税務に付加して、金融機関対応と財務に対する強みを有することを宣言する当事務所には、

様々な相談が寄せられます。

以下、一部をご紹介させていただきます。

 

Q1:

すでに借入れのある銀行から追加の融資依頼(「借りませんか。」)を受けています。

資金にはある程度余裕があるようにも思いますが、融資依頼をお断りすることに

なぜか不安も残ります。「どこまで借りればよいか?」と悩んでいます。

どのような基準で判断すればよいでしょうか?

A1:

当事務所(銀行融資プランナー協会)では、このような時には以下の基準をご提示して

助言しています。

○近未来の資金繰り計画に沿って、

・資金繰り計画上十分な余裕資金を持つこと。

・資金繰り計画(売上計画)自体が下振れする可能性を踏まえて、

それでも資金繰りに困らない資金を確保すること。保険を掛けておくこと。

・金融機関は経営状態の良い時(晴れの日)だけ、融資依頼(「借りませんか。」)を行う、

この事実を理解すること。

(悪くなれば(雨の日)、「貸せません。」の回答が返ってきます。)

○一方、

・借り入れが膨らめば、その金利負担が膨らむこと。

・手持ち資金が潤沢になれば、余分なお金を使いたくなる趨勢がある。

上記の様な長所と短所を天秤にかける必要があります。

近未来の経営状況を正確に読み切れるなら、最小限の資金で会社は回せますが、

近未来の経営に不確実性があるならば、余裕を持つことが必要です。

多くの会社様は後者ではないでしょうか。

結果として、当事務所(銀行融資プランナー協会)では、

「借りられる時に、借りられるだけ借りてください。」と助言する場合が多くなります。

 

◎当事務所にて、簡易的な近未来の資金繰り表(標準・良い時・悪い時)を社長様と

ミーティングしながら作成した結果、今回銀行から提案された融資を受けることになりました。

近未来の資金繰り表を作成したことで、社長様は大いに安心されたご様子でした。

※向こう6か月~1年先までの資金繰り計画は常に把握できるようにしてください。

また、判断に迷うなら、借りてください。

 

Q2:

資金繰りが厳しくなってきたので、銀行の担当者にリスケジュールを依頼しましたが、

「せめて半分は返済し続けて欲しい。」と言われています。

半分も返済する余裕はありませんが、受け付けてもらえません。

どう対応すればよいのでしょうか?

A2:

(確認すると、試算表は提出しているものの、経営改善計画書は作っておられませんでした。)

銀行にリスケジュールを依頼する時は、経営改善計画書が必要です。

銀行は、この経営改善計画書を基準に、リスケジュールの受け入れの可否や、

返済額の妥当性を判断します。

一定期間返済猶予を受けることで、その会社・個人事業者様の経営が健全化することが

リスケジュールの条件になります。返済猶予を行っても、経営が改善する見込みがない時は、

金融機関は返済猶予を受け付けません。

返済額を極小(0円)に圧縮することで、一定期間経過後に健全化する経営改善計画書を

作成することが必須でした。

◎当事務所にて、経営改善計画書を作成し、当事務所が主体的に銀行と折衝を行った結果、

スムーズに返済額0円でリスケジュールを行うことができました。

経営改善の期間は5年です。

一年後に再度リスケジュールに応じてもらうためにも(通常リスケジュール契約は

一年毎に見直しを行います。)、銀行には継続的な経営状況の報告が必要です。

当事務所が継続的に銀行とのやり取りを行います。

金融庁は、先日、正常運転資金の額を超える短期継続融資について、

必ずしも不良債権ではないとの見解を示しました。

経常的に運転資金が必要な企業様にとっては、歓迎すべき兆候です。

正常な運転資金とは、事業を継続するうえで常に必要となる資金を言います。

売上金の回収サイトが仕入の支払いサイトより長い場合、

仕入れ代金を先に決済する必要がありますが、この決済資金は、

仮に借入で用立てても、後に売掛金を回収すれば確実に返済できます。

これが正常な運転資金です。

また、短期継続融資とは、期日一括返済の短期融資を言います。

期日一括返済という条件ですが、正常な運転資金は、

事業を継続する限り常時必要な資金ですので、返してもすぐに借りなくてはなりません。

よって実務上は期日到来時に返済期限を延長します。

実質的に返済をしない借入です。

短期継続融資は、十数年前まではよく見られた融資形態ですが、

近年ではあまり見かけません。

理由は、残高管理の難しさにあります。

短期継続融資は、正常な運転資金を融通する融資ですので、

本来は運転資金の増減に伴い融資額も増減させなくてはなりません。

しかし、借り手である中小企業は、運転資金の推移を適切にディスクローズできない傾向があり、

金融機関が運転資金の増減をタイムリーに追いきれないため、融資残高が硬直化し、

結果的に回収できなくなる危険性があるからです。

よって近年では、短期継続融資を避け、毎月返済が必要な長期の融資で

運転資金を融通することが主流になっています。

しかし、借り手にとっては運転資金を長期の借入で調達するのは少し問題があります。

運転資金は常時必要な資金ですので、約定返済がついていては資金繰りが安定しません。

従って、長期借入で運転資金を調達するならば、本来必要な運転資金の額より、

多めに融資を受けなくてはなりません。

また、長期借入の返済原資は「利益」ですので、運転資金の借入であっても、

利益が出ていない企業は融資を受けることが難しいという大きなデメリットもあります。

もちろん、短期継続融資にもデメリットはあります。

返済期限が半年から1年と短期で設定されるため、万が一貸し手が期日に延長を渋った場合、

たちまち資金繰りが悪化するというリスクです。

しかし、資金需要が旺盛な成長企業にとっては、約定返済がないという

メリットの方が大きいはずです。

また、短期継続融資の返済原資は売掛金の回収金ですので、理屈として、

利益は出ていなくても、売上がしっかりと上がっていれば融資を受けられます。

短期継続融資への取り組みは、今のところ金融機関によって温度差があるようですが、

スムーズに短期継続融資を受けるためには、借り手である企業側が、

返済の根拠となる売掛金や在庫の推移をタイムリーにディスクローズする姿勢が大切です。

成長途中にある企業様は、約定返済のない短期継続融資を活用することで

資金繰りが安定します。

是非、ご相談ください。

■社長にとって一番達成感を感じるのはどんな時でしょうか?

○某社の決算報告会の様子です。

増収増益の素晴らしい決算です。決算賞与に昇給、懇親会での楽しそうな食事風景、

従業員からの感謝のメッセージ、社長冥利に尽きるはずです。

○自社の提供する商品やサービスに対する、顧客からの感謝の声をいただいた時、

これもうれしいはずです。

○従業員の成長を実感できる時、これもこの上ない喜びです。

 

■社長にとって一番つらいのはどんな時でしょうか?

○資金繰りに窮する時です。

資金繰りという業務は、経営の中で最も程度の低い仕事です。

それでも、厳しくなれば最優先で行わねばならない業務だからたちが悪いのです。

上手くいって当たり前、上手くいってもプラスではありません。

マイナスがゼロになるだけです。上手くいかなければ経営破たんです。

出来れば、資金繰りに窮することが一生涯無いように経営したいはずです。

 

■資金繰りを気にしない経営を目指しませんか?

○今、資金繰りに全く問題の無い社長様

保険を掛けましょう。資金余力をさらに積み増しましょう。

銀行から借り入れができるなら、さらに借り増ししましょう。

金利は保険です。「(将来)資金繰りに窮することはなかったけど、余分な金利をたくさん

払ってきたな。」こう言えたら最高です。

一番つらいことを回避できたからです。

○今、資金繰りに苦労されておられる社長様

秘策はありません。

現実を受け止めて、できる対応をアカデミックに実行することです。

短期間では無理でも、三年の計で対策を施せば、資金繰りの苦労から解放される日も来ます。

今すぐ手だてを始めましょう。

 

■我々、銀行融資プランナー協会は、税務顧問業務に付加して

「資金繰り円滑化サービス」を提供できます。

○今、資金繰りに全く問題の無い社長様には、未来に向けてのさらなる安心を提供いたします。

・投資やコスト増等、経営判断が資金繰りに与える影響を診断し、

「近未来の資金繰り計画書」を継続的に提供いたします。

・必要な金融機関対応は、我々が主体的に行います。

わずらわしさが激減します。

○今、資金繰りに苦労されておられる社長様には、最善の方法を提案いたします。

・「近未来の資金繰り計画」を基準に、最善の行動指針を提案いたします。

・必要な金融機関対応は、我々が主体的に行います。

わずらわしさが激減します。

 

経営の三要素は「人」「もの」「資金」と言われます。

何が最も重要かとする議論はさて置き、「資金」がなければ何も始まりません。

また、「資金」がなくなればすべてが終わってしまいます。「資金」は、経営の必要条件なのです。

「資金」を気にせずに、「人」と「もの」に集中するためにも、

最初に「資金」を気にしてもらいたいと思っています。

我々は、「キャッシュフローの番人」として、

貴社の資金繰りを継続的にサポートさせていただく用意があります。

 

今、資金繰りに全く問題の無い社長様も、今、資金繰りに苦労されておられる社長様も、

規模の大小にかかわらずご相談ください。

先日、関与先様の営業会議に出席する機会がありました。

各担当者が売上実績を順次発表していきます。

全体的に、目標比、前月比、前年比、大きく売上高が落ち込んでいるようです。

社長様から、「黒字化を達成するには、あとどれくらいの売上が必要でしょうか。」

とのご質問がありましたので、損益分岐点売上高を計算してお答えしました。

年商約2億円が損益分岐ラインですが、6か月が経過した時点で、

年商が1億6,000万円のペースで推移しています。

上期の不足額4,000万円を残り6か月で補う方法論について

活発な議論がなされましたが、不足額が大きすぎて答えが見つかりませんでした。

同社のように、売上高を目標数値としてフォローしている企業様は多いと思います。

しかし、目標を掲げるならば、売上目標よりも粗利益目標の方が良いかもしれません。

売上には必ず原価が紐づいています。よって自由に分配できるのは、売上ではなく、

売上から原価を差し引いた粗利益です。

売上がいくら増えたところで、粗利益が減っては意味がありません。

反対に、売上が減っても粗利益が増えれば問題ありません。

同社の粗利益率は18%ですので、損益分岐ラインの売上高2億円を売り上げたときの

粗利益は3,600万円になります。

仮に粗利益率を20%まで高めることができれば、売上高は1億8,000万円でも、

3,600万円の粗利益を確保することができます。

同社にとって重要なのは、2億円の売上高を確保することではなく、

3,600万円の粗利益を確保することです。

売上を上げる策がないのであれば、原価を下げられる余地はないかとお聞きしました。

すると「たった2%原価率を改善するだけで、損益分岐点がそんなに下がるとは思いませんでした。

実は先日も原料の発注漏れがあり、製造に携わるパートさんを遊ばせてしまいました。

発注管理やシフト管理を徹底すれば、数パーセントの原価率を改善することは可能だと思います。」

等の意見をたくさん聞くことができました。

売上だけを追いかけた場合、4,000万円の不足分をカバーする方法は

「売る」以外にありません。

「売る」という選択肢しかなければ、「値下げをしてでも売上を確保しよう。」と考えてしまう

危険性もあります。

 

重要なのは売上よりも粗利益です。

売上だけでなく、粗利益の極大化を目標に加えてはいかがでしょうか。

「…実は世界の最先端の経営学(とファイナンス分野の研究)では、

むしろ統計分析を使った実証研究の結果から、同族経営は

業績が悪くないどころか、非同族経営よりも業績が高くなる可能性も

主張されているのです。…」

「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」

(日経BP発行、入山章栄早稲田大学ビジネススクール准教授著)

企業ガバナンスの観点から、同族経営の弊害がクローズアップされることが

ありますが、最先端の経営学では、同族経営の利点に着目されているようです。

以下、同書を引用しながら解説いたします。

■「同族経営は、日本だけに多いのではない。」

・「米国の雇用の6割以上は同族経営によるものと言われている。」

・「世界27か国の企業規模上位20社についてデータ分析を行った結果、

創業者一族が株式の20%以上を保有している企業の比率は、

27か国平均で約30%」 (1999年ジャーナル・オブ・ファイナンス、

米ハーバード大学のラファエル・ラポルタ氏他)

・「米S&P500にリストされる企業のうち、3分の1が同族企業である。」

(2003年ジャーナル・オブ・ファイナンス、米アメリカン大学のロナルド・アンダーソン氏)

・「2000年時点での日本の上場企業1367社のうち、約3割が同族企業」

(2013年ジャーナル・オブ・ファイナンシャル・エコノミクス、

加アルバータ大学のヴィカス・メロトラ氏他)

■「同族企業の業績は、非同族企業よりも優れている。」

・「米S&P500の403社のデータを使った統計分析からは、同族経営のほうが

非同族よりもROA(純資産利益率)が高い。」 (上記同誌・アンダーソン氏)

・「米国の上場企業では、同族企業のほうが非同族企業よりも業績がよい。」

(2015年コーポレート・ガバナンス、アン・インターナショナル、オランダ・

エラスムス大学のマルク・ファン・エッセン氏他)

■「同族経営がもたらすプラスとマイナスは…」

○同族経営がもたらすプラスのポイントは、

・「創業家が大口株主であることで、「株主の利害」と「経営者の利害」の齟齬が出にくい。」

・「もの言う株主となって、経営の暴走を抑えることができる。」

・「目先の利益よりも、長期的な繁栄を目指し、結果としてブレのないビジョン・

戦略を取りやすい。」

・「創業家が持ち得る人脈や名声が、経営に貢献する。」

○同族経営がもたらすマイナスのポイントは、

・「資質に劣る経営者が創業家から選ばれてしまうリスク。」

・「株主である創業家が、身内の経営者に甘くなる。」

同族経営のプラス・マイナス面を、上記の様に解説しています。

■「日本最強の後継社長は婿養子である。」

・「同族経営の決定的な課題は、資質に劣る経営者が創業家から

選ばれてしまうリスク。それを解決するのは、婿養子。」

・「婿養子は長い時間をかけて外部・内部から選び抜かれた人が

なる場合が多いから。」

同族経営のリスクを解決する一つの方法は婿養子と解説されています。

■著者である入山准教授は、悪い側面が目立ってしまいがちな同族経営について、

そのプラスとマイナスの要素を丁寧に分析しておられます。そのうえで、

・「創業家から後継者を出すことを積極的に否定する必要はない。」

・「意識して、厳しい目で後継者を鍛えること。」

が重要と解説しておられます。

 

一方、同族でない経営者を登用する時は、上記の同族経営のプラス面を損なわないように、

「創業家をリスペクト出来る人材」でなければならないとおっしゃっておられます。

リスケジュールの依頼に対して、せっかく金融機関から

了承を得たにも関わらず、信用保証協会の追加保証料が

用意できないためにリスケジュールが実行できない・・・と

いうケースがあります。

保証料とは、企業が銀行から融資を受ける際に、信用保証協会に

保証をしてもらう対価として支払う費用です。

保証料は、企業の経営状況や保証制度によって異なりますが、

概ね保証金額の0.5%~2%程度です。

保証料は保険料ではない点にも注意が必要です。

企業が銀行に支払いできなくなった場合、信用保証協会は、

企業の代わりに残債を銀行に支払いますが、これで借入が

帳消しになる訳ではありません。

信用保証協会は、銀行に支払った金額を企業側に請求します。

また、保証料は利息と違って、借入時に借入期間分の全額を

一括で支払うのが一般的です。(分割支払い制度もあります。)

一括払いですので高額になりますが、借入時は融資金から差し

引かれますので、支払いに苦労することはないはずです。

保証料は、融資残高に保証料率をかけて計算します。

リスケジュールで1年間返済をストップした場合、当初の約定どおりに

融資残高は減っていきませんので、リスケジュールの実行時に

保証料を再計算すると追加保証料が発生します。

借入残高によっては、100万円単位になることもあります。

仮に高額の保証料を支払ったとしても、そのまま約定どおりに

返済するより、リスケジュールをした方が資金繰りは楽になります。

銀行からは承諾が取れているのに、目先の保証料が用意できない

ためにリスケジュールができないのは残念です。

会社や店舗をやめる時にもお金がかかるように、保証付き融資を

リスケジュールするときにも追加で保証料がかかります。

資金繰りが厳しいと感じたら、ぎりぎりまで粘るのではなく、

余裕を持ってアクションを起こすことをおすすめします。

■「過去の判断の結集が今日の経営の実態です。」
(京セラ名誉会長・稲盛和夫氏)

過去の判断が総じて正しければ、今日はうまく行っているはずです。

逆に、過去の判断に間違えが多ければ、今日の経営はうまく行っていないはずです。

未来に向かっての判断の結集が、未来の経営の良し悪しを決めます。

未来に向かっての判断の精度を高めて行かねばなりません。

経営者(人)は、毎日多くの判断を下しています。

(一週間に136との統計値もあります。出所が定かではありませんので参考程度に考えてください。)

経営者の一番の仕事は判断することです。

■判断の精度を向上させるための留意点について考えてみましょう。

◆その1:判断の対象を絞ること。

日々多くの判断を迫られる中で、判断の精度を高いレベルに維持するためには、判断すべき対象の

絞り込みが必要です。

この時に参考になるのが、パレートの法則です。大切な20%の事案に集中してエネルギーを注ぐこと、

つまらない事案に多くの時間を費やさない、との戒めになります。

人はその重要性よりも、感情や感覚を優先してしまいがちです。

嫌なことから逃げ、好きなことに関わる…注意が必要ですね。

重要性の原則に沿って、判断材料を選別してください。

○「パレートの法則=20対80の法則」とは…

『判断の20%が80%の結果を生み出している。』とする法則です。

(イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレート)

◆その2:感情ではなく理性を基準に判断を下すこと。

経営者(人)は、何を基準に判断しているのでしょうか?

稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)は、以下の基準を挙げておられます。

・一番程度の低い判断基準は『感情』。

・次の基準は『感覚』。

・その上の基準は『理性』。

と述べられた上で、『理性』は(本当は)判断基準にならないと、くぎを刺されておられます。

『理性』は判断材料を提示するものであって、判断基準は他にあると…。

稲盛和夫氏は、最上級の判断基準を『魂』とおっしゃっておられます。

多分、『集約された知見』のことだと、解釈できます。

『理性で整理された判断材料を基に、知見で判断する』…こう解釈できます。

人は、感情に支配された判断や行動を時に選択します。激情的な感情が心を支配して、

とんでもない判断や行動を起こしてしまいます。

また、些細な感情のしこりに惑わされた判断を下すこともあります。

感情に支配された状況での判断は、総じて間違えが多くなります。

少なくとも、理性に支配された状況で判断を下すことが必要です。

体調が悪い時、機嫌が悪い時には判断しない、この決め事も有効ではないでしょうか。

■整理します。

1.たくさんの判断すべき対象に対して、総花的に向かい合うのではなく、重要事案に集中して対応しましょう。

『判断の20%が80%の結果を生み出している。』パレートの法則を思い出してください。

2.『感情』を基準に判断しないように心がけましょう。

『理性で整理された判断材料を基にした知見』を基準に置きましょう。

体調が悪い時、機嫌が悪い時には判断しない、この決め事も有効ではないでしょうか。

 

自社・自分の未来を決める「今行っている判断」の精度を、意識して向上させましょう。

特に、判断に感情を出来るだけ持ち込まないこと、重要な判断は体調と心を整えてから行うこと、

この二点はコツとしてご理解ください。

弊所にて運転資金の調達をご支援したA社の事例です。

目標調達額は2,000万円で、4行の銀行に融資を申し込み、2行はNGとなりましたが、

1行はプロパー融資で1,000万円、もう1行もプロパー融資で2,000万円を決定し、

合計で3,000万円の調達を行いました。

民間の金融機関に融資を申し込むと、大きく分けて2種類の融資を提案されます。

「信用保証協会の保証付き融資」と「プロパー融資」です。

信用保証協会の保証付き融資は、一義的な審査は信用保証協会が行いますので、

どの金融機関から申し込んでも、可否の結論は概ね同じです。

しかし、各金融機関独自の審査基準で行っているプロパー融資は、

A社の事例のように、結果に大きなばらつきが出ます。

A社の評価が分かれたのは、「利益ベースでは黒字」だが「資金ベースでは赤字」だった点です。

「資金ベースで赤字」とは、経常収入より経常支出の方が大きいことを意味します。

具体的には、「経常収支比率」が100%を切っている場合や、

「キャッシュフロー計算書」の営業キャッシュフローがマイナスの場合です。

黒字なのに資金赤字になる要因はいくつかあります。

売掛金の回収サイトが長い等、不利な取引条件で営業活動を行っている場合、

利益は黒字でも資金赤字になるケースがあります。

また、売掛金や在庫を水増しして黒字決算を装った場合も、資金ベースは赤字になります。

A社は資金調達に苦労していたようですが、この粉飾の疑念が要因のひとつと考えられます。

よって、売掛金や在庫のエビデンスを用意し、まず、各銀行に粉飾ではないことを理解して

いただきました。

ここがスタートラインです。

その結果、2行は説明に納得して融資を決定しましたが、残りの2行は、

「粉飾でないことは理解したが、資金赤字であることに変わりはない。

黒字倒産の懸念もあるため、今回の融資は見送りたい。」との回答でした。

社長は結果には満足しておられましたが、「同じ条件なのに銀行によって答えが

違うことが不思議だ。」とおっしゃいました。

銀行によって、支店によって、支店長によって、担当者によって、また、その時の銀行の

営業状況によって、プロパー融資の対応は違ってきます。

まずは、融資可能なシナリオを構築することが先決ですが、

ボーダーラインのプロパー融資の相談は、複数行にあたることをおすすめします。

●経営改善計画とは、5年以内に債務償還年数が10年以内、かつ、資本正(債務超過でない)を達成する計画です。

●リスケジュールは、一定以上の手持ち資金がある状況で行い、かつ、リスケジュール中の返済金額は極小に設定することをお勧めします。

●リスケジュール中の金融機関対応は、特に丁寧に行ってください。

 

■リスケジュールとは…

金融機関への返済を一定期間猶予してもらうことで、経営の改善・安定化を図る施策、これも財務戦略の一つです。

リスケジュール、リスケと呼びます。

リスケジュールとは、予定を変更することです。

その大半は、予定を延ばすこと、金融の分野では債務の返済計画を変更して、返済を繰り延べることを意味します。

すべての金融機関の同意と、衡平(※)な割合での繰り延べが必要です。

※衡平性の原則…返済猶予を受ける時は、すべての金融機関に対して原則同じ条件で依頼しなければなりません。

A行には返済しながら、B行には返済しない、これは衡平性の原則に反します。

 

■リスケジュールを受けられる条件は…

一定期間返済猶予を受けることで、その会社・個人事業者様の経営が健全化することが条件になります。

返済猶予を行っても、経営が改善する見込みがない時は、金融機関は返済猶予を受け付けません。

・「経営がうまく行っていません。返済する資金がありません。 経営が改善する見込みも立ちません。」

…このケースは、リスケジュールを受け付けてくれません。

・「短期的に資金繰りが厳しい状況です。中期的にこのように経営は改善していきます。一時的に返済を猶予いただきたい。

経営改善の計画は、経営改善計画書で提示します。」

…リスケジュールが認められるのは、このようなケースです。

 

■経営改善計画書作成及びその後の対応のポイントは…

金融機関の同意を得るために必要な計画書を経営改善計画書と呼びます。

※経営改善計画書は、金融機関に提出するためにも必要ですが、 その本質は経営改善の道標です。

 

1.経営改善計画の期間は最長5年以内が目安です。

・金融機関目線の経営の健全化・健全な財務とは、債務償還年数が10年以内、かつ、資本正(債務超過でない)であることです。

・5年以内に、単年度の簡易キャッシュフロー(=減価償却費+税引き後利益)が、純債務の10分の1以上(債務償還年数10年以内)に

到達しなければなりません。併せて、資本正の状態に仕上げる必要があります。

●過度に短期間で完了する経営改善計画書はお勧めできません。

結果として、早期の完了は問題ありません。5か年計画をお勧めします。

 

2.リスケジュール中には、新たな金融支援は受けられません。

・金融機関からの新たな資金調達を行わずに、手持ち資金のみで資金繰りを回し続ける計画が必要です。

・リスケジュールの依頼は、手持ち資金を持ち合わせた状況で行わないと、その後の資金繰り計画が立ちません。

ある程度の手持ち資金を残した状況で行います。

・同様に、リスケジュール中は、極力返済金額を極小(可能であれば0円)に設定します。

手持ち資金のみで経営改善を完遂するためには、一定の資金が必要です。

●リスケジュールは、一定以上の手持ち資金がある状況で行い、かつ、リスケジュール中の返済金額は極小に設定することをお勧めします。

 

3.リスケジュール計画は、原則毎年1回更新されます。2年以上のリスケジュールを金融機関が受け付けるケースは稀です。

・5か年計画に沿って、その進捗を適時金融機関に報告しながら経営改善を進めます。

・計画に変更があれば適時計画を見直します。

・金融機関は、経営改善計画に沿って、リスケジュールを受け付けた会社様を、継続的にモニタリングする必要があります。

継続的に経営状況がわかる資料の提出が必要です。

※モニタリング頻度は、状況によって変わりますが、毎月または3ヶ月毎が一般的です。

●リスケジュール中の金融機関対応は、特に丁寧に行ってください。

 

金融機関への返済で資金繰りが悪化している局面において、足元の経営状況を鑑みて新規の借入れが出来ない状況が続きそうな時は、

リスケジュールの検討が必要です。この時は、経営改善計画書の立案・提出が必須です。

銀行融資プランナー協会の正会員事務所である当事務所は、財務戦略の一環として、時に最善なリスケジュール戦略のご提案と

経営改善計画書の作成、その後の継続的な金融機関対応を行います。
まずは、早めにご相談ください。

ある社長様が資金調達の相談で来所されました。

「日本政策金融公庫に融資を申し込んだが断られた。このままでは資金が枯渇してしまう。何か良い方法はないか。」とのご相談です。

詳しくお話をお聞きしたところ、「創業して約1年が経過したが、未だ黒字化しておらず、役員報酬も殆ど取れていない。

創業融資については、当初は資本金だけで十分黒字化できると考えていたため、利用しなかった。」とのことでした。

創業した社長様から、このようなご相談をお受けすることは少なくありません。

しかし、残念ながら、赤字で資金繰りが苦しい時ほど資金調達は難しくなります。

創業時であれば、計画だけで創業融資を受けることができましたが、1年が経過し、上手く行かないことが判明した今となっては、

日本政策金融公庫や保証協会でさえ、簡単に融資はしてくれません。

新設企業は3年で約70%が廃業するとも言われています。大変難しい挑戦です。

「独立開業時にどれだけの資金を用意すべきか」という議論は、

目の前に広がる広大な砂漠を横断する時に、「どれだけの水を持っていくべきか」という議論に似ています。

過酷な環境の中、手持ちの水が減ってゆく恐怖を想像すれば、「持てる限りの水を持って行こう」と考えるのが自然ではないでしょうか。

独立開業は、多くの方が失敗している大変難しいチャレンジです。

自己資金だけで挑むより、創業融資も利用して、できるだけ多くの資金を用意して独立しましょう。

そうすれば、創業者の廃業率はもっと低くなるはずです。

また、創業後のお金の使い方も大切です。同社の人件費、福利厚生費、広告費、接待交際費を見てみると、

明らかに売上とバランスが取れていませんでした。

従業員のモチベーションアップのための飲み会、広告宣伝活動、お客様との飲食等、その重要性は分かりますが、

資金が無くなれば全て終わりです。

軌道に乗るまでは、最低限の資金で運営することを心掛けましょう。

同社も、固定費を見直して損益分岐点を大きく引き下げました。

 

創業予定、創業後間もない方で、創業融資を受けておられない方は、是非、早い段階で弊所にご相談ください。