社長にはやるべきことがたくさんあります。特に中小・零細企
業は、専門スタッフを専任に抱えられないため、社長の業務は
営業から管理まで広範に及びます。大変ですが、頑張ってやり
遂げるしかないと決め込んでおられます。これらの業務の中で
も、特に重要で煩わしい業務が「資金調達や金融機関対応を含
むお金にまつわる業務」です。

煩わしさが故に、対応が後手に回ることも少なくありません。
時に致命傷になることもあります。故に、会社が一定の規模に
達した時、社長は「金庫番=財務部長」を雇用して、お金にま
つわる業務を任せられる(もちろん判断は社長が行いますが)
体制を作ります。

当事務所は、中小零細・小規模企業及び個人事業者様向けに、
極めて廉価でこの『財務部長』機能をお引き受けするサービス
を行っています。大変好評です。

■『資金調達したい。ただ、そのために金融機関と折衝するこ
とが煩わしい。(某社長様)』同様のお声をたくさん耳にしま
す。

煩わしさを取り除きながら、目的を達成するお手伝いができま
す。

○対応1:資金調達ができそうな時は…

融資書類の作成から金融機関対応のすべてに対して、積極的に
お手伝いいたします。
・融資戦略を立案いたします。
・必要書類を作成いたします。
・金融機関との対応窓口機能を担います。
・結果として必要な資金を調達できます。

○対応2:資金調達ができない時は…

なぜ、資金調達ができないか、その理由をお知らせします。
ではどうするか?提案します。
・近未来の資金繰り管理を継続的に行いながら、資金調達でき
ない状況下でも資金繰りを守るお手伝いができます。
・資金調達できない理由が解消出来次第、速やかに資金調達を
実行するお手伝いができます。
・または、経営改善計画書を作成し、円満にリ・スケジュール
するお手伝いができます。
その後も、継続的に金融機関との対応窓口機能を担います。

■『お金に関する心配がつきまとう。(某社長様)』同様のお
声をたくさん耳にします。

近未来の資金繰り管理を継続的に行いながら、適時資金調達
(状況によってはリ・スケジュール)を行える体制を継続的に
維持することが必要です。財務部長機能です。継続的な財務部
長機能を極めて廉価で提供できます。

■苦手な資金調達や金融機関対応は財務の専門家である当事務
所に任せてください。社長は、経営に励んでください。

・社長のやりたいことが、その後の資金繰りに与える影響を都
度シミュレーションしてお知らせします。助言します。
・必要な資金調達やリ・スケジュール、ポジティブであれネガ
ティブであれ、必要な金融機関対応指針を適時助言いたしま
す。
・さらに、金融機関との対応窓口を継続してお引き受けいたし
ます。原則すべてです。

これらは、会社専任の『財務部長』が担う機能です。この『財
務部長』の代行をお引き受けいたします。

■銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、

1.『資金調達したい。ただ、そのために金融機関と折衝する
ことが煩わしい。』
2.『お金に関する心配がつきまとう。』

これらの社長様のお金にまつわる心配事を解決できるソリュー
ションをたくさん準備しています。

●資金調達のお手伝いができます。
●リ・スケジュールのお手伝いができます。
●継続的な資金繰り管理など、貴社専任の財務部長の代行業務
をお引き受けできます。
●金融機関との窓口機能を担うことで、社長の煩わしさの大半
を取り除くことができます。

弊所にて資金調達のお手伝いをさせていただいたAさんの事例
です。勤めている会社を退職し、株式会社を設立して店舗を作
りたいというご相談でした。

■ 創業プランは以下のとおりです
事業内容:一般消費者向けの小売業態
総投資額:6,800万円(設備6,000万円+運転800万円)
調達内容:自己資金800万円、勤務していたメーカーからの借
入3,000万円、金融機関からの借入3,000万円

勤務していたメーカーから3,000万円の資金支援を受けられる
予定ですが、総投資額が大きいため、金融機関からも3,000万
円の調達が必要です。創業資金の最も有力な調達先は日本政策
金融公庫ですので、今回も日本政策金融公庫からの調達を主と
して調達の計画を立てました。公庫の創業融資のポイントは以
下のとおりです

【自己資金】
創業融資審査における最も重要なポイントは自己資金です。
自己資金は多ければ多いほど良いのですが、日本政策金融公庫
は最低でも総投資額の10分の1以上の自己資金を求めています。
投資総額6,800万円に対し、自己資金は800万円ですので自己
資金の要件はクリアしています。また、事業に費やす800万円
以外に、別途500万円程度の貯蓄も有していましたので自己資
金は十分でした。

【キャリア】
次に重要なポイントはキャリアです。創業する事業に対する経
験や実績が重視されます。Aさんはメーカーに勤務していまし
たが、小売店の販売を指導する職務に従事していました。
数多くの店舗を見てきた経験があり、儲けのポイントを理解し
たうえで独立を決意したためキャリアは十分です。

【総投資額】
今回最も大きな懸念点となったのは総投資額です。申し込み要
件には明記されていませんが、最初は小さな投資から始めるこ
とを良しとする価値観がありますので、6,800万円という初期
投資が問題となりました。

調達金額が大きい場合の対処法は次が有効です。
・公庫の単独ではなく、民間の金融機関からも調達をする協調
融資で案件を組み立てる。
・認定支援機関の助言を受けて事業計画書を作成し、経営力
強化資金を利用する。
本件も、公庫2,000万円、保証付き融資1,000万円で案件を構
築し、最終的には満額の資金調達ができました。金融機関の担
当者にお話を聞くと、「金額が大きく難しい案件だったが、自
己資金とキャリアがしっかりしていたことに加え、計画書類が
充実していたこと、個人資産の開示等に協力的であったことが
決め手となった。」とおっしゃっていました。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。

今日一日無駄な時間を費やしていないか?と振り返ってくださ
い。30%ぐらいは無駄な時間があるように思います。明日から、
その無駄な時間を減らす努力をしましょう。この削減した無駄
を、(社長として)創造のための時間にあててください。

◆訪問の必要性について再考しましょう。特に、必然性の無い
訪問を減らせば、その分の移動時間が短縮できます。相手のた
めに考えてあげる時間が取れます。双方がハッピーです。

× クライアントの訪問と面談に、移動時間を含めて3時間費や
す。
○ Zoomで面談する。1時間で済みます。又は、じっくり時間
をとって話せます。

◆親睦・懇親は最小限に留めましょう。その分をビジネスプラ
ンの立案にあてましょう。双方がハッピーです。

× ビジネスパートナーと毎週酒を飲んで親睦を図る。
○ 懇親頻度を半分に減らし、その分は、ビジネスプランをお互
いが考える時間にあてる。

◆初回商談からさっさと核心の提案を行いましょう。相手が一
流ほど雑談を嫌います。

× まずは挨拶に伺う、最初の面談は雑談で済ませる。核心の商
談は二回目以降から始める。
○ 最初の面談から核心に触れて、ビジネスの可能性を図る。

◆前さばきで、これから行う業務を選別しましょう。前さばき
の時間を大切にしてください。前さばきにあてる10分で、後の
業務を30分減らせます。

× 膨大な資料をいきなり作り始める。
○ 本当に必要な資料を見極めるために10分間考える。その後、
資料作成を始める。

◆惰性・ルーチンの行動を改めてください。必要なことに絞っ
てください。

× 交流会やセミナーにたくさん参加する。
○ 効果を測って半分やめる。方針を決めて新しいご縁を探す。
行きやすいではなく、必要か?で判断する。

◆ビジネスパートナーを選別してください。

× 多くのビジネスパートナーと付き合っている。
○ 効果を測って半分との付き合いをやめる。方針を決めて新し
いご縁を探す。心地よいではなく、必要か?で判断する。

◆まず考える、選んで行動する、この習慣を習得してください。

× 一日の初めから猛ダッシュをかける。
○ 一日の行動指針を整理して、後に猛ダッシュをかける。
※前日の夜に整理すればなお良い。

◆やらねばならない仕事に追われない生き方を心掛けてくださ
い。

× 今やらねばならない仕事(緊急度)から始める。
○ 今やるべき仕事(重要度)から始める。

◆思考停止に陥らないでください。

× 今までと同じように黙々と仕事に励む。
○ 昨日までとは違うやり方はないかと考える時間を取る。

我々は、相当無駄なことに時間を浪費しているようです。この
無駄使いで犠牲になるのは『落ち着いてじっくりと物事を考え
る時間』です。この重要な時間を確保するために、時間の棚卸
を行ってください。

『落ち着いてじっくりと物事を考える時間』を確保できれば、
仕事の効率とクオリティーが格段に向上し、事業が、会社が良
くなります。社長は、キャッシュリッチになるために、まずは
時間リッチを目指してください。

創業融資は受けた方が良いか?それとも出来るだけ自己資金で
頑張る方が良いか?というご質問にお答えします。

「借金をしてまで事業をするつもりはない。自己資金で創業し
てダメだったら潔く事業をたたもう。」と固く誓っているなら
ば、創業融資は受けなくてよいと思います。しかし、「まずは
自己資金で頑張ろう。もしそれでダメなら融資を受けよう。」
と考えているならば、今すぐに創業融資を受けた方が良いです。

■ 創業融資は創業時が一番借りやすい。
創業の殆どは計画通りにいきません。当面は赤字が続くのが一
般的ですので、計画どおりに行っていない実績が露呈する前、
創業直後に融資を申し込んだ方が通りやすくなります。使う使
わないは別として、一番借りやすい創業時に融資を受けて手元
に資金を置いておけば、計画通りに自己資金で立ち上がらなか
った時の選択肢を増やすことができます。

■ 資金力があった方が新規事業は成功しやすい。
創業後に事業の継続を断念せざるを得ない最大の理由は、資金
が切れてしまうことです。多くの創業者は、事業が軌道に乗る
まで悪戦苦闘を強いられます。そのような状況の中で上手く行
きそうな兆しが現れたとしても、その時点で資金が切れてしま
えば終わりです。資金はより長く粘る時間を与えてくれますの
で、資金力があった方が創業は成功しやすくなります。

借入の必要性は理解できたが、どうしても借金のネガティブな
イメージが拭えない方も多いと思います。借金は悪という社会
的な共通認識があると感じますし、借金をしてはいけないと直
接教育を受けた方もいらっしゃると思います。しかし、経営者
になるなら、個人の遊興費と事業のための借入は分けて考えて
いただきたいです。遊ぶためにお金を借りることは当然賛成で
きませんが、新たな需要や雇用を生む可能性のある新規事業に
挑戦するため、他人のお金を活用することは社会的にも大変有
意義なことです。

国にとっても開業率は大変重要な指標であり、創業を後押しす
るため、日本政府も様々な施策を打ち出しています。その中で
最も重要な施策は、日本政策金融公庫の創業融資が無担保無保
証になったことです。

従来の創業融資は、経営者が個人保証を入れていたため、借入
の必要性や経営者のマインドを理解して融資を受けたとしても、
事業に失敗してしまえば個人で大きな負債を負ってしまうとい
う事実がありました。しかし、現在は個人の保証はありません
ので、事業に失敗しても個人が負債を負うことはありません。

無担保無保証制度により創業融資を利用するハードルは大きく
下がりました。上手に活用して創業を成功させましょう。

前回号からの続きです。

■我々の敵はもはや同業者ではありません。

世界標準の経営理論〔早稲田大学ビジネススクール、入山章栄
教授著、ダイヤモンド社〕の中で、レッドクイーン理論と(新)
レッドクイーン理論が紹介されています。

要点は、「同業者が切磋琢磨してそのスペック競争をしてきた
から日本の製造業は世界1の地位を手中に収めることができた。
一方、同質的なスペック競争に明け暮れてしまったがために、
その大局を見失い、世界標準から取り残された。」この主旨の
記述があります。

スペック競争の利点は、切磋琢磨することで磨かれること、こ
れをレッドクイーン理論と呼びます。一方、同質化競争の短所
は、大局を見失いパラダイムの変化に取り残されることで、こ
れを(新)レッドクイーン理論と呼びます。

※レッドクイーン(赤の女王)理論〔スタンフォード大学・ウ
ィリアムバーネット教授〕の語源は、不思議の国のアリスの続
編、鏡の国のアリス(ルイス・キャロル著)にある「今の場所
に踏みとどまりたければ、今の倍の速度で走れ」という言葉で
す。また、入山教授は、キツネとウサギの生存競争、ウサギは
キツネから逃げるためにその走るスピードが速くなる進化を遂
げてきた、一方、キツネはウサギを捕らえるためにより速く走
る、この無限競争を繰り返しているが、空から飛んでくる違う
敵には防戦できない、との例をあげておられます。

●日本のガラケーメーカーは誰を視ていたのか?

同業者間で過度な同質化競争を行っている間にスマートフォン
にそのすべてを奪われ全滅しました。

●書店は誰と戦っているのか?

電子書籍やネット書店に売上を侵食され続けています。

●自動車メーカーの敵は自動車メーカーではない?

シェアエコノミーの仕組みが、自動車運行の効率化を図り、総
台数を減らそうとしています。

●店舗型旅行代理店の敵は誰?

2000年以降に生まれたネット型旅行代理店に売上が大きく移
行しています。JTBの経営危機は、コロナ禍とは違う次元で
も起きていたはずです。

●TV局の敵は他局ではない?

他局との視聴率競争に明け暮れる間に、その時間をネットフリ
ックスやYouTubeに奪われています。その存在感が薄らいでい
ます。

●機械式時計の敵は誰?
(1980年頃、昔の話ですが)スイスの機械式時計メーカーが
日本のクオーツ時計に壊滅的なまでに叩きのめされました。
65,000人の内5万人が数年で失職したと言われています。

●あなた、貴社は誰と戦っていますか?

・・・・・

■我々の選択肢は以下の二つです。

◆1.「今の場所に踏みとどまりたければ、今の倍の速度で走
れ」ルイス・キャロル氏の言葉に沿って、現状を維持するため
に倍の努力を続ける、【管理的機能の強化・改善】を行う

◆2.【事業開発≒イノベーション】を行う

以下をもう一度ご確認ください。

『多くの並みの中小企業のビジネスモデルはありきたりです。
また、成熟期後期から斜陽期を迎えています。事業をマシーン
に例えると、マシーン自体が2世代前の代物で老朽化していま
す。この状況下においても、ほとんどの経営者は【管理的機能
の強化・改善】に終始しています。本当に必要なのは管理機能
の強化ではなく【事業開発≒イノベーション】です。』
(SP経営協会)

【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベー
ション】を断行しませんか。そのための学びを続けましょう。

中小企業の財務指針は「融資は借りられる時に借りられるだけ
借りておく」そして「キャッシュポジションを高くとる」こと
が最善だと考えています。

融資は借りられる時に借りられるだけ借りておく方が良い理由
は、小さな会社はいつでも銀行から融資を受けられる訳ではな
いからです。今日銀行が借してくれると言っても、半年後も同
様に貸してくれる保証はありません。銀行が貸してくれると言
っているうちに借りておくことが大切です。

次にキャッシュポジションを高くした方が良い理由は、「キャ
ッシュが切れない限り倒産することはない」「キャッシュに余
裕があれば不測の事態が起きても落ち着いて対処できる」「キ
ャッシュがあれば千載一遇のビジネスチャンスを逃さない」た
めです。たとえキャッシュの中身が借入だったとしても、キャ
ッシュをたくさん持っている方が倒産の確率は下がります。

借入を嫌う経営者も多いですが、そこには、困った時だけ銀行
に頼ればよいという錯覚があります。銀行はこちらの都合で融
資をしてくれませんので、ピンチに陥った時に融資を頼みにい
くのではなく、調子が良い時に最大限融資を受けておいて、ピ
ンチに陥ったら返済を待ってもらうのが一番確実な方法です。

借入を活用して手元キャッシュを厚くすることの重要性にご賛
同いただけたならば、次は、どうすれば銀行から最大限の融資
を受けられるかという課題に気づかれたと思います。銀行から
最大限の融資を受ける方法はテクニカルではありません。融資
の提案を積極的に持ってきてもらえる関係を地道に構築するこ
とです。

具体的には、毎月試算表や資金繰り表を作成し、定期的に銀行
に提出することが最低限必要です。多くの中小企業は困った時
(お金を借りたい時)にしか財務諸表を提出しませんので銀行
との関係は深まりません。試算表や資金繰り表は銀行との関係
を深めることができるコミュニケーションツールです。試算表
や資金繰り表を提出したいと言えば銀行は必ず時間を取ってく
れます。日頃から銀行とコミュニケーションをとることを心が
けましょう。

前回号の続きです。

イノベーションは、『技術革新』ではなく『新結合』です。

■イノベーションは誰にでもできます。

イノベーションを『技術革新』と定義してしまうと、多くの中
小企業には敷居が高くなり、自社には無関係の代物に思えてき
ます。一方、イノベーションを『新結合』と定義しなおすと、
イメージが湧いてきます。

イノベーションの父と言われる経済学者、ヨーゼフ・アロイス
・シュンペーターは、1912年に著した『経済発展の理論』の
中で、イノベーションの定義を「これまで組み合わせたことの
ない要素を組み合わせることによって新たな価値を創造するこ
と」=『新結合』と言っています。

イノベーションは、『技術革新』ではなく『新結合』なんです。
まずは、定義を改めましょう。

■イノベーションを起こすとは、『新結合』を起こすこと、す
なわち、結合の相手を探すことが近道です。

前回号で解説した、

◆一つ目は、既存事業を守りながら、経営原則に当てはめて修
正する、令和の経営原則を知り、自社の実態との齟齬を認識し
て修正することです。修正しようとするプロセスでイノベーシ
ョンが生まれます。

◆二つ目は、事業開発を行い、事業を付加(掛け算)する、新
しいビジネスモデル(広義)を知り、自社に導入することです。
導入するプロセスでイノベーションが生まれます。

上記2つの指針に沿って、イノベーションに挑戦してください。

■イノベーションに関するピーター・ドラッカー氏からのメッ
セージ

ドラッカー氏は、マネージメント・エッセンシャル版(ダイヤ
モンド社)の中で、イノベーションに関する示唆に富む言葉を
数多く残されています。初版が発行された1973年当時の言葉
と思うとやはりすごすぎる先生です。以下、ご紹介します。

「現代というイノベーションの時代において、イノベーション
のできない組織は、たとえいま確立された地位を誇っていても、
やがて衰退し、消滅すべく運命づけられる」
「管理的な目標や基準とは別に、イノベーションのための目標
と基準の必要を知れ」
※補足:新規分野の事業に関する計画立案、執行、運営に関す
る指針です。新規事業は先が読み切れないので柔軟に対応しな
さい、と私は解します。

「新しいものの創造と既存のものの面倒は、同時に行えない」
※補足:新規事業は、既存事業と分けて取り組め、と言ってお
られます。

「イノベーションは常に市場に焦点を合わせなければならない。
市場ではなく、製品に焦点を合わせたイノベーションは、新奇
な技術は生むかもしれないが、成果は失望すべきものとなる。」

■多くの中小企業にとって必要なのはイノベーションです。

以下をもう一度ご確認ください。

『多くの並みの中小企業のビジネスモデルはありきたりです。
また、成熟期後期から斜陽期を迎えています。事業をマシーン
に例えると、マシーン自体が2世代前の代物で老朽化していま
す。この状況下においても、ほとんどの経営者は【管理的機能
の強化・改善】に終始しています。本当に必要なのは管理機能
の強化ではなく【事業開発≒イノベーション】です。』
(SP経営協会)

【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベー
ション】を断行してください。

…次回号に続く

「銀行家というのは、太陽が照っている時に自分の傘を差しだ
し、雨が降り始めるやいなや傘を返せというようなやつだ」と
言う有名な言葉があります。トムソーヤの冒険を書いたマーク・
トウェインの言葉だそうです。ユニークな言い回しで、なるほ
どそうだと納得させられる名言です。

しかし、経営者にとっては銀行の役割を取り違えた少し危険な
考え方です。そもそも銀行が貸している傘は、雨傘ではなく日
傘です。晴れた日には大いに役立ちますが、雨の日に使うもの
ではありません。すぐに使い物にならなくなってしまいます。

銀行が保有しているお金は預金者から預かっているものです。
預金者から見れば、業績が悪化して返済の目処が立たない企業
に融資をするのは許されない行為です。いろいろな考え方があ
るとは思いますが、経営者であれば「銀行の姿勢は事実そうで
ある」ことを受け入れる覚悟が必要です。

債権者、債務者と言う考え方でいけば、もちろん銀行は企業よ
り強い立場にあります。しかし、銀行は預かったお金を運用し
なければ生きていけません。預金者のお金を運用しなくてはな
らない銀行と、そのお金を使って新しい事業を起こす経営者は
パートナーの関係にあり、その点で銀行と企業は対等です。

銀行の役割を正確に捉えることは経営者にとって重要なポイン
トのひとつです。銀行は困った企業を助ける救済機関だと考え
ている経営者は、融資をしてくれない銀行を恨みます。金利を
払って銀行を儲けさせる考えなど毛頭ありません。そのような
経営者は銀行から敬遠されます。

一方、銀行は現在の事業をワンランク拡大するためのパートナ
ー機関だと考えている経営者は銀行を恨みません。そもそも雨
傘は貸してくれないと知っているからです。晴れの日に、さら
に前に進むための日傘を借りにいき、その対価として一定の金
利を払うことを当然だと考えています。そのような経営者には
資金が集まります。

ファイナンスは経営者にとって必須のスキルです。しかし、金
融機関の役割を正しく捉えられていないために、間違った銀行
対応をしている経営者様を多くお見受けします。まずは、銀行
の役割を正確に定義しましょう。

■【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベ
ーション】を…

「多くの並みの中小企業のビジネスモデルはありきたりです。
また、成熟期後期から斜陽期を迎えています。事業をマシーン
に例えると、マシーン自体が2世代前の代物で老朽化していま
す。この状況下においても、ほとんどの経営者は【管理的機能
の強化・改善】に終始しています。本当に必要なのは管理機能
の強化ではなく【事業開発≒イノベーション】です。」
(SP経営協会)

現場には、老朽化したマシーンをメンテして、フル稼働できる
状態を続けられるように指示してください。一方、経営者の真
の仕事は、新しいマシーンの創造・開発、せめて、大幅なリニ
ューアルです。

■【事業開発≒イノベーション】の現実的な取り組みは…

◆1:一つ目は、既存事業を守りながら、経営原則に当てはめ
て修正する、令和の経営原則を知り、自社の実態との齟齬を認
識して修正することです。

○例えば、過度の売上至上主義は、様々な経営への悪影響を及
ぼしています。

「日本の企業は売上高確保、増収(売上増)にこだわり過ぎて
います。何が何でも売上高を確保しようとすると、売上高を確
保するために多くの犠牲を払うことになります。利益を犠牲に
した安易な値引きや安い値決めを招きます。利益に見合わない
過大な広告コストを支払う羽目になります。採算を度外視した
幅広い品ぞろえや長時間営業を行うようになります。顧客の過
度な要求を受け入れてしまいます。…脱・売上至上主義、減収
(売上減)を容認する経営に移行してください。」
(SP経営協会)

○例えば、所有する経営から持たない経営への転換は、令和時
代の経営の基本思想です。

・売上…厳選した売上に絞る
・商品…高収益商品に厳選して
・顧客…優良顧客に厳選して
・原価…40~60%、外部の力を利用して
・販管費…固定費は極小で
・従業員…厳選して、外注・業務委託を活用して、変動費化する
・事務所…できるだけコンパクトに
・働き方…テレワークを活用して、極力出社しないで
・評価制度…求める(必要な)従業員に厚く分配する

◎打ち手1:減収を容認する事業計画の策定、運用
◎打ち手2:高付加価値化政策の徹底
◎打ち手3:原則持たない、この価値観への転換を図る

◆2:二つ目は、事業開発を行い、事業を付加(掛け算)する、
新しいビジネスモデル(広義)を知り、自社に導入することで
す。

新しいビジネスの型(広義のビジネスモデル)を知り、それを
自社に導入すること、そのプロセスでイノベーションが生まれ
ます。例えば、サービスや商品を提供する企業がソリューショ
ン提供企業に変わろうとすれば、そのサービスや商品の提供方
法、マネタイズを大きく見直す必要が生じます。この過程でイ
ノベーションが生まれます。

事業開発≒イノベーションのヒントは、新しいビジネスの型の
中にたくさんあります。

・サブスクリプション1.0⇒2.0
・受注型⇒プロダクト化
・ソリューション提供企業への転換と継続課金
・D2C(C2M)、クラウドファンディング
・DX ・業界の壁を破る ・同業者支援モデル
・ニューミドルマン(購買代理)⇒プラットフォーム …等々

◎打ち手4:新しいビジネスの型(広義のビジネスモデル)を
自社に導入する

※「事業開発は、既存の事業と切り離し、エースを投入して行
うことが必須です。」50年前のドラッカー氏の言葉(要旨)で
す。

【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベー
ション】を断行してください。

…次回号に続く

起業してこれから融資を受けようと考えている方はもちろん、
経営経験の長い経営者様であっても、お付き合いする銀行をど
のような観点で選べばよいか分からない方も多いと思います。

金融機関の力を最大限活用するためには、ご自身に合った金融
機関を選んだ方が有利ですので、まずは、金融機関の種類や特
性を見ていきましょう。

■ 金融機関は大きく次の5種類に大別できます。

◆政府系金融機関
最も有名な政府系金融機関は日本政策金融公庫です。預金取引
は行わない融資取引のみの金融機関で、信用力が低い創業時か
らお付き合いできる数少ない金融機関です。企業規模に関わら
ず、事業資金の融資相談に乗ってもらえます。あまり知られて
いませんが、日本政策金融公庫は国民生活事業、中小企業事業、
農林水産事業の3つに分かれており、これにより数百万円の創
業融資から数億円規模の事業融資まで幅広く対応しています。

◆メガバンク
明確な定義はありませんが、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三
井住友銀行の3行を3大メガバンク、りそな銀行を加えた4行
を4大メガバンクと表現することが多いようです。規模が大き
く全国に支店があるため、口座を持っているという方も多いと
は思いますが、事業資金のプロパー融資取引となると、規模の
小さな中小企業にとっては、少し敷居の高い金融機関です。

◆地方銀行
各都道府県に本店があり、地域経済の発展に尽力している金融
機関です。地域経済に大きな影響力を有する企業や地場産業を
営んでいる企業を中心として、主に地域の中小企業向けに融資
取引を行っています。メガバンクとは違った役割を担っていま
すが、「銀行」ですので、審査の傾向はメガバンクと似ていま
す。

◆信用金庫・信用組合
地域経済の発展に尽力している点においては地方銀行と同じで
すが、地方銀行よりも、さらに地域の細部に根付いています。
経営形態も銀行とは違い、企業が出資者となって相互扶助を目
的とする協同組織型の金融機関です。よって、まず出資をして
会員とならなければ融資取引をしてもらえません。小規模の事
業者にとっては身近な存在です。

◆ノンバンク
預金の受け入れは行わず、融資取引のみを行う金融機関をノン
バンクと言います。信販系やリース系の金融機関もノンバンク
に分類されます。金利は高いものの手軽に利用できるメリット
があります。

例えば、貴社が年商3千万円の小規模企業であれば、メガバン
クとお付き合いをしても積極的な提案は受けられないかもしれ
ません。メガバンクの主たる取引先は大企業になりますので、
小さな会社の対応は手薄になりがちです。

あくまでもイメージですが、創業~年商3億円程度までは日本
政策金融公庫国民生活事業及び信金信組をメインとし、年商3
億円を超えたあたりで地方銀行や日本政策金融公庫中小企業事
業にチャレンジ、年商が10億円を超えたあたりでメガバンク
にチャレンジするのが理想だと感じます。

○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会
正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。