小規模企業が直面する最大の課題の一つは、効果的な資金調達
方法を見つけることです。資金調達は事業の成長と持続可能性
に直接影響を与えるため、最適な金融機関の選択は極めて重要
です。本コラムでは、小規模企業が資金調達において考慮すべ
き点を、金融機関の選択を中心に解説します。

1.金融機関の選択
小規模企業はしばしば都市銀行と地域密着型金融機関(信用金
庫や地方銀行など)のどちらで融資を受けるか選択する必要が
あります。大手都市銀行は一般的に金利が低い傾向にあるもの
の、そのサービスは標準化されており、小規模企業への対応が
画一的になることが多いです。対照的に、信用金庫や地方銀行
は顧客との個別の関係を重視し、地域に根ざした柔軟な融資が
可能です。

2.金利とサービスのバランス
資金調達を考える際、単に低金利の選択だけではなく、提供さ
れるサービスの質とのバランスを取ることが重要です。特に、
地域密着型の金融機関は、顧客のビジネスモデルや市場環境を
深く理解しているため、より具体的で有益なサポートを提供す
ることができます。

3.長期的なパートナーシップの構築
資金調達戦略では、一時的な資金繰りだけでなく、長期的な関
係構築を目指すべきです。信用金庫などの地域密着型金融機関
は、しばしば地元企業との連携を深め、持続的な支援を提供す
ることで、事業の発展段階ごとに適切な融資オプションを提供
します。

4.特定のニーズに対する柔軟性
小規模企業特有の挑戦やニーズに応じた融資が可能な金融機関
を選ぶことも重要です。例えば、新しい市場への進出、特定の
設備投資、または技術革新を支援するための融資など、事業の
成長段階に応じた柔軟な資金提供が期待できます。

資金調達は、小規模企業にとって非常に重要な経営判断です。
適切な金融機関を選ぶことにより、企業は安定した資金基盤の
もとで事業を展開し、成長を遂げることが可能になります。金
利の低さだけでなく、サービスの質、柔軟性、地元との関係な
ど、多角的な視点から最適なパートナーを選ぶ必要があります。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

戦いをできるだけ回避することこそが優秀な戦略です。そのた
めには、差別化が必要です。差別化を考える時に必要な2つの
概念を解説します。
・ファイブ・ウェイ・ポジショニング(フレッド・クロフォー
ド先生他)
・トレードオフの要素で差別化しないと意味が無い(マイケル
・ポーター先生)
です。

■競合との差別化を図るための「ファイブ・ウェイ・ポジショ
ニング」!

競合優位を確立・維持するために、差別化を図ろうとします。
そのための要素として、
・価格 ・サービス ・アクセス ・経験価値 ・商品
以上の5つがあげられます。

熱心な経営者は、上記の5つすべてで競合優位に立とうとしま
す。もちろん、すべてにおいて優位に立つことが理想ですが、
コストや経営への強いコミットが必要になります。これを愚直
に続けた企業は長続きしない、現実的ではない、とする考え方
が「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」です。

「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」では5つの内、
・一つの要素で圧倒的優位を目指し、
・もう一つの要素で違いを出し、
・その他の3つは競合と同じレベルを目指せ、
と説いています。

星野社長(星野リゾート)はある対談番組で、
・体験価値で圧倒的優位を目指し、
・アクセス(ネット上の買いやすさ)で差別化を図り、
・その他は競合レベルに合わせる、
と言っておられます。明快で現実的な差別化戦略です。

■トレードオフの要素で差別化しないと意味が無い(マイケル
・ポーター)

差別化しようとして何かを生み出しても、それが良いものであ
ればすぐに真似られます。真似られることはある意味仕方ない
ことです。真似にくいようにするしかありません。

ポーター氏が提唱する差別化戦略の中に、真似られないための
以下の考え方があります。
・トレードオフを伴う独自の活動で差別化する
・多くの活動が組み合わされて、単独の活動のみを真似しても
意味を持たないようにする

これについても、星野社長(星野リゾート)のコメントから引
用させていただきますが、星野リゾートは、施設や土地などを
保有しない、運営特化で経営を行っています。保有する利益を
放棄することで運営に特化する、このトレードオフを選択して
おられます。この運営特化から派生する事業展開のスピード感
やブランディング力等を差別化の軸においておられるようです。
保有を放棄して運営に特化する、このトレードオフを起点にし
た、複合的な差別化に追従する競合相手は早々現れないようで
す。痛みが大きいからです。

「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」と「トレードオフを伴
う差別化」、この2つを組み合わせた複合的な差別化戦略は汎
用性の高い考え方です。貴社でもぜひ導入してください。

ただ、差別化は一時に成し遂げられるものではありません。差
別化のポイントを決めて、3年・5年・10年の時を経るごと
に違いが明確になり、結果として競合優位の地位を確立するこ
とができます。このこともあわせてご理解ください。

追伸:例えば、競合との差別化を図ろうと考えた時、自分の頭
の中だけでそれを(考える)『発明』するよりも、勉強して(
探す)『発見』する方がはるかに容易です。経営を学ぶ目的の
1つはこれです。『発明』ではなく『発見』を心がけてくださ
い。

事業資金が潤沢にあれば、新店舗を出店したり、工場を作った
り、優秀な人材を雇用したり…経営の選択肢が広がります。当
然、事業の元手となる資金は、借入よりも自己資金の方がリス
クは小さくなります。しかし、利益の積み重ねである自己資金
の形成には多大な時間を要しますので、時間を短縮する方法と
して、他人資本(借入)の活用があります。人間の寿命には限
界がありますので、経営者として成し遂げたいビジョンが大き
ければ大きいほど、他人資本(借入)の活用は避けて通れない
経営の要素です。

しかし、他人資本(借入)を上手に活用できている中小企業は
多くありません。理由は、財務のプロフェッショナルではない
経営者自身が、本業の合間に銀行対応を行っているからです。
銀行対応を含めた財務活動は、財務に関する専門知識を要求さ
れますので、本来であれば財務の専任を置いた方が上手くいき
ます。大手企業で言う財務部長です。

中小企業では財務部長という職種はあまり馴染みがありません
ので、ウィキペディアでご紹介しますと、「財務部長(CFO)
とはキャッシュ・フローや投資の管理、経営計画策定における
数値的裏付けの作成と管理など、業務範囲は多岐にわたり、C
EO・COOの「片腕」ともいうべき存在である。英国におい
てはほとんど全員が会計士の資格を有する。米国においても会
計士が過半数を占める役職である。また、理事会又は取締役会
の構成員である場合が多い。」となっています。

中小企業に財務部長がいない理由は、ひとつが財務部長の報酬
です。会計士の資格を持っていない方でも財務部長の年俸相場
は非常に高額です。もうひとつは、中小企業は大企業に比べて
財務に関する仕事量が少ないことです。仕事量が少ないところ
に高額な専任担当者を常時雇用する必然性はありません。

しかし、仕事量が少ないからといって中小企業に財務が不要と
いう訳ではありません。資金調達力に乏しい中小企業にとって、
財務は、むしろ大企業よりも重要なポイントかもしれません。

「中小企業が、仕事量としては少ないが、大変重要な財務業務
をどのようにカバーすべきか。」という問題は、財務業務を専
門家に部分的にアウトソーシングすることで解決できます。企
業側は専門家を常時雇用する必要はありませんのでコストを大
幅に抑えることができますし、受ける専門家も複数社より財務
業務を請け負うことで収益面をクリアできます。

当事務所でご用意している財務支援サービスは、まさにこのよ
うな財務部長のシェアリングサービスです。是非、ご活用くだ
さい。

■経営がうまくいっている会社には特徴があります。

◆1.『競合しない』ビジネスを構築できています。
戦いを略す戦略を有しています。
◆2.『利益を確保できる』利益率が設定されています。
◆3.『安売りをしない』との決意が固いです。
◆4.『売上至上主義』ではありません。

また、これらの基本ルールを死守するための勉強に熱心に取り
組んでおられます。勉強熱心です。

◆1.競合しない!
競合を出来るだけ回避する、ビジネスを設計する時に最初に考
慮すべき事柄、まさに戦略のことです。同じような商品・サー
ビスを同じように売っていても、うまくいかないのは当然です。
違う商品・サービスを、違う売り方で、店舗ビジネスでは違う
場所で売る、この原理原則をしっかり確認しましょう。競合の
真ん中で戦う、どんなに頑張り続けてもうまくいかない(売れ
ない)のはこのためかもしれません。

◆2.利益を確保する!
利益を確保する、ビジネスを設計する時に極めて重要な視点で
す。同じ投資をして、同じ経費で、同じ売り上げを上げても、
その粗利益率が30%か40%か50%か、この違いは利益に格段
の差をもたらします。その後の経営が全く変わります。儲から
ない利益率を設定したがために、どんなに頑張り続けても上手
く行かない(利益がでない)のはこのためかもしれません。

◆3.安売りをしない!
安売りをしない、販売戦略から安売りの発想を捨ててください。
売上をいくら伸ばしても、その価格を割り引いてしまっては何
の意味もありません。10%の値引きは、最初から利益を10%
放棄することと同義です。忙しいのに儲からない状況「繁盛貧
乏」に陥るのは、安売りをするから、または、そもそも値決め
が安すぎる(当初から安売り状態)からかもしれません。

◆4.売上至上主義に陥らない!
売上ではなく、利益を優先して求めて(管理)ください。「い
くら売れそうか?」「いくら売れた?」ではなく、「いくら利
益が出そうか?」「いくら利益が出た?」で管理してください。
社長は「売上」ではなく「利益」を求めてください。赤字に陥
るのは、そもそも「利益」を最初から求めて(管理)いないか
らかもしれません。

○うまくいかない経営を行っている会社は、案外単純です。上
記の様な基本を外しているからです。軌道を修正してください。
○そもそも上記の基本を外したプラン?で創業を企てる創業者
も少なくありません。見直してください。

■『経営の方針』、その要諦は『繁盛貧乏に陥らない』ことで
す。
再度ご確認ください。

●力相応オンリーワンを目指す。
→どこにでもあるネタをビジネスにしない。一工夫、二工夫…
●低粗利益率のビジネスは行わない。
→粗利益率30%未満はおすすめしない。小資本企業には難解
です。
●価格を売るための道具に使わない。
→安売りはしない。
●売上至上主義に陥らない。
→売上よりも利益を優先する。

この機会にご自身のビジネスモデルを点検してください。特に、
有店舗型のビジネスは、その立地(競合状況)によって業績が
大きく変わります。また、立地の置き換えは容易ではありませ
ん。
立地の選定には多くのエネルギーを費やしてください。

2024年3月15日、経済産業省は金融庁・財務省との連携の下、
「経営者保証改革プログラム」の一環として、新しい信用保証
制度を発表しました。この制度は、中小企業経営者にとって重
要な資金調達手段となるものであり、以下にその概要を示しま
す。

■法人である中小企業が、一定の要件を満たすことで、保証料
率の上乗せを条件に経営者保証を提供しなくてもよくなります。

【要件】
1)過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、
その期間)において 決算書等を申込金融機関の求めに応じて
提出していること。

2)直近の決算において代表者への貸付金等がなく、かつ、代
表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められ
る額を超えていないこと。

3)直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以
上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利
益が連続して赤字でないこと。

4)上記1)及び2)については継続的に充足することを誓約
する書面を提出していること。

5)中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提
供しないことを希望していること。

【保証料率】
・上記の3)の要件の両方を満たす場合:
信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ

・上記の3)の要件のいずれか一方を満たす場合又は法人の設
立後2事業年度の決算がない場合:
信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ

■事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度の概要
この制度の活用を促進するために、時限措置として保証料率の
一部を国が補助する特別保証制度が設けられます。

【保証料補助】
保証申込日に応じて、次の補助率に相当する額を国が補助しま
す。

・2024年3月15日~2025年3月31日の保証申込分
補助率 0.15%
・2025年4月1日~2026年3月31日の保証申込分
補助率 0.10%
・2026年4月1日~2027年3月31日保証申込分
補助率 0.05%

■プロパー融資借換特別保証制度の概要
経営者保証を求めない取組による信用収縮を防止し、民間金融
機関における取組浸透を促すために、例外的に、既往のプロパ
ー融資(経営者保証あり)から信用保証付き融資(経営者保証
なし)への借換を認める保証制度を時限的に創設します。

【概要】
・保証限度額:2億8,000万円
・保証期間:10年以内
・保証料率:0.45%~1.9%
・取扱期間:2027年3月31日まで

新しい信用保証制度の導入により、より柔軟な資金調達が可能
となり、経営の安定と成長が期待されます。経営者は、自社の
状況に応じて制度を活用することで、資金調達のリスクを軽減
し、事業の発展に向けた取り組みを加速させることができるで
しょう。

お人好しで会社をダメにしてしまう社長は少なくありません。
自己診断をお願いします。

・自分はお人好しだと思う。〔  〕
・自分は従業員に甘いと思う。〔  〕
・自分の判断は、どちらかと言うと甘いと思う。〔  〕
・自分の判断は、どちらかと言うと曖昧だと思う。〔  〕
・自分はNOと言いにくい性格だ。〔  〕

これらにはすべて迷わず×が付く経営を行わねばなりません。

一方、愛の無い経営では人はついてきません。『厳しい経営判
断に愛を添える経営』(稲盛和夫氏)が理想なのでしょう。

お人好し経営に陥る原因を探してみましょう。

■一つ目の原因は『弱さ』です。

○その場しのぎを繰り返す。
大局的な見地を持たずに、目先の事象を「目先迎合、その場し
のぎ」でやり過ごそうとする経営者がいます。問題点逃避型、
経営者には不適格です。

○皆に好かれたい、嫌われたくない。
出来るだけ敵を作らないように発言し行動することは経営者に
とって重要な行動指針です。無意味な敵は不要ですが、時に敵
対しても主義主張を通さねばならない場面もあります。社内に
対しても同じです。全員に良い?社長と思われることは不可能
です。嫌なことを言えない経営者です。考え直してください。

■二つ目の原因は『知見不足』です。

○全体最適が理解できていない。
経営判断においては、常に部分最適よりも全体最適を優先しな
ければなりません。この二つが矛盾する時に、部分最適を容易
に選択してしまう経営者がいます。知見が不足しています。
知見の習得が必要です。

■三つ目の原因は『考え違い』です。

○曖昧な指示しか出さない。お任せ主義。
皆に考えさせること、これはこれで重要です。一方、細かく・
明瞭に指示を出すことも重要です。前者ばかりの経営者は、真
の指揮官とは言えません。特に中小企業は、ほとんどが後者で
あるべきです。ご再考ください。

■四つ目の原因は『愛の取り違え』です。

○ボランティア精神を経営に持ち込み過ぎる。
言うまでもなく会社は社会のためにあります。
・行う事業が社会の役に立つ。
・従業員の雇用と教育を担う。
・納税して利益を世の中に還元する。
これらを実現・継続するために、提供する商品・サービスや役
務の価値と、その価格を図りながら、また、競合相手と戦いな
がら切磋琢磨しています。利益の追求も当然必須です。

一方、経営と比べてボランティア活動は、ある意味容易です。
捧げ続ければよいからです。経営にボランティア精神を持ち込
んではいけません。全く違う二種類の基準は同居できません。
容易なボランティア魂が会社を凌駕します。経営者は、まった
く別の場所・環境でボランティアに励むべきです。
または、「税引き後利益の○○%をボランティア活動に使う」、
このような明確な指針で対応すべきです。
「この商品は、ボランティア的な意味合いで値引きして」これ
をやると会社自体がダメになります。

愛の無い経営者は大成しません。愛は経営者としても、人とし
ても、最も必要な資質の一つです。この前提で、「経営者は心
に一匹の鬼を忍ばせる」経営を行いましょう。お人好しと愛を
区別して判断・行動して下さい。

帝国データバンクによると、2023年の倒産件数は、前年から
30%以上増加し、バブル崩壊以来の高い増加率となったそう
です。また、2024年4月にゼロゼロ融資の返済開始がピーク
を迎えることで、倒産件数がさらに加速すると見られています。

物の本によれば、倒産とは企業が債務の支払いができなくなっ
たり、経済活動の継続が困難になった状態を指します。倒産に
は法的倒産と私的倒産の二つのタイプがあり、法的倒産には再
建型の会社更生法や民事再生法、清算型の破産や特別清算の四
つに分けられます。私的倒産は銀行取引停止と内整理に分類さ
れます。

しかし、困難な状況に直面しても、倒産せずに事業を継続して
いる経営者もいます。家賃や人件費の支払いができない、返済
ができないという状況でも、倒産するわけではありません。基
本的には経営者の意思で法的整理や私的整理などの措置を取る
ことで初めて倒産となります。倒産するかどうかは経営者次第
です。

例えばある社長は、第三者からの資金支援を受けて事業拡大に
挑戦しましたが、新しく出店した店舗がうまくいかず、会社全
体の資金繰りが悪化しました。結局、新店舗の撤退を決断した
ところ、スポンサーからの支援が打ち切られ、これまでの支援
資金の返済を強く求められるようになりました。

ご相談に来られた時は、倒産以外に選択肢がないと思っていま
したが、倒産するかどうかは社長次第であることを説明しまし
た。「債務免除を受けて今が楽になっても、すぐには就職でき
ないし、収入がなくなるのは困る。止めることはいつでもでき
るので、もう少し頑張ってみよう」という結論に至りました。

資金繰り予測を立ててみると、銀行と大家の協力があれば何と
かなることがわかりました。計画書を作成して銀行と大家に相
談したところ、大家は延滞分の分割払いに、銀行は返済猶予に
快く応じてくれました。

約一年後、売上は大きく減少しましたが、わずかながら黒字決
算となりました。スポンサーからの嫌がらせも徐々に収まって
いるようです。社長は「この調子でいけば債務の返済も少しず
つできそうだ。一年前は現状から逃げることばかり考えていた
が、逃げなくて良かった。恐ろしいほどメンタルが強くなった
だけかもしれないが、今考えると何てことはない」と笑ってい
ました。

この選択が正しかったかどうかは分かりませんが、倒産しない
というのも一つの選択肢です。事業継続の可能性を探りたい方
は、是非ご相談してください。

過去の失敗を経て、再起を図ろうとする社長様からの相談を時
折受けます。また、再起の末、成功を収められた社長様も少な
くありません。逆に、失敗を繰り返す社長様もおられます。

■成功するか?失敗を繰り返すか?の差は、過去を総括できて
いるかどうかで決まります。

○「前回失敗した理由が自分以外にある」とおっしゃる社長は、
失敗を繰り返します。運が悪かった、だまされた、景気が…こ
のような言い訳を繰り返す人は、ほぼ間違えなくこれからも失
敗します。

・運が悪かったは、「判断を間違えた」であり、「判断を間違え
るのは自分自身の判断基準が悪かった」からです。
結局、自身の能力不足です。

・だまされた、景気が…これも同じです。
運が悪かった、だまされた、景気が…すべての事象を自身の問
題として認識できない間は、何度でも同じ過ちを繰り返します。

○再起した会社が経営危機に陥る理由は、前回失敗した理由と
同じです。売上至上主義、無管理経営で、ただやみくもに売上
の拡大に奔走する社長が経営危機対策の相談に来所されました。
直近期大幅な増収でありながら、営業赤字に転落しています。
増収でありながら、利益率の大幅な低下、固定費の増大になっ
ています。そして、「売上をいくら伸ばしたら黒字になります
か?」とおっしゃいます。
前回の失敗の理由をお聴きすると、「リーマンショックによる
景気の後退と、銀行の貸し渋り」と総括されます。

○この社長は、「安売り症候群」と呼ばれる病に侵されていま
す。利益率より売上高、経営管理より、我武者羅に売り歩く…
このような病です。前回の失敗も同じでした。今回も、同じ病
が原因で経営危機に直面しています。

■失敗の原因を確実に総括しておかないと、過ちを繰り返しま
す。原因を退治してください。

○(当事務所)「今回の経営危機の原因は、売上至上主義と無管
理経営に端を発した収益の悪化です。この結果を招いたのは、
100%社長様、あなたの責任です。社長は、『安売り症候群』と
いう社長の病を患っています。前回の失敗の原因も、(事情を
お聴きすると)今回の原因と同じです。リーマンショックや銀
行の貸し渋り等ではありません。この病を治療して直さないと、
再度破たんします。」と助言しました。

◎(相談者様)「よくわかりました。どうすればよいですか?」

○(当事務所)「まず、売上高・粗利益率・固定費の三つをバラ
ンスよく構成する月次の経営計画を作ります。売上至上主義を
脱して、バランスの良い経営を目指します。その上で、進捗を
月次で管理します。当事務所(病院)がお手伝いいたします。
『安売り症候群』、利益率より売上高、経営管理より、我武者
羅に売り歩く…この病の完治を目指しましょう。」

■失敗を経験することは、本来無駄ではありません。学んだ分
強くなることができるからです。

○賢明な社長は、前回の失敗の原因をしっかりと自覚して、総
括をしっかり済まされておられます。同じ轍を二度は踏まない、
この決意で臨まれます。

○一方、前回の失敗の責任を、自分以外の外部要因に転嫁され
ておられる社長は、失敗の総括ができていないために、同じ過
ちを繰り返しがちです。

他人の責任で自分が失敗することなど100%あり得ません。失
敗したら、必ず総括して、次に生かしてください。(小さな失敗
でも)これを繰り返すことで、社長力が磨かれていくはずです。

このような相談も承ります。まずは、ご相談ください。

中小企業の多くは、経営状況を把握するために税務会計を行っ
ています。税務会計は、法的な規定に基づいて税金を計算し、
申告するための会計です。一方、管理会計は、企業内での経営
判断や業績管理に役立つ会計です。しかし、中小企業経営者の
多くは管理会計の概念やメリットを十分に理解していないこと
があります。

まず、税務会計が中小企業において一般的であることについて
述べます。税務会計は、法律で規定された税金の計算や申告を
行うため、企業が法令を遵守し税金を支払うための重要な会計
です。多くの中小企業は、税務会計を行うことで、法的な義務
を果たし、税務署とのトラブルを避けることができます。

次に、管理会計という概念について説明します。管理会計は、
企業内での経営判断や業績管理に役立てることを目的とした会
計であり、税額の計算を目的とした税務会計とは異なります。
管理会計では、経営者や経営陣が企業の業績や財務状況を把握
し、経営方針を策定するための情報を集約しています。しかし、
中小企業では、管理会計を行っているところはまだ少ないのが
現状です。

管理会計のメリットは、経営状況をより正確に把握し、効果的
な経営戦略を立てることができる点が挙げられます。また、経
営者や経営陣が目標を設定し、業績を評価するための指標とし
て活用することができます。一方、管理会計の導入にはコスト
や時間がかかるというデメリットが、中小企業に管理会計が浸
透しない理由でもあります。

最後に、管理会計を導入する際のポイントについて述べます。
まず、経営者や経営陣が管理会計の重要性を理解し、積極的に
導入する意識を持つことが重要です。また、適切な管理会計シ
ステムを導入し、従業員の理解と協力を得ることも大切です。
管理会計の導入には、時間と労力が必要ですが、経営の効率化
や持続可能な成長を目指すためには欠かせないものです。

経営者の皆様は、管理会計の基本的な概念や手法を理解し、経
営の効率化や持続可能な成長を目指すために積極的に活用して
いきましょう。管理会計の導入に興味のある方は、是非ご相談
ください。

完璧な人はいません。故に、人はミスを犯します。多くの人達
がやり取りする会社では、ミスが多発しています。それでも、
ほぼ正確に業務を行う会社と、間違えだらけのポンコツ会社が
あります。

ポンコツ会社は信頼を得られません。ミスのリカバリーで利益
の大半が消え去っています。ミスは信頼と利益の大敵です。

ミスが多いのは、そもそも経営者が雑駁で、その思想が会社に
浸透しているからです。経営者の雑駁さを改める事こそ重要で
す。

■自己診断をお願いします。

・自分が書く文章に誤字・脱字はほとんどない。〔  〕
・自分の発する言葉に誤り・失言はほとんどない。〔  〕
・自分は決めたことを継続して実行できる。〔  〕
・自分は時間・納期に正確だ。〔  〕
・自分は出来る限り論理的に考え行動している。〔  〕
・自分は出来るだけ体系的・網羅的な思考を意識している。〔  〕
・自分の考えには一貫性がある。〔  〕

会社を運営するのは、『数百万点以上の部品からなる精巧なプ
ラモデルを組み立てるようなものだ。』と思っています。『精
密に設計し、正確に組み立てる』ことが必要条件です。(十分
条件は別にあります。)最大の敵は、『雑駁な』思考や行動で
す。

■『脱・雑駁』のためには、正確に行動することが重要です。

・自身のアウトプットには、その正確さを求める。
・自身が発する言葉には、その正確さを求める。
・約束は確実に履行する。
・時間は確実に守る。3分遅れではなく、5分前で行動する。
・納期は厳守する。ギリギリではなく、数日早めに納める。

人間は過ちを犯します。時に間違えたり、時に遅刻したり。ゆ
えに、自身を厳しく統制しておかないと、ダラダラの人生にな
ってしまいます。『雑駁』な人は、このダラダラを許容してし
まうのでしょう。ほんの少しの許容が、徐々にその限度を増し
ていきます。
・間違いだらけのアウトプット。
・裏付けや哲学の無い発言。
・細かい約束を反故にしても気にならない厚かましさ。
・3分遅れを許容する時間管理。
・納期ギリギリの業務管理。

行動の雑駁さは三流の証です。行動の正確さ・緻密さを維持継
続しましょう。

■『脱・雑駁』のためには、考え方の正確さが重要です。

・考え方に一貫性を持たせる。
・考え方から論理矛盾を排除する。
・考え方に沿った行動を心掛ける。

一貫した考え方に沿った企業運営を行わなければ、その企業は
体を成しません。ダッチロールします。
・良い商品やサービスは、一貫した考え方から創造されます。
・良い顧客は、企業の考え方に賛同してお付合いしてくれます。
・従業員も同じです。

考え方の雑駁さは三流の証です。一貫した考え方を貫きましょ
う。あわせて、考え方に沿った行動を心掛けてください。

■『雑駁』は企業経営の最大の敵です。

『数百万点以上の部品からなる精巧なプラモデルを組み立てる
(比喩)』会社運営のプロセスにおいて、『雑駁』は最大の敵
です。このウイルスは、シロアリのように企業の屋台骨を蝕み
ます。
・社長は、自分自身の『雑駁さ』を徹底的に排除する努力を続
けましょう。

この前提で、
・社内にはびこる『雑駁さ』に対しても、厳しく対処しましょ
う。『雑駁さ』を互いが責め合う文化を構築しましょう。

一流は、間違えなく『雑駁』ではありません。
一流を目指しましょう。