年初に当たって、もう一度、経営の基本原則について言及させ
ていただきます。一つの考え方としてご確認ください。

■1:無駄の少ない「Simple」な経営を目指してください。

余計なものをそぎ落とし、密度の濃い「Simple」な経営体に生
まれ変わりましょう。以下の仮説を持っています。

『日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。売上至上主義は、分散症候
群や安売り症候群を招く原因のひとつです。脱・売上至上主義、
減収(売上減)を容認する経営に移行してください。』

売上高はいくらか?社員数は何人か?事務所は大きいか?立派
か?…事業体の良し悪しをこのような基準で判断するのではな
く、利益はいくらか?…この単純な尺度で図る発想も重要です。
同じ利益なら、売上は小さい方が、社員数は少ない方が、事務
所は狭い方がよい…こんな考え方もあるはずです。

■2:高収益「Profitable」な企業作りを目指してください。

売れた時には、大きな利益を出せる収益構造を当初から設計し
ましょう。高めの粗利益率の設定、高めの値付けを心掛けてく
ださい。値決めを外すなら高めに外してください。ビジネスと
して完成した時点での営業利益率は20%以上で設計してくだ
さい。安売り戦略は、経営の難易度を高め、事業体の創造力を
奪い去る原因になります。

■3:手持ち資金を潤沢「Ample」に維持してください。

資金余力は企業経営の余裕代、時間を提供してくれます。財務
機能を持ってください。資金は可能な限り潤沢に持ち続けまし
ょう。借入れの金利負担よりも、資金に困るリスクの方がはる
かに深刻であることを認識してください。また、借入れのタイ
ミングは、自社が資金を必要とするタイミング(借り手の都合)
ではなく、金融機関が融資できるタイミング(貸し手の論理)
に沿うことが重要です。総じて貸し手の方が強いからです。
資金余力がもたらす経営者の心の余裕と、増加分の金利負担を、
天秤にかけて比較してください。

※当事務所が提供する【財務部長の代行業務】の導入を検討し
てください。

■4:変化に対応できる柔軟性「Flexible」のある企業体を維
持してください。

計画のずれを想定した経営を行ってください。計画(売上の達
成)が遅れることを想定しながら経営してください。「コント
ロールできない売上を、コントロールできる売上以外の経費の
執行で調整する」、これが経営管理です。経費の執行をワンテ
ンポ遅らせる…これが不透明な時代に、企業体力が十分でない
事業体が選択すべき経営のコツです。また、遅れを許容するた
めの資金余力を持てる財務戦略が重要です。

■5:経営判断を明確「Clearly」にしてください。

感覚に頼らず、数字を基準にした論理的な経営を行ってくださ
い。曖昧な経営判断、お人好しな対応を止めましょう。経営は、
感覚や概念ではなく、数字で管理してください。感覚や概念を
基準に考えると、判断が曖昧になりがちです。数字基準での判
断は、その判断の精度を各段に向上させます。経営が締まりま
す。

◎経営の判断基準は何か?永遠のテーマです。経営の判断基準
は無限にあります。逆にも真あり、敢えて真逆を攻めることで
成功することもあります。それでも、王道をお薦めいたします。

王道とは、多くの偉人が語り続けた経営の道です。上記の方針
は、偉人が語る経営の道に近似しているはずです。当然です、
偉人の言葉を借りているからです。経営者の皆さま方が、理詰
めで考えて、腑に落ちた部分については、今後の指針として、
深く、深く…心に刻んでください。

創業・起業時の資金調達手段として最もポピュラーなのは、日
本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の創業保証です。一
定の要件を満たせば誰でも利用できる制度であり、創業・起業
時の資金調達環境は比較的整っていると感じます。

しかし、創業・起業は3年で7割が廃業するとも言われており、
創業融資を受けて無事に開業できても、生き残るのは大変厳し
い世界です。では、3年未満に廃業してしまう事業者と3年以
上生き残れる事業者の違いはどこにあるのでしょうか。長年の
経験から、生き残れるかどうかは、創業融資の次、2回目の融
資を受けられるかどうかが決め手だと感じます。

2回目の融資を受けられる時期は、1期目ないし2期目の決算
が終わった辺りですが、2回目からの融資は、創業融資のよう
に要件の充足ではなく、業績(実績)が重視されます。

2回目の融資で最も重視される業績は売上です。創業して1年
ないし2年が経っても一定の売上が立たない場合は、経営者の
実力が不足している、もしくは提供している商品やサービスが
市場から必要とされていないと考えられます。よって、2回目
の融資を受けるためには売上が必須です。売上が立てば、一般
的には月商の2カ月程度の融資を受けられる可能性が出てきま
す。

売上が立ったけれど赤字の場合はどうでしょうか。赤字の額に
もよりますが、赤字だからといって絶対に融資を受けられない
訳ではありません。損益分岐点に届かなかったため赤字だが、
融資金によって損益分岐点を超える売上を獲得できると判断で
きれば融資をしてくれるはずです。

創業時にありがちなミステイクの一つは、本当は利益が出てい
るのに納税を嫌って意図的に業績の悪い決算にすることです。
決算内容を悪くすることで、2回目の融資を断られる、もしく
は少額に留まってしまうと、攻める経営ができない⇒低成長⇒
さらに融資も出なくなるという悪循環に陥り、事業の拡大どこ
ろか段々と資金が細り遂には廃業ということになりかねません。

一方、納税を受け入れて利益をしっかり出した企業は、2回目
のファインナンスにより事業を成長させることができ、その成
長が更に大きな融資を呼び込みます。1期目もしくは2期目の
決算処理を誤ることで、その後の姿が大きく変わるので気をつ
けてください。

創業・起業された方は、最初の目標を「2回目の融資を受ける
事」に設定することで生き残れる可能性がぐんと高まります。
2回目の融資を受けるために必要なことをひとつひとつ学んで
いきましょう。

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

今年は令和5年です。昭和98年ではありません。誰もが知って
いるはずですが、昭和の経営・考え方をそのまま踏襲している
方も少なくありません。新年を迎えるに当たって、もう一度令
和の経営について考えていただければ幸いです。

■1.昭和と令和は社会情勢が大きく異なります。

昭和は、危険・不便・不快等、解決すべきテーマがたくさんあ
りました。前回の東京オリンピックが開催された1964年の冷
蔵庫の普及率は10%だったそうです。大変不便な世の中でした。
このような大きな困りごとを解決するためのプロダクト開発と
大量生産、それを実現するための同質化されたマネージメント
体制が構築され、「ジャパンアズNO.1」と世界中の注目を浴
びるまでに成長を遂げました。バブルの崩壊までは…

令和は、安全・便利・快適を実現し、大きな課題を見つけにく
い時代です。皆が残された小さなテーマの解決に総動員して取
り組むことで、強烈な同質化・価格競争を招いています。低成
長と低収益のスパイラルから抜け出せません。

■2.であるにも関わらず、我々は、昭和文化に縛られた環境
で今日も生きています。

先輩の経営者、仲間、コンサルタント、書籍…ほとんどが昭和
です。結果として、我々は昭和の経営原則を疑いもせず、信じ
込んでいます。

◆新しい経営原則について考え直してみませんか?

【PL】売上ではなく利益を、規模から質への転換を!
【BS】所有する経営から持たない経営へ!
【MG】ボトムアップの経営からトップダウンの経営へ!雇用
から業務委託へ!

■3.さらに、我々は、昭和のビジネスモデルから未だに抜け
出せません。

2世代上の先輩たちが定義した業種・業界に縛られ、はるか昔
に創造されたマネタイズ・ビジネスの型を未だに模倣していま
す。

◆新しいビジネスの型に転換しませんか?

サブスクリプション1.0⇒2.0
ソリューション提供企業への転換
D2C(C2M)、クラウドファンディング、DX
業界の壁を破る
ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム
…等々

■4.これからは、すさまじいスピードでビジネスが変わりま
す。

・真のネット企業がリアル企業を凌駕します。
例)銀行の凋落、すべての分野で同じ事が起こります。

◎OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオ
フラインの融合を意味しますが、その真はネット企業がリアル
企業を飲み込む現象です。

◎さらに、ITの3次元化(メタバース)が始まります。

・カーボンニュートラル(炭素ゼロ)政策が自動車業界を直撃
します。出荷額62兆円、全製造業の19%、GDP比12%(2018
年)を占める自動車業界に激震が走ります。

■5.様々な分野でルールチェンジが起こっています。

見方を変えることができれば、我々中小企業やこれから事業を
始める若者には大きなチャンスです。100mを早く走る競技で
は勝てないが、100mを20秒ジャストで走る競技を作ることが
できれば、金メダルも夢ではありません。下剋上・激変、チャ
ンスの到来です。

特に、以下の3つは新ルール構築の目玉になるテーマです。

1.OMO(Online Merges with Offline)!
⇒デジタルシフトではなくDXを!
2.メタバース!
⇒ITが2次元から3次元空間の中に移動します。
3.SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能
な開発目標)」17の目標と、それを達成するための具体的な
169のターゲット!

■6.隆々と生き残り、成長する企業体を作りましょう。

・昭和のルールにとらわれず、
・強烈な同質化・価格競争を回避し、
・新しい事業立地やビジネスの型を理解して導入して、
・新しいルールの創造者としての地位を確保する

◎SP経営!=脱・昭和、令和の経営!
令和企業に転身し、前途洋々たる未来に向かって、共に頑張っ
ていきましょう。

本年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

金融機関は「決算書」を拠り所に融資審査を行います。中小企
業の場合、税理士事務所が税務目線で作ることが多い決算書で
すが、金融機関は税務署ではありませんので、「税金が正しく
計算されているか。」ではなく、「貸したお金が本当に返って
くるか。」という目線で見ています。よって、税務上は正しい
決算書であっても、提出された決算書をそのまま分析するので
はなく財務の目線で修正しています。

下記にセルフチェックの手順をご紹介します。すべての金融機
関が必ず下記の手順で診断している訳ではありませんが、基本
的な考え方としてご了承願います。

1.損益計算書の修正および診断

◆ 減価償却不足を修正します。
減価償却の未計上は税務上問題ありませんが、利益が正しく計
上されないため、財務上は必ず計上します。よって減価償却不
足がある場合、「税引き後利益-償却不足額」で利益修正を行
います。

◆ 役員報酬を修正します。
役員報酬を減らして利益を大きく計上するなど、役員報酬は利
益の調整弁になりやすい項目です。役員報酬額を実際に必要な
生活費よりも過小に計上している場合は、「実際に必要な生活
費(※360万円程度)-役員報酬額」を税引き後利益から差
し引きます。反対に実際に必要な生活費以上の役員報酬を得て
いる場合は、「役員報酬額-生活に必要な生活費(※800万
円程度)」を税引き後利益に加算します。
※金額はイメージしやすいように例示したものです。あくまで
も参考程度とお考えください。

【返済能力の診断(診断その1)】
修正後の損益計算書を基に返済能力を診断します。企業の返済
能力は、「修正後の税引き後利益+減価償却費」で求められま
す。この値がプラスであれば第1段階の診断はクリアです。マ
イナスであればプロパー融資を受けるのは難しくなります。

【適正借入額の診断(診断その2)】
返済能力を確認したら、次は借入額が返済能力に見合っている
かを診断します。「(金融機関からの借入額-現預金)÷(税
引き後利益+減価償却費)」で求められる値が「10」未満に
収まっていれば資金調達余力があると判断されます。10以上
となった場合は新たな借入は難しくなりますが、正式な算式は
さらに細かいものになりますので個別でお問い合わせください。

2.貸借対照表の修正および診断

◆ 不良資産の修正
資産の中から、実際は価値の無い資産を減算していきます。例
えば、回収不能な売掛金や貸付金、不良在庫、使途不明な仮払
金などは減算の対象です。販売先が破産を申し立てた場合、税
務上は破産手続きが完了するまで資産に計上しておかなくては
なりませんが、実態は回収見込みが薄いため、財務上は減算し
ます。

◆ 返済不要な負債の修正
社長個人からの借入金など、差し迫って返済が不要なものは負
債から減らすことが出来ます。

【安全性の診断(診断その3)】
倒産しにくい会社かどうかを、「自己資本」で判断します。こ
の場合も、修正後の貸借対照表を基に、「修正後の資産-修正
後の負債」で自己資本を算出します。損益計算書の診断結果が
良好で、この値もプラスであれば融資を受けられる可能性はさ
らに高くなります。

以上、3つの診断の結果はいかがだったでしょうか。ひとつで
もクリアできていない項目があれば財務面に問題を抱えている
ことになりますので、お早めにご相談ください。

前回号のつづきです。

■何十年間も同じことを繰り返している会社は少なくありませ
ん。

創業以来、先代以来…ずっと同じことを行っています。事業を
創る、事業立地を見直す、イノベーションを企てる、これらの
発想すらありません。それでも、社長は、従業員も皆まじめに?
働いています。この会社は、静かに衰退をたどりながら、時に
急激にその使命を終えることになります。

「今年生まれた子供たちが、二十年後に就職する会社の半分は、
今存在しない会社だ」と言われています。二十年で会社の半分
は入れ替わるとの仮説です。多分そうなるのでしょう。AIに
取って代わられる業種、話題を呼んでいますが、自社がその中
に入っているのかの心配には及びません。すべての会社が時代
に取って代わられるからです。

変化しなければ会社は存在意義を無くします。時代毎のニーズ
に対応することが生き残るための条件です。経営は、連続的な
小さな変化を続けて行かなければなりません。この小さな変化
は、時間を経て大きな変化を遂げます。激変したように見える
会社も、小さな変化の積み重ねです。

■「事業計画を策定する」このテーマについて言及しています。

事業計画は、変化のための種です。何をどう変えて、○○まで
にどのように変化させるか!この仮説こそが事業計画です。過
去の流れを踏襲するだけの数値計画を作って満足してはいけま
せん。

■事業計画作成時の重要度
※事業計画作成時には、以下の要素が含まれているか確認して
ください。

○事業立地の見直し・イノベーションの付加ができているか?
…重要度S
○収益モデルの創造・見直しができているか?…重要度S
○現状の認識は十分か?…重要度A
○(仮)のゴール〔マイルストーン〕の設定はできているか?
…重要度S
○全体を包括する整合性の取れた数値計画ができているか?
…重要度A
○数値計画と資金計画との整合性を確認できているか?
…重要度B
○マネージメント体制は成長についていけそうか?又は、妥当か?
…重要度B
○日々修正しながら現実的に対応できているか?…重要度S

■経営者の仕事は、事業立地とビジネスモデルの検証・構築、
すなわち事業計画の立案・見直し以外にありません。

経営者の仕事は何?あれもこれも…たくさんありますが、重要
度で下位から消去して最後に残るのは、「事業立地とビジネス
モデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案・見直し」です。
であるにも関わらず、大半の経営者はこれらの仕事をぞんざい
にしています。故に、経営者不在の企業体になり下がっていま
す。創業時に考えたビジネスモデルや、親から受け継いだビジ
ネスモデルを進化・発展させることなくただただ継続していま
す。事業計画と称して、過去の事業の時間軸を先に延ばして置
き換えるだけの数値計画を作って自己満足しています。体裁の
良い数値計画は事業計画ではありません。肝に銘じてください。

■経営者には3つの胆力が必要です。

経営にウルトラCは滅多にありません。一つ一つ理詰めで考え
抜く、一つ一つ確実に行動に移す、都度調整しながら継続して
積み上げていく…この行為を粛々と続けていくことこそ王道で
す。

◎理詰めで考える知力と、これを継続する知的胆力
◎確実に行動し続ける行動力と、これを継続する肉体的胆力
◎中々上手く行かないことに耐える耐力、これを継続する精神
的胆力

経営者には3つの胆力が必要です。

■事業計画とは、江戸時代に中国の奥地の○○を目指す長い旅
の旅程表のようなものです。

存在自体が不確実なゴールに向かって、一歩ずつ歩みを続けて
行かねばなりません。(江戸時代に)日本から中国の奥地を目
指すなら、まずは大陸に渡る手立てを考えます。渡れる航路を
求めて港に向かいます。そのためには、港に向かうための旅費
が必要になります。大陸に渡っても、続く道の存在は不確実で
す。それでも渡ります。ゴールまでの旅費の算段が読めなくて
も、それでも一歩ずつ前に進みます。これらの過程では、様々
なトラブルにも見舞われることでしょう。トラブルをできるだ
け避けながら、遭遇したら解決しながら、不確実なゴールに向
かって歩み続けます。この旅路にゴールは存在しません。

経営とは、ゴールではなく、そのプロセスそのものであるよう
に思います。知的胆力と肉体的胆力、そして精神的胆力を鍛え
ながら、経営という長旅に共に挑んでいきましょう。楽しみな
がら。

本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
感謝・合掌

人員を雇用する、広告を出す、値引き販売をする等の投資判断
を行う際、最も気になるのは採算が取れるかどうかです。最終
的には、やってみなければ分からないと言うのが本質かも知れ
ませんが、まずは机上で採算が取れるか否かを検証する必要が
あります。

投資を行う際に知っておくべき点は「採算ラインとなる売上高」
です。専門的には損益分岐点売上高と言います。損益分岐点売
上高を求める算式は、固定費÷変動費率です。変動費率を求め
るのは少し手間がかかりますので、変動費率の代わりに粗利率
を代用することで大まかな採算ラインが分かります。「損益分
岐点売上高=固定費÷粗利益率」は、様々な場面で多用出来る
式ですので是非覚えてください。

■ 営業人員を雇用する際の採算ラインの算出
粗利益率が30%の商品を販売する営業マンを雇用する際、こ
の新人営業マンに期待すべき販売目標は下記で求められます。

※損益分岐点売上高150万円
=固定費(営業マンの平均月収30万円+福利厚生費5万円+
営業経費10万円)÷粗利益率30%

この新人営業マンが月平均150万円の販売を達成できなけれ
ば赤字社員となってしまいます。もちろん、会社の利益も必要
ですので、最低販売目標150万円+期待する利益額が、営業
マン採用時の目線となります。

■ 広告費の採算ラインの算出
粗利益率が30%の商品の広告出稿を検討する際、どれぐらい
販売出来れば採算が合うのかを知りたいときにも使えます。

※損益分岐点売上高333万円
=固定費(広告費100万円)÷粗利益率30%

100万円の広告費に対して、333万円の販売額が採算ライ
ンとなります。

■ 5%値引きセールの採算ラインの算出
粗利益率30%の商品を5%値引きで販売した際の採算ライン
は以下となります。(固定費が50万円の場合)

※5%値引きによる粗利益率の低下30%→26.3%

※元々の損益分岐点売上高166万円
=固定費50万円÷粗利益率30%

※値引き後の損益分岐点売上高190万円
=固定費50万円÷26.3%

通常販売時より、売上高が24万円(190万円-166万円)
増加した時点から、ようやく値引き販売の効果が得られること
が分かります。

無謀な値引き販売や過大投資を行っている企業様をお見受けし
ます。損益分岐点売上高が実現可能なラインかどうかを把握し
てから投資判断を行ってください。

◆1:新しい事業計画を立案する時には、今の事業立地に関す
る検証に時間を割いてください。

事業計画作成の要諦は、事業立地の見直しです。斜陽分野では
なく成長分野への事業立地の変更を検討してください。

○以下、高収益企業研究の第一人者でおられる三品和広教授の
言葉を引用します。

『…事業の根底には立地(誰に何を売るか)があり、その上に
構え(出荷するモノをいかに入手して顧客に届けるか)、製品
(いかに個別製品を魅力的に仕立てるか)、管理(いかに品質
・原価・納期を守るか)が重層構造を成している。…中期経営
計画などで立地や構えに手をつけることなく、製品の刷新や管
理の強化を打ち出している企業は数多くあるが、この次元で動
きだしたところで、高収益への転換に結び付いた事例はほとん
どない。…』 〔三品和広教授(高収益企業研究の第一人者)〕

◎事業計画を作成することは、事業立地を検証し見直すことで
す。過去の流れをそのまま踏襲することを事業計画と呼び、そ
れを繰り返していると事業の革新は生まれません。何十年も同
じ事業立地にとどまって、ジリ貧に陥るのはこのケースです。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。

◆2:事業計画は、過去からの流れをそのまま維持する保守的
な計画でない限り、その予測は難解であって、その多くは計画
通りに進捗しません。

多くのクリエイティブな計画の成功事例は、後に理論武装され
て解説を加えられています。後付けです。保守的な計画でない
限り、事業の正確な予測はできない前提で、事業を執行してく
ださい。クリエイティブな計画を鵜呑みにすることは大変危険
です。

『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』
※マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて1965年に
経営学修士及び1968年に博士を取得された異色の経営学者と呼
ばれるヘンリー・ミンツバーク博士の言葉を引用しました。

◆3:事業計画作成時の注意点!

・事業計画は、そのアイデアが斬新で素晴らしいほど予測が難
しい!
・事業計画は、起点の認識と終点のイメージ化が重要。プロセ
スは都度計りながら進める!
・作成した事業計画を鵜呑みにしてはいけない。脱・前のめり!

◆4:事業計画作成の要諦!

・事業立地の確認・選定…どんな事業を!
・収益モデルの創造(ビジネスの型の確定)…どのような形で!
・起点(現状)を認識する!…力相応を知る!
・(仮)のゴールのイメージ化…目指すゴールは!
・起点からゴールまでの道筋を仮決めする!

上記を踏まえた上で、
・全体を包括する整合性の取れた数値計画の立案!
・数値計画と資金計画との整合性の確認!
・マネージメント体制の整備!
・日々修正しながら現実的に対応する!

◆5:事業計画執行時の注意事項(追記)!

・コントロールできることを完全にコントロールすること。
・頑張ればコントロールできることをできるだけコントロール
すること。
・コントロールできないことには、出来るだけ適合すること。

・コントロールできることをコントロールしない、これは放漫
経営です。
・頑張ればコントロールできることをコントロールしない、こ
れは怠慢経営です。
・そして、コントロールできないことまでコントロールしよう
とする、これは独りよがり経営です。

自社の明るい未来のために、真の事業計画を作成しましょう。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。これは事業計画ではなく、進捗管理計画です。

弊所に相談に来られる会社様の中には、資金調達が可能な財務
内容であるにも関わらず、融資を断られているケースがしばし
ば見られます。

断られた本当の理由は分かりませんが、金融機関との折衝が上
手くいかない事例をまとめましたので、お心当たりがないかご
確認ください。

■ 口頭による説明だけで終わらせている。
最低限の資料しか提出せず、補足説明などを口頭で終わらせて
いる社長様を多くお見受けします。銀行の担当者がよほど優秀
でない限り、説明の全てが決裁者に届くことはありません。

■ 説明が分かりにくい。
業界や取引先等を、相手が知っているという前提で話をする社
長様は少なくありません。銀行の担当者はいちいち聞き返しま
せんが、実は内容を殆ど理解出来ていない可能性があります。

■ 話が大きすぎる。
あなたの会社のことを聞いているのに、大手企業や政治の話を
持ち出して話をする社長様は多いです。雑談の域を出ない話で
は、担当者は稟議書に書くことがなくて困ってしまいます。

■ 会計を理解していない。
会計上の数字を理解せず、「良く売れた」「儲かった」など、
感覚的、部分的な話をする社長様がいらっしゃいます。銀行員
は、実際の数字と食い違う説明をされると大きなストレスにな
りますので、会計上の数字に沿った説明が必要です。

■ 融資の常識を理解していない。
誰もが、返せる見込みがない人にお金は貸しません。借りる側
が、返済できる見込みを具体的に示すのは当然のことですが、
借りたお金をどうやって返すかという説明が抜けていることが
多々あります。

■ 話してもよい事の線引きが出来ていない。
銀行員に対して迂闊なことを言ってはいけないと考えすぎて、
説明をぼかしたり、はぐらかしたりする社長様がいらっしゃい
ます。聞くと話をしても特に問題ないことが殆どですが、その
ような態度は変に怪しまれてしまいます。

■ 話してはいけない事の線引きが出来ていない。
例えば、会社の売却を考えているなど、具体的な話がある訳で
もないのに、軽く雑談のつもりで話す社長様がいらっしゃいま
す。金融機関がネガティブに捉える事柄を知り、軽々に発しな
いようにしましょう。

本来受けられるはずの融資が断られる理由は、些細な説明ミス
や資料不足です。銀行の常識や考え方をよく理解し、間違った
対応をしないよう心がけましょう。

過去の失敗を経て、再起を図ろうとする社長様からの相談を時
折受けます。また、再起の末、成功を収められた社長様も少な
くありません。逆に、失敗を繰り返す社長様もおられます。

■成功するか?失敗を繰り返すか?の差は、過去を総括できて
いるかどうかで決まります。

○「前回失敗した理由が自分以外にある」とおっしゃる社長様
は、失敗を繰り返します。運が悪かった、だまされた、景気が
…このような言い訳を繰り返す人は、ほぼ間違えなくこれから
も失敗します。

・運が悪かったは、「判断を間違えた」であり、「判断を間違
えるのは自分自身の判断基準が悪かった」からです。結局、自
身の能力不足です。
・だまされた、景気が…これも同じです。

運が悪かった、だまされた、景気が…すべての事象を自身の問
題として認識できない間は、何度でも同じ過ちを繰り返します。

○再起した会社が経営危機に陥る理由は、前回失敗した理由と
同じです。

売上至上主義、無管理経営で、ただやみくもに売上の拡大に奔
走する社長が経営危機対策の相談に来所されました。直近期大
幅な増収でありながら、営業赤字に転落しています。増収であ
りながら、利益率の大幅な低下、固定費の増大になっています。
そして、「売上をいくら伸ばしたら黒字になりますか?」とお
っしゃいます。

前回の失敗の理由をお聴きすると、「リーマンショックによる
景気の後退と、銀行の貸し渋り」と総括されます。

○この社長は、「安売り症候群」と呼ばれる病に侵されていま
す。利益率より売上高、経営管理より、我武者羅に売り歩く…
このような病です。前回の失敗も同じでした。今回も、同じ病
が原因で経営危機に直面しています。

■失敗の原因を確実に総括しておかないと、過ちを繰り返しま
す。原因を退治してください。

○(当事務所)「今回の経営危機の原因は、売上至上主義と無管
理経営に端を発した収益の悪化です。この結果を招いたのは、
100%社長様、あなたの責任です。社長様は、『安売り症候群』
という社長の病を患っています。前回の失敗の原因も、(事情
をお聴きすると)今回の原因と同じです。リーマンショックや
銀行の貸し渋り等ではありません。この病を治療して直さない
と、再度破たんします。」と助言しました。

◎(相談者様)「よくわかりました。どうすればよいですか?」

○(当事務所)「まず、売上高・粗利益率・固定費の三つをバラ
ンスよく構成する月次の経営計画を作ります。売上至上主義を
脱して、バランスの良い経営を目指します。その上で、進捗を
月次で管理します。当事務所(病院)がお手伝いいたします。
『安売り症候群』、利益率より売上高、経営管理より、我武者
羅に売り歩く…この病の完治を目指しましょう。」

■失敗を経験することは、本来無駄ではありません。学んだ分
強くなることができるからです。

○賢明な社長様は、前回の失敗の原因をしっかりと自覚して、
総括をしっかり済まされておられます。同じ轍を二度は踏まな
い、この決意で臨まれます。

○一方、前回の失敗の責任を、自分以外の外部要因に転嫁され
ておられる社長様は、失敗の総括ができていないために、同じ
過ちを繰り返しがちです。

他人の責任で自分が失敗することなど100%あり得ません。失
敗したら、必ず総括して、次に生かしてください。(小さな失
敗でも)これを繰り返すことで、社長力が磨かれていくはずです。

このような相談も承ります。まずは、ご相談ください。

コロナ融資を受けたある関与先様から、「金融機関から試算表
の提出を求められたが、融資金の一部を個人的な支出に充てて
しまっているため提出したくない。断ることはできないか?」
というご質問がありました。

試算表の提出を拒んだからと言って融資金の一括返済を迫られ
ることはもちろんありませんが、金融機関の担当者はネガティ
ブに捉えることは間違いありません。

まずは、試算表の提出を依頼してきた金融機関の担当者に、試
算表が必要な理由を率直に聞いてみました。回答は「保証協会
に売上高の報告をするため」とのことでした。

よって、「試算表がまだ出来ていないため、売上高だけ集計し
て提出すればよいか」と確認するとそれでよいとのことです。
何かを調べたいのではなく、報告が必要なので単純に仕事とし
て依頼しているという感じでした。

仮に試算表の提出が必須という回答だった場合はどうするべき
でしょうか。原則的には、ありのままを提出し、個人的な支出
に流用しなくてはならない理由があったならそれを説明し、理
由がなければ真摯に反省の弁を述べ、決算までには個人的な支
出分を会社に戻す努力をすることをお約束するのが正解だと思
います。

試算表の提出(業績の報告)は金融機関との最良なコミュニケ
ーションの機会です。金融機関に対して負い目がある時は、試
算表の提出を依頼してきた担当者に対して、「そんなことに対
応している暇はない。」などと攻撃したり、不機嫌な態度をと
ったりする経営者もおられます。不安や保身から取ってしまう
行動だと思いますが何のプラスにもなりません。

金融機関に対しては悪いことは隠さなくてはならないとお考え
の経営者様も少なからずいらっしゃいますが、必ずしもそうで
はありません。良いことだけでなく、悪いことも報告して相談
することが関係構築の第一歩になります。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。