前回号の続きです。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点4:サービス代理店を付加する事例を紹介します。

…同業者や新規事業を求める事業者(個人含む)に、自社事業
のノウハウを提供して自社のパートナーとして活動してもら
う事例です。フランチャイズシステムも含みます。

●飲食店等でよくあるフランチャイズシステムもこの様式です。
自社の商品やサービスは(本来)自社でエンドユーザーに直接
提供・販売すべきものですが、同業者や新規事業を求める事業
者(個人含む)に対して自社のソリューション一式を提供して、
自社と同じビジネスを展開してもらうことで、加盟料やライセ
ンス料、供給品を提供して収益を上げます。
副業やフリーランスの方々が増える中で、比較的大きな資金を
要するフランチャイズシステムではなく、小資金で運営できる
ビジネスパッケージであれば、個人事業者やフリーランスにも
十分受け入れられるはずです。
例えば、多額な投資が必要で大きな売上を見込める商圏は自社
で展開し、自社で展開するのには小さすぎる商圏はそのエリア
に在住する個人に任せるオプションが現実的です。
今、このような小さな事業パッケージがたくさん生まれていま
す。副業やフリーランス、個人事業者はこのようなビジネスパ
ッケージを探しています。

◆例1)スマートフォンの修理を行う事業者Aは、大商圏では
好立地に自社店舗を出店して展開すると同時に、地方都市やロ
ーカルエリアでは自社ノウハウを提供する『修理ノウハウ習得
者』を養成して事業を行っています。訓練費用や機材提供収益
等を上げることができます。

◆例2)造園や庭仕事などのノウハウを、独立希望者に教えて
事業パートナーを募るB社があります。営業活動は本部が一括
で行い、業務は事業パートナーが受託して行います。B社は造
園や庭仕事の専門業者で、すべての業務を自社で行っていまし
たが、あるタイミングから事業パートナーとのアライアンスモ
デルに切り替えています。

◆例3)ウーバーイーツは、本部、飲食店、ユーザーの中に組
み込まれたサプライチェーンです。受注の仕組み作りと加盟飲
食店の開発は本部が行い、ユーザーへのデリバリー機能を引受
けます。

◎ビジネスモデル俯瞰図で説明すると、今回の事例は、お客様
に伸びる矢印に対して横向きの矢印を新たに作ることになりま
す。同業者や他業種の事業者、個人もパートナーとして引き込
みます。特に、副業やフリーランスの方々を自社のサプライチ
ェーンに引き込んで活躍してもらうモデルは、時流に適合した
最適解の一つです。

◎ビジネスモデル俯瞰図のお客様の軸を変えるという意味だけ
ではなく、今回ご紹介したモデルは拡張性・汎用性に優れたビ
ジネスの型です。独自性のある商品やサービスを有する事業者
様は、自社のみで展開するのではなく、そのソリューションを
ルール化して、同業者を含む第三者に対して提供することもで
きます。自社の有する独自性は、同業者にとっては極めて有益
な個性であり、同業者からのニーズも大きいはずです。一方、
ノウハウやスキルの保護のためには、契約方法や提供方法の工
夫が必要です。

融資の金利が決まるメカニズムは、借り手には良く分かりませ
ん。金利に無頓着すぎると相場よりも高い金利を支払わされる
可能性がありますし、金利にこだわりすぎると金融機関から融
資そのものを敬遠される可能性があります。本日は、金利のメ
カニズムと企業側が注意すべきポイントについて解説します。

◆制度融資の金利
日本政策金融公庫や信用保証協会の制度融資の中には、あらか
じめ金利が決められているものがあります。「不況業種の救済」
「独立開業者の支援」といった政府の施策に連動しているため、
金利は元々低く設定されており全ての利用者が同じ金利です。

◆貸し手の収益構造
信用金庫は、都市銀行に比べて一般的に0.5%から1.0%程度、
貸出し金利が高く設定されています。これは収益構造の違いが
理由です。都市銀行は市場から大ロットで資金を調達し、大企
業向けに大ロットで融資を行うため、効率良く資金を調達・運
用できます。一方、信用金庫は、職員が小ロットの定期預金を
数多く集め、中小零細企業向けに小ロットの融資を数多く行う
ため、都市銀行に比べてコストがかかります。取扱高が大きい
ほど安くなるというのは一般的な商売と同じです。

◆借り手の信用リスク
借り手の信用リスクによっても金利は変わります。金融機関は、
借り手の信用リスクに応じて引当金を積んでいますので、引当
金以上の金利設定をしなければ取引採算を確保することができ
ません。当然ながら、各融資先との取引採算を見ていますので、
採算が取れていない融資先に対しては、採算が合うよう金利を
上げてもらう、もしくは取引を解消する、などの対応策を検討
しています。

◆金融機関との交渉
貸出し金利は、貸し手の調達コストと借り手の信用リスクで決
まることが分かりましたが、企業側にとって最も重要なことは
「まず借りる事」です。「金利が○%以下だったら借りてあげ
ても良い。(金利が○%超だったら借りない。)」というぐら
い強い立場であれば話は別ですが、ほとんどの会社は貸しても
らえなければ困る立場だと思います。貸し手に収益メリットが
無くなるほどの行き過ぎた金利交渉を行った結果、調達そのも
のが出来なくなっては本末転倒です。1,000万円(返済期間5
年)の借入れで金利を0.1%引き下げたとして、5年間で約
25,000円、月416円程度の負担軽減にしかなりません。相手の
利を確保することが商売の大原則であることを考えると、最大
の事業パートナーである金融機関との金利交渉は慎重に行うこ
とをおすすめします。

前回号の続きです。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点2:お客様を細分化して、特定のお客様への個別対応
を充実させた事例を紹介します。

●例えば、ある家電量販店(大手ではありません)は、過去の
販売履歴から、その過去の購買金額・年齢や自店との距離を定
めて重点顧客を選定し、その顧客には購買金額の過多にかかわ
らず個別無料配達を行っておられます。100円の商品一つで
も無料でお届けするとの意味です。訪問時の付加サービスや御
用聞き機能を充実させることで、高額家電の購入、過度に値引
きを必要としない売上につながっているようです。顧客に対し
て一律に対応するのではなく、その対象を分析・選別して細や
かに対応することで、その売上と利益を伸ばしておられます。

◎ビジネスモデル俯瞰図の中で、お客様へと伸びる矢印に着目
してください。お客様とは…細分化すると多くの属性が生まれ
ます。上記のお店の場合は、大手量販店がひしめくエリアで、
競合各社が自店への集客を試みる中、自店への誘導ではなく、
客先へ足を運ぶ選択を行いました。その仮説を持ったうえで、
お客様の選別を行ったのでしょう。
一方、あるお客様への個別対応を充実させることは、その他の
お客様を対象から除外することになります。漠然とお客様を捉
えるのではなく、(失礼な言い方になりますが)お客様を選別
する、この発想は重要です。

■着眼点3:事業者向けに事務機材を販売する事業会社様の事
例を紹介します。

●例えば、事業者向けに事務機材を販売する事業会社様は、地
方支店におけるその営業エリアが複数の県にまたがっており、
大変広範囲な営業エリアを設定していました。営業マンの日々
の平均訪問可能件数は2件未満で、遠方の時は1件だったそう
です。
あるタイミングから方針を見直して、その管轄するエリアを面
積で5分の1程度にまで絞り込みました。営業マンの平均訪問
件数は3倍以上に増え、売上・利益とも数倍に伸びています。

◎ビジネスモデル俯瞰図の中で、お客様へと伸びる矢印に着目
してください。お客様とは…細分化すると多くの属性が生まれ
ます。上記の事業会社では、ある意味欲張って、広範で実力を
上回るエリアを設定してしまっていたがために、大変非効率な
状況でした。エリアを適正な水準に是正したことで、営業効率
が飛躍的に改善し、売上・利益とも大きく伸びています。

限られた経営資源を広く分散させてしまうと、その成果も激減
します。【分散症候群】と呼ばれる経営上の疾病です。
【Simple化】絞り込んで、そこに集中的に経営資源を投下して
ください。

ビジネスモデル俯瞰図の中で、お客様へと伸びる矢印に着目し
てください。お客様とは…細分化すると多くの属性が生まれま
す。
ビジネスモデル俯瞰図を分析するときは、ビジネスの流れを示
す一つ一つの流れに着目して確認してください。特に、誰に売
るのか?=顧客の分析は重要です。

創業融資は事業を黒字化させるまでの資金借入です。事業が黒
字化した後は、更に事業を成長させるための資金調達が必要に
なりますが、この成長資金を十二分に獲得できるかどうかでそ
の後の成長曲線は大きく変わります。成長資金の調達が上手く
いかず、せっかく軌道に乗った事業が収縮してしまったり、思
うように成長曲線を描けなかったりする企業を多く見ています。
成長資金獲得のポイントを事例で解説します。

会社名:A社
事業内容:インターネット通信販売
営業年数:個人事業2年、法人1年

個人事業で通信販売を始めたところ、創業2年目で売上高が
1,000万円を超えたため、法人成りをしました。法人成り
をするタイミングで、日本政策金融公庫から300万円の創業
融資を受けました。

調達した創業資金を元手に、事務所の整備や人材の雇用を行い、
売上高は順調に拡大しました。また、法人1年目の期中に保証
付き融資500万円も調達することができたため、法人なり初
年度の業績は予想以上で推移しました。

しかし、利益や借入金の大部分は、仕入や人件費等の投資に回
していますので、利益が上がっても資金繰りにそれ程の余裕は
ありません。そのような状況の中、法人1期目の決算が間近に
迫りました。

A社の社長様が気にしたのは税金です。周りの先輩経営者から
のアドバイスもあり、保険加入や車の購入をしたいとの相談を
お受けしました。ここが大きな分かれ道です。

1.初年度の業績が思いのほか良かったため無理な節税を行う。
2.節税によって本来の税額よりも多額のキャッシュが流出す
る。
3.これにより手元資金が苦しくなるが、利益を圧縮したため、
決算内容が悪く金融機関から相手にされない。
4.常に資金が不足している状況に陥り思うように成長戦略が
描けない。

本当によくあるパターンです。A社の社長様は優れた事業力が
あり、資金があればもっと事業を伸ばせると思いましたので、
節税よりファイナンスを活用した拡大戦略の方が、未来が開け
ることを粘り強く説明しました。

最終的に納得いただき、売上高8,000万円、経常利益700
万円で決算を行いました。200万円弱の税金を納めることに
なりましたが、申告後すぐに2,000万円の資金調達を行う
ことが出来たため、仕入を増やし、その後の売上高は倍々で増
えていきました。無事に事業を成長軌道に乗せることができま
した。

そもそも創業黒字化が最も難しいところですが、無事に黒字化
を達成した企業でも、財務戦略の失敗により立ち行かなくなる
ケースがたくさんあります。1期目、2期目の決算処理が大変
重要になります。

〔※ビジネスモデル俯瞰図とは、ビジネス全体の構造や流れを
把握し、事業の構造や事業の特徴、損益構造などをわかりやす
く整理した図表のことを指します。〕

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をそ
の本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現した
ビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。
ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいとき
の着眼点を整理いたします。

■着眼点1:自社の商品やサービスを販売しやすくするために、
ファイナンス機能を追加した事例を紹介します。

●例えば、ある製造卸販売事業者様の場合、その販売先候補や
卸先候補に対して、その与信上の懸念から新規先の開拓が十分
できていませんでした。このケースでは、商品力の問題よりも、
販売するための与信力の判断または付与が問題になります。
新規顧客開発のためにファイナンス機能を付加することで、大
きな売上アップを狙えます。

具体的には、
◆その1…クレジットの付与
新規販売先に対するクレジットを付与します。クレジット会社
と提携して、与信上の懸念から新規取引を避けていた販売先に
対しても営業を活性化できます。

◆その2…ファクタリングの付与
新規卸先に対してファクタリングを付与します。クレジット会
社と提携して、与信上の懸念から新規取引を避けていた卸先に
対しても営業を活性化できます。

クレジットやファクタリング等、商流を有する企業と金融会社
との相性は抜群です。上手に提携してください。上記の企業様
の場合、ファイナンス機能の付加で、10%以上の売上増を見
込めます。

●例えば、事業者向けに原材料をネットで販売するネット販売
会社が、その販売先に対して、自ら設立した金融会社を使って
ファイナンス事業を行いました。月末締め翌月末払いの支払い
サイトを、1か月伸ばす毎に1%の料率で金利を付与します。
支払いを2か月伸ばした時、月間購入額100万円に対して2
%の金利が付与されます。このファイナンスは年率12%の金
融商品です。この会社は、商材販売の利益に付加して、金融収
益を計上することができます。また、自社商材の販売実績と、
金融会社として確認できる個人情報を合わせて審査することで、
優良債権として運用できています。

金融会社を自らが設立するのには相応の体力が必要です。この
ケースでも、金融会社とのアライアンスで代替えできます。

■商品やサービスに自信があれば、ファイナンスなどの付加機
能の追加を検討してください。

日本の企業、特にメーカーは、その製品の単機能の性能を磨く
ことには優れているが、その製品の使われ方に対する全体設計
が米国企業に比べて苦手だといわれることがあります。
自動車作りでは世界一であっても、新しい自動車社会の構想力
ではグーグルに劣っているのかもしれません。
同様に、商品やサービス自体の性能や品質向上には熱心でも、
そのサービスや商品を販売するための仕組み、ソリューション
の構築は苦手かもしれません。

ビジネスモデル俯瞰図を確認するときは、サービスや商品だけ
ではなく、その販売を補完するソリューション整備に着目する
ことをお勧めします。
ここでご紹介したファイナンス機能の付加は、一つの有望な切
り口です。

また、事業計画を作成するときには、過去のビジネスモデルを
踏襲するのではなく、ビジネスモデル俯瞰図等を活用して、事
業全体の事業立地の付加・転換など、事業自体をその本質から
見直してください。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライ
アントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』
ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つ
ことを宣言いたします。
我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。
遠慮なくご相談ください。

○音声・パワーポイントレジュメ付の誌上無料セミナー(20分)
をご視聴ください。
【創業~中小零細企業経営者が押さえておくべき銀行取引の
基本ルール10!と3つの事例!】
…借り手の論理ではなく貸し手の論理で!
雨傘理論ではなく日傘理論で!

今年の夏も大雨や台風等の自然災害がありました。突発的な災
害により業績に悪影響を受けた企業様もあるかと思いますが、
セーフティネット保証制度を利用できるかもしれません。

セーフティネット保証と言えば、業況が悪化した場合に利用で
きる5号保証制度が有名ですが、突発的災害(自然災害等)の
発生に起因して売上高等が減少している場合に利用できる4号
保証制度もあります。

■ 4号:突発的災害(自然災害等) とは
災害等(指定を受けた災害)が原因で、最近1か月間の売上高が
前年同月比20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含
む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少するこ
とが見込まれる場合に利用できます。

■ 現在の指定案件
・令和元年8月の前線に伴う大雨による災害
・令和元年山形県沖を震源とする地震に係る災害
・平成30年7月豪雨による災害
・平成30年台風第21号による災害
・平成30年大阪府北部を震源とする地震
・平成30年北海道胆振地方中東部を震源とする地震
・平成28年熊本地震

■ 手続きの流れ
対象となる中小企業の方は、本店等(個人事業主の方は主たる
事業所)所在地の市町村(または特別区)の商工担当課等の窓
口に認定申請書2通を提出(その事実を証明する書面等があれ
ば添付)し、認定を受け、希望の金融機関または所在地の信用
保証協会に認定書を持参のうえ、保証付き融資を申し込みます。

災害により直接的な被害を受けた場合はもちろんですが、直接
的な被害を受けていなくても、「災害によりインバウンド観光
客が減少し売上高が落ちた」場合等でも利用できた実績があり
ます。

指定案件は随時更新されますので、現在指定案件に該当しない
場合も定期的にチェックしてみてください。

■ほとんどの事業計画(未来に向かっての計画)は、過去・現
在からの延長線上に立案されています。現事業をどのように守
って育てるのか?もちろん極めて重要な事項ではありますが、
過去・現在からの延長線上の事業計画に縛られすぎると、新し
い事業や発想は生まれてきません。今とは違う事業、今とは違
うやり方…過去・現在の延長線上にこれらの解が存在しないか
らです。

●新しい事業立地を探す、新しいルールを自社で創造する…
●より上位でニッチなマーケットを狙う…
●社長自身の新しい社長像・生き方を模索する…
●価格や商品構成を抜本的に見直す…
等々です。

■また、ほとんどの事業計画(未来に向かっての計画)は、増
収・増益をその目標に置いています。その戦略や戦術が不明瞭
であっても、売上を伸ばし利益を増やす計画になっています。
机上の計算では、売上をプラスして、粗利益率を少しずつ改善
し、販管費の増加を粗利益額の増加よりも少なめにして数字を
走らせれば、計画上の営業利益は簡単に増えます。売上げを毎
年3%増やし、粗利益率を毎年1%改善し、販管費の増加を年
率3%増で抑えれば、5年後には売上高は16%増、営業利益
率は5%以上増えます。机上では簡単ですし、特定の状況下・
ステージでは実現できますが、すべての企業に当てはまるわけ
ではありません。

■事業計画には様々な種類があります。

1.増収・増益を狙う計画
2.減収・増益を狙う計画
3.売上横這い・増益を狙う計画
4.減収・減益を狙う計画
5.細かい数値計画を伴わない計画
…等々です。

◆減収・減益を狙う計画とは…

長期間成長を続けてきて、成長疲れをしているステージにある
会社様は、状況が許せば、減収・減益になる計画、場合によっ
ては赤字転落する計画を立案してもよいかも知れません。成長
疲れとは、力以上の売上、客数…を取るための、力以上の商品
構成や業務を抱えてしまっている状況のことです。クレームや
トラブル、離職が極端に多い企業様には、この成長疲れという
企業病を患っているケースが多いです。思い切って1期でもク
ールダウンしてみるのも一つの選択肢です。この期間に徹底的
に選別と絞り込みを行ってください。思いのほか収支は悪化し
ません。案外…との結果がほとんどです。

◆細かい数値計画を伴わない計画とは…

新規事業の計画などはこの部類に入ります。3年~5年で次の
柱を構築したい、そのために先行投資をして事業を創る、こん
なケースです。
・3年~5年後には□□位の売上と利益を作る。
または、…の状況を作り上げる。
・最大〇千万円までの先行投資(累積赤字)は想定する。
・上記のイメージと予算をもって、一つ一つ考えながら都度判
断して行動する。
予見不可能なことに無理やり細かい数字を与えても、そのこと
から生まれる利はありません。良い意味で行き当たりばったり
に取り組む…賛否両論があるでしょうが、これも一つの選択肢
です。

事業計画には様々な種類があります。事業計画を作るときには、
その種類を検討してください。もちろん増収・増益計画がベス
トです。減収の計画を長期間続けるわけにはいきません。企業
の存在価値が減じます。減益の計画、ましてや赤字の計画を長
期間続ければ破綻します。当然です。それでもあえて申し上げ
るならば、増収・増益を継続できる企業はそう多くありません。
また、増収を狙って減収する場合と、減収を見込んで減収する
場合では、その利益に与えるダメージは大きく違います。前者
が甚大で、後者は軽微です。

中小企業には伸ばし疲れの(伸ばそうとして疲れる)企業を少
なからず見受けます。企業体としても、時には一休み、リフレ
ッシュも必要ではないでしょうか。
事業計画には様々な種類があります。
ご一考いただければ幸いです。

様々なところで「経営者は数字に強くなくてはならない!」等
と言われます。そもそも、「数字に強い」とはどういう意味で
しょうか。「計算が速い」、「多種多様な公式を操ることがで
きる」、といった「計算する力」ではなさそうです。

高度な数学の知識がなくても、特段経営に支障はないはずです。
暗算が苦手ならば電卓があります。帳簿づけが苦手ならば経理
の担当者が、給与計算が苦手ならば社労士さんが、税金の計算
が苦手ならば税理士さんがサポートしてくれます。経営者自ら
が計算しなくても、文明の利器や人材を上手に活用して、経営
に必要な情報を収集する事は可能です。大切なのは計算する力
ではなく、正しい経営判断を下すために、収集した数字の情報
を読み解く力です。

「数字に強い」とは、「数字を読み解く力」の事を指していま
す。算数ではなく国語です。経営者は財務諸表を作れなくても
問題はありませんが、出来上がった財務諸表を読み解く力は絶
対に必要です。財務諸表の読み方を覚えることは、スポーツを
始める時にルールを覚えるのと同じぐらい基本的なことです。

ただ、本当に重要なのはその次です。同じ財務諸表でも、税務
署、銀行、経営者は、それぞれの立場によって全く違った見方
をします。基礎的な読解力は当然のこととして、税務(税務署)、
財務(銀行)、経営の3つの目線で決算書を読み取れなくては
なりません。その「深み」が分かれば、よりバランスの取れた
経営判断を下すことができます。

しかし、3つの目線で財務諸表を読めるようになるには、実際
に税務調査を経験したり、銀行からお金を借りたり、経営者と
してのキャリアを積み重ねたり、といった経験と実績が少なか
らず必要です。書籍に頼っても、この「深み」についての記述
があるものは殆ど存在しません。

では、「財務諸表の深みを読み取れるようになるまでに何年も
時間をかけてはいられない。」という経営者様はどうすれば良
いのでしょうか。簡単ではありませんが、適切な人材を探して
任せるしかありません。教科書的に財務諸表を読み語れる人材
は星の数ほどいますが、中小零細規模企業の財務諸表の深みを
読み語れる人材は本当に希少ですので、次のポイントに留意さ
れてはいかがでしょうか。

1.経営者や実務担当者として、実際に税務調査を受けた経験
があるか。
2.経営者や実務担当者として、実際に金融機関から資金の調
達を行った経験はあるか。
3.これらの経験や実績は、自社と同程度の規模の会社で培っ
たものか。

的確な経営判断を下すために、社内外を問わず、財務諸表の深
みを読み取れる機能を有してください。

人が辞める、人が採れない、思うように人が動いてくれない…
経営者の人に対する悩みは尽きないはずです。ただ、自分自身
すら完全にコントロールできない人間が、他人を自分(自社)
の思い通りにすることなどそもそも不可能であることを認識し
なければなりません。もっと優秀な人が欲しい、もっと頑張っ
て欲しい…無いもの・できないことを求めるのを止めることで、
人に対する悩みは激減するはずです。悲観論ではなく、現実論
として受け入れることから始めてください。
この前提で、考え方を整理しながら、できることを順番に実施
する事しか他に方法はありません。
以下、人事の指針について24項目を掲げました。すべてに○
が付くように心がけてください。

■第1章:人事の基本!

□ 1.すべての従業員に対して公正であるよう努めている。
□ 2.従業員に対して愛と鞭を兼ね備えている。
□ 3.従業員に対して威張っていない。
□ 4.従業員に対して媚びていない。

■第2章:最適化(バランス)の検証!

□ 5.【従業員の市場価値】と【会社が支払う給与】はバラ
ンスしている。
□ 6.【会社が従業員に求める業務】と【会社が支払う給与】
はバランスしている。
□ 7.【従業員の能力】と【その従業員に求める業務】はバ
ランスしている。
□ 8.よくできる人材を、薄給を承知で便利に使い続けてい
ない。
□ 9.道理を越えた高給を支払って雇用したり、慰留したり
していない。
□10.薄給で採用して高度な仕事を求めていない。
□11.ただただ高給を訴求して人を採用しようとしていない。

■第3章:無いもの・できないことを求めない!

□12.能力の低い人に、(精神論として)高度な仕事を任せ
ようとしていない。
□13.薄給で優秀な人材を雇用しようとしていない。
□14.分不相応な従業員を採用しようとしていない。
□15.グレートカンパニーと普通の会社の違いを認識してい
る。

■第4章:人事制度・業務分掌の整備!

□16.会社の業務を整理・整頓している。
□17.その業務に必要なスキルを有する従業員を求めている。
□18.その業務の市場価値を計り、適正な給与を支払ってい
る。
□19.業務上必要なルールを整備することに努めている。
□20.整備したルールは厳守してもらうよう徹底している。
□21.ルールが守られない時は、注意喚起を徹底し、時に罰
を科している。放置していない。

■第5章:教育・訓練の実施!

□22.新たな地位に対して、十分な訓練を受けさせずに、そ
の者を昇進させたりしていない。
□23.現在の仕事に専念している者は昇進させず、代わりに
昇給させる、この選択肢を用意している。
□24.昇進後であっても、不適格と判断すれば戻す措置(再
教育を含む)を講じている。

●最後に…

1.「人事は公正に」、容易ではありませんが経営者の努力目
標です。
2.良い会社になった時に、優秀な従業員が入社します。良い
従業員が集まるから良い会社になるのではありません。
3.「ルールを決めて厳守してもらう」、マネージメントの一
丁目一番地です。
4.「従業員に好かれようとしない。」
(「心に一匹の鬼を忍ばせる。〔稲盛和夫氏〕」)
5.人に対して無いものネダリをしない。

人事制度を整備する時には、人事に対する指針が必要です。指
針無き人事制度は機能しません。自社としてどうしたいのか?
百社百様のオリジナリティーも必要ですが、共通のセオリーも
存在します。
上記のチェック項目も参考にしていただいて、貴社オリジナル
な人事制度を構築してください。

貴社の人事制度構築の一助となれば幸いです。

「財務戦略」とは、「資金の調達と運用」を「戦略的」に行う
ことです。最も効率良く利益を増やすために、いつ、どこから
資金を調達して、どこに資金を費やせば良いかを検討すること
です。

中小企業こそ、攻めの財務戦略が必要です。資金ニーズが発生
してから資金調達を考えるのではなく、資金ニーズが発生する
ことを予測して、もしくは資金ニーズを自ら作り出して、資金
調達を積極的に行うことが「攻めの財務戦略」です。

◆ 財務戦略が無い場合・・・
・月末の資金が不足することが直前にならないと分かりません。
・「機械が壊れる」等の突発的な支出の対応に苦慮します。
・余裕資金が無いため、急なビジネスチャンスに対応できませ
ん。
行き当たりばったりの経営で有事への対応力が弱く、安定した
経営が難しい状況です。また、投資に対する効果という概念が
ないため、結果的に無駄遣いが多くなってしまいます。

◆ 保守的な財務戦略の場合・・・
・「新しいことは何もしない」という硬直化した企業体質に陥
ってしまいます。
・自社の事業の投資効果が薄れていても、気づかないまま事業
を継続してしまいます。
・視野が狭くなり新しいビジネスチャンスを見逃してしまいま
す。
比較的財務内容が良い中小企業でも、近年、10年安泰な事業
はそれ程多くはありません。一定のリスクを冒して攻めなけれ
ば、成長することはもちろん、生き残ることすら難しい時代です。

◆ 攻めの財務戦略の場合・・・
・資金調達を積極的に行い、キャッシュポジションを常に高く
維持しています。
・資金繰りが安定し、落ち着いて経営が出来ます。
・ビジネスチャンスがあれば、スピーディに対応できます。
・機械の買い替えなど、投資計画を立てることにより計画的に
資金調達ができます
・自社の事業モデルの進化発展を、常に考えるようになります。
しっかりと計画を立て、先回りをして資金調達に動きます。資
金に余裕を持つことで経営の選択肢が広がります。

大企業でさえ、成長分野を探して資金を投下し、事業モデルを
変化させながら生き残りを図っています。大企業よりも小回り
の利く中小企業にこそ、攻めの財務戦略が必要ではないでしょ
うか。