「資本効率を示す指標はROE」だと思われがちですが、ここ数
年、機関投資家や銀行のヒアリングで頻繁に出てくるのはROIC
(投下資本利益率)です。ROE が「自己資本(純資産)でどれ
だけ利益を生んだか」を測るのに対し、ROIC は「株主資本+
有利子負債=事業に投じた総資本」で稼いだリターンを示しま
す。つまりレバレッジ(借入)で水増しされない真の稼ぐ力が
分かる指標です。

たとえば自己資本1億円、借入4億円、当期純利益1,000万円の
会社は ROE10%でも、ROICは2%しかありません。借入に依
存した薄利体質では投資家の評価は厳しく、銀行も金利を上乗
せする傾向があります。逆にROICを5%→7%へ改善できれば、
「追加投資しても十分に回収できる会社」とみなされ、金利引
き下げや株主の支援を呼び込みやすくなります。

では中小企業がROICをどう高めるかについて解説します。ポイ
ントは[1]利益率を上げる、[2]投下資本を適正化するの二軸で
す。利益率向上は価格改定や高付加価値商品の投入など攻めの
改善が中心です。一方、投下資本の適正化は在庫日数短縮や遊
休資産の売却、不要な借入の返済など、守りの改善が即効性を
発揮します。とくに売掛金と在庫は気づかないうちに増える資
本食い虫です。月次で回転率をチェックし、不要な資金滞留を
防ぐだけでもROICは着実に向上します。

銀行が融資審査で重視する自己資本比率や債務償還年数は、数
式に置き換えるとROICの変形です。つまり、ROICの改善策は
銀行格付けの改善策と重なる ということです。投資家向けIRを
意識した取り組みが、そのまま金利低減や借入枠拡大につなが
る好循環が期待できます。

まずは自社のROICを算出し、主要取引銀行へ共有してみましょ
う。[1]〔営業利益÷(自己資本+有利子負債)〕で計算し、業
界平均と比較するだけでも課題が見えてきます。その上で「次
年度に ROIC を○%へ引き上げる」という目標を掲げ、利益率
と回転率の改善施策を月次レポートで報告すれば、銀行・投資
家双方からの信頼度は確実に高まります。

ROEは決算書で簡単に見える指標ですが、レバレッジの影響を
排除した ROIC こそが、投資家・銀行の本音の評価軸です。利
益率の向上と投下資本のスリム化、この2点を月次でチェック
し、ROIC を継続的に高める体質づくりに取り組みましょう。
それが結果として、資金調達コストの低減と企業価値の向上を
同時に叶える最短ルートになります。

2025年の日本は、少子高齢化・人口減少・デジタル化の進行、
そして価値観の多様化といった大きな変化の中にあります。こ
うした時代には、「社会の課題をビジネスで解決する」ことこ
そが、事業成功の鍵となります。これから新規事業を始めるな
ら、次の4つの分野が成長性・実現性ともに高く、特に中小企
業や個人事業者にも適しています。

■1.高齢化社会対応型サービス

高齢化が進む日本において、介護や医療だけでなく、その“周
辺サービス”にビジネスチャンスがあります。中でも、現場に
寄り添った小規模サービスは参入障壁が低く、地域密着で展開
できます。

●事例:シニア向け「おでかけ支援サービス」

神奈川県で創業した個人事業主が始めた「まごころ送迎サービ
ス」は、高齢者を病院・スーパー・趣味の教室などに送迎する
有償サービスです。介護タクシーではないため資格不要で始め
られ、口コミで顧客が広がりました。今では月に200件超の利
用があります。

その他にも、配食サービス、買い物代行、訪問美容・ネイルな
ど、日常支援系サービスが高齢者層に広がっています。

■2.地域密着型DX支援(中小企業デジタル化)

中小企業や個人商店の多くは、「デジタル化したいけど、やり
方がわからない」と感じています。特に地方では、IT企業と
の接点が少ないため、身近な支援者が求められています。

●事例:飲食店向け予約管理ツールの導入支援

広島県の30代創業者が立ち上げた「ミセデジ」は、個人飲食
店にLINE予約システムや無料POSレジを導入し、集客と業務
効率化をサポートしています。導入費用を補助金で賄うことで、
顧客負担を抑えながら自社の利益も確保しています。

このように、「難しいITを、わかりやすく手伝う」姿勢が重
宝され、継続的な支援契約にもつながっています。

■3.生成AIを活用した業務支援

ChatGPTなどの生成AI技術は、日常業務やマーケティングの
現場で急速に普及しつつありますが、実際の活用は一部に留ま
っています。この“活用の壁”を超えるサポートが、今後大きな
市場になります。

●事例:中小企業向け「AI活用コンサルティング」

大阪のベンチャー企業「ライトAI」は、製造業の現場向けに、
ChatGPTを活用した「クレーム対応メール」「マニュアル作成」
「営業トーク例」などを自動化する仕組みを提供しています。
定額サブスク型で月額3万円から導入可能にしたところ、IT
に疎い企業からの引き合いが急増しました。

小規模事業者向けにAIの“使い方”と“効果の見える化”を支援
することが、今後の収益源となります。

■4.教育・リスキリング(大人の学び直し)

人生100年時代、働き方が多様化する中で、「学び直し」や
「スキル転換」を支援するビジネスが伸びています。かつての
塾や資格スクールとは異なり、短期・実務直結型の学びが求め
られています。

●事例:40代向けのIT再教育スクール

東京・中野で始まった「リスキルラボ」は、40代、50代の
未経験者を対象に、週1回・3ヶ月間でWeb制作や動画編集を
学ぶ少人数制の教室です。講師は現役フリーランスで、実案件
を題材にした授業が特徴です。転職希望者だけでなく、副業を
目指す会社員も参加し、口コミで拡大中です。

中高年層の不安を解消し、「自分で稼ぐ力を身につけたい」と
いうニーズに応える教育事業は今後も広がるでしょう。

時代の変化は、不安と同時に“ビジネスの種”をもたらします。
高齢化、デジタル化、AI活用、学び直し、これらはすべて
「社会課題」であり、だからこそ「強いニーズ」が生まれます。
これから新規事業を立ち上げるなら、巨大市場や一過性のブー
ムよりも、“小さな困りごと”に焦点を当てたサービスが、持続
的な成長の鍵を握ります。自分自身の経験や地域資源と結びつ
けながら、社会の隙間を埋める事業をぜひ検討してください。

「金利や融資枠は銀行が決めるものだから動かせない」と思っ
ていませんでしょうか。確かに正式な内部格付(リスクランク)
は、年1回、決算書をもとに更新されるのが原則です。しかし
実務の現場では、月次の数字と対話次第で“暫定的な先行修正”
が行われるケースも少なくありません。今回はその仕組みと、
銀行ごとの違いに注意しながら活用するポイントをまとめます。

1.銀行が月次で見る5つの指標
・自己資本比率
・営業キャッシュフロー
・売上総利益率
・有利子負債/EBITDA
・借入金依存度
これらを月次試算表で示し、改善の軌跡を共有することで「債
務者ランク改善の兆しあり」と営業店が本部に報告しやすくな
ります。

2.資金繰り表に載せる3つの「日数」
・売掛金回収サイト
・買掛金支払サイト
・在庫回転日数
資金の安定度を日数で可視化すると、非財務評価でプラス材料
になります。

3.事例(地方銀行で確認した複数ケースをモデル化)
製造業A社は、毎月月次レポートを提出。3か月連続で営業
CFが黒字化し、有利子負債/EBITDAが5.2→4.8倍へ改善し
たタイミングで、営業店裁量により金利が年0.3%先行引き下
げ。決算確定後、本部審査で正式に1ランクアップし、条件が
恒久化されました。
※内部格付の階級・先行修正の裁量は金融機関ごとに異なりま
す。本事例は一例であり、具体的な金利や改善幅は取引銀行で
ご確認ください。

4.金融機関別の大まかな傾向
・地方銀行:営業店判断で動く例があり、先行金利修正は
年▲0.2~0.4%程度。
・信用金庫・信用組合:店舗裁量が大きく、先行金利修正は
年▲0.1~0.3%程度。
・メガバンク:本部集中管理でハードルが高く、先行金利修正
は年▲0.05~0.2%程度。

5.提出サイクル&対話術チェックリスト
・月次締めは翌月10日以内
・レポートは「ワンシート+注記」
・改善策の実行状況を3行程度で記載
・四半期ごとに担当者と面談し、数字の裏付けを説明

正式格付は年1回でも、月次レポートは「期中の暫定評価」の
材料になります。数カ月続く改善を数字と言葉で示せば、金利
や枠が前倒しで緩和される可能性があります。ただし運用ルー
ルは銀行ごとに異なるため、必ず取引銀行に確認をしてくださ
い。

前回号の続きです。

経営を変えたい、会社を成長させたい、多くの経営者がそう願
います。しかし、そのためにまず取り組むべきは「戦略の見直
し」でも「人材の刷新」でもありません。最も効果的で、すぐ
に始められる変革の第一歩、それは「時間配分の見直し」です。

経済評論家・大前研一氏は次のように語っています。
「人間が変わる方法は3つしかない。ひとつ目は時間配分を変
えること。ふたつ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合
う人を変えること。」
ここでは「時間配分を変えること」について言及します。

この言葉は、経営者の自己革新において極めて本質的です。な
ぜなら、時間は唯一、誰にとっても平等に与えられた資源であ
り、その使い方次第で成果が大きく変わるからです。

【1】今の「時間の使い方」は、未来の成果を決定している

経営者の1日は忙しく、会議、現場対応、経理、営業、トラブ
ル処理と、やることは山積みです。しかし、その多くは「緊急
だが重要ではない」仕事に追われていることが少なくありませ
ん。未来を変える仕事、戦略立案、人材育成、新規事業の構想、
資金調達の検討、こうした「重要だが緊急ではない」仕事に、
どれだけ時間を使えているかが経営者の成長を左右します。

【2】時間配分の見直しがもたらす変化

経営者が1日のうちたった1時間でも、「考える時間」「学ぶ
時間」「戦略を練る時間」にあてれば、半年後、1年後の企業
の方向性は大きく変わります。

・毎朝30分、思考を整理するノートを書く
・週に1時間、専門書を読む
・月に1日、オフィスを離れて未来を考える時間を確保する
こうした小さな時間の投資が、長期的なリターンを生むのです。

【3】「経営者でなければできない仕事」に集中せよ

時間を再配分する際、まず見直すべきは「自分でやらなくても
いい仕事」にどれだけ時間を使っているかです。

・経理処理を細かくチェックしていないか
・現場の細部に口を出しすぎていないか
・社員ができる仕事を、自分が抱え込んでいないか
こうした業務を手放し、「経営者にしかできない仕事」未来を
描き、方向を決め、資源を配分する仕事に時間を集中すべきで
す。

【4】時間の再配分は「行動の習慣化」から始まる

人は、自分が習慣化していないことには時間を割きません。だ
からこそ、まずは「変えたい時間の使い方」を習慣に落とし込
む工夫が必要です。

・朝イチに「今日の重要タスク」を決める
・毎週○曜日は「学びの時間に充てる」と決めておく
・月初の1日は「戦略レビューの日」とスケジューリングする
このように、あらかじめ時間をブロックし、“意図的に確保す
る”ことで、時間の質が変わり、経営者自身の視座も高まって
いきます。

【5】「忙しい=成果が出ている」と錯覚しない

多くの経営者が「忙しさ」に充実感を見出してしまいます。し
かし、忙しさは「思考停止」の温床にもなります。忙しい状態
こそ、時間配分を根本的に見直すサインだと捉えるべきです。

・自分がいなくても回る業務は手放す
・判断が遅れる業務は、最初から人に任せる
・アポイントは「緊急性」ではなく「戦略性」で優先順位をつ
ける
こうした意識改革により、本当に集中すべき仕事に時間が戻っ
てくるのです。

【結言】時間配分を変えることが、経営の未来を変える

中小企業の経営環境は、日に日に複雑さを増しています。判断
の質、スピード、視野の広さ、これらすべては、経営者自身の
「時間の使い方」の中から生まれます。

会社を変えたければ、まずは自分を変える。自分を変えるには、
何よりも先に「時間の再設計」を行うべきです。その第一歩は、
カレンダーの見直しからでも構いません。あなたの時間の流れ
を変えることが、社員の時間の流れを変え、最終的には会社全
体の成長サイクルを変えていくのです。

「本体の業績は伸び悩んでいる。だから事業Aだけを切り出し
て新会社を作り、ゼロから資金調達できないか」。このような
相談をお受けすることが、しばしばあります。しかし結論から
言えば、株主も代表者も同じままでは“新会社”とは見なされず、
融資の扉はほぼ開きません。

まず、日本政策金融公庫や信用保証協会は「事業の実態」を重
視します。法人番号が変わっても、経営者と株主が同一なら
“同じ会社”と判断され、既存企業の評価(赤字・リスケ中など)
がそのまま反映されます。
民間銀行が無担保・無保証のプロパー資金を、新設法人にいき
なり出すことも極めてまれです。

「では株主と代表者を他人に替えれば?」という声もあります。
確かに形式上は可能性が残りますが、それはもはや自分の事業
ではなく、資金調達の権利も意思決定も他者の手に渡ることを
意味します。新会社の経営者として責任が取れないまま資金調
達に成功しても、その後の経営が順調に進む保証はありません。
むしろ、経営権と資金コントロールを失うリスクが高まります。

金融機関が見ているのは「数字」と「態度」です。赤字でも、
借入のリスケ中でも、改善計画に沿って着実に利益を積み直す
姿勢こそが最大の信用回復策です。実績を積み、約束を守り、
報告を徹底する。地味ですが、これ以外に扉を開く方法はあり
ません。

もちろん、新会社設立を完全に否定するわけではありません。
事業を守るための法的整理や持株会社化など、合理的な再編が
必要な場面もあります。ただし前提は、「既存会社が示した誠
実な改善の軌跡」です。そこを飛ばして“形だけの別会社”に逃
げ込んでも、信用はゼロどころかマイナスからのスタートにな
ります。

金融機関は努力の痕跡を数字で測ります。赤字縮小→単月黒字
→通期黒字、この階段を上る企業には、確実に追加融資の可能
性が拡がります。「信用は借り換えできない」。だからこそ、
自社の帳票に一つでも多くの黒数字を刻むことが、次の資金調
達を呼び込む最短ルートになります。

もし改善の階段を上れないままでは、残念ながら市中金融機関
からの調達は現実的ではありません。その際は、個人的な支援
者や事業パートナーを探し、別ルートでの資金確保を検討する
ことになります。

形式だけを変えても評価の土台は変わりません。まずは本業の
改善と信頼の回復を図り、その上で組織再編や新会社設立を検
討することが、結果的に最短ルートとなります。

変革を志すとき、まず何を変えるべきか。経営戦略、商品、社
員、財務体質。確かにどれも重要ですが、もっと本質的で、か
つ確実に自分と会社を変える方法があります。

それは、「付き合う人を変えること」です。

経済評論家・大前研一氏は、次のように述べています。
「人間が変わる方法は3つしかない。時間配分を変えること。
住む場所を変えること。そして、付き合う人を変えること。」

この3つの中で、経営者が最も効果的に自分を変革できる手段
が、「誰と付き合っているか」を見直すことだと私は思います。

私たちは、気づかぬうちに周囲の人間の影響を大きく受けてい
ます。日々の会話、価値観、考え方、判断基準、時間の使い方、
そのほとんどは、自分の中から湧き出てきたものではなく、
「誰と交わっているか」によって決まっているのです。

経営者として、もし最近「成長が止まっている」「新しい視点
が湧かない」と感じているなら、それは人間関係の停滞が原因
かもしれません。日々付き合っている人が、あなたに変化と刺
激を与えているかどうか、まずはそこを点検してみてください。

以下に、経営者が人間関係を見直すべき具体的なポイントを提
言します。

【1】“反応型”の人間関係から、“目的型”の人間関係へ

取引先、地元の仲間、同業者、親しい古くからの付き合い、こ
れらは決して悪いものではありません。ただし、慣れ合いや惰
性だけの関係になっていないかを見直してください。経営者に
は、「学びたい」「刺激を受けたい」「意見を交換したい」と
いう目的意識を持った関係構築が必要です。

【2】「異質な人」と定期的に交流を持つ

同じ業界の人とばかり話していても、新しい発想は生まれませ
ん。異業種の経営者、異世代の起業家、海外で活躍している人、
専門家、アーティスト、価値観の異なる人との対話は、思考の
幅を広げ、柔軟な発想を可能にします。あえて「違和感のある
人」と会うことで、自分の思考回路を再構築できるのです。

【3】尊敬できる人とつながる

自分より経験豊かで、実績を積み重ねてきた経営者との交流は、
言葉にならない多くの学びをもたらします。成功している経営
者と定期的に会うだけで、考え方や判断スピード、経営者とし
ての「器量」の違いを肌で感じることができ、自らの基準も引
き上げられます。

【4】「人間関係の棚卸し」を実行する

1カ月に一度でも、自分が最近どんな人と時間を過ごしている
かを可視化してください。その中に、「ただの習慣的な付き合
い」「会うたびにエネルギーが削られる人」「過去の自分の延
長にいる人」はいないでしょうか。逆に、「話すと前向きにな
れる人」「自分に刺激を与えてくれる人」が足りていないなら、
意識的に時間をつくるべきです。

【5】人間関係を変えることを恐れない

「長く付き合ってきた人を変えるなんて申し訳ない」「断ち切
るのは失礼だ」という気持ちは理解できます。しかし、あなた
の時間と精神力は有限です。そしてそれは、あなた一人のもの
でなく、社員や顧客、家族の未来にも関わっている資源です。

成長したい、変革したいと本気で思うなら、付き合う人を変え
るという“決断”が必要です。それは他人を切ることではなく、
未来に向かう自分を選び直すことなのです。

中小企業の経営は孤独です。しかし、孤立してはいけません。
あなたの周囲に、あなたの思考を引き上げ、行動を促し、視野
を広げてくれる人はいますか?

もし今いないなら、今日からつくり始めましょう。誰と付き合
うかを変えれば、自分が変わります。自分が変われば、会社も
変わります。そして、その変化はやがて、社員と社会を巻き込
んだ“次の成長”へとつながっていくのです。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライ
アントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』
ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つ
ことを宣言いたします。
我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。
遠慮なくご相談ください。

「いつでも借りられる状態」を本気で目指すなら、 プロパー当
座貸越枠(銀行が与信の“最上位”と位置づける融資形態)の獲得
がゴールになります。
枠さえ確保できれば、必要なときに素早く資金を引き出し、返
済も自由。季節変動や大型受注への対応力が格段に高まります。

1.資金需要は“経常運転資金”で示す
まず前提として、銀行が枠を設定するのは「常に回し続ける運
転資金がある企業」です。売掛金・在庫・買掛金の実態を月次
で整理し、「日常的にこれだけの資金が回っている」と明確に
示しましょう。

2.利益こそ信用の源泉
当座貸越は、期日返済のない“出し入れ自由”の借入です。銀行
が安心して枠を出すには、「利益で将来の返済能力が継続的に
確保できる」という確信が欠かせません。赤字決算が続く企業
に枠はまず付きませんので、毎期きちんと黒字を積み上げる姿
勢を試算表や決算書で示すことが王道です。

3.自己資本で“余裕”を見せる
利益が蓄積され自己資本が厚くなるほど、バランスシートは強
固になり、銀行の与信判断は大幅に好転します。自己資本は
「返さなくてよい内部のクッション」ですので、ここが薄い間
は、枠ではなく1年以内の短期融資で留め置かれがちです。ま
ずは利益留保を最優先に考えましょう。

4.定期的な情報開示と対話
枠は“一度取ったら終わり”ではありません。銀行は最新情報で
企業を評価し続けます。月次試算表・資金繰り表をタイムリー
に提出し、四半期ごとに事業の進捗を共有する習慣を持てば、
「この会社は管理水準が高い」という印象を与え、枠の維持・
増枠に繋がります。

5.枠は“信用の循環装置”
当座貸越枠は資金を手元に置くためのものではなく、“信用を
循環させる装置”です。枠があることで、社内キャッシュを厚
めに保ち、仕入先や人材への投資を機動的に行えます。結果と
して利益が生まれ、自己資本が増え、さらに枠が拡大するとい
う好循環のスタート地点が「プロパー枠の獲得」です。

・経常運転資金を根拠に需要を提示する
・黒字体質を継続し、自己資本を厚くする
・情報開示と対話で銀行に安心感を与える

この三本柱を地道に積み上げれば、プロパー当座貸越枠は決し
て夢物語ではありません。枠を手に入れ、資金繰りの自由度を
高めて、次の成長ステージに備えましょう。

デジタル化が進む現代、WEBマーケティングは中小企業にとっ
て「選択肢」ではなく「必須戦略」となりました。
特に2025年以降は、SEOからLLMO(大規模言語モデル最適化)
への移行期に差し掛かり、出遅れた中小企業にも大きなチャン
スが訪れています。その背景、成功事例、今後の戦略について
解説します。

■1.なぜ中小企業にWEBマーケティングが重要なのか?

●1.小規模でも全国・世界にリーチできる

中小企業は資金力や人材に制限がある一方で、WEBを活用すれ
ば限られた資源でも大きなリーチが可能です。自社の強みを明
確に打ち出すことで、ニッチ市場でも圧倒的存在感を発揮でき
ます。

●2.広告よりも“育てる”型の資産になる

SEOやSNS運用、ブログなどのコンテンツマーケティングは、
広告と異なり“支出型”ではなく“資産型”の施策です。時間をか
けて作った記事は、数年後も継続的に集客し、問い合わせを生
み出します。

●3.顧客と直接つながる「信頼づくり」の場

BtoCでもBtoBでも、顧客はまず「検索」から入ります。情報
発信を続けることで、企業ブランドへの信頼が生まれ、競合と
の差別化にもつながります。

◆成功事例1:地方の工務店が月商3倍に

山形県の小さな工務店A社は、SEO施策とInstagramを連携し、
施工事例や住まいの知識を定期発信。
地元キーワード「山形 自然素材 住宅」で検索上位を獲得し、
問合せ数が半年で5倍に。結果、広告費ゼロで月商が約3倍に
伸長。
◎ポイント:地域性×専門性×SEOの掛け合わせ

◆成功事例2:老舗和菓子店がEC化に成功

創業70年の和菓子店B社は、コロナ禍で実店舗の来客が激減。
自社ECサイトを立ち上げ、ブログ記事で「贈答マナー」「和菓
子の意味」などを発信。検索流入が月1万PVに達し、EC売上
が前年比280%に。
◎ポイント:伝統文化×ストーリーSEO×体験価値

◆成功事例3:BtoB製造業がリード獲得10倍

金属加工業C社は、法人営業の縮小を機に、自社ホームページ
に「技術ノウハウブログ」と導入事例を掲載。検索から大手企
業の技術者が流入し、年間50件以上のリード獲得に成功。
◎ポイント:専門性×技術資料×長期SEO

■2.今は“出遅れ組”にとってもチャンスの時代

2025年6月以降、Google検索はAI Overviews(AIO)やチャ
ット型検索の導入により大きく変化すると予測されています。
従来のSEO(キーワード中心)ではなく、「文脈・意図・構造」
で評価されるLLMO時代(大規模言語モデル最適化)に突入し
ます。

ここでの重要点は、
・古い記事や量産型コンテンツはリセット対象に
・出遅れた企業でも、質の高いコンテンツを出せば一気に上位
を狙える
・GoogleもAI主導の“公平な検索”を目指している

つまり、過去にSEOの積み上げがなかった中小企業こそ、「今」
から本質的な施策を始めることで逆転のチャンスが広がってい
るのです。

■3.今こそ動くべき!中小企業のWEB戦略チェックリスト

・SEO対策の現状確認…サイトはGoogle検索で上位に出ている
か?
・ストーリーあるコンテンツの有無…顧客が読みたくなる情報
が整っているか?
・SNSやメールとの連携…流入後の「ファン化」導線があるか?
・モバイル・スピード対応…UXや技術的最適化ができているか?
・AI検索への最適化(LLMO対応)…構造化・FAQ・会話形式
の設計がなされているか?

中小企業にとって、WEBマーケティングは「広告の代替」では
なく、「未来への布石」です。今こそ、出遅れを恐れず、本質
的な価値提供に向けて発信を始めましょう。AI時代だからこそ、
人間らしさと信頼性のあるコンテンツが最大の資産になります。