世の中一人では生きていけません。ビジネスの世界でも同じで
す。ビジネスマッチングや、事業提携等、上手にパートナーを
見つけながら、そのビジネスの輪を広げていくことが理想です。
ビジネスパートナーと協業を行う時の留意点を整理いたします。

■アライアンス(協業)の定義は…ウィキペディアより引用

『アライアンス(英語:alliance)は、日本語に直訳すると
「同盟」という意味であるが、カタカナ語として日本のマスメ
ディアで使用される場合、企業同士の提携の意味で用いられる。
「A社がB社とアライアンスを組む」などと使われ、ある企業
と提携し共同で事業を行っていくことを指す。例えば、コンピ
ューターのソフトウェア開発会社が販売会社と“アライアンス”
を組み、開発会社は開発に専念、販売会社は代理店としてソフ
トの販売に注力する、などである。別企業と共同で事業を行う
と言う意味では下請けと似ているが、事業における企業間の対
等性の有無が大きく異なる。アライアンスにおいては提携企業
同士がイコールパートナーという形で事業を行うが、元請けと
下請けの関係である場合は企業間に「上下関係」があるため、
これはアライアンスとは別物と見なされる。』

■世の中の会社は、貴社にとって『協業候補』か『競合先』か
『顧客』の三つのいずれかです。最初にこの選別が必要です。

○製造業のA社は、物流業者のB社とは協業相手です。
○製造業のA社と、その部品を製造するC社は協業相手です。
○西日本で営業する物流業者D社と東日本で営業する物流業者
E社は(※今は)協業相手です。

一方、
○自動車メーカーのF社と自動車メーカーのG社は競合です。
○全国物流網を持つH社と全国物流網を持つI社は競合です。

A社とB社、A社とC社、D社とE社は、共通の顧客に対して
利益を提供できます。ビジネスパートナーとして、協力関係の
構築が可能です。一方、F社とG社、H社とI社は競合関係に
あります。顧客を奪い合う関係です。協業は不可能です。仮に
協業を目指すなら、大局的な経営判断が必要になります。ゴー
ルは合併か資本提携になります。

ビジネスとして経営者同士が向かい合う時には、自社と相手の
上記の関係を見極めたうえで話を始めてください。この関係が
曖昧になると、モラルハザードを起こします。

■力のある協業相手を選ぶことが重要です。

○貴方が製造業のA社であるならば、物流業者をその優位性で
選択します。物流業者B社よりも、物流業者C社の方が優れ
ておれば、貴方はC社を選択します。当然です。
○貴方が物流業者であるならば、その優位性を確保しなければ
なりません。当然です。

協業先は力のある相手を選んでください。相手も同じことを考
えています。自社も力を付けることが先決です。実際には、自
社が持ち合わせる力以上の相手とは協業できません。

■協業は、自社が突出した強みを持てた時がそのスタートライ
ンです。

『某部品メーカーは突出した○○という部品を製造している。』
『某社は突出した△△というサービスを有している。』との評
価を得た時に、世間の多くの協業候補との連携が始まります。
事業は一挙に拡大します。突出した○○や△△を築き上げるこ
とが重要です。

■協業は掛け算です。

1.3×1.3=1.69です。1を超えて突出した0.3の部分の掛け算が
協業の利です。逆に、0.9×0.9=0.81です。1を割り込んだ0.1
の部分が互いの足を引っ張ります。このメカニズムを理解する
ことも必要です。突出する何かを持てない間は、他社との協業
は避けて、自力で生きていくしかありません。

自社の突出した強みを見つけて築き上げます。その前提で様々
な協業戦略を立案します。この時、『協業候補』『競合先』
『顧客』の選別を間違えないことが重要です。このプロセスを
経て、商売が事業に進化・発展を遂げて飛躍します。突出した
強みが十分出来上がっていない会社様は、協業を模索する前に、
単独で突出した強み作りに励んでください。

協業は飛躍の大きな一助となる一方、間違えるとお互いの力を
削ぎます。

資金調達のご相談をお受けしていると、「日本政策金融公庫か
ら『融資枠が一杯なので、これ以上融資はできません。』と言
われました。」というケースがしばしばあります。私の方から、
「中小企業事業にもご相談されましたか?」とお聞きすると、
大抵の方が「中小企業事業とは何でしょうか?」とおっしゃい
ます。

一般的に日本政策金融公庫というと、旧国民生活金融公庫、い
わゆる国金をイメージされる方が圧倒的に多いようです。しか
し、旧中小企業金融公庫、いわゆる中小公庫も、現在は日本政
策金融公庫となっております。それぞれ、日本政策金融公庫国
民生活事業と日本政策金融公庫中小企業事業です。

この国民生活事業と中小企業事業は、同じ会社ではありますが、
窓口は全く別です。国民生活事業が無担保で2,000万円までの
小口融資を行うのに対して、中小企業事業は、それ以上の金額
の融資も行います。創業間もない方や小規模な事業を営む企業
様は国民生活事業で間に合いますが、企業が成長し、より大き
な資金が必要となれば中小企業事業も利用することをおすすめ
します。

中小企業事業の利用について明確なルールは特にないようです
が、弊所が関与した事例でいうと、最も年商が小さな企業様で
約1億5,000万円の売上高です。海外出店資金として4,000万円
を調達しました。こちらのお客さまも、国民生活事業からの借
り入れが既にあり、国民生活事業ではこれ以上融資はできない
と言われていました。

昔は、国民生活金融公庫と中小企業金融公庫は別々の会社だっ
たため混同することはございませんでした。しかし、現在は日
本政策金融公庫に集約されているため、中小企業事業の存在が
分かりにくくなっているようです。不思議なことに、国民生活
事業の方から、「こちらの枠が一杯なので中小企業事業をご利
用されてはどうですか。」と中小企業事業を紹介されることも
殆どないようです。

国民生活事業で2,000万円近くの借入が既にあり、これ以上の
融資は制度上難しいと言われた企業様は、中小企業事業とお付
き合いを始めるステージかもしれません。審査は格段に厳しく
なりますが、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

好む好まざるにかかわらず、人生の多くの時間を費やす仕事に
対する向き合い方について考えてみましょう。

仕事が下手なのはつらいですね。リストラの恐怖も払拭できま
せん。仕事はできるだけ若い時に上手になった方が得です。自
分自身の人生を守れます。そして、身に付けた力は、生涯自分
自身の財産として使えます。

◆常に最善を尽くして働く人と、働き方を加減する人がいます。
この仕事に取り組む姿勢の差が、時間を経て実力の差になりま
す。雲泥の差です。

人は多くの場合、自分の力を過信し、自分の力を実力以上に評
価しています。(これは必ずしも悪いことではありません。)
更に、自分に対する評価に合わせて働こうとする人がいます。
(これが問題です。)この二つが相まって、自分の得ている対
価に及ばない仕事で満足してしまいます。そして、『私は自分
の得ている対価以上の仕事をしている』と胸を張っています。
『対価に対して十分貢献しているのだから、これ以上は働かな
い』こんな考えに至ります。

仮に、現時点で成果が対価を大きく上回っていたとしても、仕
事のペースを落とすのは自分にとって得ではありません。これ
は、最低年俸のプロ野球選手が、自身の打率やホームランの本
数を意図的に制限し、『俺は最低年俸だから、打てるホームラ
ンも見送って、一定数以上は打たない』と決意しているような
ものです。
現状の年俸が最低であっても、可能であれば30本でも、40本で
もホームランを打てば良いはずです。また、加減していると、
本当に打てなくなってしまいます。至極当然のことですが、こ
の理屈が理解できない人も少なくありません。

『働き方を加減しないでください。実際の給与の3倍もらって
いて、役職も2階級上のつもりで仕事に取組むことがコツです
よ。』と、繰り返し言い続けるようにしています。
成果と対価の関係は、短期間では見合っていないこともありま
すが、中期的には必ず合致してくるからです。

◎常に最善を尽くして働く。働き方を加減しない。
◎実際の給与の3倍もらっていて、役職も2階級上のつもりで
仕事に取組む。
◎そして、すべて自分自身のためです。成果は必ず自分に返っ
てきます。

◆公私混同出来ない人は、ビジネスマンとして大成できません。
公私混同してください。

●時間を公私混同してください。
継続が重要です。継続して考えるから新しいものを生み出すこ
とができます。継続して考えるから難題を解決できます。

休日に思考を完全に切ってしまう人に、大きな仕事は成し遂げ
られません。継続して考えられないからです。休日には休めば
いいと思っています。時間を有効に使って、体をいたわり、気
分を晴らしながらでも、考えることをすべて中断してはいけま
せん。継続が重要です。

●仕事に投資してください。必要な費用があれば、たとえ経費
で認められなくても身銭を切ってください。
仕事に必要な書籍があれば、どんどん買って勉強しましょう。
仕事に必要な道具があれば、出来るだけ揃えましょう。
勉強になる場所があるなら、自費ででも訪れましょう。
自宅には、考え事が出来るスペースを準備しましょう。

仕事に一切私費を充てようとしない人がいます。会社のためだ
けにお金を使うのではないのです。自分自身の知恵の磨き込み
のため、自分自身の仕事の成功のためにお金を使うのです。こ
れがわかっていないのでしょう。仕事のために身銭を切ってく
ださい。何十倍、何百倍になって戻ってきます。

◎身銭と時間の投資を自分自身に行ってください。何倍にもな
って戻ってきます。

仕事はできるだけ若い時に上手になった方が得です。自分自身
の人生を守れます。そして、身に付けた力は、生涯自分自身の
財産として使えます。会社のためだけではないのです。

ある関与先様から、「個人の資産や家族構成など根掘り葉掘り
聞かれた。気持ちが悪いが大丈夫か?」というご質問を頂戴し
ました。

融資審査時に、主に決算書だけで判断する金融機関もあれば、
個人や家族の状況も含めて判断する金融機関もあります。それ
ぞれの金融機関の特性を知っていると、余計なストレスを感じ
ることなく対処できます。

金融機関の種類を大きく分けると、メガバンク、地方銀行、信
金信組、政府系となります。いずれの金融機関も商品は融資
(お金)ですが、各金融機関の価格(金利)と審査の方法は違
います。

総じて価格(金利)が安いのはメガバンクと政府系金融機関で
す。同じ商品であれば、当然価格が安いところにお客様は集ま
りますので、メガバンクは多くの見込み客の中から融資先を選
定することが可能です。よって、メガバンクは、数多くの見込
み客の中から、無理をせず、信用力の高い企業とだけお付き合
いをしようとします。

一方、お金の仕入れコストが高い信金信組は、価格(金利)で
メガバンクに勝てません。メガバンクから0.7%の金利で融
資を受けられる優良企業が、わざわざ2.5%の金利で融資を
受ける理由はありませんので、信金信組は、メガバンクが融資
をしない企業の中から融資先を探すことになります。

信用力が高い企業を相手にしているメガバンクの審査はシンプ
ルです。決算書を見て、業績や財務内容が良ければ融資を行い、
業績や財務内容が悪ければお断りします。一般論ですが、業績
や財務内容に問題のある中小企業に対して、審査に手間暇をか
けてまで何とか融資をしようという動機はメガバンクにはあり
ません。

一方、価格競争力で劣る信金信組には、信用力が高い企業は集
まりにくいため、決算書だけで審査をしていては、融資をする
先が限られてしまいます。よって、社長個人、配偶者や子息の
資産状況等も調べ、融資が出来る材料を何とか見つけだそうと
します。

冒頭の関与先様のように、個人的な情報を詳細に聞かれるのは
気持ちが悪いと感じる方も少なくないでしょう。中には、金融
機関に情報を与えすぎるのは良くないと考え、個人資産等をあ
えて少なく申告する方もおられます。決算書だけで勝負できる、
もしくはそこまでして借りる必要がないのであれば問題はあり
ませんが、借りる必要があるならば逆効果です。

メガバンクと信金信組の大まかな違いをご説明しましたが、メ
ガバンク同士や信金信組同士でも違いがあります。各金融機関
の特性を理解することで、金融機関とスムーズに話を進められ
るようになります。金融機関対応で疑問を感じていることがあ
れば、是非弊所にご相談ください。

■52枚のトランプを無作為に観客に並べ替えてもらった後に、
『種も仕掛けもありません。』と一通り(数秒間)観客にカー
ドの表を見せます。この時に52枚のトランプの並びをすべて
暗記してしまうそうです。後は、自分でトランプを繰り返し並
べ替えますが、どう並べ替えたかはすべて手の感覚で頭に入っ
ているそうです。何枚目に何があるのか、すべてです。観客が
『ストップ』と言って止まった場所のカードは、把握できてい
ます。さらに並べ替えながら、一枚ずつめくるカードを言い当
てます。トランプを使ったプロマジシャンの、種も仕掛けもな
いマジック?です。暗記力と正確な手さばき、まさに訓練の賜
物です。資質の問題もあるでしょうが、とんでもない努力を長
期間続けてこられたのでしょう。3年、5年、いや、10年以
上でしょうか。

■マラソンの世界記録ホルダーは、42.195キロメートル
を2時間1分強、時速20キロメートルを超えるスピードで2
時間走り続けています。資質の問題もあるでしょうが、とんで
もない努力を長期間続けてこられたのでしょう。3年、5年、
いや、10年以上でしょう。

■1万時間の法則があります。

The New Yorkerのスタッフライターであるマルコ
ム・グラドウェル氏が提唱し始めた、『集中して1万時間努力
を継続できれば、その分野ではある程度以上のレベルに到達で
きる』とする法則です。ダラダラではなく集中して、これが条
件です。

○小学校1年生から野球を始めて、365日毎日3時間ずつ集
中して練習を継続できれば、高校1年生の夏に1万時間の壁を
越えられます。夏の甲子園で注目されるような選手は、皆1万
時間を越えているはずです。

■ビジネスマンにとって、1万時間の対象は何でしょうか?そ
の対象は、今の仕事そのもの、または、関連性の強い分野に絞
るべきです。

○勤務時間をすべてカウントするならば、1日8時間、250
日で2,000時間、5年で1万時間に到達します。確かに、
5年も社会人を経験すれば、殆どの人はそれなりに仕事を覚え
ます。

○自宅での週末学習や、勤務後の自己学習に時間をつぎ込める
人は、1日10時間、330日で3,300時間、3年で1万
時間に到達します。期間を集中している分、習得レベルも格段
に向上するはずです。年長者は、さらに、勤務時間を積み上げ
ているわけですから、いずれにしても1万時間の壁は越えてい
るはずです。

■仕事に対しては、プロ(を目指す)意識が重要です。

○プロのマジシャンは52枚のカードを瞬時に暗記して自在に
扱えます。
○一流のマラソン選手は、時速20キロメートル前後で二時間
強走り続けることができます。
○プロの野球選手は、時速150キロメートルの白球を打ち返
すことができます。
…等々

■ビジネスマンである貴方は、何ができますか?何ができるこ
とを目指しますか?今取り組んでいる業務分野において、徹底
的にプロ化を図るべきではないでしょうか?

○営業職であるならば、日常の業務に百%のエネルギーを投入
しながら、併せて、営業に関する様々な自己研鑽に励むことで
しょう。関連書籍を読み漁ったりしながら、日々の業務で仮説
と検証を繰り返しながら、予算の達成に邁進するのでしょう。
この様な姿勢で1万時間超の時間を過ごすことができたなら、
営業のプロとして立派に人生を送れるはずです。
○経理職であるならば…
○技術職であるならば…
等々、すべて同じです。

■プロとセミプロの間には、大きな壁があります。

プロは、道を究めた専門家です。セミプロは、良く知っている
便利な人です。プロとセミプロの間には大きな壁があります。
貴方がプロであるならば、貴方の食い扶持は生涯確保されるは
ずです。職を求めて苦労することはありません。貴方がセミプ
ロであるならば、運が悪ければ職を失います。

希望したのか?または、必然なのか?は別にして、今の仕事で
プロになりましょう。会社のためだけではありません。自分の
ためにです。

「大手量販店で商品を取り扱ってもらえることになりました!
値段は厳しいですが大幅な売上増が見込めます!」と喜んだ数
ヶ月後、「売上高は目論見どおり伸びましたが、利益は半減、
資金繰りも厳しくなってしまいました・・・」という場面に遭
遇することがしばしばあります。

大手量販店との取引は魅力的ですが、たとえ相手が大手であっ
ても、安易に価格を下げて取引を行うことは、良い結果に繋が
らないケースが多いようです。冷静に採算を判断することをお
すすめします。

原価3,000円の商品を、5,000円で販売した場合と、4,000円で
販売した場合を比べてみます。5,000円の場合、500個販売す
れば100万円の粗利益を獲得できます。同じ100万円の粗利益
を獲得するのに、4,000円の場合は1,000個の販売が必要です。
5,000円で販売するより、4,000円で販売した方が多く売れる
ことは予想できますが、販売個数が2倍になってはじめて粗利
益は同等になります。

冒頭の企業様は、大手量販店と取引を開始したにも関わらず、
売上高が1.5倍程度しか伸びなかったため、従来よりも粗利益
率が低下しました。また、販売個数が大幅に増えたことにより、
配送コストと在庫管理のコストが増加しました。さらに、欠品
が許されないと在庫を多めに抱えたため、利益が半減しただけ
でなく、資金繰りまで大きく悪化しました。

「売上高が大きい」「大手企業と付き合いがある」というのは
必ずしもメリットばかりではありません。

・製造の機械化を行うことで製造コストを引き下げることがで
きる。

・多額の資金を費やして大量仕入れを行うことで仕入コストを
引き下げることができる。

など、しっかりとした根拠に基づく価格の引き下げであれば問
題ありませんが、単に売上が増えるからというだけで価格を引
き下げるのは正しくありません。

資金や人的資源が不足している中小規模企業の場合、低価格大
量販売は難しいという認識を持ち、低価格路線に安易に流れる
のではなく、適正な利益で販売できるよう努力するのが正解と
考えます。「大手から声がかかった!」というのは、「実は採
算が合わないため誰もやりたがらない仕事だから話が回ってき
た。」ということも往々にしてあります。
慎重に検討してください。

未来を背負ってもらえる若者たちの成長と活躍を願いながら、
前向きなメッセージを発信させてもらいます。新入社員に伝え
てあげてください。

■社会人として二十年近く時間を経て四十歳ぐらいになると、
そのビジネスマンとしての実力の差は歴然とします。雲泥の差
です。

○出来る分野・領域の広さに大きな差が付きます。太平洋とプ
ールの差です。
・良くできる人は、概ねどんな業務もやる気になれば対応でき
ます。
・そうでない人には、極めて限定的な作業しか与えられません。
できないからです。

○業務の精度・スピードに雲泥の差が出ます。
・知恵を使う業務であれば、できる人とそうでない人の差はざ
っと10倍ぐらいでしょうか。
・単純な業務であっても、その差は3倍ぐらいになるように感
じます。

社会人として、上記の事実を早い時期に知っておくべきです。
なぜ、これだけの差がついてしまうのかを、論理的に考えてみ
ましょう。

■高校時代の運動部のことを思い出してください。

○放課後真面目に練習を継続している野球部のメンバーと、野
球部でないメンバーが、三年生の時に試合をしたら、この差は
歴然です。たった二年強の期間、一日当たり数時間の練習を継
続するかしないかの違いが、この雲泥の実力の差を生みます。

○スポーツより複雑でわかりにくいので自覚しにくいですが、
二十年という年月は、上記の何十倍もの差を生んでいます。
そして、見る人が見れば、その差は歴然です。四十歳のビジネ
スマンの実力に、想像を絶するぐらいのかい離があることを想
像いただけるはずです。

■仕事は上手になってください。好む好まざるにかかわらず、
社会人として長期間生きて行かねばなりません。会社のためだ
けではありません。何より自分自身のためです。

そのために…

◆1.目先の仕事に徹底的に真摯に取り組んでください。
どんな仕事に対しても、「だれにも負けない」との思いを込め
て、全身全霊で取り組んでください。机を拭く、こんな仕事で
も、「だれにも負けない、私の机の拭き方は、誰よりきれいで
効率的だ」と自負できるようにあたってください。一つ一つの
この真摯な取り組みの集積が、自分自身の仕事への精度と執着
を養ってくれます。

◆2.正確な実務能力を身に着けてください。
書類を正確に早く作成する、文章を正確に早く書く、過密なス
ケジュールを効率的に乗り切る…これらを実務能力と呼びます。
この実務能力がその人のポテンシャルになります。若い間は、
可能な限り多くの業務をやりきる訓練を積んでください。

◆3.仕事の予習と復習をしてください。
アフターファイブや休日にも、仕事の予習と復習を欠かさず行
いましょう。この差がビジネス力の差を生みます。また、自分
自身の勉強の時間を確保してください。生涯勉強です。すべて
自分の財産になります。できるビジネスマンは習慣になってい
ます。

◆4.本を読んでください。
できるビジネスマンの多くは読書家です。逆に、できないビジ
ネスマンの多くは本を読んでいません。週一冊本を読めば、
(四十歳を迎える)二十年で千冊強の本と出会えます。この千
冊の引き出しの有無が、ビジネスマンとして、人としての実力
の差の原因の一つです。
※最近はオンライン講座なども良いかも知れません。

◆5.良い仲間を見つけてください。
仕事に真摯に取り組む仲間、向上心のある仲間を見つけて親交
を深めましょう。類は友を呼びます。自分の仲間の属性は、そ
のまま自分自身の姿です。「明るく・朗らかで、前向きで、向
上心の強い勉強好きな」仲間たちと、お互いの成長を確かめ合
いながら生きていきましょう。

人は公平ではありません。これは紛れもない事実です。何故な
ら、過去(の努力)が違うからです。このことを肝に銘じてく
ださい。二十年後に後悔しないために、自分自身ができるだけ
主導権を握れる人生を送るために、長期目線でしっかり力を付
けましょう。(※新入社員に伝えてあげてください。)

◎参考データ:
〔(株)リクルートマネージメントソリューションズ
(2014年データ)〕

■自主的な学習に費やす時間は1週間にどれぐらいですか?

○新人
平均4.96時間(43分/1日)、1時間29.3%、8時間以上17.9%
○若手
平均3.32時間(29分/1日)、1時間37.5%、8時間以上9.5%
○中堅
平均3.94時間(34分/1日)、1時間35.9%、8時間以上11.5%

一週間に1時間と回答した人の未来は統計的に知れています。
自らの意思で負け組に向かって歩んでいます。8時間以上の人
には高い確率で勝てません。貴方は、1週間に何時間勉強しま
すか?決意を持って社会人のスタートを切ってください。

先日、創業資金の調達をお手伝いさせていただいたAさんの事
例です。勤めている会社を退職し、株式会社を設立して、店舗
を作りたいというご相談でした。

■ 創業プランは以下のとおりです
事業内容:一般消費者向けの小売業態
総投資額:6,800万円(設備6,000万円+運転800万円)
調達計画:自己資金800万円、勤務していたメーカーからの
借入3,000万円、金融機関からの借入3,000万円

勤務していたメーカーから3,000万円の資金支援を受けられる
予定ですが、総投資額が大きいため、金融機関からも3,000万
円の調達が必要です。創業資金の最も有力な調達先は日本政策
金融公庫ですので、今回も日本政策金融公庫からの調達を主と
して調達の計画を立てました。公庫の創業融資のポイントは以
下のとおりです

【自己資金】
創業融資審査における最も重要なポイントは自己資金です。自
己資金は多ければ多いほど良いのですが、日本政策金融公庫は、
最低でも総投資額の10分の1以上の自己資金を求めています。
今回の総投資額は6,800万円で、自己資金は800万円ですので、
自己資金の要件は何とかクリアしています。また、この800万
円は、あくまでも資本金として事業に費やす金額であり、別途、
個人的な貯蓄として500万円程度を有していました。

【キャリア】
次に重要なポイントはキャリアです。創業する事業に対する経
験や実績が重視されます。Aさんはメーカーに勤務し、小売店
の販売を指導する職務に従事していました。数多くの店舗の経
営指導をしてきた実績があり、当該事業はビジネスとして採算
が合うことを確信したため独立を決意しました。キャリアは十
分です。

【総投資額】
今回最も大きな懸念点となったのは総投資額です。申し込み要
件には明確に記されていませんが、日本政策金融公庫には、最
初は小さな投資から始めることを良しとする価値観があります
ので、6,800万円という初期投資が問題となりました。

調達金額が大きい場合の対処法は次が有効です。

・公庫の単独ではなく、民間の金融機関からも調達を同時に行
う協調融資で案件を組み立てる。

・認定支援機関の助言を受けて事業計画書を作成し、経営力強
化資金を利用する。

本件も、公庫2,000万円、保証付き融資1,000万円で案件を構
築し、最終的には満額の資金調達ができました。金融機関の担
当者にお話を聞くと、「金額が大きく難しい案件だったが、自
己資金とキャリアがしっかりしていたことに加え、計画書類が
充実していたこと、また、個人資産の開示等に協力的であった
ことが決めてとなった。」とおっしゃっていました。

『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どのように売るのか?』、
この4つの要素の組合せがビジネスモデル(の概況)です。
創業・開業や新規事業を起こす時に、これらの4つの要素をす
べてゼロから構築する計画は大変難解です。特に、『何を?』
と『誰に?』の2要素の内の一つは、すでに持ち合わせたモノ
を利用することをお薦めします。

◆ケース1:既存の商圏から、『何を?』と『誰に(顧客)?』
を持ってくる創業は比較的容易です。

前職の会社で、自身が扱っていた商品とサービスを、一部の顧
客ごとそのまま横滑りさせて起業するケースは、初期の立ち上
げが容易です。デスバレーもほとんど作らずに、初年度から相
応の売上と黒字を出せる会社様の大半はこのケースです。ただ
し、前職の会社との折り合いがついていなければ、トラブルを
誘発する可能性もあります。注意が必要です。また、その後事
業が停滞する確率が高いのもこのケースです。そもそも既存の
商圏の一部を移転させたわけですから当然です。新たな創造が
求められます。

◆ケース2:『何を?』と『誰に?』の2要素をゼロから作る
創業は大変難解です。

商品やサービスが現存せず、顧客も持ち合わせていない状態で
の創業です。そのマーケットが相当有望であったとしても、大
きな先行投資が必要になります。デスバレーも深く長いものに
なります。ビジネスに対する知見と資金力を有する者のみが挑
戦できる創業と考えてください。頓挫する確率の高い創業です。
※ただし、これを立ち上げられる経営者は、その後の大化けが
期待できます。

◆ケース3:『何を?』を持っていて、これから『誰に?』
『いくらで?』『どのように売るのか?』を創造
する創業が一般的です。

自身の得意な『何を?』、商品やサービスを有している状態で、
顧客を創造するケースです。相応のデスバレーは存在しますが、
ケース2のデスバレーよりは、はるかに小さいはずです。
※ケース3よりはレアですが、『誰に?』を持っていて、
『何を?』を創造する創業もあります。

□『何を?』と『誰に?』を共に有する創業は…◎
□『何を?』を持ち合わせた創業は…○
□『何を?』も『誰に?』も持ち合わせていない創業は…×(難解)

大変大雑把な分類ですが、判断基準として有意性があります。

◆ケース4:『いくらで?』を高めに設定できる創業者様と、
安めに設定してしまう創業者様がいます。

□高めに設定できる創業は…○
□安めに設定する創業は…×
これも有意性があります。

◆ケース5:ITに関するリテラシーの高い創業者様と、そう
でない創業者様がいます。

□ITリテラシーの高い創業者様は…○
□ITリテラシーの低い創業者様は…×
これも有意性があります。

◆ケース6:資金力(調達力も含めて)のある創業者様と、
そうでない創業者様がいます。

□資金力(調達力も含めて)大の創業者様は…○
□資金力(調達力も含めて)小の創業者様は…×
これも有意性があります。

◎『何を?』と『誰に?』、少なくとも一つを持ち合わせ、
『高めの価格設定』で、『ITリテラシーは高く』、『資金力
(調達力も含めて)の有る』創業者様は、その成功確率が高い
ようです。

入社した時、その会社にはすでにビジネスモデルが存在し、
ある程度円滑に機能しています。新入社員は、このビジネスモ
デルに沿って、『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どのよ
うに売るのか?』の4つの要素の一部を担います。その地位が
上がっても、その関与する範囲を拡大させるだけで、過去のビ
ジネスモデルを踏襲するケースがほとんどです。結果として、
ほとんどの人が、『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どの
ように売るのか?』を真に創造したことがありません。
過去のビジネスを踏襲しながら改善することと、ゼロから創造
することには雲泥の差があります。創業・開業時や新規事業を
はじめる時には、肝に銘じてください。

中小企業経営承継円滑化法とは、中小企業の経営承継を円滑に
することを目的とした法律です。都道府県知事の認定を受ける
ことで、相続税・贈与税の納税猶予の特例、代表者交代による
信用不安を補完する金融支援、遺留分に関する民法の特例、を
受けることができます。

◆ 事業承継税制(特例措置)の概要
後継者が相続又は遺贈により取得した株式等に係る相続税の
100%が猶予されます。本制度の適用を受けるためには、経
営承継円滑化法に基づく都道府県知事の「認定」を受け、報告期
間中(原則として相続税の申告期限から5年間)は代表者とし
て経営を行う等の要件を満たす必要があり、その後は、後継者
が対象株式等を継続保有すること等が求められます。また、後
継者が死亡した等の一定の場合には、猶予された相続税が免除
されます。

◆ 金融支援の概要
事業承継の際に、会社や後継者である個人事業主あるいは代表
者個人が資金を必要とする場合に、日本政策金融公庫あるいは
沖縄振興開発金融公庫の低利融資制度による支援を受けること
ができます。また、事業承継に関する資金を金融機関から借り
入れる場合には、信用保証協会の通常の保証枠とは別枠が用意
されます。

◆ 遺留分に関する民法の特例
推定相続人が複数いる場合、後継者に自社株式を集中して承継
させようとしても、遺留分を侵害された相続人から遺留分に相
当する財産の返還を求められた結果、自社株式が分散してしま
うなど、事業承継にとっては大きなマイナスとなる場合があり
ます。このような問題に対処するため、経営承継円滑化法は、
推定相続人全員の合意の上で、現経営者から後継者に贈与等さ
れた自社株式について、遺留分算定基礎財産から除外できたり、
又は遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定
することができます。

上記のとおり、様々な制度が用意されていますが、事業を引き
継ぐ意欲のある後継者や従業員がいたとしても、やはり、負債
や資金面で断念するケースが現実的には多いように感じます。
このようなケースにおいては、日本政策金融公庫や保証協会の
金融支援が大いに役立ちます。事業承継を考えていらっしゃる
経営者様は、是非、ご相談ください。