場合で、金融機関に提出する計画書の訴求ポイントも変えな
くてはなりません。

金融機関の考え方を理解し、金融機関が評価するポイントをし
っかり押さえた書面を作成することが、資金調達をより確実に
します。

税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有するこ
とを宣言する当事務所には、様々な相談が寄せられます。以下、
一部をご紹介させていただきます。

◆お悩み1:すでに借入れのある銀行から追加の融資依頼
(「借りませんか。」)を受けています。資金にはある程度余
裕があるようにも思いますが、融資依頼をお断りすることにな
ぜか不安も残ります。「どこまで借りればよいか?」と悩んで
います。どのような基準で判断すればよいでしょうか?

◇当事務所(銀行融資プランナー協会)では、このような時に
は以下の基準をご提示して助言しています。

○近未来の資金繰り計画に沿って、
・資金繰り計画上十分な余裕資金を持つこと。
・資金繰り計画(売上計画)自体が下振れする可能性を踏まえ
て、それでも資金繰りに困らない資金を確保すること。保険を
掛けておくこと。
・金融機関は経営状態の良い時(晴れの日)だけ、融資依頼
(「借りませんか。」)を行う、この事実を理解すること。悪
くなれば(雨の日)、「貸せません。」の回答が返ってきます。

○一方、
・借り入れが膨らめば、その金利負担が膨らむこと。
・手持ち資金が潤沢になれば、余分なお金を使いたくなる趨勢
がある。

上記の様な長所と短所を天秤にかける必要があります。

近未来の経営状況を正確に読み切れるなら、最小限の資金で会
社は回せますが、近未来の経営に不確実性があるならば、余裕
を持つことが必要です。多くの会社様は後者ではないでしょう
か。結果として、当事務所(銀行融資プランナー協会)では、
「借りられる時に、借りられるだけ借りてください。」と助言
する場合が多くなります。

◎当事務所にて、簡易的な近未来の資金繰り表(標準・良い時・
悪い時)を社長様とミーティングしながら作成した結果、今回
銀行から提案された融資を受けることになりました。近未来の
資金繰り表を作成したことで、社長様は大いに安心されたご様
子でした。

※向こう6か月~1年先までの資金繰り計画は常に把握できる
ようにしてください。また、判断に迷うなら、借りてください。
◆お悩み2:資金繰りが厳しくなってきたので、銀行の担当者
にリスケジュールを依頼しましたが、「せめて半分は返済し続
けて欲しい。」と言われています。半分も返済する余裕はあり
ませんが、受け付けてもらえません。どう対応すればよいので
しょうか?

◇(確認すると、試算表は提出しているものの、経営改善計画
書は作っておられませんでした。)銀行にリスケジュールを依
頼する時は、経営改善計画書が必要です。銀行は、この経営改
善計画書を基準に、リスケジュールの受け入れの可否や、返済
額の妥当性を判断します。一定期間返済猶予を受けることで、
その会社・個人事業者様の経営が健全化することがリスケジュ
ールの条件になります。返済猶予を行っても、経営が改善する
見込みがない時は、金融機関は返済猶予を受け付けません。返
済額を極小(0円)に圧縮することで、一定期間経過後に健全
化する経営改善計画書を作成することが必須でした。

◎当事務所にて、経営改善計画書を作成し、当事務所が主体的
に銀行対応を行った結果、スムーズに返済額0円でリスケジュ
ールを行うことができました。経営改善の期間は5年です。
一年後に再度リスケジュールに応じてもらうためにも(通常リ
スケジュール契約は一年毎に見直しを行います。)、銀行には
継続的な経営状況の報告が必要です。当事務所が継続的に銀行
とのやり取りを行います。

※リスケジュールを依頼する時は、経営改善計画書が必要です。
金融機関が「せめて半分は返済し続けて欲しい。」と言うのは、
返済額0円にすることで、一定期間経過後に、経営改善が出来
るとする経営改善計画書を提出していないからです。

ある金融機関より紹介を受け、金融機関担当者と一緒にご融資
先企業を訪問しました。財務面に不安があるのでサポートして
欲しいというご要望です。

決算書を拝見したところ、直近決算は赤字、今期も赤字で推移
しています。売上や利益の状況、売上債権や在庫、買入債務か
ら判断すると、既に限度一杯の融資を受けており、これ以上の
資金調達余力はなさそうです。

社長様にお話を聞くと、「数字のことは良く分からないが、当
面の資金繰りは問題ない。これから新規事業〇〇と新規事業△△
に取組みたいと考えている。」と意欲的です。

確かに現時点では資金繰りに窮していませんが、このままの業
績で推移した場合、赤字や返済を考えると、1年程度で手元資
金が底をつく計算です。

社長様は1年後の心配はしていられないとおっしゃいますが、
財務や金融の知識がある金融機関担当者は違います。このまま
の状況では資金が枯渇する時に融資が出来ないことが分かって
いるためです。

銀行は基本的に年(決算書)単位で融資を検討します。同社は
5月が決算ですが、このまま決算を迎えると2期連続赤字とな
ります。その場合、新規融資は困難になるため、その次の決算
まで新規融資は検討出来なくなります。最短でも1年7か月先
となりますので、1年後に資金がショートする時に力になるこ
とはできません。

資金に行き詰まり、事業継続を断念された社長様をたくさん見
てきました。口を揃えて、「まさか・・・」「予想ができなか
った・・・」等とおっしゃいますが、金融や財務の知識があれ
ば予想出来たケースも多々あります。

前述の社長様も、このまま突っ走って1年後に資金が調達でき
なかった時、「まさか・・・」とおっしゃるかもしれませんが、
1年前である現時点で十分に予測出来る結果です。

社長様には、新規事業に取り組みたい気持ちは良く分かるが、
銀行融資のメカニズムに合わせて、まず今期の黒字化に注力し、
決算後に新たな資金調達を成功させたうえで、来期、晴れて新
規事業に取り組むことが安全ではないかと提案しました。

社長様は、「何となく資金がたくさんあると思っていたが、資
金が切れるタイミングや、新たな調達が難しいことが明確にな
った途端、急に不安になった。ただ、銀行さんの協力がなけれ
ば、自分の思いだけで事業を進めることができないことに気づ
けたので良かった。」とおっしゃいました。

アクセルの踏み過ぎ、目測の誤りは金融や財務の知識で回避で
きます。弊所の財務部長代行サービスを是非ご検討ください。

前回号の続きです。

■勝ち組と負け組の価格戦略は真逆です。

市場が飽和した日本のマーケットにおいては、モノやサービス
を安く買おうとするエネルギーが蔓延しています。モノやサー
ビスを提供する企業サイドも、その趨勢に迎合することで、自
社の売上を確保しようと考える傾向が強いようです。

一方、十分な利益を確保できる価格設定を行ったうえで、隆々
と経営を続ける企業もたくさんあります。当然、たくさんの顧
客に支えられているはずです。

前者と後者、雑駁に分類するなら負け組と勝ち組です。
前者(負け組)が4割、後者(勝ち組)が2割、中間が4割、
このような分類になりそうです。

◆前者(負け組)企業の価格戦略は…

「価格(安売り)を売るための道具」だと思っています。
「価格は安い方が売れる」と思っています。
「価格は、できるだけ安めに設定するべき」と思っています。
「価格が高すぎて売れない」ことを過度に嫌います。
「売れないより、薄利でも売れた方がよい」と考えています。
※うまく行ってたくさん売れても「繁盛貧乏」に陥ります。儲
からないのに忙しい状態でバランスしてしまいます。後は頑張
って・頑張り続けて…現状維持が関の山です。

◆後者(勝ち組)企業の価格戦略は…

「価格を売るための道具には使わない」との信念を持っていま
す。
「価格が安くても売れるわけではない」と思っています。
「価格は、できるだけ高く設定すべき」と思っています。
「(仮に)高すぎて売れないことが有っても仕方ない」と思っ
ています。
「薄利で売るよりも、売れない方がよい」と考えています。
※うまく行けば、たくさん売れて儲かる「繁盛高収益」の状態
になれます。利益で次の投資ができ、さらなる成長を目指せま
す。うまく行かなければ、「閑散貧乏」の状態です。やり直せ
ます。

■価格に対する二つの潮流…

モノやサービスを安く買おうとする潮流に巻き込まれることは
得策ではありません。もう一つの潮流、「良いモノ・必要なモ
ノが欲しい。対価は払う」に乗せましょう。気を付けてくださ
い。前者の潮流の方が目立っています。後者は静かに流れてい
ます。値上げは粛々と実施されます。

■もう一度「価格戦略=値決め」を再考してください。

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに
掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けす
ぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与え
るダメージを過小評価してはいけません。

事業は付加価値を求めつづけることでのみ継続できます。値決
めは重要な経営判断です。安売りは悪です。利益を計り、利益
を求めてください。また、コストは自然に膨らみます。意識し
て抑え込んでください。高収益(Profitable)な企業体作りを
強く意識してください。

◎「価格戦略=値決め」は、経営成績に甚大な影響を与えてい
ます。勇気をもって「価格戦略=値決め」をご再考ください。

借入が必要になりそうだと分かっていても、日々の業務に忙殺
されて後回しになり、いよいよ資金が切れそうなタイミングで
金融機関に駆け込む・・・ご経験のある社長様も多いのではな
いでしょうか。

本来、資金調達業務は、資金が不足した時だけ行う業務ではあ
りません。どれぐらいの資金が、何のために、いつ頃必要なの
かを事前に把握し、どれぐらいの資金を、どこから、どのよう
にして調達するかを中長期的なスパンで戦略的に進めていく業
務です。財務業務を戦略的に進めるためには、財務に関する知
識や経験が必要です。

まずは貴社の財務レベルをチェックしてみましょう。

□今期、どれくらいの資金調達が必要か分かっている。
□公庫、信金、地銀、メガバンク、ベンチャーキャピタル・・・
各金融機関の特性を熟知しており、どの金融機関から調達す
るのが最善か分かっている。
□短期借入、長期借入、社債、リース、出資・・・借入の種類
と特徴を熟知しており、どの方法で調達するのが最善か分か
っている。
□金融機関の考え方を熟知しており、金融機関が評価するポイ
ントを分かっている。
□融資を受けやすくするために必要な資料が何か分かっている。

いかがでしょうか。チェックの数が少ない場合は財務レベルに
改善の余地があります。業績が悪くなれば、途端に資金調達が
難しくなる可能性がありますので、次にご提案する財務戦略を
実践してみてはいかがでしょうか。

■ 小規模企業が実践すべき財務業務

1.調達目標額を決める
業績が悪化した時、金融機関は助けになりません。自分の身は
自分で守らなくてはならないため、有事に備えて、業績が良い
時に「借りられるだけ借りておく」ことを目標にしてはいかが
でしょうか。

2.取引金融機関(調達先)を選定する
小規模企業の調達先の選定基準は、「最も金利の低い金融機関
ではなく、最も多く貸してくれる金融機関」です。銀行の知名
度や、多少の金利差に惑わされず、積極的に融資をしてくれる
金融機関を選びましょう。年商3億円未満の企業の場合は、信
用金庫(組合)→地銀→メガバンクの順であたるのがセオリー
です。

3.金融機関と良好な関係を構築する
最大限の調達を行うためには、金融機関を味方につけることが
必須です。金融機関が好むのは、ディスクローズをしっかりと
行える企業です。試算表や資金繰り表をリアルタイムで作成し、
定期的に提出することで、金融機関からの信頼は大きく高まり
ます。

この程度の財務業務を実践するだけでも金融機関の反応は大き
く変わります。資金調達は一発勝負ではありません。お金を借
りる時だけ対処するのではなく、戦略を持ち、日頃から資金調
達に備えておくことが肝要です。